JP4755451B2 - 音響再生装置 - Google Patents

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この発明は、入力された可聴帯域信号を複数のスピーカを用いて再生する音響再生装置に関する。
CD−ROM、磁気ディスク、半導体、記憶装置などに、記録された音響音声信号、または通信や放送により伝送されてきた音響音声信号をあたかも目の前に音源が存在する様に再生する技術が求められている。ある音響音声信号を複数の信号を用いて拡声再生する場合、スピーカの位置以外の場所に音像、つまり音源が存在しているかの様に聴こえるよう制御することができる。
この様な音像定位制御で最も単純な方式は2チャネルステレオ方式である。図7に示す様に受聴者HLの前方左右の等距離位置にそれぞれ1式ずつのスピーカS,Sを置き、それぞれのスピーカS,Sに入力端子T1から増幅器AM,AMをそれぞれ通じて可聴帯域入力信号を供給する。増幅器AM,AMの増幅率を変化させることにより、スピーカS,Sから放射される可聴帯域音響信号のパワーを制御する。例えば、増幅器AMの増幅率を、増幅器AMの増幅率より大にすると、スピーカSとスピーカSを結ぶ直線LLR上においてスピーカSに近い側に音像SI1が生じこの音像SI1から可聴帯域音響信号が放射されているように受聴者HLに聴こえる。逆に増幅器AMより増幅器AMの増幅率を大にすると、スピーカSに近い位置に音像SI2が生じる。しかしこの方式では2式のスピーカS,Sを結ぶ直線LLR上にしか音像を定位させることができない。
またステレオ再生方式を4式のスピーカに拡張させ、音像を受聴者の前後左右に移動させることが出来るようにしたものもある。図8に示すように、受聴者HLの前方左右の等距離位置にスピーカSLFとSRFが配され、受聴者HLの後方左右の等距離位置にスピーカSLBとSRBが配され、入力端子T1からの可聴帯域信号が、スピーカSLF,SRF,SLB,SRBにそれぞれ増幅器AMLF,AMRF,AMLB,AMRBを通じて、供給される。前述したように増幅器AMLFとAMRFの両増幅率の差を制御し、他の増幅器AMLBとAMRBの増幅率を0にすることにより、スピーカSLFとSRF間の音像SI1の位置の変更をすることができる。同様に、増幅器AMLBとAMRBの両増幅率の差を制御し、他の増幅器AMLFとAMRFの増幅率を0にすることにより、スピーカSLBとSRB間の音像SI3の位置の変更をすることができる。同様に、増幅器AMLFとAMLBの両増幅率の差を制御し、他の増幅器AMRFとAMRBの増幅率を0にすることにより、スピーカSLFとSLB間の音像SI4の位置の変更をすることができる。同様に、増幅器AMRFとAMRBの両増幅率の差を制御し、他の増幅器AMLFとAMLBの増幅率を0にすることにより、スピーカSRFとSRB間の音像SI5の位置の変更をすることができる。このようにこの4チャネル再生方式によれば、音像を前後、左右に動かすことが出来るが、基本的に受聴者HLからある程度離れた位置に音像は定位し、例えば前方で音像が前後するような距離感の制御は難しい。
受聴者の目の前で前後左右の任意の場所に音像を定位させる再生方式としては、スピーカアレイ再生方式がある(例えば非特許文献1参照)。図9に示すように、受聴者HLの前方において、複数のスピーカS,S,・・・・Sが左右に配列され、入力端子T1よりの可聴帯域信号は遅延器DL,DL,・・・・DLをそれぞれ通じ、更に増幅器AM,AM,・・・・AMをそれぞれ通じて、スピーカS,S,・・・・Sへ供給される。遅延器DL,DL,・・・・DLの各遅延時間をDLから順次、短くし、DLで最小になるようにすると、右側のスピーカからの可聴帯域音響信号程、早く聴こえるため音像SI1は右側に生じ、逆に、各遅延時間をDLから短くし、DLで最小になるようにすると、音像SI1は左側へ動く。よって遅延器DL,DL,・・・・DLの左右中央部の遅延器の遅延時間を最も短くし、これら、左、右に離れるほど、遅延時間を長くすれば、左右の中央に音像SI1が定位する。例えば、この状態で、増幅器AM,AM,・・・・AMの各増幅率を一様に小さくすると音像SI2のように受聴者HLから遠くになり、逆に各増幅率を一様に大きくすると、音像SI3のように受聴者HLに近づく。
このように各遅延器ごとに各種遅延時間を設定し、また各増幅器の増幅率を変更することにより、受聴者HLの目の前で音像を前後左右の任意の場所に定位させることができる。
この方法は全ての遅延器の遅延時間を正しく設定することにより、間隔を空けて設けた2つのスピーカ間以外の空間、例えばスピーカより前方である受聴者HLの目の前に音像を生成することが出来る。しかしこのように各種位置に音像を定位させるためには数十器以上のスピーカセットが必要となる。
一方、可聴帯域周波数の信号を変調波とし、超音波帯域信号に変調処理を行った信号を超音波用電気音響変換器から高出力で空気中に放射するパラメトリックスピーカ(超音波スピーカ)は空気中での自己復調により可聴周波数音響信号を再生する(例えば非特許文献2参照)。即ち、図10に示すように、入力端子T1よりの可聴帯域入力信号は変調器12で、超音波発生器13よりの超音波信号を振幅変調し、その変調出力信号は超音波用増幅器14で増幅されて、超音波用電気音響変換器15へ供給される。超音波用電気音響変換器15は通常、複数の電気音響変換素子が平面アレイ状に配列構成されている。超音波用電気音響変換器15より放射される超音波ビームUS(超音波放射方向)において、超音波用電気音響変換器15から設計で決まる位置に、空気の非線形性に基づく自己復調により、可聴帯域音響信号が再生放射され、つまりその位置に音像Sが生成される。超音波ビームの指向性が極めて鋭く、超音波用電気音響変換器15の向きを制御することにより、音像Sを任意の方向に定位させることができる。
しかし、非線形効果による自己復調で可聴音を発生するため、生成される可聴音の帯域が狭く、特に低域が十分に再生されず、また実質1つのスピーカによる音像と同じため、受聴者の周りを包む様な豊かな音像を生成することが不可能である。
小泉,中山,小宮山,西,梅田「スピーカアレイを用いた音像の距離感制御パラメータの検討」,信学技報 EA98−31 1998―07 鎌倉,米山,池谷「パラメトリックスピーカ実用化への検討」,日本音響学会誌41巻6号,1985 大久保,中山,池永,小宮山,「インタラクティブ3D映像音響再生システム」,NHK技研R&D,No.86,2004.7
前述したスピーカアレイ再生方式は受聴者と音像との距離を制御することが可能だが、スピーカアレイ再生方式は、数十のスピーカ、増幅器、遅延器が必要で、再生装置が大規模になるという第一の問題がある。
複数のスピーカによって同じ音を空間で加算して音像の定位を得る方法とは別に、入力信号を直接再生する一つの直接音用スピーカと、前記の入力信号に残響付加処理した信号を再生する複数の間接音用スピーカとを同時に再生状態にし、その直接音と間接音の比率を制御することにより直接音用スピーカより遠方に音像を定位させ、音の距離感を制御する再生方式が考えられる。この方式の概略構成を図11に示す。この場合もスピーカの配置としては、間接音用スピーカSLF,SRF,SLB,SRBが受聴者HLを囲うような方形空間の4隅に配置され、その他に受聴者HLの前で、間接音用スピーカSLF,SRFより近くに直接音用スピーカSが配されている。入力端子T1よりの入力信号は2分されて可変減衰器AT,ATREへ供給され、可変減衰器ATの出力は増幅器AMを通じて直接音用スピーカSへ供給される。可変減衰器ATREの出力は残響付加器RELF,RERF,RELB及びRERBへそれぞれ供給され、入力信号の残響信号がそれぞれ生成され、増幅器AMLF,AMRF,AMLB及びAMRBをそれぞれ通じて間接音用スピーカSLF,SRF,SLB及びSRBへ供給される。
直接音用スピーカSに大きなパワーの可聴帯域信号を供給すると、直接音用スピーカSから直接、音響信号が放射され、つまり直接音用スピーカSに音像SI1が定位し、小さいパワーの可聴帯域信号を供給すると、受聴者HLの前方で直接音用スピーカSよりも遠方に音像SI2が定位する。つまり、直接音用スピーカSからの放射音と、間接音用スピーカSLF,SRF,SLB及びSRBからの放射音との比率を制御することにより、音の距離感が制御される。
この方式は、入力信号を直接再生する直接音と、入力信号に多くの残響信号を付加することにより作る間接音を、受聴者を取り巻く複数の方向から再生する。人間が直接音と間接音(残響)の比率を音の距離感把握の手がかりにしている事から実現している音像距離制御方式である。
この直接音と間接音の比率を制御することにより、音像距離を制御する再生方式では、スピーカを受聴者の前後左右に数個と音像を主に定位させたい位置に最低一つとで定位が可能であるが、例えば直接音用スピーカSは受聴者HLのすぐ前に配置すると、受聴者HLの邪魔になったり、受聴室内に各種の物が配置され、必ずしも、適切な場所に直接音用スピーカSを配置することができないという制限を受けることが多い。これらの場合に、もっとも受聴者HLの近い位置に定位できるのが直接音を出すスピーカSの位置に固定されてしまい、任意の位置に定位できないという第二の問題がある。
この点、設計時においては、パラメトリックスピーカは超音波用電気音響変換器15の位置、大きさ、超音波ビームの放射方向、超音波信号周波数の選定などにより、任意の場所に音像を生成することが可能であるが、非線形効果による自己復調で可聴音を発生するため、生成される可聴音の帯域が狭く、特に低域が十分に再生されない。また実質一つのスピーカによる音像と同じであるため、受聴者の周りを包む様な豊かな音像は作ることが不可能という、再生音質に関する第三の問題がある。
この発明によれば、可聴帯域の入力信号で、超音波信号を変調し、その変調出力信号を超音波音響信号として空中へ放射する超音波(パラメトリック)スピーカと、上記入力信号が供給され、その残響信号を残響付加器で生成し、その残響信号を可聴用スピーカで空中に残響音響信号として放射する少なくとも1つの間接音放射器とが備えられる。
この構成によれば、使用するスピーカ数、増幅器、遅延器が少なく済み、スピーカアレイ再生方式より、小さな規模とすることができる。また、設計当初に超音波スピーカの超音波放射位置、放射方向、超音波周波数などを選定して、非線形効果により自己復調され音像位置を受聴者に対し、任意の位置にすることができ、従って最も近い音像がスピーカ位置に固定されるという問題を解決できる。
間接音放射器から残響音響信号が放射されるため、受聴者の周りを包む様な豊かな音像が得られ、第三の問題も解決される。
図1にこの発明の最良の実施形態を示す。この音響再生装置の入力端子T1に入力信号として入力された可聴帯域信号は超音波スピーカ(パラメトリックスピーカ)10と少なくとも1つの間接音放射器20−1,20−2,・・・・20−Nに供給される。ただしNは1以上の整数である。超音波スピーカ10においては可聴帯域信号は変調器12により超音波発生器13よりの超音波信号を振幅変調する。可聴帯域信号で変調させられた超音波信号、つまり変調器12の出力信号は超音波用増幅器14で増幅され、超音波用電気音響変換器15により超音波音響信号として空中に放射される。ここで変調器12の前段に、入力可聴帯域信号中の200〜500Hz以下の信号を遮断するフィルタ16を設けてもよい。超音波スピーカの性質上、500Hz以下の可聴帯域音響信号では音像が形成されないこと、また超音波スピーカは低い周波数の可聴帯域音響信号を出力するためには大きな電力を必要とするため、フィルタ16を設けることにより、超音波用増幅器14などにおける電力消費を防止するという効果を得ることができる。この点で、フィルタ16の遮断周波数を必ずしも500Hzとすることもなく、200Hzとしても同様に電力消費の防止の効果がかなり得られる。
一方、間接音放射器20―n(n=1,・・・・,N)においては入力された可聴帯域信号は残響付加器22―nに入力され、その可聴帯域信号と対応する残響信号が生成され、その残響信号は増幅器23―nで増幅されて可聴用スピーカ24―nに供給され、これより残響音響信号として空中に放射される。入力端子T1と間接音放射器20―1,・・・・,20―Nとの間に、低域通過フィルタ25を挿入しても良い。この場合、その周波数特性としては例えば、図4Aに示すように、少なくともフィルタ11で遮断される低域成分は通過させ、また、超音波スピーカ10による自己復調作用で、パワーが低下される低域成分を少なくとも通過させるものとする。
残響付加器22―nは例えば、この音響再生装置が取付けられる部屋のインパルス応答を入力可聴帯域信号に畳み、生成する。この場合、インパルス応答の0次成分、つまり直接音に相当する成分は含まれないようにする。あるいは、複数の遅延器に入力可聴帯域信号を入力し、その遅延時間とレベルを乱数により、変化させて残響信号を生成しても良い。その他の方法を用いても良い。
超音波スピーカ10において、変調器12に入力される可聴帯域信号をx(t)とし、変調出力信号をy(t)とし、超音波発生器13の発生超音波信号をc(t)とすると、変調出力信号y(t)は次式[1]で示される。
y(t)=A×(1+m×x(t))×c(t) 式[1]
ここでAは定数とする。式[1]で例えば、c(t)を周波数が40kHzの正弦波信号とし、m×x(t)の絶対値が1より小さくなるように変調度mを調整する。このとき変調器12は入力信号x(t)で超音波信号c(t)を振幅変調する変調器となる。図2にこの時の入力信号x(t)、超音波信号c(t)、変調出力信号y(t)の波形例を示す。
図3にこの発明の音響再生装置が設けられた場合の各可聴用スピーカ24―nと受聴者HLとの関係配置例を示す。この例では、立方体空間の4隅に可聴用スピーカ24―1,・・・・,24―4を受聴者HLの周りを取り巻くように配置している。受聴者HLの前方左、右にスピーカ24―1,24―2が後方左、右にスピーカ24―3,24―4がそれぞれ位置し、前方スピーカ24―1,24―2より後方スピーカ24―3,24―4の近くに受聴者HLが位置している例である。
この可聴用スピーカ24―1,・・・・,24―4に囲まれた空間、つまり受聴者HLが受聴のために存在することができる領域内ではいずれの位置でもその空間(部屋)全体から残響が生じているようにスピーカ配置、スピーカ出力が設定されている。可聴用スピーカ24―1と24―2の間隔L1,スピーカ24―3と24―4の間隔L2が比較的大きく、あまり残響のない部屋ではそれぞれの可聴用スピーカから音が出ているように感じ、部屋全体から音がなっている感じがしなくなる。逆に、スピーカ間隔を例えば1mより小さくすると、受聴者HLがスピーカにより囲まれる空間が狭くなり、スピーカと受聴者HLの間隔が近くなり、残響という感じよりスピーカから直接、受聴者HLに放音されている感じになってしまう。従ってL1及びL2は1m〜3m程度が良い。部屋が大きくなれば、可聴用スピーカの数を増加して、各所で良好な残響が聴こえるようにする。
このような全体として残響が聴こえる領域内において、超音波スピーカ10による音像SI1が所望の位置(任意の位置)で生じるように、超音波用電気音響変換器15を設ける。生成させたい音像SI1の位置を決め、超音波用電気音響変換部器15も設置しやすい所に配し、前記決定した位置に、音像SI1が生じるように超音波ビームの方向(超音波用電気音響変換器15の向き)と、発生超音波信号の周波数などを設計すればよい。
このように受聴者HLに対し、任意の位置に音像SI1を生成することができ、しかも可聴用スピーカ24―1,・・・・,24―4からの残響音響信号が受聴者HLを包み込むような響きが感じられ、かつ超音波スピーカ10は低域音の再生が困難であるが、低域音も感じられる。
更に、超音波スピーカ10より得られる直接音の大きさと間接音放射器20―1,・・・・,20―Nから得られる残響音響信号(間接音)の大きさとの比率を制御することにより、受聴者HLと音像SI1を結ぶ線LHSの延長線上で音像を動かすようにすることもできる。例えば、図1中において入力端子T1とフィルタ16及び25との各間に可変減衰器11及び21が直列に挿入される。音像を受聴者HLより遠くに動かしたい場合は、可変減衰器21の減衰量を小さくして、残響音響信号を大きくし、又は、可変減衰器11の減衰量を大きくし、直接音を小さくし、あるいは、これらを両方行えばよい。このようにすると例えば音像SI1が音像SI2に移動する。図1中に破線で示すように可変減衰器11及び21をそれぞれフィルタ16及び25の後段に挿入してもよい。
一般的に、超音波スピーカは原理的に、高域成分ほど出力が増加し、超音波帯域の再生特性が平坦な場合、自己復調により再生される可聴帯域音響信号は6dB/oct.という周波数特性を有する。よって超音波スピーカ10の自己復調による可聴帯域音響信号の周波数特性を平坦にするためには、フィルタ25は例えば図4Bに示すように、200〜500Hz以上20kHz以下の帯域では、−3dB/oct.〜−9dB/oct.程度の傾きを持つ周波数特性にすることが望ましい。なお、この特性は前記自己復調特性から−6dB/oct.とすべきとも思われるが、これに対し、±3dB程度の差があっても、聴感上不自然を感じないからである。
図5に可聴用スピーカ24―nに入力する残響信号を生成する残響付加器22―nの残響特性の例を示す。横軸は時間を、縦軸は出力パワーを表す。なお、この例は非特許文献3の77項、6図に示す特性を模式的に示したものである。例えばt1を、0より大で20m秒以下の範囲とし、出力も超音波スピーカ10からの可聴帯域音による音像の出力より−20dB以下に抑えることにより、可聴用スピーカ24―nからの放射音は残響音として認識される。これにより、音像は超音波スピーカ10の音像に定位し、可聴用スピーカ24―nからの音は残響として音質の向上や音像の広がり感として感じられる。この際、残響付加器22―nを調整して残響信号の長さt2を変化させることにより、音像の距離感や広がり感を変化させることが可能である。t2は例えば数百msから約4秒以下の範囲で設定でき、出力レベルは時間と共に例えば−20dB/秒で減衰し、かつ反射音の密度は指数的に増えるような特性にすると、良好な残響感が得られる。この出力レベルの減衰量を−30dB/秒以上にするとかなりの響く部屋という感じになる。
この音響再生装置を一度設置した後に、音像位置を変更したい場合がある。この点から超音波スピーカ20の超音波音響信号を放射する方向を変更できる方向制御装置を設ければよい。この方向制御装置30の例を図6に示す。Y軸用モータ31の回転軸32の遊端に、この回転軸32と垂直に支持版33が取付けられ、支持板33上に支持台34を介してX軸用モータ35が取付けられる。X軸用モータ35の回転軸36の端部は回動支持板33に立てられた支持片37に回転自在に支持される。回転軸36の中間部に回転軸と直角に超音波用電気音響変換器15は取付けられる。
水平角度設定器41の操作面に例えば設定摘み42が設けられ、回転したい角度を設定できるようにされている。この設定された角度は、水平角度設定器41内の設定信号発生部43で設定角度信号に変換される。一方、Y軸用モータ31の回転軸32の回転角度を検出するY軸用角度センサ44の出力が水平角度設定器41に入力され、これと設定角度信号とが比較部45で比較され、その比較部45の出力によりY軸用モータ31が制御され、Y軸用モータ31の回転軸32が設定角度だけ回転する。
水平角度設定器41と同様な構成の垂直角度設定器51が回動支持板33上に取り付けられ、X軸用モータ35の回転軸36の回転角度を検出するX軸用角度センサ52の出力信号が垂直角度設定器51に入力され、垂直角度設定器51の出力によりX軸用モータ35が制御され、垂直角度設定器51に設定した角度だけX軸用モータ35の回転軸36が回転される。なお、一般には、各モータの回転軸上に延長して継手により回転軸が取り付けられ、この回転軸に回動支持板33や超音波用電気音響変換器15が設けられる。
このようにすることにより、超音波スピーカ10の音像SI1を、各種方向へ動かすことができる。この移動した音像SI1を、更に、前述した直接音と間接音との比率制御手段を制御して、移動させることが出来る。例えば図3中に破線で示すように部屋の壁や床に超音波ビームを当て、そこに超音波スピーカ10の音像SI3を定位させることにより、壁や床の所望の位置に音像を生成することができる。しかも、例えば残響音響信号(間接音)を大きくすることにより、壁や床よりも遠くから可聴帯域音響信号が聴こえる様に感じさせることもできる。
なお、壁や床の位置より遠方に非直線復調により音像が生成されるように設計しても、壁や床の材質や面状態によっては超音波ビームが入射した壁や床面に非直線復調による音像が形成されることがある。この場合も、例えば残響信号の出力を大きくすることにより、壁や床より遠方に音像を動かすことが出来る。
超音波放射方向の制御は3次元に限らず、2次元でもよい。
この例では、定位させたい音像が1つの場合であるが、音像を複数させたい場合、例えばテレビ会議などで、複数名の話者に対応する音像を定位させたい時は直接音を出す超音波スピーカ10を定位させたい音像の数だけ設けることにより実現できる。この時、可聴用スピーカの数は変更させる必要はなく、あくまで使用する部屋の大きさ等で決まる。
また可聴用スピーカ24―nとしては一個でもよい。この場合は、例えば部屋の天井の角に、壁方向に向けて可聴用スピーカ24―1を設置して壁の反射によりその部屋中に残響音響信号が広がるようにすればよい。
この発明の実施形態の機能構成例を示すブロック図。 入力信号と超音波信号と変調出力信号の各波形例を示す図。 この発明の実施形態における受聴者HLと超音波用電気音響変換器と、可聴用スピーカと音像との位置関係の例を示す図。 Aは図1中のフィルタ25の周波数特性例を示す図、Bはフィルタ16の周波数特性例を示す図である。 図1中の残響付加器22―nの残響特性の例を示す図。 超音波放射方向を制御する方向制御装置の例を簡略に示す斜視図。 従来の2チャネルスピーカ再生方式による音像定位方式を示す図。 従来の4チャネル再生方式による音像定位方式を示す図。 従来のスピーカアレイ方式による音像定位方式を示す図。 従来の超音波スピーカを示す図。 従来の直接音と間接音比による音像制御方式を示す図。

Claims (8)

  1. 可聴帯域の入力信号で、超音波信号を変調し、その変調出力信号を超音波音響信号として空中へ放射する超音波スピーカと、
    上記入力信号が供給されその残響信号を生成する残響付加器、及び、その残響信号を残響音響信号として空中に放射する可聴用スピーカとから構成される少なくとも1つの間接音放射器と、
    上記間接音放射器へ入力される上記入力信号中の低周波成分を通過させる低域通過フィルタと、を備え、
    上記超音波スピーカは上記入力信号中の低周波成分を遮断して、超音波信号に対する変調信号とするフィルタを具備する、
    ことを特徴とする音響再生装置。
  2. 請求項1に記載の音響再生装置において、
    上記超音波スピーカの超音波音響信号を放射する方向を、設定した方向に変更する方向制御装置を備えることを特徴とする音響再生装置。
  3. 請求項1又は2に記載の音響再生装置において、
    前記間接音放射器は、上記入力信号と対応する残響信号が生成する残響付加器を具備し、
    前記残響付加器は、入力信号のインパルス応答の0次成分は含まれないように、あるいは、複数の遅延器に入力信号を入力し遅延時間とレベルを乱数により変化させて残響信号を生成する、
    ことを特徴とする音響再生装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の音響再生装置において、
    上記超音波スピーカにおける上記変調信号の振幅及び/又は上記残響音響信号のパワーを制御して、上記超音波スピーカにより再生される可聴帯域音響信号と上記残響音響信号との比率を制御する比率制御手段を備えることを特徴とする音響再生装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の音響再生装置において、
    上記フィルタの通過帯域における出力パワーの周波数特性が−3dB/oct.〜−9dB/oct.であることを特徴とする音響再生装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の音響再生装置において、
    上記音響再生装置が設置された部屋内で受聴者が存在可能な領域の全体に、上記可聴用スピーカからの放射残響音響信号が行きわたるようにされていることを特徴とする音響再生装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の音響用再生装置において、
    上記可聴用スピーカは複数のものが受聴者が存在可能な領域を囲うように配置されていることを特徴とする音響再生装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の音響再生装置において、
    上記音響再生装置が設けられた部屋の壁又は床に、上記超音波スピーカの自己復調位置があり、前記壁又は床の所望の位置に音像を定位させることを特徴とする音響再生装置。
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