JP3874823B2 - 仕込取出室 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の基板を一枚ずつ真空処理する枚葉式真空処理装置に設けられて基板を真空処理室内の真空圧を維持した状態で大気圧の外部との間で出し入れする仕込取出室に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、枚葉式真空処理装置では、基板に薄膜を形成したり、あるいは基板上の薄膜を微細加工する真空処理室に、基板を搬送する搬送ロボットを備えた搬送室を介して、基板を収容する仕込取出室を連設するのが通常である。
【0003】
図5に示すように、従来の仕込取出室aは、真空槽bと天板cから成る室壁で囲まれた気密の室内dを有し、該真空槽bの底部の中央に設けた真空排気口eに外部の真空ポンプ(図示せず)へ連なる真空排気管fが接続される。また、該天板cの中央には、外方へ膨らんだ凸状のカバーgに囲まれたガス導入口hが設けられ、該カバーgを貫通して先端が3本に分岐したガス導入管iが設けられる。該ガス導入管iの分岐先端にはフィルターjが取り付けられる。
【0004】
更に、該室内dには、外部の駆動源(図示せず)により昇降自在な支柱kが真空槽bの底部を介して挿入され、この支柱kの上端に基板テーブルlが室壁と間隔mを存して昇降自在に取り付けられる。該基板テーブルlは、図6に示したように、上段テーブルnと下段テーブルoの例えば2段として各段に基板pを載せるように構成される。各テーブルn、oの表面には、2本の凹溝q、rが形成され、これに基板pを搬送する搬送ロボットの基板把持部が進入して各テーブル上からの基板pの積み下ろしが可能になる。
【0005】
基板pは、真空槽bの一側と他側に設けた搬出入口s、tから室内dに出し入れされ、一方の搬出入口sは仕切弁uを介して外部へつながり、他方の搬出入口tは仕切弁uを介して搬送ロボットを備えた搬送室xへつながる。該搬送室には図示してない真空処理室が接続して設けられる。 vはべローズ、wは該べローズ内へダストが落下するのを防止するスリーブである。
【0006】
該仕切取出室a内へ未処理の基板pを搬入する場合、両仕切弁uを閉じた室内dへガス導入管iからガスを大気圧になるまで導入し、一方の搬出入口sの仕切弁uを開いて未処理の基板pを基板テーブルl上に載せ、該搬出入口sの仕切弁uを閉じ、真空排気管fから室内dを排気する。そして適当な真空圧になったとき、他方の搬出入口tの仕切弁uを開いて搬送室xから該室内dへ延び込む搬送ロボットにより該基板テーブルl上の基板pを取り上げ、これを真空処理室へと搬送し、そこで成膜等の処理を終えた該基板pを再び搬送ロボットが基板テーブルl上へ運ぶ。該処理の終えた基板pを該仕込取出室aから外部へ搬出する場合、両仕切弁uを閉じた状態でガス導入管iからガスを大気圧まで導入し、搬出入口sの仕切弁uを開いて基板テーブルl上の基板pを外部へ搬出する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の仕込取出室は、基板pを外部へ搬出する際に大気が浸入するため、これに混入しているダストもその室内dに浸入して堆積し、該室内dを大気圧にするためガスを導入するときに、その気流により該室内dでダストが舞上げられ、それが基板pに付着するという不都合が生じた。基板pに付着したダストのために、真空処理室での処理に欠陥が生じ、例えば基板に形成された薄膜にピンホールを生じて不良品発生の原因となって好ましくない。
【0008】
本発明は、基板にダストが付着することの少ない仕込取出室を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、基板の搬出入口とガス導入口及び真空排気口を備えた真空圧と大気圧とに圧力が変化する仕込取出室内に昇降自在の基板テーブルを設け、該仕込取出室の室壁と該基板テーブルの周縁との間に間隔を設けた仕込取出室に於いて、該仕込取出室の上方にガス吹き出し室を区画形成するガス吹き出し板を設け、該ガス吹き出し板の、上記基板テーブルの面と対向せず且つ上記間隔に対向した箇所に、通過するガスを整流する多数のガス吹き出し小孔を形成し、上記ガス導入口を上記ガス吹き出し室に開口させてガスを該吹き出し小孔から上記間隔へ吹き出させることにより、上記の目的を達成するようにした。該ガス吹き出し板を、ほぼ平坦な板で構成し、その板面を上昇した基板テーブルの表面に接近させて設けることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に於いて、符号1は枚葉式真空処理装置に設けた仕込取出室を示す。該仕込取出室1は真空槽2と天板3とで囲まれた気密の室内4を有し、該真空槽2の底部の中央には、図示してない真空ポンプに連なる真空排気管6が接続された真空排気口5が設けられ、該天板3の中央には、凸状のカバー7に囲まれてガス導入口8が設けられる。該ガス導入口8には、該カバー7を貫通して先端が3本に分岐したガス導入管9が設けられ、その各先端にはフィルター10が取り付けられる。また、該真空槽2の周壁の対向した2カ所に、仕切弁13、13により開閉される基板Aの搬出入口11、12を設けた。一方の搬出入口11は該仕込取出室1の外部へ連なり、他方の搬出入口12は搬送室14へ連なる。該搬送室14は更に図示してない真空処理室に連なり、該搬送室14内に設備した図4に見られるような基板把持部15を有する搬送ロボットが、該室内4から真空処理室へスパッタ等の真空処理を施すべくガラスやシリコンウエハ等の基板Aを搬送し、処理の終えた基板Aを該室内4へ戻す。
【0011】
符号16は、該室内4に昇降する支柱17で支承されて昇降する基板テーブルを示し、該基板テーブル16は、その周縁と真空槽2の周壁との間に間隔18をを有し、該支柱17は、図4に示すように該真空槽2の外部へべローズ19及びダスト落下防止用のスリーブ20に囲まれて延び、電動機21により回転される送りねじ22で昇降する昇降板23上に固定され、該昇降板23の昇降に伴い支柱17及び基板テーブル16が昇降する。該基板テーブル16の具体的形状は図2に明示する如くであり、テーブル表面16aに搬送ロボットの2叉状の基板把持部15の進入を可能にする2本の凹溝24、24が形成され、該基板テーブル16の昇降と基板把持部15の進退で該テーブル表面16a上に基板Aの積み下ろしが行われる。該基板テーブル16は、支柱17に上下の2段に設けられ、各テーブルに基板Aを載置して能率良く処理できるようにした。
【0012】
以上の構成は、従来の仕込取出室の構成とほぼ同様であり、基板Aを室内4から外部へ搬出入口11を介して出し入れするとき、ガス導入口8からガスを大気圧になるまで導入することも同様であるが、本発明では、上気したようなガス導入に伴い基板Aにダストが付着する不都合を解決すべく、該仕込取出室1の上方にガス吹き出し板25を設けてガス吹き出し室26を区画形成したもので、これを詳述すると、次の通りである。
【0013】
即ち、該ガス吹き出し板25を、真空槽2の平面形状に合わせた角形平板状で基板テーブル16の面と対向せず且つ該間隔18に対向した箇所にのみガス吹き出し穴27を多数形成した図3に示す如き形状のものとし、これを該基板テーブル16の上昇を妨げない真空槽2の上方に該基板テーブル16の表面と平行でこれに接近させて取り付け、該ガス吹き出し板25と真空槽2及び天板3とでガス吹き出し室26を区画形成してこれに該天板3のガス導入口8を開口させ、該ガス導入口8から該ガス吹き出し室26内へ導入された空気等のガスは、該ガス吹き出し穴27から整流されて該間隔18へ吹き出し、該真空槽2内の圧力が大気圧にまで高まるときに気流の乱れがなくダストの舞い上がりが防止される。尚、上下の基板テーブル16の間隔は、その下段のテーブルに載せられた基板Aの表面の気流の乱れを少なくするために狭く設定される。基板テーブルの段数は任意である。
【0014】
図示実施例に於いて、該仕切取出室1内の処理済みの基板Aを外部へ搬出し、代わって未処理の基板Aを搬入する場合、両仕切弁13、13を閉じた真空の室内4へガス導入管9からガスを大気圧になるまで導入し、このあと仕切弁13を開いて基板Aが出し入れされるが、この場合、該ガス導入管9から導入されたガスは、ガス吹き出し室26内に均一に拡散したのち、ガス吹き出し板25のガス吹き出し穴27から整流されて吹き出される。このとき、ガス吹き出し板26に基板テーブル16の表面が接近するように該基板テーブル16を上昇させておくと、該ガス吹き出し穴27から整流されて吹き出したガスは、該基板テーブル16の周縁と真空槽2の室壁との間の間隔18に沿って下方へと流れるので、真空槽2内のダストの舞い上がりが少なくなり、またこの際にダストが撹拌されることがあっても、各基板テーブル16の上方の隙間が狭いために、基板A上にダストが付着しずらくなる。
【0015】
【発明の効果】
以上のように本発明によるときは、昇降自在の基板テーブルを設けた仕込取出室の上方に、該基板テーブルの面と対向しない箇所にのみガス吹き出し穴を形成したガス吹き出し板を設けてガス吹き出し室を区画形成し、該ガス導入口を該ガス吹き出し室に開口させてガスを該吹き出し口から該間隔へ吹き出させるようにしたので、該仕込取出室を大気圧に上昇すべく導入したガスは、該ガス吹き出し室で均一に拡散した後ガス吹き出し穴から整流されて吹き出し、ダストの舞い上がりが防止されて基板にダストが付着しにくくなり、該基板テーブルを該ガス吹き出し板に接近させておくことでより一層ダストの付着を防げる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の切断側面図
【図2】 図1の基板テーブルの要部の斜視図
【図3】 図1のガス吹き出し板の下面図
【図4】 図1の斜視図
【図5】 従来例の切断側面図
【図6】 図5の基板テーブルの要部の斜視図
【符号の説明】
1 仕込取出室 4 室内 5 真空排気口
6 真空排気管 8 ガス導入口 11、12 搬出入口
13 仕切弁 16 基板テーブル 16a テーブル表面
18 間隔 25 ガス吹き出し板 26 ガス吹き出し室
27 ガス吹き出し穴 A 基板

Claims (2)

  1. 基板の搬出入口とガス導入口及び真空排気口を備えた真空圧と大気圧とに圧力が変化する仕込取出室内に昇降自在の基板テーブルを設け、該仕込取出室の室壁と該基板テーブルの周縁との間に間隔を設けた仕込取出室に於いて、
    該仕込取出室の上方にガス吹き出し室を区画形成するガス吹き出し板を設け、該ガス吹き出し板の、上記基板テーブルの面と対向せず且つ上記間隔に対向した箇所に、通過するガスを整流する多数のガス吹き出し小孔を形成し、上記ガス導入口を上記ガス吹き出し室に開口させてガスを該吹き出し小孔から上記間隔へ吹き出させることを特徴とする仕込取出室。
  2. 上記ガス吹き出し板を、ほぼ平坦な板で構成し、該板の板面を上記基板テーブルの上昇位置に於いて該基板テーブルの表面に接近させて設けたことを特徴とする請求項1に記載の仕込取出室。
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