JP3879304B2 - 低NOx燃焼装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として家庭用又は業務用の燃焼装置において特に超低NOx化を図った燃焼装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の低NOx燃焼装置の第一の例としては特開平1−219406号公報に記載されているようなものが一般的であった。この低NOx燃焼装置は希薄混合気を燃焼室内に噴出供給する淡バーナと、淡バーナの両側に濃混合気を噴出供給する濃バーナが交互に配置するように構成されている。
【0003】
そして上記淡バーナから供給された淡希薄混合気は、燃焼室内で火炎温度が低く、従って低NOxではあるが自身は不安定な希薄火炎を形成する。また濃バーナから供給された濃混合気は燃焼室内で火炎温度が高く従って高NOxだが自身は安定な濃火炎を形成し、近接した希薄火炎に熱エネルギーを供給して燃焼反応を促進させることにより全体として安定ないわゆる濃淡燃焼を実現する。そして淡バーナの燃焼割合を濃バーナより大きく設定し、全体として低NOx化を図っていた。
【0004】
また第二の例として混合気濃度を段階的に変化させ、低NOx化を図った全一次式の燃焼装置が特公昭57−12923号公報に記載されている。この装置は図7に示すように中央炎口部1から周辺炎口部2にむかって互いの希薄混合気室3を連通口4によって連通させ、徐々に燃料を供給し希薄混合気室3の混合気濃度を段階的に濃くする構成になっている。
【0005】
そして上記中央炎口部1で形成された超希薄火炎を周囲のやや濃度の高い希薄火炎である程度安定化させ、それぞれ順次濃度が濃くなる希薄火炎で安定化するという全一次式の低NOx燃焼を実現する。
【0006】
さらに第三の例として混合気濃度を同様に段階的に変化させ低NOx化を図った濃淡燃焼式の燃焼装置が特開平7−310906号公報に記載されている。この装置は図8に示すように濃混合気室5に希薄混合気室(図示せず)から希薄炎口6につながる希薄混合気通路7のうち、仕切で区切られた区画8に向かい濃混合気噴射口9を設けた構成になっている。
【0007】
そして上記濃混合気室5から濃混合気噴射口9を通って仕切で区切られた区画8の希薄混合気通路7に向かい濃混合気を供給し、希薄炎口6の両端に中間濃度の中間炎Aと低流速の希薄火炎Bを形成し、主炎である希薄火炎Cを濃火炎Dの作用と共に安定化して低NOx化を図るものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の第一の例における低NOx燃焼装置では、希薄火炎を濃火炎の熱的エネルギーで安定化する方式であるため、濃バーナの燃焼割合を小さくすると希薄火炎が不安定となり、希薄混合気の燃焼割合を増加させ更にNOxの低減を図るには限界が存在するという課題があった。
【0009】
また上記図7に示す第二の例における低NOx燃焼装置では、中央炎口部1にも周辺炎口部2にも全一次燃焼をおこなう希薄火炎が形成されることになり、濃淡燃焼における濃火炎のような希薄火炎を安定化させる有効な手段を有しないため非常に微妙な燃料と空気の供給バランスが必要で、従って連通口4の構成にも高精度の加工が要求された。また高速で高精度の空気と燃料の流量制御が必要であった。更に全一次燃焼で不安定な希薄火炎を形成するため燃焼量の可変調節幅が小さく、燃焼量の高速変化への対応は燃料供給バランスが崩れやすいため困難であるという課題を有していた。
【0010】
更に第三の例の低NOx燃焼装置では、仕切で区切られた区画8の混合気濃度は濃混合気と希薄混合気が混合して中間濃度となり、形成される中間炎Aはちょうど燃焼速度が最も高くなる理論混合比に近い濃度となる。一方、中間炎Aの中間濃度の混合気は炎口からの噴出流速が最も小さくなる。従って中間炎は炎口に近接して炎口を加熱し、炎口赤熱や火炎が上流側に進行するバックを発生させる。そして低流速の中間炎Bも同様に炎口に近接し炎口を赤熱するため燃焼量の可変幅を大きくすることが困難となる。また隣接する炎口に希薄混合気の一部を供給し、燃料濃度を段階的に濃くしていく方式は図7と同様であり、従って主炎となる希薄火炎Cの安定性を決定する火炎基部は、低流速の希薄火炎Bが実質上の火炎基部を形成することになり、従って火炎温度が高くないため保炎効果は図7と同様に小さなものとなる。従ってこの点においても燃焼量の可変調節幅が小さくなったり、希薄火炎の燃焼割合を更に増加して一層の低NOx化を図るにも限界があった。
【0011】
このように従来の燃焼装置では中央部の炎口に向かって混合気の濃度が段階的で単調に変化して薄くなっていくという方式であって火炎の安定性に制約を受けており、更に低NOx化を図るために希薄火炎の燃焼割合を増加させることや希薄火炎の濃度を更に薄くすることには限界があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため希薄混合気を内包する希薄室と、希薄室と連通し希薄混合気を燃焼室内に流出供給する希薄炎口と、希薄室に隣接し燃料或いは高濃度混合気を内包する第一混合気室と、第一混合気室に連通し希薄炎口に近接して設けられた第一炎口と、第一混合気室に隣接し混合気を内包する第二混合気室と、第二混合気室に連通し第一炎口に近接して設けられた第二炎口を有し、第一混合気室の濃度を第二混合気室の濃度より濃くなるように構成したものである。
【0013】
技術課題のポイントとなる希薄火炎の安定性を決定づける火炎基部構造を詳細に調査した結果、上記構成によって第二炎口上に形成される濃火炎で第一炎口から供給される過濃混合気が熱分解を受け、化学的に活性な中間生成物が多量に発生し拡散によって希薄炎口の基部に供給されて基部の微小空間に燃焼反応が活発に行われる「高温・高反応域」が形成され、これにより希薄火炎が安定化されていることが分かった。そして物質拡散の基本であるフックの法則から推察されるように、第一混合気室と希薄室の濃度差が大きいほど、第一炎口からの噴出流速が小さいほど「高温・高反応域」が形成されやすいことが判明した。また第二炎口から供給される濃混合気により自身が安定な濃火炎を形成し、希薄火炎の反応を促進するので燃焼反応も完結する。従って希薄混合気の燃焼割合を増加させ、また希薄混合気の濃度を小さくすることができるので更に低NOx化が図られ、燃焼量可変幅の拡大や燃料が図られ、空気の高速変動にも追従して安定燃焼を実現できる。このように互いに濃度の異なる混合気を供給し超低NOx燃焼を実現する燃焼方式を、従来の濃淡燃焼と識別するため以後「多濃度燃焼」と呼ぶ。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に係る低NOx燃焼装置は、希薄混合気を内包する希薄室と、前記希薄室と連通し希薄混合気を燃焼室内に流出供給する希薄炎口と、前記希薄室に隣接し燃料或いは高濃度混合気を内包する第一混合気室と、前記第一混合気室に連通し前記希薄炎口に近接して設けられた第一炎口と、前記第一混合気室に隣接し混合気を内包する第二混合気室と、前記第二混合気室に連通し前記第一炎口に近接して設けられた第二炎口を有し、前記第一混合気室の濃度を前記第二混合気室の濃度より濃くした構成を有する。そして、第一炎口から流出した燃料或いは高濃度混合気が希薄炎口上に形成される希薄火炎の基部に拡散供給されて「高温・高反応域」を形成し希薄火炎を安定化するため、希薄混合気の燃焼割合を増加させ、また希薄混合気の濃度を小さくして超低NOx化を図ることができる。
【0015】
本発明の請求項2に係る低NOx燃焼装置は第一混合気室への燃料供給量を第二混合気室への燃料供給量よりも大きくした構成を有する。そして、第一混合気室の燃料が多くなると熱分解を受けて生成される活性な化学種の濃度が増加するため「高温・高反応域」が安定的に形成され、自身がNOxを発生する第二炎口上に形成される濃火炎の燃焼割合を低減することになるため、超低NOx燃焼を実現することができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る低NOx燃焼装置は希薄室への燃料供給量を第一混合気室と第二混合気室への燃料供給量の和よりも大きくした構成を有する。これによりNOx濃度が小さい希薄火炎の燃焼割合が増加し、自身が高濃度のNOxを発生する濃火炎の燃焼割合が低下するため、燃焼装置全体として低NOx燃焼を確実に実現することができる。
【0017】
本発明の請求項4に係る低NOx燃焼装置は第一炎口の炎口面積を第二炎口の炎口面積よりも大きくした構成を有する。そして、第一炎口から供給した燃料或いは高濃度混合気の流出速度は大きな炎口面積のため小さくなり、希薄火炎の基部に十分拡散供給されて着実に「高温・高反応域」の形成を実現でき、希薄火炎の燃焼割合が増加して希薄炎口からの噴出流速が増加しても安定化することができる。
【0018】
本発明の請求項5に係る低NOx燃焼装置は希薄炎口の流出する炎口面積は第一炎口の炎口面積又は第二炎口の炎口面積よりも大きくした構成を有する。そして、希薄火炎への燃料供給割合が大きくなり希薄混合気の流量が増加しても、希薄炎口の炎口面積が大きく設けられているため、希薄炎口からの噴出流速を低減することができ、「高温・高反応域」の安定形成が図られる。
【0019】
本発明の請求項6に係る低NOx燃焼装置は第二炎口の片側に第一炎口を設け、反対側に空気流を設けた構成を有する。そして、第二炎口上に形成される濃火炎が空気流によって酸素の供給を受け、第一炎口から流出する燃料或いは高濃度混合気は希薄火炎より酸素の供給を受けるため、燃焼装置全体で完全燃焼することができる。
【0020】
本発明の請求項7に係る低NOx燃焼装置は希薄室、第一混合気室、第二混合気室への燃料供給はそれぞれ互いに独立した供給系を設けた構成を有する。そして、互いに独立した供給系が各混合気室に最適の燃焼量割合の配分や混合比を設定することができるため、同一の燃焼装置で燃料の特性に合わせて最適の供給設定を容易に行うことができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0022】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の低NOx燃焼装置を示す全体断面図、図2は同低NOx燃焼装置の火炎形成状態を示す部分拡大図である。
【0023】
図1〜図2において、希薄バーナ10には希薄混合気を内包する希薄室11が希薄炎口12に連接しており、希薄バーナ10の両側には第一混合気室13を内包し第一炎口14に連接した第一バーナ15が密着して設けられている。第一バーナ15の外側には第二混合気室16を内包し第二炎口17に連接した第二バーナ18が同様に密着して設けられ、これら希薄バーナ10とその両側の第一バーナ15と更にその両側に設けられた第二バーナ18が一体化されてバーナブロック19を構成している。バーナケース20内にはこのバーナブロック19が複数個収納され燃焼室21と連接している。
【0024】
またバーナケース20の上流側には燃料を供給する燃料管22と燃焼用空気を供給するファン23が設けられている。ここで燃料管22及びファン23の下流側には希薄混合器24、第一混合器25、第二混合器26がそれぞれ分岐された供給系に設けられ、各混合器には、燃料系の中に希薄燃料調節手段27、第一燃料調節手段28、第二燃料調節手段29及び空気系の中に希薄空気調節手段30、第一空気調節手段31、第二空気調節手段32が介され各混合器に接続されている。
【0025】
そして希薄混合器24と希薄室11は希薄通路33で、第一混合器25と第一混合気室13は第一通路34で、第二混合器26と第二混合気室16は第二通路でそれぞれ接続されている。各通路には他のバーナブロック19に各混合気を供給する分岐路36が設けられている。また空気供給系は各混合器と接続する以外に空気調節手段37を介してバーナケース20に接続する空気路38が設けられている。
【0026】
次に動作、作用について説明すると、燃料管22から供給された燃料は3つに分岐され希薄燃料調節手段27、第一燃料調節手段28、第二燃料調節手段29で所定の分配比に調節された後希薄混合器24、第一混合器25、第二混合器26にそれぞれ供給される。またファン23から供給された燃焼用空気は一部が空気調節手段37で所定の流量に調節された後空気路38を通ってバーナケース20に供給され、各バーナブロック19との隙間を通過して燃焼室21に流出する。大部分の燃焼用空気は3つに分岐され希薄空気調節手段30、第一空気調節手段31、第二空気調節手段32で所定の分配比に調節された後希薄混合器24、第一混合器25、第二混合器26にそれぞれ供給される。
【0027】
そして大部分の燃料が希薄燃料調節手段27で、大量の燃焼用空気が希薄空気調節手段30で希薄混合器24に供給され均一な希薄混合気となって希薄通路33及び分岐路36を通って各バーナブロック19に設けられた希薄バーナ10の希薄室11に供給される。希薄室11に供給された希薄混合気は図2に示すように、希薄炎口12から燃焼室21内に噴出され火炎温度が低く極めてNOx濃度が低い希薄火炎Eを形成する。次に少量の燃料が第一燃料調節手段28で、極めて少量の燃焼用空気が第一空気調節手段31で流量調節され第一混合器25に供給され均一な過濃混合気となって第一通路34及び分岐路36を通って各バーナブロック19に設けられた第一混合気室13に供給される。第一混合気室13に供給された過濃混合気は第一炎口14から燃焼室21内に低速で流出し、熱分解を受けて多量の活性な化学種を生成しこの拡散供給によって希薄火炎の基部に燃焼反応が極めて活発な「高温・高反応域」αを形成し、大量の希薄火炎を両側の基部で安定化させる過濃火炎Fを形成する。
【0028】
また次に極めて少量の燃料が第二燃料調節手段29で、少量の燃焼用空気が第二空気調節手段32で流量調節され第二混合器26に供給され均一な濃混合気となって第二通路35及び分岐路36を通って各バーナブロック19に設けられた第二混合気室16に供給される。第二混合気室16に供給された濃混合気は第二炎口17から燃焼室21内に低速で流出し、安定した濃火炎Gを形成すると共に、第一バーナ15の過濃混合気を着火して過濃火炎Fを発生させ、同時にバーナブロック19間から供給される燃焼用空気で完全燃焼する。
【0029】
このように、これら3種類の混合気濃度を有する多濃度燃焼により従来の濃淡燃焼でも設けられていた自身が安定した濃火炎Gで過濃火炎Fを着火させ、多量の活性な反応化学種いわゆるラジカルを希薄火炎Fの基部に拡散供給して「高温・高反応域」αを形成し希薄火炎の安定化を大きく促進する。
【0030】
ここで第一燃料調節手段28及び第二燃料調節手段29により第二炎口よりも第一炎口の燃料流量を多く設定することにより活性化学種の生成量が増加し「高温・高反応域」αの形成領域も拡大して希薄火炎Eの安定性を更に増加させることが出来る。これにより図3に示すように、希薄火炎Eが吹き飛ぶ希薄12炎口からの限界噴出流速は、基部の安定化促進によって大幅に向上させることが出来た。
【0031】
また希薄燃料調節手段27と第一燃料調節手段28及び第二燃料調節手段29で第一混合気室13と第二混合気室16への燃料供給量の和よりも希薄室11への燃料流量を多く設定することにより、NOx濃度が低い希薄火炎の燃焼割合を増加させることが出来る。これにより図4に示す如く希薄火炎の燃焼割合を従来の点Sから点Rに増加させることができ更なる低NOx化を実現できる。
【0032】
また本実施例では第一バーナ15の幅を第二バーナ18の幅より大きく設けて、第一炎口14の炎口面積を第二炎口17の炎口面積よりも大きく構成されている。これにより第一炎口14から噴出される過濃混合気の流速が低下し、加熱分解で生成した活性化学種が下流に運ばれる割合が低下し、拡散によって希薄火炎の基部により多くの活性化学種が運ばれ上記と同様に図3で示した如く希薄火炎の安定性を大幅に向上させることが出来る。 また本実施例では希薄炎口12の面積を第一炎口14又は第二炎口17の炎口面積よりも大きく構成してある。これにより図3で示す如く希薄炎口12の噴出速度が低下するので希薄室11内の希薄混合気濃度をJ濃度からK濃度に薄くしても同様の希薄火炎の安定性を得ることが出来る。従って図5に示すようにNOxの生成濃度が濃度Jに対応した点Nから濃度Kに対応した点Pに移動して更なる低NOx化を実現することができる。
【0033】
また本実施例では空気調節手段37で調節され空気路38から供給された空気が各バーナブロック19の間を流れる。これにより第二炎口17上に形成された濃火炎はこの空気によって完全燃焼することが出来る。そして第一炎口14から供給された過濃混合気によって形成された「高温・高反応域」により希薄火炎が安定化されている。従って燃焼量が少ない領域では図6に示すように、従来燃焼設定点Tから強風などで空気量が増加し空気過剰率が大きくなった場合には希薄火炎が不安定となりHCなどの未燃生成物が急速に発生した。しかし本発明では完全燃焼する濃火炎により安定的に過濃混合気の熱分解で「高温・高反応域」を形成するためHCの発生を抑制できる。
【0034】
また本実施例では希薄室11、第一混合気室13、第二混合気室16への燃料供給はそれぞれ互いに独立した混合器24、25、26及び希薄通路33、第一通路34、第二通路35の供給系を設けてある。これにより供給する燃料の種類が異なった場合にはその燃料に最適の燃料分配比および各混合気の濃度を容易に再設定することが出来る。従って同一燃焼装置で各種の燃料を使用できる。
【0035】
なお第一混合気室13には少量の空気を含む過濃混合気を供給したが、第一空気調節手段31を閉じて燃料のみであっても同様の効果が実現できる。
【0036】
また各供給系には各々1つの混合器で混合気を作成し各バーナブロック19に分配したが、各バーナブロック19にそれぞれ混合器を設けてもよい。要は各炎口に供給される混合気がそれぞれ独立しておればよい。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように本発明の低NOx燃焼装置によれば次の効果が得られる。
【0038】
請求項1に係る低NOx燃焼装置は、第二炎口の濃火炎で第一炎口から流出した燃料或いは過濃混合気を点火させ、活性化学種を多量に発生させ希薄炎口上に形成される希薄火炎の基部に拡散供給して「高温・高反応域」を形成し希薄火炎を安定化するため、希薄混合気の燃焼割合を増加させ、また希薄混合気の濃度を小さくして超低NOx化を図ることができる。
【0039】
また、請求項2に係る低NOx燃焼装置は第一混合気室への燃料供給量を第二混合気室への燃料供給量よりも大きくしているので第一混合気室の燃料が多くなり「高温・高反応域」が安定的に形成され、自身がNOxを発生する第二炎口上に形成される濃火炎の燃焼割合を低減することになり、超低NOx燃焼を実現することができる。
【0040】
また、請求項3に係る低NOx燃焼装置は希薄室への燃料供給量を第一混合気室と第二混合気室への燃料供給量の和よりも大きくしているので低NOxとなる希薄火炎の燃焼割合が増加するため、超低NOx燃焼を確実に実現することができる。
【0041】
また、請求項4に係る低NOx燃焼装置は第一炎口の炎口面積を第二炎口の炎口面積よりも大きくしているので、第一炎口から供給した燃料或いは高濃度混合気の流出速度は大きな炎口面積のため小さくなり、希薄火炎の基部に十分拡散供給されて着実に「高温・高反応域」の形成を実現でき、希薄火炎を安定化することができる。
【0042】
また、請求項5に係る低NOx燃焼装置は希薄炎口の流出する炎口面積は第一炎口の炎口面積又は第二炎口の炎口面積よりも大きくしているので希薄火炎への燃料供給割合が大きくなり希薄混合気の流量が増加しても、希薄炎口からの噴出流速を低減することができ、「高温・高反応域」で安定化が図れる。
【0043】
また、請求項6に係る低NOx燃焼装置は第二炎口の片側に第一炎口を設け、反対側に空気流を設けているので第二炎口上に形成される濃火炎が空気流によって酸素の供給を受け第一炎口から流出する燃料或いは高濃度混合気は希薄火炎より酸素の供給を受けるため、燃焼装置全体で完全燃焼することができる。
【0044】
また、請求項7に係る低NOx燃焼装置は希薄室、第一混合気室、第二混合気室への燃料供給はそれぞれ互いに独立した供給系を設けているので互いに独立した供給系が各混合気室に最適の燃焼量割合の配分や混合比を設定することができるため、同一の燃焼装置で燃料の特性に合わせて最適の設定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における低NOx燃焼装置の全体断面図
【図2】同燃焼装置要部の部分拡大断面図
【図3】同燃焼装置における希薄濃度と吹き飛び現象との関係を説明する図
【図4】同燃焼装置における希薄燃焼割合とNOxとの関係を説明する図
【図5】同燃焼装置における混合気濃度とNOxの特性図
【図6】同燃焼装置における空気過剰率と排出濃度の特性図
【図7】従来の燃焼装置の部分断面図
【図8】従来の他の燃焼装置の部分断面図
【符号の説明】
11 希薄室
12 希薄炎口
13 第一混合気室
14 第一炎口
16 第二混合気室
17 第二炎口
33、34、35 互いに独立した供給系

Claims (7)

  1. 希薄混合気を内包する希薄室と、前記希薄室と連通し希薄混合気を燃焼室内に供給する希薄炎口と、前記希薄室に隣接し燃料或いは高濃度混合気を内包する第一混合気室と、前記第一混合気室に連通し前記希薄炎口に近接して設けられた第一炎口と、前記第一混合気室に隣接し混合気を内包する第二混合気室と、前記第二混合気室に連通し前記第一炎口に近接して設けられた第二炎口を有し、前記第一混合気室の濃度を前記第二混合気室の濃度より濃くした低NOx燃焼装置。
  2. 第一混合気室への燃料供給量を第二混合気室への燃料供給量よりも大きくした請求項1記載の低NOx燃焼装置。
  3. 希薄室への燃料供給量を第一混合気室と第二混合気室への燃料供給量の和よりも大きくした請求項1又は請求項2記載の低NOx燃焼装置。
  4. 第一炎口の炎口面積を第二炎口の炎口面積よりも大きくした請求項1、2又は3記載の低NOx燃焼装置。
  5. 希薄炎口の炎口面積を第一炎口の炎口面積又は第二炎口の炎口面積よりも大きくした請求項1〜4のいずれか1項記載の低NOx燃焼装置。
  6. 第二炎口の片側に第一炎口を設け、反対側に空気流を設けた請求項1〜5のいずれか1項記載の低NOx燃焼装置。
  7. 希薄室、第一混合気室及び第二混合気室への燃料供給はそれぞれ互いに独立した請求項1〜5のいずれか1項記載の低NOx燃焼装置。
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