JP3881012B2 - 遺伝子操作した植物の貯蔵器官におけるカロテノイド蓄積の増大 - Google Patents

遺伝子操作した植物の貯蔵器官におけるカロテノイド蓄積の増大 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、カロテノイド(carotenoid)生合成に関する。更に詳細には、本発明は、根、種子、果実又は塊茎のような予め選ばれた貯蔵器官において無色のカロテノイドフィトエンの生成を触媒し、その植物貯蔵器官において1種以上の天然に生産された着色カロテノイドの蓄積増大をもたらす酵素フィトエンシンターゼをコードする非高等植物の発現に関する。
背景技術
カロテノイドは、通常、8個のイソプレン(C5)単位が一緒に結合した炭素数40(C40)のテルペノイドである。その単位の連結は、分子の中心で逆になる。本開示では全体に慣用名及び略号が用いられ、IUPAC命名法の準系統名は、一般には、慣用名の最初の記載の後に括弧に示される。
カロテノイドは、多様な応用のある色素である。カロテノイド炭化水素は、カロテンと呼ばれるが、酸素化誘導体は、キサントフィルと呼ばれる。
カロテノイド、特に、α及びβ−カロテン、β−アポ−8′−カロテナール(アポカロテナール)及び4,4′−ジケト−β−カロテン(カンタキサンチン)は、食品着色剤として広く用いられ、多くのカロテノイドは、プロビタミンA活性を示す。Carotenoids as Colorants and Vitamin A Precursors, J.C.Bauernfeind, ed., Chap. 2“carotenoids as Food Color”, H. Klaui & J.C.Bauernfeind, Academic Press, New York(1981)pp.48-317を参照されたい。
フィトエン(7,8,11,12,7′,8′,11′,12′−ψ−オクタヒドロ−ψ,ψ−カロテン)は、カロテノイド生合成経路における最初のカロテノイドであり、炭素原子20個の前駆体、ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)の二量化によって生成される。フィトエンは、皮膚疾患の治療に有効な適用がある(米国特許第4,642,318号)。フィトエン自体は無色であるが、着色カロテノイドの前駆体である。
ある生物においては、生合成経路で次に生成されるカロテノイドは赤色カロテノイドリコペン(ψ,ψ−カロテン)である。リコペンは、熟したトマトに特有の赤色を与える。リコペンは、食品着色剤並びに細菌、真菌及び緑色植物における他のカロテノイドの生合成の中間体としての用途がある。
偏在する前駆体ファルネシルピロリン酸からリコペンの合成に用いられるカロテノイド特異的遺伝子としては、リコペンを形成するのに合計4モルの水素をフィトエンから除去する酵素GGPPシンターゼ、フィトエンシンターゼ及びフィトエンデヒドロゲナーゼ(デサチュラーゼ)酵素の遺伝子が挙げられる。
おもしろいことに、異なる生物は、異なる方法でフィトエンを脱水素する。即ち、ロドバクター・スフエロイデスRhodobacter sphaeroides)のある菌株は、1段階で3モルの水素を除去してノイロスポレンを生成し、1モルの水素を除去してリコペンを生成する酵素を含む。エルウィニア・ハービコーラErwinia herbicola)では、単一の酵素が4モルの水素全部を除去してフィトエンからリコペンに転換する。高等植物では、脱水素反応は、通常、別々の4段階が必要であると考えられ、3種類の分離可能な中間体が各段階で生成される。即ち、フィトエンがフィトフルエンを生成し、次に、ζ−カロテンを生成し、次に、ノイロスポレンを生成し、次に、リコペンを生成する。
β−カロテン(β,β−カロテン)は、リコペンからカロテノイド生合成経路で両末端の環化により生成される。多くの細菌、真菌及び緑色植物によっても合成される。β−カロテンは、マーガリンやバターの着色剤として、合成及び生体内ビタミンA生産源としての用途があり、最近では、ある種のがんに対して予防効果があるとされてきた。
例えば、将来及び過去に向けられた疫学的研究により、低レベルの血清又は結晶β−カロテンが肺がんの進展に関連があることがわかった。同様に、レチノール(ビタミンA)は肺がんの恐れに関連がないことから、β−カロテンはビタミンAに転換せずに予防効果があると考えられる。Ziegler,Amer. Instit. Nutr.,雑誌022/3166/89, 116(1989)。
β−カロテンは、不飽和カロテノイドの環化により生成されるが手順はまだ十分にわかっていない。Bramleyら, Current Topics in Cellular Regulation, 29:291, 297(1988)。リコペンを蓄積するがγ−カロテン(他の潜在的前駆体)を蓄積しない唯一の変異株が判明したことから、植物及び微生物では共に単一のシクラーゼがリコペンのβ−カロテンへの転換に関与すると思われる。一般的に、その環化に関係する酵素は、内在性膜タンパク質として見出された。
現在市販のβ−カロテンの製造方法としては、ニンジンからの単離、化学合成[Islerら,米国特許第2,917,539号(1959)]及びコアネフォラ・トリポラChoanephora trispora)による微生物生産[Zajic,米国特許第2,959,521号(1960)及び同第3,128,236号(1964)]が挙げられる。
β−カロテンは、ある植物及び細菌では二回水酸化してゼアキサンチン(β,β−カロテン−3,3′−ジオール)、鶏肉産業において着色剤として用いられる黄色色素を生成する。ゼアキサンチン製造の化学合成法は既知であるが、効率が悪く現在のバイオマス源と商業的に競合しない。そのバイオマス源としては、コーン粒、コーングルテンミール及びマリゴールド花弁が挙げられる。コーン粒中のゼアキサンチンレベルは平均約0.001%(乾燥重量)であり、コーングルテンミール中では約0.01%(乾燥重量)である。これらのバイオマス源は、低く一様でない生産レベルが特徴である。
ゼアキサンチンジグルコシドは、ゼアキサンチンから生合成的につくられる他の食品着色剤である。その物質の色は、ゼアキサンチンと似た黄色である。
多くの植物では、リコペンは、カロテノイド生合成の分枝点である。即ち、植物のリコペンには、β−カロテン及びゼアキサンチン及びしばしばゼアキサンチンジグルコシドにつくられるものがあるが、残りのリコペンは、α−カロテン及びルテイン(3,3′−ジヒドロキシ−α−カロテン)、他の水酸化化合物に生成される。
Chamovitzら, J. Biol. Chem., 268(23):17348-17353(1993)には、ラン藻のカロテン生成におけるリコペン生成が律速段階であることが報告されている。ラン藻と植物のカロテン生成経路間の類似性及び実験データに基づいて、著者らは、リコペンを生成するフォトエン不飽和化が高等植物においても律速段階であると仮定した。
高等植物、即ち、被子植物におけるカロテノイドは、色素体、即ち、葉緑体及びクロモプラストに見出される。色素体は、単一膜よりもむしろ二重膜に囲まれている液胞と異なる細胞内貯蔵体である。葉緑体のような色素体もそれ自体のDNA及びリボソームを含み、独立して再現することができかつそれ自体のタンパク質を合成するものもある。従って、色素体は、ミトコンドリアのいくつかの特性を共有している。
葉では、カロテノイドは、通常、光防護機能を与える色素体のグラナに存在する。β−カロテン及びルテインは、主なカロテノイドであり、ビオラキサンチン及びネオキサンチンも少量で存在する。カロテノイドは、花の花弁の有色体を生じるのに蓄積し、通常はクロロフィルの消失を伴う。花の花弁でのように、カロテノイドは、色素体から生じるので果実の有色体にも生じる。カロテノイドは、また、ニンジン根及びジャガイモ塊茎の有色体に位置する。β−カロテンは、市販のニンジン及びサツマイモの双方に有する主要な色素であり、通常は、ごく少量のキサントフィルが存在する。T.W. Goodwin,“Carotenoids”, Encyclopedia of Plant Physiology, New Series, Vol. 8, Pirsonら, eds., Secondary Plant Products, Chapter 5.3, Bellら, eds, Springer-Verlag, N.Y.(980)p.257-287を参照されたい。
現在、市販の着色カロテノイド製造にごくわずかな植物だけが広く用いられている。しかしながら、これらの植物のほとんどの着色カロテノイド合成の生産性は比較的低く、得られたカロテノイドは価格が高くなる。
生合成の生産能を高める方法は、組換えDNA技術を適用する方法である。即ち、組換えDNA技術により、一般的には、着色カロテノイド、詳細には、β−カロテンを製造することが望ましい。その種類の製造は、品質、量及び最適な効率のよい生産生物の選定を用いた制御を可能にする。後者は、市販の製造経済面、従って、消費者に対する利用可能性に特に重要である。
カロテノイドの合成及びかかる生合成用の潜在的遺伝子源の可能な生物は、エルウィニア・ハービコーラである。エルウィニア・ハービコーラは、通性嫌気性生物である腸内細菌科Enterobacteriaceae)のグラム陰性細菌属の一種である。
エルウィニア属は、一般に、3つに分類される。3つの中のハービコーラ群は、典型的には、カロテノイドであることが判明した黄色色素を形成する種(例えば、エルウィニア・ハービコーラ)が含まれる。それらの細菌は、植物表面上に腐生栄養体として及び多くの植物病原体に起因する損傷の二次生物として存在する。土壌、水及び日和見病原体としてヒトを含む動物にも見られる。
国際出願第91/13078号(1991年9月5日公開)には、数種の単及び多細胞生物において数種のカロテノイド分子を調製するためにエルウィニア・ハービコーラからの遺伝子の使用が教示されている。更に、欧州特許出願第0 393 690 A1号(1990年10月24日公開)には、カロテノイド分子を調製するために他のエルウィニア種、エルウィニア・ウレドボラErwinia uredovora)20D3(ATCC 19321)からのDNAの使用が報告されている。
後に詳細に述べられるように、本発明は、高等植物の貯蔵器官におけるカロテノイド分子の調製用酵素フィトエンシンターゼをコードするエルウィニア・ハービコーラEHO-10(ATCC 39368)からのDNAを使用することが最適である。本明細書に用いられるエルウィニア・ハービコーラEHO-10は、エシェリキア・ブルネリスEscherichia vulneris)とも呼ばれる。
国際出願第91/13078号には、構成的カリフラワーモザイクウイルスCaMV35Sプロモーターを含むベクターを含むベクター及びアグロバクテリウム・ツメファシエンスAgrobacterium tumefaciens)仲介DNA導入による高等植物におけるフィトエンの生産増大が教示されている。N末端に結合したフィトエンシンターゼをコードする遺伝子のタバコリブロース二リン酸カルボキシラーゼ−オキシゲナーゼ(RUBISCO又はRBCS)のトランシット(シグナル)ペプチドへの導入もカロテノイドが一般的に合成される植物葉緑体に酵素を輸送する手段として報告された。その出願は、また、上記トランシットペプチド遺伝子を含む遺伝子及びリコペンをβ−カロテンへ転換するリコペンシクラーゼの遺伝子を植物に導入して高レベル葉緑体のβ−カロテンを得るために使用されるアグロバクテリウム・ツメファシエンスの使用が教示されている。
上記手法は、植物全体及び植物葉緑体に高レベルのカロテノイドを与えるのに成功したが、そのように作出された再生産植物は、たいていそれ自体黄色か橙色であり、形態変形を示し、その発育は予想外に抑制された。従って、植物において高収量のカロテノイド、特に、α−及びβ−カロテン、ゼアキサンチン及びルテインを得るために更に良い手段が所望された。以下の開示は、所望の結果を達成する2種類の関連した手法を例示するものである。
発明の要約
本発明は、色素体トランシットペプチドに結合した非高等植物フィトエンシンターゼをコードしかつ貯蔵器官増強発現を与えるよりプロモーターの制御下にある異種ゲノムDNAを含むように形質転換された高等植物に関する。無色のカロテノイドフィトエンの合成を触媒する酵素のその器官増強発現の結果は、個々の植物の合成経路において下流にある着色カロテノイドの器官増大した蓄積である。
1態様は、双方の植物が同じ条件下に生育される場合に同じ基準の非形質転換植物の貯蔵器官における未変性(native)着色カロテノイドの蓄積に比べてトランスジェニック高等植物の予め選ばれた貯蔵器官における未変性着色カロテノイドの蓄積を増大させる方法である。本方法は、形質転換した植物を予め選ばれた貯蔵器官の成熟度まで発育させる段階を含む。トランスジェニック植物のゲノムは、(i)キメラポリペプチド結合体をコードするDNAセグメントを(ii)該キメラポリペプチド結合体の貯蔵器官増強発現を引き起こすプロモーターDNAセグメントに作用上結合したものを含む。キメラポリペプチド結合体は、C末端が非高等植物フィトエンシンターゼ酵素のN末端にペプチド結合されるN末端色素体トランシットペプチド部分を有する。
本発明の他の態様は、更にトランスジェニック植物組織を予め選ばれた貯蔵器官の成熟度まで生育されるトランスジェニック植物に再生する段階を加える同様の方法である。
本発明の他の実施態様は、更に、予め選ばれた貯蔵器官において未変性着色カロテノイドを蓄積する植物の組織を、(i)キメラポリペプチド結合体をコードするDNAセグメント及び(ii)植物組織から再生された植物の予め選ばれた貯蔵器官において該キメラポリペプチド結合体の該貯蔵器官増強発現を引き起こすプロモーターDNAに作用上結合した組込みベクターを含む組換えDNA分子でゲノム的に形質転換することによりトランスジェニック植物組織をつくる工程を企図する。次に、形質転換した植物組織は、予め選ばれた貯蔵器官の成熟度まで生育されるトランスジェニック植物に再生される。その後、未変性着色カロテノイドが成熟貯蔵器官から回収される。
上記の方法のいずれかの貯蔵器官は、根、種子、塊茎又は果実であることが好ましい。上記の方法で形質転換される非トランスジェニック植物は、ジャガイモ、トマト、ニンジン、メロン、カボチャ、レッドグアバ、パッションフルーツ、マンゴ、レッドパパイヤ、アボガド、チェリー、タンジェリン、マンダリン、パーム、キュウリ、アプリコット、ピーチ及びトウモロコシであることが好ましい。
好ましい色素体トランシットペプチドは、タバコRUBISCO、ペチュニアEPSPシンターゼ及びコショウPSY遺伝子トランシットペプチドの1つである。好ましいプロモーターは、根又は塊茎増強プロモーターであり、その好ましい予め選ばれた貯蔵器官は、各々根又は塊茎である。好ましいフィトエンシンターゼ酵素は、エルウィニア・ハービコーラcrtB遺伝子によってコードされる。
トランスジェニック植物も企図される。その植物は、(a)キメラポリペプチド結合体をコードするゲノム構造遺伝子を有し、(b)そのポリペプチド結合体の器官増強発現を引き起こすプロモーターのために同じ基準の非トランスジェニック植物のその貯蔵器官における未変性着色カロテノイドの蓄積に相対して予め選ばれた貯蔵器官における未変性着色カロテノイドを過剰蓄積する。キメラポリペプチド結合体は、C末端が非高等植物フィトエンシンターゼ酵素のN末端に結合されるN末端色素体トンシットペプチド部分を有する。キメラポリペプチドをコードする構造遺伝子を有するトランスジェニック植物のハイブリッドも企図される。
具体的なトランスジェニック植物は、前に言及されている。トランスジェニックニンジンが特に企図されるトランスジェニック植物である。そのニンジンは、(a)キメラポリペプチド結合体をコードする構造遺伝子を有し、(b)同じ基準の非トランスジェニックニンジンに相対して根における着色C40カロテン又はキサントフィルを過剰蓄積する。キメラポリペプチド結合体は、C末端がエルウィニア・ハービコーラフィトエンシンターゼ酵素のN末端に結合されるN末端RBISCOトランシットペプチド部分を有する。
同じ菌株の非トランスジェニック植物及びそれに由来するハイブリッドに相対する未変性着色カロテノイドを蓄積するトランスジェニック植物に発芽させることができる前に述べたトランスジェニック植物のトランスジェニック植物種子も企図される。該種子は、非高等植物フィトエンシンターゼ酵素のN末端にC末端で結合したN末端トランシットペプチドを有するキメラポリペプチド結合体をコードするゲノム遺伝子を含む。
【図面の簡単な説明】
図1は、高等植物における一般化されたカロテノイド合成スキームの系統線図である。無色の化合物、GGPP、フィトエン及びフィトフルエンは縁取り文字で示され、着色カロテノイドは黒い文字で示され、酵素は黒いイタリック体で示される。
図2は、ファルネシルピロリン酸からカロテノイドの合成に必要とされる完全なエルウィニア・ハービコーラ酵素遺伝子を含む大文字で示されたプラスミドpARC376を示す地図である。転写方向(矢印)は、反対の方向に転写されるβ−カロテンヒドロキシラーゼ(crtZ)を除く全ての酵素の構造遺伝子に対して同じである。重要な制限酵素部位は、括弧内の位置番号で確認される。フィトエンの合成は、GGPPシンターゼ(crtE)及びフィトエンシンターゼ(crtB)によって触媒される。遺伝子標識crtX、crtY、crtI及びcrtZは、各々酵素ゼアキサンチングリコシラーゼ、リコペンシクラーゼ、フィトエンデヒドロゲナーゼ−4H及びβ−カロテンヒドロキシラーゼをコードする。
図3は、RUBISCO(RBCS)/フィトエンシンターゼキメラポリペプチドをコードする遺伝子並びにアンピシリン耐性遺伝子、Apr及びいくつかの重要な制限酵素部位及びその位置番号を含むプラスミドpATC915を示す地図である。
図4は、図3に示されるように、pATC915から作成されたプラスミドpATC920を示す地図である。
図5は、masプロモーター(AmasPmas)を含むプラスミドpmas4Zを示す地図であり、図3のように示される。
図6は、図3に示されるように、フィトエンデヒドロゲナーゼ4−H(PDH)の遺伝子及びnosターミネーターに作用上結合したCaMV35Sプロモーターを含むプラスミドpATC909を示す地図である。
図7は、図3に示されるように、図6のCaMV35Sプロモーターを図5のmasプロモーターに置き換えたプラスミドpATC911を示す地図である。
図8は、図3に示されるように、図6のPDH遺伝子が図4のRUBISCO/フィトエンシンターゼ遺伝子で置き換えられているプラスミドpATC921を示す地図である。
図9は、図3に示されるように、CaMV35Sプロモーターによってベクターに最初に占められた部位のベクターpKYLX71に移動した図8のmas−RUBISCO/フィトエンシンターゼ−nosターミネーター構築物を含むプラスミドpATC923を示す地図である。
図10は、図3に示されるように、市販のプラスミドpBI101.2にクローン化した上記構築物を含むプラスミドpATC703を示す地図である。
図11は、図3に示されるように、ジャガイモパタチンプロモーターを含むプラスミドpPPR001を示す地図である。
図12は、図3に示されるように、図11のパタチンプロモーターの制御下にRUBISCO/フィトエンシンターゼ結合体ポリペプチドの遺伝子及びnosターミネーターを含むプラスミドpATC954を示す地図である。
図13は、図3に示されるように、市販のプラスミドpBI101.2にクローン化した図12のパタチンプロモーター−RUBISCO/フィトエンシンターゼ結合ペプチドの遺伝子及びnosターミネーターを含むプラスミドpATC956を示す地図である。
発明の詳細な説明
A.用語の定義
アミノ酸: 本明細書に同定されるアミノ酸残基は全て天然のL配置である。標準ポリペプチド命名法、J. Biol. Chem., 243:3557-59(1969)をつけるにあたり、アミノ酸残基の略号は下記の対応表に示される通りである。
Figure 0003881012
アミノ酸残基配列は全て本明細書では左から右への向きがアミノ末端からカルボキシ末端への慣用の方向であることは留意されるべきである。
発現: ポリペプチドを生産するために構造遺伝子によって行われる転写及び翻訳を含む細胞内過程の組合わせ。
発現ベクター: ベクター内で構造遺伝子に作用上結合される場合に構造遺伝子の発現を調節する制御要素をつくるDNA配列。
組込まれた: 宿主染色体の中に取込まれた異種DNA配列が組込まれる。
作用上結合又は挿入した: 2つの配列が正しいリーディングフレーム内に共有結合で結合されかつプロモーターDNA配列が構造遺伝子DNA配列の転写又は翻訳に影響するように位置される場合には、ベクターDNA配列が構造遺伝子DNA配列に作用上結合される。
プロモーター: 遺伝子の発現制御要素を与えると共にRNAポリメラーゼが特異的に結合しその遺伝子のRNA合成(転写)を開始するDNA配列又はDNA配列群上の認識部位。
組換えDNA分子: 本来天然には一緒に見られない少なくとも2つのヌクレオチド配列を含むハイブリッドDNA配列。
構造遺伝子: ポリペプチドとして発現されるDNA配列;即ち、アミノ酸残基配列。
ベクター: 細胞中で複製することが可能なDNA分子及び/又は結合したセグメントの複製をもたらすように他のDNAセグメントが作用上結合されるDNA分子。プラスミドは、具体的なベクターである。
B.序論
最も広範な種類の色素、カロテノイドの構成は、光合成装置の必須部分である場合に実質的に全ての光合成生物に存在する。メバロン酸、全てのテルペノイドの特定の最初の前駆体は、アセチル−CoAからHMG−CoA(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA)を経て生成され、イソペンテニルピロリン酸(IPP)、普遍イソプレン単位に転換される。IPPのジメチルアリルピロリン酸への異性化及びプレニルトランスフェラーゼによって触媒されたIPPを加える一連の縮合反応後、酵素ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPPシンターゼ)の作用によりゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)が生成される。そのカロテノイド生産の第1段階に続いて、尾−尾二量化が酵素フィトエンシンターゼによって触媒されてフィトエン、最初のC40カロテノイドを生成する。
フィトエン後に生成されたフィトフルエンで出発する炭化水素カロテノイドの各々は着色される。一般化された高等植物カロテノイド生合成経路を図1に示す。
リコペンは、フィトエンから1種以上のフィトエンデヒドロゲナーゼ(デサチュラーゼ)酵素の触媒作用により生成される。図1に示されるように、リコペンは高等植物カロテノイド合成の分枝点である。
リコペンの環化は、一方の経路でβ−カロテンを形成する。リコペンの環化は、図1のもう一方の経路でα−カロテンを生成する。α−及びβ−カロテンは、独立して環化されてその2つの経路で各々ルテイン及びゼアキサンチンを生成する。ある植物では、リコペンの一方の末端だけが環化してδ−又はγ−カロテンを生成する。γ−カロテンを対称環化してα−カロテンを生成する。同様に、δ−カロテンを対称環化してε−カロテンを生成し、非対称環化してα−カロテンを生成する。
生成されたカロテノイドは、生合成経路に沿って次に生成されるカロテノイドの前駆体である。即ち、カロテノイドがそのカロテノイドを経路の次の分子に転換するのに適切な酵素と共に存在する場合には、その転換は常に起こる。
前駆体としての上記生成物の関係により、少しの蓄積或いは蓄積の全くない前に生成された前駆体カロテノイドと相対して生合成反応経路で後に生成される1種以上のカロテノイドの植物内での蓄積がもたらされる。その前駆体カロテノイドの蓄積の相対的欠如は、果実のような成熟植物部分において後に生成された着色カロテノイドの約1/5〜約1/10量であるフィトエンの実測量で一般にリコペンがほとんど又は全く観察されないことからα−又はβ−カロテン、ルテイン又はゼアキサンチンのいずれかが最後に生じたカロテノイドである場合に特に明らかである。
例えば、トウガラシ(カプシカム・アナムCapsicum annum))の実験により、得られたカロテノイドの中で約34.7%及び約11.6%のβ−カロテンに比べてフィトエンは約1.7%を示したことが報告された。[上記Carotenoids as Colorants and Vitamin A Precursorsのp.69、表5]同様に、イタリアンプルーンのカロテノイド成分を報告しているそのテキストのp.135の表29は、フィトエンが約1.3%、β−カロテンが約18.7%、ルテインが約15.5%及びビオラキサンチンが約35.0%で存在することが示されており、リコペンは報告されていない。上記テキストのデータの検討から、種々の供給源からのカロテノイド分析が論じられる場合にフィトエン濃度がほとんど言及されていないことがわかる。
周知のように、生物学的に産生された物質の相対量は、前駆体カロテノイドの濃度、次のカロテノイドへの酵素変換速度及び生じたカロテノイドがそれ自体の反応を抑制する生成物フィードバック阻害の可能性を含む数種の可変部分に左右される。ある植物は、また、全く機能しないか又はほとんど機能しない転換酵素を生じるので、見かけ上生産可能なカロテノイドは生産されないか又は相対的に少量しか生産されない。転換酵素に遅れて働くが最初には働かない合成阻害剤は、カロテノイドを蓄積する役割を果たすことができる。
各高等植物の貯蔵器官内の色素体は、その植物が指定した条件下に生育される場合に他のカロテノイドより非常に多く蓄積する特徴的な着色カロテノイドを生産する。特徴的な貯蔵器官着色カロテノイドは、本明細書中で“未変性着色カロテノイド”と呼ばれる。
本発明は、トランスジェニック植物及びその植物の使用方法を企図する。トランスジェニック植物は、(i)キメラポリペプチド結合体をコードするDNAセグメントが(ii)ポリペプチド結合体の非光合成貯蔵器官増強発現を引き起こすプロモーターDNAセグメントに作用上結合したものを含む。キメラポリペプチド結合体は、C末端が非高等植物フィトエンシンターゼ酵素のN末端に結合(ペプチド結合)するN末端色素体トランシットペプチド部分を有する。
本方法は、双方の植物が同じ条件に生育される場合に同じ基準の非形質転換植物の貯蔵器官における未変性着色カロテノイドの蓄積に相対してそのトランスジェニック植物の予め選ばれた(所定の)貯蔵器官における未変性着色カロテノイドの蓄積を増大させる。1態様においては、トランスジェニック植物は、多量の未変性着色カロテノイドが発現される予め選択された貯蔵器官の成熟度まで生育される。他の態様においては、後に記載されるベクターで形質転換された植物組織であるトランスジェニック組織は、トランスジェニック植物に再生され、そのトランスジェニック植物は、カロテノイド発現が増強される貯蔵器官の成熟度まで生育される。別の態様においては、トランスジェニック植物組織が最初に生成され、次に、トランスジェニック植物に再生され、その後、その貯蔵器官の成熟度まで生育される。
このようにして、単一の無色C40カロテノイドの植物貯蔵器官生産増大は、その貯蔵器官内で本来産生される着色カロテノイド;即ち、未変性着色カロテノイドの生産を高めることが判明した。その無色C40カロテノイド、フィトエンは、例えば、橙色のα−及びβ−カロテン及び黄色のルテイン及びゼアキサンチンの生産を高める。即ち、Chamovitzら, J. Biol. Chem., 268(12):17348-17353(1993)によって示されたリコペンよりむしろフィトエン生産が高等植物のカロテン生成での律速段階である。
フィトエンの生産増大は、酵素フィトエンシンターゼの非高等植物非相同遺伝子がゲノムに組込まれたトランスジェニック植物を得ることより達成される。その非相同フィトエンシンターゼ遺伝子は、形質転換される高等植物の予め選ばれた(所定の)貯蔵器官で発現される。発現は、種子及び果肉のような植物の有性生殖サイクル中に生産される貯蔵器官が企図されることは理解されるべきであるが、他の植物では貯蔵器官は、発現が発育のあいだ中生じるニンジンのような根又はジャガイモ又はサツマイモのような塊茎である。いずれの場合も、植物は、多量の未変性着色カロテノイドが発現される貯蔵器官の成熟度まで生育される。また、未変性着色カロテノイド生産の増大が植物貯蔵器官全体であるが下で述べられる個々の所定の非光合成貯蔵器官では構成的に高められないこともわかる。
相同遺伝子を加えると発現されるべきでない未変性遺伝子及び導入遺伝子の双方が生じる同時抑制として既知の現象のために、非高等植物非相同遺伝子が用いられる。例えば、Frayら, Plant Mol. Biol., 22:589-692(1993)又はFinneganら, Bio/Technology, 12:883-888(Sept. 1994)を参照されたい。従って、トマト、例えば、pTOM5又はコショウの植物、例えば、PSYのような高等植物からのフィトエンシンターゼの遺伝子はここでは用いられない。
しかしながら、予め選ばれた貯蔵器官における非相同フィトエンシンターゼ遺伝子の細胞質発現は、発現したタンパク質が色素体の二重膜をあまり浸透しない点で所望の着色C40カロテノイドの植物貯蔵器官生産の増大に十分でなく、着色カロテノイドが生成される色素体にある。即ち、植物貯蔵器官色素体におけるC40未変性着色カロテノイド生産を高めるために、発現した酵素はN末端残基に融合(連鎖;ペプチド結合)した色素体トランジットペプチドを有するので発現したフィトエンシンターゼ酵素は色素体に入り未変性着色カロテノイド合成増大の出発物質として働く多くのフィトエンを生成させることができる。従って、組込まれた非相同フィトエンシンターゼ遺伝子含有DNAは、非高等植物フィトエンシンターゼ酵素に結合したトランジットペプチドを含むキメラポリペプチド結合体をコードする。
予め選ばれた植物貯蔵器官におけるフィトエンの企図された生産増大及びC40未変性着色カロテノイドの付随する生産増大には、キメラポリペプチド結合体が構成的に発現されるのに比べて実質的に植物貯蔵器官でのみ発現されることも必要である。従って、キメラ結合ポリペプチドの発現は、貯蔵器官増強プロモーターを含むDNAセグメントによって引き起こされる。その構築物は、植物内の他の所ではフィトエン合成をほとんど追加しなかった貯蔵器官内の色素体内でフィトエン生産を触媒することができる生物活性フィトエンシンターゼの貯蔵器官増強発現を与える。
従って、植物の組込み発現ベクターに一緒に作用可能に結合されたプロモーター及びキメラポリペプチド結合体の各々をコードするDNAセグメントが本明細書に用いられ、後述される。
フィトエンシンターゼをコードする企図された遺伝子又は単離した精製DNAセグメントは、プラスミド内の具体的な位置の多数の塩基対として又は2つの制限エンドヌクレアーゼ部位によって結合された制限断片又は2つの制限エンドヌクレアーゼ部位によって結合され多数の塩基対を含む制限断片として言及される。遺伝子のような企図されたDNAは、また、配列番号で示される遺伝子とランダムにでなく(即ち、特異的に)ハイブリッド形成するかかる遺伝子(後述)の呼称をつけた配列番号及び対立遺伝子、変異体及び類縁体の配列又は下に記載される緊縮条件下に後述される制限断片として同定されたフィトエンシンターゼ遺伝子の配列を含むように定義される。企図された各遺伝子は、列挙したランダムでなく(特異的に)ハイブリッド形成可能な対立遺伝子、変異体又は類縁体DNA配列を含み、フィトエンシンターゼをコードし、適切な宿主のゲノムに適切に組込まれ発現した場合にコード化された酵素の生物活性分子を生じる。
ポリヌクレオチドハイブリッド形成は、他の可変部分の中でも配列同一性(相同性)、配列のG+C含量、バッファー塩含量、配列長及び二重らせん溶融温度(Tm)の関数である。Maniatisら, Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.(1982), p.388を参照されたい。
同じ配列長においては、バッファー塩濃度及び温度がハイブリッド形成技術により配列同一性(相同性)を評価するのに有効な可変部分となる。例えば、少なくとも90%相同である場合、ハイブリッド形成は20XSSCから希釈された6XSCCのようなバッファー塩中68℃で行われ[上記Maniatisら, p.447]、2つの配列はハイブリッド二重らせんを形成する(ハイブリッド形成する)。最後のサザンブロット洗浄に用いられるバッファー塩は、低濃度、例えば、0.1XSSC及び比較的高温度、例えば、68℃で用いられる。上記ハイブリッド形成と洗浄条件の一緒の使用は、高緊縮条件或いは高度緊縮条件と定義される。
適度な高緊縮条件は、2つの配列が少なくとも約80%相同を共有するハイブリッド形成に用いられる。ここで、ハイブリッド形成は、6XSSCを用いて約50〜55℃の温度で行われる。約1〜3XSSCの最終洗浄塩濃度及び約60〜68℃の温度が用いられる。これらのハイブリッド形成及び洗浄条件は、適度な高緊縮条件を規定するものである。
低緊縮条件は、2つの配列が少なくとも30及び更に好ましくは少なくとも約40%相同を共有するハイブリッド形成に用いられる。ここで、6XSSCを用いて約40〜50℃の温度で行われたハイブリッド形成及び約40〜60℃の温度で用いられた約6XSSCの最終洗浄バッファー塩濃度は、非ランダムハイブリッド形成を行う。これらのハイブリッド形成及び洗浄条件は、低緊縮条件を規定するものである。
生物においては、タンパク質又はポリペプチドのアミノ酸残基配列は、タンパク質をコードする構造遺伝子のデオキシリボ核酸(DNA)と遺伝コードによって直接関係がある。構造遺伝子;即ち、コードしているタンパク質又はポリペプチドは、アミノ酸残基配列によって定義される。
従って、遺伝コードの周知の重複性により、同一アミノ酸残基配列をコードする追加のDNA及び対応するRNA配列が調製されるが、2つの配列が高緊縮条件でハイブリッド形成せず適度な高緊縮条件でハイブリッド形成する上記遺伝子配列とはかなり異なる。即ち、例えば、下記に示される試験管内突然変異誘発は、DNA配列を変えるように用いられるので発現した酵素の同じ残基は1つ以上の異なるコドンを用いて表される。更に、その同じ手法が1つのアミノ酸残基を特定のエンドヌクレアーゼ制限部位を挿入又は欠失することが所望される他のものに変えるように用いられる。この手法は、また、突然変異が制限部位を欠失したがアミノ酸配列が変化しなかった下記の実施例1dに示される。更に、構造遺伝子の対立遺伝子変異体は、有効な他の生物にも存在するが、適度な高緊縮条件でのみハイブリッド二重らせんを形成することができる。
(1)配列番号1、本明細書に記載されたフィトエンシンターゼコード化遺伝子、制限断片又はDNA含有プラスミドのDNA配列によって発現されたフィトエンシンターゼ分子と実質的に同じ生物活性を示す非高等植物酵素分子をコードし、(2)少なくとも適度な高緊縮条件でその配列番号、遺伝子、制限断片又はプラスミドのDNA配列とハイブリッド形成し、(3)その配列番号、遺伝子、制限断片又はプラスミドDNAのDNA配列と少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%同一性を共有するDNA又はRNA配列は、DNA変異配列と定義される。
従って、DNA変異体又は変異DNAは、RNA配列を含むものとして定義される。
上記の酵素タンパク質をコードする類縁体又は類縁DNA及びRNA配列も本発明の一部として企図される。(1)配列番号1、本明細書に記載されるフィトエンシンターゼコーディング遺伝子、制限断片又はDNA含有プラスミドのDNA配列によって発現されたフィトエンシンターゼ分子と実質的に同じ生物活性を示している非高等植物分子をコードし、(2)配列番号1、企図された遺伝子、制限断片又はプラスミドのエルウィニア・ハービコーラフィトエンシンターゼと少なくとも30%、更に好ましくは少なくとも40%同一であるアミノ酸残基配列をコードし、(3)配列番号1、遺伝子、制限断片又はプラスミドの構造遺伝子と低緊縮ハイブリッド形成条件下にハイブリッド形成するが適度な高緊縮条件下ではしない非高等植物DNA及びRNA配列も企図され、図面に示されたDNA又はRNA配列の“類縁体”又はそれに“類縁である”として呼ばれる。従って、類縁体又は類縁DNA配列もRNA配列を含むものとして定義される。
C.フィトエンシンターゼ生合成の遺伝子コード化酵素
後に述べられ例示されるように、高等植物宿主に内在性の遺伝子以外の生物活性フィトエンシンターゼ分子をコードする非高等植物遺伝子;即ち、非高等植物非相同フィトエンシンターゼ遺伝子が本発明に用いられる。いわゆるctrB(Eh−ctrB)遺伝子によってコードされたエルウィニア・ハービコーラからのフィトエンシンターゼ遺伝子が特に好ましく、本明細書に例示で用いられ、以下に述べられる。
1.カロテノイド遺伝子クラスターの単離
プラスミドpARC376は、大腸菌(E. coli)の細菌に移した場合に大腸菌細胞が黄色の色素を産生するエルウィニア・ハービコーラEHO−10(エシェリキア・ブルネリスEsherichia vulneris;ATCC 39386)からPerryら, J. Bacteriol., 168:607(1986)によって単離された約13kbの染色体DNA断片を含む。著者らは、プラスミドpARC376をプラスミドpPL376と言っていた。適切な制限部位を示しているプラスミドpARC376の制限地図を図2に示す。
色素生産に関与するプラスミド内の構造遺伝子は、図2に示された制限部位PstI(位置4936前後)及びBglII(位置12433前後)で接している約7500塩基対(bp)のDNA断片にある。本明細書で定義されたプラスミドpARC376内に含まれたカロテノイド経路で同定された最終産物であるカロテノイドゼアキサンチンジグルコシドを大腸菌細胞が産生するその約7500bp領域に全部で6種類の適切な遺伝子がある。
6種類の遺伝子は全てカロテノイドを産生しない生物内に有することが必要であると共にそれらの6種類の遺伝子が高等植物のようなカロテノイドを産生する生物に加えられるが、驚くべきことに、フィトエンシンターゼをコードする遺伝子1つだけ加えると根、種子、塊茎、果実等の高等植物の貯蔵器官内にカロテン及びキサントフィルのような未変性着色カロテノイドの生産を増大させることができることが判明した。高等植物の貯蔵器官では、フィトエン調製に必要とされるファルネシルピロリン酸及びGGPPを生産する。
2.フィトエンシンターゼ(crtB)遺伝子
E. HerbicolacrtB遺伝子は、少なくとも約888塩基対(bp)を含み、好ましくは少なくとも942bpを含む。遺伝子は、プラスミドpARC376の位置ほぼ6395と5353間に位置する(図2)。E. Herbicola crtB遺伝子(Eh−crtB)を含む有用なDNAセグメントは、公開国際出願第91/13078号(PCT/US91/01458)に述べられているようにpARC376のほかに多くのプラスミド構築物から得られる。
例えば、プラスミドpARC285(ATCC 40756)は、約1112bpのNcoI−EcoI断片又は約1040bpのNcoI−BamHI断片内に上記の短い遺伝子を含有する。プラスミドpARC140N(ATCC 40759)は、約1176bpHpaI−EcoRI断片、約1238bpPvuII−EcoRI断片及び長さが使用したエンドヌクレアーゼ部位で異なるそのプラスミドのポリリンカー領域内の更に大きい断片内にEh−crtB遺伝子を含有する。その遺伝子の他の転換体は、プラスミドpARC145G(ATCC 40753)内にある約1158bpのBglII−EcoRI断片内に有する。
最適には、用いられるEh−crtB遺伝子は、pARC376(図2の位置6900あたりから位置5353まで)のBglII−BamHI部分消化断片(約1547bp)から操作されたプラスミドpARC1614(約1083bp)のSphI−SalI断片に位置したものであり、以下に述べる。Eh−crtB遺伝子のその構築物は、Arg残基に変わった第2アミノ酸残基Serを有する。本明細書に用いられるEh−crtB遺伝子は、また、国際出願第91/13078号の配列が他のもので寄託された遺伝子バンク配列と一致することから自然に生じたと思われる上記の公開国際出願第91/13078号のThrよりむしろ位置11のMetを有し、その領域が配列決定され、本発明者らによって同じ結果と共に再配列決定された。従って、これらの2つの遺伝子は、遺伝子が未変性遺伝子のように機能し、未変性遺伝子と99%を超えるタンパク質が同じである(309残基中1又は2残基が変わった)タンパク質をコードし、緊縮条件下にハイブリッド形成することから企図された変異体である。SphIエンドヌクレアーゼ切断部位は、遺伝子のATG開始コドンを含む。その遺伝子の構築物のDNA配列を配列番号1に示す。
Eh−crtB遺伝子の配列は、1992年にArmstrongらによって遺伝子バンクに寄託され、受託番号第M87280号を付された。
エルウィニア・ウレドボラ由来のcrtB遺伝子の配列は、Misawaらによって遺伝子バンクに寄託され、受託番号第D90087号を付された。これは、Misawaらの欧州出願第0 393 690号で公開された配列と同じである。
エルウィニア・ハービコーラエルウィニア・ウレドボラのDNA配列を比べるにあたり、公開欧州出願第0 393 690号には、エルウィニア・ウレドボラ由来のDNAをエルウィニア・ハービコーラ由来のDNAと高度緊縮ハイブリッド形成条件を用いてハイブリッド形成しないことが報告された。この研究により、今はcrtB遺伝子と呼ばれる公開欧州出願のDNA及びアミノ酸残基配列と配列番号1及び2のフィトエンシンターゼの配列間に約64%の配列同一性が示されている。約36%の不適正塩基対及びエルウィニア・ハービコーラエルウィニア・ウレドボラの高緊縮条件下の非ハイブリッド形成の報告にもかかわらず、報告されたエルウィニア・ウレドボラcrtB(Eu−crtB)DNA配列がここで用いられる。本明細書に用いられるEu−crtB遺伝子とエルウィニア・ハービコーラ(Eh−crtB)フィトエンシンターゼDNAは、“類縁体”なる言葉が本明細書に用いられるように相互にDNA類縁体である。
欧州出願第0 393 690号には、その中の図5のE. uredovora遺伝子をフィトエンよりはむしろプレフィトエンピロリン酸(PPPP)を形成するものとして誤って同定されていた。しかしながら、最近になって、その出願の発明者らの一人により、その図5の遺伝子が実際はGGPPをフィトエンに転換することが報告された。Sandmannら, FEMS Microbiol. Lett.,90:253-258(1992)。
Armstrongら, Mol. Gen. Genet., 216:254-268(1989)には、ロドバクター・カプスラツスRhodobacter capsulatus)、通性原栄養体であるグラム陰性紅色硫黄菌由来のカロテノイド産生クラスターを用いる研究が報告された。R. capsulatusは、GGPP及びフィトエンをつくるが、リコペン又は環状カロテノイドをつくらない。
Armstrongら, Mol. Gen. Genet., 216:254-268(1989)には、crtB遺伝子を含むR. capsulatus crt遺伝子クラスターの8部分の遺伝子配列が報告された。8種類の遺伝子産物のうち5種類の機能が提言され、crtB、crtE、及びcrtJ遺伝子については提唱されなかった。Armstrongら, J. Biol. Chem.,265(14):8329-8338(1990)には、R. capsulatus crtB遺伝子がGGPPをPPPPに転換するが、crtE遺伝子はPPPPをフィトエンに転換し、crtJは必要とされるが特定の役割がないことが提言された。これらの提言は、crtE変異株におけるPPPPの蓄積及びcrtB変異株におけるGGPPの蓄積によるものであった。
Armstrongら, Proc. Natl. Acad. Sci.,USA, 87:9975-9979(1990)には、E. Herbicola crtB、crtE及びcrtI遺伝子のDNA配列が報告されており、コード化タンパク質をR. capsulatus由来の同じ呼称の遺伝子によってコードされたタンパク質及びトマトpTOM5遺伝子の産物によってコードされたタンパク質と比較された。R. capsulatus crtB(Rc−crtB)とEh−crtB遺伝子産物間で33.7%のコード化タンパク質相同性が報告された。Schnurrら, FEMS Microbiol. Lett.,78:157-162(1991)には、E. HerbicolacrtB遺伝子DNAとR. capsulatus由来プローブとの低緊縮条件下のハイブリッド形成が報告された。従って、R. capsulatusE. Herbicola遺伝子は、前に定義されたように類縁体である。
Armstrongらにより、R. capsulatus遺伝子の配列情報が遺伝子バンクに寄託され、その寄託物は受託番号第X52291号を有する。
Bartleyら, J. Biol. Chem., 267(8):5036-5039(1992)による最近の研究により、R. capsulatus crtE遺伝子がフィトエンシンターゼよりむしろGGPPシンターゼをコードすることが報告された。著書らは、R. capsulatus crtB遺伝子がフィトエンシンターゼコード化遺伝子であると結論した。更に最近、Romerら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 196(3):1414-1421(1993)もR. capsulatuscrtB遺伝子がフィトエンシンターゼをコードすると結論した。
Chamovitzら, FEBS Lett., 296(3):305-310(1992)が報告した最近の研究により、ラン藻のシネココッカス種Synechococcus sp.)PCC7942由来のpysと呼ばれるフィトエンシンターゼ遺伝子の配列が示された。そのpys遺伝子(Syc−crtB)は、計算分子量約35.8kDaのタンパク質をコードする。Chamovitzにより配列情報が遺伝子バンクに寄託され、その情報は受託番号第X63873号が付されている。
GGPPシンターゼをコードすることが示された遺伝子及びcrtB遺伝子を除くE. uredovoraカロテノイド生合成遺伝子をもつプラスミドと共に大腸菌中で発現させると、ゼアキサンチン及びフィトエンを生じ、pys遺伝子が本明細書に有用なフィトエンシンターゼをコードすることが確かめられた。Syc−crtB遺伝子産物をEu−crtB及びRe−crtBと比較して各々33%及び30%の相同性が報告された。
細菌ミクソコッカス・キサンサスMyxococcus xanthus)由来の他の有効なcrtB遺伝子配列は、Botellaらによって受託番号第Z21955号として遺伝子バンクに寄託された。M. xanthuscrtB遺伝子(Mx−crtB)配列をE. Herbicolaとクラスタル法で比較すると、36.5%の類似性が示される。
Hoshinoら, Appl. Environ. Microbiol.,59:3150-3153(1993)により、細菌サーマス・サーモフィルスThermus thermophilus)のフィトエンシンターゼ、crtB、遺伝子の配列が発表及び寄託された(遺伝子バンク受託番号第D14604号)。T. thermophilus crtB(Tt−crtB)遺伝子配列をEh−crtBとクラスタル法で比較すると、32.1%の類似性が示される。
Viogueにより、細菌シネココッカス種(Syy−crtB)のフィトエンシンターゼ遺伝子の配列情報が受託番号第X69172号として寄託された。Syy−crtBとEh−crtB遺伝子をクラスタル法で比較すると、26.6%の類似性が示される。
他の有効な遺伝子は、Schmidhauserら, J. Biol. Chem., 269:12060-12066(1994)によって最近報告されたニューロスポラ・クラッサNeurospora crassa)(Nc−crtB)由来の真菌フィトエンシンターゼ遺伝子であり、受託番号第L27652号として遺伝子バンクに以前に寄託された遺伝子配列の転換体を修正したものである。その遺伝子とEh−crtBをクラスタル法で比較すると、26.8%の類似性が示される。
上記のクラスタル法による多重配列は、アップル・マッキントッシュコンピュータのDNASTARプログラムのメガリン応用を用いて行われた(DNASTAR社、ウィスコンシン州マディソン)。
上記開示と一緒に考えると、Eh−crtB、Eu−crtB、Rc−crtB、Syc−crtB、Syy−crtB、Mx−crtB、Tt−crtB又はNc−crtB遺伝子のいずれかがフィトエンシンターゼをコードする非高等植物遺伝子として用いられることがわかる。Eh−crtB遺伝子が好ましく、ここで例示に用いられる。これらの遺伝子の各々は、もう一方の類縁体と考えられるが、Eh−crtB遺伝子がSerの代わりにArgを有しており、遺伝子バンク表の遺伝子は、変異体であるが、遺伝子のArg/Ser変化がありかつThrのMet置換が遺伝子バンク配列のEh−crtB遺伝子の対立遺伝子変異体である。
フィトエンシンターゼをコードする他の類縁DNA分子は、他の非高等植物から本明細書及び上記引用文献に述べられたハイブリッド形成及び機能選択基準を用いて得られる。例えば、フィトエン又はβ−カロテンのような後にカロテノイドを生じることが既知であるか又は示される細菌、真菌又は藻類がDNA源として用いられる。選定された生物の全DNAが得られ、ゲノムライブラリーは、Psy1遺伝子を得るための用いられたManiatisら, Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.(1982)p.270-294又はBartleyら, J. Biol. Chem., 267(8):5036-5039(1992)に述べられたプロトコールを用いてλgt11のようなλファージで構築される。
次いで、配列番号1のエルウィニア・ハービコーラDNAの配列を有する放射能標識し切断修復で標識したDNAプローブ、寄託したベクターからの上記制限断片の1つ又は他の有用なcrtB遺伝子の1つ及び上記の低緊縮ハイブリッド形成条件を用いて標準プロトコール下にファージライブラリーが選別される。ハイブリッド形成実験により適切な構造遺伝子の位置が決まると、その構造遺伝子DNAセグメントが得られ、使用に必要なように配列決定され、適切な組換え分子での発現に操作され、本明細書に述べられる生物活性フィトエンシンターゼを産生するように示される。
上記の手法及びプロトコールは、分子生物学の当業者に周知であり、更に述べることを必要としない。しかしながら、上記の手順は、低緊縮条件下にハイブリッド形成するDNA分子が高緊縮及び適度な高緊縮条件下にハイブリッド形成するDNA分子を含むことからフィトエンシンターゼをコードする変異体DNA分子を得るために用いられることも留意される。
対立遺伝子、変異体又は類縁体のDNA配列が“生物活性”酵素又は“実質的に同じ生物活性”を有する酵素をコードすることは、該対立遺伝子、変異体又は類縁体DNA配列がGGPPをフィトエンに転換するか;即ち、フィトエンシンターゼ酵素として作用するかによって求められる。即ち、フィトエンへのGGPPが生物活性として定義され、それだけで言及酵素として生物活性を有するならばフィトエンシンターゼ含有結合分子を発現するDNA対立遺伝子、類縁体又は変異体配列は転換する。即ち、発現したポリペプチド結合体がフィトエンシンターゼ酵素であると言われることは、該ポリペプチドが生物活性であることを意味する。変異体、対立遺伝子又は類縁DNA配列からの生物活性フィトエンシンターゼの発現は、本明細書中の前述の親出願に述べられるか又はChamovitzら, FEBS Lett., 296(3):305-310(1992)に同様に示されるフィトエン生産によって分析される。
D.貯蔵器官トランシットペプチド
貯蔵器官色素体トランシットペプチドは、実質的に任意の供給源由来とすることができ、典型的には約30〜約80個のアミノ酸残基を有する。有用なペプチド例は、von Heijneら, Eur. J. Biochem., 180:535-545(1989)及びClarkら, J. Biol. Chem., 264(29):17544-17550(1989)に開示されている。色素体特異的(葉緑体)トランシットペプチドは、更に、della-Cioppaら, Plant Physiol., 84:965-968(1987)に一般的に述べられている。
具体的なトランシットペプチドとしては、ホウレンソウフェレドキシン還元酵素、リースクFe−Sタンパク質、サイレンスフェレドキシン、エンドウ豆熱ショックタンパク質、Glnシンターゼ及びアブラナアシルキャリヤータンパク質トランシットペプチドが挙げられる。これらのトランシットペプチド等のアミノ酸残基配列は、上記von Heijneらに示されている。サイレンストランシットペプチドのDNA及びアミノ酸残基配列は、更に、上記Weisbeekらに開示されている。
Romerら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 196(3):1414-1421(1993)に報告されたPSY遺伝子に隣接したコショウ植物トランシットペプチド遺伝子は、また、上述のフィトエンシンターゼ遺伝子の1種に融合又は作用上結合されて形質転換した植物に非相同である企図されたポリペプチド結合体を作成するように用いられる。Shahら, Science, 233:478-481(1986)に開示されたEPSPシンターゼの72コドン(216bp)トランシットペプチドをコードするペチュニア・ハイブリダ(Petunia hybrida)(MP4−G)トランシットペプチド遺伝子も用いられる。
特に好ましい色素体トランシットペプチドは、Mazurら, Nucl. Acids Res., 13:2343-2386(1985)に報告されたタバコ(ニコチアナ・タバカムNicotiana tabacum))のリブロース二リン酸カルボキシラーゼ−オキシゲナーゼ(RUBISCO;RBSC)シグナル(トランシット)ペプチドの修飾転換体である。ここで用いられた遺伝子での修飾は、5′末端のNcoI部位及び塩基73と74間で切断するNarI部位を導入した。いずれの修飾もアミノ酸残基配列を変えなかった。その色素体トランシットペプチドの構築は後で述べられる。
得られた色素体トランシットペプチド遺伝子は、177bpを有した。その遺伝子は、Eh−crtB遺伝子を含む前述のSphI−SalI断片に結合される177bpのSalI−SapI断片として用いられることが好ましい。かかる連結反応は、フィトエンシンターゼ活性を示すポリペプチドのN末端にC末端が結合されるN末端トランシットペプチドを有する非相同(キメラ)ポリペプチドをコードするSalI−SalI遺伝子(約1260bp)を作成する。寄託したプラスミドpATC1616(ATCC 40806)は、その特に好ましいSalI−SphI177bpDNAを有する。
E.貯蔵器官増強プロモーター
以前に述べられたように、CaMV35S及びnosプロモーターのような構成プロモーターを介して植物の着色カロテノイド発現の増強を生じるという点での以前の成功は、葉が黄色及び橙色になると共に他の形質転換植物における他の形態学的発育異常をまねいた。従って、正常に出現及び発育する植物において未変性着色カロテノイドの発現増強を得るために更に大きい発現特異性がひつようであることが認識された。その所望の結果を得る方法は、1種以上の予め選ばれた又は予め決められた非光合成植物器官において制御された遺伝子を発現するプロモーターを用いる方法である。
根か葉又は茎かのような他の器官においてほとんど或いは全く発現しない1種以上の予め選ばれた貯蔵器官の発現は、本明細書では増強又は選択発現と呼ばれる。他の器官と比べて少なくとも5:1の割合で1種以上の予め選ばれた器官で発現する具体的なプロモーターは、器官エンハンサープロモーターとして本明細書では定義される。実質的に1つの貯蔵器官のみで発現し実質的に他の貯蔵器官で発現しない発現は、器官特異的発現と呼ばれる。即ち、約100:1以上の他の器官に相対する貯蔵器官での発現産物の割合は器官特異性を表す。従って、貯蔵器官特異的プロモーターは、貯蔵器官増強プロモーターの種類の一種である。
成熟時にそれ自体のカロテノイドを生産する植物貯蔵器官は、予め選ばれた器官増強発現に対して特に良好な選択である。かかる器官は、器官の自然な成熟中にクロロフィルの少し又は全部を消失する有色体及び葉緑体のような色素体を含有する。具体的なかかる色素体含有植物貯蔵器官は、ニンジンの根、ジャガイモの塊茎及びレッドグアバ、パッションフルーツ、マンゴ、レッドパパイヤ、トマト、アボカド、チェリー、タンジェリン、マンダリン、パーム、カンタループ及びウォターメロン及びカボチャ、キュウリ、マンゴ、アプリコット、ピーチのような果肉果実のような果実の果肉及びトウモロコシ(コーン)の種子である。
CaMV35Sプロモーターは、本来構成プロモーターであると思われる。しかしながら、最近の研究から、CaMV35Sプロモーターの21bp領域が他の通常緑色の非相同組織プロモーター、rbcS−3Aプロモーターに作用上結合されると、得られたキメラプロモーターを根増強プロモーターにさせることができる。その21bp配列は、米国特許第5,023,179号に開示されており、その開示を参考として引用する。米国特許第5,023,179号の挿入断片を含むキメラrbcS−3Aプロモーターは、本明細書に有用な根増強プロモーターである。
上記21bpセグメントを含む同様の根増強プロモーターは、CAMV35Sプロモーターの−90〜+8領域である。参考として引用される米国特許第5,110,732号には、その端を切り取ったCaMV35Sプロモーターが根及び種子の根、根になる予定の組織での発現を増強することが開示されている。そのプロモーターも本明細書に有用である。
他の有用な根増強プロモーターは、PCT/GB92/00416(1991年9月19日に公開された国際出願第91/13922号)に開示された油料種子アブラナ(Brassica napus L.)遺伝子の−1616〜−1プロモーターである。そのプロモーターを含む大腸菌DH5αをかくまっているプラスミドpRlambdaS4及びバクテリオファージlambdaβ1は、1990年3月8日ナショナルコレクションオブインダストリアルアンドマリンバクテリア、英国アバディーンに寄託されており、受託No.NCIMB40265及びNCIMB40266を有する。そのプロモーターの有用な部分は、プラスミドをHaeIIIで切断することにより1.0kb断片として得られる。
最も好ましい根増強プロモーターは、本明細書に用いられるDiRita & Gelvin,Mol. Gen. Genet., 207:233-241(1987)に記載されたプラスミドpKan2内に有するマノンピンシンターゼ(mas)プラスミドであり、その使用を下記に詳細に述べる。そのプロモーターは、XbaI−XbaI断片としてプラスミドpKan2から切除可能である。
好ましいマンノピンシンターゼ根増強プラスミドは、位置−138までのコアマンノピンシンダーゼ(mas)プロモーター領域及び−318〜−213のマンノピンシンターゼアクチベーターから構成され、集団的にAmasPmasと呼ばれる。そのプロモーターは、タバコの根の生産を葉の発現レベルと比べて約10〜100倍高めることが見出された。構成CaMV35Sプロモーターは、タバコではAmasPmasの発現が約1/2であり、葉の組織では十分に発現する。
好ましい根特異的プロモーターは、側根の開始で発現したヒドロキシプロリンを多く含んだグリコペプロテイン遺伝子、HRGPnt3を伴う約500bp5′フランキング配列であり、Kellerら, Genes Dev.,3:1639-1646(1989)に報告されている。他の好ましい根特異的プロモーターは、Yamamotoら, Plant Cell, 3:371-381(1991)に報告されたタバコ根特異的遺伝子ToRBFの約−636〜−1の5′フランキング領域に有する。発現を制御するcis作用因子は、転写開始部位からの約−636〜約−299の5′の領域に著者らによって更に詳しく位置が決められた。Yamamotoらにより、根ではToRBF遺伝子から定常状態のmRNA生産が報告されたが、葉、苗の分裂組織又は茎では報告がなかった。
有用な別の貯蔵器官特異的プロモーターは、トマト、Lycopersicon esculentumの果実成熟遺伝子E8の5′及び3′フランキング領域である。その領域及びcDNA配列は、Deikmanら, EMBO J.,7(11):3315-3320(1988)及びPlant Physiol., 100:2013-2017(1992)に具体的に説明されている。
遺伝子の2181bpの5′フランキング配列に3つの領域が位置し、3′からポリ(A)付加位置までの522bp配列がE8遺伝子の発現を制御すると思われる。−2181〜−1088の領域は、未熟果実のE8遺伝子転写のエチレンによる活性化に必要であり、成熟中の転写にあずかる。2つの領域、−1088〜−863及び−409〜−263は、未熟果実のエチレン応答を与えることができないが、成熟中のE8遺伝子発現に十分である。
コーンにおいて胚乳では高レベルに、根では非常に低レベルに制御された酵素を発現し緑色組織又は花粉では発現しないトウモロコシスクロースシンターゼ−1(Sh)プロモーターは、特に、茎及び根に豊富なタバコ師部鎖でキメラリポーター遺伝子、β−グルクロニダーゼ(GUS)を発現することが報告された。Yangら, Proc. Natl. Acad. Sci.,USA, 87:4144-4148(1990)。従って、そのプロモーターは、メロン、例えば、カンタループのような果肉果実のような植物器官又は胚乳を含む種子及び高レベルの師部細胞を有する根に有用である。
他の具体的な組織特異的プロモーターは、レクチンプロモーターであり、種子組織に特異的である。ダイズ種子中のレクチンタンパク質は、種子の成熟中にのみ発現される単一遺伝子(Lel)でコードされ、全種子mRNAの約2〜約5%とみなしている。レクチン遺伝子及び種子特異的プロモーターは、完全に確認されており、トランスジェニックタバコ植物における直接種子特異的発現に用いられている。例えば、Vodkinら, Cell, 34:1023(1983) & Lindstromら, Development Genetics, 11:160(1990)を参照されたい。
特に好ましい塊茎特異的発現プロモーターは、ジャガイモパパチン遺伝子の5′フランキング領域である。そのプロモーターの使用は、Twellら,Plant Mol. Biol., 9:365-375(1987)に記載されている。そのプロモーターは、バクテリオファージLPOTIの約406bp断片内にある。LPOTIプロモーターは、他の4種類のパパチンプロモーターと90%を超える相同性を有しかつパパチンプロモーターPGT5と全ての400塩基にわたって約95%の相同性の領域を有する。それらのプロモーターの各々は本明細書に有用である。Wenzlerら, Plant Mol. Biol., 12:41-50(1989)を参照されたい。
別の器官増強及び器官特異的プロモーターは、更に、Benfeyら, Science, 244:174-181(1988)に開示されている。
使用されるプロモーター配列の各々は、細胞内のカロテノイド(フィトエン又は着色産物)の量によってほとんど影響されない。本明細書に用いられる“ほとんど影響されない”は、プロモーターが形質転換細胞又はトランスジェニック植物中に蓄積されたカロテノイド又はフィトエンシンターゼによってフィードバック制御(阻害)することに応答しないことを意味する。
F.DNAサイズ
以前に記載されたDNAセグメントは、最小の長さ及び全体の全長を有するものとしてよく述べられている。その最小の長さは、特定のタンパク質酵素、トランシットペプチド又はプロモーターをコードする配列を有するDNAセグメントの長さを定義している。多くの予想されたフィトエンシンターゼ遺伝子のコード配列が既知であるので、単離したDNAセグメント、その対立遺伝子、変異体及び類縁体が実施例に記載されるように酵素遺伝子のATG開始コドンで開始し各遺伝子の終止又は停止コドンで或いはそのすぐ下流で終わる試験管内突然変異誘発により調製される。即ち、所望の制限部位は、フィトエンシンターゼ遺伝子の開始コドンで或いはその下流で及び停止コドンで或いはその下流で操作されるので多くの上で述べられたものより短いフィトエンシンターゼ遺伝子が調製され、切除され、単離される。
当該技術において周知のように、必要とされるDNA配列がある限り(プロモーター、開始及び停止シグナル)、追加の塩基対はセグメントの両端、特に3′端にあり、そのセグメントはタンパク質を発現するために用いられる。これにより、発現を抑制するか、所望のタンパク質が生産される望ましい反応産物を消費する産物を発現するか或いはDNAセグメントの構造遺伝子を妨害する作用上結合されたDNA配列のセグメントがないことが推測されることは当然のことである。
従って、プロモーター、トランシットペプチド及びフィトエンシンターゼDNA含有セグメントがかかる妨害DNA配列を含まない限り、本発明に有用なDNAセグメントの長さは2,000〜15,000塩基対であることができる。複製及び発現に必要とされる最小DNA配列の全てが所望される場合に存在すると、組換えDNA分子、特に、発現ベクターの最大サイズは、たいてい便利さ及び宿主細胞によって収容されるベクターサイズによって支配される。最小ベクターサイズが周知である。かかる長いDNAセグメントは、好ましくないが用いることができる。
G.プラスミドの構築
1.DNAセグメント
前述の酵素タンパク質、トランシットペプチド及びプロモーターをコードするDNAセグメントは、化学手法、例えば、Matteucciら, J. Am. Chem. Soc.,103:3185(1981)のホスホトリエステル法によって合成される。コード配列を化学的に合成することにより、未変性アミノ酸残基配列をコードするものを適切な塩基に置き換えることにより簡便に所望の修飾が行われることは当然のことである。しかしながら、前に述べた配列を含むDNAセグメントが好ましい。
更に、タンパク質をコードする構造遺伝子を含むDNAセグメントは、その遺伝子を含む組換えDNA分子(プラスミドベクター)から得られる。例えば、プラスミド型組換えDNA分子pARC285及びpARC140Nは、各々フィトエンシンターゼタンパク質をコードするDNA配列を含み、プラスミドpARC145Gは、GGPPシンターゼ及びフィトエンシンターゼ酵素の双方をコードするDNAセグメントを含む。更に、プラスミド型DNA分子pARC146D及びpATC1616は、各々生物学的に活性なフィトエンエヒドロゲナーゼタンパク質をコードするDNA配列を含み、プラスミドpATC1616はRUBISCO色素体トランシットペプチドの遺伝子を含む。
DNAがフィトエンシンターゼをコードするDNAセグメントの5′に結合される色素体トランシットペプチドをコードするDNAに作用上結合される器官増強プラスミドをコードするDNA配列を含むDNAセグメントは、寄託プラスミド又は明細書中の別の箇所に述べられたものからの適切な制限フラグメントを周知の方法を用いて切除及び作用上結合することにより調製される。その方法で作製される有用なDNA分子は、典型的には、付着末端、即ち、分子の二本鎖部分を超えて伸びている“突出している”一本鎖部分を有する。本発明のDNA分子上の付着末端の存在は好ましいが、平滑断端を有する分子も企図される。
上記プラスミドベクターの各々は、ブデペスト条約によってアメリカン・タイプ・カルチュア・コレクション(ATCC)、12301パークラウンドライブ、ロックビル、メリーランド州20852に寄託された。
寄託物についての情報を下記に示す。
Figure 0003881012
上記寄託物は、寄託の存続機関が寄託日から30年間又は寄託機関での寄託の最後の依頼後5年間か或いは本出願から成立する米国特許権の実施可能な存続期間かどちらか長い方でなければならないブダペスト条約の要件に従って行われた。寄託機関で複製可能でないプラスミドは、補充されなければならない。
上記DNAセグメントのリボ核酸(RNA)等価物も企図される。
2.組換えDNA分子
本明細書に有用な組換えDNA分子は、本明細書に述べられ寄託されたもののようなプラスミドをつくるためにベクターを本発明の単離したDNAセグメントに作用上結合することにより作製される。特に好ましい組換えDNA分子は、後記実施例に詳細に述べられる。遺伝子を発現させることができるベクターは、本明細書中で“発現ベクター”と呼ばれる。
上記発現ベクターは、プロモーターを含む発現制御因子を有する。キメラポリペプチドコード遺伝子は、プロモーター配列をRNAポリメラーゼ結合させると共に所望のポリペプチドコード遺伝子を発現させることを可能にするために発現ベクターに作用上結合される。ポリペプチドコード遺伝子を発現するには、Poszkowskiら, EMBO J.,3:2719(1989)及びOdellら, Nature, 313:810(1985)に記載された誘導プロモーター、ウイルスプロモーター、合成プロモーター、構成プロモーターであるもの及びChuaら, Science, 244:174-181(1989)に示された時間的に制御されたプロモーター、空間的に制御されたプロモーター及び時空的に制御されたプロモーターが有効である。
発現ベクターの選択及びポリペプチドコード遺伝子が作用上結合される予め選ばれた器官増強プロモーターに対する最終的選択は、所望される機能性、例えば、タンパク質発現の位置及びタイミング及び形質転換されるべき宿主細胞に直接左右される。これらは、組換えDNA分子を構築する当該技術において固有の周知の制限である。しかしながら、本発明を実施するのに有効なベクターは、作用上結合されるDNAセグメントに含まれるキメラポリペプチドコード遺伝子を複製及び発現させることができる宿主高等植物のゲノムに組込まれている。全ての発現ベクターが宿主植物ゲノムに組込まれないが一部だけ組込まれることは周知である。それにもかかわらず、発現の容易さのためにベクターは組込まれると言われている。
好適実施態様においては、ベクターは、原核レプリコン、即ち、形質転換された原核宿主細胞において染色体外で組換えDNA分子を自律複製及び維持させる能力を有するDNA配列が含まれる。かかるレプリコンは、当該技術において周知である。
原核レプリコンを含むベクターは、また、形質転換された大腸菌のような宿主細胞内でフィトエンシンターゼ結合遺伝子を発現させることができる原核プロモーター領域を含めることができる。細菌宿主と適合するプロモーター配列は、典型的には、本発明のDNAセグメントの挿入に便利な1種以上の制限部位を含むプラスミドベクター内に与えられる。典型的なかかるベクタープラスミドは、Gibco BRL,メリーランド州ゲイザースバーグから市販されているpUC18、pUC19及びPharmacia,ニュージャージー州ピスカタウェイから市販されているpPL及びpKK223−3である。これらのベクターは、組込み発現ベクター内に有するDNAセグメントの合成に用いられる。
高等植物での遺伝子の発現に有効な典型的なベクターは、当該技術において周知であり、Rogersら, Meth. in Enzymol.,153:253-277(1987)に記載されたアグロバクテリウム・ツメファシエンスAgrobacterium tumefaciens)の腫瘍誘導(Ti)プラスミドに由来するベクターが含まれる。それらのベクターは、形質転換時にベクターがベクターDNAの一部を宿主植物のゲノムに組込んでいる点で植物組込みベクターである。Tiプラスミドに基づくベクターを組込むために、宿主植物染色体に組込まれる領域は、Tiプラスミドの左右ボーダー間の領域である。
本明細書に有用な具体的なA. tumefaciensベクターは、Schardら, Gene, 61:1-11(1987)及びBergerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:8402-8406(1989)のプラスミドpKYLX6及びpKYLX7である。プラスミドpKYLX6は中間構築物のために設計された大腸菌ベクターであり、プラスミドpKYLX7はクローン化遺伝子の組込みのために設計されたA. tumefaciensベクターである。修飾ベクターpKYLX61及びpKYLX71は、始めのHindIII−SstI断片多重クローニング部位領域の代わりにHindIII、XhoI、BamHI、PstI及びSstI部位を有した。本明細書に有用な他のベクターは、Clontech Laboratories, Inc.,カリフォルニア州パロアルトから市販されているプラスミドpBI101.2である。プラスミドpKYSX7、pKYLX71及びpB7101.2は、vir遺伝子を有する他のベクターと共にA. tumefaciensで用いられるバイナリーベクターである。
他の植物形質転換系は、形質転換時に腫瘍よりむしろ毛根を誘導するアグロバクテリウム・リゾゲネスAgrobakuterium rhizogenes)に基づくものである。PCT/US87/02512出願(1988年4月7日に公開された国際出願第88/02405号)には、キュウリのククミス・サチバス系Cucumis sativas L. cv, Straight Eight)を形質転換しかつ再生したキュウリ植物をつくるためにA. tumefaciensベクターpARC8又はpARC16と共にA. rhizogenes株A4及びそのRiプラスミドの使用が記載されている。
メロンのアグロバクテリウムによる形質転換系、ウリ科Curcubitaceae)ククミス・メロCucumis melo)系のキュウリ系統群の一種は、Dongら, Bio/Technology, 9:858-863(1991)に報告された。研究者らは、ここでは有用でないCaMV35S構成プロモーターを使用したバイナリーベクターを用い、リポーター遺伝子による形質転換の証明が試験した実質的に全ての組織であることを見出した。それでもなお、その研究は、A. tumefaciensによる形質転換に対するメロンの従順性を示している。
本発明の組換えDNAを作成するためにレトロウイルス発現ベクターの使用も企図される。本明細書に用いられる“レトロウイルス発現ベクター”なる語は、レトロウイルスゲノムの長い末端反復(LTR)に由来するプロモーター配列を含むDNA分子を意味する。
それらのカロテノイド産物は食品製造及び着色と関係するものがあることから、レトロウイルス発現ベクターは真核細胞では不適格な複製であることが好ましい。レトロウイルスベクターの構築及び使用は、Verma, PCT公報第WO87/00551号及びCockingら, Science, 236:1259-62(1987)に記載された。
好適実施態様においては、ポリペプチドコード遺伝子を発現するために用いられるベクターは、植物細胞において有効な選択マーカー、好ましくは薬剤耐性選択マーカーが含まれる。好ましい薬剤耐性マーカーは、発現がカナマイシン耐性をもたらす遺伝子、即ち、Rogersら, Methods For Plant Molecular Biology, A. Weissbach & H. Weissbach, eds., Academic Press Inc.,カリフォルニア州サンディエゴ(1988)に記載されたノパリンシンターゼプロモーター、Tn5ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII及びノパリンシンターゼ3′非翻訳領域である。他の好ましいマーカーは、トランスポゾンTn9からの分析可能なクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子である。
相補的付着末端又は平滑断端によってDNAをベクターに作用上結合するために種々の方法が開発された。例えば、相補的ホモポリマー系が、挿入されるべきDNAセグメント及びベクターDNAに付加される。次に、ベクター及びDNAセグメントが相補的ホモポリマー尾部間に水素結合により結合されて組換えDNA分子を作成する。
また、1以上の制限エンドヌクレアーゼ部位を含む合成リンカーがDNAセグメントを組込み発現ベクターに結合するために用いられる。合成リンカーは、バクテリオファージT4DNAリガーゼのような平滑断端をもつDNA分子の連結を触媒することができる酵素の存在下に平滑断端をもつDNAセグメントを過剰量の合成リンカー分子とインキュベートすることにより平滑断端をもつDNAセグメントに結合される。即ち、反応の産物は、末端に合成リンカーをもつDNAセグメントである。次に、それらのセグメントは、適切な制限エンドヌクレアーゼで切断され、合成リンカーと適合する末端を生じる酵素で切断された組込み発現ベクターに結合される。種々の制限エンドヌクレアーゼ部位を有する合成リンカーは、New England BioLabs,マサチューセッツ州ビバリーのような多数の製造元から市販されている。
上記の組換えDNA分子のRNA等価物も本発明によって企図される。
3.遺伝子の高等植物への導入
ポリペプチドコード遺伝子を多細胞開花高等植物に導入する方法は、アグロバクテリウム仲介植物及びカルス形質転換、原形質体形質転換、花粉への遺伝子移入、生殖器官への注入及び未熟胚への注入が含まれる。それらの方法の各々は、明白な利点と欠点がある。即ち、遺伝子を個々の植物種に導入する個々の方法は、必ずしも他の植物種に最も効果的であるとは限らないが、個々の植物種に有効であることは周知である。
アグロバクテリウム仲介導入は、DNAが全植物組織に導入されることから遺伝子を植物細胞に導入するために広く利用できる系であり、原形質体から無傷植物を再生する必要を回避する。DNAを植物細胞に導入するアグロバクテリウム仲介発現ベクターの使用は、当該技術において周知である。例えば、Fraleyら, Biotechnology, 3:629(1985)及びRogersら, Methods in Enzymology, 153:253-277(1987)を参照されたい。更に、Ti−DNAの組込みは、ほとんど再配列を生じない比較的正確な過程である。導入されるべきDNAの領域は、ボーダー配列によってはっきりと決められ、介在配列は、通常、Spielmannら, Mol. Gen. Gent.,205:34(1986)及びJorgensenら, Mol. Gen. Genet., 207:471(1987)に記載される植物ゲノムに挿入される。
前述のような新しいアグロバクテリウム形質転換ベクターは、大腸菌及びアグロバクテリウムで複製することができ、Kleeら, Plant DNA infectious Agents,T. Hohn & J. Schell, eds.,Springer-Verlag,ニューヨーク(1985)pp.179-203に記載される便利な操作が可能である。
更に、アグロバクテリウム仲介遺伝子移入のベクターにおける最近の工学的進歩は、種々のポリペプチドコード遺伝子を発現することができるベクターの構築に役立つベクター内の遺伝子の配列及び制限部位を改良した。Rogersら, Methods in Enzymology, 153:253(1987)に記載されたベクターは、プロモーター及び挿入したポリペプチドコード遺伝子の直接発現のためのポリアデニル化部位が隣接した便利な多リンカー領域を有し、本発明の目的に適している。
アグロバクテリウム仲介形質転換が有効な植物種では、遺伝子移入の容易な及び特定の性質のために選択方法である。しかしながら、単子葉植物がアグロバクテリウムの自然宿主であることはほとんどないと思われるが、Bytebierら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 84:5345(1987)に記載されるようにアグロバクテリウムベクターを用いてアスパラガスにおいてトランスジェニック植物が作出された。従って、米、コーン及び小麦のような商業的に重要な穀物粒は、代替的方法を用いて形質転換されなければならない。
葉の表面及びカルスのような他の組織のアグロバクテリウム仲介形質転換は、アグロバクテリウムが天然に移入する植物種に限定されると考えられる。即ち、アグロバクテリウム仲介形質転換は、双子葉植物ではたいてい有効である。しかしながら、上述したように、アグロバクテリウムを用いるアスパラガスの形質転換も達成される。
植物の原形質体の形質転換は、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレングリコール処理、エレクトロポレーション及びそれらの処理の組合わせに基づく方法を用いて達成される。例えば、Potrykusら, Mol. Gen. Genet., 199:183(1985); Lorzら, Mol. Gen. Genet., 199:178(1985); Frommら, Nature, 319:791(1986); Uchimiyaら, Mol. Gen. Genet., 204:204(1986); Callisら, Genes and Development, 1:1183(1987); Marcotteら, Nature, 335:454(1988); Wangら, Bio/Technology, 10:691-696(1992); 及びFennelら, Plant Cell Reports, 11:567-570(1992)を参照されたい。
それらの系の異種植物種への応用は、原形質体から個々の植物種を再生する能力に左右される。原形質体から穀物を再生する具体的な方法は、Fujimuraら, Plant Tissue Culture Letters, 2:74(1985); Toriyamaら, Theor Appl. Genet., 73:16(1986); Yamadaら, Plant Cell Rep., 4:85(1986); Abdullahら, Biotechnology, 4:1087(1986)に記載されている。
原形質体から巧く再生されない植物種を形質転換するために、DNAを無傷細胞又は組織に導入する他の方法が用いられる。例えば、未熟胚又は外植片からの穀物の再生は、Vasil. Biotechnolgoy, 6:397(1988)に記載されるように行われる。更に、“粒子ガン”又は高速顕微鏡的映写技術も用いられる。かかるテクノロジーを用いて、Kleinら, Nature, 327:70(1987); Kleinら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85:8502(1988);及びVasilら, Bio/Technology, 9:667-674(1992)に記載されるように小さな金属粒子の表面上の細胞壁及び細胞質の中にDNAが運ばれる。金属粒子は、細胞の数層を貫通するので、組織外植片内の細胞の形質転換を可能にする。
金属粒子は、コーン細胞を巧く形質転換すると共に安定に形質転換した稔性タバコ及びダイズ植物をつくるために用いられた。組織外植片の形質転換は、原形質体段階を通過する必要を除くのでトランスジェニック植物の作出速度を速くする。
DNAは、また、Zhouら, Methods in Enzymology, 101:433(1983); D. Hess, Intern Rev. Cytol., 107:367(1987); Luoら, Plant Mol. Biol. Reporter, 6:165(1988)に記載されるように花粉への直接DNA移入により植物に導入される。ポリペプチドコード遺伝子の発現は、Penaら, Nature, 325:274(1987)に記載されるようにDNAを植物の生殖器官に注入することにより得られる。DNAは、また、Neuhausら, Theor. Apl. Genet., 75:30(1987)及びBenbrookら, Proceedings Bio Expo 1986, Butterworth,マサチューセッツ州ストーンハム, pp.27-54(1986)に記載されるように未熟胚の細胞及び乾燥させた胚の再水和物へ直接注入される。
単一植物の原形質体或いは種々の外植片からの植物の再生は、当該技術において周知である。例えば、Methods for Plant Molecular Biology, A. Weissbach & H. Weissbach, eds., Academic Press, Inc.,カリフォルニア州サンディエゴ(1988)を参照されたい。その再生及び生育過程は、形質転換細胞及び茎葉の選定、形質転換茎葉の発根及び土壌における小植物の生育の段階が含まれる。
葉の外植片からアグロバクテリウムによって導入された異種遺伝子を含む植物の再生は、Horschら, Science, 227:1229-1231(1985)に記載されるように達成される。その手順においては、形質転換細胞は、選択試薬の存在下に及びFraleyら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 80:4803(1983)に記載されるように形質転換されている植物種における茎葉の再生を誘導する媒質中で生育される。その手順は、典型的には、2〜4週間以内のに茎葉を生じ、次に、それらの形質転換茎葉は選択試薬及び細菌の増殖を防止する抗生物質を含む適切な根誘導媒質に移される。
カルスの形質転換は、本明細書では形質転換した植物茎葉をつくるのに好ましい。かかる形質転換の個々の例を下記に述べる。
次に、小植物をつくる選択試薬の存在下に発根した形質転換茎葉は、土壌又は地下部の作出を可能にする他の媒質に移植される。それらの手順は、使用した個々の植物種によって異なり、かかる変更は当該技術において周知である。
4.カロテノイドの回収
シグナルペプチド−フィトエンシンターゼキメラポリペプチドをコードする遺伝子を動かす組込みプロモーターを含む本発明の植物は、個々の形質転換高等植物に適した当業者に周知の方法を用いて栽培される。本発明のトランスジェニック植物のいずれもが含有する所望のカロテノイド産物を単離するように栽培される。
栽培後、トランスジェニック植物は、カロテノイド産物を回収するように収穫される。その収穫段階は、植物全体か又は植物の果実、塊茎又は根のような着色カロテノイド含有貯蔵器官をもった一部分のみを収穫することからなることができる。その段階は、植物を枯らすこともできるし、果実のようなトランスジェニック植物の必須でない部分だけを収穫する場合には植物の残りを栽培させ続けることもできる。
好適実施態様においては、その収穫段階は更に下記工程を含む。
(i)植物の果肉を生じるトランスジェニック植物の少なくとも着色カロテノイド含有部分をホモジェナイズし、ヒトを含む動物の場合に食品が企図される乾燥ペレット又は錠剤中のように直接カロテノイド含有果肉を用いる工程;又は
(ii)該着色カロテノイドを該植物の果肉から、好ましくは乾燥された場合に有機溶媒のような適切な溶媒で抽出するか又は超臨界抽出[Favatiら, J. Food Sci.,53:1532(1988)及びその中の引用]により抽出してカロテノイド含有液体溶液又は懸濁液を生成する工程;及び
(iii)着色カロテノイドを該溶液又は懸濁液から単離する工程。
上記工程(iii)で単離した着色カロテノイドは、通常、少なくともα又はβ−カロテンであるが、生成された他の着色カロテノイドも下記に述べられるように単離及び分離される。
ニンジンの根のような未変性着色カロテノイドの増大した量を含む貯蔵器官が食される場合には、通常の収穫手順以外何も必要としない。多量の未変性着色カロテノイドの存在は、食品に更に魅力のある色を与え、カロテノイドの抗酸化特性によって食品の保存を高めることもできる。
着色カロテノイドがより純粋な又はより濃縮された形で得られる場合には、トランスジェニック植物の少なくとも適切な部分が当業者に周知の方法を用いて植物の果肉をつくるためにホモジェナイズされる。そのホモジェナイゼーションは、トランスジェニック植物部分が植物の果肉をつくる小片に分けられさえすれば手で、機械で又は化学手段で行われる。その植物の果肉は、問題の未変性着色カロテノイド、前駆物質の残存している量、細胞粒子及びサイトゾル含量の混合物からなる。その果肉は乾燥され、ペレット又は錠剤に圧縮されるかもしくは利益を得るように用いられるか又は抽出手順に供される。
β−カロテンのような未変性着色カロテノイドは、β−カロテン含有溶液又は懸濁液をつくるために上で生成された植物の果肉から抽出される。かかる抽出法は、慣用のものであり、当業者に周知である。例えば、抽出工程は、植物の果肉を適切な溶媒に浸漬又は液浸することからなることができる。その適切な溶媒は、β−カロテン含有溶液又は懸濁液を生成するために植物の果肉内に有するβ−カロテンを溶解又は懸濁することができる。かかる抽出過程に有効な溶媒は、当業者に周知であり、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ヘキサン及びクロロホルムのような数種の有機溶媒及びその組合わせが含まれる。落花生油、コーン油、ダイズ油等の植物油がその抽出に用いられる。パームのような油をもった果実での発現が企図される場合には、カロテノイドを得るために油自体が収穫される。
β−カロテンは、上で生成された溶液又は懸濁液からカロテノイド単離の当業者に周知の方法を用いて単離される。それらの方法は、種々の液体媒体中の溶解度、カラムクロマトグラフィーのようなクロマトグラフィー手法等に基づく精製法が含まれるがこれらに限定されない。キサントフィルの単離には、水酸化ナトリウムのアルコール溶液が用いられるキサントフィルエステル生成物を加水分解する工程が更に必要である。
5.遺伝学
アグロバクテリウム形質転換法を用いてつくられたトランスジェニック植物は、典型的には、1つの染色体上に単一遺伝子を含む。かかるトランスジェニック植物は、付加遺伝子に対して異型接合であると言われる。しかしながら、“異型接合”なる語の使用が、通常、一対の染色体の第2染色体の同じ遺伝子座に補足遺伝子の存在を意味しかつここでのように1つの付加遺伝子を含む植物内にかかる遺伝子がないので、かかる植物に対する正確な名前は、付加した外因性非高等植物遺伝子が有糸分裂及び減数分裂で独立して分離することから独立の分離個体であると考えられる。フィトエンシンターゼ活性及びそのトランシットペプチドを有するキメラポリペプチドをコードする単一構造遺伝子を動かす器官増強プロモーターを含むトランスジェニック植物、即ち、独立の分離個体は、好ましいトランスジェニック植物である。
付加構造遺伝子に対して同型接合であるトランスジェニック植物、即ち、2つの付加遺伝子、染色体対の各染色体上の同じ遺伝子座に1つの遺伝子を含むトランスジェニック植物が更に好ましい。同型接合トランスジェニック植物は、単一の付加遺伝子を含む独立の分離個体のトランスジェニック植物を有性交配(自配)し、生じた種子のいくつかを発芽させ、得られた作出植物について増大したフィトエンシンターゼ活性、着色カロテノイド蓄積又は両方を対照(未変性、非トランスジェニック)又は独立分離個体のトランスジェニック植物と相対して分析することにより得られる。同型接合トランスジェニック植物は、未変性、非トランスジェニック植物の双方及び独立分離個体のトランスジェニック植物と比べて増大したフィトエンシンターゼ活性及び着色カロテノイド蓄積を示す。
2種類の異なるトランスジェニック植物は、2つの独立して分離している外因性(非相同)遺伝子を含む子孫を生じるように交配させることもできることは理解されるべきである。適切な子孫の自配は、フィトエンシンターゼ活性を有するキメラポリペプチドをコードする双方の外因性付加遺伝子に対して同型接合である植物を作出することができる。親植物に対する戻し交配及び非トランスジェニック植物との異系交配も企図される。
従って、本発明のトランスジェニック植物は、フィトエンシンターゼ活性を有するキメラ色素体トランシットペプチド含有ポリペプチドをコードする非相同構造遺伝子を有する。好ましいトランスジェニック植物は、付加した非相同フィトエンシンターゼ構造遺伝子及びトランシットペプチド遺伝子に対して独立の分離個体であり、それらの遺伝子及びその活性を子孫に伝達することができる。更に好ましいトランスジェニック植物は、非相同遺伝子に対して同型接合であり、それらの遺伝子を有性交配時に子孫の全てに伝達する。
企図されたトランスジェニック植物は、同じ条件下に生育される場合に同じ基準又は株の非形質転換植物より多量に未変性着色カロテノイドを蓄積する。蓄積の増大は、非形質転換植物に比べて約1.5〜約20倍、通常約2〜約10倍であることができる。未変性カロテノイドと比べて通常少量で存在するフィトエンと共に生成したカロテノイドは、前述の未変性カロテノイドである。
本明細書において、形質転換植物と非形質転換植物が“同じ基準”又は“同じ株”であるとは、両者が同じ交配に由来する、または、形質転換植物と非形質転換植物とが同じクローンに由来することを意味する。交配の同胞中で対立遺伝子の変異が広範囲の同系繁殖植物とのように小さい場合には、同胞間の比較が用いられるか又は平均が数種の同胞を用いて達した。或いは、比較するのにクローンが好ましい。
6.市販のハイブリド種子の開発
トランスジェニック植物からの種子は、畑の温室、窓台等で生育され、得られた有性成熟トランスジェニック植物は、純粋種植物を生じるように自家受粉される。これらの植物からの子孫は、未変性着色カロテノイド蓄積について、好ましくは畑で環境条件の範囲のもとで評価される純粋種系である。
多くの異なるハイブリッドの組合わせが売り物に用いうるならば、未変性着色カロテノイド蓄積の増大したトランスジェニック植物の商品としての価値は高められる。利用者は、典型的には、成熟時期、育地性又は他の農業形質のような違いに基づいて1種類を超えるハイブリッドを生育する。更に、農村の一地域に適応したハイブリッドは、成熟度、病気及び除草剤耐性のような形質の違いのために必ずしも他の地域に適応するとは限らない。このため、未変性着色カロテノイドの蓄積は、多くのハイブリッドの組合わせがつくられるように多くの親系に交配させることが好ましい。
増大した未変性着色カロテノイド蓄積形質を作物的選択株に加えると、当業者に周知の種々の手法により達成される。例えば、同型接合であるか或いはフィトエンシンターゼ活性を有するキメラポリペプチドをコードするので所望の器官での着色カロテノイド蓄積を高めるための独立の単一分離可能遺伝子を含む親トランスジェニック植物が除草剤耐性のような他の望ましい形質を有する系と交配されてハイブリッドをつくる。好ましくは、増大した着色カロテノイド蓄積に対して同型接合のトランスジェニック植物がハイブリッドをつくり出すために用いられる。
例えば、増大した未変性着色カロテノイド蓄積に対して同型接合のトランスジェニック植物は、他の形質を有する親植物と交配される。増大した着色カロテノイド蓄積に対して異型接合であるか又は独立して分離可能である子孫は、一方又は他方の親と戻し交配されて未変性着色カロテノイド蓄積が増大しかつ他の所望の形質を有するトランスジェニック植物を得る。子孫と親との戻し交配は、全ての望ましい形質をもつトランスジェニック植物を得るために2回以上繰り返さなければならないことがある。
実施例1: 高等植物におけるフィトエンシンターゼの生産
a.プラスミドの構築
まず、下記のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に適した鋳型を得るためにプラスミドpARC283を構築した。プラスミドpARC283の構築は、プラスミドpARC376の約1547bpのBglII−BamHI部分消化断片(図2の位置約6900から位置約5353まで)を用いた。ユニークな多重制限部位を有するポリリンカー断片をこのBglII−BamHI断片の末端に結合した。得られた断片をEcoRIで消化し、プラスミドpBR322のEcoRI部位へクローン化した。
このプラスミドのフィトエンシンターゼ構造遺伝子を修飾して開始メチオニンコドンの制限部位及び遺伝子の3′端のSalI制限部位を導入した。これらの修飾を達成するために、プラスミドpARC283からEcoRI−EcoRI断片を切除した。この断片をアガロースゲル電気泳動で単離し、PCR用鋳型として用いた。次のオリゴヌクレオチドプローブを用いてフィトエンシンターゼ遺伝子のATG開始コドンのSphI部位をつくった。
Figure 0003881012
ここで、太文字は変化したヌクレオチドを表す。
この修飾は、第2残基を配列番号1に示されたセリンからアルギニンに変え、E. Herbicolaフィトエンシンターゼの変異体をコードする遺伝子を作成した。
同様のPCR法によりフィトエンシンターゼ遺伝子の3′端のSalI部位を導入すると、下記に示されるようにDNA配列が変化した。
もとの配列
Figure 0003881012
新しい配列Sal I
Figure 0003881012
ここで、新しい配列の太文字は変化した塩基を表す。
もとの3′配列に対して正確にハイブリッド形成するPCRプローブは15ヌクレオチドだけであるが、PCRが行われたハイブリッド形成条件は、PCRが配列内に表示された変化を導入するように適切に機能するのに十分な量のハイブリッド形成にする。
各プローブの最終濃度が10ピコモ/μlとする容量の滅菌水にプローブを再懸濁した。PCR反応を下記のように行った。
GeneAmpDNA増幅試薬キット(Perkin Elmer Cetus)を用いて反応を行った。下記の成分を製造業者の説明書に指定された量及び順序で混合した。
Figure 0003881012
鉱油(100μl)を反応混合液の上に層にし、パーキンエルマーセタスDNAサーマルサイクラー(Perkin Elmer,ミネソタ州プレーリークラウド)を用いて反応を行った。この方法は、25サイクルの増幅からなる。1サイクルは下記の工程が含まれた。
(1)92℃で1分間変性;
(2)37℃で2分間鋳型開始;
(3)72℃で3分間重合。
25サイクルの終わりに、最後の72℃で7分間重合を行った。
反応が完了した後、鉱油を除去し、反応混合液をエーテルで2回抽出し、エタノールでDNAを沈殿した。
b.PCR生成DNA断片のクローニング
PCR反応によって生成したDNAをSphI及びSalIで消化した。このSphI−SalIPCR生成断片(約1083bp)を単離し、アガロースゲルから回収した。同様に、プラスミドpUC18(Pharmacia)をSphI及びSalIで消化した。SphI−SalIPCR断片をプラスミドpUC18のSphI−SalI部位へクローン化した。得られたプラスミドをpATC1611と名付けた。
c.遺伝子操作したフィトエンシンターゼ機能性遺伝子の証明
プラスミドpATC1611のフィトエンシンターゼ遺伝子の正しい機能を、PCR修飾遺伝子を大腸菌発現ベクターへクローン化することにより分析した。まず、プラスミドpATC1611をHindIII及びEcoRIで消化することにより行った。得られたHindIII−EcoRI断片を単離し、アガロースゲルから回収し、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント及び4つのデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)で処理して平滑断端をつくるために末端に挿入した。
次に、この平滑断端の断片をプラスミドpDR540(Pharmacia)、大腸菌において活性なTACプロモーターを含むプロモーターへクローン化した。即ち、プラスミドpDR540をBamHIで切断し、クレノウフラグメント及び4つのdNTPを用いて上記のように末端に挿入した。フィトエンシンターゼ遺伝子を含むここでの平滑断端のもとのHindIII−EcoRI断片を平滑断端BamHI処理pDR540に結合した。このプラスミド構築物をHindIIIで切断してフィトエンシンターゼ遺伝子及びTACプロモーターを含むHindIII−HindIII断片を得た。次に、そのHindIII−HindIII断片をプロモーターpARC139のHindIII部位へ結合した。
プラスミドpARC139は、フィトエンシンターゼ遺伝子に欠失がある。フィトエンシンターゼ遺伝子の機能性コピーをプラスミドpARC139に加えるとかかる構築物で形質転換した大腸菌細胞の着色カロテノイドを生成する能力を回復する。PCR修飾フィトエンシンターゼ遺伝子は、プラスミドpARC139で形質転換した大腸菌における着色カロテノイドの生産をもたらし、PCR法によって遺伝子に導入された修飾がフィトエンシンターゼの修飾遺伝子からの生産に影響しないことを示した。
d.プラスミドpATC1614の構築
プラスミドpATC1611をSphI及びHincIIで消化した。得られたSphI−HincII断片をプラスミドpATC212のSphI及びHincII部位へクローン化してプラスミドpATC1614を作製した。プラスミドpATC212は、RUBSICOトランシットペプチドを有し、次のように構築した。
(i)RUBSICOトランシットペプチド
本明細書に用いられる具体的なトランシットペプチドDNAの配列は、基本的にはニコチアナ・タバクムのリブロース二リン酸カルボキシラーゼ−オキシゲナーゼトランシットペプチドについてのMazurら, Nucl. Acids Res., 13:2343-2386(1985)のものである。開示された177bp配列に2つの変更が行われた。
最初の変更では、2つのシチジン残基を5′端に加えてNcoI制限部位をつくった。第2の変更は、位置73と74の塩基間で切断するNarI部位を導入した。この変更は、位置69のTをGに置き換え、位置72のAをGに置き換え、共にコード化アミノ酸残基配列は変化しなかった。3′端の最後の2つの残基を欠失してSphI制限部位自然粘着末端を得た。
従って、合成トランシットペプチドコード化DNAは、177bpを含有した。5′NcoI及び3′SphI粘着末端を示す一本鎖コード配列は、以後、配列番号6として示される。
(ii)プラスミドpARC480
形質ペプチドをコード化するDNAを、90℃で5分間加熱してから室温に徐々に冷却することにより2本一組で共にアニールされる8個の断片から合成的に合成した。50ピコモルの各断片を用いた。この手順は、公開された国際出願第91/13078号(PCT/US91/01458)のp.138〜140に記載されており、本明細書に記載される必要がない。
得られた177塩基対断片をプラスミドpARC466へクローン化した。pARC466は、NcoI部位が未変性HindIII部位に置き換わった以外M13mp19と同じプラスミドである。このプラスミドは、SphI部位から下流のSmaI部位を含むポリリンカー領域を有する。
最初に存在したHindIII部位を前述のように試験管内突然変異誘発を用いて置き換えることにより、プラスミドpARC466のNcoI部位をつくった。プライマーは、下記のものを用いた。
Figure 0003881012
ここで、太文字は配列内の変化を表す。
プラスミドpARC466をNcoI及びSphIで消化した。177bpトランシットペプチドDNA断端を、これらの部位へクローン化するように設計した。177塩基対断片をプラスミドpARC466に結合することによりプラスミドpARC480が得られた。プラスミドpARC480をM13プロトコールで配列を決定して設計したペプチドの配列を調べ、その配列が正しいことがわかった。
(iii)プラスミドpATC212
形質ペプチドを、植物プロモーター及び末端配列を含むプラスミドへ移動させた。pCaMVCNは、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター及びnosポリアデニル化配列を含むPharmaciaから入手したプラスミドである。形質ペプチドを次の通りCaMV35Sプロモーターの隣にクローン化した。
a)プラスミドpCaMVCNを制限酵素SalIで消化した。New England Biolabsのリンカー#1104 d(TCGACCCGGG)をSalIで消化し、次に、消化したpCaMVCNと結合してプラスミドpATC209を作った。
b)プラスミドpATC209をSmaIで消化した。プラスミドpARC480をNcoI及びSmaIで消化してトランシットペプチドを移動させた。トランシットペプチドDNAのNcoI部位を大腸菌DNAポリメラーゼのクレノウフラグメント及び4つのdNTPで処理してプラスミドpATC209のSmaI部位と適合する断片を作成するために平滑断端をつくった。両平滑断端の断片をSmaI消化プラスミドpATC209へクローン化してプラスミドpATC212をつくった。
e.プラスミドpATC920の構築
pARC614を、製造業者の説明書に従って制限酵素SphI及びSalI(Bethesda Research Laboratories[BRL], メリーランド州ゲイザースバーグ)で消化した。ベクターpGEM4Z(Promega Corp.,ウィスコンシン州マディソン)もSphI及びSalIで消化し、pARC1614からのSalI−SphI断片(約1083bp)と結合した。(引き続き、SphI酵素が上記反応の双方に不活性であるので正味の結果はSalIのみで消化したかのようであることを見出した。即ち、pARC1614からの1240bpSalI−SalI断片をSalI消化pGEM4Zへ結合した。)この新しい構築物をプラスミドpATC915と称した。
挿入したDNAの部分配列を、PromegaのT7及びSP6プロモーター−プライマーと共にdsDANサイクルシークエンシングシステム(BRL)を用いて決定した。挿入断片の各末端から約230bpの配列を決定した。これにより、ニコチアナ・タバクムのすぐ上流に挿入されたリブロース二リン酸カルボキシラーゼ−オキシゲナーゼ小サブユニット(RUBISCO)からのトランシットペプチドを含むE. Herbicolaフィトエンシンターゼ変異体としてクローンの同一性が確認された。プラスミドpATC915の地図を図3に示す。
ベクターのポリリンカー領域における追加の制限酵素部位により、プラスミドpATC915からのフィトエンシンターゼ挿入断片の続いての操作を容易にする。しかしながら、最初のベクター(pGEM4Z)はHindIII部位にすぐ隣接した位置56のSphI部位を有する。SphIのための認識配列が′GCATG′を含むために、更に、“擬似”開始コドンをRUBISCOトランシットペプチドの真正′ATG′から上流に付加する。最善の状態では、これにより所望の産物の発現レベルが低下し、最悪の状態では、発現が全く阻害される。この問題を除くために、SphI部位をXhoI部位で置換され認識配列に′ATG′を含まない修飾クローニングベクターを構築した。ベクターpGEM4ZをBamHI及びHindIIIで消化し、アガロースゲル電気泳動で精製してポリリンカーの小さな断片を切り出した。次に、大きな断片を下記の配列番号8及び配列番号9の対の合成オリゴヌクレオチドと結合し、XhoI部位で置き換えられるSphI部位以外のポリリンカー領域を再生した。得られたベクターをpGEM4Zxと称した。
Figure 0003881012
pARC1614の約1260SalI−SphI断片(RUBISCOトランシットペプチド及びフィトエンシンターゼ遺伝子を含む)をSalI消化pGEM4Zxに結合した。新しいベクターをプラスミドpATC920と称した。プラスミドpATC920の地図を図4に示す。
実施例2: 根増強プロモーター
マンノピンシンターゼ遺伝子プロモーターをパーデュ大学のDr. S. Gelvinから入手した。[DiRita & Gelvin, Mol. Gen. Genet., 207:233-241(1987)]その文献のベクター(pKan2)は、XhoI−XbaI断片として切り出される−318AmasPmas(mas)アクチベーター−プロモーター構築物を有した。この断片を、SalI及びXbaIで消化したpGEM4Z(Promega Corp.)に結合した。得られた構築物をプラスミドpmas4Zと称した。挿入断片の配列を、PromegaからのT7及びSP6プロモーター−プライマーと共にdsDNAサイクルシークエンシングシステム(BRL)を用いて決定した。プラスミドpmas4Zの地図を図5に示す。
masプロモーター(MAS PROM.)をXbaI及びHindIIIで消化してpmas4Zから切り出し、35SプロモーターをXbaI及びHindIIIで消化してpATC909(図6)から切り出し、この2つを一緒に結合してプロモーターpATC911(図7)を得た。このベクターは、nosターミネーターと共にmasプロモーターの制御下にE. Herbicolaからのフィトエンデヒドロゲナーゼ遺伝子を有する。
プラスミドpARC1526からフィトエンデヒドロゲナーゼ(PDH)のE. Herbicola遺伝子をSalIで消化して切り出すと共に得られた1508bp断片をベクターpNIU21のXhoI部位に結合することにより、プラスミドpATC909を構築した。pNIU21の構築は、Fennell & Hauptmann, Plant Cell Reports, 11:567-570(1992)に記載されている。プラスミドpARC1526は、PDH遺伝子に続いてPGKターミネーターを動かすPGKプロモーターを有し、他の目的に調製された。同じPDH1508bpSalI−SalI断片は寄託プラスミドベクターpARC146D(ATCC 40801)内にあり、本工程で用いられる。結果は、CaMV35Sプロモーター及びnosターミネーターの制御下にPDH遺伝子を有するベクター(pATC909)である。SalI断片をXhoI部位に結合するといずれの位置も再生が得られないことは留意される。
実施例3: 根増強プロモーター/フィトエンシンターゼ構築物−プラスミドpATC921
結合ポリペプチドのトランシットペプチド/フィトエンシンターゼ遺伝子をプラスミドpATC920(図4)から2段階工程で取り出した。そのプラスミドをHindIIIで消化し、突出端にDNAポリメラーゼのクレノウフラグメント及び4つのdNTPを挿入して平滑断端を作製した。次に、そのプラスミドをSacI(Promega)で消化し、アガロースゲル電気泳動で1.3kbの遺伝子断片を単離した。ベクターpATC911(図7)をXbaIで消化し、DNAポリメラーゼクレノウフラグメントと4つのdNTPで平滑断端にした。次に、そのプラスミドをSacIで消化してフィトエンデヒドロゲナーゼ遺伝子を切り出した。得られたベクターをアガロースゲル電気泳動で精製した。プラスミドpATC920のトランシットペプチド(RUBISCO)/フィトエンシンターゼ遺伝子並びに消化及び単離したベクター(pATC911)を一緒に結合してnosターミネーターと共にmasプロモーター(AmasPmas)の制御下にRUBISCOトランシットペプチド及びフィトエンシンターゼをコードする遺伝子を含むプラスミドを得た。このベクターをプラスミドpATC921(図8)と称した。結合反応後にプラスミドpATC911からのXbaIを再生したがプラスミドpATC920挿入断片からのHindIIIを再生しなかったことは留意される。即ち、プラスミドpATC921の位置2235のHindIIIはユニークであり、HindIII及びEcoRIで消化することにより全遺伝子構築物を切り出すことを可能にする。
実施例4: バイナリープラスミド構築
1.プラスミドpATC923
バイナリーベクターpKYLX71をEcoRI及びHindIIIで消化して35Sプロモーターを取り出した。mas−RUBISCO/フィトエンシンターゼ−nosターミネーター構築物を、同じ2つの酵素で消化してpATC921から切り出した。これらを一緒に結合してベクターpATC923(図9)を得た。これは、masプロモーター及びnosターミネーターの制御下に結合ポリペプチドRUBISCOトランシットペプチド−フィトエンシンターゼ遺伝子を含むバイナリーベクターであり、カナマイシン耐性及びテトラサイクリン耐性双方の遺伝子を有する。このベクターは、アグロバクテリウム・ツメファシエンスの形質転換、続いての植物材料の形質転換に適切である。
2.プラスミドpATC703
pATC923の構築物と同様の方法でバイナリーベクターpATC703を構築した。mas−RUBISCO/フィトエンシンターゼ−nosターミネーター構築物をpATC921からHindIII及びEcoRIで消化して切り出し、同じ2つの酵素で消化された市販のバイナリーベクターpBI101.2(Clontech Laboratories, Inc.,カリフォルニア州パロアルト)に結合した。結果は、masプロモーターの制御下に結合ポリペプチドのRUBISCOトランシットペプチド及びフィトエンシンターゼ遺伝子を含むバイナリーベクターである。このベクターをpATC703(図10)と称し、カナマイシン耐性に対する遺伝子を有する。
実施例5: ニンジン組織の形質転換
プラスミドpATC923及びpATC703を用いる別個の実験において、ダンバーハーフロング(DHL)のニンジンカルス組織を形質転換した。双方のベクターを用いる最初の結果は同じであった。下記に述べられる個々の結果は、特にことわらない限りpATC923を用いて形質転換したカルスから得た。
a.手順
ニンジン組織を調製し、一般的にはScottら,Plant Mol. Biol., 8:265-274(1987)に述べられているように下記の通り簡単に述べられるように少し変更して形質転換した。
UM培地(後記)中の葉柄、根又はカルス組織から懸濁培養液を調製した。培養液を2週間おきに継代培養し、各期間の終わりに約1.3×106ニンジン播種単位/mlを含有した。Scottらの培養8〜10週齢に対して培養12〜16週齢を用いて形質転換を行った。
UM又はMSD培地(後記)中寒天1リットルあたり約70mlの支持細胞を混合することにより0.8%の溶融寒天中フィーダー培養10〜14日齢(最後の継代培養から)のニンジン細胞を用いて支持プレートを調製した。得られた混合液を十分に混合し、8.5cm径のペトリ皿に注入した。凝固した際に、各プレートの上に8.5cm径のワットマン#1滅菌フィルターディスクを載せ、引き続き上に5cm径滅菌“移入ディスク”を載せた。そのように調製した支持プレートを周囲室温で連続光のもとで3日間インキュベートした。
その後、最後の継代培養の約2週間後に採取した約0.1〜0.2mlの懸濁培養液を移入ディスクに播種した。用いた培養物が塊状の場合、まず、60〜80メッシュの篩にかけられる。次に、プレートが5〜7日間インキュベートされる。
1〜2日齢のアグロバクテリウム・ツメファシエンス培養液を約104細胞/mlに希釈し、上記の播種移入ディスクに播種した。これらの移入ディスクを約5〜7日又は最初のA. tumefaciens増殖が目にみえるまでインキュベートした。移入ディスクを選択培地、UMKC又はMSDKC(後記)に入れ、2〜4週間インキュベートした。その期間の終わりに増殖し続けるコロニーを新鮮選択培地に移した。
次に、胚形成カルスをホルモンを含まないMSKC培地に移して再生のために選択した。体細胞胚が次の2〜3週間にわたって発育した。小植物体が約5〜7cmの長さになったとき、滅菌土壌に移し、湿度を維持するようにカバーをかけた。
培地
ここで用いられる培地は、Muroshige & Skoog(MS)基礎塩類混合液(Shigma Chemical Co.,ミズーリ州セントルイス;カタログNo.M5524)に基づくものとした。
培地MSDは下記のものを含有した。
説明書により希釈したMS塩類;
3%スクロース;
Gamburgs B5 ビタミン 1ml/l(Shigma G1019);
2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)@2ml/l;及び
Difco寒天 8g/l;
pH=5.8。
UM培地はMSD成分の全て+下記のものを含有した。
キネチン@0.25mg/l;
カゼイン加水分解物 (酵素的)@2g/l;及び
グリシン@2mg/l。
KC培地は上記培地+100mg/lで加えたカナマイシン(K)及び250mg/lで加えたセホトキシム(C)とした。A. tumefaciensの過剰増殖が問題になった場合には、選択培地に400mg/lのカルベニシリンを加えた。
c.結果
形質転換組織をカナマイシン耐性で選択した。単離したカルスは、暗橙色から対照に近い外観までの範囲であった。更に、カルス片を選択し、色の一様性に基づいて継代培養した。異種カルスの色は、薄い色で囲まれた明るい橙色であった。この色の差は、微分転写活性を有する染色体の領域において遺伝子の挿入をもたらす“位置効果”と呼ばれる植物形質転換に一般に見られる現象を反映するものである。領域が活性であるほど、導入遺伝子が活性である。結果として、各々独立の形質転換細胞は遺伝子を異なるレベルで発現する。
暗黄色の形質転換細胞から再生された植物では、小植物体の色は黄色であり、フェトエンシンターゼ遺伝子が葉組織における光合成を妨害するレベルで発現していたことを示した。薄黄色形質転換細胞から再生された植物では、小植物体は茎葉及び根の先端が明るい橙色をした緑色であった。植物が成熟し微分遺伝子発現が始まるにつれて、植物は本来の外観をもち始め、根でのカロテノイド生産が増大した。
実施例6: 再生体の窓台(window sill)栽培
上記カルス実験からの再生トランスジェニックニンジン(DHL−PS)、再生対照(未変性)ニンジン(DHL)及びウィスコンシン高β−カロテン変種、HCM、USDA品種改良プログラムから得られた一般に入手できる変種から再生されたニンジンを窓台で生育し、成長の習性及び葉の外観について全て同じものであった。形質転換DHL植物は、目に見える黄色を示すもの及び縞のついているものがあった。根の集団も匹敵するものであり、根組織の新鮮重に対してDHL対照植物は38.6gを生産し、DHL−PS植物は37.5gを生産し、HCM植物は30.75gを生産した。これらの再生体の全ては、組織培養再生から生じる主根の分裂組織の損傷のための異常な形をした根が共通して見られた。これらの根形異常は、再生体から生じた種子から成長したニンジン植物では消失する。
これらの植物全てからの根を中間点で横に切りわけた。対照DHL根の中心部は薄緑色であり、形質転換DHL−PSは断面全体が黄色/橙色であった。HCM変種は、DHL−PS根より全体が濃かった。
対照DHL根と形質転換DHL−PS根間の色の差から、根増強フィトエン生産により着色カロテノイドの生産増大をもたらすことが証明される。トランスジェニックニンジン根の一様な色も、一様な色のニンジン根を好む商業ベースによる生産者に有利である。
下記の表1は、窓台生育植物の根からのカロテノイドの生産を示すものである。データは乾燥重量%で示され、“比率増加”は未変性DHL根に相対して分析したカロテノイドの全量に対して求められる。
Figure 0003881012
上記結果からわかるように、フィトエンシンターゼ、従って、フィトエンの発現を増強することによりカロテノイドの全てが増加した。着色カロテノイドは、トランスジェニック植物(DHL−PS)では未変性非形質転換植物(DHL)より約2.4倍増加した。
実施例7: 再生体の温室栽培
上記実験において、200本を超えるDHL−PSニンジントランスジェニック植物を作出した。それらの植物の多くを再生DHL植物と共に温室栽培に移した。下記の表2は、4種類の再生対照DHL植物(±SD)及び6種類の個々の形質転換細胞DHL−PS植物の根から得られたカロテノイドの乾燥重量に対する平均%値を示すものである。最後の記載事項、“比率増加”は、対照DHL根に相対して分析した全カロテノイドのものである。“703の番号”で確認されたトランスジェニックニンジン根はプラスミドpATC703を用いて形質転換され、“923の番号”で確認されたものはプラスミドpATC923で形質転換された。
Figure 0003881012
上記の結果も、C末端がフィトエンシンターゼ活性を示すポリペプチド、Eh−crtB遺伝子の産物のN末端に結合されるN末端色素体シグナルペプチド、RUBISCOを有するキメラポリペプチド結合体をコードする遺伝子に作用上結合した器官増強プロモーター、AmasPmasを有する組込みベクターで形質転換することによりニンジン根から得られた着色カロテノイドの生産増大を示している。発現についての位置効果も、これらの実験に見られた。着色カロテノイドの比率増加は、全カロテノイドに対して示されたものよりわずかに低かった。
実施例8: ジャガイモ塊茎における着色カロテノイド蓄積の増大
はじめはペルーのアンデス山脈からとれた橙色の肉質のジャガイモ(88K3.58)は、塊茎貯蔵器官においてゼアキサンチンのような着色カロテノイドを産生する。USDAのDr. C.R. Brownから恵与のジャガイモ88K3.58は、ゼアキサンチン0.0064重量%(乾燥重量)及び少量のルテイン及び他のカロテノイドを産生した。Brownら,J. Amer. Soc. Hort. Sci., 118(1):145-150(1993)。
1.プラスミドpPPR001
プラスミドpPPR001は、パパチンプロモーターを有し、USDAのDr. W. Belknap, Agricultural Research Service, Western Regional Research Center,カリフォルニア州アルバニーによって構築され、そこから入手した。概要としては、パパチンプロモーターを、遺伝子バンク配列STPATG1(受託番号第X03956号)の位置1271〜2309に対応する配列領域にわたってポリメラーゼ連鎖配列(PCR)により合成した。使用したPCRプライマーは、HindIIIを分子の5′端に及び3′端にSmaI部位を付加した。得られた約1.05kbのPCR断片をHindIII及びSmaIで前もって消化されたプラスミドpUC19に結合して新しいプラスミドpPPR001をつくった。このを図11に地図で示す。
2.プラスミドpATC954
前述のプラスミドpATC921をXhoIで消化し、クレノウフラグメント及び4つのdNPTを挿入し、次に、EcoRIで消化してRUBISCOシグナルペプチド及びフィトエンシンターゼの遺伝子及びノパリンシンターゼ(nos)ポリアデニル化シグナル(ターミネーター)を含む約1.56kbDNA断片の切り出しをもたらした。この断片を前もってEcoRI及びSmaIで消化されたプラスミドpPPR001に結合した。得られたプラスミドをpATC954と称した。このを図12に地図で示す。これらの手順ははじめにpATC921にあったXhoI部位を再生し、プラスミドpPPR001のSmaI部位を再生しなかった。
3.プラスミドpATC956
プラスミドpATC954をEcoRI及びHindIIIで消化して、パパチンプロモーター、キメラRUBISCO/フィトエンシンターゼポリペプチド結合体の遺伝子及びnosターミネーターを含む約2.6kbDNA断片を得た。この2.6kbの断片を、プラスミドpATC703を調製するのに用いかつEcoRI及びHindIIIで切断されたバイナリープラスミドpBI101.2に結合した。得られたベクターをプラスミドpATC956と呼び、図13に地図で示す。プラスミドベクターpATC956は、A. tumefaciencesにトランスフェクトし、引き続き88K3.58のような塊茎において着色カロテノイドを産生するジャガイモ植物をトランスフェクトするのに有用である。
Twellらによって述べられた88K3.58ジャガイモカルスによる形質転換及び植物の再生を行うと、発育及び形態が正常に出現し、塊茎を作出する。そのように作出した形質転換塊茎は、双方を同じ条件で生育した場合に非形質転換植物に相対して着色カロテノイドの蓄積の増大を示す。
上記の説明及び実施例は、説明的なものであり、制限とするべきではない。本発明の真意及び範囲内の他の変更も可能であり、当業者に容易に提示するであろう。
〔配列表〕
(2)配列番号:1:
(i)配列の特徴:
(A) 配列の長さ:1083塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(xi)配列:配列番号:1:
Figure 0003881012
Figure 0003881012
Figure 0003881012
(2)配列番号:2:
(i)配列の特徴:
(A) 配列の長さ:309アミノ酸
(B) 配列の型:アミノ酸
(D) トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号:2
Figure 0003881012
Figure 0003881012
Figure 0003881012
Figure 0003881012
(2)配列番号:3:
(i)配列の特徴:
(A) 配列の長さ:32塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(xi)配列:配列番号:3:
Figure 0003881012
(2)配列番号:4:
(i)配列の特徴:
(A) 配列の長さ:30塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(xi)配列:配列番号:4:
Figure 0003881012
(2)配列番号:5:
(i)配列の特徴:
(A) 配列の長さ:30塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(xi)配列:配列番号:5:
Figure 0003881012
(2)配列番号:6:
(i)配列の特徴:
(A) 配列の長さ:177塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(xi)配列:配列番号:6:
Figure 0003881012
(2)配列番号:7:
(i)配列の特徴:
(A) 配列の長さ:36塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(xi)配列:配列番号:7:
Figure 0003881012
(2)配列番号:8:
(i)配列の特徴:
(A) 配列の長さ:30塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(xi)配列:配列番号:8:
Figure 0003881012
(2)配列番号:9:
(i)配列の特徴:
(A) 配列の長さ:30塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(xi)配列:配列番号:9:
Figure 0003881012

Claims (39)

  1. 形質転換高等植物の予め選ばれた貯蔵器官における着色カロテノイドの蓄積を、前記形質転換高等植物および前記形質転換高等植物と同じ基準の非形質転換高等植物の双方を同じ条件で生育させた場合に、前記形質転換植物の予め選ばれた貯蔵器官に対応する、前記非形質転換高等植物の貯蔵器官おける前記着色カロテノイドの蓄積に比べて増大させる方法であって、前記非形質転換高等植物が天然に前記貯蔵器官にカロテノイドを蓄積し得る植物であり、前記形質転換高等植物を前記予め選ばれた貯蔵器官が成熟するまで生育させる工程を含み、前記形質転換高等植物のゲノムが(i)キメラポリペプチド結合体をコードするDNAセグメントを(ii)前記形質転換植物の予め選ばれた貯蔵器官における前記キメラポリペプチド結合体の貯蔵器官増強発現を引き起こすプロモーターDNAセグメントに作用上結合したものを含み、前記キメラポリペプチド結合体が、C末端が非高等植物フィトエンシンターゼ酵素のN末端に結合されるN末端色素体トランットペプチド部分を有するものであって、前記増大のために前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子以外の前記着色カロテノイドの整合性に関わる遺伝子の導入を必要とせず、前記増大が前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子の導入によって引き起こされる、前記方法。
  2. 前記予め選ばれた貯蔵器官が根、種子、塊茎および果実からなる群より選ばれる請求項1記載の方法。
  3. 前記色素体トランジットペプチド部分が、タバコRUBISCO、ペチュニアEPSPシンターゼ及びコショウPSY遺伝子トランジットペプチドからなる群より選ばれる請求項1記載の方法。
  4. 前記プロモーターが根又は塊茎増強プロモーターであり、前記予め選ばれた貯蔵器官が各々根または塊茎である請求項1記載の方法。
  5. 前記根増強プロモーターが、mas、およびCaMV35Sプロモーターの塩基対−90〜+8からなる群より選ばれる請求項記載の方法。
  6. 前記塊茎増強プロモーターがパタチンプロモーターである請求項記載の方法。
  7. 前記キメラポリペプチド結合体が、エルウイニア・ハービコーラのcrtB遺伝子によってコードされるフィトエンシンターゼ酵素を含む請求項1記載の方法。
  8. 生育される形質転換植物が形質転換組織から再生される、請求項1記載の方法
  9. 前記貯蔵器官が、根、種子、塊茎および果実からなる群より選ばれる請求項記載の方法。
  10. 前記色素体トランジットペプチド部分が、タバコRUBISCO、ペチュニアEPSPシンターゼおよびコショウPSY遺伝子トランジットペプチドからなる群より選ばれる請求項9記載の方法。
  11. 前記プロモーターが根又は塊茎増強プロモーターであり、前記予め選ばれた貯蔵器官が各々根又は塊茎である請求項記載の方法。
  12. 前記根増強プロモーターが、mas、およびCaMV35Sプロモーターの塩基対−90〜+8からなる群より選ばれる請求項11記載の方法。
  13. 前記塊茎プロモーターがパタチンプロモーターである請求項11記載の方法。
  14. 前記キメラポリペプチド結合体が、エルウイニア・ハービコーラのcrtB遺伝子によってコードされるフィトエンシンターゼ酵素を含む請求項記載の方法。
  15. 再生される形質転換植物組織が、予め選ばれた貯蔵器官において着色カロテノイドを蓄積する植物の組織を、(i)キメラポリペプチドをコードするDNAセグメントおよび(ii)前記形質転換植物組織から再生された形質転換植物の前記予め選ばれた貯蔵器官における前記キメラポリペプチド結合体の貯蔵器官増強発現を引きおこすプロモーターDNAセグメントに作用上結合した組込みベクターを含む組換えDNA分子でゲノム的に形質転換することにより作製される、請求項8記載の方法。
  16. 前記貯蔵器官が、根、種子、塊茎および果実からなる群より選ばれる請求項15記載の方法。
  17. 前記着色カロテノイドがカロテン又はキサントフィルである請求項15記載の方法。
  18. 前記色素体トランジットペプチド部分が、タバコRUBISCO、ペチュニアEPSPシンターゼ及びコショウPSY遺伝子トランジットペプチドからなる群より選ばれる請求項15記載の方法。
  19. 前記プロモーターが根又は塊茎増強プロモーターであり、前記予め選ばれた貯蔵器官が各々根又は塊茎である請求項15記載の方法。
  20. 前記根増強プロモーターが、masおよびCaMV35Sプロモーターの塩基対−90〜+8からなる群より選ばれる請求項19記載の方法。
  21. 前記塊茎増強プロモーターがパタチンプロモーターである請求項19記載の方法。
  22. 前記キメラポリペプチド結合体が、エルウイニア・ハービコーラのcrtB遺伝子によってコードされるフィトエンシンターゼ酵素を含む請求項15記載の方法。
  23. 根にカロテン又はキサントフィルを蓄積するニンジンを形質転換して得られる形質転換ニンジンの根においてカロテン又はキサントフィルの蓄積を増大させる方法であって、
    (a)形質転換ニンジン組織を作製する工程であって、根においてカロテン又はキサントフィルを蓄積するニンジンの組織を(i)キメラポリペプチド結合体をコードするDNAセグメントおよび(ii)前記形質転換ニンジン組織から再生される形質転換ニンジン植物の根における前記キメラポリペプチド結合体の根増強発現を引き起こすmasプロモーターDNAセグメントに作用上結合した組込みベクターを含む組換えDNA分子でゲノム的に形質転換することにより前記形質転換ニンジン組織をつくり、前記キメラポリペプチド結合体が、C末端がエルウイニア・ハービコーラフィトエンシンターゼ酵素のN末端に結合されるN末端RUBISCOトランジットペプチド部分を有するものである工程;
    (b)前記形質転換ニンジン組織を、根を有する形質転換ニンジン植物に再生させる工程;及び
    (c)前記形質転換ニンジン植物を該根が成熟するまで生育させる工程;
    を含み、前記形質転換ニンジンは前記増大のために前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子以外のカロテン又はキサントフィルの生合成に関わる遺伝子の導入を必要とせず、前記増大が前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子の導入によって引き起こされる、前記方法。
  24. (a)キメラポリペプチド結合体をコードするゲノム構造遺伝子を有し、かつ
    (b)同じ基準の非形質転換植物の予め選ばれた貯蔵器官における着色カロテノイドの蓄積に相対して、前記貯蔵器官に対応する貯蔵器官における着色カロテノイドを過剰蓄積する形質転換植物であって、前記非形質転換植物が天然に前記貯蔵器官にカロテノイドを蓄積し得る植物であり、前記キメラポリペプチド結合体が、C末端が非高等植物フィトエンシンターゼ酵素のN末端に結合されるN末端色素体トランジットペプチド部分を有するものであり、前記過剰蓄積のために前記着色カロテノイドの生合成に関わる前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子以外の遺伝子の導入を必要とせず、前記過剰蓄積が前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子の導入によって引き起こされる、前記形質転換植物。
  25. 前記貯蔵器官が、根、種子、塊茎及び果実からなる群より選ばれる請求項24記載の形質転換植物。
  26. ニンジンである請求項25記載の形質転換植物。
  27. (a)キメラポリペプチド結合体をコードするゲノム構造遺伝子を有し、かつ
    (b)同じ基準の非形質転換植物の貯蔵器官における蓄積に相対して根、種子、塊茎及び果実からなる群より選ばれる予め選ばれた貯蔵器官における着色カロテノイドを過剰蓄積する形質転換植物であって、前記非形質転換植物が天然に前記貯蔵器官にカロテノイドを蓄積し得る植物であり、前記キメラポリペプチド結合体が、C末端が非高等植物フィトエンシンターゼ酵素のN末端に結合されるN末端色素体トランジットペプチド部分を有するものであり、前記過剰蓄積のために前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子以外の遺伝子の前記着色カロテノイドの生合成に関わる導入を必要とせず、前記過剰蓄積が前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子の導入によって引き起こされる、前記形質転換植物。
  28. 前記色素体トランジットペプチド部分がRUBISCOトランジットペプチドである請求項27記載の形質転換植物。
  29. フィトエンシンターゼ酵素を示す前期非高等植物がエルウイニア・ハービコーラのcrtB遺伝子でコードされる請求項27記載の形質転換植物。
  30. 前記着色カロテノイドが、カロテン及びキサントフィルからなる群より選ばれる請求項27記載の形質転換植物。
  31. (a)キメラポリペプチド結合体をコードするゲノム構造遺伝子を有し、かつ
    (b)同じ基準の非形質転換ニンジンの蓄積に相対して根におけるカロテン又はキサントフィルを過剰蓄積し、前記キメラポリペプチド結合体が、C末端がエルウイニア・ハービコーラフィトエンシンターゼ酵素のN末端に結合されるN末端RUBISCOトランジットペプチド部分を有するものであり、前記過剰蓄積のために前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子以外のカロテン又はキサントフィルの生合成に関わる遺伝子の導入を必要とせず、前記過剰蓄積が前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子の導入によって引き起こされる、前記形質転換ニンジン。
  32. 発芽して、同じ基準の非形質転換植物に相対して着色カロテノイドを過剰蓄積する形質転換植物またはそれに由来するハイブリッドへ生育させることが可能な種子であって、前記種子から発育させた植物の予め選ばれた貯蔵器官におけるキメラポリペプチド結合体の貯蔵器官増強発現を引きおこすプロモーターに作用上結合されるキメラポリペプチド結合体をコードするゲノム遺伝子を含み、前記キメラポリペプチド結合体が、C末端が非高等植物フィトエンシンターゼ酵素のN末端に結合されるN末端色素体トランジットペプチド部分を有するものであり、前記過剰蓄積のために前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子以外の遺伝子の前記着色カロテノイドの生合成に関わる導入を必要とせず、前記過剰蓄積が前記フィトエンシンターゼをコードする遺伝子の導入によって引き起こされる、前記形質転換植物種子。
  33. 請求項32に記載の植物種子に由来するハイブリッド植物。
  34. 前記着色カロテノイドが、カロテン及びキサントフィルからなるより選ばれる請求項32記載の形質転換植物種子。
  35. 発芽して、同じ基準の非形質転換植物に相対してβ−カロテンを過剰蓄積する形質転換植物へ生育させることができる請求項32記載の形質転換植物種子。
  36. 請求項35に記載の種子に由来するハイブリッド植物。
  37. ニンジン種子である請求項34記載の形質転換植物種子。
  38. 請求項24〜31のいずれか1項に記載の形質転換植物から、予め選ばれた貯蔵器官を収穫し、前記貯蔵器官からカロテノイド色素を抽出するステップを含む、カロテノイド色素を調製する方法。
  39. 着色カロテノイドの蓄積重量が増強されている請求項24〜31のいずれか1項に記載の植物から収穫される、予め選ばれた貯蔵器官。
JP51477196A 1994-10-28 1995-10-27 遺伝子操作した植物の貯蔵器官におけるカロテノイド蓄積の増大 Expired - Lifetime JP3881012B2 (ja)

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