JP3880274B2 - 可とう電気導体の両端部の圧着接合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大型電気設備同士を電気的に接続する目的で使用される可とう電気導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
可とう電気導体は、たとえば、数百アンペアないし数千アンペアの大電流を使用する変圧器、スポット溶接機、各種電力用機器の接続に現在使用されている。また、燃料電池や電気自動車への展開も期待されている。可とう電気導体は、主に、1.熱膨張、収縮の吸収のため、2.振動吸収のため、3.敷設時の寸法修正及び調整のため、4.地震の振動吸収のため、5.地盤沈下による接続間隔の調整のため、に使用される。
【0003】
従来の可とう電気導体は、箔の銅板を積層、あるいは平編組線を積層して、両端に端子部を設けている。図2は、銅板を積層して組み立てられた可とう電気導体の例である。銅箔1を積層した端部に端子部2を形成する。両端の端子部2の作製に関しては、積層した箔の銅板あるいは平編組線を、1.別の銅板ではさみ、かしめる方法、2.積層銅箔の外周部をはんだ付けする方法、3.積層銅箔同士を接合する方法、等がある。
電力機器に接続する際、ボルト締めをするので、その際の箔の破損防止用として銅板を上下に接合している。電気自動車など軽量化を目的とする場合は、この銅板は使用しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
はんだ付け法、かしめ法では、可とう電気導体と大型電気設備との接続部の電気抵抗が高いことから、積層した銅箔同士の接合部の電気抵抗を低下させるために拡散接合法による「可とう電気導体」が提案されている。たとえば、実開昭61−176790号公報に開示された「可とう電気導体」は、薄い銅板にメッキ処理を施し、実施例に見られるように真空中で700℃に加熱し、加圧して、重ねた薄い銅箔が接合されている。その結果、電気特性上は改善されるが、銅箔が完全に焼きなまされ、軟化し、機械的性能が低下する問題がある。現在、可とう電気導体と大型電気設備との接続部の電気抵抗が低く、その接続部の形状が小さく、かつ銅箔が軟化しない接続部の作製法の開発が要望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、銅箔を積層した可とう電気導体の両端部に端子部を形成する方法において、
該両端部の積層した銅箔を接合する部分近傍のみを効率的に可とう電気導体の軟化を防ぎながら低温度で加熱し、従来例よりも低温度で積層した銅箔同士の接合強度の優れた端子部を形成するものである。
【0006】
すなわち、本発明は、銅箔を積層した可とう電気導体の両端部に端子部を形成する方法において、積層銅箔の接合すべき部分を、その最外側の銅箔表面が黒鉛製加圧型の平らな底面と密接するように一対の黒鉛製加圧型間に挟み、加圧力20MPa以上で積層銅箔を加圧した状態で該一対の黒鉛製加圧型間に通電することにより該一対の黒鉛製加圧型を発熱させて、接合すべき部分の銅箔を温度300〜600℃まで加熱して圧着することを特徴とする銅箔を積層した可とう電気導体の両端部の圧着接合方法である。
【0007】
また、本発明は、端子部用の銅板を最外側の銅箔表面と黒鉛製加圧型間に挟んで同時に圧着することを特徴とする上記の可とう電気導体の両端部の圧着接合方法である。
また、本発明は、加圧および加熱を大気中で行うことを特徴とする上記の可とう電気導体の両端部の圧着接合方法である。
【0008】
本発明の方法では、積層した銅箔を20MPa以上で加圧するため、銅箔間が密着し銅箔間の酸化がなく、銅箔表面同士の接合面の酸化防止ができるので、銅箔へのメッキ処理や中間金属を該接合面に挿入しないでも、入手のまま、あるいは表面を通常の脱脂処理方法等により清浄にした銅箔表面同士を直接接合することが可能であるので、接続部の形状を小さく、かつ軽量化できる。 本発明の方法において、上記の条件で銅箔表面同士を接合すれば、接合すべき部分の温度(以下、「接合温度」という)範囲が300〜600℃で優れた接合部が形成され、引っ張り試験においては母材破断となる。
【0009】
また、本発明の方法による接合すべき部分の銅箔の加熱は、直接通電法によるため、接合温度(300〜600℃)に数秒で加熱できる。さらに、銅箔の軟化を極力避けるため、接合部以外の銅箔を容易に冷却できる。大気中接合では、銅箔の接合部以外の箇所への放水などにより冷却はなお簡単である。よって、両端部の中間部の積層した銅箔が加熱により軟化していない可とう電気導体を容易に製造できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、少なくとも両端部の接合する面を油脂等で汚染しないように注意して積層した銅箔(1)を黒鉛製加圧型(3)、(3)間に挟む。この際、端子部を形成する板厚1〜2mm程度の電気抵抗の小さい銅板を一緒に挟んで端子部を形成することもできる。箔および端子部を形成する板材の銅は、タフピッチ銅、脱酸素銅、無酸素銅、電解銅等である。
【0011】
次に、黒鉛製加圧型(3)、(3)間に接合圧力20MPa以上の圧力を加圧装置(4)で加えて、加圧を保持しながら電源(7)を用いて該黒鉛製加圧型(3)、(3)間に通電を開始する。電流、電圧は、通電面積に依存する。通電面積4cm2で、電圧2〜3V、電流1〜1.5kAで、接合すべき部分の銅箔を600℃まで加熱できる。通電する電流は、直流でも交流でも良い。その際の通電条件は、電圧計(5)、電流計(6)で測定される。接合すべき部分の銅箔の加熱温度が600℃を超えると銅箔が軟化するので好ましくない。また、接合すべき部分の銅箔の加熱温度が300℃未満では、銅箔間の接合力が低いので好ましくない。
【0012】
黒鉛製加圧型は、市販されている人造黒鉛を用いることができる。人造黒鉛は、耐荷重は約80MPaである。電気的特性及び作業性の観点から、銅箔の接合用加圧型として黒鉛は優れ、黒鉛は発熱体として優れる。さらに、黒鉛製加圧型で発生した熱を、銅箔へ、また銅箔から銅箔へ熱を効率的に伝えるためには、伝熱抵抗を低下させる必要がある。なお、大気中加熱での黒鉛製加圧型の消耗はない。
【0013】
伝熱抵抗は、加圧力の関数で、黒鉛製加圧型と銅箔との組み合わせでは20MPa以上の加圧力で、伝熱抵抗は低下し、効率的に黒鉛製加圧型から銅箔へ伝熱する。従って、黒鉛製加圧型で発熱した熱を効率的に銅箔に伝導させるためには、20MPa以上の加圧力を加えることが好ましい。
【0014】
従来の単純に加熱・加圧する拡散接合よりも、大きな接合圧力を加えることから、拡散接合法よりも低い接合温度で接合が可能となる。上限は80MPa程度とし、それ以上では黒鉛製加圧型が破損しやすくなり、また接合部の変形が大きくなり、好ましくない。20MPa以上で加圧するため、銅箔同士が完全に密着する。この密着で接合面間の銅箔の酸化がないことから大気中で接合できる。
【0015】
黒鉛製加圧型の電気抵抗率は、1100〜1650μΩ・cmで、モリブデンの18μΩ・cm(500℃)、タングステンの17.6μΩ・cm(500℃)より大きく、積層した銅箔を挟んで通電すると容易に黒鉛製加圧型の温度が上昇する。また、黒鉛は、銅箔と反応しないこともあって圧着作業中にお互い接合することもない。黒鉛製加圧型の形状は、接合部の面積より大きい平らな底面積をもつ加圧型で、その厚さは10mm以上とする。これより薄いと発熱し難くなる。発熱量の観点からは、黒鉛型の体積が大きい方が良く、効率的な伝熱の観点からは、銅箔に接する面積の割合が大きいほど良く、実用的には、厚み10mm〜50mmが好ましい。加圧装置としては、例えば、油圧または空気圧装置を使用できる。
【0016】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1
板厚0.1mm、幅20mm、長さ150mmのタフピッチ銅箔を接合面を油脂等で汚染しないようにして30枚積層した。この積層したタフピッチ銅箔の端部を図1に示すように、一辺が30mmの立方体の黒鉛の平らな底面が積層銅箔の最外側の銅箔表面と密接するようにして、一対の黒鉛製加圧型に挟んだ。次に、油圧による加圧装置を用いて20MPaの圧力を端子部に加えた。一対の黒鉛製加圧型の加圧を保持しながら、大気中で該一対の黒鉛製加圧型間に通電した。接合温度まで20秒で昇温し、接合温度に20秒間保持した。その際の電流は1kA、電圧は2Vにした。タフピッチ銅箔に取り付けた熱電対で接合温度を測定したところ、500℃であった。圧着接合したタフピッチ銅箔を引張試験したところ、銅箔の母材部で破断した。
【0017】
実施例2
実施例1は、大気中で熱圧着したが、ここでは、真空中で圧着した。その接合部は、実施例1の大気中での圧着法と同じように、母材破断した。本発明の方法は、大気中接合でも加熱による銅箔の接合面間の酸化が防止できるので、真空中接合と同等の接合強度が得られる。
【0018】
比較例1
実施例1と異なり、加圧型として、モリブデンを使用した。モリブデン加圧型では、同じ通電条件では、接合温度が上昇せず、接合出来なかった。
【0019】
比較例2
実施例1と異なり、接合圧力を10MPaとした。その結果、タフピッチ銅箔を効率的に加熱出来ず、接合温度が上昇せず、接合出来なかった。
【0020】
比較例3
実施例1と異なり、加圧型としてモリブデンを使用した。同じ通電条件では、接合温度が上昇しないことから、電圧電流を上昇した。その結果、モリブデン加圧型とタフピッチ銅箔が接合し、接合部の引っ張り試験はできなかった。
【0021】
以上の、実施例と比較例の結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、従来例よりも低温度で可とう電気導体の軟化を起こさず、可とう電気導体と大型電気設備との接続部の形状が小さく、銅箔表面同士の接合強度の優れ、かつ軽量化した端子部を形成することができる。また、加圧および加熱を大気中で行い、清浄処理した銅箔表面同士を介在層なしでも直接接合することができ、さらに、黒鉛製加圧型と端子部の銅箔表面との圧着を起こさないので作業が容易であり、コストダウンにもつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法を概念的に示す側面図である。
【図2】図2は、従来例の可とう電気導体の端子部の構造を概念的に示す側面図である。
Claims (3)
- 銅箔を積層した可とう電気導体の両端部に端子部を形成する方法において、積層銅箔の接合すべき部分を、その最外側の銅箔表面が黒鉛製加圧型の平らな底面と密接するように一対の黒鉛製加圧型間に挟み、加圧力20MPa以上で積層銅箔を加圧した状態で該一対の黒鉛製加圧型間に通電することにより該一対の黒鉛製加圧型を発熱させて、接合すべき部分の銅箔を温度300〜600℃まで加熱して圧着することを特徴とする銅箔を積層した可とう電気導体の両端部の圧着接合方法。
- 端子部用の銅板を最外側の銅箔表面と黒鉛製加圧型間に挟んで同時に圧着することを特徴とする請求項1記載の可とう電気導体の両端部の圧着接合方法。
- 加圧および加熱を大気中で行うことを特徴とする請求項1または2記載の可とう電気導体の両端部の圧着接合方法。
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