JP3875074B2 - 部品吸着方法および表面実装機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部品供給部において供給されるIC等の電子部品をプリント基板上に搬送して実装する表面実装機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、部品吸着用の吸着ヘッドを有する移動可能なヘッドユニットによりIC等の電子部品を部品供給部から吸着し、この部品を所定の作業位置に位置決めされているプリント基板上に搬送して実装するようにした表面実装機(以下、実装機と略す)は一般に知られている。
【0003】
この種の実装機には、例えば部品を供給する多数のフィーダーが並列に配置されており、吸着ヘッドにより各フィーダーから部品が吸着された状態で取出されるように構成されている。この際、ヘッドユニットの移動誤差等に起因して、各フィーダーの部品取出し位置に対して吸着ヘッド(ヘッドユニット)が相対的にずれていると、吸着ずれや吸着不能といった事態を招き、後の実装動作に支障をきたすことになる。
【0004】
そこで、従来では各フィーダー毎にその部品取出し位置近傍にマークを記しておき、このマークをヘッドユニットに搭載したCCDエリアセンサ等からなるカメラにより撮影することによってヘッドユニットと部品取出し位置との相対的なずれを画像認識し、ずれがある場合にはヘッドユニット等の位置補正を行ってから部品を吸着させることにより吸着ずれ等の発生を防止するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の実装機によれば、部品の吸着ずれを効果的に解消して実装精度を高めることができるという利点がある一方で、次のような欠点がある。
【0006】
すなわち、各フィーダーから部品を吸着する度に上記のようなマーク認識および補正の処理が必要となるため一部品の吸着動作に時間がかり、タクトタイム短縮化の妨げになるという欠点がある。従って、この点を解決する必要がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、部品の吸着ずれを解消する一方で、タクトタイムへの影響を軽減して効率良く部品の実装を行うことができる表面実装機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の部品吸着方法は、吸着ヘッドを有した移動可能なヘッドユニットにより部品供給部に配置された複数のフィーダーから電子部品を吸着し、この部品を所定の作業位置にある基板上に実装する際の前記吸着ヘッドによる部品吸着方法であって、前記ヘッドユニットに搭載した撮像手段により、前記各フィーダーの部品取出し位置が一列に並ぶ特定の基準線上であって各フィーダーの配列位置の側方に設けたマークを撮像してその位置を認識するマーク認識処理を行い、このマーク認識処理以降、この処理で求めたマークの位置に基づいて前記吸着ヘッドによる部品吸着位置を補正する一方、複数回の部品吸着動作後となる所定の実行条件が満たされたときに前記マーク認識処理を実行するものである(請求項1)。
【0009】
つまり、通常、各フィーダーは部品供給部に位置決めされた状態で組付けられるのでフィーダー自体の位置ずれは少なく、そのため、上記のようにフィーダーの配設位置近傍に設けたマークの位置を画像認識し、例えばこのマークの画像位置のずれを各フィーダーと吸着ヘッドとのずれと擬制しても差し支えない。従って、マークの画像位置に基づいてヘッドユニットの目標移動位置を補正することで、フィーダー毎にマークを設けている従来構成と遜色ないレベルで全フィーダーの部品吸着位置に対して正確に吸着ヘッドを移動させることが可能となる。また、フィーダーが突然移動したり、ヘッドユニットの移動誤差が短時間で大幅に増大することは希である。従って、上記のように複数の部品吸着後となる所定の実行条件が満たされた場合にのみマーク認識処理を実行することで、該処理に多くの時間を費やすことなく正確に部品の吸着を行うことが可能となる。
【0010】
なお、前記実行条件としては、具体的には、被実装基板一枚毎、設定時間の経過毎又は予め定められた部品数毎などの条件が考えられる(請求項2)。
【0011】
また、ヘッドユニットの機構部分の温度変化を調べ、その変化量が特定の値を超えたときに実行条件が成立したとして前記マーク認識処理を実行するようにしてもよい(請求項3)。
【0012】
このようにすれば、機構部分の熱膨張によるヘッドユニットの移動誤差に起因する吸着ずれの発生を有効に防止することが可能となる。
【0013】
一方、本発明の表面実装機は、吸着ヘッドを有した移動可能なヘッドユニットにより部品供給部に配置された複数のフィーダーから電子部品を吸着し、この部品を所定の作業位置にある基板上に実装する表面実装機において、前記各フィーダーの部品取出し位置が一列に並ぶ特定の基準線上であって各フィーダーの配列位置の側方に設けられるマークと、前記ヘッドユニットに搭載されて前記マークを撮像可能な撮像手段と、所定の実装動作を実行するとともに、この実装動作における部品吸着前に前記撮像手段により前記マークを撮像するマーク撮像動作を実行すべくヘッドユニットの駆動を制御する制御手段と、前記撮像手段により撮像したマークの位置に基づいて吸着ヘッドの部品吸着位置の補正量を演算する演算手段とを備え、前記制御手段は、複数回の部品吸着動作後となる所定の実行条件が満たされたときに前記マーク撮像動作を実行するとともに、上記演算手段により求められた補正量に基づいて前記吸着ヘッドによる部品吸着位置を補正するように構成されているものである(請求項4)。
【0014】
このような表面実装機によれば、請求項1記載の部品吸着方法を自動的に実施することが可能となる。すなわち、実装動作中にヘッドユニットに搭載された撮像手段によりフィーダーの配設位置近傍に設けられたマークが撮像されるとともに、マークの画像位置に基づいて吸着ヘッドによる部品吸着位置の補正量が演算され、この補正量に基づいてヘッドユニットによる部品の吸着動作が制御される。そして、一連の実装動作において所定の実行条件が満たされると上記のマーク撮像動作が実行されて新たな補正量が求められる。
【0015】
この表面実装機においては、前記マーク撮像動作を実行する複数種類の実行条件を記憶する実行条件記憶手段と、この記憶手段に記憶された実行条件から所望の条件を選択的に読み出して設定する設定手段とをさらに備え、前記設定手段により設定された実行条件に基づいてマーク撮像動作を実行するように前記制御手段が構成されているのが好ましい(請求項5)。
【0016】
この構成によれば、被実装基板一枚毎、設定時間の経過毎、あるいは予め定められた部品数毎など、オペレーターのマニュアル操作により、または自動的に実行条件を切り替えることが可能となり、基板の種類等に応じた最適な実装動作が可能となる。
【0017】
また、この表面実装機において、さらにヘッドユニットを駆動する機構部分の温度を検出する温度センサと、起動時の温度を初期値として前記温度センサによる検出温度を記憶する温度記憶手段とを設け、所定タイミングで前記温度センサにより検出された温度と前記温度記憶手段に記憶されている温度とを比較してその差が特定値以上になったときにマーク撮像動作を実行するように制御手段を構成するとともに、このときの検出温度を更新的に記憶するように前記温度記憶手段を構成するのがより好ましい(請求項6)。
【0018】
この構成によれば、機構部分の熱膨張に起因した吸着位置のずれを効果的に補正することが可能となり、より精度良く部品の吸着を行うことができるようになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
図1および図2は本発明に係る実装機の一例を概略的に示している。これらの図において、実装機本体の基台1上には、プリント基板搬送用のコンベア2が配置され、プリント基板Pが上記コンベア2上を搬送されて所定の装着作業位置で停止されるようになっている。
【0021】
上記コンベア2の前後側方(図1では上下両側)にはそれぞれ部品供給部3が配置されている。この部品供給部3には、各種部品を供給するための多数のフィーダーが配設され、図示の例では多数のテープフィーダー4が並列に、かつ夫々位置決めされた状態で固定されている。各テープフィーダー4は、それぞれIC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の電子部品を所定間隔おきに収納、保持したテープがリールから導出されるように構成されるとともに、テープ送り出し端には送り機構が具備され、後記吸着ヘッド13により部品がピックアップされるにつれてテープが間欠的に送り出されるようになっている。
【0022】
図3を用いてテープフィーダー4について若干詳しく説明すると、テープフィーダー4は、その先端(コンベア側の端部)に部品取出し部21を有しており、フィーダー後端部に回転自在に支持されたリールからテープ20を導出しながらこの部品取出し部21に案内するように構成されている。
【0023】
テープ20は、同図に示すようにテープ本体20aとカバーテープ20bとで構成されている。テープ本体20aは、上方に開口した空洞状の部品収納部20cを所定間隔置きに有しており各部品収納部20cに部品が収納されている。一方、カバーテープ20bはビニールテープからなり、上記部品収納部20cが開口する部分を覆う状態でテープ本体20aの上面に接着されている。
【0024】
テープフィーダー4の前記部品取出部21には、テープ保護部材23により上部が覆われた通路22が形成されており、リールから導出されたテープ20がこのテープ保護部材23の下側を通路22に沿って案内されるようになっている。そして、前記送り機構の作動に応じてテープ20が繰り出されつつ、テープ保護部材23に形成された係合部24の位置でカバーテープ20bが剥がされてから前記部品収納部20cが同テープ保護部材23に形成された開放部25の位置まで達すると、部品収納部20cが上方に開放されて部品の取出しが可能となるように構成されている。
【0025】
なお、前記開放部25のうち後記吸着ヘッド13による部品取出し位置(部品吸着位置)はスライド可能なシャッター部材26により開閉されるように構成されており、前記送り機構に連動してこのシャッター部材26がスライドすることにより部品収納部20cからの部品の取出しが可能となるように構成されている(同図は、シャッター部材26が部品取出し位置を開放する位置にスライドした状態を示している)。
【0026】
上記基台1の上方には、図1及び図2に示すように、部品装着用のヘッドユニット5が装備され、このヘッドユニット5はX軸方向(コンベア2の方向)およびY軸方向(水平面上でX軸と直交する方向)に移動することができるようになっている。
【0027】
すなわち、上記基台1上には、ヘッドユニット支持部材6がY軸方向の固定レール7に移動可能に配置され、支持部材6上にヘッドユニット5がX軸方向のガイド部材8に沿って移動可能に支持されている。そして、Y軸サーボモータ9によりボールねじ10を介して支持部材6のY軸方向の移動が行われるとともに、X軸サーボモータ11によりボールねじ12を介してヘッドユニット5のX軸方向の移動が行われるようになっている。
【0028】
上記ヘッドユニット5には部品装着用の複数の吸着ヘッド13が搭載されており、当実施形態では8本の吸着ヘッド13がX軸方向に一列に並べて配設されている。各吸着ヘッド13は、それぞれヘッドユニット5のフレームに対してZ軸方向(上下方向)の移動及びR軸(ノズル中心軸)回りの回転が可能とされ、サーボモータを駆動源とする昇降駆動手段及び回転駆動手段により駆動されるようになっている。また、各吸着ヘッド13の下端にはノズル14が設けられており、部品吸着時には図外の負圧供給手段からノズル14に負圧による吸引力で部品が吸着されるようになっている。
【0029】
ヘッドユニット5には、さらにCCDエリアセンサからなる移動カメラ16(撮像手段)が搭載されている。この移動カメラ16は上記装着作業位置に位置決めされたプリント基板Pの基板マーク(フィデューシャルマーク)を撮像するもので、実装動作時には、その画像位置に基づいてプリント基板Pの位置が認識され、正規の位置からずれている場合には、それに応じて部品装着位置(実装位置)の補正値δ1が求められるようになっている。
【0030】
一方、ヘッドユニット5の可動エリア内であって基台1上の所定位置には、さらにCCDエリアセンサからなる部品認識用の固定カメラ15が設けられている。このカメラ15は吸着ヘッド13に吸着された部品を撮像するもので、実装動作時には、その画像に基づいて部品認識が行われ、つまり正常に部品が吸着されているかどうかが調べられるとともに、正常に吸着されている場合に吸着ヘッド13のノズル中心に対する部品中心のずれが調べられ、それに応じて部品装着位置の補正値δ2が求められるようになっている。
【0031】
また、各部品供給部3には、吸着ヘッド13による部品吸着位置補正用の位置マーク17が設けられている。詳しく説明すると、部品供給部3には複数のテープフィーダー4が各部品吸着位置をX軸と平行な直線L(図3参照)上に一列に揃えた状態で配列されており、この直線L上であって各フィーダー4の配列位置の側方に位置マーク17が設けられている。
【0032】
この位置マーク17は、ヘッドユニット5に搭載された前記移動カメラ16により撮像されるようになっており、この位置マーク17の画像位置に基づいて部品吸着位置のずれが間接的に調べられ、それに応じて部品吸着位置に対する吸着ヘッド13の補正値δ3が求められるようになっている。
【0033】
図4は上記実装機の制御系統をブロック図で示している。
【0034】
上記実装機は、論理演算を実行する周知のCPU、そのCPUを制御する種々のプログラムなどを予め記憶するROMおよび装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM等から構成される制御ユニット30を有している。
【0035】
この制御ユニット30には、Y軸サーボモータ9、X軸サーボモータ11及びヘッドユニット5の各吸着ヘッド13に対する駆動手段(昇降駆動手段、回転駆動手段等)が接続されるとともに、上記カメラ15,16が画像処理装置18を介して接続されている。
【0036】
制御ユニット30は、データリスト記憶手段31、未搭載部品データ記憶手段32、撮像条件データ記憶手段33(実行条件記憶手段)、演算手段34、作業手順記憶手段35及び制御手段36を有している。
【0037】
データリスト記憶手段31は、基板上に搭載すべき部品のデータリストを記憶し、未搭載部品データ記憶手段32は、上記データリストの中から実搭載部品のデータを抽出して記憶するものである。
【0038】
上記演算手段34は、未搭載部品について実装効率を高めるように実装作業における実装順序等の作業手順を決定するとともに、上記カメラ15,16により撮像された画像に基づいて部品装着位置の補正値δ1,δ2および部品吸着位置の補正値δ3等を演算するものであり、作業手順記憶手段35はその作業手順および補正値δ1〜δ3を記憶するものである。
【0039】
上記撮像条件データ記憶手段33は、移動カメラ16により位置マーク17を撮像する複数の撮像条件データ(実行条件)を記憶するもので、図外の操作部(設定手段)を操作することにより選択的に設定され、前記演算手段34はこの撮像条件を加味した上で前記作業手順を決定する。例えば当実施形態では、プリント基板一枚毎、設定時間の経過毎および予め定められた部品数毎の3種類の撮像条件を選択可能となっており、オペレーターによる前記操作部の操作により設定される。
【0040】
上記制御手段36は、作業手順記憶手段35に記憶された作業手順に従って実装作業を実行すべく上記各サーボモータ9,11及びヘッドユニット5の各吸着ヘッド13等に対する駆動手段を制御するとともに、実装動作中に前記の撮像条件が成立したときには移動カメラ16により前記位置マーク17を撮像すべく前記駆動手段を制御する。
【0041】
次に、上記制御ユニット30の演算手段34等により行われる処理を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
このフローチャートがスタートすると、まずステップS1で部品搭載済みのプリント基板Pが搬出されるとともに部品未搭載のプリント基板P(処理対象基板)が搬入され、ステップS2で搭載済みリストが初期化される。
【0043】
次に、ステップS3でヘッドユニット5がプリント基板P上および部品供給部3上に移動して移動カメラ16による基板マーク(フィデューシャルマーク)および位置マーク17の撮影が行われる。そして、所定の画像処理等に基づき各マークの位置が求められ、その位置と理論上のマーク位置とのずれが求められ、このずれから部品装着位置の補正値δ1と部品吸着位置の補正値δ3が求められて記憶される。
【0044】
ステップS4では未搭載データの有無が判別され、未搭載データがある場合には、その全ての未搭載部品のデータが検索されて実装順序等の作業手順が決定、記憶され(ステップS5)、その後ステップS6に移行される。
【0045】
ステップS6では設定された撮像条件データが読み出され、この撮像条件が成立するか否かがステップS7で判断される。ここで、撮像条件が成立しないと判断された場合には直ちにステップS11に移行され、補正値δ3が読み出された後、吸着ヘッド13によるテープフィーダー4からの部品の取出しが行われる。
【0046】
一方、ステップS7で実行条件が成立していると判断された場合には、ステップS8に移行され、ここで部品吸着位置の補正値δ3を再度求めるべく補正データ取得動作が実行される。つまり、ヘッドユニット5が位置マーク17上に移動して移動カメラ16により該マーク17の撮影が行われ、その画像に基づいて部品吸着位置の補正値δ3が再度求められるとともに、この補正値δ3が更新的に記憶される(ステップS8〜S10)。
【0047】
ステップS11では、部品供給部3上にヘッドユニット5が移動し、吸着ヘッド13の昇降動作に伴いテープフィーダー4から部品が吸着された状態で取出される。この際、記憶されている前記補正値δ3が読み出され、これに基づいて吸着ヘッド13による部品の吸着位置が補正されてから部品の吸着が行われる(ステップS12)。
【0048】
吸着ヘッド13による部品の吸着が完了すると、ヘッドユニット5が固定カメラ15上に移動し、各吸着ヘッド13に吸着された部品の認識が行われる(ステップS13,S14)。そして、各部品画像から所定の画像処理等によって部品の中心位置が求められ、ノズル中心に対する位置ずれが調べられるとともに、この位置ずれに基づき部品装着位置の補正値δ2が求められ、さらにこの補正値δ2と先にプリント基板Pのマーク画像認識により求められている補正値δ1とから最終的な部品装着位置の補正値δ(ΔX,ΔY,Δθ)が求められる(ステップS15)。
【0049】
そして、最終的な部品装着位置の補正値δが求められると、この補正値δに基づいてヘッドユニット5の駆動が制御されることにより、各吸着ヘッド13の部位装着位置が補正されてから吸着部品がそれぞれプリント基板P上に実装され(ステップS16)、その後ステップS4にリターンされる。
【0050】
そして、ステップS4〜ステップS16の処理が繰り返し行われることにより、実装すべき全ての部品が実装されると(ステップS4でNO)、本フローチャートが終了する。
【0051】
以上のような当実施形態の実装機では、各部品供給部3に設けた一つの位置マーク17の画像認識に基づいて各テープフィーダー4に対する部品吸着位置を補正するとともに、このような位置マーク17の認識処理を所定の実行条件が成立したときにのみ実行するようにしたので、部品の吸着ずれを従来同様に効果的に解消しながらも、タクトタイムへの影響を軽減することができる。
【0052】
つまり、各テープフィーダー4は部品供給部3に位置決めされた状態で組付けられるのでテープフィーダー4自体の位置ずれは少なく、上記実施形態のようにテープフィーダー近傍に設けた位置マーク17の画像位置のずれを各テープフィーダー4とヘッドユニット5との相対的なずれと擬制しても差し支えがない。そのため、上記のように各部品供給部3に設けた一つの位置マーク17の画像認識に基づいて各テープフィーダー4に対する部品吸着位置を補正しながらも、従来構成、すなわちフィーダー毎に設けたマークを画像認識する構成と遜色ないレベル(精度)で部品吸着位置を補正することができる。
【0053】
また、各テープフィーダー4の位置やヘッドユニット5の移動量が短時間で大きく変動することは殆どなく、従って、部品吸着時に常にマークを認識して部品吸着位置を補正する必要なない。そのため上記実施形態のように所定の実行条件が満たされた場合にのみマーク認識処理を実行して補正値δ3を求めながら、この値を更新するだけで、部品吸着位置の補正を精度良く行うことがとができる。
【0054】
従って、この実施形態の実装機によれば、従来のこの種の実装機と同様に部品の吸着ずれを効果的に解消しながらも、タクトタイムへの影響を軽減して効率良く部品を実装することができるという効果を得ることができる。
【0055】
ところで、以上説明した実装機は本発明にかかる表面実装機の一の実施の形態であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0056】
例えば、この実施形態では、撮像条件データとしてプリント基板一枚毎、設定時間の経過毎、あるいは予め定められた部品数毎の合計3種類の条件から撮像条件を選定できるようにしているが、勿論、これ以外の撮像条件を設定できるように構成してもよい。例えば、特定種類の部品毎、特定位置のテープフィーダー毎等の撮像条件データを設定可能にしてもよい。
【0057】
また、この実施形態では、例えばオペレーターが操作部をマニュアル操作することにより撮像条件を選定するように構成されているが、例えば、搭載部品リスト等に応じて最適な撮像条件が自動的に選定されるように構成してもよい。
【0058】
また、ヘッドユニット5を駆動する機構部分、例えば支持部材6の温度を検出する温度センサを設け、その検出温度に基づいてマーク認識処理を実行するように構成してもよい。例えば、温度センサによる検出温度を記憶可能な温度記憶手段を制御ユニット30に設け、実装機の起動時点の温度を温度記憶手段に記憶しておくとともに、一定のタイミングで前記温度センサにより検出される温度(実温度)と温度記憶手段に記憶されている温度とを比較し、その差が一定値以上になったときにマーク撮像処理を実行するとともに、その時の検出温度(実温度)を温度記憶手段に更新的に記憶するように構成してもよい。すなわち、ヘッドユニット5の機構部分の温度変化が一定値以上の場合には、機構部分の熱膨張等によりヘッドユニット5に移動誤差が生じる可能性が高い。従って、そのような温度変化が生じた場合にマーク撮像処理を実行して補正値δ3を更新するようにすれば、機構部分の熱膨張等に起因した吸着ずれの発生を未然に防止することが可能になる。なお、この場合、温度検出位置は支持部材6に限らずそれ以外の場所であってもよいが、ヘッドユニット5の移動誤差に影響を与える部分の温度を直接的に検出できるのが好ましい。
【0059】
また、当実施形態では、部品供給部3に配列されたテープフィーダー4の側方部にマーク17を設けているが、マーク17の配置はテープフィーダー4の近傍であれば何処でもよい。例えば、並設されるテープフィーダー4の間に設けても構わない。
【0060】
さらに、当実施形態では、マーク17の認識にCCDエリアセンサからなるカメラ16を使用しているが、勿論CCDリニアセンサからなるカメラを用いるようにしてもよい。
【0061】
なお、吸着ヘッド13による部品吸着位置を補正する方法として、各テープフィーダー4からの部品取出し毎に、前記テープ20の部品収納部20cを移動カメラ16で撮像し、位置マーク17の場所を基準として吸着ヘッド13と部品収納部20c(その中心)とのずれを算出するとともに、その補正値δ4を求め、これを前記補正値δ3に加えて部品吸着位置を補正するようにしてもよい。
【0062】
この場合の制御ユニット30の演算手段34等により行われる処理は、例えば図5のフローチャートの一部を変更した(具体的には、図5のステップS7,S11を以下のステップS7′,S11′に置換する。また、以下のステップS8′〜ステップS10′を追加する。)次のような処理となる。
【0063】
すなわち、図5のステップS7においてテープフィーダー4の撮像条件を同時に判断し(ステップS7′とする)、テープフィーダー4の撮像条件のみが成立する場合は、該当するテープフィーダー4の部品吸着位置にヘッドを移動し(ステップS8′)、部品収納部20cを移動カメラ16で撮像する(ステップS9′)。画像データから部品収納部20cの凹部口元輪郭を求め、輪郭から図形重心を求めてこれをデープフィーダー4上の部品吸着位置として、この位置とメモリ中の部品吸着位置(プログラム上の吸着ヘッド13の目標位置)との差から部品吸着位置の補正値δ4を演算してメモリに記憶する(ステップS10′)。その後、ステップS11′に移行する。そして、ステップS11′ではメモリ中の補正値δ3および補正値δ4を読み出し、これら補正値δ3,δ4を加えたものを最終的な吸着位置補正値とする。
【0064】
なお、ステップS7′でテープフィーダー4の撮像条件及び位置マーク17の撮像条件の双方が成立しない場合にはステップS11′に移行し、また、位置マーク17の撮像条件のみ成立する場合はステップS8に移行する。なお、両方の撮像条件が成立する場合は、ステップS8〜ステップS10を実施した後、上述したステップS8′〜ステップS10′の処理を実施して、それからステップS11′に移行する。上記以外の処理は図5のフローチャートと同じである。
【0065】
ここで、テープフィーダー4の撮像条件としては、例えば、テープフィーダー4の交換直後、そのテープフィーダー4から最初に部品が吸着される前、あるいはそのテープフィーダー4から所定回数部品が吸着されたとき等が考えられる。
【0066】
また、部品供給部3の近傍に温度センサを設けるとともに、この温度センサによる検出温度を記憶可能な温度記憶手段を制御ユニット30に設けておき、このセンサの検出温度と記憶温度との温度差が所定値以上となった場合(記憶温度の初期値は起動時の検出温度とし、以後前記温度差が所定値以上となる場合毎に、検出温度に書き換えられる)に撮像条件が成立するものとしてもよい。つまり、温度差によるテープの伸び縮みが大きい場合には、送り機構に噛み合うテープの送り孔と部品供給部3との間の距離に誤差が生じる場合があるので、上記のような構成によればこのような現象に起因する部品吸着位置のずれを解消してより正確に部品吸着を行うことができるようになる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、フィーダー自体の位置ずれが少ないこと、また、フィーダーの位置やヘッドユニットの移動量が短時間で大きく変動することは殆どないことに鑑み、ヘッドユニットに搭載した撮像手段によりフィーダー近傍に設けたマークを撮像してその位置を認識するマーク認識処理を行い、このマーク認識処理以降、この処理で求めたマークの位置に基づいて吸着ヘッドによる部品吸着位置を補正する一方、複数回の部品吸着動作後となる所定の実行条件が満たされたときに前記マーク認識処理を実行するようにしたので、従来のこの種の実装機と同様に部品の吸着ずれを良好に解消しながらも、タクトタイムへの影響を軽減して効率良く部品を実装できるようになる。
【0068】
特に、ヘッドユニットの機構部分の温度変化を調べ、その変化量が特定の値を超えたときにマーク認識処理を実行するようにすれば、前記機構部分の熱膨張によるヘッドユニットの移動誤差に起因する吸着ずれの発生を未然に防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される表面実装機の全体構造の一例を示す平面図である。
【図2】上記表面実装機のヘッドユニットが支持されている部分の正面図である。
【図3】テープフィーダーの部品取り出し位置近傍を示す斜視概略図である。
【図4】表面実装機の制御系統を示すブロック図である。
【図5】制御ユニットの演算手段等により行われる処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 コンベア
3 部品供給部
4 テープフィーダー
5 ヘッドユニット
9 X軸サーボモータ
11 Y軸サーボモータ
16 移動カメラ
30 制御ユニット
31 データリスト記憶部
32 未搭載データ記憶手段
33 撮像条件データ記憶手段(実行条件記憶手段)
34 演算手段
35 作業手順記憶手段
36 制御手段
P プリント基板
Claims (6)
- 吸着ヘッドを有した移動可能なヘッドユニットにより部品供給部に配置された複数のフィーダーから電子部品を吸着し、この部品を所定の作業位置にある基板上に実装する際の前記吸着ヘッドによる部品吸着方法であって、
前記ヘッドユニットに搭載した撮像手段により、前記各フィーダーの部品取出し位置が一列に並ぶ特定の基準線上であって各フィーダーの配列位置の側方に設けたマークを撮像してその位置を認識するマーク認識処理を行い、このマーク認識処理以降、この処理で求めたマークの位置に基づいて前記吸着ヘッドによる部品吸着位置を補正する一方、複数回の部品吸着動作後となる所定の実行条件が満たされたときに前記マーク認識処理を実行するようにしたことを特徴とする部品吸着方法。 - 請求項1記載の部品吸着方法において、
前記実行条件は、被実装基板一枚毎、設定時間の経過毎又は予め定められた部品数毎のいずれかであることを特徴とする部品吸着方法。 - 請求項1記載の部品吸着方法において、
前記ヘッドユニットの機構部分の温度変化を調べるとともに、その変化量が特定の値を超えたときに前記マーク認識処理を実行することを特徴とする部品吸着方法。 - 吸着ヘッドを有した移動可能なヘッドユニットにより部品供給部に配置された複数のフィーダーから電子部品を吸着し、この部品を所定の作業位置にある基板上に実装する表面実装機において、
前記各フィーダーの部品取出し位置が一列に並ぶ特定の基準線上であって各フィーダーの配列位置の側方に設けられるマークと、前記ヘッドユニットに搭載されて前記マークを撮像可能な撮像手段と、所定の実装動作を実行するとともに、この実装動作における部品吸着前に前記撮像手段により前記マークを撮像するマーク撮像動作を実行すべくヘッドユニットの駆動を制御する制御手段と、前記撮像手段により撮像したマークの画像位置に基づいて吸着ヘッドの部品吸着位置の補正量を演算する演算手段とを備え、前記制御手段は、複数回の部品吸着動作後となる所定の実行条件が満たされたときに前記マーク撮像動作を実行するとともに、上記演算手段により求められる補正量に基づいて前記吸着ヘッドによる部品吸着位置を補正するように構成されていることを特徴とする表面実装機。 - 請求項4記載の表面実装機において、
前記マーク撮像動作を実行する複数種類の実行条件を記憶する実行条件記憶手段と、この実行条件記憶手段に記憶された実行条件から所望の条件を読み出して設定する設定手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記設定手段により設定された実行条件に基づいてマーク撮像動作を実行することを特徴とする表面実装機。 - 請求項4記載の表面実装機において、
前記ヘッドユニットを駆動する機構部分の温度を検出する温度センサと、起動時の温度を初期値として前記温度センサによる検出温度を記憶する温度記憶手段とを有し、前記制御手段は、所定タイミングで前記温度センサにより検出される温度と前記温度記憶手段に記憶されている温度との差が特定値以上となったときにマーク撮像動作を実行し、前記温度記憶手段はこのときの検出温度を更新的に記憶することを特徴とする表面実装機。
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