JP3876724B2 - カメラシステムおよび撮影レンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、収差の影響を低減することが可能なカメラシステムおよび撮影レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カメラシステムとして、従来の銀塩カメラだけでなく、電子スチルカメラが利用されている。電子スチルカメラは、撮影光学系によって結像される被写体像をCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)等の撮像素子を利用して電気信号に光電変換し、これにより得られた電気的な画像信号をデジタルデータなどの画像データとして記録媒体等に記録し得るように構成されたものである。
【0003】
電子スチルカメラについては、撮影レンズ、撮像部(CCD)、記録部等が一体として構成されるタイプ(いわゆる「一体型」)の他、撮影レンズを交換することが可能なタイプ(いわゆる「レンズ交換型」)が存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のレンズ交換型のカメラシステムにおいては、交換レンズに固有の収差が十分に補正されない状況が発生し得るという問題がある。以下、この問題について説明する。
【0005】
実際のレンズには一般的に収差が存在する。そして、このようなレンズの収差に起因する画質への悪影響を低減するためには、画面全体として最も良好な画像を得ることが可能な位置である「最良像面位置」(後述)にCCDを配置することが好ましい。
【0006】
ところで、たとえば、電子スチルカメラにおいては、1/2.7インチタイプ、1/2インチタイプ、2/3インチタイプなど、様々なサイズのCCDが利用されている。
【0007】
しかしながら、このような様々なサイズのCCDを有するカメラボディに、撮影レンズを装着する場合には、CCDのサイズに応じて最良像面位置が異なる(後述)にもかかわらずレンズの特性が不明であるため、収差の影響を十分に抑制することができないという問題がある。
【0008】
あるいは、カメラボディ側で採用するAF(オートフォーカス)方式が異なる場合も存在する。この場合においても、レンズの特性が不明であるため、収差の影響を十分に抑制することができないという問題がある。
【0009】
また、絞りの程度に応じても最良像面位置は異なり、さらには被写体の色に応じても最良像面位置は異なる。これらの場合においても、レンズの特性が不明であるため、収差の影響を抑制することが十分にはできていないという問題がある。
【0010】
以上のように、各種の特性量に応じて、レンズの収差を軽減するための最良像面位置は異なるにもかかわらず、レンズの特性が不明であるため、収差の影響を抑制することが十分にはできていないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、収差の影響を低減することにより高画質化を図ることが可能なカメラシステムおよび撮影レンズを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、カメラシステムであって、少なくとも1枚のレンズを含む光学系を有する撮影レンズと、前記撮影レンズが着脱可能に装着されるカメラボディと、を備え、前記撮影レンズは、前記光学系が所定の焦点距離を有するときの、所定の特性量に応じた複数の最良像面位置に関する情報を格納する格納手段と、前記格納手段に格納された情報を前記カメラボディに対して伝送する伝送手段と、を有し、前記格納手段は、前記所定の特性量に応じた複数の最良像面位置に関する情報として、複数の自動焦点検出方式のそれぞれに応じた複数の最良像面位置に関する情報を格納していることを特徴とする。
【0016】
請求項の発明は、カメラボディに対して着脱可能な撮影レンズであって、少なくとも1枚のレンズを含む光学系と、前記光学系が所定の焦点距離を有するときの、所定の特性量に応じた複数の最良像面位置に関する情報を格納する格納手段と、前記格納手段に格納された情報を前記カメラボディに対して伝送する伝送手段と、を備え、前記格納手段は、前記所定の特性量に応じた複数の最良像面位置に関する情報として、複数の自動焦点検出方式のそれぞれに応じた複数の最良像面位置に関する情報を格納していることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
<A.第1実施形態>
<A1.カメラシステム1の構成>
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラシステム(以下、単にデジタルカメラとも称する)1の構成を示す概略図であり、図1は平面図、図2は図1のII−II位置から見た断面図、図3は背面図に相当する。これらの図は必ずしも三角図法に則っているものではなく、デジタルカメラ1の構成を概念的に例示することを主眼としている。
【0019】
デジタルカメラ1は、カメラボディ(カメラ本体部)2と、このカメラボディ2のレンズマウント部Mtに着脱可能な交換レンズ(撮影レンズ)3とを備えている。そして、所定のカメラボディ2には、複数の交換レンズ3を交換して装着することができる。あるいは逆に、所定の交換レンズ3を、複数のカメラボディ2に対して選択的に装着することも可能である。以下では、これらの複数の組合せのうちの1つの組合せとして構成されるデジタルカメラシステムについて詳述するものとする。
【0020】
交換レンズ3の光軸方向Lの後方には、カメラボディ2内の後部上方の枢支部21に回動可能に枢支されたクイックリターンミラーM1が配設され、さらにこのクイックリターンミラーM1の光軸方向Lの後方には、フォーカルプレーンシャッター22と、さらにその後方にカラーエリアセンサのCCD23とが配置されている。
【0021】
このCCD23の前面には、CCD23からのアナログ画像信号のサンプリング時の折り返しノイズの影響を抑える空間ローパスフィルタ24が配設されている。
【0022】
カメラボディ2では、クイックリターンミラーM1の上方位置において、銀塩カメラのファインダーに相当する光学部位25が形成されており、この光学部位25には、フォーカシングスクリーン251を介してペンタ形プリズム252が設けられている。さらに、このプリズム252とファインダー窓254との間には、接眼レンズ253が配置されている。このクイックリターンミラーM1、プリズム252および接眼レンズ253により、光学ファインダーを形成することとなる。
【0023】
デジタルカメラ1において自動焦点検出動作(オートフォーカス動作)を行う場合には、クイックリターンミラーM1は、シャッターボタン29が撮影者によって全押しされるまで、図2に示すように光軸に対して45度の角度で傾斜した定常位置にあり、交換レンズ3からの光軸Lをフォーカシングスクリーン251へと向かわせる。シャッターボタン29が全押しされると、枢支部21を中心として、ほぼ水平位置まで上方に回動して交換レンズ3からの光路を開放する。
【0024】
サブミラーM2は、クイックリターンミラーM1に一体化されたミラーであり、クイックリターンミラーM1に部分的に設けられたハーフミラー部を透過した光学像を、このサブミラーM2で測距センサ26に向かわせる。測距センサ26は、被写体までの距離を検出して交換レンズ3に内蔵されるレンズ群を自動合焦されるものである。このデジタルカメラ1は、オートフォーカス方式として「位相差方式」を採用している。
【0025】
また、カメラボディ2の内部には、交換レンズ3に含まれる複数の構成レンズ3aのいずれかを光軸方向Lに駆動するためのモータ27が設けられている。このモータ27を駆動することによって、合焦動作(フォーカス動作)を行うことができる。また、操作者は、交換レンズ3に設けられたズームリングを回転させることによって、撮影倍率変更動作(ズーム動作)を手動で行うことが可能である。さらに、カメラボディ2の内部には、デジタルカメラ1に電力を供給する4本の電池Eと、撮影された画像データなどを記録するメモリカード9とが装着可能となっている。
【0026】
カメラボディ2の背面には、CCD23の出力に基づいて得られた画像を表示する液晶ディスプレイ(LCD)31が設けられるとともに、「撮影モード」と「再生モード」などを切換設定する切替スイッチ32が設けられている。撮影モードは、写真撮影を行なうモードであり、再生モードは、メモリカード9に記録された撮影画像をLCD31に再生表示するモードである。
【0027】
デジタルカメラ1の背面右方には、十字キー33が設けられており、ボタンU、D、L、Rで各種操作が行える。また、カメラ本体部2の背面には、デジタルカメラ1の電源を入り切りする電源スイッチ34が設けられている。
【0028】
また、カメラボディ2の内部空間において、各種の制御を行うコントローラ20(図2)が設けられている。
【0029】
交換レンズ3は、その内部に、複数の構成レンズ3aとレンズROM30とを備えている。レンズROM30には、その交換レンズ3に固有の「最良像面位置」に関する情報を格納している。後述するように、最良像面位置に関する情報は、レンズごとの特性に応じて異なる情報、すなわちレンズ固有の情報である。コントローラ20は、このレンズROM30に格納されている最良像面位置に関する情報を用いることによって、CCDを配置すべき位置である最良像面位置(後述)をより正確に求めることが可能になる。これにより、さらに高画質の画像を取得することが可能になる。
【0030】
たとえば、この交換レンズ3を異なる種類のカメラボディ2に対して装着する場合、後述するように、各カメラボディ2に内蔵されているCCDの大きさが相違すると、最良像面位置は互いに異なるものとなっている。この第1実施形態においては、上記のレンズROM30に格納されている像面位置情報を用いることによって、カメラボディ2に設けられたCCDのサイズに応じた最良像面位置をより適切に求める。これにより、高画質の画像を取得することが可能になる。
【0031】
図4は、レンズマウント部Mtの要部構成を示す図である。
【0032】
レンズマウント部Mtには、交換レンズ3が装着可能となっており、レンズ駆動軸CNaとコネクタCNbとが設けられている。
【0033】
レンズ駆動軸CNaは、モータ27に接続し、交換レンズ3内のレンズを移動させる駆動力を伝達する。コネクタCNbは、カメラボディ2と交換レンズ3とを電気的に接続するための部位である。
【0034】
また、このカメラボディ2側のコネクタCNbと接続するためのコネクタCNc(図2)が交換レンズ3に設けられている。
【0035】
これらのコネクタCNb,CNcを用いることによって、交換レンズ3のレンズROM30に格納されている「像面位置情報」は、カメラボディ2に対して伝送される。すなわち、これらのコネクタCNb,CNcは、レンズROM30内に格納された情報を、交換レンズ3とカメラボディ2との間で伝送する伝送手段として機能する。
【0036】
<A2.原理>
つぎに、この発明の第1実施形態に係る原理について説明する。
【0037】
一般に、或る物点からの光線は、レンズに入射した後に所定の像点において像を結ぶ。この像点は、各物点の光軸からのずれ量に応じて、光軸からずれた位置に存在する。そして、光軸に垂直な所定平面内に存在する複数の物点からの光線は、理想的には、光軸に垂直な像側の所定平面内に結像する。
【0038】
ただし、実際にはこのような理想的なレンズを作成することは困難であり、レンズには収差が存在する。具体的には、光軸に垂直な所定平面内に存在する複数の物点からの光線は、厳密には同一平面内に結像しない。各物点の光軸からのずれ量が異なると各物点に対応する各像点の光軸方向における位置も異なっているのである。この結果、像点の集合として得られる面は、平面ではなく、曲面となる。このように、レンズにおいては「像面湾曲」と呼ばれる収差が存在する。したがって、各像点の光軸方向における位置は、各像点の像高(光軸に垂直な方向における光軸からのずれ量)に応じて異なっていることになる。
【0039】
図5は、このような状況を示す図である。図5における像面S1は、複数の像高h(H1,H2,H3など)のそれぞれに対応する像点の集合(P1,P2,P3など)として形成される曲面である。図5において、縦軸は像高hを示し、横軸は各像点の光軸方向における基準位置からのずれ量(デフォーカス量)を示している。
【0040】
さて、デジタルカメラにおいては、レンズからの光を電気に変換して画像が形成される。そのため、たとえば光電変換素子であるCCDなどが撮像素子としてレンズの焦点位置付近に配置される。このCCDは、複数の光電変換素子が平面上に2次元的に配列された構造を有しており、CCDの主面(複数の光電変換素子が配列されている面)の法線が光軸と平行になるように(言い換えればCCDの主面が光軸に垂直になるように)光軸上の所定位置に配置される。
【0041】
レンズは、上述したように、収差を有しているので、CCDが光軸上のいずれの位置に置かれたとしても、この収差の影響を完全には除去できない。なぜなら、像面が曲面であるのに対してCCDの主面は平らな面であるため、全ての像高の像点をCCDの主面上に位置させることができないからである。この結果、その主面上の少なくともいずれかの位置においては、解像力のやや低い像しか得られないことになる。
【0042】
ただし、この収差の影響を軽減することは可能である。たとえば、レンズが図5に示されるような像面S1を有する場合には、所定の位置G1にCCDをその主面が光軸に垂直になるように配置することにより、CCD全体でのぼけの度合いを最小化することができる。この光軸方向における位置G1は、像点の光軸方向におけるずれ量が最小になる位置と最大になる位置との間の位置として決定される。具体的には、位置G1は、最小像高Hmin(=ゼロ)に対する像点P0(基準点)の光軸方向における位置Q0と最大像高Hmax(=H1)を有する像点P1の光軸方向における位置Q1との間の位置である。
【0043】
このように、CCDを配置する位置(以下、「像面位置」とも称する)のうち、CCD全体でのぼけ度合いが最小化(最良化)されるときのCCD主面の光軸上における位置(たとえば上述の位置G1)を「最良像面位置」と称するものとする。言い換えれば、「最良像面位置」は、画面全体として最も良好な画像を得ることが可能な位置である。この最良像面位置は、実験的に(または理論的に)求めることができる。
【0044】
ここにおいて、この最良像面位置は、最大像高Hmaxの値に応じて変化する。図5に示すように、最大像高Hmaxが値H1(Hmax=H1)のときには、最良像面位置は位置G1である。これに対して、図6に示すように、最大像高Hmaxが値H3(Hmax=H3<H1)のときには最良像面位置は位置G3に変化する。位置G3は、位置G3に比べて基準点P0寄りの位置である。これは、像高H3に対する像点P3が像高H1に対する像点P1よりも基準点P0寄りに位置するからである。
【0045】
ところで、CCDには様々な大きさのものが存在し、最大像高Hmaxも様々である。図7は、異なる大きさ(広さ)の有効領域(図中において矩形で示す)を有する3つのCCDとその最大像高Hmaxとの関係を示す図である。図7においては、3つのうち最も広い有効領域SZ1を有するCCD(撮像素子)の最大像高Hmaxは、値H1であるものとしている。同様に、最も狭い有効領域SZ3を有するCCDの最大像高Hmaxは値H3であるものとし、両者の中間の広さの有効領域SZ2を有するCCDの最大像高Hmaxは値H2であるものとしている。
【0046】
様々な大きさのCCDのそれぞれを光軸上において最適な位置に配置するためには、各CCDに対応する最大像高Hmaxに応じて最良像面位置をより適切に求めることが好ましい。そこで、この実施形態においては、カメラ本体側に設けられているCCDのサイズに対応する最大像高Hmaxを求め、その最大像高Hmaxに応じた最良像面位置Gを決定するものとする。
【0047】
図8は、最大像高Hmaxと最良像面位置Gとの関係を示す図である。最良像面位置Gは、最大像高Hmax=H1のときに位置G1となり、最大像高Hmax=H2(H2<H1)のときに位置G2となり、最大像高Hmax=H3(H3<H2)のときに位置G3となる。以下では、最良像面位置Gを、基準点P0からのずれ量(デフォーカス量)Δdfを用いて表現するものとする。各位置G1,G2,G3のずれ量Δdfがそれぞれ値g1,g2,g3であるとすると、これらの3つの値g1,g2,g3の関係は、g3<g2<g1となる。
【0048】
また、最大像高Hmaxと最良像面位置G(ずれ量Δdf)との関係は、様々な近似曲線を用いて表現することができる。図8においては、1次の近似曲線AC1と2次の近似曲線AC2とが例示されている。
【0049】
1次近似の場合には、ずれ量Δdfは次の数1で表現される。
【0050】
【数1】
Figure 0003876724
【0051】
ここで、Cd,Ceは適宜の係数であり、複数の測定結果等に基づいて回帰演算等の統計処理を施すことによって求めることができる。
【0052】
また、2次近似の場合には、ずれ量Δdfは次の数2で表現される。
【0053】
【数2】
Figure 0003876724
【0054】
ここで、Ca,Cb,Ccは適宜の係数であり、複数の測定結果等に基づいて回帰演算等の統計処理を施すことによって求めることができる。
【0055】
図8に示されるように、1次の近似曲線AC1は、最大像高Hmaxとずれ量Δdfとの関係を或る程度的確に表現している。また、2次の近似曲線AC2は、最大像高Hmaxとずれ量Δdfとの関係をさらに的確に表現している。さらに高次の近似曲線を用いることも可能であるが、近似の程度と係数の数とのバランスを考慮すると例えば2次程度が好ましい。
【0056】
このようにして、いくつかの測定結果等に基づく近似曲線を用いることによれば、全ての最大像高Hmaxに対して最良像面位置をあらかじめ求めておく必要がなくなる。したがって、容易に最大像高Hmaxと最良像面位置G(ずれ量Δdf)との関係を比較的容易に取得することができる。
【0057】
また、このような近似曲線を用いることによって、両者の関係を表現するための情報量を削減することも可能である。たとえば、2次の近似曲線を用いる場合には、3つの係数Ca,Cb,Ccをあらかじめ取得して記憶しておけばよい。これにより、パラメータの組(Hmax,Δdf)についての複数の測定結果を記憶しておく場合に比べて、情報量を削減することができる。すなわち、メモリ容量の有効利用を図ることができる。
【0058】
さらに、ズームレンズにおいてレンズの焦点距離を変更して撮影倍率を変更する場合においては、ズームレンズを構成する複数の構成レンズの位置関係が変化するため、像面の状況も変化する。したがって、最大像高Hmaxと最良像面位置G(ずれ量Δdf)との関係を、各焦点距離について求めておくことが好ましい。たとえば、2次の近似曲線を用いる場合には、3つの係数Ca,Cb,Ccを複数の焦点距離のそれぞれについて求めておくことが好ましい。
【0059】
また、カメラから被写体までの距離(以下、「撮影距離」とも称する)によっても、像面の状況は変化する。したがって、最大像高Hmaxと最良像面位置G(ずれ量Δdf)との関係を、各撮影距離について求めておくことが好ましい。たとえば、2次の近似曲線を用いる場合には、3つの係数Ca,Cb,Ccを複数の撮影距離のそれぞれについて求めておくことが好ましい。
【0060】
図9は、係数Caに関する情報が記憶されたテーブルTBaを示す概念図であり、図10は、係数Cbに関する情報が記憶されたテーブルTBbを示す概念図であり、図11は、係数Ccに関する情報が記憶されたテーブルTBcを示す概念図である。ここで、係数Ca,Cb,Ccは、最大像高Hmaxと最良像面位置Gとの関係を表す2次近似曲線の3つの係数であり、焦点距離と撮影距離との複数の組合せのそれぞれに対して求められている。具体的には、テーブルTBaにおいては、焦点距離と撮影距離との組合せ(i,j)に対して、係数Caは値Aijである旨が格納されている。同様に、焦点距離と撮影距離との同じ組合せ(i,j)に対して、係数Cbが値Bijである旨がテーブルTBbに格納されており、係数Ccが値Cijである旨がテーブルTBcに格納されている。
【0061】
たとえば、最もワイド側(広角側)、すなわちワイド端の焦点距離で無限遠の被写体を撮影する場合には、図9〜図11に示されるように、係数の組(Ca,Cb,Cc)として値(A10,B10,C10)が決定される。また、最もテレ側(望遠側)、すなわちテレ端の焦点距離で最近接の被写体を撮影する場合には、図9〜図11に示されるように、係数の組(Ca,Cb,Cc)として値(Amn,Bmn,Cmn)が決定される。
【0062】
このようにして決定された係数の組(Ca,Cb,Cc)により得られる2次近似曲線AC2を用いて、CCDの有効画像領域の最大像高Hmaxに対応する最良像面位置Gを求めればよい。これにより、最大像高を考慮しつつ、収差に起因するぼけの度合いを軽減することが可能である。
【0063】
<A3.動作>
図12は、第1実施形態における動作を示すフローチャートである。図12を参照しながら、デジタルカメラ1の動作について説明する。
【0064】
まず、ステップSP11においてカメラが起動すると、ステップSP12において様々な初期設定動作が行われる。この初期設定動作が完了すると撮影準備が完了する。
【0065】
そして、ステップSP13において、シャッターボタン29が半押し状態にされた旨が判定されると、次のステップSP14に進む。なお、シャッターボタン29は、2段階スイッチとして機能する。具体的には、半押し状態でスイッチSW1がオン状態となり、全押し状態でスイッチSW2がオン状態となる。
【0066】
ステップSP14において、カメラボディ2内のコントローラ20(制御部)は、交換レンズ3から最良像面位置に関する情報を取得する。具体的には、その撮影時点の焦点距離および撮影距離に応じた3つの係数Ca,Cb,Ccを取得する。これらの係数Ca,Cb,Ccは、最大像高Hmaxと最良像面位置Gとの関係を2次近似で規定するための係数である。なお、コントローラ20は、この撮影距離としては、所定方式のオートフォーカスによって測定された被写体までの測定値を用いればよく、この焦点距離としては、交換レンズ3に設けられたエンコーダ等からの信号に基づいて算出された値を用いればよい。
【0067】
ステップSP15において、コントローラ20は、カメラボディ2内のデータ格納部DBからCCDのサイズに関する情報を取得する。
【0068】
さらにステップSP16においては、コントローラ20は、CCDのサイズ情報から最大像高Hmaxを算出し、ステップSP14で取得した係数Ca,Cb,Ccによって表現される近似曲線に基づいて、その最大像高Hmaxに対する最良像面位置Gを求める。具体的には、この最良像面位置Gは、上述の数2を用いることによりデフォーカス量Δdfとして求められる。
【0069】
そして、ステップSP17において、コントローラ20は、レンズの駆動量を算出して、レンズを駆動する。上記のデフォーカス量Δdfは、レンズ特性を考慮して像面位置(CCDの位置)を補正するための補正量であり、レンズの駆動量は、所定方式のオートフォーカス動作によって得られた基準合焦位置(合焦レンズ位置)と(レンズの)現在位置との差を表す値を上記のデフォーカス量Δdfを用いて補正した値として算出される。そして、算出された駆動量にしたがってレンズが駆動されることによって、CCDは、最良像面位置に配置されることになる。
【0070】
さらに、ステップSP18において、シャッターボタン29が全押し状態になっていることが確認されると、ステップSP19に進み、撮影画像の取得処理が行われる。ステップSP17におけるレンズ移動によって、CCDは最良像面位置に配置されているので、全体的にぼけの少ない高画質の撮影画像を取得することが可能である。
【0071】
以上のように、第1実施形態のデジタルカメラによれば、最大像高Hmaxに応じた複数の最良像面位置に関する情報が撮影レンズのレンズROM30に格納され、その格納された情報がカメラボディ2に対して伝送される。したがって、レンズの特性を考慮した画像を撮影することが可能になる。言い換えれば、収差の影響を低減して高画質の画像を撮影することが可能である。
【0072】
また、最大像高Hmaxと最良像面位置Gとの関係は、焦点距離および撮影距離ごとに格納されているので、最良像面位置をより高精度に求めることができる。したがって、さらに高画質の画像を撮影することができる。
【0073】
さらに、最大像高Hmaxと最良像面位置Gとの関係は、近似曲線の係数情報として格納されている。したがって、情報量を削減し、メモリを有効に利用することができる。
【0074】
<B.第2実施形態>
<B1.概要>
つぎに、第2実施形態について説明する。この第2実施形態のデジタルカメラも第1実施形態のデジタルカメラと同様の構成等を有している。以下では、相違点を中心に説明する。
【0075】
上記の第1実施形態においては、最大像高(ひいてはCCDのサイズ)に応じた最良像面位置を求めることにより、光学系に対するCCDの相対位置を補正する場合について説明した。
【0076】
これに対して、この第2実施形態においては、絞りの程度(Fナンバーの値)が変化する場合において、その絞りの程度に応じた最良像面位置を求めて光学系に対するCCDの相対位置を補正する動作について説明する。なお、この第2実施形態では、CCDは所定のサイズを有するものとし、CCDサイズの相違による最良像面位置の相違は考慮しないものとする。
【0077】
まず、絞りの程度が相違するときには最良像面位置が相違することについて説明する。
【0078】
図13は、光軸上の光束に関する球面収差について説明する図である。図13に示すように、光軸L上の光束(以下、「軸上光束」とも称する)がレンズに入射する場合、この軸上光束に含まれる各光線は、レンズが球面であることに起因して、レンズへの各入射高Ihに応じてその結像位置が異なる。すなわち、いわゆる球面収差が発生する。通常、CCDは、光軸LがCCDの中心を通るように配置されるので、この軸上光束の球面収差に起因して「画面中央部分」の像にいわゆる「ぼけ」が発生することになる。なお、図13のグラフにおいて、縦軸は入射高Ihを示し、横軸は基準位置からのずれ量(縦収差)を示している。また、図13の曲線CL1は、各入射高Ihを有する各光線LBについての光軸Lとの交点をつなげていくことによって形成される曲線、すなわち球面収差曲線である。
【0079】
これに対して、このような軸上光束の像(すなわち画面中央部分の像)のぼけを軽減するためには、位置IQ0と位置IQ1との間の所定位置IG1にCCDを配置することが好ましい。ここで、位置IQ1は、値Ih1の入射高を有する入射光線LB1がレンズから出射された後において光軸Lと交わる点であり、位置IQ0は、ゼロ近傍の値(理想的にはゼロ)の入射高を有する入射光線LB0がレンズから出射された後において光軸Lと交わる点である。
【0080】
ところで、絞りの状態が変化すると、光軸上の光束(軸上光束)に関して、最大入射高Ihmaxが変化する。たとえば、軸上光束の最大入射高Ihmaxは、絞り開放時には値Ih1である(図13)のに対して、Fナンバーが8.0のとき(F8.0)には値Ih2(<Ih1)に減少する(図14)。このとき、図14に示されるように、値Ih2より大きな入射高を有する光線(たとえば光線LB1)は、絞りに遮られてCCDに入射しない。
【0081】
このため、発生する収差の範囲が変化する。具体的には、絞り解放時には、位置IQ0と位置IQ1との間の範囲の収差が発生するのに対して、絞りをF8.0にまで絞ったときには、位置IQ0と位置IQ2との間の範囲の収差が発生している。なお、位置IQ2は、位置IQ1よりも基準点P0側寄りの位置である。
【0082】
したがって、この場合には、この軸上光束の像(すなわち画面中央部分の像)のぼけを軽減するため、CCDは、位置IG1よりも基準点P0側寄りの位置である位置IG2に配置することが好ましい。このように、絞りの程度を変化させるときには、軸上光束の最大入射高の変化に伴って収差の存在範囲等が変化することをも考慮して、CCDの位置を決定することが好ましい。
【0083】
さて、ここまでは、軸上光束がレンズに入射する場合の収差等について考察してきたが、軸外の光束(以下、「軸外光束」とも称する)がレンズに入射する場合にも収差が生じる。そして、ここでは詳細説明を省略するが、この軸外光束に関する収差の存在範囲も、「絞りの程度」に応じて相違する。
【0084】
したがって、軸上光束の像(すなわち画面中央部分の像)のぼけ度合いだけでなく軸外光束の像(すなわち画面周辺部分の像)のぼけ度合いを含め、様々な角度から入射する複数の光束についてのぼけ度合い(言い換えればCCD上の複数の位置のぼけ度合い)を最適化するための最良像面位置もまた、絞りの程度に応じて変化することになる。
【0085】
このような最良像面位置をより正確に求めるためには、絞り値(Fナンバー)Fnoと最良像面位置Gとの関係を、複数の測定点についてあらかじめ取得しておき、これらの複数のパラメータの組(Fno,Δdf)についての複数の測定結果を所定の記憶部に記憶しておけばよい。記憶された測定結果を用いることによって、撮影時の絞り値Fnoに応じたデフォーカス量Δdfを求めることができる。
【0086】
あるいは、近似曲線を用いて、両者の関係(絞り値と最良像面位置との関係)を表現するようにしてもよい。これによれば、情報量を削減すること(メモリ容量の有効利用)を図ることができる。たとえば、1次の近似曲線を用いる場合には、次の数3における2つの係数Cm,Cnをあらかじめ取得して所定の記憶部に記憶しておけばよい。
【0087】
【数3】
Figure 0003876724
【0088】
あるいは、2次の近似曲線を用いる場合には、次の数4における3つの係数Cf,Cg,Chをあらかじめ取得して所定の記憶部(たとえばレンズROM30)に記憶しておけばよい。
【0089】
【数4】
Figure 0003876724
【0090】
さらに、ズームレンズにおいてレンズの焦点距離を変更して撮影倍率を変更する場合においては、ズームレンズを構成する複数の構成レンズの位置関係が変化するため、像面の状況も変化する。したがって、絞り値Fnoと最良像面位置G(ずれ量Δdf)との関係を、各焦点距離について求めておくことが好ましい。たとえば、1次の近似曲線を用いる場合には、2つの係数Cm,Cnを複数の焦点距離のそれぞれについて求めておくことが好ましい。
【0091】
また、カメラから被写体までの距離(撮影距離)によっても、像面の状況は変化する。したがって、最大像高Hmaxと最良像面位置G(ずれ量Δdf)との関係を、各撮影距離について求めておくことが好ましい。たとえば、1次の近似曲線を用いる場合には、2つの係数Cm,Cnを複数の撮影距離のそれぞれについて求めておくことが好ましい。
【0092】
図15は、係数Cmに関する情報が記憶されたテーブルTBmを示す概念図であり、図16は、係数Cnに関する情報が記憶されたテーブルTBnを示す概念図である。ここで、係数Cm,Cnは、絞り値と最良像面位置との関係を表す1次近似曲線の2つの係数であり、焦点距離と撮影距離との複数の組合せのそれぞれに対して求められている。具体的には、テーブルTBmにおいては、焦点距離と撮影距離との組合せ(i,j)に対して、係数Cmは値Mijである旨が格納されている。また、テーブルTBnにおいては、焦点距離と撮影距離との同じ組合せ(i,j)に対して、係数Cnが値Nijである旨が格納されている。
【0093】
たとえば、最もワイド側の焦点距離で無限遠の被写体を撮影する場合には、図15,図16に示されるように、係数の組(Cm,Cn)として値(M10,N10)が決定される。また、最もテレ側の焦点距離で最近接の被写体を撮影する場合には、図15,図16に示されるように、係数の組(Cm,Cn)として値(Mmn,Nmn)が決定される。
【0094】
そして、このようにして決定された係数の組(Cm,Cn)により得られる1次近似曲線を用いて、撮影時の絞りの程度に対応する最良像面位置Gを求めればよい。これにより、絞りの程度を考慮しつつ、収差に起因するぼけの度合いを軽減することが可能である。
【0095】
<B2.動作>
つぎに、図17のフローチャートを参照しながら、第2実施形態に係るデジタルカメラ1の動作について説明する。
【0096】
まず、ステップSP21,SP22,SP23においては、それぞれ、ステップSP11,SP12,SP13(図12)と同様の動作が行われる。
【0097】
次のステップSP24においては、カメラボディ2内のコントローラ20は、交換レンズ3から最良像面位置に関する情報を取得する。具体的には、その撮影時点の焦点距離および撮影距離に応じた2つの係数Cm,Cnを取得する。これらの係数Cm,Cnは、絞りの程度Fnoと最良像面位置Gとの関係を1次近似で規定するための係数である。
【0098】
ステップSP25において、コントローラ20は、カメラボディ2内のデータ格納部DBから現時点での絞り値(Fナンバー)を取得する。
【0099】
さらにステップSP26においては、コントローラ20は、ステップSP24で取得した係数Cm,Cnによって表現される近似曲線(この場合は直線)に基づいて、ステップSP25で取得した絞り値に対する最良像面位置Gを求める。具体的には、この最良像面位置Gは、デフォーカス量Δdfとして求められる。
【0100】
そして、ステップSP27において、コントローラ20は、レンズの駆動量を算出して、レンズを駆動する。上記のデフォーカス量Δdfは、像面位置を補正するための補正量であり、レンズの駆動量は、所定方式のオートフォーカス動作によって得られた基準合焦位置(合焦レンズ位置)と現在位置との差を表す値をこのデフォーカス量Δdfを用いて補正した値として算出される。そして、算出された駆動量にしたがってレンズが駆動されることによって、CCDは、最良像面位置に配置されることになる。
【0101】
ステップSP28,SP29は、ステップSP18,SP19と同様である。これにより、撮影画像が取得される。ステップSP27におけるレンズ移動によって、CCDは最良像面位置に配置されているので、全体的にぼけの少ない高画質の撮影画像を取得することが可能である。
【0102】
以上のように、第2実施形態のデジタルカメラによれば、絞り値に応じた複数の最良像面位置に関する情報が撮影レンズのレンズROM30に格納され、その格納された情報がカメラボディ2に対して伝送される。したがって、収差の影響を低減して高画質の画像を撮影することが可能である。
【0103】
<C.第3実施形態>
<C1.概要>
つぎに、第3実施形態について説明する。この第3実施形態のデジタルカメラも第1実施形態のデジタルカメラと同様の構成等を有している。以下では、相違点を中心に説明する。
【0104】
この第3実施形態においては、様々な自動焦点検出方式(以下、「AF方式」とも称する)に応じた複数の最良像面位置に関する情報をレンズROM30内に格納しておき、この情報を用いて収差の影響を低減する技術について説明する。
【0105】
デジタルカメラにおける自動焦点検出方式としては、位相差方式およびコントラスト方式などの様々な方式のものが存在する。位相差方式は、2つのセンサに入力する所定波長の光の位相差を検出することによって、合焦状態を判定する方式である。また、コントラスト方式は、レンズ位置を変化させつつ、画像内の所定のオートフォーカスエリア(AFエリア)におけるコントラストが最大となる状態を合焦状態として判定する方式である。
【0106】
ところで、これらの各方式においては、利用している光の波長帯域(周波数帯域)が互いに異なっている。
【0107】
たとえば、コントラスト方式においては、所定のAFエリア内に含まれる可視領域の波長の光の像についてのコントラストが利用されている。したがって、この方式では、比較的広い幅の帯域の光が利用されていることになる。
【0108】
一方、位相差方式においては、たとえば、赤外領域の波長の光、あるいは、一部の可視領域の波長の光が用いられる。したがって、この位相差方式では、比較的狭い幅の帯域の光が利用されていることになる。
【0109】
このように、両方式において利用される光の波長帯域は、その一部が重複することがあるとしても互いに異なるものである。言い換えれば、位相差方式で利用される光の波長帯域とコントラスト方式で利用される光の波長帯域とを比較すると、これら2つの波長帯域に含まれる波長の主成分(あるいは波長の最大値/最小値)が互いに異なっているのである。すなわち、位相差方式とコントラスト方式とでは、利用する光の波長帯域が異なっている。
【0110】
また、光はその波長によって屈折率が異なるため、像面も波長によって異なるものとなる。したがって、最良像面位置Gも各波長に応じて互いに異なるものとなる。
【0111】
このため、互いに異なる波長帯域の光を利用する両方式においては、最良像面位置は互いに異なるものとなる。このような事情のため、より正確に最良像面位置を求めるためには、各AF方式についての補正量を求めることが好ましい。
【0112】
この第3実施形態においては、上述の事情を考慮して、交換レンズ3内のレンズROM30内に、各AF方式に応じた複数の最良像面位置をあらかじめ記憶しておく。そして、カメラボディ2側で採用されているAF方式に応じて、最良像面位置を求める。より具体的には、この最良像面位置を基準合焦位置からのずれ量(デフォーカス量)Δdfとして求め、レンズ駆動量を決定してレンズを駆動する。
【0113】
また、上述したように、最良像面位置は、焦点距離に応じても変化するため、上記のAF方式に応じた複数の最良像面位置に関する情報を、焦点距離ごとに求めることが好ましい。さらには、最良像面位置は、撮影距離に応じても変化するため、上記のAF方式に応じた複数の最良像面位置に関する情報を、撮影距離ごとに求めることが好ましい。
【0114】
そこで、この第3実施形態においては、AF方式に応じた複数の最良像面位置に関する情報を、焦点距離と撮影距離との複数の組合せのそれぞれについて求めるものとする。
【0115】
図18および図19は、それぞれ、「位相差方式」での最良像面位置に関する情報を格納したテーブルTBpと、「コントラスト方式」での最良像面位置に関する情報を格納したテーブルTBqとを示す図である。この図18および図19においては、最良像面位置は、基準合焦位置に対する補正量(ずれ量)として示されている。なお、基準合焦位置は、レンズの収差が存在しないと仮定した場合の合焦状態のレンズ位置として定められ、焦点距離ごとに定められる。
【0116】
図18および図19に示すように、最良像面位置は、焦点距離および撮影距離の組合せごとに定められている。具体的には、図18のテーブルTBpにおいては、焦点距離と撮影距離との所定の組合せ(i,j)に対して、位相差方式採用時の補正量APが値APijである旨が格納されている。同様に、図19のテーブルTBqにおいては、焦点距離と撮影距離との同じ組合せ(i,j)に対して、コントラスト方式採用時の補正量AQが値AQijである旨が格納されている。
【0117】
さて、撮影倍率が変更等された後に所定の焦点距離を有する状態のレンズで被写体を撮影するときには、各方式に応じた手段によってカメラから被写体までの距離が測定される。そして、被写体を合焦状態にするため、その測定距離に応じた基準合焦位置(レンズ位置)が決定される。この基準合焦位置は、たとえば、別途に設けられたテーブルTBr(図示せず)に従って決定される。テーブルTBrにおいては、各撮影距離(測定距離)とレンズ位置との関係が規定されている。
【0118】
具体的には、AF方式として位相差方式を採用する場合には、テーブルTBrに従って求められた基準合焦位置ARに対して、テーブルTBpによる補正量APを加えることによって、そのレンズ位置(目標値)を修正する。レンズを修正後のレンズ位置に移動させることによって、結果的にCCDが最良像面位置に配置されることになる。
【0119】
これに対して、AF方式としてコントラスト方式を採用する場合には、テーブルTBrに従って求められた基準合焦位置ARに対して、今度はテーブルTBqによる補正量AQを加えることによって、そのレンズ位置(目標値)を修正する。レンズを修正後のレンズ位置に移動させることによって、結果的にCCDが最良像面位置に配置されることになる。
【0120】
たとえば、最もワイド側の焦点距離で無限遠の被写体を撮影する場合には、まずテーブルTBrに基づいて、その被写体が合焦状態となるようなレンズの基準合焦位置ARが求められる。
【0121】
そして、AF方式として位相差方式を採用している場合には、基準合焦位置ARをテーブルTBpに基づく補正量AP10を用いて補正することによって、補正後のレンズ位置AG1を求める。そして、この補正後のレンズ位置AG1にレンズを移動させることによって、CCDを最良像面位置に移動させることができる。
【0122】
一方、AF方式としてコントラスト方式を採用している場合には、テーブルTBqに基づく補正量AQ10をこの基準合焦位置ARに加えることによって、補正後のレンズ位置AG2を求める。そして、この補正後のレンズ位置AG2にレンズを移動させることによって、CCDを最良像面位置Gに配置することができる。
【0123】
<C2.動作>
つぎに、図20のフローチャートを参照しながら、第3実施形態に係るデジタルカメラ1の動作について説明する。
【0124】
まず、ステップSP31,SP32,SP33においては、それぞれ、ステップSP11,SP12,SP13(図12)と同様の動作が行われる。
【0125】
次のステップSP34においては、カメラボディ2内のコントローラ20は、カメラボディ2内のデータ格納部DBからAF方式に関する情報を取得する。ここでは、AF方式として位相差方式を採用している旨の情報が取得されたものとする。
【0126】
そして、ステップSP35において、カメラボディ2内のコントローラ20は、交換レンズ3のレンズROM30から最良像面位置に関する情報を取得する。具体的には、レンズROM30内に格納された複数の方式のそれぞれに応じたテーブルTBp,TBq,...の中から、ステップSP34で取得したAF方式種類に応じたテーブルを選択し、選択したテーブルの中からその撮影時点の焦点距離および撮影距離に応じた補正量AP(ないしはAQ)を取得する。たとえば、カメラボディ2がAF方式として位相差方式を採用している場合において、ワイド端の焦点距離で無限遠の被写体を撮影するときには、テーブルTBp(図18)の中からその時点の焦点距離および撮影距離に応じた補正量AP10をデフォーカス量Δdfとして取得する。
【0127】
そして、ステップSP37において、コントローラ20は、レンズの駆動量を算出して、レンズを駆動する。上記のデフォーカス量Δdfは、像面位置を補正するための補正量であり、レンズの駆動量は、所定方式のオートフォーカス動作によって得られた基準合焦位置ARと現在位置との差を表す値をこのデフォーカス量Δdfを用いて補正した値として算出される。算出された駆動量にしたがってレンズが駆動されることによって、CCDは、最良像面位置に配置されることになる。
【0128】
ステップSP38,SP39は、ステップSP18,SP19と同様であり、これらのステップの動作によって、撮影画像が取得される。ステップSP37におけるレンズ移動によって、CCDは最良像面位置に配置されているので、全体的にぼけの少ない高画質の撮影画像を取得することが可能である。
【0129】
以上のように、第3実施形態のデジタルカメラによれば、AF方式に応じた複数の最良像面位置に関する情報が撮影レンズのレンズROM30に格納され、その格納された情報がカメラボディ2に対して伝送される。したがって、収差の影響を低減して高画質の画像を撮影することが可能である。
【0130】
<D.第4実施形態>
<D1.概要>
つぎに、第4実施形態について説明する。この第4実施形態のデジタルカメラも第1実施形態のデジタルカメラと同様の構成等を有している。以下では、相違点を中心に説明する。
【0131】
上記の第1実施形態においては、最大像高(ひいてはCCDのサイズ)に応じた最良像面位置を求めることにより、光学系に対するCCDの相対位置を補正する場合について説明した。
【0132】
これに対して、この第4実施形態においては、被写体が有する様々な色傾向に応じて、収差を低減するための最良像面位置を求め、光学系に対するCCDの相対位置を補正する動作について説明する。
【0133】
さて、一般的にレンズには色収差が存在する。そのため、波長λに応じて像面は互いに異なるものとなる。したがって、被写体の色に応じて、最良像面位置Gが異なることになる。言い換えれば、最良像面位置Gは、波長λに応じて異なるものとなる。このような波長λと最良像面位置G(Δdf)との関係は、上述の最大像高Hmaxと最良像面位置Gとの関係と同様に、数5のような2次近似曲線で表現することができる。
【0134】
【数5】
Figure 0003876724
【0135】
ここで、Cx,Cy,Czは適宜の係数であり、複数の測定結果等に基づいて回帰演算等の統計処理を施すことによって求めることができる。また、図21は、各波長ごとの実際の最良像面位置(黒点で示す)と近似曲線AC3(破線で示す)との関係を示すグラフである。
【0136】
収差の影響を低減して画像の高画質化を図るためには、被写体の色を考慮した上で最良像面位置Gをより正確に求めることが好ましい。言い換えれば、焦点距離および撮影距離が同じであっても、CCDは、被写体の色に応じて、異なる位置(最良像面位置G)に配置されることが好ましいのである。
【0137】
たとえば、赤色を多く含む被写体に対しては、主に赤色の波長成分に関する像面を主に考慮することによって、ぼけの少ない赤色成分の画面を取得することが可能になる。したがって、この場合、最良像面位置を決定するにあたって、赤色の波長成分の像面を主に考慮して最良像面位置を決定すればよい。
【0138】
一方、青色を多く含む被写体に対しては、主に青色の波長成分に関する像面を主に考慮することによって、ぼけの少ない青色成分の画面を取得することが可能になる。したがって、この場合、最良像面位置を決定するにあたって、青色の波長成分の像面を主に考慮して最良像面位置を決定すればよい。
【0139】
また、ズームレンズにおいてレンズの焦点距離を変更して撮影倍率を変更する場合においては、ズームレンズを構成する複数の構成レンズの位置関係が変化するため、像面の状況も変化する。したがって、波長λと最良像面位置G(ずれ量Δdf)との関係を、各焦点距離について求めておくことが好ましい。たとえば、2次の近似曲線を用いてこの関係を近似する場合には、3つの係数Cx,Cy,Czを複数の焦点距離のそれぞれについて求めておくことが好ましい。
【0140】
さらに、カメラから被写体までの距離(撮影距離)によっても、像面の状況は変化する。したがって、波長λと最良像面位置G(ずれ量Δdf)との関係を、各撮影距離について求めておくことが好ましい。たとえば、2次の近似曲線を用いてこの関係を近似する場合には、3つの係数Cx,Cy,Czを複数の撮影距離のそれぞれについて求めておくことが好ましい。
【0141】
図22は、係数Cxに関する情報が記憶されたテーブルTBxを示す概念図であり、図23は、係数Cyに関する情報が記憶されたテーブルTByを示す概念図であり、図24は、係数Czに関する情報が記憶されたテーブルTBzを示す概念図である。ここで、係数Cx,Cy,Czは、波長λと最良像面位置Gとの関係を表す2次近似曲線の3つの係数であり、焦点距離と撮影距離との複数の組合せのそれぞれに対して求められている。具体的には、テーブルTBxにおいては、焦点距離と撮影距離との組合せ(i,j)に対して、係数Cxは値Xijである旨が格納されている。同様に、焦点距離と撮影距離との同じ組合せ(i,j)に対して、係数Cyが値Yijである旨がテーブルTByに格納されており、係数Czが値Zijである旨がテーブルTBzに格納されている。
【0142】
このように、所定の波長λに対して最良像面位置G(ずれ量Δdf)を求めることができる。具体的には、被写体に含まれる色のうち1つの色に対応する所定の波長に対応する最良像面位置を求めるようにしてもよいが、一般に画像内にはその所定波長成分だけでなくその他の波長に対応する色も含まれている。したがって、複数の波長の光に対する最良像面位置Gを考慮することが好ましい。
【0143】
ここでは、次の数5のような関係を利用して、被写体画像に関する3つの主成分波長λi(i=1,2,3)を定め、各波長λiごとの仮想的な最良像面位置Gi(デフォーカス量diで表現する)を求め、これら3つの仮想的な最良像面位置の加重平均を算出することによって、最良像面位置G(デフォーカス量Δdfで表現する)を算出するものとする。
【0144】
具体的には、次の数6および数7に従って、最良像面位置Gを示すデフォーカス量Δdfを決定すればよい。
【0145】
【数6】
Figure 0003876724
【0146】
【数7】
Figure 0003876724
【0147】
ここで、wiは各考慮対象となる波長の最良像面位置の相互間の重み付け係数である。
【0148】
また、各波長λiは、被写体画像における色分布に基づいて次のようにして決定すればよい。
【0149】
たとえば、被写体画像が赤色成分を多く含む場合には、赤色系統の(ないしは赤色に近い)3つの光成分の波長を各λiとして決定することができる。たとえば、赤色、橙色、黄色の3つの色成分の波長を、それぞれ、波長λ1,λ2,λ3として決定すればよい。あるいは、被写体画像が青色成分を多く含む場合には、青色系統の(ないしは青色に近い)3つの光成分の波長を各λiとして決定することができる。たとえば、紫色、青色、緑色の3つの色成分の波長を、それぞれ、波長λ1,λ2,λ3として決定すればよい。
【0150】
そして、数5に基づいて、各λiについて仮想的な最良像面位置Gi(フォーカス量di)を求め、数6に基づいて加重平均を求める。ここにおいて、各係数Cx,Cy,Cz,w1,w2,w3は、撮影時点の焦点距離と撮影距離との組合せに応じて、図22〜図27に示すテーブルにしたがって決定すればよい。ここで、図25,図26,図27は、それぞれ、焦点距離と撮影距離との各組合せに応じた各係数w1,w2,w3の値を示すテーブルである。係数w1,w2,w3は、係数Cx,Cy,Czと同様に、このようなテーブルにしたがって、焦点距離と撮影距離との各組合せに応じて決定することが好ましい。
【0151】
たとえば、ワイド端の焦点距離で無限遠の被写体を撮影する場合には、図22〜図27に示されるように、係数の組(Cx,Cy,Cz,w1,w2,w3)として値(X10,Y10,Z10,WA10,WB10,WC10)が決定される。また、テレ端の焦点距離で最近接の被写体を撮影する場合には、図22〜図27に示されるように、係数の組(Cx,Cy,Cz,w1,w2,w3)として値(Xmn,Ymn,Zmn,WAmn,WBmn,WCmn)が決定される。そして、これらの係数の組(Cx,Cy,Cz,w1,w2,w3)と波長λ1,λ2,λ3とを用い、数5および数6に基づいて、デフォーカス量Δdfを算出することができる。さらに、算出されたデフォーカス量Δdfに基づいてレンズを移動させることによって、CCDは最良像面位置に配置される。このように、この第4実施形態によれば、被写体の色に応じた最良像面位置を求めることによって、光学系に対するCCDの相対位置を補正することができる。この結果、このデジタルカメラは、「ぼけ」が少ない高画質の画像を生成することが可能である。
【0152】
なお、ここでは、係数w1,w2,w3を、焦点距離と撮影距離との各組合せに基づいて定めているが、これに限定されず、焦点距離および/または撮影距離に依存させずに所定の定数としてもよい。ただし、上記実施形態のように焦点距離と撮影距離との各組合せに応じて係数w1,w2,w3を定めることによれば、より正確な最良像面位置Gを決定することが可能になる。
【0153】
<D2.動作>
つぎに、図28のフローチャートを参照しながら、第4実施形態に係るデジタルカメラ1の動作について説明する。
【0154】
まず、ステップSP41,SP42,SP43においては、それぞれ、ステップSP11,SP12,SP13(図12)と同様の動作が行われる。
【0155】
次のステップSP44においては、カメラボディ2内のコントローラ20は、交換レンズ3から最良像面位置に関する情報を取得する。具体的には、その撮影時点の焦点距離および撮影距離に応じた6つの係数Cx,Cy,Cz,w1,w2,w3を取得する。
【0156】
ステップSP45において、コントローラ20は、カメラボディ2内のデータ格納部DBから被写体の色に関する情報を取得する。そして、コントローラ20は、考慮対象とする3つの波長λ1,λ2,λ3をその色情報に基づいて決定する。コントローラ20は、たとえば、画像の度数分布等に基づいて赤色成分が多いと判定するときには、波長λ1,λ2,λ3として、赤色、橙色、黄色の3つの色成分の波長λr,λo,λyを選択する。
【0157】
さらにステップSP46においては、コントローラ20は、ステップSP44で取得した3つの係数Cx,Cy,Czによって表現される近似曲線に基づいて、ステップSP45で取得した3つの波長λ1,λ2,λ3のそれぞれに対する仮想的なデフォーカス量d1,d2,d3を算出する。コントローラ20は、さらに数7を用いて、これらのデフォーカス量d1,d2,d3とステップSP44で取得された係数w1,w2,w3とを用いて、デフォーカス量Δdfを算出する。これにより最良像面位置Gが求められる。
【0158】
そして、ステップSP47において、コントローラ20は、レンズの駆動量を算出して、レンズを駆動する。上記のデフォーカス量Δdfは、像面位置を補正するための補正量であり、レンズの駆動量は、所定方式のオートフォーカス動作によって得られた基準合焦位置(合焦レンズ位置)と現在位置との差を表す値を、このデフォーカス量Δdfを用いて補正した値として算出される。算出された駆動量にしたがってレンズが駆動されることによって、CCDは、最良像面位置に配置されることになる。
【0159】
ステップSP48,SP49は、ステップSP18,SP19と同様である。これにより、撮影画像が取得される。ステップSP47におけるレンズ移動によって、CCDは最良像面位置に配置されているので、全体的にぼけの少ない高画質の撮影画像を取得することが可能である。
【0160】
以上のように、第4実施形態のデジタルカメラによれば、被写体の色情報に応じた複数の最良像面位置に関する情報(より具体的には、波長λと最良像面位置Gとの関係を表す情報等)が撮影レンズのレンズROM30に格納され、その格納された情報がカメラボディ2に対して伝送される。したがって、収差の影響を低減して高画質の画像を撮影することが可能である。
【0161】
<E.その他>
上記第1実施形態においては、カメラボディ2側のCCDサイズは、カメラボディ2ごとに固定されたものである場合を想定していたが、これに限定されない。たとえば、様々なサイズのCCD(撮像素子)を含む撮像素子ユニットを交換することが可能なように構成されたカメラボディ2に対して本発明を適用しても良い。この場合、カメラボディ2のコントローラ20は、交換レンズ3のレンズROM30から上述のレンズ特性に関する情報を取得することができるので、装着されたCCDサイズについての最大像高Hmaxに対応する最良像面位置をより正確に求め、レンズをより適切に配置することができる。したがって、収差の影響を低減して高画質の画像を取得することが可能である。
【0162】
上記第2実施形態では、CCDは所定のサイズを有するものとし、CCDサイズの相違による最良像面位置の相違は考慮しないものとしていたが、これに限定されない。たとえば、複数のCCDサイズに応じて、それぞれ、絞り値に応じた像面位置を表すテーブルを準備しておくようにしても良い。
【0163】
また、上記第3実施形態においては、位相差方式とコントラスト方式とのそれぞれに応じた最良像面位置をあらかじめ求めておく場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、位相差方式をさらに細分化した各方式に応じた最良像面位置をあらかじめ求めておくようにしても良い。具体的には、赤外線を利用する位相差方式、および可視光を利用する位相差方式のそれぞれに応じた最良像面位置をあらかじめ求めておくようにしても良い。さらには、位相差方式およびコントラスト方式以外の所定のAF方式に応じた最良像面位置をあらかじめ求めておくようにしても良い。これらの場合においても、撮影時に、レンズ固有の収差の影響を低減するための最良像面位置を各AF方式に応じて得ることができるので、より高画質の画像を得ることが可能になる。
【0164】
さらに、上記各実施形態においては、焦点距離および撮影距離の所定の組合せごとに、所定の特性量と最良像面位置との関係を求めていたが、これに限定されない。たとえば、データ容量を低減すること(あるいは制御を簡略化すること)を優先させる場合には、1つのレンズについて所定の特性量と最良像面位置との関係を1つだけ求めておくようにしてもよい。ただし、より高精度に補正するためには、上述したように、焦点距離および撮影距離の複数の組合せのそれぞれについて、所定の特性量と最良像面位置との関係を求めておくことが好ましい。
【0165】
また、上記各実施形態においては、本発明をデジタルカメラシステムに適用する場合を例示したが、これに限定されず、銀塩カメラシステムに適用しても良い。たとえば、第2実施形態において、CCDの代わりにフィルム面を最良像面位置に配置すればよい。これにより、絞り値に応じた最良像面位置にフィルム面を配置することができるので、より高画質の画像を取得することが可能である。
【0166】
さらに、上記各実施形態においては、デジタルカメラ専用の撮影レンズについて説明したが、これに限定されない。たとえば、第1実施形態に係る撮影レンズを、デジタルカメラのカメラボディに対して装着するだけでなく、銀塩カメラのカメラボディに対して装着するようにしてもよい。すなわち、撮影レンズを、デジタルカメラと銀塩カメラとの両カメラで兼用してもよい。この場合には、撮影レンズの適用対象範囲を広げることが可能になる。
【0172】
【発明の効果】
以上のように、請求項1または請求項に記載の発明によれば、撮影レンズにおいて、光学系が所定の焦点距離を有するときの、所定の特性量に応じた複数の最良像面位置に関する情報が格納され、その格納された情報がカメラボディに対して伝送されるので、レンズの特性を考慮した画像を撮影することが可能になる。すなわち、収差の影響を低減して高画質化を図ることが可能である。
【0175】
特に、撮影レンズには、複数の自動焦点検出方式のそれぞれに応じた複数の最良像面位置に関する情報が格納されているので、自動焦点検出方式を考慮して収差の影響を低減した高画質の画像を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラ1の構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II位置から見た断面図である。
【図3】デジタルカメラ1の背面図である。
【図4】レンズマウント部Mtの要部構成を示す図である。
【図5】像面S1を示す図である。
【図6】最大像高が変化したときの像面S1を示す図である。
【図7】異なる大きさの有効領域を有する3つのCCDと、その最大像高Hmaxとの関係を示す図である。
【図8】最大像高Hmaxと最良像面位置Gとの関係を示す図である。
【図9】係数Caに関する情報が記憶されたテーブルTBaを示す概念図である。
【図10】係数Cbに関する情報が記憶されたテーブルTBbを示す概念図である。
【図11】係数Ccに関する情報が記憶されたテーブルTBcを示す概念図である。
【図12】第1実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図13】光軸上の光束に関する(狭義の)球面収差について説明する図である。
【図14】絞り値の変化に伴い最良像面位置が変化することを説明する図である。
【図15】係数Cmに関する情報が記憶されたテーブルTBmを示す概念図である。
【図16】係数Cnに関する情報が記憶されたテーブルTBnを示す概念図である。
【図17】第2実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図18】位相差方式での最良像面位置に関する情報を格納したテーブルTBpを示す概念図である。
【図19】コントラスト方式での最良像面位置に関する情報を格納したテーブルTBqを示す概念図である。
【図20】第3実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図21】波長λと最良像面位置Gとの関係を示すグラフである。
【図22】係数Cxに関する情報が記憶されたテーブルTBxを示す概念図である。
【図23】係数Cyに関する情報が記憶されたテーブルTByを示す概念図である。
【図24】係数Czに関する情報が記憶されたテーブルTBzを示す概念図である。
【図25】係数w1に関する情報が記憶されたテーブルを示す概念図である。
【図26】係数w2に関する情報が記憶されたテーブルを示す概念図である。
【図27】係数w3に関する情報が記憶されたテーブルを示す概念図である。
【図28】第4実施形態における動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 カメラシステム
2 カメラボディ
3 交換レンズ(撮影レンズ)
20 コントローラ
23 CCD
26 測距センサ
27 モータ
29 シャッターボタン
CNb,CNc コネクタ
DB データ格納部
G 最良像面位置
Hmax 最大像高
L 光軸
S1 像面
λ,λ1,λ2,λ3,λi 波長
Δdf,d1,d2,d3 デフォーカス量

Claims (2)

  1. カメラシステムであって、
    少なくとも1枚のレンズを含む光学系を有する撮影レンズと、
    前記撮影レンズが着脱可能に装着されるカメラボディと、
    を備え、
    前記撮影レンズは、
    前記光学系が所定の焦点距離を有するときの、所定の特性量に応じた複数の最良像面位置に関する情報を格納する格納手段と、
    前記格納手段に格納された情報を前記カメラボディに対して伝送する伝送手段と、
    を有し、
    前記格納手段は、前記所定の特性量に応じた複数の最良像面位置に関する情報として、複数の自動焦点検出方式のそれぞれに応じた複数の最良像面位置に関する情報を格納していることを特徴とするカメラシステム。
  2. カメラボディに対して着脱可能な撮影レンズであって、
    少なくとも1枚のレンズを含む光学系と、
    前記光学系が所定の焦点距離を有するときの、所定の特性量に応じた複数の最良像面位置に関する情報を格納する格納手段と、
    前記格納手段に格納された情報を前記カメラボディに対して伝送する伝送手段と、
    を備え、
    前記格納手段は、前記所定の特性量に応じた複数の最良像面位置に関する情報として、複数の自動焦点検出方式のそれぞれに応じた複数の最良像面位置に関する情報を格納していることを特徴とする撮影レンズ。
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