JP3874810B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、車両に作用する絶対加速度検出する加速度センサの出力信号に応じて、各種制御を行う車両制御装置に関し、特に加速度センサの出力を高精度に0点補正することが可能な車両制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される車両制御装置において、ブレーキによる制動力の制御をするアンチスキッド制御、あるいは、駆動力を制御するトラクションコントロール制御、さらに、サスペンションの減衰力制御等を行う場合がある。このような制御を実行する場合には、自動車の車体に作用する前後方向さらには左右方向に作用する加速度を検出する必要がある。この加速度を検出する手段としては、種々多様なものが考えられている。例えば、車輪速度の変化から相対的な加速度を算出する方法が知られている、しかし、小型に構成されるとともに、精度の高い加速度検出動作が実行されるものとして、半導体による加速度検出センサが多く使用されるようになっている。
【0003】
半導体加速度検出センサは、例えばシリコン等の単結晶で構成される半導体基盤から単結晶シリコンによる振動片を形成し、この振動片に加速度が作用したときにこの加速度の大きさに対応して曲がるように構成される。この振動片にはピエゾ抵抗素子を添着し、このピエゾ抵抗素子から上記振動片の曲がりの大きさに対応した電気的信号が検出されるようにしている。すなわち、このような加速度センサから得られる、車体に作用する加速度の大きさに対応した電気的な信号を用いて上記のような車両制御を実行する。
【0004】
しかし、このような半導体加速度センサにあっては、センサ取付の誤差、加速度センサ自体の0点のオフセットがGセンサの出力誤差となり、車両制御の性能を低下させるという問題があった。また、加速度センサ本体およびブラケット等の要求精度が厳しくなりコストが上がるという問題もあった。
このため、従来では加速度センサによって車体の加速度が検出されないと推定される車体停止時および車両の一定速度走行時において、加速度センサの0点補正を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術における0点補正では、車両が坂路を一定速度走行している際および坂路に停止している際等においても0点補正が実行される。この場合、坂路に伴う車体の傾きによって、補正中の加速度センサの出力に重力加速度が含まれていることとなる。また、車両の走行中における0点補正では、車体の振動成分が補正時の加速度センサ出力に加わっている可能性もある。このように車両下の路面状態および車体の振動等の車両状態による外乱が存在する時の加速度センサの補正は、正確な0点補正を実行することは不可能である。
【0006】
そこで、本発明は、正確な加速度センサの0点補正を可能とし、この正確に0点補正された加速度センサからの出力信号によって、的確な車両制御が確実に実行される車両制御装置を提供することに有る。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明による車両制御装置は、車両の絶対加速度の大きさを検出する加速度センサからの出力信号を用いて車両制御を実行する車両制御装置において、
制御モードに前記加速度センサの出力信号の0点補正を行うための専用のテストモードを有するとともに、
前記車両制御装置の制御モードを前記専用のテストモードにするための作動スイッチと、
前記専用のテストモードであり、かつ、前記0点補正が実行されていない場合には、警告を発生する警告手段を備え、
前記作動スイッチを手動にて作動させた場合には前記車両制御装置の制御モードが前記専用のテストモードに変更され、この専用のテストモードにおいてのみ0点補正が実行され、
前記0点補正が実行された後の加速度センサからの出力信号を用いて車両制御を行い、
前記0点補正は、
車両停止状態判断手段により車両が停止中であると判断され、
この停止中の判断と、かつ、加速度センサ値からの出力値が所定値以内であるとの判断と、かつ、加速度センサ値の前回の出力値からの変化量が所定値以内であるとの判断とが重なることが所定回数にわたって満たされた場合のみ、0点補正が完了し、
前記テストモードにおいて、前記0点補正が完了していない場合には前記警告手段が警告を発生することを特徴とする。
【0008】
また、車両の絶対加速度の大きさを検出する加速度センサからの出力信号を用いて車両制御を実行する車両制御装置において、
制御モードに前記加速度センサの出力を0点補正するための専用のテストモードを有するとともに、
前記車両制御装置の制御モードを、手動にて前記専用のテストモードにするための変更手段と、前記専用のテストモードであり、かつ、前記0点補正が実行されていない場合には、警告を発生する警告手段を備え、
前記車両制御装置における車両制御のモードが前記専用のテストモードに設定されているか否かを判断するモード判断手段と、
前記モード判断手段によって、車両制御のモードが前記専用のテストモードに設定されていると判断された場合には、前記補正手段によって前記加速度センサの出力を0点補正し、この0点補正された加速度センサからの出力信号を用いて車両制御を実行し、
前記0点補正が実行された後の加速度センサからの出力信号を用いて車両制御を行い、
前記0点補正は、
車両停止状態判断手段により、車両が停止中であると判断され、
この停止中の判断と、かつ、加速度センサ値からの出力値が所定値以内であるとの判断と、かつ、加速度センサ値の前回の出力値からの変化量が所定値以内であるとの判断とが重なることが所定回数にわたって満たされた場合のみ、0点補正が完了し、
前記テストモードにおいて、前記0点補正が完了していない場合には前記警告手段が警告を発生することを特徴とした車両制御装置を採用するようにしてもよい。
【0010】
【作用】
以上のように構成される車両制御装置において、前記加速度センサの出力値の0点補正を行うために、車両制御装置の制御モードが専用のモードに設定変更する。この設定変更は、手動にて所定の作動スイッチを作動することによって実行される。この際、上記のように手動にて設定変更することによって、0点補正により適した車両の状態(車両が静止、かつ平坦な路面)を選択でき、0点補正を正確に実行することが可能となる。このように0点補正された加速度センサからの出力に基づいて車両制御を実行することによって、的確な車両制御が可能となる。
【0012】
【実施例】
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1には、車両制御装置10内に設置されている加速度センサの0点補正に関する構成を示すものである。加速度センサ1は、例えばピエゾ素子からなる加速度センサ等を採用する。車体の加減速度に対応した加速度センサ1からの出力信号は、車両制御手段4に入力され、車両制御に採用される。車両制御装置10の制御モードを加速度センサの0点補正するための専用のモードに変更するための作動スイッチをオンすると、所定の信号が車両制御手段4および0点補正手段2に入力される。この信号にともなって、車両制御装置10が0点補正専用のテストモードに設定される。この後、以下図2のフローチャートにおいて説明するような所定の条件を満たすか否かを車両状態等確認手段2aにおいて判断する。次に、所定の条件を満たす場合には、0点補正値演算記憶手段によって、加速度センサのオフセット量である0点補正値GOFが演算される。このオフセットは種々の原因によって発生することが予想されるが、例えば加速度センサ1の取り付け状態が悪かったり、加速度センサ1自体の性能によるものが考えられる。算出される0点補正値GOFは記憶され、車両制御が実行される際には、0点補正値GOFに応じて加速度センサ1からの出力信号の補正を行う。
【0013】
以上の説明した、車両制御装置10内に設置される加速度センサ1の0点補正に関する構成部による作動を、図2のフローチャートにおいて説明する。
0点補正のフローは、ステップ100からスタートする。ステップ110において、現在車両制御装置10の制御モードがテストモードに設定変更されているかを判断する。このテストモードとは、例えば工場から出荷する際の検査またはディーラー等における検査において、専用のテストモードスイッチをオンした時、またはエンジンルーム内のチェック端子をショートさせてイグニッションスイッチをオンした時に、車両制御装置10の制御モードが設定変更されるモードである。なお、加速度センサ1の0点補正は、車両制御装置10の制御モードがテストモードに設定されている場合のみに実行される。ここで、車両制御装置10がテストモードに設定変更されたと判定された場合は、ステップ120に進む。
【0014】
ステップ120では、すでに加速度センサ1の0点補正が完了しているか否かを判断する。ここで、加速度センサ1の0点補正が、未だ行われていないと判断された場合には、ステップ130および140における車両停止状態判断手段において、車両が停止中であるか否かを判断する。ステップ130において、車両が停止中であるかどうかを全輪の車輪速度が0km/hであるかどうかによって判断する。車両が停止中である場合、ステップ140に進み、現在車両に設置されているパーキングブレーキがオンされているか否かを判定する。車両が現在停止中であると判断されると、ステップ150における加速度センサ出力値比較手段によって、加速度センサ1の現在の出力値を所定の値と比較する。なお、ここでは所定値として0.5G(以後Gは重力加速度を表す)を採用する。これによってGセンサのオフセット量が補正可能範囲内にあるか判断する。ここで所定の条件を満たした場合には、ステップ160で、前回演算時の加速度センサ1出力値と今回演算の出力値との差を、所定値と比較することによって、加速度センサ1の出力が安定しているか否かを判断する。ここでは、所定値として0.1Gを採用している。加速度センサ1出力がノイズの環境がなく安定していると判断された場合には、ステップ170における0点補正値決定手段において、加速度センサ1の0点補正値GOFを決定する。この際、例えばn回分の加速度センサ1の出力値を平均することによって加速度センサ1のオフセット量を決定する。ステップ180では、ステップ170の演算一回毎に、カウンタnを1アップする。ステップ190では、カウンタnが所定回数Knに達したか否かを判断し、Kn回以下である場合には、ステップ200において、加速度センサ1の0点補正中の表示を行う。
【0015】
また、ステップ190において、Kn回に達していると判断された場合には、ステップ210に進み、0点補正値GOFを車両制御装置10内のメモリへ記憶し、0点補正の完了フラグを設定する。ステップ220では、補正完了表示を行う。
ステップ130または140の少なくとも一方において上記各所定条件を満たないと判断された場合には、車両がセンサの0点補正可能状態にないと判定し、ステップ230に進み、加速度センサ1が0点補正されていないことを表示し、ウォーニングランプを常灯する。これによって、乗員または作業員に加速度センサ1の未補正を警告する。
【0016】
ステップ150あるいは160の少なくとも一方において上記各所定条件を満たさないと判断された場合においては、Gセンサ出力にノイズが混入し、0点の誤補正の可能性ありと判定し、ステップ240に進み、カウンタmを1アップする。ステップ250では、カウンタ値mと所定回数値Kmとを比較することによって、Gセンサの0点補正を中止すべきかどうか判断する。。カウンタ値mが所定回数値Km以上になった場合には、ステップ230に進み、補正を中止する。所定回数値Km未満であればステップ260に進む。ステップ260では、上記カウンタ値nを0に設定しGセンサの0を補正値をリセットして、ステップ200に進む。
【0017】
ステップ120において、加速度センサ1の0点補正が完了していると判断された場合には、ステップ270に進む。ステップ270では、作業員等からの、再度加速度センサ1の0点補正が必要であるという信号が入力されていないかを判定する。0点補正要求が無い場合にはステップ220に進み、補正の完了を表示する。0点補正要求が有る場合には、ステップ280および290にて、0点補正完了フラグをクリアーし、カウンタn、mを0に設置する。その後、ステップ130から同様の処理を実行する。
【0018】
ステップ110において、車両制御装置10の制御モードが加速度センサ1のテストモードに設定されていないと判断された場合には、ステップ300に進む。ステップ300では、0点補正が完了しているか否かを判定する。ここで、補正が完了している場合には、ステップ310における0点決定手段において、現在の加速度センサ1の出力値G1から0点補正値G0Fを差し引く演算を実行する。これによって、加速度センサ1の0点補正を行う。ステップ320では、この結果としての加速度センサ1からの出力値GH を用いて、アンチスキッド制御等の車両制御を実行する。ステップ330では、加速度センサ1補正状態を表す表示を、通常表示にセットする。
【0019】
ステップ300において、加速度センサ1の0点補正が完了していないと判断された場合には、ステップ340に示すように、加速度センサ1を使用しない車両制御を実行する。この場合には、ステップ350において、加速度センサ1が0点補正されていないことを表示し、ウォーニングランプを常灯する。これによって、乗員または作業員に加速度センサ1の未補正を警告する。
【0020】
以上詳述したように構成され作動する車両制御装置10における効果を説明する。
上記の如く、車両制御装置10の制御モードを加速度センサ1の0点補正を行うための専用のテストモードに変更する。このテストモードは、工場からの出荷時等において作業員が所定のスイッチ等をオンすることによって、車両制御装置10内に設定されるモードである。以上のように作動する専用のテストモードのよって、車体の振動等の外乱に左右されることなく、加速度センサ1の0点補正が正確に実行される。また、車両に加速度センサ1取り付け後、正確な0点補正が可能であるため、加速度センサ1の取り付け精度をラフにしても、検出精度が低下することがなく、車両制御が確実に行われる。また、加速度センサ1自体の出力精度が、従来のものより劣るものを採用することができる。このため、従来の装置に比較して、低コストを実現することが可能である。
【0021】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、以下のように種々変形可能である。
例えば、上記実施例においては、加速度センサ1の0点補正が未だ完了していない場合にウォーニングランプを点灯していた。これに代わって警告ブザー等の音によって、警告を発するようにしてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明による車両制御装置によれば、正確な加速度センサの0点補正が可能であり、この0点補正された加速度センサからの出力信号による的確な車両制御が確実に実行できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施例の作動を表すフローチャートである。
【符号の説明】
1 加速度センサ
2 0点補正手段
3 テストモード作動スイッチ
4 車両制御手段

Claims (4)

  1. 車両の絶対加速度の大きさを検出する加速度センサからの出力信号を用いて車両制御を実行する車両制御装置において、
    制御モードに前記加速度センサの出力信号の0点補正を行うための専用のテストモードを有するとともに、
    前記車両制御装置の制御モードを前記専用のテストモードにするための作動スイッチと、
    前記専用のテストモードであり、かつ、前記0点補正が実行されていない場合には、警告を発生する警告手段を備え、
    前記作動スイッチを手動にて作動させた場合には前記車両制御装置の制御モードが前記専用のテストモードに変更され、この専用のテストモードにおいてのみ0点補正が実行され、
    前記0点補正が実行された後の加速度センサからの出力信号を用いて車両制御を行い、
    前記0点補正は、
    車両停止状態判断手段により車両が停止中であると判断され、
    この停止中の判断と、かつ、加速度センサ値からの出力値が所定値以内であるとの判断と、
    かつ、加速度センサ値の前回の出力値からの変化量が所定値以内であるとの判断とが重なることが所定回数にわたって満たされた場合のみ、0点補正が完了し、
    前記テストモードにおいて、前記0点補正が完了していない場合には前記警告手段が警告を発生することを特徴とする車両制御装置。
  2. 車両の絶対加速度の大きさを検出する加速度センサからの出力信号を用いて車両制御を実行する車両制御装置において、
    制御モードに前記加速度センサの出力を0点補正するための専用のテストモードを有するとともに、
    前記車両制御装置の制御モードを、手動にて前記専用のテストモードにするための変更手段と、前記専用のテストモードであり、かつ、前記0点補正が実行されていない場合には、警告を発生する警告手段を備え、
    前記車両制御装置における車両制御のモードが前記専用のテストモードに設定されているか否かを判断するモード判断手段と、
    前記モード判断手段によって、車両制御のモードが前記専用のテストモードに設定されていると判断された場合には、前記補正手段によって前記加速度センサの出力を0点補正し、この0点補正された加速度センサからの出力信号を用いて車両制御を実行し、
    前記0点補正は、
    車両停止状態判断手段により、車両が停止中であると判断され、
    この停止中の判断と、かつ、加速度センサ値からの出力値が所定値以内であるとの判断と、
    かつ、加速度センサ値の前回の出力値からの変化量が所定値以内であるとの判断とが重なることが所定回数にわたって満たされた場合のみ、0点補正が完了し、
    前記テストモードにおいて、前記0点補正が完了していない場合には前記警告手段が警告を発生することを特徴とする車両制御装置。
  3. 前記車両停止状態判断手段により、全輪の車輪速度が0km/hであり、かつ、パーキングブレーキがオンされることで車両が前記停止中であると判断されるとともに、
    前記0点補正は、n回分の加速度センサに出力値を平均した値を0点補正値として決定することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の車両制御装置。
  4. 前記車両停止状態判断手段により車両が停止中であると判断され、
    かつ、前記加速度センサ値からの出力値が前記所定値以内であり、
    かつ、前記加速度センサ値からの前回の出力値からの変化量が前記所定値以内であることが前記所定回数以下である場合には補正中の表示を行うことを特徴とする請求項1乃至3に記載の車両制御装置。
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