JP3875291B2 - 電子内視鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先端部に固体撮像素子を内蔵した電子内視鏡に関し、特に、前記固体撮像素子に光学像を結像させる光学系が広角対物光学系である電子内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、体腔内臓器などを観察したり、必要に応じて処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種治療・処置のできる内視鏡が広く利用されている。また、これら内視鏡は、医療用のみならず工業用においてもボイラや機械及び化学プラントなどの管内、或いは、エンジン内部の観察及び検査などに用いられている。
【0003】
上述のように用いられる内視鏡には挿入部の先端部に電荷結合素子(以下CCDと記載)などの撮像素子を配設した電子内視鏡がある。この電子内視鏡を用いることにより、対物光学系を通してCCDの撮像面に結像した観察像を電気信号に変換し、この電気信号を信号処理装置に伝送して映像信号を生成してモニタ画面に映し出して観察が行える。
【0004】
このように、前記CCDの撮像面には対物光学系を通った被写体像が結像するようになっているので、このCCDの前面に配設する対物光学系を適宜選択することによって、広角画像用の内視鏡や拡大画像用の内視鏡など、内視鏡の用途に応じて種々の光学スペックを持たせたものを提供することができる。
【0005】
例えば、主に大腸など下部消化管内の観察を行なう内視鏡としては、ひだの多い管腔内を観察するため、一度にひだの裏まで観察をすることによって病変部の見落としを無くすため、広角画像用のものを用いていた。
【0006】
特開平4−102432号公報には、視野角が140°以上の広角で、フレアーやゴーストのない、十分な照明配光を確保する超広角の内視鏡が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平4−102432号公報の超広角の内視鏡は、主にファイバースコープのように視野方向によって画角差のない視野が円形用のものであり、観察視野範囲が略四角形形状になるCCDを配設した電子内視鏡を考慮した技術ではなかった。
【0008】
一般的に、電子内視鏡では結像面が主に略四角形形状のCCDを用いることが多いため、対辺方向と、対角方向とでは視野角が異なってしまう。特に、視野角を広角に設定した広角画像用の電子内視鏡の場合には対辺方向と対角方向とで視野角が大きく異なる。このため、照明光が固体撮像素子の対辺方向と対角方向との両方に対してすみずみまで十分に行き渡らず、明暗差ができて観察に支障をきたすおそれがあった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、良好な配光を確保すると共に、飛び込みフレアーを防止する広角画像用の電子内視鏡を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の電子内視鏡は、挿入部を有する電子内視鏡において、前記挿入部の先端部に配置された広角対物光学系と、前記挿入部内に設けられ、前記広角対物光学系が結像する被写体像を撮像するために、4辺を有する四角形に形成された撮像面を有する固体撮像素子と、前記撮像面の第1の辺と前記挿入部の内周面との間の空間に配置され、断面が略円形に形成された第1のライトガイドバンドルと、前記撮像面の第2の辺と前記挿入部の内周面との間の空間に配置され、断面が略円形に形成された第2のライトガイドバンドルと、前記撮像面の第3の辺と前記挿入部の内周面との間の空間に配置され、断面が略円形に形成された第3のライトガイドバンドルと、を有することを特徴とする。
本発明の第2の電子内視鏡は、挿入部内を挿通する照明光を伝達するための第1のライトガイドバンドルと第2のライトガイドバンドルとを有する電子内視鏡において、前記挿入部の先端面に設けられ、前記挿入部の中心から第1の湾曲方向側に偏心して配置される広角対物光学系のレンズカバーと、前記挿入部の先端部に設けられ、前記挿入部の中心軸方向に対して前記第1の湾曲方向と略直交する第2の湾曲方向側に傾斜した方向に照明光を出射可能に配置された第1の照明レンズカバーと、前記挿入部の先端部に設けられ、前記挿入部の中心軸方向に対して前記第1の湾曲方向と略直交する第3の湾曲方向側に傾斜した方向に照明光を出射可能に配置された第2の照明レンズカバーと、を有することを特徴とする。
本発明の第3の電子内視鏡は、挿入部を有する電子内視鏡において、前記挿入部内に設けられ、前記広角対物光学系が結像する被写体像を撮像するために、4辺を有する四角形に形成された撮像面を有する固体撮像素子と、前記撮像面の第1の辺と前記挿入部の内周面との間の空間に配置され、断面が略円形に形成された第1のライトガイドバンドルと、前記撮像面の第2の辺と前記挿入部の内周面との間の空間に配置され、断面が略円形に形成された第2のライトガイドバンドルと、前記挿入部の先端部に設けられ、前記挿入部の中心軸に対して前記第1の辺の方向側に傾斜した方向に前記第1のライトガイドバンドルが伝達する照明光を出射可能に配置された第1の照明レンズカバーと、前記挿入部の先端部に設けられ、前記挿入部の中心軸に対して前記第2の辺の方向側に傾斜した方向に前記第2のライトガイドバンドルが伝達する照明光を出射可能に配置された第2の照明レンズカバーと、を有することを特徴とする。
本発明の第4の電子内視鏡は、挿入部を有する電子内視鏡において、前記挿入部内に設けられ、前記広角対物光学系が結像する被写体像を撮像するために、4辺を有する四角形に形成された撮像面を有する固体撮像素子と、前記挿入部の先端部に設けられ、被写体からの光を入射するための広角対物光学系のレンズカバーと、前記撮像面の第1の辺と前記挿入部の内周面との間の空間に配置され、断面が略円形に形成された第1のライトガイドバンドルと、前記撮像面の第2の辺と前記挿入部の内周面との間の空間に配置され、断面が略円形に形成された第2のライトガイドバンドルと、前記撮像面の第3の辺と前記挿入部の内周面との間の空間に配置され、断面が略円形に形成された第3のライトガイドバンドルと、前記挿入部の先端部に設けられ、前記レンズカバーに対して第1の辺側に配置された前記第1のライトガイドバンドルが伝達する照明光を出射する第1の照明レンズカバーと、前記挿入部の先端部に設けられ、前記挿入部の中心軸に対して前記第2の辺の方向側と前記第1の辺に対向する前記撮像面の第 4 の辺の方向側とに傾斜した方向に、前記第2のライトガイドバンドルが伝達する照明光を出射可能に配置された第2の照明レンズカバーと、前記挿入部の先端部に設けられ、前記挿入部の中心軸に対して前記第3の辺の方向側と前記第4の辺の方向側とに傾斜した方向に、前記第3のライトガイドバンドルが伝達する照明光を出射可能に配置された第3の照明レンズカバーと、を有することを特徴とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の電子内視鏡は、挿入部を有する電子内視鏡において、前記挿入部の先端部において、当該挿入部先端部中心軸に対して一方向に偏心した位置に配置された広角対物光学系と、前記挿入部内に設けられ、前記広角対物光学系が結像する被写体像を撮像するために、4辺を有する四角形に形成された、前記挿入部先端部中心軸に対して一方向に偏心した位置であって、前記広角対物光学系に対して互いの中心軸が一致した位置に配置された撮像面を有する固体撮像素子と、前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の一側辺と前記挿入部の内周面との間の第1空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第1ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第1のライトガイドバンドルと、前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の他側辺と前記挿入部の内周面との間の第2空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第2ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第2のライトガイドバンドルと、前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の対向辺と前記挿入部の内周面との間の第3空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第3ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第3のライトガイドバンドルと、を有することを特徴とする。
本発明の第2の電子内視鏡は、挿入部を有する電子内視鏡において、前記挿入部の先端部において、当該挿入部先端部中心軸に対して一方向に偏心した位置に配置された広角対物光学系のレンズカバーと、前記挿入部内に設けられ、前記広角対物光学系が結像する被写体像を撮像するために、4辺を有する四角形に形成された、前記挿入部先端部中心軸に対して一方向に偏心した位置であって、前記広角対物光学系に対して互いの中心軸が一致した位置に配置された撮像面を有する固体撮像素子と、前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の一側辺と前記挿入部の内周面との間の第1空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第1ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第1のライトガイドバンドルと、前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の他側辺と前記挿入部の内周面との間の第2空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第2ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第2のライトガイドバンドルと、前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の対向辺と前記挿入部の内周面との間の第3空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第3ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第3のライトガイドバンドルと、前記挿入部の先端部に形成された傾斜面であって、当該挿入部先端部中心軸から、前記レンズカバーに対して前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向と当該撮像面の一側方との間の第1方向に向けて切り欠くように傾斜した第1傾斜面に、前記第1のライトガイドバンドルが伝達する照明光を当該第1傾斜面の傾斜に応じた方向に向けて出射可能に配置された第1の照明レンズカバーと、前記挿入部の先端部に形成された傾斜面であって、当該挿入部先端部中心軸から、前記レンズカバーに対して前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向と当該撮像面の他側方との間の第2方向に向けて切り欠くように傾斜した第2傾斜面に、前記第2のライトガイドバンドルが伝達する照明光を当該第2傾斜面の傾斜に応じた方向に向けて出射可能に配置された第2の照明レンズカバーと、前記挿入部の先端部に形成された、前記レンズカバーに対して前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の対向辺側の面に、前記第3のライトガイドバンドルが伝達する照明光を出射可能に配置された第3の照明レンズカバーと、を有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1及び図2は本発明の第1実施形態に係り、図1は電子内視鏡の概略構成を示す図、図2は電子内視鏡先端部の第1湾曲駒内に配置された内蔵物の配置状態を説明する長手方向に対し直交する断面図である。
【0013】
図1に示すように電子内視鏡1は、細長な挿入部2と、この挿入部2の手元側にあって術者が把持する操作部3と、この操作部3の側部から延出してライトガイドケーブルや信号系ケーブルや電気系ケーブルなどを内蔵する可撓性のユニバーサルコード4とを備えている。
【0014】
前記挿入部2は、CCDなどの固体撮像素子を内蔵した先端部5と、複数の湾曲駒を回動自在に連接して上下・左右方向に湾曲自在な湾曲部6と、細長で可撓性を有する軟性管7とを順次連接して構成されている。
【0015】
前記操作部3には前記湾曲部6を上下・左右方向に湾曲させる湾曲操作ノブ8や体腔内に鉗子などの処置具を挿通するための処置具挿入口9や信号処理装置や制御装置あるいは送気・送水・送ガス手段などの周辺機器の操作を行う複数の押釦スイッチ10,10...が設けられている。
【0016】
前記ユニバーサルコード4の手元側端部にはコネクタ部11が設けられており、このコネクタ部11には固体撮像素子で光電変換した被写体像の電気信号を映像信号処理回路に伝送する電気接点部12や先端部のノズルに空気などを送るための送気口金13や光源装置に接続されるライトガイド口金14が設けられている。
【0017】
図2に示すように前記電子内視鏡1の先端部5を構成する第1湾曲駒15内の略中央上部には四隅に面取りを施した略四角形形状の固体撮像素子16が配設されている。この固体撮像素子16の四角形形状の撮像面17は、下方向に寄せられて、内視鏡先端面に配設されている対物レンズカバー18を含む対物光学系の光軸と、前記撮像面17の中心とが一致するように芯だしされて配設されている。
【0018】
前記固体撮像素子16の撮像面17の右辺,左辺及び下辺の外側にはそれぞれライトガイドバンドル19R,ライトガイドバンドル19L,ライトガイドバンドル19Dが挿通しており、これらライトガイドバンドル19R,19L,19Dは固体撮像素子16の3辺の外側を通って内視鏡先端部5の先端面に配設されている照明レンズカバーに臨まれている。
【0019】
前記ライトガイドバンドル19Rの直径とライトガイドバンドル19Lの直径とは略同形で、且つ、前記ライトガイドバンドル19Dの直径より小径に形成し、前記ライトガイドバンドル19R,19Lを、視野角の狭い対辺方向に配置することにより、ライトガイドバンドル19R,19Lからレンズカバー18に漏れこむ光によって発生するフレアー、いわゆる飛び込みフレアーの発生する可能性を著しく小さくしている。
【0020】
また、前記ライトガイドバンドル19R,19L,19Dは、電子内視鏡1の先端部5,湾曲部6,軟性管7から操作部3内の間では1本づつ分かれているが、ユニバーサルコード4及びコネクタ部11においては1本のライトガイドケーブルとして各バンドル19R,19L,19Dがひとまとめにされている。
【0021】
なお、前記撮像面17の上辺の外側には内視鏡先端面に配設されている送気・送水ノズル20に連通する送気・送水チューブ21が挿通している。また、前記撮像面17の左隅方向には処置具を挿通する鉗子挿通チャンネル22が挿通している。さらに、本実施形態の内視鏡先端部5の先端面は電子内視鏡1の長手挿入方向に対して垂直な平面であり、この平面に前記送気・送水ノズル20,対物レンズカバー18,鉗子挿通チャンネル22の先端開口、各ライトガイドバンドル19の先端面に臨まれる照明レンズカバーがフラットに配置されている。
同図で符号23U,23D,23L,23Rは湾曲部6を上下左右の所望の方向に湾曲させるときに牽引される湾曲操作ワイヤである。
【0022】
このように、被写体を照明するライトガイドバンドルを固体撮像素子の四角形の撮像面の3辺の外側を挿通させて内視鏡先端部に配置することにより、広視野角を有する対物光学系に対応して、被写体をすみずみまで十分に行き渡る良好な配光で照射することができる。このことにより、固体撮像素子の撮像面の対辺方向及び対角方向まで照明光がくまなく行き渡るので、十分な照明光の観察像が得られる。
【0023】
また、電子内視鏡の視野角の狭い対辺方向にライトガイドバンドルを配置することにより、ライトガイドバンドルからレンズカバーに漏れこむ光によって発生するフレアーの発生を抑えることができる。
【0024】
さらに、固体撮像素子の対辺方向に対してライトガイドバンドルを配置しているので、ライトガイドバンドルを固体撮像素子に対して最も近づけて配設することができるため、先端挿入部の外径の細径化を行なうことができる。
【0025】
又、鉗子挿通チャンネルを固体撮像素子の対角方向に配置したことにより、鉗子挿通チャンネル先端開口から鉗子が少し突出しただけで、すぐに観察視野内に鉗子をとらえることができるので安全性が大幅に向上する。
【0026】
更に、送気・送水ノズルが対辺方向で撮像面にかからないように配置しているので観察画像がけられることがなくなる。
【0027】
また、ライトガイドの外径寸法を適宜設定することにより、効率よく内蔵物を収納することができる。
【0028】
なお、前記実施形態においてライトガイドバンドルを固体撮像素子の四角形の撮像面の3辺の外側を挿通させて内視鏡先端部に配置したもので説明したが、ライトガイドバンドルを撮像面の4辺の外側を挿通させて内視鏡先端部に配置するようにした電子内視鏡でも同様の作用及び効果を得ることができる。
【0029】
また、図3に示すように前記先端部5の先端面5aに、前記対物レンズカバー18の両側面に、この対物レンズカバー18の斜め左上上方を向く平面5R及び斜め右上上方を向く平面5Lを形成し、これら平面5R,5Lに前記ライトガイドバンドル19R,19Lの先端面を配設し、このライトガイドバンドル19R,19Lにそれぞれ臨むように照明レンズカバー24R,24Lを配設することによって広範囲を良好な配光で照射することができるので、より広角の視野角を有する対物光学系を備えた内視鏡に対応する。符号24Dはライトガイドバンドル19Dの先端面に臨むように配設されている照明レンズカバーである。
【0030】
図4ないし図7は本発明の第2実施形態に係り、図4は対物光学系に広角ズーム機構を備えた内視鏡先端部の長手方向に沿った断面図、図5は図4のA−A断面図、図6はズーム機構に連動した可変照明機構の説明図である。
【0031】
図4に示すように本実施形態の電子内視鏡1は、対物光学系31に広視野角に切替え可能な広角ズーム機構30を備えている。
【0032】
まず、広角ズーム機構30について説明する。
前記広角ズーム機構30は、対物光学系31に配設した移動レンズ32をステッピングモータ(以下モータと略記)33で駆動させ、長手方向先端側から後方側に移動させることによって、対角視野角を例えば120°から170°まで可変するようにしている。
【0033】
前記モータ33は、このモータ33の回転軸をモーター伝達軸34に嵌合、圧入しているため、前記モータ33が図示しない駆動装置からの電源信号をモータ駆動ケーブル35を通して受けとることにより回転駆動するようになっている。そして、このモータ33の回転を、モーター伝達軸34、移動レンズ枠36を通して直線運動に変換して、前記移動レンズ32を長手方向の先端側、または後方側に移動させて対角視野角を所望の角度に設定することができるようになっている。
【0034】
なお、前記モーター33を保持するモーターホルダ37は、対物光学系31を保持しており、前記移動レンズ枠36移動の際にガイドの役割をも兼ねている。そして、前記モーターホルダ37とステッピングモータ33とは図のように接着部38によって接着固定されており、前記モーターホルダ37とモーターカバー39及びモーターホルダ37と固定レンズ枠40及び固定レンズ枠40とモーターカバー39が、全て接着剤で固定・密封されている。
【0035】
また、各光学系とレンズ及びレンズ枠どうしも全て接着剤で固定されているので、移動レンズ枠36、移動レンズ32を含む空間部は第1湾曲駒15内、及び外部と隔絶されて湿気の侵入が防止されている。
【0036】
図5に示すように固体撮像素子16は、上下左右方向の位置決めをしてモーターホルダ37に取付け固定されている。前記固体撮像素子16の撮像面17の上辺,下辺,左辺,右辺のそれぞれ外側にはライトガイドバンドル19U,19D,19L,19Rが各辺に対応するように1本づつ配置されている。
【0037】
前記ライトガイドバンドル19U,19D,19L,19Rのそれぞれの直径寸法は、下辺,右辺,左辺,上辺に対応して配置されているライトガイド19の順に直径寸法が細径になっている。
【0038】
なお、前記ライトガイドバンドル19は前記第1実施形態同様、先端部5,湾曲部6,軟性管7から操作部3内の間では1本づつ分かれているが、ユニバーサルコード4及びコネクタ部11においては1本のライトガイドケーブルとして1本のライトガイドケーブルに束ねられている。
【0039】
また、前記固体撮像素子16の対角方向には副送水チューブ41、ステッピングモータ33、鉗子挿通チャンネル22が配置されている。そして、送気送水ノズル20は固体撮像素子16に対して上方向で、且つライトガイドバンドル19Uに隣接して配置されている。
【0040】
次に、前記ズーム機構30に連動した可変照明機構について説明する。
図6に示すように先端部5に配設されるライトガイドレンズ枠44には、後方側開口からライトガイド凸レンズ43及びライトガイドバンドル19が挿入され、前方側開口から板ガラス45及び変形レンズ46が挿入され、前記ライトガイド凸レンズ43,ライトガイドバンドル19及び変形レンズ46がライトガイドレンズ枠44に接着固定されている。
【0041】
前記ライトガイドレンズ枠44の固定磁石46可動部には電磁石47が取付けられており、前記板ガラス45端部に配置されている固定磁石46との間で可動するようになっている。
【0042】
前記ライトガイドレンズ枠44には前記モータ駆動ケーブル35から引き出されたライトガイド可変ケーブル35aが接続されている。このため、前記モータ駆動ケーブル35からの駆動信号に対応する電流が、前記ライトガイド可変ケーブル35aからライトガイドレンズ枠44を通して電磁石47に通電されることにより、板ガラス45が拡大観察の際に実線に示す位置に配置され、広角観察する際に破線に示す位置に配置される可変照明機構を構成している。
【0043】
従って、この照明レンズカバー24から被写体に向かって出射される照明光は、広角観察時、板ガラス45を点線に示す位置に配置して変形レンズ46を通過して点線に示すように光軸に対して対称に広がって出射されていく。
【0044】
一方、拡大観察時には、板ガラス45が実線に示すように傾き、変形レンズ46を通過して実線に示すように光軸に対して内側よりに照明範囲を狭めて出射されていく。
その他の構成は前記第1実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0045】
このように、広角ズーム機構に対応させて可変照明機構を構成する板ガラスを移動させることにより、視野角に応じた効率の良い照明光を被写体に照射することができる。
【0046】
また、拡大と広角との中間画角においても、それに応じた傾きで板ガラスを止めることによって、各画角に対応した良好な照明光で被写体を照らすことができる。
さらに、観察に直接関係のないチャンネルや、可変照明機構であるモータなどの内蔵物を対角方向に配置することよって内部スペースを効率良く利用することができる。
【0047】
又、移動レンズ部を密閉したので、水蒸気の侵入及び内視鏡内へ水分が侵入したとき、対物光学系への水分の侵入が無くなるで常に良好な画像を得ることができる。
更に、ズーム機構に連動した可変照明機構を採用することにより、広角ズーム機構において良好な配光を得ることができる。特に、広角ズームにおいては、必要な範囲に全光量を集中することができるため配光効率が良くなり、必要以上のライトガイドが必要無いので、挿入部の細径化が可能になる。
その他の作用及び効果は前記第1実施形態と同様である。
【0048】
なお、図7に示すように前記広角ズーム機構が高拡大ズーム機構の場合には前記ライトガイドレンズ枠44内に、ライトガイドバンドル19、接合レンズ51、カバーレンズ52を挿入している。前記接合レンズ51は、第1レンズ51a,第2レンズ51b,第3レンズ51cと3枚に分割されており、レンズ51aとレンズ51bとの間及びレンズ51bとレンズ51cとの間には液晶フィルタ50が挟持されている。この液晶フィルタ50は通電されることにより光を全反射し、通常状態では光を全透過する。
【0049】
前記高拡大ズーム機構の場合、例えば拡大45°と広角120°という2焦点切換えのとき、拡大時には実線に示すようにライトガイドバンドル19からの出射光が液晶フィルタ40に屈折されることにより、レンズカバー18の光軸中心に対して集中的な配光となる。
【0050】
逆に、広角時には点線で示すようにライトガイドバンドル19からの出射光が液晶フィルタ40を透過して広範囲を照明する配光になる。
【0051】
なお、液晶フィルタ40への通電は、前記第2実形態と同様、モータ駆動ケーブル35に連動してライトガイド可変ケーブル35aを通して行なわれる。その他の構成は第2実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0052】
この構成によれば、狭視野角時に照明不足とならず、広視野角時にも良好な配光となる電子内視鏡とすることができる。その他の作用及び効果は前記第2実施形態と同様である。
【0053】
[付記]
1.内視鏡先端部に配設されたライトガイド端から出射する照明光で照らされた被写体をとらえる内視鏡先端部に配設した広角対物光学系と、この広角対物光学系でとらえた被写体像が結像する略四角形の撮像面を前記広角対物光学系の光軸後方に垂直に配置した固体撮像素子とを備える電子内視鏡において、
前記ライトガイドを前記固体撮像素子の撮像面の少なくとも3辺の外側を通して内視鏡先端部の先端側に延出し、このライトガイド先端部を内視鏡先端部に配設する電子内視鏡。
【0054】
2.送気、送水用ノズルを前記固体撮像素子の対辺位置側に配置する付記1記載の電子内視鏡。
【0055】
3.鉗子挿通チャンネルを前記固体撮像素子の対角位置側に配置する付記1記載の電子内視鏡。
【0056】
4.前記広角対物光学系に可動レンズを設け、この可動レンズを駆動させる駆動機構を前記固体撮像素子の対角位置側に配置する付記1記載の電子内視鏡。
【0057】
5.前記広角対物光学系に設けた可動レンズの移動に対応する可変照明機構を設けた付記4記載の電子内視鏡。
【0058】
6.前記可変照明機構がライトガイドレンズ枠に設けた固定磁石を有する板ガラスと電磁石とで構成される付記5記載の電子内視鏡。
【0059】
7.前記可変照明機構がライトガイドレンズ枠に設けた複数の接合レンズと各接合レンズの間に配設した液晶フィルタとで構成される付記5記載の電子内視鏡。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、良好な配光を確保すると共に、飛び込みフレアーを防止する広角画像用の電子内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1及び図2は本発明の第1実施形態に係り、図1は
電子内視鏡の概略構成を示す図
【図2】電子内視鏡先端部の第1湾曲駒内に配置された内蔵物の配置状態を説
明する長手方向に対し直交する断面図
【図3】第1実施形態の応用例であり、先端部の先端面の概略構成を説明する

【図4】図4ないし図7は本発明の第2実施形態に係り、図4は
対物光学系に広角ズーム機構を備えた内視鏡先端部の長手方向に沿っ
た断面図
【図5】図4のA−A断面図
【図6】ズーム機構に連動した可変照明機構の説明図
【図7】対物光学系に高拡大ズーム機構を備えた内視鏡のズーム機構に連動し
た可変照明機構の別の構成を示す説明図
【符号の説明】
1…電子内視鏡
5…先端部
16…固体撮像素子
17…撮像面
19…ライトガイドバンドル(19U,19D,19R,19L)

Claims (2)

  1. 挿入部を有する電子内視鏡において、
    前記挿入部の先端部において、当該挿入部先端部中心軸に対して一方向に偏心した位置に配置された広角対物光学系と、
    前記挿入部内に設けられ、前記広角対物光学系が結像する被写体像を撮像するために、4辺を有する四角形に形成された、前記挿入部先端部中心軸に対して一方向に偏心した位置であって、前記広角対物光学系に対して互いの中心軸が一致した位置に配置された撮像面を有する固体撮像素子と、
    前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の一側辺と前記挿入部の内周面との間の第1空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第1ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第1のライトガイドバンドルと、
    前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の他側辺と前記挿入部の内周面との間の第2空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第2ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第2のライトガイドバンドルと、
    前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の対向辺と前記挿入部の内周面との間の第3空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第3ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第3のライトガイドバンドルと、
    を有することを特徴とする電子内視鏡。
  2. 挿入部を有する電子内視鏡において、
    前記挿入部の先端部において、当該挿入部先端部中心軸に対して一方向に偏心した位置に配置された広角対物光学系のレンズカバーと、
    前記挿入部内に設けられ、前記広角対物光学系が結像する被写体像を撮像するために、4辺を有する四角形に形成された、前記挿入部先端部中心軸に対して一方向に偏心した位置であって、前記広角対物光学系に対して互いの中心軸が一致した位置に配置された撮像面を有する固体撮像素子と、
    前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の一側辺と前記挿入部の内周面との間の第1空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第1ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第1のライトガイドバンドルと、
    前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の他側辺と前記挿入部の内周面との間の第2空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第2ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第2のライトガイドバンドルと、
    前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の対向辺と前記挿入部の内周面との間の第3空間から当該挿入部先端部側に向けて、前記広角対物光学系の中心軸との相対位置関係を保持した状態で延出する第3ライトガイド先端部を有する、断面が略円形に形成された第3のライトガイドバンドルと、
    前記挿入部の先端部に形成された傾斜面であって、当該挿入部先端部中心軸から、前記レンズカバーに対して前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向と当該撮像面の一側方との間の第1方向に向けて切り欠くように傾斜した第1傾斜面に、前記第1のライトガイドバンドルが伝達する照明光を当該第1傾斜面の傾斜に応じた方向に向けて出射可能に配置された第1の照明レンズカバーと、
    前記挿入部の先端部に形成された傾斜面であって、当該挿入部先端部中心軸から、前記レンズカバーに対して前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向と当該撮像面の他側方との間の第2方向に向けて切り欠くように傾斜した第2傾斜面に、前記第2のライトガイドバンドルが伝達する照明光を当該第2傾斜面の傾斜に応じた方向に向けて出射可能に配置された第2の照明レンズカバーと、
    前記挿入部の先端部に形成された、前記レンズカバーに対して前記撮像面が前記挿入部先端部中心軸に対して偏心する前記一方向に対する当該撮像面の対向辺側の面に、前記第3のライトガイドバンドルが伝達する照明光を出射可能に配置された第3の照明レンズカバーと、
    を有することを特徴とする電子内視鏡。
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