JP3874889B2 - 油圧打撃装置の緩衝機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ロッドやチゼル等の工具に打撃を与えて岩盤等の破砕を行う、さく岩機やブレーカ等の油圧打撃装置の緩衝機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、さく岩機は、図2に示すように、さく岩機本体1の前端部にシャンクロッド2が挿着されており、このシャンクロッド2には、さく孔用のビット21を取付けたロッド22がスリーブ23で連結されている。さく岩機の打撃機構3の打撃ピストン31がシャンクロッド2を打撃すると、その打撃エネルギーはシャンクロッド2からロッド22を経てビット21に伝達され、ビット21が破砕対象である岩盤Rを打撃して破砕する。
【0003】
このときの反射エネルギーEr は、ビット21からロッド22、シャンクロッド2を経てさく岩機本体1に伝達されるので、この反射エネルギーEr によってさく岩機本体1は一旦後退する。それから、さく岩機本体1が送り装置(図示略)の推力により1打撃による破砕長分だけもとの位置よりさらに前進したところで、打撃機構3が次の打撃を行う。この行程を繰り返すことによりさく孔作業が行われる。
【0004】
従来のさく岩機本体1には、図7に示すように、チャック11を介してシャンクロッド2に回転を与えるチャックドライバ12を備えており、このチャックドライバ12にはシャンクロッド2の大径部後端2b に当接するチャックドライバブッシュ13が装着されている。このチャックドライバブッシュ13は、さく岩機本体1に前方への推力が与えられると、この推力をシャンクロッド2に伝達するものであり、打撃時のビット21からの反射エネルギーEr もシャンクロッド2からこのチャックドライバブッシュ13を介してさく岩機本体1へ伝達される。
【0005】
この反射エネルギーEr をチャックドライバブッシュ13で直接さく岩機本体1に伝達するとその衝撃でさく岩機の損傷を生ずるおそれがあるので、図8に示すように、この反射エネルギーEr を油圧で緩衝させるために、緩衝機構としてチャックドライバブッシュ13の後側にダンピングピストン50を設けたものも用いられている。
【0006】
上記の如く、さく岩機本体1は打撃後一旦後退し、推力により1打撃による破砕長分だけもとの位置よりさらに前進したところで、次の打撃を行なわねばならない。従って、一旦後退した後、次の打撃が行われるまでには、速やかに所要距離だけ前進させる必要がある。
【0007】
この前進が十分でない場合、シャンクロッド2の位置が一定せず、ビット21は岩盤Rに接していないので、打撃ピストン31の打撃エネルギーは岩盤Rに伝達されず、破砕作業は行われない。このときの打撃エネルギーは、ほとんどが反射エネルギーEr となってさく岩機本体1へ戻り、ロッド22、ビット21、スリーブ23等の工具の損耗の増加をまねくばかりでなく、強力なさく岩機本体1への後退力となり、さらに次の打撃への前進の遅れをきたすことになる。
【0008】
さく岩機本体1が受ける反射エネルギーEr の強さは、1打撃毎に異なるものであり、これに伴うさく岩機本体1の後退量もまちまちであって、岩盤Rの岩質によって大きく変動する。また、打撃ピストン31の前進加速に伴うさく岩機本体1への反力も後退力に加わる。
【0009】
この反射エネルギーEr と後退量の変動による前進の遅れには、ダンピングピストン50による反射エネルギーEr の緩衝だけでは対処できない。
そこで、反射エネルギーEr を油圧で緩衝すると共に、さく岩機本体1の推力が不足して、一旦後退した後次の打撃時までにさく岩機本体1の所要位置までの前進が得られない場合でも、ビット21を岩盤に接するよう前進させて打撃することができるようにするために、図9に示すように、チャックドライバブッシュ13の直接後方に、さく岩機本体1の推力より推力が小さいフロントダンピングピストン4を、フロントダンピングピストン4の後方には、さく岩機本体1の推力より推力が大きいリヤダンピングピストン5を、相互の前後摺動するように配設し、フロントダンピングピストン油室42とリヤダンピングピストン油室52とを油路51で連通させ、アッキュムレータ6と接続した緩衝機構が提案されている。
この緩衝機構では、シャンクロッド2からチャックドライバブッシュ13に伝達される反射エネルギーEr は、フロントダンピングピストン4とリヤダンピングピストン5の後退により緩衝される。
【0010】
リヤダンピングピストン5の推力は、さく岩機本体1の推力より大きいので、一旦後退したフロントダンピングピストン4とリヤダンピングピストン5は、速やかにリヤダンピングピストン5の所定の前端位置まで前進する。フロントダンピングピストン4の推力はさく岩機本体1の推力より小さいが、チャックドライバブッシュ13とシャンクロッド2、ロッド22、ビット21は、質量がさく岩機本体1よりはるかに小さいので、その後、フロントダンピングピストン4によりチャックドライバブッシュ13とシャンクロッド2、ロッド22、ビット21をさらに前進させる。
【0011】
これに続いて、さく岩機本体1が、その推力により前進する。ビット21が岩盤Rに接した後は、さく岩機本体1の推力がフロントダンピングピストン4の推力より大きいので、フロントダンピングピストン4にリヤダンピングピストン5に当接するまでさく岩機本体1が前進し、通常は、そこで打撃機構3が次の打撃を行う。この行程を繰り返すことによりさく孔作業が行われる。
【0012】
さく岩機本体1の推力が不足し、一旦後退した後次の打撃時までにさく岩機本体1が所要の位置まで前進ができない場合にも、フロントダンピングピストン4は、リヤダンピングピストン5の停止後、リヤダンピングピストン5から離れ、チャックドライバブッシュ13、シャンクロッド2を押して、ビット21が岩盤Rに接するまで、さく岩機本体1が前進するより速やかに前進しているので、ビット21が岩盤Rに接した状態で次の打撃を行うことができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フロントダンピングピストン4とリヤダンピングピストン5とを設けた緩衝機構の緩衝行程では、フロントダンピングピストン4が前進していれば、フロントダンピングピストン4がまず後退してリヤダンピングピストン5に衝突し、それからリヤダンピングピストン5が後退するので、衝突時にフロントダンピングピストン油室42とリヤダンピングピストン油室52の油圧が大きく変動して滑らかな緩衝が行なわれ難かった。
【0014】
本発明は、油圧打撃装置の緩衝機構における上記の問題を解決するものであって、油圧打撃装置の推力が不足して、一旦後退した後次の打撃時までに装置本体の所要位置までの前進が得られない場合でも、工具を岩盤に接するよう前進させることを可能とし、打撃効率を向上させることができるよう、フロントダンピングピストンとリヤダンピングピストンとを設けた緩衝機構であって、緩衝行程において工具からの反射エネルギーを滑らかに緩衝して緩衝効果を向上させることのできる油圧打撃装置の緩衝機構を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明では、工具を打撃する打撃機構と、工具に破砕対象側への推力を伝達する伝達部材とを備えた油圧打撃装置において、伝達部材の後方に、装置本体の推力より推力が小さいフロントダンピングピストンと、装置本体の推力より推力が大きいリヤダンピングピストンとを、フロントダンピングピストンが伝達部材の直接後方、リヤダンピングピストンがフロントダンピングピストンの後方に位置して相互に前後摺動するように配設し、フロントダンピングピストン油室とリヤダンピングピストン油室との間に、フロントダンピングピストンが後退するときフロントダンピングピストンがリヤダンピングピストンに衝突する前に遮断される油路と、両油室間を常時連通する小油孔とを設けており、小油孔は、フロントダンピングピストンと共にリヤダンピングピストンが後退を開始した後に、フロントダンピングピストン油室からリヤダンピングピストン油室へ圧油を流出させて両油室の油圧を等しくするようになっている油圧打撃装置の緩衝機構を構成することにより上記課題を解決している。
【0016】
油圧打撃装置では、打撃機構が工具に打撃を与えると、その打撃エネルギーで工具が破砕対象を打撃して破砕する。
このときの反射エネルギーは、工具から伝達部材を経て油圧打撃装置に伝達されるので、この反射エネルギーによって油圧打撃装置は一旦後退し、推力により前進した後に、打撃機構が次の打撃を行う。
【0017】
ここで、工具から伝達部材に伝達される反射エネルギーは、フロントダンピングピストンとリヤダンピングピストンの後退により緩衝される。この緩衝行程では、フロントダンピングピストンが前進していれば、フロントダンピングピストンがまず後退し、リヤダンピングピストンに衝突する前に、フロントダンピングピストン油室とリヤダンピングピストン油室との間の油路を遮断する。油路が遮断されるとフロントダンピングピストン油室の油圧が上昇するので、リヤダンピングピストンはフロントダンピングピストンの衝突前に後退を開始する。従って、衝突によるフロントダンピングピストン油室とリヤダンピングピストン油室の油圧の大きな変動を生ずることがなく滑らかな緩衝が行なわれる。フロントダンピングピストン油室とリヤダンピングピストン油室とは小油孔で常時連通しているのでやがて両油室の油圧は等しくなる。
【0018】
このように滑らかな緩衝が行なわれて緩衝効果が向上するので、油圧打撃装置の装置本体及び工具の損傷が少なくなる。
緩衝行程が終わると前進行程に移る。
【0019】
前進行程では、リヤダンピングピストンの推力が、油圧打撃装置の装置本体の推力より大きいので、フロントダンピングピストンとリヤダンピングピストンは、速やかにリヤダンピングピストンの所定の前端位置まで前進する。フロントダンピングピストンの推力は装置本体の推力より小さいが、伝達部材と工具は、質量が油圧打撃装置の装置本体よりはるかに小さいので、その後、フロントダンピングピストンにより伝達部材と工具のみをさらに前進させることができる。従って、油圧打撃装置の推力が不足し、一旦後退した後次の打撃時までに装置本体が所定の位置まで前進ができない場合にも、工具は岩盤に接した状態となって次の打撃を行うことができるので、打撃効率を向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態を示すさく岩機の緩衝機構の縦断面図、図2はさく岩機の基本的構成の説明図、図3乃至図5は緩衝機構の作動の説明図、図6はピストンの打撃位置とピストン速度との関係の説明図である。
【0021】
ここで、さく岩機の基本的な構成は、従来のさく岩機と同様であり、図2に示すように、さく岩機本体1の前端部にシャンクロッド2が挿着されており、その後方にシャンクロッド2に打撃を与える打撃機構3が設けられている。シャンクロッド2には、さく孔用のビット21を取付けたロッド22がスリーブ23で連結されている。
【0022】
図1に示すように、さく岩機本体1には、チャック11を介してシャンクロッド2に回転を与えるチャックドライバ12を備えており、このチャックドライバ12にはシャンクロッド2の大径部後端2b に当接するチャックドライバブッシュ13が装着されている。このチャックドライバブッシュ13の後側には、フロントダンピングピストン4とリヤダンピングピストン5とが配設され緩衝機構を構成している。
【0023】
リヤダンピングピストン5は、円筒状のピストンでその外側と内側とを連通させる油路51と小油孔53とを備えており、さく岩機本体1に設けられている中央段部14と後方段部15との間で前後に摺動可能に装着され、さく岩機本体1との間に形成されるリヤダンピングピストン油室52の油圧で前方への推力が与えられる。
【0024】
フロントダンピングピストン4は、前端部外径を大径、その後方を小径とする円筒状のピストンであり、小径の部分がリヤダンピングピストン5の内側に前後摺動可能に装着され、大径の部分により、さく岩機本体1に設けられている前方段部16とリヤダンピングピストン5の前端面5f との間で前後の移動範囲を規制されている。フロントダンピングピストン4の外周とリヤダンピングピストン5の内周との間には、フロントダンピングピストン油室42が形成されており、その油圧でフロントダンピングピストン4に前方への推力が与えられる。
【0025】
フロントダンピングピストン油室42とリヤダンピングピストン油室52とは小油孔53で常時連通しており、リヤダンピングピストン油室52は緩衝用のアッキュムレータ6に連通している。油路51は、フロントダンピングピストン4がリヤダンピングピストン5に対して前進した位置では図4に示すようにフロントダンピングピストン油室42とリヤダンピングピストン油室52とを連通し、フロントダンピングピストン4が後退するとき、フロントダンピングピストン4がリヤダンピングピストン5に衝突する前に遮断されるよう、小油孔53より前方に配置されている。
【0026】
フロントダンピングピストン4の外径は、図3に示すように、フロントダンピングピストン油室42の前方がD1 後方がD2 であり、フロントダンピングピストン油室42の油圧をPとすると、フロントダンピングピストン油室42により与えられる推力F4 は:
4 =π(D1 2 −D2 2 )P
リヤダンピングピストン5の外径は、リヤダンピングピストン油室52の前方がD3 後方がD4 であり、リヤダンピングピストン油室52の油圧は、通常フロントダンピングピストン油室42の油圧Pと等しいので、リヤダンピングピストン油室52により与えられる推力F5 は:
5 =π(D3 2 −D4 2 )P
である。
【0027】
そして、さく岩機本体1に与えられるを推力をF1 とすると:
4 <F1 <F5
となるように設定されている。
【0028】
通常、さく岩機本体1の推力F1 は1t程度、高打撃力仕様の場合には1t以上であり:
4 :F1 :F5 =1:2:3
程度に設定される。
【0029】
さく孔作業の際には、打撃機構3の打撃ピストン31がシャンクロッド2を打撃すると、その打撃エネルギーはシャンクロッド2からロッド22を経てビット21に伝達され、ビット21が破砕対象である岩盤Rを打撃して破砕する。
【0030】
このとき、の反射エネルギーEr は、ビット21からロッド22、シャンクロッド2、チャックドライバブッシュ13を経てフロントダンピングピストン4に伝達される。フロントダンピングピストン4は、図4のように前進した位置にあれば、フロントダンピングピストン油室42の油圧により緩衝されながら後退する。フロントダンピングピストン4が後退すると、油路51は、図5に示すように開口面積が絞られてゆき、フロントダンピングピストン4がリヤダンピングピストン5に衝突する前に遮断される。よって、フロントダンピングピストン油室42からリヤダンピングピストン油室52への圧油の流出が制限されてフロントダンピングピストン油室42の油圧がリヤダンピングピストン油室52の油圧より高くなる。
【0031】
そこで、前端面5f がさく岩機本体1の中央段部14と当接する基準位置にあったリヤダンピングピストン5は、フロントダンピングピストン4がリヤダンピングピストン5に衝突する前に後退を始め、リヤダンピングピストン油室52の油圧により緩衝されながらフロントダンピングピストン4と共にリヤダンピングピストン5が後方段部15に当接するまで後退し、反射エネルギーEr がさく岩機本体1に伝達される。
【0032】
フロントダンピングピストン油室42とリヤダンピングピストン油室52とは小油孔53で常時連通しているのでやがて両油室42、52の油圧は等しくなり、緩衝行程が終わる。
【0033】
このように、フロントダンピングピストン4とリヤダンピングピストン5との衝突によるフロントダンピングピストン油室42とリヤダンピングピストン油室52の油圧の大きな変動を生ずることなく滑らかな緩衝が行なわれるので、緩衝効果が向上しさく岩機本体1及びビット21からロッド22、シャンクロッド2の損傷が少なくなる。
【0034】
さく岩機本体1に伝達された反射エネルギーEr によってさく岩機本体1は一旦後退する。リヤダンピングピストン油室52により与えられる推力F5 は、さく岩機本体1に与えられる推力F1 より大きいので、まず、リヤダンピングピストン5はフロントダンピングピストン4とチャックドライバブッシュ13、シャンクロッド2を押し戻して、前端面5f がさく岩機本体1の中央段部14と当接する基準位置まで前進して停止する。
【0035】
静止している質量Mの物体が、外力Fを受け、距離Sを移動する時間Tは、加速度をaとすると、運動の方程式より:
F=aM
S=aT2 /2
∴ T=(2MS/F)1/2
である。
【0036】
一般に、さく岩機本体1の質量M1 は、フロントダンピングピストン4とチャックドライバブッシュ13、シャンクロッド2、スリーブ23、ロッド22、及びビット21との合計の質量M2 の10倍〜30倍であるのに対し、さく岩機本体1の推力F1 は、前述の通りフロントダンピングピストン4の推力F4 の2倍程度しかない。
【0037】
さく岩機本体1が距離Sを移動するのに要する時間T1 と、フロントダンピングピストン4がチャックドライバブッシュ13、シャンクロッド2、スリーブ23、ロッド22、及びビット21を押しながら距離Sを移動するのに要する時間T2 との比は:
1 =20M2
1 =2F4
とすれば、
1 /T2 =(10)1/2 ≒3.16
となる。
【0038】
よって、フロントダンピングピストン4は、リヤダンピングピストン5の停止後、リヤダンピングピストン5から離れ、チャックドライバブッシュ13、シャンクロッド2を押して、ビット21が岩盤Rに接するまで、さく岩機本体1が前進するより速やかに前進する。
【0039】
これに続いて、さく岩機本体1が、その推力F1 により、1打撃による破砕長分だけ前進する。ビット21が岩盤Rに接した後は、さく岩機本体1の推力F1 がフロントダンピングピストン4の推力F4 より大きいので、フロントダンピングピストン4は、リヤダンピングピストン5に当接するまで押し戻される。
【0040】
そこで、打撃機構3が次の打撃を行う。この行程を繰り返すことによりさく孔作業が行われる。
もし、反射エネルギーEr が異常に大きくなり、さく岩機本体1の前進が遅れるような場合でも、ビット21はフロントダンピングピストン4の前進で既に岩盤Rに接しているので、打撃エネルギーは確実に破砕に消費され、打撃効率が向上する。
【0041】
打撃エネルギーが破砕に消費されると異常な反射エネルギーEr は発生しないので、さく岩機本体1の後退は小さくなり、以後の正常な前進が確保できる。
打撃装置において強力な打撃エネルギーを得るためには、ピストンの前進加速を大きくし、衝突スピードを速くしなければならない。このピストンの前進加速に伴う反力は、さく岩機本体1が受けるものであり、この反力は、打撃タイミングの前に発生するので、さく岩機本体1に与えられる推力より小さいことが望ましい。もし、この反力がさく岩機本体1の推力より大きい場合、反力の発生してる間さく岩機本体1は後退側への加速力を受けることになり、ビット21が岩盤Rに接する位置まで既に前進していても、さく岩機本体1は打撃前にわずかに後退を生ずることになる。この場合にも、フロントダンピングピストン4の前進で、ビット21を岩盤Rに接する位置に保持することができる。
【0042】
なお、ビット21先端部が、大きい打撃力を必要としない粘土層や空洞等に遭遇して、フロントダンピングピストン4の推力F4 でもビット21、ロッド22が前進するような場合には、フロントダンピングピストン4がシャンクロッド2を図1の基準位置より前方へ押し出した打撃位置で、打撃ピストン31がシャンクロッド2を打撃する。
【0043】
この打撃位置では、図6に示すように、打撃ピストン31が減速域となっていて、打撃力の小さい軽打撃となるので、粘土層等の軟弱な個所に適当な打撃力でさく孔することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の油圧打撃装置の緩衝機構では、工具からの反射エネルギーを滑らかに緩衝して油圧打撃装置に伝達させることにより緩衝効果を向上させ損傷を少なくすると共に、油圧打撃装置の推力が不足して、一旦後退した後次の打撃時までに装置本体が所定位置まで前進できない場合でも、工具を岩盤に接するよう前進させて打撃することができ、打撃効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態を示すさく岩機の緩衝機構の縦断面図である。
【図2】さく岩機の基本的構成の説明図である。
【図3】緩衝機構の作動の説明図である。
【図4】緩衝機構の作動の説明図である。
【図5】緩衝機構の作動の説明図である。
【図6】ピストンの打撃位置とピストン速度との関係の説明図である。
【図7】従来のさく岩機の内部構造の説明図である。
【図8】従来のさく岩機の緩衝機構の説明図である。
【図9】従来のさく岩機の緩衝機構の説明図である。
【符号の説明】
1 さく岩機本体
2 シャンクロッド
3 打撃機構
4 フロントダンピングピストン
5 リヤダンピングピストン
6 アッキュムレータ
11 チャック
12 チャックドライバ
13 チャックドライバブッシュ
14 中央段部
15 後方段部
16 前方段部
21 ビット
22 ロッド
23 スリーブ
31 打撃ピストン
42 フロントダンピングピストン油室
51 油路
52 リヤダンピングピストン油室
53 小油孔
r 反射エネルギー
R 岩盤

Claims (1)

  1. 工具を打撃する打撃機構と、工具に破砕対象側への推力を伝達する伝達部材とを備えた油圧打撃装置において、伝達部材の後方に、装置本体の推力より推力が小さいフロントダンピングピストンと、装置本体の推力より推力が大きいリヤダンピングピストンとを、フロントダンピングピストンが伝達部材の直接後方、リヤダンピングピストンがフロントダンピングピストンの後方に位置して相互に前後摺動するように配設し、フロントダンピングピストン油室とリヤダンピングピストン油室との間に、フロントダンピングピストンが後退するときフロントダンピングピストンがリヤダンピングピストンに衝突する前に遮断される油路と、両油室間を常時連通する小油孔とを設けており、
    小油孔は、フロントダンピングピストンと共にリヤダンピングピストンが後退を開始した後に、フロントダンピングピストン油室からリヤダンピングピストン油室へ圧油を流出させて両油室の油圧を等しくするようになっていることを特徴とする油圧打撃装置の緩衝機構。
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