JP3874039B2 - 頭外音像定位方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステレオヘッドホンや両耳イヤホンを用いて、音源として知覚する位置(音像)を頭の外から受聴出来るシステムのように実現するための頭外音像定位方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
頭外音像定位方法についての公知文献としては、例えば下記の参考文献1および2がある。
参考文献1:電子情報通信学会、技術研究報告、EA92−11、1992年5月28日、島田正治、林伸二、“両耳イヤホンを用いた頭外音像定位ステレオ方式”、p.21−26
参考文献2:イエンス・ブラウエルト、森本政之、後藤敏之、“空間音響”1986年7月、鹿島出版、p.20−29
【0003】
上記2つの文献のうち、本発明にもっとも近いものは参考文献1であるので、この文献により本発明に係る従来技術を説明する。
図9は頭外音像定位を実現する原理を示す図であり、図の(a)はスピーカ受聴、(b)はイヤホン受聴の場合を示している。
図9において、1は音源信号、2はスピーカ、3は受聴者、4−1,4−2は左右の超小型マイク、5−1,5−2は左右の頭部音響伝達関数(HRTF:Head Related Transfer Function )、6−1,6−2は左右のイヤホン、7−1,7−2は左右の外耳道伝達関数(ECTF:Ear Canal Transfer Function )、8−1,8−2は左右のFIR(有限インパルス応答)フィルタである。なお上記で最初の数字の次のハイフォンに続く1,2はそれぞれ左側、右側を表す。
【0004】
図9により頭外音像定位を説明する。
頭外音像定位の原理は、空間にある音源から鼓膜までの伝達関数と同じ伝達関数を電気的に作成することである。すなわち、具体的に言えば、図9で音源信号1から鼓膜までの伝達関数を厳密に測定することは出来ない。それは鼓膜上の音波により振動信号を生体から電気的に捉えることは出来ないからである。そこで図9の(a)のように、超小型マイク4−1,4−2を両耳の外耳道に装着し、スピーカ2の入力に供給される音源信号1から超小型マイク4−1,4−2の出力までの伝達関数、HRTF5−1,5−2を測定する。この測定方法はよく知られているようにインパルス応答測定である。
しかしながら、前記参考文献1でも指摘されているよう、スピーカ2は周波数特性を有しているので、スピーカ2の入力から超小型マイク4−1,4−2の出力までの真の伝達関数Aは、HRTF/SPTFである。なおここでSPTFはスピーカ伝達関数を表す。
【0005】
一方、図9の(b)のように、両耳イヤホンを用いて、これと等価な伝達関数を作成するにはイヤホン6−1,6−2の入力から外耳道に装着された超小型マイク4−1,4−2の出力までの伝達関数、ECTF7−1,7−2を測定し、このECTF7−1,7−2とFIRフィルタ8−1,8−2の伝達関数の畳み込み演算結果の伝達関数Bが、伝達関数AであるHRTF/SPTFと合致すれば、外耳道に設置した超小型マイク4−1,4−2の場所に同じ受聴信号を再生できるはずである。
【0006】
ここで、前記参考文献2のP.20−29の第2.4節の外耳道内の音波伝搬にも書かれているように、外耳道内の音波は、1次元モデルで表されることが可能であり、超小型マイク4−1,4−2の設置位置を固定していれば、鼓膜上での音波信号は図9の(a)と(b)で等価になることは自明である。
【0007】
以上説明したように、FIRフィルタ8−1,8−2の伝達関数は計算機によって求めることが出来る。すなわちこの伝達関数(頭外音像定位伝達関数)をSLTF(Sound-image Localization Transfer Function)とすると次式(1)となり、式(1)の右辺の各項はすべて測定によって求められ、あとは数学的な演算を実施すればSLTFを求めることが出来る。
【0008】
【数1】
【0009】
ところで、式(1)の演算は簡単に解けるように考えられるが、ECTF・SPTFの伝達関数は空間伝搬の音波成分を有しているから、その直流成分は存在しない。さらに式(1)をディジタル信号処理演算で行うために帯域外の成分を除去するから、帯域外の高域成分は減衰量が大きくなる。このために式(1)を演算実行しようとすると、ECTF・SPTFの逆伝達関数が演算されることになり、その結果、低域・高域の帯域外で大きな利得を生じ、良好な頭外音像定位受聴ができるSLTFは求められない。そこで、前記参考文献では以下に述べる演算を実行していた。
【0010】
(1)ECTFとSPTFのインパルス応答を畳み込み演算した後に、フーリエ変換により周波数領域に変換し、高域(または低域)カットオフ周波数での実数部と虚数部を求め、この値をナイキスト周波数(または直流に近い低域周波数)まで同じ値に変換する。次に、周波数振幅特性を偶関数に、位相特性を奇関数になるようにし、逆フーリエ変換し、帯域外補償インパルス応答を得る。
(2)式(1)を演算するために、目標関数をHRTFとし、帯域外補償インパルスを逆行列とするレビンソンアルゴリズムにより、逆インパルス応答であるSLTFを導出している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記参考文献による従来の頭外音像定位方法では、次のような問題があった。
(1)逆インパルス応答の解法においては帯域外の特性によって帯域内に誤差が生じるので、高精度なSLTFが得られない。
(2)HRTFは方向ごとの情報があるため、角度を変えるごとに式(1)の演算を実行する必要があること、またHRTFのインパルス長は約100msec(サンプリング周波数32kHzでは約3000サンプル)以上となり、式(1)のレビンソンアルゴリズムの解法では目標関数となるべきインパルス応答のサンプリング数が少なければ少ないほど演算時間Tが少なくなるので[Tは{n2 +n(log2 n−1)}に比例するものであるから]、多くの時間を要することになる。
なお、本発明の方法、帯域外補償を実施しない方法、および前記参考文献による従来方法との差については、実施の形態において詳細に説明する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る頭外音像定位方法は、頭外音像定位伝達関数のインパルス応答に基づく音をステレオヘッドホンや両耳イヤホンから発生させて、頭外の位置にある音源からの音として受聴できるようにするための頭外音像定位方法において、スピーカ伝達関数によって決まる帯域の帯域外の領域においても前記スピーカ伝達関数と同様の帯域外特性を有する帯域フィルタのインパルス応答を測定し、該測定に基づいて前記スピーカ伝達関数の逆関数のインパルス応答を第一のインパルス応答として求め、外耳道伝達関数によって決まる帯域の帯域外の領域においても前記外耳道伝達関数と同様の帯域外特性を有する帯域フィルタのインパルス応答を測定し、該測定に基づいて前記外耳道伝達関数の逆関数のインパルス応答を第二のインパルス応答として求め、実際の音源からの音の各耳の外耳道における状態をあらかじめ測定し、頭部音響伝達関数のインパルス応答を第三のインパルス応答として求め、前記第一、第二および第三の各インパルス応答の畳み込み演算を行って前記頭外音像定位伝達関数のインパルス応答を求めるものである。
その結果、従来よりも、帯域内の誤差が少く高精度の頭外音像定位伝達関数が得られると共に、演算処理時間の短縮が可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について説明する前に、逆伝達関数を求める方式について述べる。
ある伝達関数H(ω)のインパルス応答h(n)とその逆インパルス応答h-1(n)の関係は逆応答の時間長をMとしたとき、目標伝達関数のインパルス応答b(n)を用いて次式(2)のように表することができる。
【0014】
【数2】
【0015】
これは、ある目標伝達関数のインパルス応答b(n)を定めたとき、伝達関数のインパルス応答h(n)とその逆インパルス応答h-1(n)との畳み込みによって、b(n)を表すことができることを示している。通常、逆インパルス応答h-1(n)を求める場合は目標伝達関数のインパルス応答b(n)として単位インパルスδ(n)を使う例が多い。
【0016】
しかしながら、一般にスピーカや外耳道伝達関数などのような伝達関数は最小位相系ではないために、単位インパルスに遅延時間を付加した形で求め、因果性を持った逆インパルス応答を求めることが多い。また、この方法では帯域外に急峻な利得が発生し、頭外に音像を定位させることができない。
そこで、逆インパルス応答h-1(n)を作成したい伝達関数H(ω)と同様な帯域外特性を持つ帯域フィルタの伝達関数のインパルス応答を目標伝達関数のインパルス応答とすることにより、頭外音像定位に適した逆伝達関数のインパルス応答が得られる。
【0017】
図2は本発明に係る頭外音像定位方法の基本的な考え方を示す図である。
まず、目標伝達関数B(ω)のインパルス応答b(n)を単位インパルス応答δ(n)、またはδ関数とした場合、帯域が無限大の平坦な周波数振幅特性となる。
このため、図2の上部欄に示すように目標伝達関数B(ω)の逆インパルス応答h-1(n)に相当する逆伝達関数H-1(ω)は、周波数特性も逆特性が得られ、帯域外では利得を生じることになる。
【0018】
目標伝達関数B(ω)のインパルス応答b(n)を帯域フィルタFBPF (ω)のインパルス応答fBPF (n)とすると、帯域外の特性の違いによって、得られる逆インパルス応答h-1(n)の逆伝達関数H-1(ω)は異なる。
ここで、高域(低域)遮断周波数fc における減衰量と遮断周波数の2倍(1/2倍)の周波数2fc における減衰量との差をfc で割った値、いわゆる帯域外での減衰傾斜特性[減衰量(dB)/オクターブ(oct)]を定義し、目標伝達関数である帯域フィルタFBPF (ω)の減衰傾斜量をαF (dB/oct)、伝達関数H(ω)の減衰傾斜量をβH (dB/oct)とする。
【0019】
逆伝達関数H-1(ω)は、次の(1),(2)により異なる。
(1)減衰傾斜特性が同じ(αF =βH )で、帯域幅が異なる場合(fB ≠fH )、
図2に示すように帯域幅がfB >fH のときは、帯域内に逆特性となる帯域幅付近で利得を生じてしまう。いずれにしても、逆伝達関数の周波数特性は目標伝達関数の帯域幅で制限されてしまう。図2で説明したように帯域外で利得特性を生じない逆伝達関数の周波数特性上の条件は、目標伝達関数を帯域フィルタとし、その帯域幅の条件としてfB ≦fH が必要十分条件であることが判る。
【0020】
(2)減衰傾斜量が異なり(αF ≠βH )で、帯域幅が同じ場合(fB =fH )、
図2に示したように、αF >βH のときは、帯域フィルタ内に逆伝達特性H-1(ω)の利得分を持つものの、帯域外では減衰量を有する特性を持つので、安定な解が求まる。しかしながら、αF ≦βH のときは、帯域外に利得を持ち、頭外に音像を定位させることができない。
【0021】
以上まとめると、伝達関数H(ω)と帯域フィルタFBPF (ω)の減衰傾斜量が同じで、帯域幅が異なる場合はfB ≦fH であることが必要十分条件であり、また帯域幅が同じで減衰傾斜量が異なる場合はαF >βH であることが必要十分条件であることがわかる。なお、ここで伝達関数H(ω)の帯域特性は周知のようにディジタル信号処理技術を用いることを前提に考慮すれば、エリアジングフィルタ特性によって決定できることは言うまでもない。
【0022】
本発明による頭外音像定位方法と、その他の2つの方法を比較して説明する。図1は本発明に係る頭外音像定位方法の処理を示す流れ図であり、図のSに続く数値はステップ番号を示す。
S1では、目標伝達関数を帯域フィルタのインパルス応答としたスピーカ伝達関数(SPTF)の逆伝達関数(SPTF)-1のインパルス応答(これを第1のインパルス応答という)を求める。
【0023】
S2では、前記目標伝達関数を帯域フィルタのインパルス応答として外耳道伝達関数(ECTF)の逆伝達関数(ECTF)-1のインパルス応答(これを第2のインパルス応答という)を求める。
S3では、頭部音響伝達関数(HRTF)のインパルス応答を第3のインパルス応答とし、前記第1、第2及び第3の各インパルス応答の畳み込み演算を行って頭外音像定位伝達関数(SLTF)のインパルス応答を求める。
【0024】
即ち本発明の方法(これをA方法と呼ぶ)は、目標伝達関数を帯域フィルタのインパルス応答とし、SPTF、およびECTFの逆伝達関数(SPTF)-1、(ECTF)-1のインパルス応答をそれぞれ独立に求めた後に、(SPTF)-1,(ECTF)-1,HRTFの各インパルス応答の畳み込み演算を実行して、次(3)式のようにSLTFを求めるものである。
(SPTF)-1・(ECTF)-1・HRTF=SLTF …(3)
【0025】
次に無処理方法(帯域外補償を実施しない方法で、これをB方法と呼ぶ)を説明する。
無処理方法では、目標伝達関数を頭部音響伝達関数(HRTF)のインパルス応答とし、スピーカ伝達関数(SPTF)と外耳道伝達関数(ECTF)を畳み込んだインパルス応答の逆伝達関数を演算するものであり、式(3)の配列に対応して、次(4)式で示される。
(SPTF・ECTF)・SLTF=HRTF …(4)
【0026】
次に従来の方法(参考文献による方法で、これをC方法と呼ぶ)を説明する。従来方法では、まず、スピーカ伝達関数(SPTF)と外耳道伝達関数(ECTF)を畳み込んだインパルス応答をフーリエ変換によって、周波数領域に一旦変換し、高域(低域)カットオフ周波数での実数部と虚数部を求め、この値をナイキスト周波数(直流に近い低域周波数)まで同じ値に変換する。
次に、周波数振幅特性を偶関数に、位相特性を奇関数になるようにし、逆フーリエ変換し、帯域外補償インパルス応答を得る。
【0027】
次に、目標伝達関数をHRTFのインパルス応答とし、逆インパルス応答に対応する帯域外補償インパルス応答の逆伝達関数を演算するものであり、次(5)式で示される。
(SPTF・ECTF)′・SLTF=HRTF …(5)
ここで( )′は帯域外補償演算処理をしたことを示す。
【0028】
まず、前記各方法の比較評価について説明する前に図9で示した原理図に従って、実際に測定した各伝達関数のインパルス応答を図3、図4及び図5に示す。図3はスピーカ伝達関数(SPTF)のインパルス応答と周波数振幅特性を示す図、図4は外耳道伝達関数(ECTF)のインパルス応答と周波数振幅特性を示す図、図5は頭部音響伝達関数(HRTF)のインパルス応答と周波数振幅特性を示す図である。
また図6は帯域フィルタのインパルス応答と周波数振幅特性を示す図であり、この帯域フィルタの低域カットオフ周波数は170Hz、高域カットオフ周波数は14.5kHzである。またディジタル信号処理におけるサンプリング周波数はいずれも32kHzである。
【0029】
図7は各方式に従って演算処理した頭外音像定位伝達関数(SLTF)の周波数振幅特性を示す図である。
図7においては、A方法(本発明の方法)およびC方法(従来方法)は、共に帯域外で利得を持たない最適な頭外音像定位伝達関数を得ている。しかしながら、B方法(無処理方法)は帯域外に利得を生じ、受聴すると低域成分と高域成分が強調され頭外音像定位感はない。
【0030】
図8は各方法における演算誤差特性を示す図である。
図8は、求められたSLTFのインパルス応答と、測定して得られたSPTFのインパルス応答と、ECTFのインパルス応答との畳み込み演算を実行し、その結果得られたインパルス応答の伝達関数HRTF′の周波数特性と、測定して得られたHRTFの周波数特性とのdB誤差(Error)を周波数特性で表したものである。すなわち、図8の誤差は次式(6)で示される。
【0031】
【数3】
【0032】
従って、もし帯域内170Hz〜14.5kHzでの誤差(Error)が少なければ、理想的なSLTFが演算できたことになる。
図8により明らかなように、B方法は帯域内で誤差が小さくなるものの、前述したようにSLTFの帯域外で利得を有するために頭外音像定位感はない。C方法は帯域内で誤差を生じ、頭外音像定位感はあるもののA方法と比べれば誤差が大きい。
【0033】
図3、図4、図5及び図6からSPTFのインパルス応答長は約4msec、ECTFのインパルス応答長は約4msec、HRTFのインパルス応答長は約100msec、帯域フィルタのインパル応答長は約10msecである。
【0034】
演算方式に係わる計算時間においては、A方法(本発明の方法)は、次の特徴を有する。
まず、SPTFの逆インパルス応答を求め、次に受聴者ごとのECTFの逆インパルス応答を求める。前記のSPTFに関しては一度、逆インパルス応答の計算をして、その結果を一時、記憶させて、受聴者が異なってもそのデータを利用できる。
ECTFのインパルス応答長はHRTFのそれと比べ短いので、A方法はB方法又はC方法と比較して短時間で演算処理可能である。
さらに各々のSPTF、ECTFの逆フィルタを求めてから、受聴者ごとの方向別にHRTFとの畳み込み演算を実行することから、C方法における、各受聴者ごとに、また各方向別ごとに、式(5)の計算を直接、実行するよりはるかに短い時間で演算できることは明らかである。
【0035】
上記説明のようにA方法によれば、従来方法よりも帯域内の誤差が少く高精度の頭外音像定位置伝達関数が得られると共に、従来方法よりも短時間で演算処理が可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、頭外音像定位伝達関数のインパルス応答に基づく音をステレオヘッドホンや両耳イヤホンから発生させて、頭外の位置にある音源からの音として受聴できるようにするための頭外音像定位方法において、スピーカ伝達関数によって決まる帯域の帯域外の領域においても前記スピーカ伝達関数と同様の帯域外特性を有する帯域フィルタのインパルス応答を測定し、該測定に基づいて前記スピーカ伝達関数の逆関数のインパルス応答を第一のインパルス応答として求め、外耳道伝達関数によって決まる帯域の帯域外の領域においても前記外耳道伝達関数と同様の帯域外特性を有する帯域フィルタのインパルス応答を測定し、該測定に基づいて前記外耳道伝達関数の逆関数のインパルス応答を第二のインパルス応答として求め、実際の音源からの音の各耳の外耳道における状態をあらかじめ測定し、頭部音響伝達関数のインパルス応答を第三のインパルス応答として求め、前記第一、第二および第三の各インパルス応答の畳み込み演算を行って前記頭外音像定位伝達関数のインパルス応答を求めるようにしたので、従来よりも、帯域内の誤差が少く高精度の頭外音像定位伝達関数が得られると共に、演算処理時間の短縮が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る頭外音像定位方法の処理を示す流れ図である。
【図2】本発明に係る頭外音像定位方法の基本的な考え方を示す図である。
【図3】スピーカ伝達関数(SPTF)のインパルス応答と周波数振幅特性を示す図である。
【図4】外耳道伝達関数(ECTF)のインパルス応答と周波数振幅特性を示す図である。
【図5】頭部音響伝達関数(HRTF)のインパルス応答と周波数振幅特性を示す図である。
【図6】帯域フィルタのインパルス応答と周波数振幅特性を示す図である。
【図7】各方法における頭外音像定位伝達関数(SLTF)の周波数振幅特性を示す図である。
【図8】各方法における演算誤差特性を示す図である。
【図9】頭外音像定位を実現する原理を示す図である。
【符号の説明】
1 音源信号
2 スピーカ
3 受聴者
4−1,4−2 超小型マイク
5−1,5−2 頭部音響伝達関数(HRTF)
6−1,6−2 イヤホン
7−1,7−2 外耳道伝達関数(ECTF)
8−1,8−2 FIRフィルタ
Claims (3)
- 頭外音像定位伝達関数のインパルス応答に基づく音をステレオヘッドホンや両耳イヤホンから発生させて、頭外の位置にある音源からの音として受聴できるようにするための頭外音像定位方法において、
スピーカ伝達関数によって決まる帯域の帯域外の領域においても前記スピーカ伝達関数と同様の帯域外特性を有する帯域フィルタのインパルス応答を測定し、該測定に基づいて前記スピーカ伝達関数の逆関数のインパルス応答を第一のインパルス応答として求め、
外耳道伝達関数によって決まる帯域の帯域外の領域においても前記外耳道伝達関数と同様の帯域外特性を有する帯域フィルタのインパルス応答を測定し、該測定に基づいて前記外耳道伝達関数の逆関数のインパルス応答を第二のインパルス応答として求め、
実際の音源からの音の各耳の外耳道における状態をあらかじめ測定し、頭部音響伝達関数のインパルス応答を第三のインパルス応答として求め、
前記第一、第二および第三の各インパルス応答の畳み込み演算を行って前記頭外音像定位伝達関数のインパルス応答を求めることを特徴とする頭外音像定位方法。 - 逆伝達関数を得るための前記スピーカ伝達関数又は前記外耳道伝達関数の帯域外減衰特性と、それぞれ対応する前記帯域フィルタの帯域外減衰傾斜特性とがそれぞれ一致している場合は、
前記対応する帯域フィルタによる通過帯域幅を、前記逆伝達関数を得るための前記スピーカ伝達関数又は前記外耳道伝達関数の帯域幅と等しく、又は狭くするように設定することを特徴とする請求項1記載の頭外音像定位方法。 - 逆伝達関数を得るための前記スピーカ伝達関数又は前記外耳道伝達関数の帯域幅と、それぞれ対応する前記帯域フィルタによる通過帯域幅とが一致している場合は、
前記対応する帯域フィルタの特性に基づく帯域外減衰傾斜量を、前記逆伝達関数を得るための前記スピーカ伝達関数又は前記外耳道伝達関数の帯域外減衰傾斜量と等しく、又は大きく設定することを特徴とする請求項1記載の頭外音像定位方法。
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