JP3878000B2 - リバウンド低減剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路、鉄道、及び導水路等の法面において、露出した地山面へ急結コンクリートを吹き付ける際に使用するリバウンド低減剤及びそれを用いた吹付工法に関する。なお、本発明でいうコンクリートとは、セメントモルタルやセメントコンクリートを総称するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル掘削等露出した地山の崩落を防止するために、急結剤をコンクリートに配合した急結性コンクリートを用いた吹付工法が行われている(特公昭60−4149号公報)。この工法は、通常、掘削工事現場に設置した、セメント、骨材、及び水の計量混合プラントで吹付コンクリートを調製し、それをアジテータ車で運搬し、コンクリートポンプで圧送し、途中に設けた合流管で他方から圧送した急結剤と混合し、急結性吹付コンクリートとして地山面に所定の厚みになるまで吹き付ける工法である。
【0003】
しかし、急結剤を使用しても、急結性吹付コンクリートに充分に強い凝結力と地山面への付着力を得ることが困難であり、特に、湧水箇所に吹付けを行った場合等には、急結性吹付コンクリートの付着力が低下し、剥落が生じやすくなり、また凝結力や付着力が不良となる場合には、吹き付けたコンクリート又はその材料が跳ね返って付着しない、いわゆるリバウンドも多くなるという問題があった。
【0004】
このような急結性吹付コンクリートの吹き付け時のリバウンドを低減するために、特開2001−164897号公報、特開2001−213647号公報、特開平2001−226158号公報では、吹付材料やリバウンド低減剤に、リグニンスルホン酸塩や、ポリビニルアルコールとホウ素化合物の組み合わせ等の特定の高分子化合物を使用することを提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記各公報に記載された技術では、リバウンド低減効果を高めると、コンクリートの高粘度化による作業性の低下やコンクリートの凝結遅延が起こる等の問題があった。
【0006】
本発明の課題は、このような問題を解決し、急結性吹付コンクリートのリバウンド低減効果に優れたリバウンド低減剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の水溶性低分子化合物〔以下、化合物(A)という〕と、化合物(A)とは異なる第2の水溶性低分子化合物〔以下、化合物(B)という〕とを含有するリバウンド低減剤であって、化合物(A)及び化合物(B)の組合わせが、(1)両性界面活性剤から選ばれる化合物及びアニオン性界面活性剤から選ばれる化合物の組合わせ、(2)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物及びアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物の組合わせ、(3)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物及び臭化化合物から選ばれる化合物の組合わせ、から選択されるリバウンド低減剤に関する。
【0008】
また、本発明は、上記本発明のリバウンド低減剤及び急結剤を含有する吹付材料用添加剤、並びに上記本発明のリバウンド低減剤、急結剤及びセメントを含有する吹付材料に関する。
【0009】
また、本発明は、上記本発明のリバウンド低減剤の化合物(A)及び(B)の一方の化合物を含有するコンクリートと、急結剤と、上記本発明のリバウンド低減剤の化合物(A)及び(B)の他方の化合物とを、混合して吹き付ける吹付工法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のリバウンド低減剤に用いられる化合物(A)と化合物(B)は、上記(1)〜(3)の組み合わせから選ばれるが、化合物(A)の水溶液SA(20℃での粘度が100mPa・s以下のもの)と化合物(B)の水溶液SB(20℃での粘度が100mPa・s以下のもの)とを50/50の重量比で混合した水溶液の20℃における粘度が、混合前のいずれの水溶液の粘度よりも少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、更に好ましくは少なくとも10倍、より更に好ましくは少なくとも100倍、特に好ましくは少なくとも500倍高くすることができる化合物の組合せを選定することが好ましい。ここで、粘度は、20℃の条件でB型粘度計(Cローター、6r.p.mから12r.p.m)で測定されたものをいう。以下、特記しない限り、粘度はこの条件で測定されたものをいう。また、混合はそれぞれの水溶液を50/50の重量比で混合する。更に、本発明のリバウンド低減剤をコンクリートに添加するときの操作性の観点から、混合前の化合物(A)及び化合物(B)の水溶液の20℃における粘度が、それぞれ好ましくは50mPa・s以下、更に好ましくは10mPa・s以下で、両液を混合したときに同様の増粘効果を発現することが望ましい。また、化合物(A)と化合物(B)とを混合した水溶液は、室温において、水中に、単分子又は会合体・ミセル・液晶等の構造体を形成した状態又はそれらの混在した状態であることが好ましい。
【0011】
本発明のリバウンド低減剤においては、化合物(A)及び(B)の水溶液の20℃における粘度と両者を混合したときの粘度が上記要件を満たしている範囲で、化合物(A)及び(B)の濃度を決めることが好ましく、化合物(A)及び(B)を特定した場合に好ましい範囲を決めることができるが、コンクリートに添加する場合の濃度範囲を広く選択できることを考慮して、それぞれが、0.01〜50重量%の範囲で濃度を決めることができる化合物(A)及び(B)を選ぶことが好ましい。
【0012】
化合物(A)及び(B)は、(1)〜(3)の何れの場合も、作業性及びスラリー系の分散性の安定性の観点から、それぞれ分子量が1000以下、好ましくは700以下、更に好ましくは500以下、また重合体の場合は重量平均分子量が500未満、好ましくは400以下、更に好ましくは300以下であることが好ましく、下限としては40以上、特に60以上が好ましい。また、化合物(A)の水溶液と化合物(B)の水溶液との混合液も室温において、水中に、単分子又は会合体・ミセル・液晶等の構造体を形成した状態及びそれらの混在した状態で、水と相分離しないことが好ましい。
【0013】
本発明のリバウンド低減剤は、化合物(A)及び(B)の組合わせが、(1)両性界面活性剤から選ばれる化合物及びアニオン性界面活性剤から選ばれる化合物の組合わせ、(2)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物及びアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物の組合わせ、(3)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物及び臭化化合物から選ばれる化合物の組合わせ、から選ばれる。
【0014】
両性界面活性剤から選ばれるものとして、ベタイン型両性界面活性剤が好ましく、ドデカン酸アミドプロピルベタイン・オクタデカン酸アミドプロピルベタイン・ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられ、粘度発現の観点からドデカン酸アミドプロピルベタインが好ましい。
【0015】
アニオン性界面活性剤から選ばれるものとして、エチレンオキサイド付加型アルキル硫酸エステル塩型界面活性剤が好ましく、POE(3)ドデシルエーテル硫酸エステル塩、POE(2)ドデシルエーテル硫酸エステル塩、POE(4)ドデシルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられ、塩はナトリウム塩等の金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。なお、POEはポリオキシエチレンの略であり、( )内はエチレンオキサイド平均付加モル数である(以下同様)。
【0016】
これらの中でも、スラリーの水相中の固形分濃度が20重量%以下でも効果を発現するドデカン酸アミドプロピルベタインとPOE(3)ドデシルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミンもしくはPOE(3)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウムの組合わせが好ましい。
【0017】
カチオン性界面活性剤から選ばれるものとして、4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤が好ましく、4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤としては、構造中に、10から26個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖アルキル基を、少なくとも1つ有しているものが好ましい。例えば、アルキル(炭素数10〜26)トリメチルアンモニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)ピリジニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)イミダゾリニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)ジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、タロートリメチルアンモニウムクロライド、タロートリメチルアンモニウムブロマイド、水素化タロートリメチルアンモニウムクロライド、水素化タロートリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルプロピルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、1,1−ジメチル−2−ヘキサデシルイミダゾリニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。水溶性と増粘効果の観点から、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(例えば花王(株)製コータミン60W)、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド等が好ましい。
【0018】
アニオン性芳香族化合物から選ばれるものとして、芳香環を有するカルボン酸及びその塩、ホスホン酸及びその塩、スルホン酸及びその塩が挙げられ、具体的には、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸等であり、これらは塩を形成していていも良く、これらを2種以上併用してもよい。ただし、重合体である場合は、重量平均分子量500未満であることが好ましい。
【0019】
臭化化合物から選ばれるものとして、無機塩が好ましく、NaBr、KBr、HBr等が挙げられる。
【0020】
本発明においては、化合物(A)と化合物(B)とが会合体を形成し易いという観点から、化合物(A)が4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤から選ばれるものであり、化合物(B)がアニオン性芳香族化合物から選ばれるものである組合わせが特に好ましい。この組合わせでは、それぞれが濃厚な水溶液でも粘性が低く、また、コンクリートの水相中のリバウンド低減剤の有効分濃度が10重量%以下でも優れたリバウンド低減効果を発現し、また、それぞれが濃厚な水溶液でも粘性が低く、添加時の作業性からも好ましい。この組み合わせでは、極めて低い添加量でコンクリートのリバウンド低減を達成することができ、更に、イオン強度の高いコンクリート系においても、同様の効果を発現することができ、コンクリート系によっては、特に水相と接触した場合の材料分離抵抗性が非常に安定するという、従来のリバウンド低減剤の使用では得ることのできなかった効果を発現する。
【0021】
また、化合物(A)がアルキル(炭素数10〜26)トリメチルアンモニウム塩であり、化合物(B)が芳香環を有するスルホン酸塩である組み合わせが特に好ましく、コンクリートの水相中の有効分濃度が5重量%以下でも効果を発現する。特に、これらの中でも硬化遅延を起こさない観点から、化合物(B)としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、スチレンスルホン酸又はこれらの塩が好ましく、特に、p−トルエンスルホン酸又はその塩が好ましい。
【0022】
本発明に係るリバウンド低減剤として、化合物(A)と化合物(B)とを併用することで優れたリバウンド低減効果が得られるのは、以下の理由によると考えられる。
【0023】
すなわち、本発明の化合物(A)と化合物(B)との組み合わせでは、両者を混合した時に、水相中に短時間でミセル会合体を均一に形成し、コンクリートに安定的に粘性(付着性)を付与できるものと考えられる。また、ミセル会合体により、高い粘弾性がバインダーとしての役割を担うモルタルに付与されるため、骨材や鋼繊維を強固につなぎ止める作用を有するものと考えられる。
【0024】
化合物(A)として両性界面活性剤から選ばれるものを、化合物(B)としてアニオン性界面活性剤から選ばれるものを使用する場合や、化合物(A)としてカチオン性界面活性剤から選ばれるものを、化合物(B)としてアニオン性芳香族化合物から選ばれるもの又は臭化化合物から選ばれるものを使用する場合は、各化合物単独の濃厚な水溶液でも粘性が低いので、コンクリート系への添加前の水溶液の濃度を好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40重量%以上にしておくことにより、貯蔵タンクを小型化できる等の生産性を向上することができる。水への溶解性の観点から、濃度の上限は50重量%以下が好ましい。
【0025】
本発明に係るリバウンド低減剤には、本改質剤の性能に支障がなければ他の成分、例えば、分散剤、AE剤、遅延剤、早強剤、促進剤、気泡剤、発泡剤、消泡剤、防錆剤、着色剤、防黴剤、ひび割れ低減剤、膨張剤、染料、顔料等を含有していてよい。
【0026】
本発明のリバウンド低減剤は、セメントに対して、化合物(A)と化合物(B)の合計で0.05〜20重量%、更に0.1〜10重量%、特に0.2〜5重量%となるように用いるのが好ましい。
【0027】
本発明は、上記本発明のリバウンド低減剤及び急結剤を含有する吹付材料用添加剤を提供する。本発明で使用される水和反応を促進させコンクリートの流動性を低下させる効果のある急結剤は特に制限されるものでなく、無機塩系としてはアルカリ金属アルミン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、及び珪酸塩などが、セメント鉱物系としては、カルシウムアルミネートやカルシウムサルホアルミネートなどが、有機系としては、トリエタノールアミンやグリセリンなどが挙げられ、粉末状、スラリー状、或いは液状のいずれの状態でも使用可能である。中でも凝結性状や強度発現性等が良好な点でカルシウムアルミネートを含有するものが好ましい。急結剤の使用量は、無機塩系急結剤の場合、セメント重量に対して1〜25重量%、更に3〜10重量%が好ましく、セメント鉱物系急結剤の場合、3〜30重量%、更に5〜20重量%が好ましい。この範囲において、初期凝結が充分で、リバウンドやコンクリートの剥落も抑制でき、また長期強度発現性も良好となる。
【0028】
本発明は、更に上記本発明のリバウンド低減剤、急結剤及びセメントを含有する吹付材料を提供する。本発明で使用するセメントとしては、通常市販されている普通、早強、及び超早強等の各種ポルトランドセメント、これらのポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグなどを混合した各種混合セメント等が挙げられ、これらを微粉末化して使用することも可能である。そして、吹付施工に要求されるリバウンド率や粉塵量の低減、圧送性、及び強度発現性等の性能や施工条件により適したセメントの選択が可能であるが、一般的に使用が可能な普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントの使用が好ましい。また、フルオロカルシウムアルミネートを含有するフルオロセメントも本発明ではセメントとして使用可能であり、さらに、3CaO・SiO2、2CaO・SiO2、3CaO・Al2O3、及び4CaO・Al2O3・Fe2O3と示されるセメント中の鉱物組成の含有量を変更して焼成したセメントクリンカーに、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び硫酸カルシウム等を配合した特殊セメントも本発明ではセメントとして使用可能である。
【0029】
更に、本発明では急結性コンクリート硬化体の耐衝撃性や弾性向上の点から、吹付材料に繊維状物質を配合することが好ましい。無機質の繊維状物質としては、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール、セラミック繊維及び金属繊維などが挙げられる。有機質の繊維状物質としては、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリル繊維、セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、パルプ及び麻などが挙げられる。これらの中で経済性や効果の点から金属繊維やビニロン繊維が好ましい。繊維状物質の長さは圧送性や混合性の点から50mm以下、好ましくは30mm以下である。繊維状物質の使用量は、コンクリート100容量部に対して0.5〜10容量部が好ましい。この範囲において耐衝撃性や弾性が良好となり、また、圧送性も損なわれない。
【0030】
本発明の吹付材料においては、前記各材料の他に、砂や砂利等の骨材、凝結調整剤、AE剤、消泡剤、防錆剤、SBRやポリアクリレート等の高分子エマルジョン、酸化カルシウムや水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、硫酸アルミニウムやアルカリ金属硫酸塩、ベントナイト等の粘土鉱物、ゼオライト、ハイドロタルサイト及びハイドロカルマイト等のイオン交換体、無機リン酸塩及びホウ酸等の1種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
【0031】
本発明のリバウンド低減剤を用いた吹付工法としては、乾式吹付け工法や湿式吹付け工法が使用可能である。乾式吹付け工法とは例えば、セメントや骨材を混合して空気圧送し、水とリバウンド低減剤と急結剤を合流混合して吹付ける方法である。また、湿式吹付け工法とは予めセメント、骨材及び水を混合してコンクリートとし、これを空気圧送してリバウンド低減剤と急結剤を合流混合して吹付ける工法である。粉塵量が少ない湿式吹付け工法が好ましい。
【0032】
特に、本発明のリバウンド低減剤を用いた吹付工法としては、化合物(A)と化合物(B)の水溶液を混合した時に、粘度が上昇する特徴があるので、作業性の観点から、
(I)本発明のリバウンド低減剤の化合物(A)、(B)のうち、一方の化合物を含有するコンクリート、
(II)急結剤、
(III)本発明のリバウンド低減剤の化合物(A)、(B)のうち、他方の化合物
の3成分を、好ましくは吹き付け直前に、混合して吹き付ける吹付工法が挙げられる。更に、(2)の急結剤に(3)の他方の化合物を混合して(1)のコンクリートと混合する方法が好ましい。
【0033】
本発明の吹付工法は、従来の吹付設備により実施可能である。吹付設備は吹き付けが支障なく行われればよく、例えば、コンクリートの圧送にはアリバ社製、商品名「アリバ280」等が、急結剤の圧送にはちよだ製作所製、商品名「ナトムクリート」等が、急結剤スラリーの圧送にはプツマイスター社製商品名「アンコマットポンプ」等が使用可能である。
【0034】
また、粉末急結剤に加水するには、一般的な水ポンプが使用でき、圧送空気と一緒に加水する方法が可能である。また、急結剤を圧送する圧縮空気の圧力は、コンクリートが急結剤の圧送管内に侵入して圧送管が閉塞しないように、コンクリートの圧送圧力より0.01〜0.3MPa大きいことが好ましい。コンクリートの圧送速度は4〜20m3/時間が好ましい。更に、急結剤とコンクリートとの合流点は混合性をよくするため、管の形状や内壁をらせん状や乱流状態になりやすい構造とすることが可能である。
【0035】
また、本発明において、セメント、骨材、水等を混合する装置としては、既存の撹拌装置が使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、V型ミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウタミキサ等が挙げられる。
【0036】
【実施例】
各材料の単位量がセメント400kg/m3、水200kg/m3、細骨材1240kg/m3及び粗骨材544kg/m3のコンクリート100容量部に対して繊維質1容量部を添加したコンクリートを調製し、圧送速度10m3/h、圧送圧力0.35MPaの条件下でコンクリート圧送機「アリバ280」で圧送した。コンクリートの使用材料は以下の通りである。また、リバウンド低減剤は表1に示す化合物を表2のような組み合わせで用いた。その際、化合物(B)を予めコンクリートに混合し、化合物(A)を予め急結剤に混合して使用した。化合物(A)を含有する急結剤に所定の水を圧縮空気と一緒に加圧条件下で加え、急結剤スラリーとした。これを吹付ノズルの手前に設けた混合管に、コンクリート中のセメント100重量部に対して急結剤が6重量部となるように吹き込み、急結性コンクリートとし、模擬トンネルに吹き付けてリバウンド率、ダレについて以下の方法で評価した。なお、リバウンド低減剤の量は表2に示す量になるように調整した。結果を表2に示す。
【0037】
<コンクリート使用材料>
・セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、密度3.16g/cm3
・細骨材:千葉県君津産山砂、表乾密度2.62g/cm3
・粗骨材:高知県鳥形山産石灰砕石、表乾密度2.71g/cm3
・急結剤:アルミン酸カルシウム系、市販品
・繊維:鋼繊維、密度7.80g/cm3、市販品。
【0038】
<測定方法>
(1)リバウンド率
急結性コンクリートを10m3/hの圧送速度で5分間、高さ4.5m、幅5.5mの模擬試験体に吹き付けた。吹き付け終了後、付着せずに落下した急結性コンクリートと鋼繊維の重量を測定した。コンクリート又は繊維のリバウンド率を以下の式により算出した。
リバウンド率(%)=〔(吹付けの際に付着せずに落下した急結性コンクリート又は鋼繊維の量)/(吹付けに使用した全体の急結性コンクリート又は鋼繊維の量)〕×100。
【0039】
得られたリバウンド率により、以下の基準で評価した。
(コンクリート)
◎:リバウンド率が8%未満
○:リバウンド率が8%以上10%未満
△:リバウンド率が10%以上13%未満
×:リバウンド率が13%以上
(鋼繊維)
◎:リバウンド率が13%未満
○:リバウンド率が13%以上15%未満
×:リバウンド率が15%以上。
【0040】
(2)ダレ
急結性コンクリートを吹付けた後の状態を観察し、ダレが生じなかったものを○、少し(3割未満)生じたものを△、多く(3割以上)生じたものを×とした。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
Claims (4)
- 第1の水溶性低分子化合物〔以下、化合物(A)という〕と、化合物(A)とは異なる第2の水溶性低分子化合物〔以下、化合物(B)という〕とを含有するリバウンド低減剤であって、化合物(A)及び化合物(B)の組合わせが、(1)両性界面活性剤から選ばれる化合物及びアニオン性界面活性剤から選ばれる化合物の組合わせ、(2)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物及びアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物の組合わせ、(3)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物及び臭化化合物から選ばれる化合物の組合わせ、から選択されるリバウンド低減剤。
- 請求項1記載のリバウンド低減剤及び急結剤を含有する吹付材料用添加剤。
- 請求項1記載のリバウンド低減剤、急結剤及びセメントを含有する吹付材料。
- 請求項1記載のリバウンド低減剤の化合物(A)及び(B)の一方の化合物を含有するコンクリートと、急結剤と、請求項1記載のリバウンド低減剤の化合物(A)及び(B)の他方の化合物とを、混合して吹き付ける吹付工法。
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