JP3873598B2 - 内燃機関の停止行程判別装置、燃料噴射制御装置および始動時行程判別装置 - Google Patents

内燃機関の停止行程判別装置、燃料噴射制御装置および始動時行程判別装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の停止行程判別装置、この停止行程判別装置により決定された行程状態に基づいて燃料噴射を実行する燃料噴射制御装置、およびこの停止行程判別装置により決定された行程状態内を始動時に更に選別する始動時行程判別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の始動時において迅速にクランク角や各気筒の行程状態を決定し燃料噴射制御と点火制御に反映させて、初爆を早期に行うことで、内燃機関の始動性を向上させるシステムが知られている(特開平11−62681号公報、特開平5−133268号公報)。
【0003】
このようなシステムは、燃費の改善などのために、自動車が交差点等で走行停止した時に内燃機関を自動停止し発進操作時にスタータを回転させて内燃機関を自動始動して自動車を発進可能とさせる自動停止始動装置、いわゆるエコノミーランニングシステム(以下、「エコランシステム」と略す)において発進を円滑に実行させるために重要である。更に、このようなエコランシステムに限らず、通常の始動においても良好な始動性を実現する上で重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、始動時におけるクランク角や行程状態の決定は、クランクシャフトに設けられた回転数センサおよびカムシャフトに設けられたカム角センサが、回転し始めたクランクシャフトやカムシャフトの回転を検出し、その内で特徴的な信号状態を検出してから初めて可能となる。このため、スタータの回転から実際に燃料噴射や点火を実行するまでに比較的時間がかかり、始動性が十分なものとは言えない。
【0005】
この他に、内燃機関の停止時におけるクランク角や各気筒の行程状態を決定しておくことにより、内燃機関の始動時における燃料噴射制御と点火制御に反映させるシステムが知られている(特開平7−83093号公報)。このシステムでは、エンジンのイグニッション・オフ時のクランク角を記憶し、始動時にこのクランク角から始動したものとして機関制御を開始している。
【0006】
しかし、イグニッション・オフしても燃焼中である気筒からは出力トルクが発生しており、また燃焼がなされなくなっても実際に内燃機関のクランクシャフトの回転が停止するまで、内燃機関は更に慣性回転する。したがって、特開平7−83093号公報のごとく、イグニッション・オフ時のクランク角を記憶しても、実際に停止した行程状態とはずれを生じ、始動する際の行程状態を正確に反映した燃料噴射や点火制御が困難となるおそれがある。
【0007】
これを解決する手法として、イグニッション・オフ後も完全にクランクシャフトの回転が停止するまで回転数センサのパルス数カウントを継続することが考えられる。すなわち、完全にクランクシャフトの回転が停止したタイミングで計測されているクランク角を記憶することが考えられる。
【0008】
ところが、内燃機関がこのような慣性回転にある時においては、圧縮行程にある気筒のピストンはクランクシャフトを逆方向に回転させる逆回転トルクを発生させ、膨張行程にある気筒のピストンはクランクシャフトを正方向に回転させる正回転トルクを発生させている。このため、内燃機関の燃焼停止から回転停止までの期間においては、慣性回転力、フリクション、前記逆回転トルク、前記正回転トルクなどにより、クランクシャフトの回転速度は決定されている。この内、前記逆回転トルクおよび前記正回転トルクはクランク角により周期的に変化するため、停止直前においては、クランクシャフトは、それまで正回転していた状態から逆転し、逆回転・正回転を繰り返す状態となり、その後に完全に停止する。そして最終的停止位置は、上述したトルクの周期的変化状態により決定される位置エネルギーが極小となる安定した回転位相にて停止するか、あるいはフリクションなどの原因により、その近傍にて停止することになる。
【0009】
しかし、停止直前に、前述した逆転現象が一旦生じると、実際にはクランク角が減少している時間が存在するにもかかわらず、正回転と同様に継続的に増加しているものとして計算されてしまう。したがって、実際のクランク角と完全停止時に求められているクランク角とが大きく異なり、クランク角から決定した行程状態と実際の行程状態とが全く異なることとなる。このため、停止時に得られたクランク角を始動時の行程判定に反映させて燃料噴射制御や点火制御を実行した場合には、予想したような初爆が早期に行われなかったりして、内燃機関の始動性が低下するおそれがある。
【0010】
更に、従来技術では、例え正確に停止時の行程状態が求められたとしても、始動以後の制御に用いられるクランク角の正確な位置は、回転数センサおよびカム角センサの両者から特徴的な信号が発生するまでは、決定することができなかった。このため、初爆以降の機関制御に遅れを生じて、始動が不安定化するおそれがある。
【0011】
本発明は、内燃機関のクランクシャフトが実際に停止した時における内燃機関の行程状態を、停止時におけるクランクシャフトの挙動に基づいて正確に限定することを目的とするものである。また、本発明は、このように限定された行程状態に基づいて再始動時の早期の初爆を実現させることを目的とするものである。また、このように限定された行程状態に基づいて再始動時に更に正確に行程状態を限定することを目的とするものである。また、このように限定された行程状態に基づいて再始動以後のクランク角の決定を早期化することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
請求項1記載の内燃機関の停止行程判別装置は、内燃機関の回転数が高くなるのに応じて時間間隔が短くなる回転信号を出力し内燃機関の特定回転位相においては前記回転信号を他の回転位相より長い時間間隔にする内燃機関回転状態検出手段を備え、該内燃機関回転状態検出手段からの回転信号単独あるいは他の検出手段の信号を組み合わせて、内燃機関のクランク角が検出される内燃機関において、内燃機関の回転において位置エネルギーが極大となる回転位相を極大位置エネルギー位相として設定し、内燃機関の停止処理後に内燃機関の回転が停止するまでの期間に、前記回転信号が、最初に、前記特定回転位相および前記極大位置エネルギー位相以外の回転位相にて前後の回転信号の時間間隔よりも長い時間間隔となった場合のクランク角を逆転クランク角として検出する逆転クランク角検出手段と、前記逆転クランク角検出手段にて検出された逆転クランク角に基づいて内燃機関の停止時の行程状態を決定する停止行程判別手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
停止までに惰性回転している内燃機関が正回転から逆回転に移る場合は、逆転時に一旦回転が停止するので、その前後の位相よりも回転速度が鈍る。このため、この時に内燃機関回転状態検出手段が出力する回転信号は、前後における回転信号の時間間隔よりも長い時間間隔となる。したがって最初に前後の時間間隔よりも長い時間間隔の回転信号となった場合には、その時のクランク角が最初に逆転したクランク角であると判断できる。
【0014】
ただし、前述したごとく極大位置エネルギー位相では、正回転と逆回転との間で切り替わらなくても、その前後の位相よりも回転速度が鈍る。したがって、この時にも、内燃機関回転状態検出手段が出力する回転信号は、前後における回転信号の時間間隔よりも長い時間間隔となる。また、内燃機関回転状態検出手段は、内燃機関の特定回転位相においては回転信号を他の回転位相より長い時間間隔にしているため、このような特定位相においても、内燃機関回転状態検出手段が出力する回転信号が、前後における回転信号の時間間隔よりも長い時間間隔となり、逆転時とは区別が困難となる場合がある。したがって、逆転クランク角検出手段は、最初に、前記特定回転位相および前記極大位置エネルギー位相以外の回転位相にて前後の回転信号の時間間隔よりも長い時間間隔となった場合のクランク角を逆転クランク角として検出する。
【0015】
このように逆転クランク角検出手段により検出された逆転クランク角が、実際に最初に正回転から逆回転になった場合の逆転位相である場合には、クランク角は逆転クランク角以上進むことがないことから、逆転クランク角より遅角側に存在する位置エネルギーが極小の位相(以下、「極小位置エネルギー位相」と称する)あるいはその位相近傍で停止することが判る。
【0016】
また、最初に正回転から逆回転になった場合の逆転位相が前記特定回転位相および前記極大位置エネルギー位相に重複していた場合には、この時のクランク角は逆転クランク角としては検出されず、2番目の逆転位相、すなわち逆回転から正回転に戻った場合の逆転位相、あるいは3番目以降の逆転位相が逆転クランク角として検出される。この2番目以降の逆転により得られた逆転クランク角は、逆回転による位相変化分が加算されているため、実際のクランク角よりも大きくなっている。すなわち実際のクランク角は、得られている逆転クランク角とは極大位置エネルギー位相を挟んでクランク角が小さい側に存在する。このことから、実際のクランク角は、計算上の逆転クランク角よりも遅角側の極大位置エネルギー位相の更に遅角側に存在する極小位置エネルギー位相あるいはその位相近傍で停止することが判る。
【0017】
したがって、逆転クランク角検出手段にて検出された逆転クランク角に基づいて、停止行程判別手段では、上述したごとく回転停止のクランク角範囲を絞ることができることから、内燃機関の行程状態を、停止時におけるクランクシャフトの挙動に基づいて正確に限定することができる。
【0021】
請求項記載の内燃機関の停止行程判別装置は、内燃機関の回転数が高くなるのに応じて時間間隔が短くなる回転信号を出力する内燃機関回転状態検出手段を備え、該内燃機関回転状態検出手段からの回転信号単独あるいは他の検出手段の信号を組み合わせて、内燃機関のクランク角が検出される内燃機関において、内燃機関の回転において位置エネルギーが極大となる回転位相を極大位置エネルギー位相として設定し、内燃機関の停止処理後に内燃機関の回転が停止するまでの期間に、前記回転信号が、最初に、前記極大位置エネルギー位相以外の回転位相にて前後の回転信号の時間間隔よりも長い時間間隔となった場合のクランク角を逆転クランク角として検出する逆転クランク角検出手段と、前記逆転クランク角検出手段にて検出された逆転クランク角に基づいて内燃機関の停止時の行程状態を決定する停止行程判別手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
本請求項では、前記請求項1と異なり、内燃機関回転状態検出手段は特定回転位相における回転信号の時間間隔が他の回転位相の時間間隔よりも長くなる構成とされていない。したがって、逆転クランク角検出手段は、内燃機関の停止処理後に内燃機関の回転が停止するまでの期間に、最初に、前記極大位置エネルギー位相以外の回転位相にて前後の回転信号の時間間隔よりも長い時間間隔となった場合のクランク角を逆転クランク角として検出する。
【0023】
このことにより請求項1にて述べたごとくのメカニズムにより、逆転クランク角検出手段により検出された逆転クランク角が、実際に最初に正回転から逆回転になった場合の逆転位相である場合には、クランク角は逆転クランク角以上進むことがないことから、逆転クランク角より遅角側に存在する極小位置エネルギー位相あるいはその位相近傍で停止することが判る。
【0024】
また、最初に正回転から逆回転になった場合の逆転位相が極大位置エネルギー位相に重複していた場合には、この時のクランク角は逆転クランク角としては検出されず、2番目以降の逆転位相が検出される。このことから、実際のクランク角は、計算上の逆転クランク角よりも遅角側の極大位置エネルギー位相の更に遅角側に存在する極小位置エネルギー位相あるいはその位相近傍で停止することが判る。
【0025】
したがって、逆転クランク角検出手段にて検出された逆転クランク角に基づいて、停止行程判別手段では、上述したごとく回転停止のクランク角範囲を絞ることができることから、内燃機関の行程状態を、停止時におけるクランクシャフトの挙動に基づいて正確に限定することができる。
【0029】
請求項記載の内燃機関の停止行程判別装置は、請求項1または2記載の構成において、内燃機関のカムシャフトの回転位相を判別する信号を出力するカム角検出手段を備え、内燃機関のクランク角は、前記内燃機関回転状態検出手段の回転信号と、前記カム角検出手段の信号とに基づいて検出されていることを特徴とする。
【0030】
より具体的には、内燃機関のクランク角は、内燃機関回転状態検出手段の回転信号と、カム角検出手段の信号とに基づいて検出するように構成することができる。このようにして構成された内燃機関の停止行程判別装置において、正確に検出された逆転クランク角に基づいて、停止行程判別手段では、内燃機関の行程状態を、停止時におけるクランクシャフトの挙動に基づいて正確に限定することができる。
【0031】
請求項記載の内燃機関の停止行程判別装置は、請求項記載の構成において、前記カム角検出手段は、カムシャフトの回転位相の内で特定の一カ所において他と異なる状態となる信号を出力するものであることを特徴とする。
【0032】
より具体的には、カム角検出手段は、カムシャフトの回転位相の内で特定の一カ所において他と異なる状態となる信号を出力するものとして構成することができる。
【0033】
請求項記載の内燃機関の停止行程判別装置は、請求項1〜のいずれか記載の構成において、前記極大位置エネルギー位相を境界として内燃機関のクランク角領域を分割設定し、前記停止行程判別手段は、前記逆転クランク角検出手段にて検出された逆転クランク角が属するクランク角領域と該クランク角領域の直前のクランク角領域とを、内燃機関の停止時の行程状態として決定することを特徴とする。
【0034】
前述したごとく、最初に得られた逆転クランク角からは、そのクランク角より遅角側の極小位置エネルギー位相あるいはその位相近傍で停止するか、あるいは更にもう一つ遅角側の極小位置エネルギー位相あるいはその位相近傍でクランク角は停止することが判る。
【0035】
このため、極大位置エネルギー位相を境界として内燃機関のクランク角領域を分割設定した場合に、停止行程判別手段は、逆転クランク角が属するクランク角領域とこのクランク角領域の直前(遅角側)のクランク角領域とを内燃機関の停止時の行程状態として限定することができることになる。このように、停止行程判別手段は、内燃機関の行程状態を正確に限定することができる。
【0036】
請求項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置は、請求項1〜のいずれか記載の内燃機関の停止行程判別装置を備えるとともに、内燃機関の始動時においては、直前の内燃機関停止時において前記停止行程判別手段にて決定されている行程状態に基づいて、燃料噴射した場合に最も早期に点火燃焼が可能な気筒に対して燃料噴射を実行する始動時燃料噴射手段を備えたことを特徴とする。
【0037】
本燃料噴射制御装置は、請求項1〜のいずれか記載の内燃機関の停止行程判別装置を備えることにより、従来よりも正確に内燃機関の行程状態を限定することができる。このように限定された行程状態に基づいて再始動時の早期の初爆を実現させることができるようになり、始動性をより高いものとできる。
【0038】
請求項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置は、請求項記載の構成において、内燃機関が吸気ポート燃料噴射タイプである場合には、前記始動時燃料噴射手段は、前記停止行程判別手段にて決定されている行程状態において吸気行程にある気筒の吸気ポートに燃料を供給することを特徴とする。
【0039】
このようにすることにより、吸気ポート燃料噴射タイプの内燃機関において、一層確実に始動時燃料噴射手段が吸気行程にある気筒の吸気ポートに燃料噴射することができる。このため、始動時において、一層確実に早期の初爆を実現することができるようになり、始動性をより高いものとできる。
【0040】
請求項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置は、請求項記載の構成において、内燃機関が筒内燃料噴射タイプである場合には、前記始動時燃料噴射手段は、前記停止行程判別手段にて決定されている行程状態において圧縮行程にある気筒の燃焼室内に燃料を供給することを特徴とする。
【0041】
このようにすることにより、筒内燃料噴射タイプの内燃機関において、一層確実に始動時燃料噴射手段が圧縮行程にある気筒の燃焼室内に燃料噴射することができる。このため、始動時において、一層確実に早期の初爆を実現することができるようになり、始動性をより高いものとできる。
【0042】
請求項記載の内燃機関の始動時行程判別装置は、請求項記載の内燃機関の停止行程判別装置または請求項のいずれか記載の内燃機関の燃料噴射制御装置を備えるとともに、内燃機関の始動時において、直前の内燃機関停止時において前記停止行程判別手段にて決定されている行程状態の内から、前記内燃機関回転状態検出手段の信号および前記カム角検出手段の信号の内の一方または両方における出力開始初期の状態に基づいて、始動時の行程状態を選別する始動時行程選別手段を備えたことを特徴とする。
【0043】
本始動時行程判別装置は、請求項記載の内燃機関の停止行程判別装置または請求項のいずれか記載の内燃機関の燃料噴射制御装置を備えることにより、前記停止行程判別手段にて正確に限定された停止時の行程状態を得ている。そして、始動時においては、このように正確に限定された行程状態から、始動時行程選別手段が、内燃機関回転状態検出手段の信号およびカム角検出手段の信号の内の一方または両方における出力開始初期の状態に基づいて、始動時の行程状態を選別することで、更に行程状態を限定している。このことにより、始動時において早期に一層確実な行程状態に絞ることができる。こうして、始動時の制御を一層精密なものとできる。
【0044】
請求項1記載の内燃機関の始動時行程判別装置は、請求項記載の内燃機関の停止行程判別装置または請求項のいずれか記載の内燃機関の燃料噴射制御装置を備えるとともに、内燃機関の始動時において、直前の内燃機関停止時において前記停止行程判別手段にて決定されている行程状態の内から、前記内燃機関回転状態検出手段の信号および前記カム角検出手段の信号の内の一方または両方における出力開始初期の状態に基づいて、始動時の行程状態を選別し、かつ該選別時点でのクランク角を決定する始動時行程選別手段を備えたことを特徴とする。
【0045】
本請求項1では、始動時行程選別手段は、始動時の行程状態を選別するとともに、この選別時点でのクランク角を決定している。このため、選別以後はクランク角にしたがって内燃機関の通常の制御が可能となる。このように限定された行程状態に基づいて再始動時に更に正確に行程状態を限定し、このように一層正確に限定された行程状態に基づいて再始動以後のクランク角の決定が早期化できる。したがって、迅速に安定した運転を開始することができるようになる。
【0046】
請求項1記載の内燃機関の始動時行程判別装置は、請求項1記載の構成に加えて、前記始動時行程選別手段により得られた始動時の行程状態と、該選別時点でのクランク角とに基づいて、最も早く燃焼が可能な気筒に点火を実行する初爆点火実行手段を備えたことを特徴とする。
【0047】
行程状態が正確に限定できることと、この行程状態に基づいて再始動以後のクランク角の決定が早期化できることから、初爆点火実行手段は最も早く初爆が可能な気筒を迅速に判断することができる。このことから、一層安定した始動が可能となる。
【0048】
前記請求項に記載したごとく始動時燃料噴射手段にて始動時に燃料噴射を行っている場合も、この燃料噴射された気筒に対して点火チャンスを逃すことなく適切に点火燃焼でき、初爆を最も早いタイミングで確実に実行させることができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1,2に上述した発明が適用された自動車用4気筒ガソリンエンジン(以下「エンジン」と略す)2の要部縦断面図を示す。図1はクランクシャフト4に直交する縦断面を示し、図2はクランクシャフト4に平行な縦断面を示している。
【0050】
エンジン2のシリンダブロック2aには1番気筒(以下「#1」で表す)、2番気筒(以下「#2」で表す)、3番気筒(以下「#3」で表す)、4番気筒(以下「#4」で表す)の4つの気筒を有する。これら各気筒(#1〜#4)毎にピストン6が往復移動可能に設けられている。これらのピストン6は、エンジン2の出力軸であるクランクシャフト4にコネクティングロッド6aを介してそれぞれ連結されている。ピストン6の往復移動は、コネクティングロッド6aによってクランクシャフト4の回転へと変換される。またエンジン2においては、始動に用いられるスタータ8が設けられている。手動による始動時にはイグニッションスイッチ10の操作に基づきスタータ8を駆動してクランクシャフト4を回転させることによりエンジン2を始動させる。またエコランシステムにより自動停止しているエンジン2を自動始動させる場合には、自動始動条件が満足されると、後述するECU50によりスタータ8が駆動されてクランクシャフト4が回転しエンジン2が始動される。
【0051】
図1に示すように(図2では略している)、クランクシャフト4にはシグナルロータ12が取り付けられている。このシグナルロータ12の外周部には、クランクシャフト4の軸線を中心として等角度間隔(ここでは10°間隔)に配置された34個の突起12aと、1個の幅広の欠歯12bが設けられている。そして、シグナルロータ12の外周部に対向して、クランクポジションセンサ14が設けられている。このように構成されていることにより、クランクシャフト4が回転した場合には、シグナルロータ12の各突起12aおよび欠歯12bが順次クランクポジションセンサ14の近傍を通過することにより、クランクポジションセンサ14からはそれら各突起12aおよび欠歯12bの通過数に対応したパルス状の回転信号(以下「NE信号」と称する)が出力される。
【0052】
また、シリンダブロック2a上にはシリンダヘッド16が設けられている。シリンダヘッド16とピストン6との間には燃焼室18が設けられ、この燃焼室18には吸気通路20および排気通路22が接続されている。そして、燃焼室18と吸気通路20とは吸気バルブ24の開閉動作によって連通・遮断され、燃焼室18と排気通路22とは排気バルブ26の開閉動作によって連通・遮断される。
【0053】
更に、シリンダヘッド16には吸気バルブ24および排気バルブ26を開閉駆動するための吸気カムシャフト28および排気カムシャフト30が回転可能に支持されている。これら吸気カムシャフト28および排気カムシャフト30は、タイミングプーリおよびタイミングベルト(共に図示せず)を介してクランクシャフト4に連結され、クランクシャフト4の回転に連動して回転する。
【0054】
吸気カムシャフト28の外周面には3個の突起32,34,36が吸気カムシャフト28の軸線を中心として90°(180°CAに相当する)間隔に配列して設けられている。したがって両端の突起32と突起36との間隔は180°(360°CAに相当する)となっている。これら突起32〜36に対向するように、シリンダヘッド16においては、突起32〜36を検出して検出信号を出力するカムポジションセンサ38が設けられている。吸気カムシャフト28が回転した場合には、突起32〜36がカムポジションセンサ38の近傍を通過する。このことにより、カムポジションセンサ38からは、突起32〜36のそれぞれの通過に対応してパルス状の検出信号が出力される。
【0055】
なお、吸気カムシャフト28に取り付けられているタイミングプーリと一体に可変バルブタイミング機構(以下「VVT」と称する)39が設けられている。このVVT39は、クランクシャフト4に対して吸気カムシャフト28の回転位相を進角量を調整することにより、吸気バルブ24のバルブタイミングを可変とする装置である。したがってカムポジションセンサ38の検出信号は気筒判別信号であると共に、吸気バルブ24のバルブタイミングの検出信号でもある。
【0056】
吸気通路20には、燃料を吸気ポート20aへ向けて噴射する燃料噴射弁40が設けられている。この燃料噴射弁40からは、必要なタイミング、通常は吸気行程時に、エンジン2の運転状態に応じて算出された量の燃料噴射が行われる。この燃料噴射によって吸気ポート20aの空気と共に混合気が形成されて燃焼室18内に吸入される。更にシリンダヘッド16には点火プラグ42が設けられ、この点火プラグ42によって圧縮行程中に燃焼室18内の混合気に対して点火が行われる。この点火プラグ42の点火時期は、点火プラグ42の上方に設けられたイグナイタ44によって制御される。そして、燃焼室内の混合気が点火されて燃焼すると、このときの燃焼エネルギによりピストン6が往復移動してエンジン2が回転駆動される。
【0057】
次に、本実施の形態における制御系統の電気的構成について図3を参照して説明する。この制御系統には、燃料噴射制御および点火時期制御など、エンジン2の運転状態を制御するための電子制御ユニット(以下、ECUという)50を備えている。このECU50は、CPU50a、ROM50b、RAM50c、およびバックアップRAM50d等を備える算術論理演算回路として構成されている。ここで、CPU50aはROM50bに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAM50cはCPU50aでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM50dはエンジン2の停止時にその記憶されたデータ等を保存する不揮発性のメモリである。そして、CPU50a、ROM50b、RAM50cおよびバックアップRAM50dは、バス50eを介して互いに接続されるとともに、外部入力回路50fおよび外部出力回路50gと接続されている。
【0058】
外部入力回路50fには、クランクポジションセンサ14、カムポジションセンサ38、スタータ8、およびイグニッションスイッチ10等が接続されている。また、外部出力回路50gには、スタータ8の駆動回路、#1〜#4の各燃料噴射弁40、イグナイタ44およびVVT39等がそれぞれ接続されている。
【0059】
上述したごとく構成されたECU50においては、その通電状態がイグニッションスイッチ10の操作に基づき切り換えられる。イグニッションスイッチ10は、オフ位置、アクセサリ位置、オン位置、およびスタート位置の4つの位置に切り換え可能なものであって、オフ位置もしくはアクセサリ位置にあるときにはECU50が非通電状態となる。イグニッションスイッチ10がオン位置にある時にはECU50は通電状態となる。またイグニッションスイッチ10がスタート位置にある時にはスタータ8が駆動されてクランクシャフト4の強制的な回転(クランキング)が実行され、エンジン2の始動がなされる。
【0060】
エンジン2の運転中においては、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、および排気行程の各行程が、#1→#3→#4→#2→#1の順で行われる。そして、各気筒(#1〜#4)においては、吸気行程中に燃料噴射弁40からの燃料噴射が実行されるとともに、圧縮上死点近傍、通常は圧縮上死点直前にて点火プラグ42による点火が実行される。
【0061】
ここで、エンジン2が駆動している時においてECU50に入力されるクランクポジションセンサ14、およびカムポジションセンサ38からの信号を図4に示す。図4において、(a)は吸気カムシャフト28の回転に伴いカムポジションセンサ38内に発生する電圧波形を示すものである。(b)は(a)の電圧波形をパルス状のカム角信号に変換したものである。(c)はクランクシャフト4の回転に伴いクランクポジションセンサ14内に発生する電圧波形を示すものである。(d)は(c)の電圧波形をNE信号に変換したものである。このNE信号の内、突起12aに対応するパルス数は、クランクシャフト4の1回転(360°CA)当たりに「34」となっている。また、クランクポジションセンサ14から出力される回転信号のうち、欠歯12bに対応する部分ではパルスの間隔が2パルス存在しないことにより広くされている。このパルス間隔が広い部分の数は、クランクシャフト4の1回転(360°CA)当たりに「1」となっている。そして、欠歯12bに対応する部分は、図5の行程状態説明図にてKKBで示すように、#2および#3の圧縮行程中にクランクポジションセンサ14から出力される。すなわち、こうしたタイミングで欠歯12bに対応するパルス信号が出力されるよう欠歯12bの位置が設定されている。
【0062】
ECU50は、上述したクランクポジションセンサ14のNE信号およびカムポジションセンサ38からのカム角信号に基づきクランクシャフト4および吸気カムシャフト28の回転位相を検知する。そして、ECU50は、クランクシャフト4および吸気カムシャフト28の回転位相から各気筒(#1〜#4)について気筒判別を行い、それら各気筒(#1〜#4)のうち燃料噴射や点火を行うべき気筒を選択する。また、ECU50は、クランクポジションセンサ14のNE信号や、図示していないアクセル開度センサ、吸入空気量センサ、水温センサ等の出力にもとづいて、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、VVT39によるバルブタイミングの調整を行っている。
【0063】
なお、運転中のエンジン2を運転者が手動で停止させる際には、イグニッションスイッチ10をオン位置からアクセサリ位置もしくはオフ位置に切り換える。このようにイグニッションスイッチ10が切り換えられる(停止指令がなされる)と、ECU50により燃料噴射弁40からの燃料噴射が停止されるのでエンジン2の駆動は停止する。なお、このイグニッションスイッチ10の切り換え時には直ちにECU50が非通電状とされるのではなく、少なくともクランクシャフト4の回転が完全に停止するまではECU50には通電され、その後、適当なタイミングでECU50が非通電とされる。このように燃料噴射停止後もクランクシャフト4の回転中はECU50を通電状態に維持するのは、後述する停止行程判別処理を完遂させるためである。
【0064】
これ以外にエンジン2が停止する状況としては、前述したエコランシステムによってエンジン2が自動停止される場合がある。この場合には、クランクシャフト4の回転停止有無にかかわらずECU50は通電状態に維持されている。
【0065】
ところで、エンジン2を停止させるために燃料噴射弁40からの燃料噴射を停止すると、エンジン2は惰性回転に移り、クランクシャフト4の回転速度(エンジン回転数)が徐々に低下する。この状態にあっては、圧縮行程中の密閉された燃焼室18から生じる逆方向の回転トルク、および膨張行程中の密閉された燃焼室18から生じる正方向の回転トルクがクランクシャフト4の回転に影響する。すなわち、図5に示したごとく、行程の中央部分(90,270,450,630°CA)が極小位置エネルギー回転位相となり、行程の境界部分(0,180,360,540°CA)が極大位置エネルギー位相となる。
【0066】
このため、エンジン2が惰性回転にある場合には、図6(b)に示すごとく、クランクポジションセンサ14に発生する電圧波形は、行程の境界部分(0,180,360,540°CA)の極大位置エネルギー位相TOPを乗り越える際には一旦エンジン回転数が低下する。したがって、極大位置エネルギー位相TOP通過の際には前後よりも長い波長(周波数としては低い)となる。すなわちNE信号のパルス間隔が前後よりも長くなる。また、欠歯12bの回転位相KKBにおいては、前述した構成により自ずと前後よりも長い波長となり、NE信号のパルス間隔が前後よりも長くなるようにされている。
【0067】
そして、惰性回転しているエンジン2がフリクション等により次第に回転エネルギーを失い、極大位置エネルギー位相TOPを乗り越えられなくなると、エンジン2の回転は一旦停止する。そして、この回転位相を逆転回転位相RVSとして、正回転から逆回転へと逆転現象を生じる。この逆転回転位相RVSにおいても一旦回転が停止することから、クランクポジションセンサ14に発生する電圧波形は前後より長波長となり、NE信号のパルス間隔が前後よりも長くなる。
【0068】
以後、逆回転しても遅角側の極大位置エネルギー位相TOPを乗り越える回転エネルギーは無いので、乗り越えられなかった極大位置エネルギー位相TOPとその遅角側の極大位置エネルギー位相TOPとの間に挟まれた領域内で、逆転を繰り返して、最後には完全にエンジン2の惰性回転は停止する。したがって最初にNE信号のパルス間隔が前後よりも長くなったクランク角を、最初の逆転回転位相RVSとして検出すれば、エンジン2が実際に停止した時の各気筒(#1〜#4)の行程状態が判明し、始動時でのエンジン制御に用いることができる。
【0069】
しかし、極大位置エネルギー位相TOPを乗り越える際にも、そして欠歯12bの回転位相KKBにおいても、NE信号のパルス間隔が前後よりも長くなるため、本実施の形態のECU50は、次に説明する図7の停止行程判別処理により、エンジン2の停止時の行程状態を決定している。
【0070】
停止行程判別処理(図7)について説明する。この処理は、運転者がイグニッションスイッチ10をオン位置からアクセサリ位置もしくはオフ位置に切り換えた時、あるいはエコランシステムにより自動停止された時から、エンジン2の回転が完全に停止するまで繰り返し実行される処理である。実際には、停止行程判別処理は、図4(d)に示したNE信号のパルス出力がなされる毎に繰り返し実行され、必要に応じてNE信号のパルス出力がなされなくなってクランクシャフト4の回転が完全に停止した場合にも割り込み実行される。
【0071】
本処理が開始されると、まず、図4(d)に示したNE信号による割り込みか否かが判定される(S110)。NE信号のパルス出力による割り込みであれば(S110で「YES」)、次にCPU50aに内蔵されているタイマーによりカウントされている現在の時刻を表す数値を時刻変数t(n)に設定する(S120)。そして、次式1に示すごとく、今回の時刻変数t(n)から前回の制御周期でのステップS120の処理にて設定されている時刻変数t(n−1)を減算して(S130)、NEパルス出力の時間間隔を表すパルス幅Tne(n)を算出する(S130)。
【0072】
【数1】
Tne(n) ← t(n) − t(n−1) … [式1]
次に、クランク角を表すクランクカウンタCCRNKの更新処理を行う。このクランクカウンタCCRNKは、NE信号を3分周してカウントアップされる値であり、図8にCCRNK更新処理の詳細を示す。
【0073】
CCRNK更新処理では、まず、今回のパルスが欠歯12bを検出しているか否かが判定される(S141)。欠歯12bか否かはパルス幅Tne(n)が前回の制御周期でのパルス幅Tne(n−1)に対して基準比率(例えば、2.5))よりも大きい(例えば、Tne(n)>2.5×Tne(n−1))ことにより、極大位置エネルギー位相TOPでのパルス幅Tne(n)の極大化や逆転回転位相RVSでの極大化とは区別して判定できる。
【0074】
欠歯12bによるものでなければ(S141で「NO」)、次にパルス出力のカウント数を表す変数mを「1」増加させる(S142)。そして変数mが3以上となったか否かが判定される(S143)。m≧3であれば(S143で「YES」)、次に変数mに「0」を設定し(S144)、更に、クランクカウンタCCRNKを「1」増加させる(S145)。そして、クランクカウンタCCRNKが「23」より大きいか否かが判定される(S146)。CCRNK>23であれば(S146で「YES」)、クランクカウンタCCRNKに「0」を設定する(S147)。
【0075】
なお、ステップS143でm<3の場合は(S143で「NO」)、クランクカウンタCCRNKは「1」増加させることなく一旦CCRNK更新処理を出る。また、ステップS146でCCRNK≦23であれば(S146で「NO」)、クランクカウンタCCRNKに「0」を設定することなく、一旦CCRNK更新処理を出る。
【0076】
今回のパルス出力が欠歯12bを検出したものであった場合には(S141で「YES」)、次に今回の欠歯検出と前回の欠歯検出との間に2回のカム角信号PCAが入力されているか否かが判定される(S148)。2回のカム角信号PCAが入力されていれば(S148で「YES」)、クランクカウンタCCRNKに「4」が設定される(S149)。2回のカム角信号PCAが入力されていなければ(S148で「NO」)、クランクカウンタCCRNKに「16」が設定される(S150)。
【0077】
なお、このCCRNK更新処理(S140:図8)はエンジン2の駆動中にも行われている。本実施の形態では、上述したごとくエンジン2の駆動停止後もクランクシャフト4が停止するまで実行されることになる。
【0078】
CCRNK更新処理(S140:図8)が終了すると、次にNE信号のパルス幅Tneが極大となったか否かが判定される(S160)。例えば、前々回のパルス幅Tne(n−2)から前回のパルス幅Tne(n−1)へはパルス幅が増加しており、今回のパルス幅Tne(n)が前回のパルス幅Tne(n−1)よりも減少している場合に、前回の制御周期にてパルス幅Tne(n−1)が極大となったと判定される。すなわち前後の状態よりもパルス幅Tne(n−1)が長ければ、その位相で極大となったと判定される。パルス幅Tne(n−1)が極大となっていなければ(S160で「NO」)、このまま、停止行程判別処理を一旦終了する。パルス幅Tneが極大となっていれば(S160で「YES」)、次に行程状態変数N設定処理が実行される(S170)。
【0079】
図9に行程状態変数N設定処理の詳細を示す。行程状態変数N設定処理では、まず、前回制御周期時のクランクカウンタCCRNK(n−1)が「0,4,6,12,16,18」のいずれかに該当するか否かを判定する(S171)。この内、CCRNK(n−1)=「4,16」は、欠歯12bによりパルス幅Tneに極大が現れるクランク角位相に対応している。また、CCRNK(n−1)=「0,6,12,18」は、極大位置エネルギー位相TOPを通過する際に一旦回転数が低下することによりパルス幅Tneに極大が現れるクランク角位相に対応している。
【0080】
このように、正回転を継続していてもCCRNK(n−1)=「0,4,6,12,16,18」である場合にはパルス幅Tneが極大となる。このような極大位相が生じたことが判明すると(S171で「YES」)、このまま一旦行程状態変数N設定処理から出る。
【0081】
CCRNK(n−1)=「0,4,6,12,16,18」でない場合には(S171で「NO」)、次にCCRNK(n−1)=「18〜23」か否かが判定される(S172)。このようにCCRNK(n−1)=「18〜23」である状態は、図5に示されているごとく、#1が圧縮行程、#2が膨張行程、#3が吸気行程および#4が排気行程にある状態を示している。なお、以下、行程状態は、圧縮行程の気筒にて代表して述べるものとする。したがって、この場合の行程状態は#1が圧縮行程となっている状態である。
【0082】
CCRNK(n−1)=「18〜23」であれば(S172で「YES」)、行程状態変数Nに「1」が設定され(S173)、このまま一旦行程状態変数N設定処理を出る。なお、行程状態変数Nには初期値として「0」が予め設定されているものとする。
【0083】
ここで、ステップS172にて「YES」と判定された状態は、前回制御周期でのクランクカウンタCCRNK(n−1)が「18〜23」にある時に、パルス幅Tne(n−1)が極大になったことを示している。ただし、CCRNK(n−1)=「18」については、ステップS171にて「YES」となるため、ステップS172にて「YES」と判定されることはない。すなわち、ステップS172にて「YES」と判定された状態は、#1が圧縮行程である状態において、正回転を継続していたのでは通常生じないクランク角位相にて、パルス幅Tne(n−1)が最初に極大となったことを示している。
【0084】
この状態となるには、2つの場合が考えられる。第1の場合は、#1が圧縮行程にある時に最初の逆転が生じた場合である。したがって、この場合は、クランクシャフト4は、以後、クランク角位相540°CAと0(720)°CAとの間の領域で、逆回転と正回転とを繰り返して、極小位置エネルギー回転位相BTM(630°CA)あるいはこの位相近傍にて回転を停止する。
【0085】
第2の場合は、最初の逆転が実際には、CCRNK(n−1)=「0,4,6,12,16,18」と重なったために、ステップS171にて「YES」と判定されて、最初の逆転は検出されず、実際には2番目の逆転が最初の逆転として検出された場合である。例えば、CCRNK(n−1)=「16」または「18」にて最初の逆転が生じたが、ステップS171にて「YES」と判定されて検出されず、2番目の逆転、すなわち逆回転から正回転への逆転時に生じたパルス幅Tne(n−1)の極大を捉えた場合である。この場合は、実際には#2の圧縮行程(CCRNK(n−1)=「12〜17」)にて逆回転と正回転とを繰り返して、極小位置エネルギー回転位相BTM(450°CA)あるいはこの位相近傍にて回転を停止することになる。しかし、逆回転においてもNE信号がカウントされてクランクカウンタCCRNKがカウントアップされるので、逆転の検出時のクランクカウンタCCRNK(n−1)の数値は、#1が圧縮行程状態にあるかのような値を示す。
【0086】
このように、第1の場合と第2の場合とが存在するため、行程状態変数N=「1」は、完全停止時のクランク角位相が#1と#2とのいずれかが圧縮行程にあることを表すものとなる。
【0087】
また、ステップS171,S172にて共に「NO」と判定されると、次にCCRNK(n−1)=「0〜5」か否かが判定される(S174)。このようにCCRNK(n−1)=「0〜5」である状態は、#3が圧縮行程にある状態を示している。CCRNK(n−1)=「0〜5」であれば(S174で「YES」)、行程状態変数Nに「2」が設定され(S175)、このまま一旦行程状態変数N設定処理を出る。
【0088】
ここで、ステップS174にて「YES」と判定された状態は、クランクカウンタCCRNK(n−1)が「0〜5」にある時に、パルス幅Tne(n−1)が極大になったことを示している。ただし、CCRNK(n−1)=「0」および「4」については、ステップS171にて「YES」となるため、ステップS174にて「YES」と判定されることはない。すなわち、正回転を継続していたのでは通常生じないクランク角位相にて、最初にパルス幅Tne(n−1)が極大となったことを示している。
【0089】
この状態となるには、2つの場合が考えられる。第1の場合は、#3が圧縮行程にある時に最初の逆転が生じた場合である。したがって、この場合は、クランクシャフト4は、以後、クランク角位相0°CAと180°CAとの間の領域で、逆回転と正回転とを繰り返して、極小位置エネルギー回転位相BTM(90°CA)あるいはこの位相近傍にて回転を停止する。
【0090】
第2の場合は、最初の逆転が実際には、CCRNK=「0,4,6,12,16,18」と重なったために、ステップS171にて「YES」と判定されて、最初の逆転は検出されず、2番目の逆転が最初の逆転であると検出された場合である。例えば、CCRNK=「0」にて最初の逆転が生じたが、ステップS171にて「YES」と判定されて検出されず、2番目の逆転、すなわち逆回転から正回転に切り替わった場合に生じたパルス幅Tne(n−1)の極大を捉えた場合である。この場合は、実際には#1の圧縮行程(CCRNK(n−1)=「18〜23」)にて逆回転と正回転とを繰り返して、極小位置エネルギー回転位相BTM(630°CA)あるいはこの位相近傍にて回転を停止することになる。しかし、逆回転においてもNE信号がカウントされてクランクカウンタCCRNKがカウントアップされるので、クランクカウンタCCRNK(n−1)の数値は、#3が圧縮行程にあるかのような値を示すようになる。
【0091】
このように、行程状態変数N=「2」は、完全停止時のクランク角位相が#1と#3とのいずれかが圧縮行程状態にあることを表すものとなる。
また、ステップS171,S172,S174にて共に「NO」と判定されると、次にCCRNK(n−1)=「6〜11」か否かが判定される(S176)。このようにCCRNK(n−1)=「6〜11」である状態は、#4が圧縮行程にある状態を示している。CCRNK(n−1)=「6〜11」であれば(S176で「YES」)、行程状態変数Nに「3」が設定され(S177)、このまま一旦行程状態変数N設定処理を出る。
【0092】
ここで、ステップS176にて「YES」と判定された状態は、クランクカウンタCCRNK(n−1)が「6〜11」にある時に、パルス幅Tne(n−1)が極大になったことを示している。ただし、CCRNK(n−1)=「6」については、ステップS171にて「YES」となるため、ステップS176にて「YES」と判定されることはない。すなわち、正回転を継続していたのでは通常生じないクランク角位相にて、最初にパルス幅Tne(n−1)が極大となったことを示している。
【0093】
この状態となるには、2つの場合が考えられる。第1の場合は、#4が圧縮行程にある時に最初の逆転が生じた場合である。したがって、この場合は、クランクシャフト4は、以後、クランク角位相180°CAと360°CAとの間の領域で、逆回転と正回転とを繰り返して、極小位置エネルギー回転位相BTM(270°CA)あるいはこの位相近傍にて回転を停止する。
【0094】
第2の場合は、最初の逆転が実際には、CCRNK(n−1)=「0,4,6,12,16,18」と重なったために、ステップS171にて「YES」と判定されて、実際には最初の逆転は検出されず、2番目の逆転が最初の逆転として検出された場合である。例えば、CCRNK=「4」または「6」にて最初の逆転が生じたが、ステップS171にて「YES」と判定されて検出されず、2番目の逆転、すなわち逆回転から正回転に切り替わった場合に生じたパルス幅Tne(n−1)の極大を捉えた場合である。この場合は、実際には#3の圧縮行程(CCRNK(n−1)=「0〜5」)にて逆回転と正回転とを繰り返して、極小位置エネルギー回転位相BTM(90°CA)あるいはこの位相近傍にて回転を停止することになる。しかし、逆回転においてもNE信号がカウントされてクランクカウンタCCRNKがカウントアップされるので、クランクカウンタCCRNK(n−1)の数値は、#4が圧縮行程にあるかのような値を示す。
【0095】
このように、行程状態変数N=「3」は、完全停止時のクランク角位相が#3と#4とのいずれかが圧縮行程状態にあることを表すものとなる。
また、ステップS171,S172,S174,S176にて共に「NO」と判定されると、次にCCRNK(n−1)=「12〜17」か否かが判定される(S178)。このようにCCRNK(n−1)=「12〜17」である状態は、#2が圧縮行程にある状態を示している。CCRNK(n−1)=「12〜17」であれば(S178で「YES」)、行程状態変数Nに「4」が設定され(S179)、このまま一旦行程状態変数N設定処理を出る。
【0096】
ここで、ステップS178にて「YES」と判定された状態は、クランクカウンタCCRNK(n−1)が「12〜17」にある時に、パルス幅Tne(n−1)が極大になったことを示している。ただし、CCRNK=「12」および「16」については、ステップS171にて「YES」となるため、ステップS178にて「YES」と判定されることはない。すなわち、正回転を継続していたのでは通常生じないクランク角位相にて、最初にパルス幅Tne(n−1)が極大となったことを示している。
【0097】
この状態となるには、2つの場合が考えられる。第1の場合は、#2が圧縮行程にある時に最初の逆転が生じた場合である。したがって、この場合は、クランクシャフト4は、以後、クランク角位相360°CAと540°CAとの間の領域で、逆回転と正回転とを繰り返して、極小位置エネルギー回転位相BTM(430°CA)あるいはこの位相近傍にて回転を停止する。
【0098】
第2の場合は、最初の逆転が実際には、CCRNK=「0,4,6,12,16,18」と重なったために、ステップS171にて「YES」と判定されて、最初の逆転は検出されず、2番目の逆転が最初の逆転として検出された場合である。例えば、CCRNK=「12」にて最初の逆転が生じたが、ステップS171にて「YES」と判定されて検出されず、2番目の逆転、すなわち逆回転から正回転に切り替わった場合に生じたパルス幅Tne(n−1)の極大を捉えた場合である。この場合は、実際には#4の圧縮行程(CCRNK(n−1)=「6〜11」)にて逆回転と正回転とを繰り返して、極小位置エネルギー回転位相BTM(270°CA)あるいはこの位相近傍にて回転を停止することになる。しかし、逆回転においてもNE信号がカウントされてクランクカウンタCCRNKがカウントアップされるので、クランクカウンタCCRNK(n−1)の数値は、#2が圧縮行程状態にあるかのような値を示すようになる。
【0099】
このように、行程状態変数N=「4」は、完全停止時のクランク角位相が#2と#4とのいずれかが圧縮行程状態にあることを表すものとなる。
なお、3番目以降の逆転において前述したステップS172,S174,S176,S178にて「YES」と判定される場合は極めて少ない。しかし、このように3番目以降の逆転が最初の逆転として検出されたとしても、正回転および逆回転の繰り返しによるクランクカウンタCCRNKの増加は大きなものでない。したがって行程状態変数Nにて限定した完全停止時のクランク角位相から外れるような誤差は生じない。
【0100】
次に、ステップS171,S172,S174,S176,S178にて共に「NO」と判定されると、このまま一旦行程状態変数N設定処理を出る。したがって、この場合は行程状態変数Nは初期設定の「0」のままである。
【0101】
なお、停止行程判別処理(図7)において、NE信号のパルス出力による割り込みでなく、クランクシャフト4の回転停止時の割り込みである場合は(S110で「NO」)、逆転が検出されずに停止したことを示しており、停止したクランク角位相でのクランクカウンタCCRNKについて判定される。この場合は、上述した行程状態変数N設定処理(図9)のステップS172から実行される。
【0102】
したがって、CCRNK(n−1)=「18〜23」であれば(S172で「YES」)、行程状態変数Nに「1」が設定され(S173)、#1と#2とのいずれかが圧縮行程にあることを示す。すなわち、全く逆転せずにCCRNK(n−1)=「18〜23」の値であれば#1の圧縮行程で回転停止したことになる。また、最初の逆転が実際には、CCRNK=「0,4,6,12,16,18」と重なったために、ステップS171にて「YES」と判定され、その後、逆転無しでCCRNK(n−1)=「18〜23」の値となれば#2の圧縮行程で回転停止したことになる。最初の逆転ばかりでなくすべての逆転がことごとくCCRNK=「0,4,6,12,16,18」と重なった場合も#2の圧縮行程で回転停止したことになる。
【0103】
同様にして、CCRNK=「0〜5」であれば(S174で「YES」)、行程状態変数Nに「2」が設定され(S175)、#1と#3とのいずれかが圧縮行程にあることを示す。また、CCRNK=「6〜11」であれば(S176で「YES」)、行程状態変数Nに「3」が設定され(S177)、#3と#4とのいずれかが圧縮行程にあることを示す。また、CCRNK=「12〜17」であれば(S178で「YES」)、行程状態変数Nに「4」が設定され(S179)、#2と#4とのいずれかが圧縮行程にあることを示す。
【0104】
このようにして、行程状態変数N設定処理(S170:図9)が終了すると次に行程状態変数N=「0」か否かが判定される(S180)。行程状態変数Nが「0」であって(S180で「YES」)、未だ行程状態変数Nが設定されていなければ、一旦、停止行程判別処理を終了する。
【0105】
一方、行程状態変数Nに「1〜4」のいずれかの値が設定されいてれば(S180で「NO」)、停止行程判別処理割り込み実行を停止する設定をして(S190)、停止行程判別処理を終了する。この停止行程判別処理割り込み実行の停止設定(S190)により、再度、運転者がイグニッションスイッチ10をオン位置からアクセサリ位置もしくはオフ位置に切り換えるまで、あるいはエコランシステムにより自動停止されるまで、停止行程判別処理(図7)は停止される。なお、行程状態変数Nの値は、バックアップRAM50dに記憶されるので、停止行程判別処理(図7)後にECU50の電源が切られた場合でも、次の始動時まで保持される。
【0106】
次に、上述したごとくに設定されバックアップRAM50dに記憶された行程状態変数Nの値に基づいて始動時に行われる処理について説明する。この始動時とは、イグニッションスイッチ10をスタート位置にした時、あるいはエコランシステムにより自動始動を開始した時である。
【0107】
図10に行程状態変数Nの値に基づいて行われる始動時燃料噴射処理を示す。本処理は始動時に1回実行される処理である。本処理が開始されると、まず、行程状態変数Nが「1」か否かが判定される(S210)。N=「1」であれば(S210で「YES」)、#1と#2とのいずれかが圧縮行程状態にあることを示していることから、この行程状態では#1と#3とのいずれかが吸気行程にあることになる。したがって、#1と#3との両方に燃料噴射を実行する(S220)。すなわち、始動時に冷却水温THWに基づいて設定された燃料量を、#1と#3との両方の燃料噴射弁40から、各吸気ポート20aに向けて噴射する。こうして始動時燃料噴射処理を終了する。このことにより、吸気行程にある#1と#3とのいずれかの燃焼室18に、エンジン2のクランキングにより、燃料は吸気とともに直ちに吸い込まれる。そして、引き続いて圧縮行程となり、圧縮行程の終了近傍で点火がなされて初爆がなされる。
【0108】
例えば、実際には停止状態では#1が圧縮行程にあった場合には(CCRNK=「18〜23」)、この時に吸気行程にあるのは#3である。したがって、#3の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料が直ちに吸入されて、クランク角位相=180°CA近傍にて初爆となる。そして、#1の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料は、3行程後に訪れる吸気行程にて#1の燃焼室18に吸入されて燃焼に用いられる。
【0109】
また、実際には#2が圧縮行程であった場合には(CCRNK=「12〜17」)、吸気行程にあるのは#1となる。したがって、#1の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料が直ちに吸入されて、クランク角位相=0°CA近傍にて初爆となる。そして、#3の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料は、更に直後の吸気行程にて#3の燃焼室18に吸入されてクランク角位相=180°CA近傍にて点火燃焼される。
【0110】
N=「1」でなければ(S210で「NO」)、次に行程状態変数Nが「2」か否かが判定される(S230)。N=「2」であれば(S230で「YES」)、#1と#3とのいずれかが圧縮行程状態にあることを示していることから、この行程状態では#3と#4とのいずれかが吸気行程にある。したがって、#3と#4との両方に燃料噴射を実行する(S240)。すなわち、始動時に冷却水温THWに基づいて設定された燃料量を、#3と#4との両方の燃料噴射弁40から、各吸気ポート20aに向けて噴射する。こうして始動時燃料噴射処理を終了する。このことにより、吸気行程にある#3と#4とのいずれかの燃焼室18に、エンジン2のクランキング時に、燃料は吸気とともに直ちに吸い込まれる。そして、引き続いて圧縮行程となり、圧縮行程の終了時に点火がなされて初爆がなされる。
【0111】
例えば、実際には#3が圧縮行程であった場合には(CCRNK=「0〜5」)、吸気行程にあるのは#4である。したがって、#4の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料が直ちに吸入されて、クランク角位相=360°CA近傍にて初爆となる。そして、#3の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料は、3行程後に訪れる吸気行程にて#3の燃焼室18に吸入されて燃焼に用いられる。
【0112】
また、実際には#1が圧縮行程であった場合には(CCRNK=「18〜23」)、吸気行程にあるのは#3である。したがって、#3の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料が直ちに吸入されて、クランク角位相=180°CA近傍にて初爆となる。そして、#4の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料は、更に直後の吸気行程にて#4の燃焼室18に吸入されてクランク角位相=360°CA近傍にて点火燃焼される。
【0113】
N=「2」でなければ(S230で「NO」)、次に行程状態変数Nが「3」か否かが判定される(S250)。N=「3」であれば(S250で「YES」)、#3と#4とのいずれかが圧縮行程状態にあることを示していることから、この行程状態では#2と#4とのいずれかが吸気行程にある。したがって、#2と#4との両方に燃料噴射を実行する(S260)。すなわち、始動時に冷却水温THWに基づいて設定された燃料量を、#2と#4との両方の燃料噴射弁40から、各吸気ポート20aに向けて噴射する。こうして始動時燃料噴射処理を終了する。このことにより、吸気行程にある#2と#4とのいずれかの燃焼室18に、エンジン2のクランキング時に燃料は吸気とともに直ちに吸い込まれる。そして、引き続いて圧縮行程となり、圧縮行程の終了時に点火がなされて初爆がなされる。
【0114】
例えば、実際には#4が圧縮行程であった場合には(CCRNK=「6〜11」)、吸気行程にあるのは#2である。したがって、#2の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料が直ちに吸入されて、クランク角位相=540°CA近傍にて初爆となる。そして、#4の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料は、3行程後に訪れる吸気行程にて#4の燃焼室18に吸入されて燃焼に用いられる。
【0115】
また、実際には#3が圧縮行程であった場合には(CCRNK=「0〜5」)、吸気行程にあるのは#4である。したがって、#4の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料が直ちに吸入されて、クランク角位相=360°CA近傍にて初爆となる。そして、#2の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料は、更に直後の吸気行程にて#2の燃焼室18に吸入されてクランク角位相=540°CA近傍にて点火燃焼される。
【0116】
N=「3」でなければ(S250で「NO」)、行程状態変数Nが「4」である。このことは、#2と#4とのいずれかが圧縮行程状態にあることを示していることから、この行程状態では#1と#2とのいずれかが吸気行程にある。したがって、#1と#2との両方に燃料噴射を実行する(S270)。すなわち、始動時に冷却水温THWに基づいて設定された燃料量を、#1と#2との両方の燃料噴射弁40から、各吸気ポート20aに向けて噴射する。こうして始動時燃料噴射処理を終了する。このことにより、吸気行程にある#1と#2とのいずれかの燃焼室18に、エンジン2のクランキング時に燃料は吸気とともに直ちに吸い込まれる。そして、引き続いて圧縮行程となり、圧縮行程の終了時に点火がなされて初爆がなされる。
【0117】
例えば、実際には#2が圧縮行程であった場合には(CCRNK=「12〜17」)、吸気行程にあるのは#1である。したがって、#1の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料が直ちに吸入されて、クランク角位相=720°CA近傍にて初爆となる。そして、#2の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料は、3行程後に訪れる吸気行程にて#2の燃焼室18に吸入されて燃焼に用いられる。
【0118】
また、実際には#4が圧縮行程であった場合には(CCRNK=「6〜11」)、吸気行程にあるのは#2である。したがって、#2の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料が直ちに吸入されて、クランク角位相=540°CAにて初爆となる。そして、#1の吸気ポート20aに向けて噴射された燃料は、更に直後の吸気行程にて#1の燃焼室18に吸入されてクランク角位相=0°CA近傍にて点火燃焼される。
【0119】
次に、イグニッションスイッチ10をスタート位置にした時以後、あるいはエコランシステムにより自動始動を開始した時以後に行われるクランク角設定処理について図11〜15に基づいて説明する。本クランク角設定処理はNE信号のパルス出力毎に割り込み実行される処理である。
【0120】
クランク角設定処理が開始されると、まず、選別完了フラグFsが「OFF」か否かが判定される(S310)。ここで、選別完了フラグFsは後述する各選別処理(図12〜15)にて、始動開始時に圧縮行程にある気筒が選別された場合に「ON」に設定されるフラグであり、始動時にはFs=「OFF」に初期化されている。したがって、最初はFs=「OFF」(S310で「YES」)であるので、次にスタータ8がオンしてからの回転クランク角Scaをカウントする(S315)。すなわち、ステップS315の実行毎に10°CAが加算される。ただし欠歯12bであった場合には30°CAが加算される。
【0121】
次にバックアップRAM50dに記憶されている行程状態変数Nを読み出して、N=「1」か否かを判定する(S320)。ここで、N=「1」であれば(S320で「YES」)、図12に示す#1,2選別処理が実行される(S330)。N=「1」では、前述したごとくエンジン2の停止時の行程状態は、#1あるいは#2のいずれかが圧縮行程にあることが判明している。すなわち、#1,2選別処理は、実際には#1あるいは#2のいずれの圧縮行程が停止時(始動時)の行程状態であるかを決定し、クランクカウンタCCRNKを早期に設定するための処理である。
【0122】
#1,2選別処理が開始されると、まず、今回の割り込み実行に対応するNE信号が欠歯12bに該当するものか否かを判定する(S331)。欠歯12bに該当しない内は(S331で「NO」)、次に、カム角信号PCAが2回入力したか否かが判定される(S332)。カム角信号PCAが入力されていなかったり、あるいはカム角信号PCAがいまだ1回である内は(S332で「NO」)、このまま#1,2選別処理(図12)を出る。そしてクランク角設定処理(図11)についても一旦終了する。
【0123】
一方、NE信号が欠歯12bに該当すれば(S331で「YES」)、前記回転クランク角Scaが80°CA以内か否かが判定される(S333)。Sca≦80°CAであれば(S333で「YES」)、始動時に圧縮行程にある気筒として#2が該当することから、RAM50c内に設定されている始動時気筒変数SSに「#2」を記憶する(S334)。
【0124】
図5に示したごとく、N=「1」では、停止時のエンジン2は#1あるいは#2のいずれかが圧縮行程にあり、しかも、この内でも極小位置エネルギー回転位相BTM(450°CAまたは630°CA)、あるいはこの近傍の回転位相にある。この状態からエンジン2が回転して、スタータ8のオンから80°CA以内に欠歯12bの回転位相KKBとなるのは、始動開始時に#2が圧縮行程にある状態のみである。したがって、始動時気筒変数SSに「#2」が記憶されることになる。なお、図5は、VVT39が、クランクシャフト4に対する吸気カムシャフト28の相対位相を、始動時の位相である最遅角位相に配置している状態を示している。
【0125】
そして、#2が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、最初に欠歯12bを検出する回転位相KKBは480°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「16」を設定する(S335)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S336)、#1,2選別処理(図12)を出る。
【0126】
一方、欠歯12bが検出されない内に(S331で「NO」)、カム角信号PCAが2回入力すると(S332で「YES」)、始動時に圧縮行程にある気筒として#2が該当することから、始動時気筒変数SSに「#2」を記憶する(S337)。
【0127】
図5に示したごとく、停止時のエンジン2が、実際に#2が圧縮行程にある状態にあったとしても、フリクションなどの関係で最初に欠歯12bを検出する回転位相KKBである480°CAにあるかわずかに越えている場合も考えられる。この場合には、欠歯12bが検出される前にカム角信号PCAが2回入力することになる。したがって、このような場合には始動時気筒変数SSには「#2」が記憶される。
【0128】
そして、#2が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、2つ目のカム角信号PCAが入力する回転位相は0°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「0」を設定する(S338)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S336)、#1,2選別処理(図12)を出る。
【0129】
また2回のカム角信号PCAが検出されない内に欠歯12bが検出され(S331で「YES」)、しかも回転クランク角Scaが80°CAを越えていた場合は(S333で「NO」)、始動時に圧縮行程にある気筒としては#1が該当する。このため始動時気筒変数SSに「#1」を記憶する(S339)。
【0130】
図5に示したごとく、N=「1」の停止状態からエンジン2が回転して、2回のカム角信号PCAが検出されない内にスタータ8のオンから80°CAを越えた後に欠歯12bの回転位相KKBとなるのは、始動開始時に#1が圧縮行程にある場合のみである。したがって、始動時気筒変数SSに「#1」が記憶されることになる。
【0131】
そして、#1が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、最初に欠歯12bを検出する回転位相KKBは、120°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「4」を設定する(S340)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S336)、#1,2選別処理(図12)を出る。
【0132】
クランク角設定処理(図11)にて、N=「1」でない場合には(S320で「NO」)、次にN=「2」か否かが判定される(S350)。N=「2」であれば(S350で「YES」)、図13に示す#1,3選別処理が実行される(S360)。N=「2」では、前述したごとくエンジン2の停止時の行程状態は、#1あるいは#3のいずれかが圧縮行程にあることが判明している。すなわち、#1,3選別処理は、実際には#1あるいは#3のいずれが停止時(始動時)の行程状態であるかを決定し、クランクカウンタCCRNKを早期に設定するための処理である。
【0133】
#1,3選別処理が開始されると、まず、今回の割り込み実行に対応するNE信号が欠歯12bに該当するものか否かを判定する(S361)。欠歯12bに該当しない内は(S361で「NO」)、次に、カム角信号PCAが入力したか否かが判定される(S362)。カム角信号PCAが入力されていない内は(S362で「NO」)、このまま#1,3選別処理(図13)を出る。そしてクランク角設定処理(図11)についても一旦終了する。
【0134】
一方、NE信号が欠歯12bに該当すれば(S361で「YES」)、始動時に圧縮行程にある気筒として#3が始動時気筒変数SSに記憶される(S364)。図5に示したごとく、N=「2」では、停止時のエンジン2は#1あるいは#3のいずれかが圧縮行程にあり、しかも、この内でも極小位置エネルギー回転位相BTM(630°CAまたは90°CA)、あるいはこの近傍の回転位相状態にある。この状態からエンジン2が回転して、スタータ8のオンからカム角信号PCAが入力しない内に欠歯12bの回転位相KKBとなるのは、始動開始時に#3が圧縮行程にある場合のみである。したがって、始動時気筒変数SSに「#3」が記憶されることになる。
【0135】
そして、#3が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、最初に欠歯12bを検出する回転位相KKBは、120°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「4」を設定する(S365)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S366)、#1,3選別処理(図13)を出る。
【0136】
一方、欠歯12bが検出されない内に(S361で「NO」)、カム角信号PCAの入力があると(S362で「YES」)、次に前記回転クランク角Scaが180°CA以内か否かが判定される(S367)。Sca≦180°CAであれば(S367で「YES」)、始動時に圧縮行程にある気筒として「#1」が始動時気筒変数SSに記憶される(S368)。N=「2」の停止状態では、スタータ8のオンから180°CA以内にカム角信号PCAの入力があるのは、始動開始時に#1が圧縮行程にある場合のみである。したがって、始動時気筒変数SSに「#1」が記憶されることになる。
【0137】
そして、#1が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、最初にカム角信号PCAの入力があるのは、0°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「0」を設定する(S369)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S366)、#1,3選別処理(図13)を出る。
【0138】
また、Sca>180°CAであれば(S367で「NO」)、始動時に圧縮行程にある気筒として「#3」が始動時気筒変数SSに記憶される(S370)。図5に示したごとく、停止時に#3が圧縮行程にあったとしても、フリクションなどの関係で最初に欠歯12bを検出する回転位相KKBである120°CAにあるかわずかに越えている場合が考えられる。この場合には、Sca>180°CAとなった後、クランク角480°CAの欠歯12bが検出される前にクランク角360°CAにてカム角信号PCAが入力することになる。したがって、このような場合には始動時気筒変数SSには「#3」が記憶される。
【0139】
そして、#3が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、Sca>180°CAとなった後、カム角信号PCAが入力する回転位相は360°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「12」を設定する(S371)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S366)、#1,3選別処理(図13)を出る。
【0140】
クランク角設定処理(図11)にて、N=「2」でない場合には(S350で「NO」)、次にN=「3」か否かが判定される(S380)。N=「3」であれば(S380で「YES」)、図14に示す#3,4選別処理が実行される(S390)。N=「3」では、前述したごとくエンジン2の停止時の行程状態は、#3あるいは#4のいずれかが圧縮行程にあることが判明している。すなわち、#3,4選別処理は、#3あるいは#4のいずれが停止時(始動時)の行程状態であるかを決定し、クランクカウンタCCRNKを早期に設定するための処理である。
【0141】
#3,4選別処理が開始されると、まず、今回の割り込み実行に対応するNE信号が欠歯12bに該当するものか否かを判定する(S391)。欠歯12bに該当しない内は(S391で「NO」)、次に、カム角信号PCAが入力したか否かが判定される(S392)。カム角信号PCAが入力されていない内は(S392で「NO」)、このまま#3,4選別処理(図14)を出る。そしてクランク角設定処理(図11)についても一旦終了する。
【0142】
一方、NE信号が欠歯12bに該当すれば(S391で「YES」)、始動時に圧縮行程にある気筒として「#3」が始動時気筒変数SSに記憶される(S394)。図5に示したごとく、N=「3」では、停止時のエンジン2は#3あるいは#4のいずれかが圧縮行程にあり、しかも、この内でも極小位置エネルギー回転位相BTM(90°CAまたは270°CA)、あるいはこの近傍の回転位相状態にある。この状態からエンジン2が回転して、スタータ8のオンからカム角信号PCAが入力しない内に、欠歯12bの回転位相KKBとなるのは、始動開始時に#3が圧縮行程にある場合のみである。したがって、始動時気筒変数SSに「#3」が記憶されることになる。
【0143】
そして、#3が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、最初に欠歯12bを検出する回転位相KKBは120°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「4」を設定する(S395)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S396)、#3,4選別処理(図14)を出る。
【0144】
一方、欠歯12bが検出されない内に(S391で「NO」)、カム角信号PCAの入力があると(S392で「YES」)、次に前記回転クランク角Scaが180°CA以内か否かが判定される(S397)。Sca≦180°CAであれば(S397で「YES」)、始動時に圧縮行程にある気筒として「#4」が始動時気筒変数SSに記憶される(S398)。N=「3」の停止状態では、始動開始時から180°CA以内にカム角信号PCAの入力があるのは、始動開始時に#4が圧縮行程にある場合のみである。したがって、始動時気筒変数SSに「#4」が記憶されることになる。
【0145】
そして、#4が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、最初にカム角信号PCAの入力があるのは、360°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「12」を設定する(S399)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S396)、#3,4選別処理(図14)を出る。
【0146】
また、Sca>180°CAであれば(S397で「NO」)、始動時に圧縮行程にある気筒として「#3」が始動時気筒変数SSに記憶される(S400)。図5に示したごとく、停止時のエンジン2が#3が圧縮行程にある状態にあったとしても、フリクションなどの関係で最初に欠歯12bを検出する回転位相KKBである120°CAにあるかわずかに越えている場合が考えられる。この場合には、Sca>180°CAとなった後、クランク角480°CAの欠歯12bが検出される前にクランク角360°CAにてカム角信号PCAが入力することになる。したがって、このような場合には始動時気筒変数SSには「#3」が記憶される。
【0147】
そして、#3が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、Sca>180°CAとなった後、カム角信号PCAが入力する回転位相は360°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「12」を設定する(S401)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S396)、#3,4選別処理(図14)を出る。
【0148】
クランク角設定処理(図11)にて、N=「3」でない場合には(S380で「NO」)、N=「4」である。したがって、図15に示す#2,4選別処理が実行される(S410)。N=「4」では、前述したごとくエンジン2の停止時の行程状態は、#2あるいは#4のいずれかが圧縮行程にあることが判明している。すなわち、#2,4選別処理は、#2あるいは#4のいずれが停止時(始動時)の行程状態であるかを決定し、クランクカウンタCCRNKを早期に設定するための処理である。
【0149】
#2,4選別処理が開始されると、まず、今回の割り込み実行に対応するNE信号が欠歯12bに該当するものか否かを判定する(S411)。欠歯12bに該当しない場合は(S411で「NO」)、カム角信号PCAが2回入力したか否かが判定される(S416)。カム角信号PCAが2回入力していなければ(S416で「NO」)、このまま#2,4選別処理(図15)を出る。そしてクランク角設定処理(図11)についても一旦終了する。
【0150】
一方、NE信号が欠歯12bに該当すれば(S411で「YES」)、次に前記回転クランク角Scaが80°CA以内か否かが判定される(S412)。Sca≦80°CAであれば(S412で「YES」)、始動時に圧縮行程にある気筒として「#2」が始動時気筒変数SSに記憶される(S413)。N=「4」の停止状態では、スタータ8のオンから80°CA以内に欠歯12bとなるのは、始動開始時に#2が圧縮行程にある場合のみである。したがって、始動時気筒変数SSに「#2」が記憶されることになる。
【0151】
そして、#2が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、最初に欠歯12bとなるのは480°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「16」を設定する(S414)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S415)、#2,4選別処理(図15)を出る。
【0152】
また、カム角信号PCAが2回入力しない内に(S416で「NO」)、欠歯12bが検出され、Sca>80°CAであれば(S412で「NO」)、始動時に圧縮行程にある気筒として「#4」が始動時気筒変数SSに記憶される(S417)。N=「4」の停止状態では、始動開始時から80°CAを越え、かつカム角信号PCAが2回入力しない内に欠歯12bとなるのは、始動開始時に#4が圧縮行程にある場合のみである。したがって、始動時気筒変数SSに「#4」が記憶されることになる。
【0153】
そして、#4が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、最初に欠歯12bとなるのは480°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「16」を設定する(S418)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S415)、#2,4選別処理(図15)を出る。
【0154】
また、欠歯12bが検出される前に(S411で「NO」)、カム角信号PCAが2回入力されると(S416で「YES」)、始動時に圧縮行程にある気筒として「#2」が始動時気筒変数SSに記憶される(S419)。図5に示したごとく、実際に停止時のエンジン2が、#2が圧縮行程にある状態にあったとしても、フリクションなどの関係で最初に欠歯12bを検出する回転位相KKBである480°CAにあるかわずかに越えている場合が考えられる。この場合には、欠歯12bが検出される前にカム角信号PCAが2回入力する。したがって、このような場合には始動時気筒変数SSには「#2」が記憶される。
【0155】
そして、#2が圧縮行程にある状態から回転開始したことが判れば、カム角信号PCAが2回入力した時の回転位相は0°CAである。このためクランクカウンタCCRNKに「0」を設定する(S420)。そして、選別完了フラグFsに「ON」を設定して(S415)、#2,4選別処理(図15)を出る。
【0156】
このように各選別処理(図12〜15)にて、始動時気筒変数SSとクランクカウンタCCRNKとが決定されて、選別完了フラグFsに「ON」が設定されると、クランク角設定処理(図11)の次の制御周期では、Fs=「ON」であることから(S310で「NO」)、クランクカウンタCCRNK更新処理が実行される(S430)。このクランクカウンタCCRNK更新処理は図8に示したクランクカウンタCCRNK更新処理と同じ処理である。以後、運転者がイグニッションスイッチ10をオン位置からアクセサリ位置もしくはオフ位置に切り換えるまで、あるいはエコランシステムにより自動停止されるまでは、このステップS430処理が繰り返し実行される。
【0157】
次に、図16に示す点火時期・燃料噴射時期設定処理について説明する。この点火時期・燃料噴射時期設定処理は、前記選別処理(図12〜15)にてFs=「ON」と設定されることで、NE信号により割り込み実行を許可される処理である。
【0158】
点火時期・燃料噴射時期設定処理が開始されると、まずFs=「ON」となった後の最初の制御周期であるか否かが判定される(S510)。最初であれば(S510で「YES」)、次に、行程状態変数N、始動時気筒変数SSおよびクランクカウンタCCRNKに基づいて、最初に点火する初期点火気筒とその点火タイミングを設定する(S520)。この設定は、図17に示したごとく、ROM50bに記憶されている関係から求められる。例えば、N=「1」、SS=「1」およびCCRNK=「4」の場合、初期点火気筒として#3が設定され、点火タイミングとしては175°CAが設定される。これらの設定理由については後述する。
【0159】
次に、同じ行程状態変数N、始動時気筒変数SSおよびクランクカウンタCCRNKに基づいて、最初に燃料噴射する初期燃料噴射気筒とその燃料噴射タイミングを設定する(S530)。この設定も、図17に示したごとく、ROM50bに記憶されている関係から求められる。例えば、N=「1」、SS=「1」およびCCRNK=「4」の場合、初期燃料噴射気筒として4番気筒は#4が設定され、燃料噴射タイミングとしては吸気行程中のクランク角が設定される。これらの設定理由については後述する。
【0160】
こうして一旦本処理を終了する。そして、次の制御周期以降においては、ステップS510にては「NO」と判定されて、次に、TDCか否かが判定される(S540)。すなわち、クランク角=0,180,360,540°CAのいずれかのタイミングか否かが判定される。TDCでなければ(S540で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0161】
TDCであれば(S540で「YES」)、ステップS520にて実行された初期点火気筒に引き続いて、クランク角の変化に従って順次点火気筒が設定され、エンジン2の運転状態に応じた点火時期が設定される(S550)。そして、次にステップS530にて実行された初期燃料噴射気筒に引き続いて、クランク角の変化に従って順次燃料噴射気筒が設定され、エンジン2の運転状態に応じた噴射時期が設定される(S560)。以後、エンジン運転が継続している限りTDC毎にステップS550,S560の処理が繰り返される。
【0162】
ここで、図17の内容の設定理由について説明する。N=「1」の場合には、停止時の行程状態は、#1あるいは#2が圧縮行程にある状態(クランク角450°,630°CAあるいはこの近傍)には絞られている。そして始動時にNE信号とカム角信号とに基づいて始動時気筒変数SS=「#2」でクランクカウンタCCRNK=「16」であったものとする。
【0163】
この場合には、実際にはクランク角450°CAあるいはこの近傍にて、#1と#3とに燃料噴射を実行したことになる。#1は吸気行程であるので吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#1の燃焼室18内に吸入される。#3は排気行程であるので吸気ポート20aに噴射された燃料は1行程待って吸気行程になったところで#3の燃焼室18内に吸入される。
【0164】
そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転直後のCCRNK=「16」からである。このため、始動時に噴射された#1の圧縮行程のBTDC5°CAである715°CAにて#1に点火し、迅速に初爆ができる。そして、引き続き始動時に燃料噴射された#3の点火時期となる。また#4に対して#4の吸気行程時に初期の燃料噴射が実行されて、以後、順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため、以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。
【0165】
また、N=「1」の場合に始動時気筒変数SS=「#2」でクランクカウンタCCRNK=「0」であったものとする。この場合にも、実際にはクランク角480°CAあるいはこれより大きい側の近傍にて、#1と#3とに燃料噴射を実行したことになる。#1の吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#1の燃焼室18内に吸入され、#3では吸気ポート20aに噴射された燃料は1行程待って#3の燃焼室18内に吸入される。そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転後のCCRNK=「0」からである。このため、直ちに、始動時に噴射された#1の圧縮行程のTDCである0°CAにて#1に点火し迅速に初爆ができる。そして、引き続き始動時に燃料噴射された#3の点火時期となる。また#4に対して初期の燃料噴射が実行されて、以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため、以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。
【0166】
また、N=「1」の場合に始動時気筒変数SS=「#1」でクランクカウンタCCRNK=「4」であったものとする。この場合には、実際にはクランク角630°CAあるいはこの近傍にて、#1と#3とに燃料噴射を実行したことになる。#1は既に圧縮行程となっているので、吸気ポート20aに噴射された燃料は3行程後に#1の燃焼室18内に吸入されることになる。一方、#3は吸気行程であるので、吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#3の燃焼室18内に吸入される。そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転後のCCRNK=「4」からである。このため、始動時に噴射された#3の圧縮行程のBTDC5°CAである175°CAにて#3に点火し迅速に初爆ができる。また#4はCCRNK=「4」では既に吸気行程であるので、直ちに初期の燃料噴射が実行されて、以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため、以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。ただし、始動時に燃料噴射された#1は、3行程の間は燃料が吸気ポート20aに留まり、その後に吸気行程となった場合に吸入される。したがってステップS560による#1に対する最初の燃料噴射のみ省略する。
【0167】
次に、N=「2」の場合について説明する。N=「2」の場合には、停止時の行程状態は、#1あるいは#3が圧縮行程にある状態(クランク角630°,90°CAあるいはこの近傍)には絞られている。そして始動時にNE信号とカム角信号とに基づいて始動時気筒変数SS=「#1」でクランクカウンタCCRNK=「0」であったものとする。
【0168】
この場合には、実際にはクランク角630°CAあるいはこの近傍にて、#3と#4とに燃料噴射を実行したことになる。#3は吸気行程であるので吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#3の燃焼室18内に吸入される。#4は排気行程であるので吸気ポート20aに噴射された燃料は1行程待って#4の燃焼室18内に吸入される。
【0169】
そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転直後のCCRNK=「0」からである。このため、始動時に噴射された3番気筒#3の圧縮行程のBTDC5°CAである175°CAにて#3に点火し迅速に初爆ができる。更に引き続いて#4に対して点火される。また#2に初期の燃料噴射が実行されて、以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。
【0170】
また、N=「2」の場合に始動時気筒変数SS=「#3」でクランクカウンタCCRNK=「4」であったものとする。この場合には、実際にはクランク角90°CAあるいはこの近傍にて、#3と#4とに燃料噴射を実行したことになる。#4の吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#4の燃焼室18内に吸入され、#3では吸気ポート20aに噴射された燃料は3行程待って#3の燃焼室18内に吸入される。そして実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転直後のCCRNK=「4」からである。このため、始動時に噴射された#4の圧縮行程のBTDC5°CAである355°CAにて#4に点火し迅速に初爆ができる。また#2に対して初期の燃料噴射が実行されて、以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため、以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。ただし、始動時に燃料噴射された#3は、3行程の間は燃料が吸気ポート20aに留まり、その後に吸気行程となった場合に吸入される。したがってステップS560による#3に対する最初の燃料噴射のみ省略する。
【0171】
また、N=「2」の場合に始動時気筒変数SS=「#3」でクランクカウンタCCRNK=「12」であったものとする。この場合には、実際にはクランク角120°CAあるいはこれより大きい側の近傍にて、#3と#4とに燃料噴射を実行したことになる。#4は吸気行程であるので、吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#4の燃焼室18内に吸入されることになる。一方、#3は圧縮行程であるので、吸気ポート20aに噴射された燃料は3行程後に#3の燃焼室18内に吸入される。そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転後のCCRNK=「12」からである。このため、直ちに、始動時に噴射された#4に対して360°CAにて点火し迅速に初爆ができる。また初期の燃料噴射は#1になされるので、1行程おいて#1にも点火される。以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため、以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。ただし、始動時に燃料噴射された#3は、3行程の間は燃料が吸気ポート20aに留まり、その後に吸気行程となった場合に吸入される。したがって、ステップS560による3番気筒#3に対する最初の燃料噴射のみ省略する。
【0172】
次に、N=「3」の場合について説明する。N=「3」の場合には、停止時の行程状態は、#3あるいは#4が圧縮行程にある状態(クランク角90°,270°CAあるいはこの近傍)には絞られている。そして始動時にNE信号とカム角信号とに基づいて始動時気筒変数SS=「#3」でクランクカウンタCCRNK=「4」であったものとする。
【0173】
この場合には、実際にはクランク角90°CAあるいはこの近傍にて、#2と#4とに燃料噴射を実行したことになる。#4は吸気行程であるので吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#4の燃焼室18内に吸入される。#2は排気行程であるので吸気ポート20aに噴射された燃料は1行程待って#2の燃焼室18内に吸入される。
【0174】
そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転直後のCCRNK=「4」からである。このため、始動時に噴射された#4の圧縮行程のBTDC5°CAである355°CAにて#4に点火し迅速に初爆ができる。更に引き続き#2の点火燃焼がなされる。また、#1に対して初期の燃料噴射が実行されて、以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。
【0175】
また、N=「3」の場合に始動時気筒変数SS=「#3」でクランクカウンタCCRNK=「12」であったものとする。この場合には、実際にはクランク角120°CAあるいはこれより大きい側の近傍にて、#2と#4とに燃料噴射を実行したことになる。#4の吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#4の燃焼室18内に吸入され、#2では吸気ポート20aに噴射された燃料は1行程待って#2の燃焼室18内に吸入される。そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転後のCCRNK=「12」からである。このため、直ちに、始動時に噴射された#4の圧縮行程のTDCである360°CAにて#4に点火し迅速に初爆ができる。更に引き続き#2の点火燃焼がなされる。また#1に対して初期の燃料噴射が実行されて、以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため、以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。
【0176】
また、N=「3」の場合に始動時気筒変数SS=「#4」でクランクカウンタCCRNK=「12」であったものとする。この場合には、実際にはクランク角270°CAあるいはこの近傍にて、#2と#4とに燃料噴射を実行したことになる。#2は吸気行程であるので、吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#2の燃焼室18内に吸入されることになる。一方、#4は圧縮行程であるので、吸気ポート20aに噴射された燃料は3行程後に#4の燃焼室18内に吸入される。そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転後のCCRNK=「12」からである。このため、始動時に噴射された#2の圧縮行程のBTDC5°CAである535°CAにて#2に点火し迅速に初爆ができる。また、初期の燃料噴射は1番気筒#1になされるので、更に、引き続き1番気筒#1にも点火される。以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため、以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。ただし、始動時に燃料噴射された#4は、3行程の間は燃料が吸気ポート20aに留まり、その後に吸気行程となった場合に吸入される。したがって、ステップS560による#4に対する最初の燃料噴射のみ省略する。
【0177】
次に、N=「4」の場合について説明する。N=「4」の場合には、停止時の行程状態は、#2あるいは#4が圧縮行程にある状態(クランク角270°,450°CAあるいはこの近傍)には絞られている。そして始動時にNE信号とカム角信号とに基づいて始動時気筒変数SS=「#2」でクランクカウンタCCRNK=「16」であったものとする。
【0178】
この場合には、実際にはクランク角450°CAあるいはこの近傍にて、#1と#2とに燃料噴射を実行したことになる。#1は吸気行程であるので吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#1の燃焼室18内に吸入される。#2は圧縮行程であるので吸気ポート20aに噴射された燃料は3行程待って#2の燃焼室18内に吸入される。
【0179】
そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転直後のCCRNK=「16」からである。このため、始動時に噴射された#1の圧縮行程のBTDC5°CAである715°CAにて#1に点火し迅速に初爆ができる。また#3に対して初期の燃料噴射が実行されて、以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため、以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。ただし、始動時に燃料噴射された#2は、3行程の間は燃料が吸気ポート20aに留まり、その後に吸気行程となった場合に吸入される。したがって、ステップS560による#2に対する最初の燃料噴射のみ省略する。
【0180】
また、N=「4」の場合に始動時気筒変数SS=「#2」でクランクカウンタCCRNK=「0」であったものとする。この場合にも、実際にはクランク角480°CAあるいはこれより大きい側の近傍にて、#1と#2とに燃料噴射を実行したことになる。#1の吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#1の燃焼室18内に吸入され、#2では吸気ポート20aに噴射された燃料は3行程待って#2の燃焼室18内に吸入される。そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転後のCCRNK=「0」からである。このため、直ちに、始動時に噴射された#1の圧縮行程のTDCである0°CAにて#1に点火し迅速に初爆ができる。また#4に対して初期の燃料噴射が実行されて、初爆から1行程おいて点火燃焼される。以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため、以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。ただし、始動時に燃料噴射された#2は、3行程の間は燃料が吸気ポート20aに留まり、その後に吸気行程となった場合に吸入される。したがって、ステップS560による#2に対する最初の燃料噴射のみ省略する。
【0181】
また、N=「4」の場合に始動時気筒変数SS=「#4」でクランクカウンタCCRNK=「16」であったものとする。この場合には、実際にはクランク角270°CAあるいはこの近傍にて、#1と#2とに燃料噴射を実行したことになる。#2は吸気行程であるので、吸気ポート20aに噴射された燃料は直ちに#2の燃焼室18内に吸入されることになる。一方、#1は排気行程であるので、吸気ポート20aに噴射された燃料は1行程後に#1の燃焼室18内に吸入される。そして、実際にクランクカウンタCCRNKの値が判明するのが、スタータ8による回転後のCCRNK=「16」からである。このため、始動時に噴射された#2の圧縮行程のBTDC5°CAである535°CAにて#2に点火し迅速に初爆ができる。更に、引き続き#1に点火される。また、初期の燃料噴射は#3になされるので、更に、#3にも点火される。以後順次、各気筒の吸気ポート20aに燃料が噴射され点火燃焼される。このため、以後順番に燃焼が継続し安定した始動となる。
【0182】
本実施の形態において、シグナルロータ12とクランクポジションセンサ14との組み合わせが内燃機関回転状態検出手段に、突起32〜36とカムポジションセンサ38との組み合わせがカム角検出手段に相当する。また、停止行程判別処理(図7)のステップS120〜S160および行程状態変数N設定処理(図9)のステップS171が逆転クランク角検出手段としての処理に、行程状態変数N設定処理(図9)のステップS172〜S179が停止行程判別手段としての処理に、始動時燃料噴射処理(図10)が始動時燃料噴射手段としての処理に、クランク角設定処理(図11)のステップS315〜S410が始動時行程選別手段としての処理に、点火時期・燃料噴射時期設定処理(図16)のステップS520が初爆点火実行手段に相当する。
【0183】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).行程状態変数N設定処理(図9)では、クランクシャフト4に逆転を生じなくてもNE信号のパルス出力間隔が前後の位相よりも長くなる極大位置エネルギー位相TOPと欠歯12bの位相とを除いて(S171)、最初にNE信号のパルス出力間隔が前後の位相よりも長くなる位相を検出している。したがって、クランクシャフト4において実際に最初に逆転した位相または2番目以降に逆転した位相が、逆転クランク角として検出される。
【0184】
前述したごとく、検出した逆転クランク角が、実際に最初の逆転位相であった場合には、クランク角は逆転クランク角以上進むことがないことから、回転を阻んだ極大位置エネルギー位相TOPとその直前にある極大位置エネルギー位相TOPとの間のクランク角領域にてクランクシャフト4の回転が停止したと判断することができる。この領域の内でも特に極小位置エネルギー回転位相BTMあるいはその近傍でクランクシャフト4の回転が停止したと判断することができる。
【0185】
また、前述したごとく、検出した逆転クランク角が2番目以降に逆転した位相であった場合は、逆転クランク角が実際に最初の逆転位相であった場合に比較して、計算上で回転を阻んだ極大位置エネルギー位相TOPとその直前にある極大位置エネルギー位相TOPとの間のクランク角領域よりも、更に1つ前のクランク角領域にてクランクシャフト4の回転が停止したと判断することができる。
【0186】
したがって、行程状態変数N設定処理(図9)にて検出された逆転クランク角に基づいて、クランクシャフト4の停止クランク角を、エンジン2が取り得る4つのクランク角領域の内の2つに正確に限定することが可能となる。
【0187】
従来では、惰性回転時のクランクシャフト4の回転や逆転については考慮していないので、実際とは異なる行程状態で停止しているおそれがある。このため始動時に予測とは異なる気筒から回転を開始したと判断して始動時あるいは始動時以後の制御が不適切なものとなるおそれがある。
【0188】
本実施の形態では、惰性回転時のクランクシャフト4の挙動に基づいて正確にクランクシャフト4が停止したクランク角領域を限定している。このことにより、始動時において、従来よりも正確な行程判別が可能となり、始動時あるいは始動時以後の制御を、より適切なものとすることができる。
【0189】
(ロ).突起32〜36によってカムポジションセンサ38が検出するカム角信号PCAは図5に示すごとくの配置(始動時)となっている。このため、始動時において、欠歯12bとともにカム角信号PCAを利用することで、停止時に正確に限定した行程状態を迅速に限定することができる。そして、このことにより早期に、より確実な行程状態に絞ることができる。したがって始動時あるいは始動時以後の制御を、より精密で適切なものとすることができる。
【0190】
(ハ).始動時燃料噴射処理(図10)により、始動時おいては、行程状態変数N設定処理(図9)にて決定されている行程状態において吸気行程にある気筒の吸気ポート20aに燃料を供給している。このようにすることにより、本実施の形態のごとく吸気ポート燃料噴射タイプのエンジン2において、一層確実に吸気行程にある気筒の吸気ポート20aに燃料噴射することができる。このため、始動時において、一層確実に早期に初爆を開始させることができるようになり、始動性をより高いものとできる。
【0191】
(ニ).エンジン2の始動時においては、クランク角設定処理(図11)では直前のエンジン停止時において行程状態変数N設定処理(図9)にて決定されている2つのクランク角領域から、NE信号およびカム角信号における出力開始初期の状態に基づいて、始動時のクランク角領域(始動時気筒変数SS)を選別し、選別時点でのクランク角を決定している。
【0192】
このことにより、始動時において早期にクランク角領域を1つに絞ることができる。そして、選別以後はクランク角に従って通常のエンジン制御が可能となる。このため迅速に始動できると共に、その後の運転を安定したものとすることができる。
【0193】
(ホ).クランク角設定処理(図11)にて選別された始動時のクランク角領域と選別時点でのクランク角とに基づくことにより、点火時期・燃料噴射時期設定処理(図16)では、最も早く燃焼が可能な気筒に点火を迅速に実行することができる。また、このように、迅速にクランク角が判明し始動時のクランク角領域も判明するので、始動時燃料噴射処理(図10)にて燃料噴射された気筒に対しても、点火チャンスを逃すことなく適切に点火燃焼でき、初爆を最も早いタイミングで確実に実行させることができる。
【0194】
[実施の形態2]
本実施の形態では、4気筒エンジンの代わりに6気筒エンジンを用いる。6気筒エンジンでは、図18の行程状態説明図に示すごとく120°CA毎に極大位置エネルギー位相TOPが存在する。このため、エンジン停止時の行程状態としては、CCRNK=0〜3の#5圧縮行程(一部#3も圧縮行程であるが全域が圧縮行程の#5を代表とする。以下同じ)、CCRNK=4〜7の#3圧縮行程、CCRNK=8〜11の#6圧縮行程、CCRNK=12〜15の#2圧縮行程、CCRNK=16〜19の#4圧縮行程、CCRNK=20〜23の#1圧縮行程の6つに行程状態を分割する。
【0195】
このことにより、エンジン停止時の行程状態変数N設定処理としては、極大位置エネルギー位相TOPおよび欠歯12bの位相であるCCRNK=0,4,8,12,16,20以外で、NE信号のパルス間隔が最初に極大となる位相が、CCRNK=0〜23のいずれの位置であるかを判定する。例えば、極大位相がCCRNK=17〜19であればN=1に、CCRNK=21〜23であればN=2に設定し、CCRNK=1〜3であればN=3に設定し、CCRNK=5〜7であればN=4に設定し、CCRNK=9〜11であればN=5に設定し、CCRNK=13〜15であればN=6に設定する。
【0196】
ここで、N=1の場合は、前記実施の形態1で説明したごとくエンジンが実際に停止した行程状態は#2,4圧縮行程のいずれかの圧縮行程であると限定できる。同様に、N=2での停止時行程状態は#1,4圧縮行程のいずれか、N=3での停止時行程状態は#1,5圧縮行程のいずれか、N=4での停止時行程状態は#3,5圧縮行程のいずれか、N=5での停止時行程状態は#3,6圧縮行程のいずれか、N=6での停止時行程状態は#2,6圧縮行程のいずれかであると限定できる。
【0197】
そして、始動時には、図19に示すごとく、始動時燃料噴射処理により、N=1では#1,5に、N=2では#3,5に、N=3では#3,6に、N=4では#2,6に、N=5では#2,4に、N=6では#1,4に燃料噴射する。また、クランク角設定処理では、欠歯12bの出現位相KKBとカム角信号PCAの出現位相との関係から、図19に示したごとく、始動時気筒変数SSが判明し、始動時気筒変数SSの判明時のクランクカウンタCCRNKが決定される。そして、このようにして求められた始動時気筒変数SSとクランクカウンタCCRNKとに基づいて、図19に示したごとく、初期点火気筒、点火タイミング、初期燃料噴射気筒および燃料噴射タイミングが決定される。
【0198】
すなわち、エンジン停止時にN=1に決定されていた場合、その後の始動時においては、スタータ・オンから最初に欠歯12bが出現(KKB)すれば、SS=#2であることが判明し、判明時にCCRNK=16(480°CA)となる。したがって、715°CAにて#1に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#1,5に引き続いて#3の吸気行程にて#3に燃料噴射が可能となる。またN=1の場合に、スタータ・オンから50°CA以内にカム角信号PCAが最初に出現すれば、SS=#4であることが判明し、判明時にCCRNK=18(540°CA)となる。したがって、115°CAにて#5に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#1,5に引き続いて#3の吸気行程にて#3に燃料噴射が可能となる。なお、#1に噴射された燃料はほとんど燃焼室内には吸い込まれていないので、1サイクル後の吸気行程時に燃焼室内に吸い込まれて燃焼に用いられる。したがって、スタータ・オンから1サイクル後の#1の吸気行程時には#1には燃料噴射は行わない。またN=1の場合に、スタータ・オンから50°CA越えてからカム角信号PCAが最初に出現すれば、SS=#4であることが判明し、判明時にCCRNK=0(0°CA)となる。したがって、115°CAにて#5に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#1,5に引き続いて#3の吸気行程にて#3に燃料噴射が可能となる。なお#1については上述したごとくの理由によりスタータ・オンから1サイクル後の吸気行程時には燃料噴射は行わない。
【0199】
エンジン停止時にN=2に決定されていた場合に、スタータ・オンから最初に2つのカム角信号PCAが出現すれば、SS=#4であることが判明し、判明時にCCRNK=0(0°CA)となる。したがって、115°CAにて#5に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#5,3に引き続いて#6の吸気行程にて#6に燃料噴射が可能となる。また、N=2の場合に、2つのカム角信号PCAが出現しない内に、スタータ・オンから230°CAを越えた後に欠歯12bが出現(KKB)すれば、SS=#4であることが判明し、判明時のCCRNK=4(120°CA)となる。したがって、120°CAにて#5に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#5,3に引き続いて#6の吸気行程にて#6に燃料噴射が可能となる。また、N=2の場合に、2つのカム角信号PCAが出現しない内に、スタータ・オンから230°CA以内に欠歯12bが出現(KKB)すれば、SS=#1であることが判明し、判明時のCCRNK=4(120°CA)となる。したがって、235°CAにて#3に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#5,3に引き続いて#6の吸気行程にて#6に燃料噴射が可能となる。なお#5についてはN=1の場合で述べたごとくの理由によりスタータ・オンから1サイクル後の吸気行程時には燃料噴射は行わない。
【0200】
エンジン停止時にN=3に決定されていた場合に、最初にカム角信号PCAが出現すれば、SS=#1であることが判明し、判明時にCCRNK=0(0°CA)となる。したがって、235°CAにて#3に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#3,6に引き続いて#2の吸気行程にて#2に燃料噴射が可能となる。また、N=3の場合に、最初に欠歯12bが出現(KKB)すれば、SS=#5であることが判明し、判明時のCCRNK=4(120°CA)となる。したがって、355°CAにて#6に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#3,6に引き続いて#2の吸気行程にて#2に燃料噴射が可能となる。なお#3についてはN=1の場合で述べたごとくの理由によりスタータ・オンから1サイクル後の吸気行程時には燃料噴射は行わない。
【0201】
エンジン停止時にN=4に決定されていた場合に、最初にカム角信号PCAが出現すれば、SS=#3であることが判明し、判明時にCCRNK=12(360°CA)となる。したがって、475°CAにて#2に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#6,2に引き続いて#4の吸気行程にて#4に燃料噴射が可能となる。なお#6についてはN=1の場合で述べたごとくの理由によりスタータ・オンから1サイクル後の吸気行程時には燃料噴射は行わない。また、N=4の場合に、最初に欠歯12bが出現(KKB)すれば、SS=#5であることが判明し、判明時のCCRNK=4(120°CA)となる。したがって、355°CAにて#6に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#6,2に引き続いて#4の吸気行程にて#4に燃料噴射が可能となる。
【0202】
エンジン停止時にN=5に決定されていた場合に、スタータ・オンから110°CAを越えて最初にカム角信号PCAが出現すれば、SS=#3であることが判明し、判明時にCCRNK=12(360°CA)となる。したがって、475°CAにて#2に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#2,4に引き続いて#1の吸気行程にて#1に燃料噴射が可能となる。また、N=5の場合に、スタータ・オンから110°CA以内に最初にカム角信号PCAが出現すれば、SS=#6であることが判明し、判明時のCCRNK=12(360°CA)となる。したがって、595°CAにて#4に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#2,4に引き続いて#1の吸気行程にて#1に燃料噴射が可能となる。なお#2についてはN=1の場合で述べたごとくの理由によりスタータ・オンから1サイクル後の吸気行程時には燃料噴射は行わない。
【0203】
エンジン停止時にN=6に決定されていた場合に、スタータ・オン後に最初にカム角信号PCAが出現すれば、SS=#6であることが判明し、判明時にCCRNK=12(360°CA)となる。したがって、595°CAにて#4に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#4,1に引き続いて#5の吸気行程にて#5に燃料噴射が可能となる。また、N=6の場合に、スタータ・オン後に最初に欠歯12bが出現(KKB)すれば、SS=#2であることが判明し、判明時のCCRNK=16(480°CA)となる。したがって、715°CAにて#1に点火可能となり、始動時に燃料噴射された#4,1に引き続いて#5の吸気行程にて#5に燃料噴射が可能となる。なお#4についてはN=1の場合で述べたごとくの理由によりスタータ・オンから1サイクル後の吸気行程時には燃料噴射は行わない。
【0204】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(ロ).特に、停止時の行程状態を6つのクランク角領域の内の2つに正確に限定できるので4気筒の場合よりもより限定範囲が狭まるという効果を生じる。
【0205】
[その他の実施の形態]
・前記各実施の形態においては、シグナルロータ12には欠歯12bが存在したが、欠歯12b以外の方法で基準となる回転位相が検出される構成であれば、行程状態変数N設定処理のステップS171において、検出された極大クランク角から除くクランクカウンタCCRNKの値は、極大位置エネルギー位相TOPのみで良い。このことによっても前述した各実施の形態と同様の効果を生じさせることができる。
【0206】
・前記各実施の形態においては、VVT39により吸気カムシャフト28がクランクシャフト4に対して相対回転する構成であったが、VVT39を備えていない場合にも、本発明は同様に適用できる。この場合は、カム角信号PCAは、クランク角に対して完全に固定されているので、始動時において始動時気筒変数SSやクランクカウンタCCRNKの決定が迅速にできる。更にこの構成により、上述したごとくシグナルロータ12に欠歯12bを設けずに、カムポジションセンサ38からの信号によりクランク角の基準位置を決定することができる。
【0207】
・前述した各実施の形態では、4気筒と6気筒のエンジンの例を示したが、これ以外の気筒数(例えば8気筒)においても同様に適用できる。この場合も、極大位置エネルギー位相により区画されたクランク角領域の2つに正確に限定できる。そして、始動時にこの内の1つに絞ることにより、早期の初爆と安定した始動を実現できる。
【0208】
・前述した各実施の形態では、吸気ポートに燃料を噴射するタイプのガソリンエンジンに適用した例を示したが、これ以外に、直接燃焼室内に燃料を噴射する筒内噴射タイプのガソリンエンジンに適用することもできる。この場合には、始動時の燃料噴射は圧縮行程にある気筒に噴射することができる。
【0209】
・なお、エンジンの停止中にも坂道などで車両が移動し、これに連動してクランクシャフトが回転する場合がある。この場合には、エンジンの行程状態が変化するおそれがあるので、エンジン停止中にクランクポジションセンサの信号を検出し、図20(a)に示すごとくの時間的に長く連続出力される信号がクランクポジションセンサから発生した場合には、行程状態の変化のおそれがあるものとして始動時燃料噴射処理(図10)、クランク角設定処理(図11)および点火時期・燃料噴射時期設定処理(図16)のステップS520,S530の実行を禁止しても良い。ただし、図20(b)に示すごとく、頻度は多いが短時間に発生する信号は単に橋梁等の上における車両振動により生ずることから、この場合には実行禁止をしないようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の自動車用4気筒ガソリンエンジンの要部縦断面図。
【図2】図1とは直交する方向での前記エンジンの要部縦断面図。
【図3】実施の形態1の制御系統の電気的構成説明図。
【図4】実施の形態1のカムポジションセンサおよびクランクポジションセンサにおける電圧波形と信号の状態説明図。
【図5】実施の形態1の4気筒ガソリンエンジンにおける行程状態説明図。
【図6】実施の形態1のカムポジションセンサおよびクランクポジションセンサにおいてエンジン回転完全停止時に発生する電圧波形の説明図。
【図7】実施の形態1のECUにて実行される停止行程判別処理のフローチャート。
【図8】同じくクランクカウンタCCRNK更新処理のフローチャート。
【図9】同じく行程状態変数N設定処理のフローチャート。
【図10】同じく始動時燃料噴射処理のフローチャート。
【図11】同じくクランク角設定処理のフローチャート。
【図12】同じく#1,2選別処理のフローチャート。
【図13】同じく#1,3選別処理のフローチャート。
【図14】同じく#3,4選別処理のフローチャート。
【図15】同じく#2,4選別処理のフローチャート。
【図16】同じく点火時期・燃料噴射時期設定処理のフローチャート。
【図17】実施の形態1のECUによる始動時の制御内容説明図。
【図18】実施の形態2の6気筒ガソリンエンジンにおける行程状態説明図。
【図19】実施の形態2のECUによる始動時の制御内容説明図。
【図20】他の実施の形態において処理の実行有無を判定するためのクランクポジションセンサにおける電圧波形説明図。
【符号の説明】
2…エンジン、2a…シリンダブロック、4…クランクシャフト、6…ピストン、6a…コネクティングロッド、8…スタータ、10…イグニッションスイッチ、12…シグナルロータ、12a…突起、12b…欠歯、14…クランクポジションセンサ、16…シリンダヘッド、18…燃焼室、20…吸気通路、20a…吸気ポート、22…排気通路、24…吸気バルブ、26…排気バルブ、28…吸気カムシャフト、30…排気カムシャフト、32,34,36…突起、38…カムポジションセンサ、39…VVT、40…燃料噴射弁、42…点火プラグ、44…イグナイタ、50…ECU、50a…CPU、50b…ROM、50c…RAM、50d…バックアップRAM、50e…バス、50f…外部入力回路、50g…外部出力回路。

Claims (11)

  1. 内燃機関の回転数が高くなるのに応じて時間間隔が短くなる回転信号を出力し内燃機関の特定回転位相においては前記回転信号を他の回転位相よりも長い時間間隔にする内燃機関回転状態検出手段を備え、該内燃機関回転状態検出手段からの回転信号単独あるいは他の検出手段の信号を組み合わせて、内燃機関のクランク角が検出される内燃機関において、
    内燃機関の回転において位置エネルギーが極大となる回転位相を極大位置エネルギー位相として設定し、内燃機関の停止処理後に内燃機関の回転が停止するまでの期間に、前記回転信号が、最初に、前記特定回転位相および前記極大位置エネルギー位相以外の回転位相にて前後の回転信号の時間間隔よりも長い時間間隔となった場合のクランク角を逆転クランク角として検出する逆転クランク角検出手段と、
    前記逆転クランク角検出手段にて検出された逆転クランク角に基づいて内燃機関の停止時の行程状態を決定する停止行程判別手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の停止行程判別装置。
  2. 内燃機関の回転数が高くなるのに応じて時間間隔が短くなる回転信号を出力する内燃機関回転状態検出手段を備え、該内燃機関回転状態検出手段からの回転信号単独あるいは他の検出手段の信号を組み合わせて、内燃機関のクランク角が検出される内燃機関において、
    内燃機関の回転において位置エネルギーが極大となる回転位相を極大位置エネルギー位相として設定し、内燃機関の停止処理後に内燃機関の回転が停止するまでの期間に、前記回転信号が、最初に、前記極大位置エネルギー位相以外の回転位相にて前後の回転信号の時間間隔よりも長い時間間隔となった場合のクランク角を逆転クランク角として検出する逆転クランク角検出手段と、
    前記逆転クランク角検出手段にて検出された逆転クランク角に基づいて内燃機関の停止時の行程状態を決定する停止行程判別手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の停止行程判別装置。
  3. 請求項1または2記載の構成において、内燃機関のカムシャフトの回転位相を判別する信号を出力するカム角検出手段を備え、
    内燃機関のクランク角は、前記内燃機関回転状態検出手段の回転信号と、前記カム角検出手段の信号とに基づいて検出されていることを特徴とする内燃機関の停止行程判別装置。
  4. 請求項3記載の構成において、前記カム角検出手段は、カムシャフトの回転位相の内で特定の一カ所において他と異なる状態となる信号を出力するものであることを特徴とする内燃機関の停止行程判別装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の構成において、前記極大位置エネルギー位相を境界として内燃機関のクランク角領域を分割設定し、
    前記停止行程判別手段は、前記逆転クランク角検出手段にて検出された逆転クランク角が属するクランク角領域と該クランク角領域の直前のクランク角領域とを、内燃機関の停止時の行程状態として決定することを特徴とする内燃機関の停止行程判別装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の内燃機関の停止行程判別装置を備えるとともに、
    内燃機関の始動時においては、直前の内燃機関停止時において前記停止行程判別手段にて決定されている行程状態に基づいて、燃料噴射した場合に最も早期に点火燃焼が可能な気筒に対して燃料噴射を実行する始動時燃料噴射手段を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 請求項6記載の構成において、内燃機関が吸気ポート燃料噴射タイプである場合には、前記始動時燃料噴射手段は、前記停止行程判別手段にて決定されている行程状態において吸気行程にある気筒の吸気ポートに燃料を供給することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  8. 請求項6記載の構成において、内燃機関が筒内燃料噴射タイプである場 合には、前記始動時燃料噴射手段は、前記停止行程判別手段にて決定されている行程状態において圧縮行程にある気筒の燃焼室内に燃料を供給することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  9. 請求項5記載の内燃機関の停止行程判別装置または請求項6〜8のいずれか記載の内燃機関の燃料噴射制御装置を備えるとともに、
    内燃機関の始動時において、直前の内燃機関停止時において前記停止行程判別手段にて決定されている行程状態の内から、前記内燃機関回転状態検出手段の信号および前記カム角検出手段の信号の内の一方または両方における出力開始初期の状態に基づいて、始動時の行程状態を選別する始動時行程選別手段を備えたことを特徴とする内燃機関の始動時行程判別装置。
  10. 請求項5記載の内燃機関の停止行程判別装置または請求項6〜8のいずれか記載の燃料噴射制御装置を備えるとともに、
    内燃機関の始動時において、直前の内燃機関停止時において前記停止行程判別手段にて決定されている行程状態の内から、前記内燃機関回転状態検出手段の信号および前記カム角検出手段の信号の内の一方または両方における出力開始初期の状態に基づいて、始動時の行程状態を選別し、かつ該選別時点でのクランク角を決定する始動時行程選別手段を備えたことを特徴とする内燃機関の始動時行程判別装置。
  11. 請求項10記載の構成に加えて、
    前記始動時行程選別手段により得られた始動時の行程状態と、該選別時点でのクランク角とに基づいて、最も早く燃焼が可能な気筒に点火を実行する初爆点火実行手段を備えたことを特徴とする内燃機関の始動時行程判別装置。
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