JP3875777B2 - 視聴覚装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、映像再生装置から投影される映像と、映像内容と同期してパラメトリックスピーカーから放射された音波とを反射し、視聴覚者に向けて映像と映像の動きに一致した位置関係で音声を提供する視聴覚装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
可聴域信号で振幅変調された超音波を超音波振動子などのトランスデューサから放射し、空気中における音波の非線形伝搬特性の結果、超音波伝送路に沿って変調信号が自己復調されるパラメトリックアレイ効果を利用した指向特性の鋭いパラメトリックスピーカーが知られており、また、パラメトリックスピーカーをを利用した音響装置として、特開昭60−254992が開示されている。この従来例は、パラメトリックスピーカーをスクリーンに向けて配置し、可聴音ビームをスクリーンにぶつけて散乱させ、スクリーンからの反射波を聞くようにしているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例はスクリーン上の固定された所定範囲から音声が再生されるものであり、映像内容に応じて音の発生位置をスクリーン面で移動することはできなかった。また、パラメトリックスピーカーから放射される音波をスクリーン面にぶつけて散乱させるには、振幅変調された超音波の波長以上の凹凸面が必要であり、例えば、40KHzの超音波を可聴域信号で変調すれば約10mmの高さと幅をもつ凹凸面が必要になる。そのような凹凸面をスクリーン上に設けると、プロジェクターで動画や静止画を映写した場合に鮮明な映像を映し出すことができないという問題点があった。つまり、スクリーン面で反射させたあとの音波の散乱と映像の鮮明さを両立することは困難であり、映像の鮮明さを優先すれば反射した後の音波指向性は鋭いままで、したがって可聴範囲が狭く少人数対象の小さな画面になり、反対に音響効果と視聴覚対象者人数を優先すれば映像品質が劣化してしまう。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記のような問題を解決するために本発明では、視聴覚スクリーンに映像を投影する映像再生装置と、可聴音信号で変調された超音波を放射するパラメトリックスピーカーと、パラメトリックスピーカーの音波放射方向を水平方向及び垂直方向に可変する音波放射方向可変手段と、視聴覚スクリーン上に再現される映像に向けてパラメトリックスピーカーから音波を放射する際に映像内容に合わせて音波放射方向を可変するよう、音波放射方向可変手段を制御する制御手段を備えた。
【0005】
また、同視聴覚装置において、視聴覚スクリーンは、パラメトリックスピーカーから放射される超音波の波長以上の高さと最大幅を備える凸部を配して成る凹凸面と、凹凸面と視聴覚者との間に位置しパラメトリックスピーカーから放射される音波および凹凸面で反射した音波を透過する映像投影面とを備える。
【0006】
また、同視聴覚装置において、視聴覚スクリーンの凹凸面はパラメトリックスピーカーから放射される超音波の波長以上の高さを備える凸部を不規則に配してなる。
【0007】
【作用】
したがって、視聴覚スクリーンに向けて音波を放射すると共に再現される映像内容に合わせて音波放射方向を可変するので、映像の動きに応じて音源位置がスクリーン上を移動する。
【0008】
また、パラメトリックスピーカーから放射された音波は、映像投影面を透過してスクリーンの凹凸面に達し、凹凸面で散乱しながら視聴覚者に向かって反射し、再び映像投影面を透過して視聴覚者に達する。一方、投影された映像は凹凸面に達することなく映像投影面で反射し、視聴覚者に鮮明な映像として認識される。
【0009】
また、凹凸面はパラメトリックスピーカーから放射される超音波の波長以上の高さを備える凸部を不規則に配してなるので、反射波がより効果的に散乱する。
【0010】
【実施例】
以下、図面を基に本発明実施例を説明する。図1は本発明実施例によるパラメトリックスピーカーを示す説明図である。変調部において発振回路で発生した超音波搬送波(f=40KHz)を可聴音信号で振幅変調し、増幅回路で増幅した後に複数の超音波振動子で構成されるトランスデューサ1から空中に放射する。2は回転放物面あるいは回転楕円面からなる反射板で、トランスデューサ1から放射される超音波をその内面で反射する。この反射板は、トランスデューサから放射される超音波の反射方向を左右し可聴音場を決定するもので、形状が回転放物面であればその焦点が1カ所決まり、図示するように焦点位置Fから回転放物面内面に超音波を放射すれば、反射波は互いに交差することなく一定の幅で平行に進む。パラメトリックアレイ効果による可聴音はこの反射波の進行方向に沿って生じるものであり、視聴覚スクリーン等に向けて放射すれば鋭い指向性をもって可聴音を飛ばすことができる。パラメトリックスピーカー6は以上のように構成される。
【0011】
次に図2に基づいてパラメトリックスピーカー放射方向制御手段10について説明する。7はパラメトリックスピーカー6の音波放射方向を水平方向に可変する水平方向アクチュエーターである。8は同じく垂直方向に可変する垂直方向アクチュエーターである。これらアクチュエーターは制御部9に接続され、投影される映像内容に合わせて予め作成されたプログラムに基づいて駆動され、パラメトリックスピーカー6の音波放射方向を制御する。
【0012】
図3は本発明実施例による視聴覚スクリーンの構造を示す断面説明図である。4はABS等のプラスチックから成る音波反射用凹凸面であり、凸部の高さhおよび最大幅wはパラメトリックスピーカーから放射される音波の超音波搬送波波長λより大きい値で形成される。なお、図では等間隔で凹凸面を配列した例を示しているが、ランダムに配列すれば音波を反射する際の散乱効果はさらに高まる。5は織物からなる映像投影面であり、パラメトリックスピーカーから放射された超音波およびパラメトリックアレイ効果によって生じた可聴音の透過を妨げないよう細かい均一な織り目を備える。
【0013】
次に、図4を基に視聴覚スクリーンに向かって放射された超音波に対する凹凸面の作用を説明する。映像投影面5(図示しない)を透過して凹凸面4に達した平行な入射波(パラメトリックスピーカーから放射された超音波)は、反射の法則に従い凹凸面で反射する。この時、入射波は互いに交わることなく平行に入射するが、反射波はそれぞれ交差し散乱すると同時に位相のずれが発生する。そのために各凹凸による反射波どうしの干渉も加わって、散乱しながら鑑賞者の方に向かって進行する。
【0014】
図5は本発明実施例の使用形態を示す説明図である。パラメトリックスピーカー6は、その音波放射方向をスクリーン面に向けて設置する。11はプロジェクター等の映像再生装置、3は視聴覚スクリーンである。映像再生装置11から投影された映像は一点鎖線で示すように進んで視聴覚スクリーンの映像投影面に鮮明な映像を映し出す。一方、パラメトリックスピーカー6から放射される音波は、点線で示すように、視聴覚スクリーン3に達するまでは鋭い指向性を持ってビーム状に進行し、視聴覚スクリーンに達すると映像投影面(図示しない)を透過して凹凸面で反射し散乱する。したがって鑑賞者には、あたかも視聴覚スクリーンから可聴音が発生しているように感じられ、映像と音の発生位置が一致して高い臨場感が得られる。また、パラメトリックスピーカー放射方向制御手段10により映像内容に応じて視聴覚スクリーン上を音源位置が移動するので、更に高い臨場感が得られる。
【0015】
【発明の効果】
以上のように本発明は、視聴覚スクリーンに映像を投影する映像再生装置と、可聴音信号で変調された超音波を放射するパラメトリックスピーカーと、パラメトリックスピーカーの音波放射方向を水平方向及び垂直方向に可変する音波放射方向可変手段と、視聴覚スクリーン上に再現される映像に向けてパラメトリックスピーカーから音波を放射する際に映像内容に合わせて音波放射方向を可変するよう、音波放射方向可変手段を制御する制御手段を備えた。
【0016】
したがって、例えば、移動物体がスクリーン上を横切るような映像の場合に音の発生位置も移動物体に合わせて移動するので、映像の動きと音の発生位置が一致して高い臨場感が得られるものである。
【0017】
また、視聴覚スクリーンは、パラメトリックスピーカーから放射される超音波の波長以上の高さと最大幅を備える凸部を配して成る凹凸面と、凹凸面と視聴覚者との間に位置しパラメトリックスピーカーから放射される音波および凹凸面で反射した音波を透過する映像投影面とを備える。
【0018】
したがって、視聴覚スクリーン上には鮮明な映像が再現されながらスクリーン上から広い範囲に可聴音が発生するので、比較的大勢の視聴覚者に高い映像品質と臨場感にあふれる音響効果とを同時に提供できる。
【0019】
また、視聴覚スクリーンの凹凸面はパラメトリックスピーカーから放射される超音波の波長以上の高さを備える凸部を不規則に配してなるので、反射波がより効果的に散乱し、視聴覚者に対して偏りのない可聴音場を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例によるパラメトリックスピーカーを示す説明図である。
【図2】パラメトリックスピーカー放射方向制御手段を示す説明図である。
【図3】本発明実施例による視聴覚スクリーンの構造を示す断面説明図である。
【図4】視聴覚スクリーンに向かって放射された超音波に対する凹凸面の作用を示す説明図である。
【図5】本発明実施例の使用形態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 超音波振動子
2 反射板
3 視聴覚スクリーン
4 音波反射用凹凸面
5 映像投影面
6 パラメトリックスピーカー
10 パラメトリックスピーカー放射方向制御手段
11 映像再生装置

Claims (3)

  1. 視聴覚スクリーンに映像を投影する映像再生装置と、可聴音信号で変調された超音波を放射するパラメトリックスピーカーと、パラメトリックスピーカーの音波放射方向を水平方向及び垂直方向に可変する音波放射方向可変手段と、視聴覚スクリーン上に再現される映像に向けてパラメトリックスピーカーから音波を放射する際に映像内容に合わせて音波放射方向を可変するよう、音波放射方向可変手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする視聴覚装置。
  2. 請求項1記載の視聴覚装置において、視聴覚スクリーンは、パラメトリックスピーカーから放射される超音波の波長以上の高さと最大幅を備える凸部を配して成る凹凸面と、凹凸面と視聴覚者との間に位置しパラメトリックスピーカーから放射される音波および凹凸面で反射した音波を透過する映像投影面とを備えることを特徴とする視聴覚装置。
  3. 請求項1記載の視聴覚装置において、視聴覚スクリーンの凹凸面はパラメトリックスピーカーから放射される超音波の波長以上の高さを備える凸部を不規則に配してなることを特徴とする視聴覚装置。
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