JP3877958B2 - 磁界センサのバイアス印加方法及び磁界センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁界バイアスの印加が不可欠な磁界センサのバイアス印加方法及び磁界センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁性体に高周波電流を通電した際に、磁気異方性をあらかじめ制御しておけば、外部磁界に対してそのインピーダンスが敏感に変化するため、高感度磁界センサとして用いることができ、特に磁界センサはMIセンサ、高周波キャリア型センサなどの呼称でよく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのセンサはある一定の直流磁界印加下においてのみ高感度が実現できるため、センサ周辺に巻線や永久磁石などバイアス磁界印加のための機構が不可欠となり、大型化、電力消費量の増加、外部へのもれ磁界の発生などの問題を有している。同様にバイアス磁界を必要とするGMRセンサは、センサ膜厚が極めて薄いために近傍に通電した電流が発生する磁界を利用したSALと呼ばれる方式が用いられるが、本センサは膜厚が数ミクロンと厚いため、この方法は適用不可能であった。
【0004】
磁性体に歪みを与えるとそれに伴って内部磁化の方向が変化する現象(逆磁歪効果)が知られているが、本発明においては、この逆磁歪効果を利用して、磁界センサの内部磁化の方向を制御することで、巻線不要のバイアス印加を実現した。この方法は、従来にない全く新しい方法である。
【0005】
本発明は、上記状況に鑑みて、巻線による磁界バイアスに代わる、簡単な構成でバイアスを印加することができる磁界センサに対するバイアス印加方法及び磁界センサを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕磁界センサのバイアス印加方法において、センサ素子の裏面に貼付した1次歪みを生じる圧電素子による逆磁歪効果を利用したバイアスを印加することにより、巻線による磁界バイアスに代えて、バイアスを印加することを特徴とする。
【0007】
〔2〕磁界センサにおいて、センサ素子と、このセンサ素子の裏面に貼付した1次歪みを生じる圧電素子と、この圧電素子に電圧を印加する電源とを具備することを特徴とする。
【0008】
〔3〕上記〔2〕記載の磁界センサにおいて、前記1次歪みを生じる圧電素子に溝を形成し、この溝に沿った1次歪みを生じるように構成したことを特徴とする。
【0009】
〔4〕上記〔2〕記載の磁界センサにおいて、前記センサ素子が検出した信号をフィードバック回路を介して電圧に変換し圧電素子に印加する回路を有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施例を示す磁界センサの模式図である。
【0012】
図1において、1はガラス基板上に作製した磁性薄膜からなる磁界センサ、2はガラス基板、3はPZT圧電基板(以下、単に圧電基板という)、4は電源、5は圧電基板3に設けられた溝である。PZT圧電基板3は、図1(b)に示すように裏面に溝5が加工され、溝長手方向に一軸歪みを発生する。
【0013】
図2は本発明における磁界センサのシステム構成図である。
【0014】
この図において、H1 は微小磁界、6は磁界センサ、7はPZT圧電基板、8は電源、9は検出回路、So は出力である。
【0015】
図1及び図2によれば、磁界センサ1,6が機械的に圧電基板3,7に接着されているため、電圧を圧電基板3,7に印加することにより、ガラス基板2を介して磁界センサ1,6に歪みが印加され、これにより磁界センサ1,6を構成する磁性材料の内部の異方性が変化し、センサ特性が変化する。これによりセンサがもっとも高感度となる点に動作点を定めることが可能となる。
【0016】
図3は本発明の実施例を示す磁界センサの実験結果を示す図、図4は本発明の実施例を示す磁界センサの動作を示す図である。
【0017】
図3において、磁界に対する出力信号が示されており、aは大きな出力信号、bは最適な直流磁界、cは微小交流磁界であり、圧電材料に電界を加えていない場合(V=0)に、最大の磁界検出感度を示す点で動作させるには、図4に示すように、直流磁界の印加が必要であることが明らかであるが、圧電材料に電界を加え、センサに歪みを加えるとそれに伴って動作点が変化し、ある最適の歪みを与えることにより(V=V3 )、外部から直流磁界を印加することがなく、最大の磁界検出感度が得られることが明らかである。
【0018】
以上のように、磁気センサのバイアス方式として歪みを利用する方法が適用できることを明確にした。加えて、この方法は直流磁界を利用したバイアス方式に比べて数多くの利点を有する。例えば、圧電材料には電界を印加しているが、一般に圧電材料は絶縁物であるために高抵抗であり電流は流れず、バイアス印加のために必要な電力は極めてわずかである。これは電流を通電し続ける直流磁界バイアスに比べ極めて大きな利点である。さらに、センサにとって感度と同程度に重要な直線性を実現するために、出力をフィードバックする方法が一般的に取られるが、磁界バイアスの場合には電流フィードバックであるのに対し、歪みバイアスの場合には電圧フィードバックであるため、回路が単純であり、作製が容易であるばかりでなく、回路全体の小型化にも貢献する。もちろんバイアス磁界発生用コイルのサイズに比べて圧電材料は極めて小型で済むためにセンサ素子自体の小型化を図ることができる。
【0019】
まず、センサにおいては磁性体としてワイヤを用いるものと薄膜を用いるものが現在使われているが、本発明はどちらにも適用可能である。
【0020】
また、歪みを与える手段として上記実験では圧電材料(PZT)を用いたが、これに限るものではなく、さらにその形状についてもバルク・薄膜を問わず、センサに対して十分な歪みを与える能力があれば適用可能である。
【0021】
なお、磁気センサは極めて広い用途に用いられており、磁気センサの開発に関する経済的波及効果は極めて大きい。たとえば、脳磁図・心磁図計測等の医療分野、ハイウェイ自動運転システムなどの運輸交通分野、紙幣識別、CRT用地磁気補償、磁気記録等の工業分野などにおいて広く用いられ、より高精度で小型のセンサが熱望されている。本発明は、それらの期待に十分応えられるものである。
【0022】
次に、本発明の参考例について説明する。
【0023】
この参考例では、歪みセンサについて説明する。
【0024】
図5は本発明の参考例を示す歪みセンサの模式図、図6はその歪みセンサの動作の説明図である。
【0025】
これらの図において、10はベース、11は歪みセンサ、12はカンチレバー、12Aはカンチレバー先端、13はPZT圧電基板、14は凸面部である。
【0026】
図6に示すように、カンチレバー12の先端12Aに凸面部14により外力が加わると、カンチレバー12が歪み、歪みセンサ11から出力信号が出力される。この出力信号をフィードバック回路を介してPZT圧電基板13に電圧として印加すると、PZT圧電基板13はそれにより自ら湾曲し、カンチレバー先端12Aの接触圧力が零になるまで変形する。そのためPZT圧電基板13に印加された電圧をモニターすることにより、カンチレバーの先端12Aの接触圧力を検出することができる。
【0027】
加えて、上記機構を用いると、カンチレバー12が接触する面に凹凸があっても、カンチレバー12の先端12Aの接触圧力を常に零に保つことにより、あるいは、フィードバック回路にオフセットをかけることにより、カンチレバー先端12Aの接触圧力をある一定の力に制御することが可能である。これを利用すれば、AFM(原子間力顕微鏡)のプローブや磁気記録ヘッドを保持するアームなどへの適用が可能である。すなわち、カンチレバー状のアクチェータにおいて、先端が接触する対象物に凹凸があっても、接触圧力を常に一定に保ちたい場合に適用可能である。
【0028】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0029】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0030】
MIセンサが直流バイアス磁界を必要とする理由は、ある方向に内部磁化の向きを固定している異方性の大きさを制御するためである。よって、外部から磁界を印加する方法に代えて、内部磁界を回転させるエネルギー(異方性エネルギー)を別の方法で与えてもよいことになる。本発明は、この考え方に基づいて行われたもので、逆磁歪効果によるエネルギーを用いている。
【0031】
逆磁歪効果を発生させるために、例えば、センサ裏面に貼付した圧電素子に電圧を印加しセンサに歪みを与え、これにより巻線に電流を流すことによるバイアス磁界印加と同様の効果を得ることができた。その場合、歪みは一軸歪みであることが必要であるため、圧電素子に溝を形成し、その溝にのみ沿った一軸歪みを発生させるようにした。
【0032】
本発明により、センサ単体の感度を維持したまま電圧でバイアスを印加できることになり、フィードバック回路が単純になるとともに、消費電力を低下させ、さらにセンサ素子全体寸法を小さくすることができる。
【0033】
また、本発明の参考例である歪みセンサは、カンチレバー状のアクチェータにおいて、先端が接触する対象物に凹凸があっても、接触圧力を常に一定に保ちたい場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す磁界センサの模式図である。
【図2】 本発明における磁界センサのシステム構成図である。
【図3】 本発明の実施例を示す磁界センサの実験結果を示す図である。
【図4】 本発明の実施例を示す磁界センサの動作を示す図である。
【図5】 本発明の参考例を示す歪みセンサの模式図である。
【図6】 本発明の参考例を示す歪みセンサの動作の説明図である。
【符号の説明】
1,6 ガラス基板上に作製した磁性薄膜からなる磁界センサ
2 ガラス基板
3,7,13 PZT圧電基板
4,8 電源
5 溝
9 検出回路
10 ベース
11 歪みセンサ
12 カンチレバー
12A カンチレバー先端
14 凸面部
Claims (4)
- センサ素子の裏面に貼付した1次歪みを生じる圧電素子による逆磁歪効果を利用したバイアスを印加することにより、巻線による磁界バイアスに代えて、バイアスを印加することを特徴とする磁界センサのバイアス印加方法。
- (a)センサ素子と、
(b)該センサ素子の裏面に貼付した1次歪みを生じる圧電素子と、
(c)該圧電素子に電圧を印加する電源とを具備することを特徴とする磁界センサ。 - 請求項2記載の磁界センサにおいて、前記1次歪みを生じる圧電素子に溝を形成し、該溝に沿った1次歪みを生じるように構成したことを特徴とする磁界センサ。
- 請求項2記載の磁界センサにおいて、前記センサ素子が検出した信号をフィードバック回路を介して電圧に変換し圧電素子に印加する回路を有することを特徴とする磁界センサ。
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