JP3876657B2 - 車両灯具用レンズ体およびその成形用金型並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、車両のプロジェクタ式ランプのアウタレンズとして適用される車両灯具用レンズ体およびその成形用金型並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、この種の車両灯具用レンズ体100を示す。このレンズ体100は、ランプハウジング4の開口部4aを覆う薄肉のカバー部2と、このカバー部2の正面部分2aに外方へ突出させて厚肉に形成される光学的に作用する光学部(凸レンズ部)3とを有して透明樹脂材を用いた射出成形で一体形成されている。なお、図9中、符号5はリフレクタ、符号6は光源バルブ、符号7はレンズ体100とランプハウジング4とにより画成された灯室をそれぞれ示す。
【0003】
図10(a)、(b)は、レンズ体100を形成するための成形用金型200を示す。この成形用金型200は、図10(b)に示すように、レンズ体100の外側面(灯室7と反対側の側面)に対応するキャビティ一側壁13が形成されている雌型11と、レンズ体100の内側面(灯室7側の側面)に対応するキャビティ他側壁14およびサイドゲート15(図10(a)参照)が形成されている雄型12とから構成されている。このとき、キャビティ一側壁13は、光学部3の外側面に対応する球面壁13aと、カバー部2の外側面に対応する平坦壁13bとを有して形成されている。
【0004】
そして従来では、レンズ体100は、成形用金型10を用いた射出成形により、一回の形成で、カバー部2と光学部3とを備えた全体が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように形成されたレンズ体100は、光学部3にヒケが生じて光学部3の厚み等の寸法精度を要求値の範囲内に設定することが難しいばかりでなく、金型10と接する表面部分にフローマークが生じて外観を低下させる、という課題を有している。
【0006】
このため、発明者は、さらに検討を重ね、光学部3に対応する部分に樹脂ゲートを設置して、まずキャビティ全体に一般的な射出速度で樹脂材を充填し、キャビティのほぼ全容量に行き渡った時点で、射出速度を低速に切り換えると共に、光学部3に一定時間樹脂材を保圧充填するレンズ体100の製造方法も試みたが、寸法精度および外観に幾分の改良が見られたものの、未だ満足する品質のものは得られなかった。
【0007】
そこで、この発明は、薄肉部分と厚肉部分とを共有して一体形成されるにも拘わらず、各部分毎に要求値の範囲内の寸法精度が容易に得られると共に、フローマークの出現を無くして外観上の向上も確保できる車両灯具用レンズ体およびその成形用金型並びにその製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、ランプハウジングの開口部を覆う薄肉のカバー部と、このカバー部に厚肉に形成される光学的に作用する光学部とを有して透明樹脂材を用いた射出成形で一体形成されてなる車両灯具用レンズ体であって、金型のキャビティ内で前記光学部を固化した後、前記カバー部を形成したことを特徴とする。
【0009】
このため、請求項1の発明では、光学部とカバー部とを別々に形成するようにしたので、それぞれ金型温度や射出速度や冷却速度等の加工条件を最適にして形成することができる。
【0010】
また、光学部をカバー部よりも先に形成することになるので、光学部の樹脂材の固化時に生じたヒケ部分とゲート跡は、カバー部を形成する樹脂材により埋められて、成形品の外側面に現出することがない。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の車両灯具用レンズ体の成形用金型であって、
前記キャビティのゲートは、前記光学部のキャビティに対して進退動するように取り付けられ前進して前記光学部のキャビティの根本部分を閉塞すると共に、後退して前記光学部および前記カバー部の各キャビティを含む全キャビティの全容積を連通させるスライド駒に設けられており、かつ前記スライド駒は、前記光学部のキャビティへ前記ゲートを介して樹脂材を充填するために前進すると共に該樹脂材の固化後後退するように移動制御されていることを特徴とする。
【0012】
このため、請求項2の発明では、スライド駒の前進で光学部のキャビティ内のみに樹脂材を充填して光学部を形成することができると共に、その後スライド駒の後退で光学部の内側面側の内側キャビティおよびカバー部のキャビティに樹脂材を充填して光学部を除いたレンズ体の残余部分を形成することができる。このように、光学部とカバー部とを別々に形成することができるので、それぞれ金型温度や冷却速度や射出速度等の加工条件を最適に設定することができる。
【0013】
また、スライド駒の移動制御により光学部をカバー部よりも先に形成するようにしたので、光学部の樹脂材の固化時に生じたヒケ部分とゲート跡は、カバー部を形成する樹脂材により埋められて、成形品の外側面に現出することがない。
【0014】
また、スライド駒に設けられるゲートは、スライド駒の進退動により、光学部とカバー部の形成に共用できる。
【0015】
また、請求項3の発明は、請求項2の車両灯具用レンズ体の成形用金型であって、
前記光学部のキャビティの周辺の金型部分には、前記キャビティへの樹脂材の充填の際に前記金型部分を部分的に加熱する温度調節用ヒータが、内蔵されていることを特徴とする。
【0016】
このため、請求項3の発明では、光学部の形成時の金型温度を、カバー部の形成時と独立して最適条件に設定することができる。
【0017】
また、請求項4の発明は、請求項2または3の車両灯具用レンズ体の成形用金型であって、
前記光学部のキャビティの根本部分の周縁部に、前記スライド駒の先端部が突き当たる段部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
このため、請求項4の発明では、スライド駒の先端部が段部に突き当たることによって、スライド駒の精確な移動ストロークが得られると共に、光学部のキャビティ内に充填された樹脂材の外部へのはみ出しも防ぐことができる。
【0019】
また、請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれか1項の車両灯具用レンズ体の成形用金型であって、
前記キャビティのゲートが、ピンポイントゲートで構成されていることを特徴とする。
【0020】
このため、請求項5の発明では、射出成形品に形成されるゲート跡は、ピンポイントゲートによるものであるから小さく、配光性能上からも外観上からも無視できるものとして形成される。
【0021】
また、請求項6の発明は、請求項1の車両灯具用レンズ体の製造方法であって、前記射出成形は、前記キャビティのゲートが、前記光学部のキャビティに対して進退動するように取り付けられ前進して前記光学部のキャビティの根本部分を閉塞すると共に後退して前記光学部および前記カバー部の各キャビティを含む前記キャビティの全容積を連通させるスライド駒に設けられている成形用金型を用いた2色成形法で、前記スライド駒が前進した位置での前記ゲートを用いた一次モールドにより前記光学部を形成固化した後、前記スライド駒が後退した位置での前記ゲートを用いた二次モールドにより前記カバー部を形成するようにしたことを特徴とする。
【0022】
このため、請求項6の発明では、2色成形法により、光学部とカバー部とを別々に形成するようにしたので、それぞれ金型温度や冷却速度や射出速度等の加工条件を最適にして形成することができる。
【0023】
また、一次モールドにより光学部を形成し、二次モールドによりカバー部を形成するようにしたので、光学部の樹脂材の固化時に生じたヒケ部分は、二次モールドの樹脂材により埋められて、成形品の外側面に現出することがない。
【0024】
また、請求項7の発明は、請求項6の車両灯具用レンズ体の製造方法であって、
前記一次モールドは、前記二次モールドと比較して、前記光学部のキャビティの周辺の金型部分を高温に設定すると共に、樹脂材充填速度を低速に設定して前記光学部を形成するようにしたことを特徴とする。
【0025】
このため、請求項7の発明では、一次モールドの樹脂材充填速度を低速にすることにより、光学部にフローマークが生じるのを抑制することができると共に、一次モールドを二次モールドよりも高温下で実行することにより、光学部と、カバー部を含む他の部分との冷却速度をほぼ一致させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0027】
図1は、この発明の一実施の形態としての車両灯具用レンズ体1を示す。このレンズ体1は、従来と同様に、ランプハウジングの開口部を覆う薄肉のカバー部2と、このカバー部2の正面部分2aに外方へ突出させて厚肉に形成される光学的に作用する光学部3とを有して透明樹脂材を用いた射出成形で一体形成されて大略構成されている。光学部3は、凸レンズ状に形成される。
【0028】
そして、このレンズ体1は、従来のものと異なり、カバー部2が、金型のキャビティ内の光学部3の樹脂材の固化後に、光学部3の内側部分(図7に示す灯室7側の部分)3aを含めてキャビティの残容量の全体に充填された透明樹脂材により形成されて全体構成されている。
【0029】
このときの透明樹脂材としては、透明熱可塑性樹脂材、例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリル樹脂(PMMA)、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP)、および透明ポリアミド樹脂(PA)が考えられ、好ましくはポリカーボネート樹脂が用いられる。ポリカーボネート樹脂の分子量は、樹脂の性能を考慮すると、好ましくは20,000以下、より好ましくは15,000〜20,000である。
【0030】
添加剤として、透明熱可塑性樹脂材に、顔料、耐電防止剤、および離型剤等を適宜選択して加えてもよい。
【0031】
このように構成されたレンズ体1は、光学部3とカバー部2とを別々に形成するようにしたので、それぞれ金型温度や射出速度や冷却速度等の加工条件を最適にして形成することができ、これによりカバー部2の薄肉部分と光学部3の厚肉部分とを共有して一体形成されるにも拘わらず、各部分毎に要求値の範囲内の寸法精度が容易に得られると共に、フローマークの出現を無くして外観上の向上も確保できる。
【0032】
その上、レンズ体1は、光学部3をカバー部2よりも先に形成することにより、光学部3の樹脂材の固化時に生じたヒケ部分は、カバー部2を形成する樹脂材により埋められて、成形品の外側面に現出することがないので、この点でも寸法精度および外観の向上を確保することができる。
【0033】
図2(a),(b)は、レンズ体1の成形用金型20を示す。この金型20は、キャビティのゲート8が、光学部3のキャビティ17に対して進退動するように取り付けられ前進してキャビティ17の根本部分を閉塞すると共に後退して光学部3およびカバー部2の各キャビティ17、18を含む全キャビティ16(図3(a),(b)参照)の全容積を連通させるスライド駒9に設けられており、かつスライド駒9は、光学部3のキャビティ17へゲート8を介して樹脂材を充填するために前進すると共に該樹脂材の固化後後退するように移動制御されて全体構成されている。
【0034】
具体的には、金型20は、レンズ体1の外側面(灯室7と反対側の側面)に対応するキャビティ一側壁13が形成されている雌型11と、レンズ体1の内側面(灯室7側の側面)に対応するキャビティ他側壁14が形成されている雄型12とから構成されている。このとき、キャビティ一側壁13は、光学部3の外側面に対応する球面壁13aと、カバー部2の外側面に対応する平坦壁13bとを有して形成されており、かつスライド駒9は、図2(b)中、矢印Aで示すように、その先端が球面壁13aに対向するキャビティ他側壁14から出没するように雄型12に取り付けられている。
【0035】
雌型11と雄型12との型締めにより、キャビティ17は、球面壁13aとスライド駒9の先端面との間で構成され、キャビティ18は、平坦壁13bとキャビティ他側壁14との間で構成される。スライド駒9は、例えば油圧シリンダ(図示せず)を備えて構成されており、キャビティ17内の樹脂材の有無および固化状態を検出するセンサ(図示せず)からの信号に基づいて前記油圧シリンダを介して矢印A方向に移動制御させられる。
【0036】
このように構成された金型20は、スライド駒9の前進で光学部3のキャビティ17内のみに樹脂材を充填して光学部3を形成することができると共に、その後スライド駒9の後退で光学部3の内側面側の内側キャビティおよびカバー部2のキャビティ18に樹脂材を充填して光学部3を除いたレンズ体1の残余部分を形成することができる。このように金型20は、光学部3とカバー部2とを別々に形成することができるので、それぞれ金型温度や、冷却速度や、射出速度等の加工条件を最適に設定することができ、これにより前述した作用効果を奏するレンズ体1を容易に形成することができる。
【0037】
また、スライド駒9の移動制御により光学部3をカバー部2よりも先に形成するようにしたので、光学部3の樹脂材の固化時に生じたヒケ部分とゲート跡は、カバー部2を形成する樹脂材により埋められて、成形品の外側面に現出することがない。このため金型20は、成形品の寸法精度の確保は勿論のこと、その外観上の向上をも確保することができる。
【0038】
また、スライド駒9に設けられるゲート8は、スライド駒9の進退動により、光学部3とカバー部2の形成に共用できる。このため金型20は、ゲート8を一個設けるだけで良く、構造の複雑化を伴うこともない。
【0039】
また、好ましくは、金型20は、光学部3のキャビティ17の周辺の金型部分には、キャビティ17への樹脂材の充填の際に金型部分を部分的に加熱する温度調節用ヒータ19が、内蔵されて構成される。なお、スライド駒9にもヒータ22が内蔵されており、このヒータ22は、ゲート8に連通するランナー内の樹脂材Rを加熱している。
【0040】
この構成によれば、金型20は、光学部3の形成時の金型温度を、カバー部2の形成時と独立して最適条件に設定することができる。すなわち、金型20は、光学部3の形成時の金型温度を、カバー部2の形成時よりも高温に設定することができ、これにより前述した作用効果を奏するレンズ体1を一層容易に形成することができる。
【0041】
また、さらに好ましくは、金型20は、光学部3のキャビティ17の根本部分の周縁部に、スライド駒9の先端部が突き当たる段部21(図3(b)参照)が形成されて構成される。
【0042】
この構成によれば、スライド駒9の先端部が段部21に突き当たることによって、スライド駒9の精確な移動ストロークが得られると共に、光学部3のキャビティ17内に充填された樹脂材の外部へのはみ出しも防ぐことができ、これによりレンズ体1の寸法精度および外観を共に向上させることができる。
【0043】
また、さらに好ましくは、金型20は、キャビティ16のゲート8が、ピンポイントゲートで構成される。このピンポイントゲートは、ピンゲートあるいはバルブゲートともいう。
【0044】
この構成によれば、射出成形品に形成されるゲート跡は、ピンポイントゲートによるものであるから小さく、配光性能上からも外観上からも無視できるものとして形成され、これにより射出成形品を、何等後加工を加えることなしにそのままレンズ体1として使用可能である。
【0045】
次に、図3〜図6に基づいて、金型20を用いた射出成形によりレンズ体1を形成する製造方法について説明する。
【0046】
この製造方法における射出成形は、全キャビティ16のゲート8が、光学部3のキャビティ17に対して進退動するように取り付けられ前進して光学部3のキャビティ17の根本部分を閉塞すると共に後退して光学部3およびカバー部2の各キャビティ17,18を含む全キャビティ16の全容積を連通させるスライド駒9に設けられている成形用金型20を用いた2色成形法で、スライド駒9が前進した位置でのゲート8を用いた一次モールドにより光学部3を形成固化した後、スライド駒9が後退した位置でのゲート8を用いた二次モールドにより光学部3の内側部分およびカバー部2を含めたレンズ体1の残余部分を形成するようにした。
【0047】
そして、この製造方法は、好ましくは、一次モールドは、二次モールドと比較して、光学部3のキャビティ17の周辺の金型部分を高温に設定すると共に、樹脂材充填速度を低速に設定して光学部3を形成するようにする。
【0048】
具体的には、まず、図3(a)、(b)に示すように、金型20の雌型11と雄型12とを型締めした後、スライド駒9をa方向に前進させてその先端部を段部21に突き当ててキャビティ17の根本部分をスライド駒9の先端面で閉塞する。このとき、キャビティ17の周辺の金型部分は、温度調節用ヒータ19により高温に設定されている。
【0049】
このセット状態で一次モールドが行われる。すなわち、図4(a)、(b)に示すように、ゲート8から樹脂材Rが矢印b方向に低速でキャビティ17内に充填される。充填後は、温度調節用ヒータ19を停止し一定時間冷却後、樹脂材Rが固化するまでこの状態を維持する。キャビティ17内の樹脂材Rの固化により、光学部3を形成することができる。
【0050】
キャビティ17内の樹脂材Rの固化後は、図5(a)、(b)に示すように、スライド駒9をc方向に後退させる。この後退により、光学部3の内側面側に内側キャビティ18aが出現し、この内側キャビティ18aを介してカバー部2のキャビティ18を含む残余のキャビティが連通することになる。
【0051】
このキャビティの連通状態で二次モールドが行われる。すなわち、図6(a)、(b)に示すように、ゲート8から樹脂材Rが矢印d方向に通常速度で内側キャビティ18aを介してカバー部2のキャビティ18を含む残余のキャビティ内に充填される。このとき金型20は、一次モールドよりも低温の通常の金型温度に設定される。この充填後一定時間冷却して樹脂材Rを固化することにより、光学部3を除いたレンズ体1の残余部分を形成することができ、以後型開きすることによって成形品としてレンズ体1を得ることができる。内側キャビティ18a内の樹脂材Rの固化により、光学部3の内側部分3a(図1(a)参照)が形成される。
【0052】
この製造方法によれば、2色成形法により、光学部とカバー部とを別々に形成するようにしたので、それぞれ金型温度や、冷却速度や、射出速度等の加工条件を最適にして形成することができるので、前述した作用効果を奏するレンズ体1を容易に形成することができる。
【0053】
また、この製造方法は、一次モールドにより光学部3を形成し、二次モールドにより光学部3の内側部分およびカバー部2を含めたレンズ体1の残余部分を形成するようにしたので、光学部3の樹脂材の固化時に生じたヒケ部分とゲート跡は、二次モールドの樹脂材により埋められて、成形品の外側面に現出することがないので、成形品の寸法精度の確保は勿論のこと、その外観上の向上をも確保することができる。
【0054】
さらに、この製造方法は、一次モールドの樹脂材充填速度を低速にすることにより、光学部3にフローマークが生じるのを抑制することができると共に、一次モールドを二次モールドよりも高温下で実行することにより、光学部3と、カバー部2を含む他の部分との冷却速度をほぼ一致させることができるので、この点でも成形品の寸法精度の確保は勿論のこと、その外観上の向上をも確保することができる。
【0055】
また、本発明の車両灯具用レンズ体の光学部3は、図1に示すように、薄肉のカバー部2に凸レンズ状に外方へ突出させて厚肉に形成されるばかりでなく、図7に示すように、薄肉のカバー部2に表裏面がやや凹面状に凹んだ厚肉部として形成しても良く、あるいは図8に示すように、薄肉のカバー部2に凸レンズ状に内方へ突出させて厚肉に形成しても良く、要するに、薄肉のカバー部2に厚肉に一体形成したものであれば、その形状には何等限定されるものではない。
【0057】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば次のような効果を奏することができる。
【0058】
すなわち、請求項1の発明によれば、光学部とカバー部とを別々に形成するようにしたので、それぞれ金型温度や射出速度や冷却速度等の加工条件を最適にして形成することができ、これによりカバー部の薄肉部分と光学部の厚肉部分とを共有して一体形成されるにも拘わらず、各部分毎に要求値の範囲内の寸法精度が容易に得られると共に、フローマークの出現を無くして外観上の向上も確保できる車両灯具用レンズ体を提供することができる。
【0059】
さらに、請求項1の発明によれば、光学部をカバー部よりも先に形成するため、光学部の樹脂材の固化時に生じたヒケ部分とゲート跡は、カバー部を形成する樹脂材により埋められて、成形品の外側面に現出することがなくなり、この点でも寸法精度および外観の向上を確保することができる車両灯具用レンズ体を提供することができる。
【0060】
また、請求項2の発明によれば、スライド駒の進退動により、光学部とカバー部とを別々に形成することができるので、それぞれ金型温度や射出速度等の加工条件を最適に設定することができ、これにより請求項1の車両灯具用レンズ体を容易に形成することができる成形用金型を提供することができる。
【0061】
さらに、請求項2の発明によれば、スライド駒の移動制御により光学部をカバー部よりも先に形成するようにしたので、光学部の樹脂材の固化時に生じたヒケ部分とゲート跡は、カバー部を形成する樹脂材により埋められて、成形品の外側面に現出することがないので、成形品の寸法精度の確保は勿論のこと、その外観上の向上をも確保することができる。
【0062】
またさらに、請求項2の発明によれば、スライド駒に設けられるゲートは、スライド駒の進退動により、光学部とカバー部の形成に共用できるので、ゲートを一個設けるだけで良く、これにより構造の複雑化を伴うこともない。
【0063】
また、請求項3の発明によれば、光学部の形成時の金型温度を、カバー部の形成時と独立して最適条件に設定することができるので、請求項2の発明の効果に加えて、請求項1の車両灯具用レンズ体を一層容易に形成することができる。
【0064】
また、請求項4の発明によれば、スライド駒の先端部が、光学部のキャビティの段部に突き当たることによって、スライド駒の精確な移動ストロークが得られると共に、前記キャビティ内に充填された樹脂材の外部へのはみ出しも防ぐことができ、これにより請求項2または3の発明の効果に加えて、レンズ体の寸法精度および外観を共に向上させることができる。
【0065】
また、請求項5の発明によれば、射出成形品に形成されるゲート跡は、ピンポイントゲートによるものであるから小さく、配光性能上からも外観上からも無視できるものとして形成され、これにより請求項2〜4のいずれか1項の発明の効果に加えて、射出成形品を、何等後加工を加えることなしにそのまま車両灯具用レンズ体として使用可能である。
【0066】
また、請求項6の発明によれば、2色成形法により、光学部とカバー部とを別々に形成するようにしたので、それぞれ金型温度や、冷却速度や、射出速度等の加工条件を最適にして形成することができるので、請求項1の車両灯具用レンズ体を容易に形成することができる製造方法を提供することができる。
【0067】
さらに、請求項6の発明によれば、一次モールドにより光学部を形成し、二次モールドによりカバー部を形成するようにしたので、光学部の樹脂材の固化時に生じたヒケ部分とゲート跡は、二次モールドの樹脂材により埋められて、成形品の外側面に現出することがないので、成形品の寸法精度の確保は勿論のこと、その外観上の向上をも確保することができる。
【0068】
また、請求項7の発明によれば、一次モールドの樹脂材充填速度を低速にすることにより、光学部にフローマークが生じるのを抑制することができると共に、一次モールドを二次モールドよりも高温下で実行することにより、光学部と、カバー部を含む他の部分との冷却速度をほぼ一致させることができるので、これにより請求項6の発明の効果に加えて、成形品の寸法精度の確保は勿論のこと、その外観上の向上をも確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態としての車両灯具用レンズ体を示し、(a)は(b)のIa−Ia線に沿う断面図、(b)はその正面図である。
【図2】図1の車両灯具用レンズ体を成形するための成形用金型を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のIIb−IIb線に沿う断面図である。
【図3】図1の車両灯具用レンズ体を成形するための製造方法の説明図で、スライド駒のセット工程を示し、(a)は金型全体の断面図、(b)はその要部拡大断面図である。
【図4】図1の車両灯具用レンズ体を成形するための製造方法の説明図で、一次モールド工程を示し、(a)は金型全体の断面図、(b)はその要部拡大断面図である。
【図5】図1の車両灯具用レンズ体を成形するための製造方法の説明図で、一次モールド工程と二次モールド工程の中間工程を示し、(a)は金型全体の断面図、(b)はその要部拡大断面図である。
【図6】図1の車両灯具用レンズ体を成形するための製造方法の説明図で、二次モールド工程を示し、(a)は金型全体の断面図、(b)はその要部拡大断面図である。
【図7】この発明の他の実施の形態としての車両灯具用レンズ体の断面図である。
【図8】この発明のさらに他の実施の形態としての車両灯具用レンズ体の断面図である。
【図9】従来のレンズ体を車両灯具に適用した状態の概略断面図である。
【図10】従来のレンズ体を成形するための成形用金型を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のVIIIb−VIIIb線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 レンズ体(車両灯具用レンズ体)
2 カバー部
2a 正面部分(カバー部の)
3 光学部
4 ランプハウジング
4a 開口部
8 ゲート
9 スライド駒
16 全キャビティ
17 キャビティ(光学部の)
18 キャビティ(カバー部の)
19 温度調節用ヒータ
20 金型(成形用金型)
21 段部
R 樹脂材(透明樹脂材)
Claims (7)
- ランプハウジングの開口部を覆う薄肉のカバー部と、このカバー部に厚肉に形成される光学的に作用する光学部とを有して透明樹脂材を用いた射出成形で一体形成されてなる車両灯具用レンズ体であって、
金型のキャビティ内で前記光学部を固化した後、前記カバー部を形成したことを特徴とする車両灯具用レンズ体。 - 請求項1の車両灯具用レンズ体の成形用金型であって、
前記キャビティのゲートは、前記光学部のキャビティに対して進退動するように取り付けられ前進して前記光学部のキャビティの根本部分を閉塞すると共に後退して前記光学部および前記カバー部の各キャビティを含む全キャビティの全容積を連通させるスライド駒に設けられており、かつ前記スライド駒は、前記光学部のキャビティへ前記ゲートを介して樹脂材を充填するために前進すると共に該樹脂材の固化後後退するように移動制御されていることを特徴とする車両灯具用レンズ体の成形用金型。 - 請求項2の車両灯具用レンズ体の成形用金型であって、
前記光学部のキャビティの周辺の金型部分には、前記キャビティへの樹脂材の充填の際に前記金型部分を部分的に加熱する温度調節用ヒータが、内蔵されていることを特徴とする車両灯具用レンズ体の成形用金型。 - 請求項2または3の車両灯具用レンズ体の成形用金型であって、
前記光学部のキャビティの根本部分の周縁部に、前記スライド駒の先端部が突き当たる段部が形成されていることを特徴とする車両灯具用レンズ体の成形用金型。 - 請求項2〜4のいずれか1項の車両灯具用レンズ体の成形用金型であって、
前記キャビティのゲートが、ピンポイントゲートで構成されていることを特徴とする車両灯具用レンズ体の成形用金型。 - 請求項1の車両灯具用レンズ体の製造方法であって、
前記射出成形は、前記キャビティのゲートが、前記光学部のキャビティに対して進退動するように取り付けられ前進して前記光学部のキャビティの根本部分を閉塞すると共に後退して前記光学部および前記カバー部の各キャビティを含む前記キャビティの全容積を連通させるスライド駒に設けられている成形用金型を用いた2色成形法で、前記スライド駒が前進した位置での前記ゲートを用いた一次モールドにより前記光学部を形成固化した後、前記スライド駒が後退した位置での前記ゲートを用いた二次モールドにより前記カバー部を形成するようにしたことを特徴とする車両灯具用レンズ体の製造方法。 - 請求項6の車両灯具用レンズ体の製造方法であって、
前記一次モールドは、前記二次モールドと比較して、前記光学部のキャビティの周辺の金型部分を高温に設定すると共に、樹脂材充填速度を低速に設定して前記光学部を形成するようにしたことを特徴とする車両灯具用レンズ体の製造方法。
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