JP3880168B2 - 潜熱型熱交換器用ドレン処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、潜熱型熱交換器において発生するドレンを中和するための処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、潜熱型熱交換器は、例えば他の熱交換器において熱を奪われた比較的低温の燃焼ガスによって加熱されるものであり、その表面温度は通常60°C程度である。したがって、潜熱型熱交換器の表面には、燃焼ガス中の水蒸気が結露する。この結露水に燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)が溶け込むと、硝酸、硫酸等の酸が生成される。このため、結露水を無処理のままドレンとして排水すると、環境を汚染するおそれがある。そこで、ドレンを中和させる処理装置が提案されている。
【0003】
従来のこの種の処理装置としては、特公昭63−8834号公報に記載のものがある。この公報に記載の処理装置は、潜熱型熱交換器において発生する結露水がドレンとして導入される容器と、この容器のドレン中に対向して配置された陽極および陰極とを備えており、バーナの燃焼中に陽極と陰極との間に通電される。そして、陽極を形成する金属とドレン中の酸とを反応させることにより、ドレンを例えばPH6程度に中和させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の処理装置においては、次の3つの問題があった。まず、第1にバーナの燃焼終了後には陽極と陰極との間の通電を停止しているのであるが、通電停止後にも陽極がドレン中の酸によって溶融されるため、陽極が早期に消耗してしまうという問題があった。第2に、ドレンの酸性度はバーナの燃焼量によって異なるのに対し、陽極と陰極との間の通電量は常に一定である。このため、酸性度が高い場合には、ドレンの酸性度を所望の程度にまで中和することができないおそれがあり、酸性度が低い場合には陽極が必要以上に消耗してしまうという問題があった。第3に、バーナの燃焼終了後にも陽極と陰極との間に電流を流しているが、通電時間については基準がないため、通電量に過不足が生じ、第2の問題と同様にドレンを中和することができなかったり、陽極が必要以上に消耗してしまうという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、この発明の第1の態様は、第1の問題を解決するために、潜熱型熱交換器において発生した結露水がドレンとして導入される容器と、この容器にそれぞれ設けられた一対の電極と、この一対の電極に接続された直流電源とを備え、上記直流電源の正極に接続された電極を形成するドレン中の酸とを反応させてドレンを中和させる潜熱型熱交換器用ドレン処理装置において、上記直流電源として正極と負極とを変換可能な電源を用い、中和用の電流の通電停止後、上記直流電源の極性を変換して上記一対の電極間に中和用の電流と逆向きの電流を流すことを特徴としている。
【0006】
この発明の第2の態様は、第2の問題を解決するために、潜熱型熱交換器において発生した結露水がドレンとして導入される容器と、この容器にそれぞれ設けられた一対の電極と、この一対の電極に接続された直流電源とを備え、上記直流電源の正極に接続された電極を形成する金属とドレン中の酸とを反応させてドレンを中和させる潜熱型熱交換器用ドレン処理装置において、上記ドレンを中和させるのに必要な通電量を上記潜熱型熱交換器を加熱するためのバーナの燃焼量に基づいて演算し、この演算された量の電流を上記一対の電極間に流すことを特徴としている。
【0007】
この発明の第3の態様は、第3の問題を解決するために、潜熱型熱交換器において発生した結露水がドレンとして導入される容器と、この容器にそれぞれ設けられた一対の電極と、この一対の電極に接続された直流電源とを備え、上記直流電源の正極に接続された電極を形成する金属とドレン中の酸とを反応させてドレンを中和させる潜熱型熱交換器用ドレン処理装置において、上記バーナの燃焼終了後に上記中和電流を流すべきか否かを判断する判断部を有し、この判断部が上記バーナの燃焼終了後の中和用の電流を上記バーナの燃焼終了時の燃焼量に基づいて演算し、その演算された後処理時間だけ中和用の電流を流し続けることを特徴としている。
この発明の第4の態様は、第3の問題を解決するために、潜熱型熱交換器において発生した結露水がドレンとして導入される容器と、この容器にそれぞれ設けられた一対の電極と、この一対の電極に接続された直流電源とを備え、上記直流電源の正極に接続された電極を形成する金属とドレン中の酸とを反応させてドレンを中和させる潜熱型熱交換器用ドレン処理装置において、上記バーナの燃焼終了後に上記中和電流を流すべきか否かを判断する判断部と、潜熱型熱交換器に発生するドレンを介して潜熱型熱交換器に電気的に接続されるように、上記潜熱型熱交換器に近接して配置され、ドレン中の酸に溶解する金属からなる防食用電極と、この防食用電極に正極が接続され、上記潜熱型熱交換器に負極が接続された定電圧回路とをさらに備え、上記定電圧回路に流れる電流が所定の大きさ以下であると上記判断部が判断するまで、上記バーナの燃焼終了後に中和用の電流を流し続けることを特徴としている。
この発明の第5の態様は、第3の問題点を解決するために 潜熱型熱交換器において発生した結露水がドレンとして導入される容器と、この容器にそれぞれ設けられた一対の電極と、この一対の電極に接続された直流電源とを備え、上記直流電源の正極に接続された電極を形成する金属とドレン中の酸とを反応させてドレンを中和させる潜熱型熱交換器用ドレン処理装置において、上記バーナの燃焼終了後に上記中和電流を流すべきか否かを判断する判断部と、潜熱型熱交換器に発生するドレンを介して潜熱型熱交換器に電気的に接続されるように、上記潜熱型熱交換器に近接して配置され、ドレン中の酸に溶解する金属からなる防食用電極と、この防食用電極に正極が接続され、上記潜熱型熱交換器に負極が接続された定電流回路とをさらに備え、上記定電流回路の電圧が所定の大きさ以上であると上記判断部が判断するまで、上記バーナの燃焼終了後に中和用の電流を流し続けることを特徴としている。
【0008】
この発明の第1の態様と、第2の態様と、第3、第4及び第5の態様とは、互いに組み合わせてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について添付の図1〜図4を参照して説明する。なお、この実施の形態は、ガス給湯装置の潜熱型熱交換器にこの発明を適用したものであるが、この発明は他の潜熱型熱交換器にも適用可能である。
【0010】
まず、ガス給湯装置の全体構成について説明すると、図2に示すように、ガス給湯装置のハウジング1の内部には、ガスバーナ2、主熱交換器3および副熱交換器4がそれぞれ収容されている。
【0011】
ガスバーナ2は、ハウジング1のほぼ中央部に配置されており、ガス管4が接続されている。このガス管4には、元ガス電磁弁5および電磁比例弁6がそれぞれ設置されている。元ガス電磁弁5は、ガス管4を開閉してガスバーナ2へのガスの供給およびその停止を行う。一方、電磁比例弁6は、ガスバーナ2へのガスの供給量を調節する。また、ガスバーナ2は、二つの燃焼面を有しており、電磁弁7を開くと両方の燃焼面で燃焼し、電磁弁7を閉じると予め定められた一方の燃焼面だけで燃焼する。なお、符号8はガスバーナ2に燃焼空気を供給するための送風ファンである。
【0012】
主熱交換器3は、互いに平行に配置された複数の水管3a(図2には1本のみ図示)と、この水管3aに設けられた多数のフィン3bとを有している。水管3aおよびフィン3bは、金属製であり、通常は銅製である。各水管3aは、U字状をなすベント管(図示せず)によって互いに接続され、全体として1つの管を構成している。水管3aの入水口3cは後述する副熱交換器4の出水口4eに接続され、出湯口3dは出湯管9に接続されている。このように構成された主熱交換器3は、ガスバーナ2に近接してその真上に配置されており、ガスバーナ2で発生した高温の燃焼ガスによって加熱される。この場合、水管3aおよびフィン3bの表面温度は、100°C以上に加熱される。したがって、それらの表面には、結露が発生することがない。つまり、主熱交換器3は、気体から液体に相変化することなく燃焼ガスによって加熱される顕熱型熱交換器である。
【0013】
副熱交換器4は、潜熱型熱交換器であるが、図1、図3および図4に示すように、構造自体は顕在型熱交換器である主熱交換器3と同様である。すなわち、副熱交換器4は、互いに平行に配置された複数の水管4a(2本のみ図示)と、この水管4aの外周面に互いに離れた状態で嵌合され、ろう付け等によって固定された多数のフィンとを有している。勿論、水管4aおよびフィン4bは金属製であり、通常は銅で形成される。各水管4aの端部どうしは、U字状をなすベント管4c(1つのみ図示)によって接続されている。したがって、各水管4aは全体として連続した一つのの管を構成しており、図2に示すように、入水口4dには給水管10が接続され、出水口4eは主熱交換器3の入水口3cに接続されている。
【0014】
副熱交換器4は、図1に示すように、ハウジング1の上部の排気通路1a中に設置されている。したがって、副熱交換器4は、主熱交換器3によって熱が奪われた比較的低温の燃焼ガスによって加熱される。この場合、副交換器4の水管4aおよびフィン4bの表面温度は、100°C未満である。したがって、それらの表面には、燃焼ガスに含まれる水蒸気が結露して付着する。この結露水に燃焼ガス中の窒素酸化物および硫黄酸化物が溶解して生成される硝酸および硫酸等の酸によって水管4aおよびフィン4bが腐食されるのを極力防止するために、水管4aおよびフィン4bの表面には、図4に示すように、防食用の被覆層11が形成されている。この被覆層11は、フッ素樹脂やエポキシ樹脂等の有機樹脂またはシリコン系樹脂等の無機樹脂をコーティングすることによって形成されている。
【0015】
副熱交換器4の下側には、副熱交換器4から落下する結露水を受けるための結露水受け12が配置されており、結露水受け12によって受け止められた結露水は、ドレン管13を介してドレン処理装置30にドレンとして導入される。そして、このドレン処理装置30で中和された後、給湯装置の外部に排出される。なお、ドレン処理装置30の詳細な構成については後述する。
【0016】
上記構成において、出湯管9に接続された出湯栓(図示せず)を開くと、ガスバーナ2が点火され、給水管10を介して供給される水が、まず副熱交換器4で加熱され、その後主熱交換器3で加熱される。加熱された湯は、出湯管9を介して出湯栓に供給され、そこから出湯される。この場合、出湯温度は、制御ユニット19によって調節される。すなわち、制御ユニット19は、給水温センサ15によって検出された給水温度、水量センサ16によって検出された給水量(出湯量と同一)、出湯温センサ17によって検出された出湯温度、およびリモートコントローラ18によって設定された設定温度に基づいて、電磁比例弁6、電磁弁7および送風ファン8をフィードフォワード制御およびフィードバック制御し、出湯温度を設定温度に調節する。
【0017】
ここで、ガスバーナ2の燃焼中には、副熱交換器4の水管4aおよびフィン4bに結露水が付着する。そして、結露水に燃焼ガス中の窒素酸化物および硫黄酸化物が溶け込んで硝酸および硫酸等が酸が形成される。このため、被覆層11にピンホール11a(図4参照)が存在すると、水管4aおよびフィン4bがピンホール11aに面する箇所から腐食されるおそれがある。そこで、この副熱交換器4には、腐食防止装置20が設けられている。
【0018】
腐食防止装置20は、図3に示すように、筒体(絶縁体)21、陽極棒(陽極)22および直流電源23を備えている。これらは、次のようにして熱交換器4に設けられている。
【0019】
すなわち、各フィン4bには、4つの水管4aの間に位置する箇所に貫通孔24が形成されている。各フィン4bに形成された貫通孔24は、水管4aと平行に一列状に配置されたものが一組になっており、そのような組が複数組形成されている。各組の貫通孔24には、筒体21がそれぞれ挿通固定されている。各筒体21の内部には、陽極棒22がそれぞれ挿通されている。各陽極棒22には、直流電源23の正の電極が接続されている。直流電源23の負の電極は、いずれかの水管4aに接続されている。なお、各水管4aは、各フィン4bと接触することにより、各フィン4bに電気的に接続されるとともに、各フィン4bを介して他の水管4aにも電気的に接続されている。したがって、直流電源23の負の電極は、他の水管4aまたはいれかのフィン4bに接続してもよい。
【0020】
上記筒体21は、陽極棒22が水管4aまたはフィン4bに接触して電気的に短絡状態で接続されるのを防止するためのものである。そこで、筒体21は電気的な絶縁材で構成されている。しかも、筒体21は、フィン4bに付着した結露水が筒体21内に入り込むのを許容し、内部に入り込んだ結露水を介して陽極棒22とフィン4bと電気的に接続するためのものである。したがって、筒体21は、通水性を有するものであることが必要である。このような絶縁性と通水性とを備えたものとしては、例えば多孔質のセラミックからなる筒体があるが、ここでは、ガラス繊維を編んだ形成した筒体が用いられている。ガラス繊維は、電気的な絶縁性に富むのみならず、硝酸、硫酸等の酸に対する防食性に富み、しかもそれを編んだ場合には、編み目から結露水が内部に入り込むことができるからである。
【0021】
上記陽極棒22は、硝酸、硫酸等の酸に不溶性である材料によって形成される。例えば、炭素、白金、ステンレス鋼等によって形成される。また、陽極棒22は、この実施の形態では、筒体21の内径より小径に形成され、その両端部以外は筒体21に対して離れているが、陽極棒22を筒体21の内径とほぼ同径にし、陽極棒22の外周面を筒体21の内周面に接触させるようにしてもよい。そのようにした場合には、結露水の量が少ないときにも、陽極棒22とフィン4bとを結露水を介して確実に接続することができる。
【0022】
上記直流電源23としては、電池を用いてもよいが、定電圧回路または定電流回路を用いるのが望ましい。その理由は後述する。
【0023】
上記構成の腐食防止装置20においては、ガスバーナ2が燃焼して副熱交換器4の水管4aおよびフィン4bに結露水が付着すると、結露水が入り込んだピンホール11a内に水管4aまたはフィン4bを正極とする局部電池が形成され、この局部電池によって水管4aまたはフィン4bの表面が腐食される。しかるに、水管4aおよびフィン4bにには、直流電源23の負の電極を接続されているので、局部電池の起電力が0になる。したがって、水管4aおよびフィン4bの腐食が防止される。なお、直流電源4aの電圧は、実験等により、局部電圧の起電力を0にすることができるような電圧に予め設定される。
【0024】
次に、上記ドレン装置30について説明すると、ドレン装置30は、図1に示すように、容器31を備えている。この容器31は、上部が開口した容器本体31aと、この容器本体31aの上端開口部を覆う蓋体31bとから構成されており、その内部には蓋体31bを貫通したドレン管13が挿入されている。そして、容器31内には、副熱交換器(潜熱型熱交換器)4において発生したドレンがドレン13管を介して導入されるようになっている。なお、導入されたドレンの一部は、後述する電極32,33間において中和処理された後、溢流口31cから溢れ出て、給湯装置の外部に排出される。また、符号31dは、酸の中和時に発生する水素等のガスを外部に排出するための排気口である。
【0025】
容器31の蓋体31には、一対の電極32,33が上下に貫通し、かつ水平方向に対向して配置されている。一対の電極32,33の下部は、ドレン中に浸漬されている。一方の電極32は、ドレン中の酸に溶解する金属、例えばアルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)またはそれらの合金によって形成されている。他方の電極33は、酸に不溶性の材料、例えばチタン(Ti)、炭素(C)、白金メッキチタン、ステンレス鋼等によって形成されている。
【0026】
一対の電極32,33には、電源回路(直流電源)34が接続されている。この電源回路34は、電極32,33に直流を流すためのものであり、正負の極性を変換可能である。ドレンの中和処理時には、電源回路34の正極が電極32に接続され、負極が電極33に接続される。中和処理終了後は、電極の極性が逆になり、正極が電極33に接続され、負極が電極32に接続される。この正負の電極の変換は、上記制御ユニット19によって行われる。
【0027】
上記構成のドレン処理装置30において、いま給湯装置のガスバーナ2が点火されると、制御ユニット19によって電源回路34を駆動され、電極32,33間に通電される。勿論、このときには、電極32が陽極とされ、電極33が陰極とされる。したがって、ドレン管13を介して容器31に導入されたドレンが中和される。中和反応は周知であるが、これを電極32がアルミニウムで形成され、ドレン中に硝酸および硫酸が生成されている場合を例にして説明すると、
陽極において
Al→Al3++3e-
と反応し、
陽極において
2H++2e-→H2
と反応する結果、
2Al3++3SO4 2-→Al2(SO4)3
Al3++3NO3 -→Al(NO3)3
と反応し、ドレンの酸性度がPH6程度になる。
【0028】
ここで、電源回路34から電極32,33に供給される電流の量は、制御ユニット19によりバーナ2の燃焼量に基づいて調節される。すなわち、燃焼ガス中の窒素酸化物の割合は、燃焼量によって異なるとともに、バーナ2の種類によっても異なる。例えば、あるバーナにおいては、窒素酸化物の割合が、最大燃焼時に60ppmで、最小燃焼時に120ppmであり、燃焼量に応じて変化する。したがって、ドレンの酸性度もバーナ2の燃焼量に応じて変化することになり、それに対応して中和に必要な電流値を調節する必要がある。そこで、この処理装置30においては、電極32,33間の通電量をバーナ2の燃焼量に基づいて演算し、その演算された通電量だけ電極32,33間に流すようにしている。この場合、バーナ2の燃焼量は、電磁比例弁6の開度、送風ファン8の回転速度等によって検出することができる。また、中和に通電量の演算は、バーナ2の燃焼量と窒素酸化物の割合との関係を示すマップを予め作成しておき、そのマップから求めることができる。
【0029】
このように、処理装置30においては、電極32,33間に流す電流の通電量をバーナ2の燃焼量に応じて調節しているので、通電量に過不足が発生することがない。したがって、ドレンが所定の酸性度より高い状態で排出されるのを防止することができるのは勿論のこと、処理後のドレンの酸性度をほぼ一定にすることができる。しかも、電極32が必要以上に酸と反応することがないので、早期に消耗するのを防止することができる。
【0030】
また、この処理装置30においては、バーナ2の燃焼停止後も、電極32,33間に中和用の電流を流している(以下、後処理という。)。これは、バーナ2の燃焼停止後においても副熱交換器4には結露水が付着しており、その結露水がドレン管13を介して容器31に流入する。このため、バーナ2の燃焼停止後、直ちに電極32,33に対する通電を停止すると、燃焼停止後に容器31に流入したドレンが中和処理されないまま排出されてしまうからである。
【0031】
ただし、副熱交換器4に付着した結露水は、バーナ2の燃焼停止後、時間の経過とともに乾燥して無くなる。したがって、後処理は、結露水が乾燥して容器31に流入しなくなるまでの間に限定する必要がある。さもなければ、電極32を無駄に消耗させてしまうからである。
【0032】
後処理の停止は、例えば次の第1、第2のいずれかの方法によって決定することができる。
第1の方法は、燃焼停止時におけるバーナ2の燃焼量に基づいて決定するものである。副熱交換器4に付着する結露水の量は、バーナ2の燃焼量に応じて変化し、結露水の量に応じて結露水が容器31に流入しなくなるまでの時間が変化する。したがって、バーナ2の燃焼量と結露水が容器31に流入しなくなるまでの時間との関係を実験等によって予め求めておけば、バーナ2の燃焼終了時の燃焼量に基づいて、燃焼を停止してから通電を停止するまでの後処理時間を決定することができる。
【0033】
第2の方法は、上記腐食防止装置20の直流電源23として用いられる定電圧回路または定電流回路に流れる電流または電圧の大きさに基づいて定めるものである。
【0034】
直流電源23として定電圧回路を用いた場合、副熱交換器4に付着している結露水が乾燥しすると、それに伴って容器31に流入するドレンの流入量が減少するとともに、定電圧回路を流れる電流の減少する。したがって、結露水が乾燥して容器31に流入しなくなるときの定電圧回路の電流値を予め求めておけば、定電圧回路に流れる電流値を電流検出手段によって検出し、これが予め求められた電流値になったか否かによって中和用の通電を停止させるべきか否かを決定することができる。しかも、結露水が乾燥して容器31へのドレンの流入量が減少すると、それに応じて定電圧回路に流れる電流の大きさが小さくなるので、定電圧回路の電流の減少に応じて電極32,33に対する通電量を減少させることにより、容器31に流入するドレンの量に対応した量の電流を電極32,33間に流すことができる。これにより、容器31内に流入したドレンの酸性度をほぼ一定にすることができるとともに、電極32の無駄な消耗を防止することができる。
【0035】
一方、直流電源として定電流回路を用いた場合には、副熱交換器4に付着している結露水が乾燥すると、それに伴って容器31に流入するドレンの流入量が減少するとともに、定電流回路を流れる電流の電圧が上昇する。したがって、結露水が乾燥して容器31に流入しなくなるときの定電流回路の電圧値を予め求めておけば、定電流回路に流れる電流の電圧を電圧検出手段によって検出し、これが予め求められた電圧値になったか否かによって中和用の通電を停止させるべきか否かを決定することができる。しかも、結露水が乾燥して容器31へのドレンの流入量が減少すると、それに応じて定電流回路に流れる電流の電圧が高くなるので、定電流回路の電圧の上昇に応じて電極32,33に対する通電量を減少させることにより、容器31に流入するドレンの量に対応した量の電流を電極32,33間に流すことができる。これにより、容器31内に流入したドレンの酸性度をほぼ一定にすることができるとともに、電極32の無駄な消耗を防止することができる。
なお、定電圧回路または定電流回路のいずれを用いる場合においても、後処理を停止させるか否かの判断、および後処理時の通電量は制御ユニット19によって制御される。
【0036】
上記のようにして後処理が終了した後、この処理装置30においては、制御ユニット19により、電源回路34の極性が逆転される。つまり、電極32に接続される電源回路34の電極が負の電極とされ、電極33に接続される電源回路34の電極が正の電極される。このように、電極32を陰極とし、電極33を陽極とすると、電極32が腐食によって消耗するのを防止することができる。すなわち、電極32を形成する金属は、酸に溶融する金属であるため、放置すると徐々に腐食する。これは、電極32の近傍に電極32を陽極とする局部電池が発生することによるものである。しかるに、電極32を電源回路34の負の電極に接続すると、局部電池の起電力が電源回路34によって打ち消される。したがって、電極32の腐食を防止し、その消耗を抑えることができる。
【0037】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態は、潜熱型熱交換器である副熱交換器4をガスバーナ2で加熱する場合のものであるが、この発明は石油バーナで加熱する場合であってもを適用可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の態様に係る発明によれば、ドレンの中和処理後に電極が無駄に消耗するのを防止することができるという効果が得られる。
第2の態様に係る発明によれば、一対の電極間に対する通電量を中和処理すべきドレンの酸性度に応じて過不足なく調節することができ、これによって電極の早期消耗を防止することができるとともに、処理後のドレンの酸性度をほぼ一定に維持することができるという効果が得られる。
第3、第4、第5の態様に係る発明によれば、バーナの燃焼停止後の中和電流の通電を過不足なく行うことができ、これによってドレンが中和処理されないまま外部に排出されるのを防止することができるとともに、電極の早期消耗を防止することができ、さらに後処理時間を過不足なく定めることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るドレン処理装置の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1に示すドレン処理装置が用いられたガス給湯装置全体の概略構成を示す図である。
【図3】図2に示すガス給湯装置に用いられている潜熱型熱交換器を示す斜視図である。
【図4】図3のX−X線に沿う一部省略拡大断面図である。
【符号の説明】
4 副熱交換器(潜熱型熱交換器)
19 制御ユニット
20 腐食防止装置
23 直流電源(定電圧回路、定電流回路)
30 ドレン処理装置
31 容器
32 電極
33 電極
34 電源回路(直流電源)
Claims (4)
- 潜熱型熱交換器において発生した結露水がドレンとして導入される容器と、この容器にそれぞれ設けられた一対の電極と、この一対の電極に接続された直流電源とを備え、上記直流電源の正極に接続された電極を形成する金属とドレン中の酸とを反応させてドレンを中和させる潜熱型熱交換器用ドレン処理装置において、
上記ドレンを中和させるのに必要な通電量を上記潜熱型熱交換器を加熱するためのバーナの燃焼量に基づいて演算し、この演算された量の電流を上記一対の電極間に流すことを特徴とする潜熱型熱交換器用ドレン処理装置。 - 潜熱型熱交換器において発生した結露水がドレンとして導入される容器と、この容器にそれぞれ設けられた一対の電極と、この一対の電極に接続された直流電源とを備え、上記直流電源の正極に接続された電極を形成する金属とドレン中の酸とを反応させてドレンを中和させる潜熱型熱交換器用ドレン処理装置において、
上記バーナの燃焼終了後に上記中和電流を流すべきか否かを判断する判断部を有し、この判断部が上記バーナの燃焼終了後の中和用の電流を上記バーナの燃焼終了時の燃焼量に基づいて演算し、その演算された後処理時間だけ中和用の電流を流し続けることを特徴とする潜熱型熱交換器用ドレン処理装置。 - 潜熱型熱交換器において発生した結露水がドレンとして導入される容器と、この容器にそれぞれ設けられた一対の電極と、この一対の電極に接続された直流電源とを備え、上記直流電源の正極に接続された電極を形成する金属とドレン中の酸とを反応させてドレンを中和させる潜熱型熱交換器用ドレン処理装置において、
上記バーナの燃焼終了後に上記中和電流を流すべきか否かを判断する判断部と、潜熱型熱交換器に発生するドレンを介して潜熱型熱交換器に電気的に接続されるように、上記潜熱型熱交換器に近接して配置され、ドレン中の酸に溶解する金属からなる防食用電極と、この防食用電極に正極が接続され、上記潜熱型熱交換器に負極が接続された定電圧回路とをさらに備え、上記定電圧回路に流れる電流が所定の大きさ以下であると上記判断部が判断するまで、上記バーナの燃焼終了後に中和用の電流を流し続けることを特徴とする潜熱型熱交換器用ドレン処理装置。 - 潜熱型熱交換器において発生した結露水がドレンとして導入される容器と、この容器にそれぞれ設けられた一対の電極と、この一対の電極に接続された直流電源とを備え、上記直流電源の正極に接続された電極を形成する金属とドレン中の酸とを反応させてドレンを中和させる潜熱型熱交換器用ドレン処理装置において、
上記バーナの燃焼終了後に上記中和電流を流すべきか否かを判断する判断部と、潜熱型熱交換器に発生するドレンを介して潜熱型熱交換器に電気的に接続されるように、上記潜熱型熱交換器に近接して配置され、ドレン中の酸に溶解する金属からなる防食用電極と、この防食用電極に正極が接続され、上記潜熱型熱交換器に負極が接続された定電流回路とをさらに備え、上記定電流回路の電圧が所定の大きさ以上であると上記判断部が判断するまで、上記バーナの燃焼終了後に中和用の電流を流し続けることを特徴とする潜熱型熱交換器用ドレン処理装置。
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