JP3873312B2 - ホログラム転写箔の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレリーフ型ホログラムが形成された転写箔の製造方法に関する。更に詳しくは、溶融押出成形法を利用して、ホログラム形成樹脂層の表面にレリーフ型ホログラムが形成されたものであり、転写層の転移性、箔切れ性などが良好で、極めて優れた転写性能を示し、また、一度転写した後も箔を回収して再使用することが可能なホログラム転写箔の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レリーフ型ホログラムは光の干渉縞を凹凸形状にて記録したものである。一般的に感光性樹脂の表面にホログラムの凹凸形状を記録させ、この凹凸形状をメッキ等により型取りして、レリーフ型ホログラムスタンパーを得る。このスタンパーを、例えば熱可塑性樹脂の表面にエンボスすることにより大量にレリーフ型ホログラムが複製される。
【0003】
前記レリーフ型ホログラムを有する転写箔としては図1に示す通り、基材シート1の片面に、基材シートに対して剥離性を有する剥離樹脂層2を設け、次いでレリーフ型ホログラムを有する樹脂層3を形成した後、さらに光反射層4、感熱接着剤層5を設けた構成が一般的であった。
【0004】
このようなホログラム転写箔の製造にあたっては例えば、剥離性を有する基材シート上に透明樹脂を溶融押出しラミネートすると共に、押出成形機の冷却ロール表面に装着されたレリーフ型ホログラムスタンパーによって溶融状態の樹脂を押圧して樹脂表面にレリーフ型ホログラムを形成する。次いで、このレリーフ型ホログラム形成面に光反射層と感熱接着剤層を積層して転写箔を得る方法が知られており、特開昭63−96689号公報、特開昭63−106779号公報等に開示されている。
また、剥離容易な二層の樹脂層を溶融共押出しラミネート成形しながら、その一方の樹脂面に押出成形機の冷却ロール表面に装着されたレリーフ型ホログラムスタンパーを押圧して、樹脂表面にレリーフ型ホログラムを形成する。次いで、このレリーフ型ホログラム形成面に光反射層と感熱接着剤層を積層して転写箔を製造する方法等も知られており、特開昭62−217282号公報等に開示されている。
【0005】
これらの方法は何れもホログラム転写箔を高速かつ連続的に製造することができるので生産効率に優れ、経済的で安価なホログラム転写箔を製造することができるものである。また、溶融押出成形法により得られるホログラム形成層は装飾効果が極めて高いという特徴を有している。
【0006】
しかしながら、上記方法で得られた転写箔は転写時の転写層(被転写体に移行する層、この場合、ホログラム形成樹脂層、光反射層、感熱接着剤層の三層を指す)の箔切れ性、すなわち被転写体に接着した部分とその周囲が分断され難いために、精度の良い転写が困難であるという問題があった。
また、このような転写箔は一度転写を行なってしまうと使い捨ててしまうのが一般的であった。
【0007】
この問題を解決するために、図2にその断面図を示したような表面張力が31dyn/cm未満の樹脂3の表面にレリーフ型ホログラムを形成し、そのレリーフ型ホログラム形成面に光反射層4、感熱接着剤層5を順次積層した構成のホログラム転写箔が提案されている(実開平6−33164号公報)。
この方法によれば、転写時にホログラム形成樹脂層3と光反射層4との界面で剥離が起こるので、光反射層4と感熱接着剤層5の二層が被転写体に転写される。すなわち、従来の方法では転写されていたホログラム形成樹脂層3が転写されなくなるので、転写層10を薄膜化することができ、転写時の転写層10の箔切れ性が向上し、精度の良い転写が可能となるというものであった。また、一度転写を行った後も、剥離したホログラム形成樹脂層3のレリーフ型ホログラム形成面に、改めて光反射層4を形成することにより何度でも再利用が可能となるものであった。
しかし、この転写箔の場合、剥離性をホログラム形成樹脂層2の表面張力の作用に依存しているのため、常に安定した剥離性を得るのが難しく、やや生産性の点で劣るという問題点があった。
また、安定した剥離性を得るべく、ホログラム形成樹脂層3の上に光反射層4に対して剥離性を有する剥離層を介して、光反射層4を積層したとしても、従来の剥離層は剥離させたい層に応じて各種材料を塗料化して積層していたために、ホログラム形成樹脂層3の表面に形成されたホログラムの微細な凹凸が消失してしまうという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような状況を鑑みなされたもので、溶融押出成形法を利用して、ホログラム形成樹脂層の表面に経済的かつ装飾効果の高いレリーフ型ホログラムを形成したものであり、転写層の剥離性、箔切れ性などが極めて優れ、かつホログラム形成樹脂層の表面に形成されたホログラムの微細な凹凸が消失することのない、さらに、一度転写した後も箔を回収して再使用することが可能なホログラム転写箔の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために考えられたホログラム転写箔の製造方法で、
請求項1の発明は基材シート上にホログラム形成樹脂層、剥離層、光反射層、接着剤層を順次積層して成るホログラム転写箔の製造方法において、剥離層と光反射層の界面の密着を、構成上最も弱くなるようにそれぞれ互いに親和性の低い材料によって構成される剥離層と光反射層とを、順次、物理蒸着法によって形成することを特徴とするホログラム転写箔の製造方法である。
請求項2の発明はホログラム形成樹脂層のホログラム形成面に、コロナ処理、イオンボンバード処理、プラズマ処理等の乾式の表面処理を行なった後、剥離層を物理蒸着法によって積層することを特徴とする請求項1記載のホログラム転写箔の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面を参照して説明する。
図3は、本発明のホログラム転写箔の構造を示す断面を示した説明図である。図3に示したように、基材シート1上に、ホログラム形成樹脂層3、剥離層2、光反射層4、接着剤層5を順次積層して構成されている。
【0011】
基材シート1としてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、セロファン、ナイロンフィルム、などが使用できるが、表面平滑性、寸法安定性、耐熱性、加工性、経済性、強靭性等の点から、二軸延伸されたポリエステルフィルム、あるいは二軸延伸されたポリプロピレンフィルムが最も好ましい。厚みとしては、6〜30μm程度が好ましい。
【0012】
ホログラム形成樹脂層3にレリーフ型ホログラムを形成する方法としては例えば、図4に示すような、溶融押出成形機21のT−ダイ22より基材シート1上に押し出された溶融樹脂3’を、T−ダイ22の直下に配置されたニップロール23と冷却ロール24の間でラミネートすると同時に、冷却ロール24に装着されたレリーフ型ホログラムスタンパー25で押圧することで得ることができる。
この方法によれば、ホログラムの形成と基材シート1と樹脂層3との積層を一度に行うことができるので、生産工程を合理化することが可能である。また、本方法は、溶融状態の樹脂3’をホログラムスタンパー25にて押圧すると共に、冷却ロール24にて瞬時に樹脂3’を冷却固化するので、ホログラムの成形性に優れており、その結果、極めて装飾効果の高いたホログラム形成樹脂層3を得ることができる。
【0013】
ホログラム形成樹脂層3に利用できる樹脂としては冷却ロール23に装着されたレリーフ型ホログラムスタンパー25の微細な凹凸を精度良く再現できることが必要であり、このような樹脂としてはポリオレフィン系樹脂が好ましく、その中でもポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が好ましく使用できる。
【0014】
ただし、レリーフ型ホログラムを形成する際、ホログラムスタンパー25に付着・汚染するような添加剤は、ホログラムの成形性を劣化させるため、含有しないものが好ましい。また、ホログラム形成樹脂層3の厚みは転写作業性の観点から、10μm〜100μmの範囲が適当である。
また、基材シート1上にホログラム形成樹脂層3をラミネートする際に、両者の接着性を向上させるために、必要に応じて基材シート1の樹脂積層面に予めアンカーコート層を設けても良い。アンカーコート層としてはポリブタジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アルキルチタネート樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂等を一般的に用いることができる。
【0015】
本発明の剥離層2は転写時の光反射層4との剥離性を向上させる目的で設けられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法によって形成される。
剥離層2を形成する材料としては物理蒸着法にて薄膜を形成できるものであれば、特に制限はなく、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、錫、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、鉛の一種あるいは二種以上の合金からなる金属材料や、酸化チタン、酸化錫、酸化珪素、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、硫化カドミニウム等の透明無機化合物の中から任意に選択して用いることができる。剥離層2の厚みとしては100Å〜10000Å、好ましくは200Å〜4000Åであることが望ましい。
【0016】
また、剥離層2を積層するホログラム形成樹脂層3のホログラム形成面には予め、剥離層2との密着性を向上させるためにコロナ放電処理、イオンボンバード処理、プラズマ処理等の乾式の表面処理を行っておいても良い。
ホログラム形成樹脂層3と剥離層2との密着が、剥離層2と光反射層4との密着よりも充分に高くないと転写時にホログラム形成樹脂層3と剥離層2との界面でも剥離が生じ、所望のラベルが得られなくなる恐れがあるためである。そのため、好ましくはホログラム形成樹脂層3のホログラム形成面(剥離層2を積層する面)の表面張力は40dyn/cm以上に調整しておくことが望ましい。
ただし、プライマーコーティング処理や化学薬品処理などの湿式処理は、ホログラム形成樹脂層3表面に形成されたレリーフ型ホログラムの微細な凹凸を消失させるため使用することはできない。
【0017】
光反射層4は、図5に示すように被転写体15へ転写後にホログラム形成層を兼ねるものであり、剥離層2同様に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法によって形成される。
光反射層4を形成する材料としては例えば、アルミニウム、金、銀、銅、錫、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、鉛の一種あるいは二種以上の合金からなる反射性金属材料、あるいは酸化チタン、酸化錫、酸化珪素、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、硫化カドミニウム等の高屈折率の透明無機化合物を用いることができる。
高屈折率の透明無機化合物を用いるのは、光反射層4の上に、さらに接着剤層5を積層した際に、接着剤層5と屈折率の近い透明無機化合物を用いるとホログラムの画像が認識しにくくなるためである。そのため、光反射層4に透明無機化合物を用いる場合には接着剤層5との屈折率の差が0.1以上、好ましくは0.5以上であることが望ましく、接着剤層5に用いる材料との組合せを考慮した上で前記透明無機化合物の中から選択する必要がある。
光反射層4の厚みとしては100Å〜10000Å、好ましくは200Å〜4000Åであることが望ましい。
【0018】
本発明のホログラム転写箔は剥離層2と光反射層4との界面で剥離を起こさせるために、剥離層2と光反射層4とは親和性の低い材料同士を組み合わせた構成である必要がある。したがって、先に述べたような剥離層2および光反射層4に使用できる材料の中で、親和性の低い材料同士を任意に選択して、剥離層2および光反射層4をそれぞれ形成すればよい。
例えば、剥離層2に酸化チタン、酸化錫、酸化珪素、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、硫化カドミニウム等の透明無機化合物、光反射層4にアルミニウム、金、銀、銅、錫、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、鉛の一種あるいは二種以上の合金からなる反射性金属材料を組み合わせた構成や、剥離層2にアルミニウム、金、銀、銅、錫、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、鉛の一種あるいは二種以上の合金からなる反射性金属材料、光反射層4に接着剤層5と屈折率が異なる酸化チタン、酸化錫、酸化珪素、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、硫化カドミニウム等の透明無機化合物を組み合わせた構成等が掲げられる。
【0019】
接着剤層5は被転写体15に対して良好な接着性を有するものであり、また、転写時に剥離層2と光反射層4との界面で良好に剥離を生じさせるために、光反射層4に対しても充分な接着性を有する必要がある。
このような接着剤層5としては例えば、反応硬化型接着剤、溶剤揮散型接着剤、ホットメルト型接着剤、電子線硬化型接着剤、あるいは感熱接着剤等を用いることができ、光反射層4および被転写体15の種類によって、任意に選択して用いればよい。
【0020】
反応硬化型接着剤としてはポリエステルウレタンやポリエーテルウレタン、又はアクリルウレタン等のポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が例示できる。
溶剤揮散型接着剤としては酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ウレタン樹脂等から成る水性エマルジョン型接着剤や天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂等から成るラテックス型接着剤等が例示できる。
ホットメルト型接着剤としてはエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂等をベース樹脂としたものが例示できる。
電子線硬化型接着剤としてはアクリロイル基、アリル基、ビニル基等のビニル系官能基を一個または数個持つオリゴマーを主成分とするもので、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタクリレート等に、目的に応じて接着付与剤としてリンを含むアクリレートまたはその誘導体、あるいはカルボキシル基を含むアクリレートまたはその誘導体を適量添加したもの等を用いることができる。
感熱接着剤としてはポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等が例示できる。
【0021】
以上の接着剤層5の積層方法としては前記の樹脂を適当な溶媒を用いて塗料化したものを、グラビアコート、ロールコート、スクリーンコート、ブレードコート等の既知の塗布方式の中から接着剤の粘度に応じて選択して塗布形成を行えばよい。
また、接着剤層5の厚みは1μm〜10μm程度でよい。
【0022】
接着剤層5として反応硬化型接着剤、溶剤揮散型接着剤、ホットメルト接着剤、電子線硬化型接着剤を用いた場合は接着剤層5を光反射層4へ前記塗布方式によって、全ベタあるいは所望のパターン状に塗布後、接着剤が固化する前に被転写体15を積層させ、接着剤を固化させた後、剥離層2と光反射層4との界面で剥離させることで接着剤層5を塗布した部分が転写される。
また、接着剤層5として感熱接着剤を用いた場合は、接着剤層5を光反射層4上へ前記塗布方式によって塗布した後、例えばホットスタンプ装置に転写箔30と被転写体15を重ね合わせてセットし、ホットスタンプ装置に設置された所望形状の熱板によって加熱加圧を行い、接着剤が固化後、剥離層2と光反射層4との間で剥離させることで熱板で加熱加圧された部分が転写される。
【0023】
本発明のホログラム転写箔によれば、従来の溶融押出成形法を利用して、経済的かつ装飾効果の高いホログラムを表面に形成したホログラム形成樹脂層3を用いて成るホログラム転写箔30において、ホログラム形成樹脂層3と光反射層4との間に、光反射層4との親和性の低い材料を用いて剥離層2を形成したので、剥離層2と光反射層4との界面で容易に剥離させることが可能となり、転写時の転写層10の剥離性が向上する。
【0024】
また、剥離層2、光反射層4の形成に物理蒸着法を用いるため、ホログラム形成樹脂層3の表面に形成されたホログラムの微細な凹凸を消失させることがなく、剥離層2、光反射層4ともにホログラムの微細な凹凸を形成することが可能となる。このため、本発明のホログラム転写箔30により転写を行った際に、被転写体15に転写された光反射層4がホログラム形成層としての機能を兼ねることが可能になる。
【0025】
【実施例】
以下本発明を実施例により、さらに詳しく説明する。
<実施例1>
図4に示した装置を用い、基材シートである厚み30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(二村化学(株)製 FOR)上に、熱可塑性樹脂としてポリプロピレン樹脂(三菱化学(株)製 FL25R)を、T−ダイより押出温度290℃、押出厚み20μmとなるように押出し、表面にニッケル製のレリーフ型ホログラムスタンパーが装着された冷却ロール(ロール温度20℃)及びニップロール(シリコンゴム製 ゴム硬度85度)との間で押圧・冷却することで、表面にレリーフ型ホログラムが形成されたホログラム形成樹脂層を連続して得た。
次いで、得られたホログラム形成樹脂層のホログラム形成面に、コロナ放電処理を行い、樹脂表面の表面張力を45dyn/cmとした後、前記ホログラム形成面へ真空蒸着法によって剥離層として厚み1000Åの硫化亜鉛蒸着層を形成し、さらに真空蒸着法により光反射層として厚さ500Åのアルミニウム蒸着層を積層した。次いで、接着剤層としてポリエステルウレタン樹脂からなる反応硬化型接着剤をグラビアコーターにて、厚み約1.5μmに全ベタ塗工を行い、図3に断面図を示すようなホログラム転写箔を得た。
このようにして、得られたホログラム転写箔を反応硬化型接着剤が固化する前に、被転写体としてコート紙(坪量65g/m2 )と積層し、接着剤の固化後、箔を剥離したところ、剥離層である硫化亜鉛蒸着層と光反射層であるアルミニウム蒸着層との界面で容易に剥離し、被転写体のコート紙へアルミニウム蒸着層からなるホログラム形成層が綺麗に転写されていた。
【0026】
<実施例2>
実施例1同様、図4に示した装置を用い、厚み12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 T4100)上に、熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂(三井石油化学(株)製 M16P)を、T−ダイより押出温度320℃、押出厚み30μmとなるように押出し、表面にニッケル製のレリーフ型ホログラムスタンパーが装着された冷却ロール(ロール温度20℃)及びニップロール(シリコンゴム製 ゴム硬度85度)との間で押圧・冷却することで、表面にレリーフ型ホログラムが形成されたホログラム形成樹脂層を連続して得た。
次いで、得られたホログラム形成樹脂層のホログラム形成面に、アルゴンガスによるイオンボンバード処理を行った後、前記ホログラム形成面へ真空蒸着法によって剥離層として厚み400Åのアルミニウム蒸着層を形成し、さらに真空蒸着法により光反射層として厚さ500Åの酸化チタン蒸着層を積層した。次いで、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂からなる感熱接着剤をグラビアコーターにて、厚さ約2μmに塗工し、図3にその断面図を示すようなホログラム転写箔を得た。
このようにして得られたホログラム転写箔を厚み188μmのポリエステルフィルムに重ね合わせ、ホットスタンプ装置の熱板によりホログラム転写箔側から加熱加圧を行った後、箔を剥離したところ、剥離層であるアルミニウム蒸着層と光反射層である酸化チタン蒸着層との界面で容易に剥離し、被転写体のポリエステルフィルムへ酸化チタン蒸着層からなるホログラム形成層が綺麗に転写されていた。
【0027】
<実施例3>
実施例1において、被転写体のコート紙(坪量65g/m2 )へ転写を行った後の箔を回収して、回収された箔の剥離層(硫化亜鉛蒸着層)の上に、再度、真空蒸着法により光反射層として厚さ500Åのアルミニウム蒸着層を積層した。次いで、接着剤層として下記組成の電子線硬化性接着剤をグラビアコーターにて、厚み約3.0μmに所望形状に塗工した。次いで、被転写体であるコート紙 (坪量65g/m2 )と積層し、窒素雰囲気下で、電子線を照射電圧200V、照射線量30kGyにて転写箔側から照射し、接着剤層を固化させた。その後、箔を剥離したところ、接着剤を塗布した部分において、剥離層である硫化亜鉛蒸着層と光反射層であるアルミニウム蒸着層との界面で容易に剥離し、被転写体のコート紙へアルミニウム蒸着層からなるホログラム形成層が、所望形状の通り、綺麗に転写された。このように、一度、箔を使用後、回収してリサイクル使用した場合でも、一度目に転写したときと同様に優れた剥離性と箔切れ性を示した。
<電子線硬化性接着剤の組成>
・ノニルフェニルオキシエチルアクリレート
(東亜合成(株)製 アロニックスM111) 100重量部
・アクリル変性ロジン
(荒川化学(株)製 BS101) 20重量部
・リンを含むメタクリレート
(日本化薬(株)製 KAYAMER) 0.5重量部
【0028】
<比較例1>
実施例1において、剥離層である硫化亜鉛蒸着層を形成しなかった以外は、同様の装置、材料、操作により、図2に断面図を示すようなホログラム転写箔を得た。
このようにして得られたホログラム転写箔を、実施例1と同様に被転写体のコート紙(坪量65g/m2 )と積層し、接着剤の固化後、ホログラム形成樹脂層と光反射層であるアルミニウム蒸着層との界面で剥離させたところ、アルミニウム蒸着層が若干ホログラム形成樹脂層側に残り、被転写体であるコート紙にアルミニウム蒸着層からなるホログラム形成層が途切れることなく、綺麗に転写することができなかった。
【0029】
<比較例2>
実施例1において、ホログラム形成樹脂層のホログラム形成面に、コロナ放電処理を行わずに剥離層を積層した以外は、実施例1と同様の操作にて、図3に示すようなホログラム転写箔を作製した。次いで、得られたホログラム転写箔を、被転写体であるコート紙(坪量65g/m2 )と積層し、接着剤の固化後、剥離層と光反射層との界面で剥離させようとしたところ、ホログラム形成樹脂層と剥離層との界面でも剥離が生じ、光反射層だけでなく、部分的に剥離層もコート紙に転写されてしまい、安定した剥離性が得られなかった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のホログラム転写箔の製造方法によれば、溶融押出成形法を利用して、経済的かつ装飾効果の高いホログラム形成樹脂層を有してなるホログラム転写箔の製造方法において、ホログラム形成樹脂層のホログラム形成面に、光反射層に対して剥離性を有する材料を物理蒸着法により形成された剥離層を介して、物理蒸着法により形成された光反射層を設けたので、転写時に剥離層と光反射層との界面で容易に剥離させることができ、安定的な被転写体への転写層(光反射層と接着剤層)の転移が可能となり、かつホログラム形成樹脂層の表面に形成されたホログラムの微細な凹凸が消失することのないホログラム転写箔とするホログラム転写箔の製造方法とすることができる。
また、転写時に剥離層と光反射層との界面で安定して剥離が行われるので一度、転写した後も箔を回収し、再度、剥離層の上に光反射層、接着剤層を形成すれば、繰り返しホログラム転写箔として再利用することができるホログラム転写箔とするホログラム転写箔の製造方法を提供するものである。
【0031】
さらに、本発明のホログラム転写箔の製造方法によると、ホログラム形成樹脂層への剥離層、光反射層の形成を物理蒸着法によって行うので、ホログラム形成樹脂層の表面に形成されたホログラムの微細な凹凸を消失させることがなく、剥離層および光反射層にホログラムの微細な凹凸を形成することが可能となる。したがって、被転写体へ転写を行った際に、転写された光反射層がホログラム形成層を兼ねるができ、優れたホログラムの装飾効果を有するとともに、安定した剥離性を有するホログラム転写箔を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のホログラム転写箔の断面説明図。
【図2】従来の他のホログラム転写箔の断面説明図。
【図3】本発明のホログラム転写箔の一実施例の断面説明図。
【図4】ホログラム形成樹脂層の製造工程の概略を示す説明図。
【図5】本発明のホログラム転写箔を被転写体に転写した状態を示す断面説明図。
【符号の説明】
1…基材シート
2…剥離層
3…ホログラム形成樹脂層
3’…溶融状態の樹脂
4…光反射層
5…(感熱)接着剤層
10…転写層
15…被転写体
21…押出機
22…T−ダイ
23…ニップロール
24…冷却ロール
25…レリーフ型ホログラムスタンパー
30…ホログラム転写箔
Claims (2)
- 基材シート上にホログラム形成樹脂層、剥離層、光反射層、接着剤層を順次積層して成るホログラム転写箔の製造方法において、剥離層と光反射層の界面の密着を、構成上最も弱くなるようにそれぞれ互いに親和性の低い材料によって構成される剥離層と光反射層とを、順次、物理蒸着法によって形成することを特徴とするホログラム転写箔の製造方法。
- ホログラム形成樹脂層のホログラム形成面に、コロナ処理、イオンボンバード処理、プラズマ処理等の乾式の表面処理を行なった後、剥離層を物理蒸着法によって積層することを特徴とする請求項2記載のホログラム転写箔の製造方法。
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