JP3875925B2 - 人工漁礁 - Google Patents
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- Y02A40/81—Aquaculture, e.g. of fish
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚が集まる習性を利用して海底に設置される人工漁礁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、魚類等の水生生物の生育を図る目的で、人工漁礁が使用されている。人工漁礁は、海底から突出した部分に魚が集まる習性を利用して、廃船やコンクリートブロック、その他の資材(鉄骨枠等)を海底に沈めて人工的に作った海底の隆起部である。人工漁礁は岸壁近くの陸上で製作され、組立てられ、クレーンを備えた作業船により所定の設置場所に輸送し、クレーンにより吊り下げて海底に投入される。最近の人工漁礁は、軽量で、耐波抵抗のある材質や、魚の集まりやすい形状のものが研究開発されており、投入規模も年々大型化する傾向にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の人工漁礁においては、未だ解決すべき以下のような問題があった。
大型化に伴って、人工漁礁の高さが30〜40mとなるので、陸上での製作、組立が高所作業となり危険を伴い、また、海底に設置する場合にも、波による作業船の揺れのために、特に、高所作業となるクレーンの玉掛け作業が不安定で極めて危険な作業であった。さらに、クレーンの吊り上げ高さが大きいため作業船の能力が大きなものが必要となり、作業費用が高くかかった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高所作業による危険を回避して安全に設置作業ができ、しかも作業費用を廉価にできる人工漁礁を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る人工漁礁は、全体が水の比重より大きく、垂直方向に伸びる柱部材を有する重量部と、柱部材が挿通するガイド部材を有し、重量部の上に被さって載置される浮力部とを備え、しかも、重量部と浮力部を総合した全体の比重が水の比重より大きく、柱部材の上部には、ストッパーが設けられて、全体を水中に入れて施工し、水中に浮き上がった浮力部を所定の上昇位置で止める。これによって、上に被さって浮力部が載置された重量部をクレーン等の揚重機で玉掛けしようとする際の高さは、概略浮力部の高さ程度となり、従来に比較して半分程度以下に低くなる。
【0006】
本発明に係る人工漁礁において、柱部材の上部には、ストッパーによって上昇移動を阻止された浮力部が下がるのを防止する受け部材を設けることもできる。これによって、腐食等により浮力部に海水が侵入して浮力が作用しなくなって、下降しようとしても受け部材により浮力部の下降を防止することができる。
本発明に係る人工漁礁において、受け部材は外側に向かって開閉可能に設けられ、浮力部が柱部材を上昇移動する場合には閉じて、浮力部が柱部材を通過してストッパーの位置まで上昇した場合には開いて浮力部の荷重を支持するように構成することもできる。これによって、受け部材を水中で取付けなくてもよい。
【0007】
本発明に係る人工漁礁において、浮力部はその主要部を、内部が空間となった金属製パイプを使用したパイプ構造体によって構成することもできる。これによって、浮力部の浮力の調整が容易にできる。
本発明に係る人工漁礁において、重量部は、金属部材によって全体を構成し、併せてコンクリートも使用することができる。これによって、必要な大きさ(容積)で、かつ所要の比重を確保することが容易にできる。
本発明に係る人工漁礁において、ガイド部材は複数あって、各ガイド部材の長さは、浮力部の高さの0.6〜1.5倍の範囲にすることもできる。これによって、浮力部を魚の集まり易い形状にできる。ここで、ガイド部材の長さを浮力部の高さの0.6未満としたり、又は1.5倍を超えるようにすると、水の循環がうまくいかず、浮力部は魚の集まり難い形状となる。
【0008】
本発明に係る人工漁礁において、重量部及び浮力部には中央に空間部を設けることもできる。これによって、海水の循環量が増え、この結果、多くの魚を集めることができる。
本発明に係る人工漁礁において、重量部及び浮力部には周囲からの水の流れを上向き流に変えるガイド板を設けることもできる。これによって、海水の循環がさらに効果的に行われ、この結果、さらに多くの魚を集めることができる。
本発明に係る人工漁礁において、柱部材には廃棄された電柱を使用することもできる。これによって、柱部材の製作費を低減でき、かつ、処分に困っている廃棄された電柱の処分ができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る人工漁礁の正面図、図2は同人工漁礁の平面図、図3は図1のa部拡大図である。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る人工漁礁10は、垂直方向に伸びる柱部材の一例である外側柱部材11(8本)及び内側柱部材12(8本)を有し、全体の比重が水の比重より大きい重量部13と、外側柱部材11が挿通する複数のガイド部材11aを有し、重量部13の上に被さって載置される浮力部14とを備えている。以下、これらについて詳しく説明する。
【0010】
図1及び図2に示すように、重量部13の下部には、金属部材からなり、内部にコンクリートを充填でき、しかも一側面を介して互いに溶接により連結可能な、外形が立法体形状の複数(本実施の形態では52個)の枠体15(長さS×幅S×高さh)が平面状に配置されており、配置された枠体15全体の外形が平面視して正方形状に、しかも内側(中央)には変形された円状の空間部16が形成されている。
【0011】
図1及び図2において、枠体15は比重を調整するため、主として薄肉(3〜6mm厚さ)の鉄板等で構成されている。複数の枠体15により平面状に形成された内側で、しかも周方向に所定の間隔を開けて配置された斜線で示す枠体15内には、8本の廃棄された鉄筋入りのPCコンクリート製の電柱からなる内側柱部材12の下端部が挿入されている。内側柱部材12の下端部が挿入された枠体15内には、コンクリートが充填されて内側柱部材12が枠体15に固定されている。また、複数の枠体15により平面状に形成された外側(正方形の4辺側)には、図2に示すように、内側柱部材12と同様、周方向に所定の間隔を開けて配置された斜線で示す枠体15内に、8本の廃棄された鉄筋入りのPCコンクリート製の電柱からなる外側柱部材11の下端部が挿入され、同様にコンクリートが充填されて外側柱部材11が枠体15に固定されている。なお、枠体15の底面15aは海底面に接するようになっている。
【0012】
図1及び図2に示すように、8本の内側柱部材12のうち、前後、左右それぞれの一対の2本の内側柱部材12の内側には、高さ方向に所定の間隔を開けて8枚の長尺板状(長さT×幅W)のガイド板17が設けられている。ガイド板17の厚さは3〜6mm程度であり、上下のガイド板17間を介して周囲からの水の流れを上向き流に変えることができ、これによって、プランクトンが循環し易いように、海水の循環を活発にして、魚が集まり易くしている。
【0013】
図1及び図2に示すように、浮力部14はその主要部が、内部が空間となった多数の密閉式の金属製パイプを使用したパイプ構造体18によって構成されている。浮力式のパイプ構造体18は内側に空間部を備え、外形が直方体状(長さL×幅L×高さH)に形成され、前後、左右及び上下方向に配置された大パイプ19はガイド部材11aと同じ材料からなり、一例として外形200mm×200mmで、肉厚4.5mm程度の角パイプを使用している。またブレース材として斜めに配置された小パイプ20は、一例として外形50mm×50mmで、肉厚4.5mm程度の角パイプを使用している。
【0014】
図1の二点鎖線で示すように、パイプ構造体18(浮力部14)は、海水に投入される前には、重量部13の枠体15上に載置され、8本の外側柱部材11の内側面がガイド部材11aの外側面にガイドされた状態で挿通されており(正確には、4隅の4本の外側柱部材11はガイド部材11aの2面に、その他の4本の外側柱部材11はガイド部材11aの1面にガイドされている)、海水に投入されると浮力の作用によってパイプ構造体18は枠体15から離れて、8本の外側柱部材11にガイドされた状態で重量部13に対して相対的に上昇することになる。
【0015】
各ガイド部材11aの長さLは浮力部14の高さHの0.6〜1.5倍の範囲にあるようにしている。図1に示すように、浮力部14の外縁部近傍には、上下方向に所定の間隔を開けて8段に配置され、傾斜したガイド板21(幅t、傾斜角α=15〜45°)が設けられており、各ガイド板21は溶接又は締結部材によりパイプ構造体18に固定されている。この複数の外側に向かって下側に傾斜したガイド板21により、浮力部14の周囲からの水の流れを上向き流に変えることができる。なお、重量部13と浮力部14を総合した全体の比重が、海水の比重より大きくなるように設定されている。一例として、重量部13の比重を2.0〜3.0とし、浮力部14の比重を0.7〜0.8とし、総合した全体の比重を1.4〜2.0とすることができる。
【0016】
図3に示すように、外側柱部材11の上部には、ストッパー取付用キャップ22が2組のボルト23により固定されている。ストッパー取付用キャップ22は、パイプ構造体18が外側柱部材11を相対的に上昇する際に支障がないように、下端部の外側が中心方向に傾斜して形成された傾斜ガイド面24を備えたパイプ状の取付部25と、取付部25の上端に一体的に取付けられた円板状のストッパー26とを有している。海底に設置され浮力部14が水中に浮き上がった状態では、ストッパー26の内側(図3では右側)の外周部の下面27が最下段のガイド部材11aの上面28に当接することにより、浮力部14のそれ以上の上昇移動は阻止されるようになっている。
【0017】
腐食等の何らかの原因により、密閉構造のパイプ構造体18の金属製パイプの内部に海水が侵入して浮力部14に浮力が作用しなくなって、浮力部14が下降するのを防止するために、ストッパー取付用キャップ22の下端部には、最下段のガイド部材11aの下面29を支持可能な受け部材30が設けられている。少し湾曲した形状に形成された受け部材30の下端部は、ストッパー取付用キャップ22の取付部25の下端部にピン31を介して取付けられており、しかも、受け部材30の上端部には、外側柱部材11の外周面32との間にバネ33が嵌装されている。従って、受け部材30はストッパー取付用キャップ22の外側に向かって、バネ33を介して、開閉可能に設けられていることになる。
【0018】
受け部材30はバネ33を介してピン31の廻りに時計方向に常時付勢されており、図3に示す位置にある。4隅の4本の外側柱部材11にはさらに、図3に破線で示す位置、即ち、取付部25の周方向に90°離れた位置にも同様の受け部材30が設けられている。その他の4本の外側柱部材11には、図3に実線で示す位置に1個の受け部材30を有している。
【0019】
かかる構成によって、実際の海中に沈める際に、浮力部14が浮力により一定の海面レベルにあり、重量部13が下降すると、浮力部14が相対的に外側柱部材11に沿って上昇移動することになり、この場合には受け部材30は閉じ(ピン31の廻りを外側柱部材11の軸心側に移動し)、一方、浮力部14がストッパー26の位置付近まで相対的に上昇した場合には、受け部材30は開いて(ピン31の廻りを外側柱部材11の軸心側と反対側に移動し)、受け部材30の上端位置34にて浮力部14の荷重を支持することができる。
【0020】
次いで、本発明の一実施の形態に係る人工漁礁10の使用方法及び作用について、図を参照しながら説明する。
(1)図1及び図2に示すように、陸上で外側柱部材11及びガイド板17が取付けられた内側柱部材12を備えた重量部13と、ガイド板21が取付けられた浮力部14とを別々に製作した後、岸壁で重量部13の多数の枠体15上に浮力部14を載置する。この際、浮力部14は図1の破線で示す位置にある。
(2)重量部13の8本の外側柱部材11の上端部に、受け部材30を設けたストッパー取付用キャップ22を固定する。
【0021】
(3)浮力部14が載置された重量部13を岸壁クレーン、又はチャーターしたクレーンを備えた作業船のクレーンを介して、作業船上に船積みする。この際、玉掛けしようとする状態の高さは、(浮力部14の高さH+枠体15の高さh)程度となり、従来に比較して半分程度に低くなるので、浮力部14及び重量部13の内側の広い空間部を利用して重量部13の玉掛け作業及び玉外し作業が容易に、安全にできる。
(4)作業船により所定の設置場所に輸送し、重量部13を玉掛けした後、クレーンにより吊り下げて海中にゆっくりと沈める。
(5)海中に沈める際、重量部13はクレーンの下降操作に応じて下降するが、浮力部14は、図3に示すように、最下段のガイド部材11aが重量部13の外側柱部材11に設けられた受け部材30に当接するまでは、浮力部14の自重と海水による浮力とのバランスにより、浮力部14の高さHの0.7〜0.8が沈んだ状態を維持する。
【0022】
(6)図3に示すように、外側柱部材11が下降することによって、最下段のガイド部材11aが相対的に受け部材30の下方から上方に移動する際、受け部材30が浮力部14のパイプ構造体18の最下段のガイド部材11aとの当接により開閉(正確には、開から閉、さらに閉から開)して、図3に示す状態になる。(7)さらに、重量部13を沈めると浮力部14(即ち、パイプ構造体18の最下段のガイド部材11a)は上昇して、最終的にストッパー26に当接し、所定の上昇位置で止まる。
(8)浮力部14がストッパー26に当接した状態で、さらに、クレーンを操作して重量部13を下降させると、浮力部14は海面下に沈むまでは次第に大きな浮力を受けながら、重量部13と一体となって下降する。
【0023】
(9)さらに、浮力部14が海面下に沈んだ後は、浮力部14は一定の浮力を受けながら、重量部13と共に、枠体15が海底に接触するまで下降する。
重量部13が海底に到達し、浮力部14がストッパー26により上昇移動が阻止された状態で人工漁礁10は使用されて、所要の機能を発揮する。特に、重量部13の内側柱部材12の内側に取付けられたガイド板17と、浮力部14の外周部付近に多段に設けられたガイド板21とにより、重量部13、浮力部14の周囲からの水の流れを上向き流に変えることができる。海水の循環を活発にでき、この結果、魚が集まり易くなる。また、海水による浮力部14のパイプ構造体18の腐食により浮力部14の浮力が無くなって、浮力部14が下降しても、浮力部14の最下段のガイド部材11aを直下の受け部材30で支持することができるので、前記の効果はそのまま維持できる。
【0024】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の人工漁礁を構成する場合にも本発明は適用される。
前記実施の形態においては、重量部13の外側柱部材11の上部には、ストッパー26によって上昇移動を阻止された浮力部14が、落下するのを防止する受け部材30を設けたが、これに限定されず、必要に応じて、受け部材30を省略することもできる。また、受け部材30を開閉可能に設け、浮力部14が上昇移動する場合には閉じ、浮力部14が外側柱部材11を通過してストッパー26の位置近傍まで上昇した場合には開いて浮力部14の荷重を支持するように構成したが、これに限定されず、状況に応じて、海底に設置してストッパー26により浮力部14の上昇移動を阻止した状態で、固定式の受け部材を浮力部14直下の外側柱部材11に取付けることもできる。この場合には、水中での取付作業となる。
【0025】
浮力部14はその主要部が、ガイド部材11aを含み、内部が空間となった金属製の大、小パイプ19、20を使用したパイプ構造体18によって構成したが、これに限定されず、重量部13の外側柱部材11が挿通するその他の構造のガイド部材を有し、しかも、重量部の上に被さって載置される浮力部を備えていれば、どのような構造、材質のものであっても構わない。
重量部13において、主として鉄板等で形成された枠体15を複数個連結して構成し、併せて、外側柱部材11及び内側柱部材12の下端部を枠体15内で固定するコンクリートを使用したが、これに限定されず、重量部と浮力部を総合した全体の比重が水より大きくなるようにしていれば、その他の材料、構造とすることもできる。また、外側柱部材11及び内側柱部材12を設けない枠体15内にも比重の調整のために、コンクリートを充填することもできる。
【0026】
ガイド部材11aとして角パイプを複数設け、角パイプの長さLを浮力部14の高さHの0.6〜1.5倍の範囲としたが、これに限定されず、その範囲外の長さとすることもできる。
重量部13及び浮力部14には中央(内側)に空間部を設けたが、これに限定されず、必要に応じて、空間部を省略することもできる。
重量部13、浮力部14にはそれぞれ、周囲からの水の流れを上向き流に変えるガイド板17、21を設けたが、これに限定されず、状況に応じて、ガイド板を設けなくても構わない。
外側柱部材11及び内側柱部材12として、廃棄された電柱を使用したが、これに限定されず、その他の材料(例えば、鋼管、H形鋼等)を使用することもできる。また、外側柱部材11、内側柱部材12共、8本使用したが、これに限定されず、7本以下又は9本以上とすることもできる。
【0027】
【発明の効果】
請求項1〜9記載の人工漁礁においては、玉掛けしようとする際の高さは従来に比較して半分程度以下に低くなるので、浮力部を載置した重量部の玉掛け作業及び玉外し作業が極めて容易に、かつ安全にできる。
特に、請求項2記載の人工漁礁においては、例えば、腐食等により浮力部に海水が侵入して浮力が作用しなくなって、下降しようとしても受け部材により浮力部の下降を防止することができるので、依然人工漁礁の機能を維持することができる。
請求項3記載の人工漁礁においては、受け部材を水中で取付けなくてもよいので、取付作業が簡略化される。
請求項4記載の人工漁礁においては、浮力部の浮力の調整が容易にできるので、使い勝手がよい。
【0028】
請求項5記載の人工漁礁においては、必要な容積で、かつ所要の比重を確保することが容易にできるので、効率よく製作ができる。
請求項6記載の人工漁礁においては、浮力部を魚の集まり易い形状にできるので、生産効率が向上する。
請求項7記載の人工漁礁においては、海水の循環が効果的に行われ、この結果、多くの魚を集めることができるので、生産性がさらに向上する。
請求項8記載の人工漁礁においては、海水の循環がさらに効果的に行われ、この結果、さらに多くの魚を集めることができるので、生産性が非常に向上する。
請求項9記載の人工漁礁においては、柱部材の製作費を低減でき、かつ、処分に困っている廃棄された電柱の有効利用ができるので、極めて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る人工漁礁の正面図である。
【図2】同人工漁礁の平面図である。
【図3】図1のa部拡大図である。
【符号の説明】
10:人工漁礁、11:外側柱部材(柱部材)、11a:ガイド部材、12:内側柱部材(柱部材)、13:重量部、14:浮力部、15:枠体、15a:底面、16:空間部、17:ガイド板、18:パイプ構造体、19:大パイプ、20:小パイプ、21:ガイド板、22:ストッパー取付用キャップ、23:ボルト、24:傾斜ガイド面、25:取付部、26:ストッパー、27:下面、28:上面、29:下面、30:受け部材、31:ピン、32:外周面、33:バネ、34:上端位置
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚が集まる習性を利用して海底に設置される人工漁礁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、魚類等の水生生物の生育を図る目的で、人工漁礁が使用されている。人工漁礁は、海底から突出した部分に魚が集まる習性を利用して、廃船やコンクリートブロック、その他の資材(鉄骨枠等)を海底に沈めて人工的に作った海底の隆起部である。人工漁礁は岸壁近くの陸上で製作され、組立てられ、クレーンを備えた作業船により所定の設置場所に輸送し、クレーンにより吊り下げて海底に投入される。最近の人工漁礁は、軽量で、耐波抵抗のある材質や、魚の集まりやすい形状のものが研究開発されており、投入規模も年々大型化する傾向にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の人工漁礁においては、未だ解決すべき以下のような問題があった。
大型化に伴って、人工漁礁の高さが30〜40mとなるので、陸上での製作、組立が高所作業となり危険を伴い、また、海底に設置する場合にも、波による作業船の揺れのために、特に、高所作業となるクレーンの玉掛け作業が不安定で極めて危険な作業であった。さらに、クレーンの吊り上げ高さが大きいため作業船の能力が大きなものが必要となり、作業費用が高くかかった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高所作業による危険を回避して安全に設置作業ができ、しかも作業費用を廉価にできる人工漁礁を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る人工漁礁は、全体が水の比重より大きく、垂直方向に伸びる柱部材を有する重量部と、柱部材が挿通するガイド部材を有し、重量部の上に被さって載置される浮力部とを備え、しかも、重量部と浮力部を総合した全体の比重が水の比重より大きく、柱部材の上部には、ストッパーが設けられて、全体を水中に入れて施工し、水中に浮き上がった浮力部を所定の上昇位置で止める。これによって、上に被さって浮力部が載置された重量部をクレーン等の揚重機で玉掛けしようとする際の高さは、概略浮力部の高さ程度となり、従来に比較して半分程度以下に低くなる。
【0006】
本発明に係る人工漁礁において、柱部材の上部には、ストッパーによって上昇移動を阻止された浮力部が下がるのを防止する受け部材を設けることもできる。これによって、腐食等により浮力部に海水が侵入して浮力が作用しなくなって、下降しようとしても受け部材により浮力部の下降を防止することができる。
本発明に係る人工漁礁において、受け部材は外側に向かって開閉可能に設けられ、浮力部が柱部材を上昇移動する場合には閉じて、浮力部が柱部材を通過してストッパーの位置まで上昇した場合には開いて浮力部の荷重を支持するように構成することもできる。これによって、受け部材を水中で取付けなくてもよい。
【0007】
本発明に係る人工漁礁において、浮力部はその主要部を、内部が空間となった金属製パイプを使用したパイプ構造体によって構成することもできる。これによって、浮力部の浮力の調整が容易にできる。
本発明に係る人工漁礁において、重量部は、金属部材によって全体を構成し、併せてコンクリートも使用することができる。これによって、必要な大きさ(容積)で、かつ所要の比重を確保することが容易にできる。
本発明に係る人工漁礁において、ガイド部材は複数あって、各ガイド部材の長さは、浮力部の高さの0.6〜1.5倍の範囲にすることもできる。これによって、浮力部を魚の集まり易い形状にできる。ここで、ガイド部材の長さを浮力部の高さの0.6未満としたり、又は1.5倍を超えるようにすると、水の循環がうまくいかず、浮力部は魚の集まり難い形状となる。
【0008】
本発明に係る人工漁礁において、重量部及び浮力部には中央に空間部を設けることもできる。これによって、海水の循環量が増え、この結果、多くの魚を集めることができる。
本発明に係る人工漁礁において、重量部及び浮力部には周囲からの水の流れを上向き流に変えるガイド板を設けることもできる。これによって、海水の循環がさらに効果的に行われ、この結果、さらに多くの魚を集めることができる。
本発明に係る人工漁礁において、柱部材には廃棄された電柱を使用することもできる。これによって、柱部材の製作費を低減でき、かつ、処分に困っている廃棄された電柱の処分ができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る人工漁礁の正面図、図2は同人工漁礁の平面図、図3は図1のa部拡大図である。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る人工漁礁10は、垂直方向に伸びる柱部材の一例である外側柱部材11(8本)及び内側柱部材12(8本)を有し、全体の比重が水の比重より大きい重量部13と、外側柱部材11が挿通する複数のガイド部材11aを有し、重量部13の上に被さって載置される浮力部14とを備えている。以下、これらについて詳しく説明する。
【0010】
図1及び図2に示すように、重量部13の下部には、金属部材からなり、内部にコンクリートを充填でき、しかも一側面を介して互いに溶接により連結可能な、外形が立法体形状の複数(本実施の形態では52個)の枠体15(長さS×幅S×高さh)が平面状に配置されており、配置された枠体15全体の外形が平面視して正方形状に、しかも内側(中央)には変形された円状の空間部16が形成されている。
【0011】
図1及び図2において、枠体15は比重を調整するため、主として薄肉(3〜6mm厚さ)の鉄板等で構成されている。複数の枠体15により平面状に形成された内側で、しかも周方向に所定の間隔を開けて配置された斜線で示す枠体15内には、8本の廃棄された鉄筋入りのPCコンクリート製の電柱からなる内側柱部材12の下端部が挿入されている。内側柱部材12の下端部が挿入された枠体15内には、コンクリートが充填されて内側柱部材12が枠体15に固定されている。また、複数の枠体15により平面状に形成された外側(正方形の4辺側)には、図2に示すように、内側柱部材12と同様、周方向に所定の間隔を開けて配置された斜線で示す枠体15内に、8本の廃棄された鉄筋入りのPCコンクリート製の電柱からなる外側柱部材11の下端部が挿入され、同様にコンクリートが充填されて外側柱部材11が枠体15に固定されている。なお、枠体15の底面15aは海底面に接するようになっている。
【0012】
図1及び図2に示すように、8本の内側柱部材12のうち、前後、左右それぞれの一対の2本の内側柱部材12の内側には、高さ方向に所定の間隔を開けて8枚の長尺板状(長さT×幅W)のガイド板17が設けられている。ガイド板17の厚さは3〜6mm程度であり、上下のガイド板17間を介して周囲からの水の流れを上向き流に変えることができ、これによって、プランクトンが循環し易いように、海水の循環を活発にして、魚が集まり易くしている。
【0013】
図1及び図2に示すように、浮力部14はその主要部が、内部が空間となった多数の密閉式の金属製パイプを使用したパイプ構造体18によって構成されている。浮力式のパイプ構造体18は内側に空間部を備え、外形が直方体状(長さL×幅L×高さH)に形成され、前後、左右及び上下方向に配置された大パイプ19はガイド部材11aと同じ材料からなり、一例として外形200mm×200mmで、肉厚4.5mm程度の角パイプを使用している。またブレース材として斜めに配置された小パイプ20は、一例として外形50mm×50mmで、肉厚4.5mm程度の角パイプを使用している。
【0014】
図1の二点鎖線で示すように、パイプ構造体18(浮力部14)は、海水に投入される前には、重量部13の枠体15上に載置され、8本の外側柱部材11の内側面がガイド部材11aの外側面にガイドされた状態で挿通されており(正確には、4隅の4本の外側柱部材11はガイド部材11aの2面に、その他の4本の外側柱部材11はガイド部材11aの1面にガイドされている)、海水に投入されると浮力の作用によってパイプ構造体18は枠体15から離れて、8本の外側柱部材11にガイドされた状態で重量部13に対して相対的に上昇することになる。
【0015】
各ガイド部材11aの長さLは浮力部14の高さHの0.6〜1.5倍の範囲にあるようにしている。図1に示すように、浮力部14の外縁部近傍には、上下方向に所定の間隔を開けて8段に配置され、傾斜したガイド板21(幅t、傾斜角α=15〜45°)が設けられており、各ガイド板21は溶接又は締結部材によりパイプ構造体18に固定されている。この複数の外側に向かって下側に傾斜したガイド板21により、浮力部14の周囲からの水の流れを上向き流に変えることができる。なお、重量部13と浮力部14を総合した全体の比重が、海水の比重より大きくなるように設定されている。一例として、重量部13の比重を2.0〜3.0とし、浮力部14の比重を0.7〜0.8とし、総合した全体の比重を1.4〜2.0とすることができる。
【0016】
図3に示すように、外側柱部材11の上部には、ストッパー取付用キャップ22が2組のボルト23により固定されている。ストッパー取付用キャップ22は、パイプ構造体18が外側柱部材11を相対的に上昇する際に支障がないように、下端部の外側が中心方向に傾斜して形成された傾斜ガイド面24を備えたパイプ状の取付部25と、取付部25の上端に一体的に取付けられた円板状のストッパー26とを有している。海底に設置され浮力部14が水中に浮き上がった状態では、ストッパー26の内側(図3では右側)の外周部の下面27が最下段のガイド部材11aの上面28に当接することにより、浮力部14のそれ以上の上昇移動は阻止されるようになっている。
【0017】
腐食等の何らかの原因により、密閉構造のパイプ構造体18の金属製パイプの内部に海水が侵入して浮力部14に浮力が作用しなくなって、浮力部14が下降するのを防止するために、ストッパー取付用キャップ22の下端部には、最下段のガイド部材11aの下面29を支持可能な受け部材30が設けられている。少し湾曲した形状に形成された受け部材30の下端部は、ストッパー取付用キャップ22の取付部25の下端部にピン31を介して取付けられており、しかも、受け部材30の上端部には、外側柱部材11の外周面32との間にバネ33が嵌装されている。従って、受け部材30はストッパー取付用キャップ22の外側に向かって、バネ33を介して、開閉可能に設けられていることになる。
【0018】
受け部材30はバネ33を介してピン31の廻りに時計方向に常時付勢されており、図3に示す位置にある。4隅の4本の外側柱部材11にはさらに、図3に破線で示す位置、即ち、取付部25の周方向に90°離れた位置にも同様の受け部材30が設けられている。その他の4本の外側柱部材11には、図3に実線で示す位置に1個の受け部材30を有している。
【0019】
かかる構成によって、実際の海中に沈める際に、浮力部14が浮力により一定の海面レベルにあり、重量部13が下降すると、浮力部14が相対的に外側柱部材11に沿って上昇移動することになり、この場合には受け部材30は閉じ(ピン31の廻りを外側柱部材11の軸心側に移動し)、一方、浮力部14がストッパー26の位置付近まで相対的に上昇した場合には、受け部材30は開いて(ピン31の廻りを外側柱部材11の軸心側と反対側に移動し)、受け部材30の上端位置34にて浮力部14の荷重を支持することができる。
【0020】
次いで、本発明の一実施の形態に係る人工漁礁10の使用方法及び作用について、図を参照しながら説明する。
(1)図1及び図2に示すように、陸上で外側柱部材11及びガイド板17が取付けられた内側柱部材12を備えた重量部13と、ガイド板21が取付けられた浮力部14とを別々に製作した後、岸壁で重量部13の多数の枠体15上に浮力部14を載置する。この際、浮力部14は図1の破線で示す位置にある。
(2)重量部13の8本の外側柱部材11の上端部に、受け部材30を設けたストッパー取付用キャップ22を固定する。
【0021】
(3)浮力部14が載置された重量部13を岸壁クレーン、又はチャーターしたクレーンを備えた作業船のクレーンを介して、作業船上に船積みする。この際、玉掛けしようとする状態の高さは、(浮力部14の高さH+枠体15の高さh)程度となり、従来に比較して半分程度に低くなるので、浮力部14及び重量部13の内側の広い空間部を利用して重量部13の玉掛け作業及び玉外し作業が容易に、安全にできる。
(4)作業船により所定の設置場所に輸送し、重量部13を玉掛けした後、クレーンにより吊り下げて海中にゆっくりと沈める。
(5)海中に沈める際、重量部13はクレーンの下降操作に応じて下降するが、浮力部14は、図3に示すように、最下段のガイド部材11aが重量部13の外側柱部材11に設けられた受け部材30に当接するまでは、浮力部14の自重と海水による浮力とのバランスにより、浮力部14の高さHの0.7〜0.8が沈んだ状態を維持する。
【0022】
(6)図3に示すように、外側柱部材11が下降することによって、最下段のガイド部材11aが相対的に受け部材30の下方から上方に移動する際、受け部材30が浮力部14のパイプ構造体18の最下段のガイド部材11aとの当接により開閉(正確には、開から閉、さらに閉から開)して、図3に示す状態になる。(7)さらに、重量部13を沈めると浮力部14(即ち、パイプ構造体18の最下段のガイド部材11a)は上昇して、最終的にストッパー26に当接し、所定の上昇位置で止まる。
(8)浮力部14がストッパー26に当接した状態で、さらに、クレーンを操作して重量部13を下降させると、浮力部14は海面下に沈むまでは次第に大きな浮力を受けながら、重量部13と一体となって下降する。
【0023】
(9)さらに、浮力部14が海面下に沈んだ後は、浮力部14は一定の浮力を受けながら、重量部13と共に、枠体15が海底に接触するまで下降する。
重量部13が海底に到達し、浮力部14がストッパー26により上昇移動が阻止された状態で人工漁礁10は使用されて、所要の機能を発揮する。特に、重量部13の内側柱部材12の内側に取付けられたガイド板17と、浮力部14の外周部付近に多段に設けられたガイド板21とにより、重量部13、浮力部14の周囲からの水の流れを上向き流に変えることができる。海水の循環を活発にでき、この結果、魚が集まり易くなる。また、海水による浮力部14のパイプ構造体18の腐食により浮力部14の浮力が無くなって、浮力部14が下降しても、浮力部14の最下段のガイド部材11aを直下の受け部材30で支持することができるので、前記の効果はそのまま維持できる。
【0024】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の人工漁礁を構成する場合にも本発明は適用される。
前記実施の形態においては、重量部13の外側柱部材11の上部には、ストッパー26によって上昇移動を阻止された浮力部14が、落下するのを防止する受け部材30を設けたが、これに限定されず、必要に応じて、受け部材30を省略することもできる。また、受け部材30を開閉可能に設け、浮力部14が上昇移動する場合には閉じ、浮力部14が外側柱部材11を通過してストッパー26の位置近傍まで上昇した場合には開いて浮力部14の荷重を支持するように構成したが、これに限定されず、状況に応じて、海底に設置してストッパー26により浮力部14の上昇移動を阻止した状態で、固定式の受け部材を浮力部14直下の外側柱部材11に取付けることもできる。この場合には、水中での取付作業となる。
【0025】
浮力部14はその主要部が、ガイド部材11aを含み、内部が空間となった金属製の大、小パイプ19、20を使用したパイプ構造体18によって構成したが、これに限定されず、重量部13の外側柱部材11が挿通するその他の構造のガイド部材を有し、しかも、重量部の上に被さって載置される浮力部を備えていれば、どのような構造、材質のものであっても構わない。
重量部13において、主として鉄板等で形成された枠体15を複数個連結して構成し、併せて、外側柱部材11及び内側柱部材12の下端部を枠体15内で固定するコンクリートを使用したが、これに限定されず、重量部と浮力部を総合した全体の比重が水より大きくなるようにしていれば、その他の材料、構造とすることもできる。また、外側柱部材11及び内側柱部材12を設けない枠体15内にも比重の調整のために、コンクリートを充填することもできる。
【0026】
ガイド部材11aとして角パイプを複数設け、角パイプの長さLを浮力部14の高さHの0.6〜1.5倍の範囲としたが、これに限定されず、その範囲外の長さとすることもできる。
重量部13及び浮力部14には中央(内側)に空間部を設けたが、これに限定されず、必要に応じて、空間部を省略することもできる。
重量部13、浮力部14にはそれぞれ、周囲からの水の流れを上向き流に変えるガイド板17、21を設けたが、これに限定されず、状況に応じて、ガイド板を設けなくても構わない。
外側柱部材11及び内側柱部材12として、廃棄された電柱を使用したが、これに限定されず、その他の材料(例えば、鋼管、H形鋼等)を使用することもできる。また、外側柱部材11、内側柱部材12共、8本使用したが、これに限定されず、7本以下又は9本以上とすることもできる。
【0027】
【発明の効果】
請求項1〜9記載の人工漁礁においては、玉掛けしようとする際の高さは従来に比較して半分程度以下に低くなるので、浮力部を載置した重量部の玉掛け作業及び玉外し作業が極めて容易に、かつ安全にできる。
特に、請求項2記載の人工漁礁においては、例えば、腐食等により浮力部に海水が侵入して浮力が作用しなくなって、下降しようとしても受け部材により浮力部の下降を防止することができるので、依然人工漁礁の機能を維持することができる。
請求項3記載の人工漁礁においては、受け部材を水中で取付けなくてもよいので、取付作業が簡略化される。
請求項4記載の人工漁礁においては、浮力部の浮力の調整が容易にできるので、使い勝手がよい。
【0028】
請求項5記載の人工漁礁においては、必要な容積で、かつ所要の比重を確保することが容易にできるので、効率よく製作ができる。
請求項6記載の人工漁礁においては、浮力部を魚の集まり易い形状にできるので、生産効率が向上する。
請求項7記載の人工漁礁においては、海水の循環が効果的に行われ、この結果、多くの魚を集めることができるので、生産性がさらに向上する。
請求項8記載の人工漁礁においては、海水の循環がさらに効果的に行われ、この結果、さらに多くの魚を集めることができるので、生産性が非常に向上する。
請求項9記載の人工漁礁においては、柱部材の製作費を低減でき、かつ、処分に困っている廃棄された電柱の有効利用ができるので、極めて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る人工漁礁の正面図である。
【図2】同人工漁礁の平面図である。
【図3】図1のa部拡大図である。
【符号の説明】
10:人工漁礁、11:外側柱部材(柱部材)、11a:ガイド部材、12:内側柱部材(柱部材)、13:重量部、14:浮力部、15:枠体、15a:底面、16:空間部、17:ガイド板、18:パイプ構造体、19:大パイプ、20:小パイプ、21:ガイド板、22:ストッパー取付用キャップ、23:ボルト、24:傾斜ガイド面、25:取付部、26:ストッパー、27:下面、28:上面、29:下面、30:受け部材、31:ピン、32:外周面、33:バネ、34:上端位置
Claims (9)
- 全体が水の比重より大きく、垂直方向に伸びる柱部材を有する重量部と、
前記柱部材が挿通するガイド部材を有し、前記重量部の上に被さって載置される浮力部とを備え、
しかも、前記重量部と前記浮力部を総合した全体の比重が水の比重より大きく、前記柱部材の上部には、ストッパーが設けられて、全体を水中に入れて施工し、水中に浮き上がった前記浮力部を所定の上昇位置で止めることを特徴とする人工漁礁。 - 請求項1記載の人工漁礁において、前記柱部材の上部には、前記ストッパーによって上昇移動を阻止された前記浮力部が下がるのを防止する受け部材が設けられていることを特徴とする人工漁礁。
- 請求項2記載の人工漁礁において、前記受け部材は外側に向かって開閉可能に設けられ、前記浮力部が前記柱部材を上昇移動する場合には閉じて、前記浮力部が前記柱部材を通過して前記ストッパーの位置まで上昇した場合には開いて前記浮力部の荷重を支持することを特徴とする人工漁礁。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工漁礁において、前記浮力部はその主要部が、内部が空間となった金属製パイプを使用したパイプ構造体によって構成されていることを特徴とする人工漁礁。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工漁礁において、前記重量部は、金属部材によって全体を構成し、併せてコンクリートも使用されていることを特徴とする人工漁礁。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の人工漁礁において、前記ガイド部材は複数あって、該各ガイド部材の長さは、前記浮力部の高さの0.6〜1.5倍の範囲にあることを特徴とする人工漁礁。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の人工漁礁において、前記重量部及び前記浮力部には中央に空間部が設けられていることを特徴とする人工漁礁。
- 請求項7記載の人工漁礁において、前記重量部及び前記浮力部には周囲からの水の流れを上向き流に変えるガイド板が設けられていることを特徴とする人工漁礁。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の人工漁礁において、前記柱部材には廃棄された電柱を使用することを特徴とする人工漁礁。
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