JP3872902B2 - 一缶多水路型流体加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱対象の流体が循環する循環経路の一部を成す循環経路用受熱管と少なくとも1つの他系統用受熱管とが共通の熱交換器を通る一缶多水路型流体加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一缶二水路型給湯機は、図7に示すように、浴槽701内の湯を循環させる追い焚き循環経路710の一部を成す追い焚き用受熱管711と給湯流路720に組み込まれた給湯用受熱管721とがフィンを共通にする1つの熱交換器702を通っており、これら2つの系統の受熱管内の水を1つのバーナー703で加熱するようになっている。
【0003】
このような一缶二水路型給湯機では、バーナー703を燃焼させると、追い焚き用受熱管711と給湯用受熱管721とが同時に加熱されるので、追い焚き単独運転時に給湯流路720の特に給湯用受熱管721内に滞留している水が部分沸騰しないように種々の配慮がなされている。たとえば、給湯用受熱管721内で最も温度上昇の激しい箇所に滞留する水の温度をセンサで検知し、当該箇所の湯温が予め定めた燃焼オン温度以下のときはバーナーの燃焼をオンにし、同箇所の湯温が燃焼オン温度よりも高い予め定めた燃焼オフ温度に達したときバーナーの燃焼をオフするというオンオフ制御を行うことで、給湯用受熱管721内での沸騰を防止している。
【0004】
給湯用受熱管721内の水温は、バーナーの燃焼をオフしてからも、後焚きによって上昇し、いわゆるオーバーシュートが現れる。またバーナーの燃焼をオンにしても、熱交換器702自体を加熱する等のために熱が消費されるので、給湯用受熱管721内の水温はすぐには上昇せずに、アンダーシュートが現れる。このため燃焼オン温度および燃焼オフ温度は、これらオーバーシュートやアンダーシュートを見込んだ値に設定されている。
【0005】
また、バーナー703の燃焼をオンオフ制御する際の燃焼オン温度および燃焼オフ温度は、それぞれ予め定めた温度に固定的に設定されており、追い焚き単独運転中にこれらの温度を変更するような制御は行っていない。さらに、追い焚き単独運転中にバーナー703を燃焼させる際の燃焼量や空気比も、予め定めた値に固定的に設定されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、追い焚き単独運転中における給湯用受熱管側の冷却は、主として追い焚き受熱管側への伝熱によって行われるので、給湯用受熱管から追い焚き受熱管への伝熱量が多いほど、すなわち、追い焚き流路内の水温が低いほど、給湯用受熱管内での沸騰が起こり難くなるとともに、燃焼停止後に現れるオーバーシュート量が少なくなる。
【0007】
しかしながら、従来の技術では、追い焚き単独運転を行っている間、バーナーの燃焼のオンオフ温度や燃焼量および空気比を変更しないので、各値は、最も沸騰の起こりやすい状態に合わせて設定されている。このため、追い焚き流路内の水温が低い間は沸騰までに余裕があるにもかかわらずバーナーの燃焼がオフにされ、追い焚き流路側へのアウトプット(時間平均の加熱量)が十分でなく、追い焚き動作の完了まで長い時間を要していた。
【0008】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、一方の受熱管内に流体が滞留している状態で循環経路側の受熱管内の流体を循環させて加熱する際に、他系統側の受熱管内での沸騰を抑えつつ循環経路側へのアウトプットをより高めることのできる一缶多水路型流体加熱装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]加熱対象の流体が循環する循環経路(40)の一部を成す循環経路用受熱管(41)と少なくとも1つの他系統用受熱管(21)とが共通の熱交換器(11)を通る一缶多水路型流体加熱装置において、
前記熱交換器(11)を加熱するためのバーナー(12)と、前記バーナー(12)の燃焼を制御する燃焼制御手段(81)と、前記バーナー(12)への給気量を制御する給気量制御手段(85)と、前記他系統用受熱管(21)内の流体の温度を検知する管内温度検知手段(26)と、前記循環経路(40)内の流体の温度を前記循環経路用受熱管(41)の入側において検知する戻り温度検知手段(45)とを備え、
前記燃焼制御手段(81)は、前記他系統用受熱管(21)内の流体が滞留している状態で前記循環経路(40)内の流体を循環させて加熱する循環系単独加熱運転を行う際に、前記他系統用受熱管(21)内に滞留する流体が沸騰しないように前記管内温度検知手段(26)の検知する温度に基づいて前記バーナー(12)の燃焼をオンオフ制御し、
前記給気量制御手段(85)は、前記循環系単独加熱運転中に前記バーナー(12)を燃焼させる際の空気比を前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度が高いほど上げて、熱交換率を低下させることを特徴とする一缶多水路型流体加熱装置。
【0013】
[2]加熱対象の流体が循環する循環経路(40)の一部を成す循環経路用受熱管(41)と少なくとも1つの他系統用受熱管(21)とが共通の熱交換器(11)を通る一缶多水路型流体加熱装置において、
前記熱交換器(11)を加熱するためのバーナー(12)と、前記バーナー(12)の燃焼を制御する燃焼制御手段(81)と、前記バーナー(12)への給気量を制御する給気量制御手段(85)と、前記他系統用受熱管(21)内の流体の温度を検知する管内温度検知手段(26)と、前記循環経路(40)内の流体の温度を前記循環経路用受熱管(41)の入側において検知する戻り温度検知手段(45)とを備え、
前記燃焼制御手段(81)は、前記他系統用受熱管(21)内の流体が滞留している状態で前記循環経路(40)内の流体を循環させて加熱する循環系単独加熱運転を行う際に前記管内温度検知手段(26)の検知する温度が所定の燃焼オン温度以下のとき前記バーナー(12)の燃焼をオンにするとともに前記管内温度検知手段(26)の検知する温度が前記燃焼オン温度よりも高い所定の燃焼オフ温度に達したとき前記バーナー(12)の燃焼をオフにするオンオフ制御手段(82)と、前記燃焼オン温度および前記燃焼オフ温度を変更する制御温度変更手段(83)とを有し、
前記制御温度変更手段(83)は、前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度が高いほど前記燃焼オン温度および前記燃焼オフ温度を下げ、
前記給気量制御手段(85)は、前記循環系単独加熱運転中に前記バーナー(12)を燃焼させる際の空気比を前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度が高いほど上げて、熱交換率を低下させることを特徴とする一缶多水路型流体加熱装置。
【0014】
[3]加熱対象の流体が循環する循環経路(40)の一部を成す循環経路用受熱管(41)と少なくとも1つの他系統用受熱管(21)とが共通の熱交換器(11)を通る一缶多水路型流体加熱装置において、
前記熱交換器(11)を加熱するためのバーナー(12)と、前記バーナー(12)の燃焼を制御する燃焼制御手段(81)と、前記バーナー(12)への給気量を制御する給気量制御手段(85)と、前記他系統用受熱管(21)内の流体の温度を検知する管内温度検知手段(26)と、前記循環経路(40)内の流体の温度を前記循環経路用受熱管(41)の入側において検知する戻り温度検知手段(45)とを備え、
前記燃焼制御手段(81)は、前記他系統用受熱管(21)内の流体が滞留している状態で前記循環経路(40)内の流体を循環させて加熱する循環系単独加熱運転を行う際に、前記他系統用受熱管(21)内に滞留する流体が沸騰しないように前記管内温度検知手段(26)の検知する温度に基づいて前記バーナー(12)の燃焼をオンオフ制御するオンオフ制御手段(82)と、前記バーナー(12)を燃焼させる際の燃焼量を変更する燃焼量変更手段(84)とを有し、
前記燃焼量変更手段(84)は、前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度が高いほど前記バーナー(12)の燃焼量を下げ、
前記給気量制御手段(85)は、前記循環系単独加熱運転中に前記バーナー(12)を燃焼させる際の空気比を前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度が高いほど上げて、熱交換率を低下させることを特徴とする一缶多水路型流体加熱装置。
【0015】
[4]加熱対象の流体が循環する循環経路(40)の一部を成す循環経路用受熱管(41)と少なくとも1つの他系統用受熱管(21)とが共通の熱交換器(11)を通る一缶多水路型流体加熱装置において、
前記熱交換器(11)を加熱するためのバーナー(12)と、前記バーナー(12)の燃焼を制御する燃焼制御手段(81)と、前記バーナー(12)への給気量を制御する給気量制御手段(85)と、前記他系統用受熱管(21)内の流体の温度を検知する管内温度検知手段(26)と、前記循環経路(40)内の流体の温度を前記循環経路用受熱管(41)の入側において検知する戻り温度検知手段(45)とを備え、
前記燃焼制御手段(81)は、前記他系統用受熱管(21)内の流体が滞留している状態で前記循環経路(40)内の流体を循環させて加熱する循環系単独加熱運転を行う際に前記管内温度検知手段(26)の検知する温度が所定の燃焼オン温度以下のとき前記バーナー(12)の燃焼をオンにするとともに前記管内温度検知手段(26)の検知する温度が前記燃焼オン温度よりも高い所定の燃焼オフ温度に達したとき前記バーナー(12)の燃焼をオフにするオンオフ制御手段(82)と、前記燃焼オン温度および前記燃焼オフ温度を変更する制御温度変更手段(83)と、前記バーナー(12)を燃焼させる際の燃焼量を変更する燃焼量変更手段(84)とを有し、
前記制御温度変更手段(83)は、前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度が高いほど前記燃焼オン温度および前記燃焼オフ温度を下げ、
前記燃焼量変更手段(84)は、前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度が高いほど前記バーナー(12)の燃焼量を下げ、
前記給気量制御手段(85)は、前記循環系単独加熱運転中に前記バーナー(12)を燃焼させる際の空気比を前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度が高いほど上げて、熱交換率を低下させることを特徴とする一缶多水路型流体加熱装置。
【0016】
[5]前記バーナー(12)の燃焼をオフにした後に前記他系統用受熱管(21)内の流体温度に現れるオーバーシュートのピーク値が、前記他系統用受熱管(21)内の流体の沸騰温度を越えない範囲で高くなるように、前記燃焼オフ温度を前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度に応じて設定変更することを特徴とする[2]または[4]記載の一缶多水路型流体加熱装置。
【0017】
[6]前記バーナー(12)の燃焼をオフにした後に前記他系統用受熱管(21)内の流体温度に現れるオーバーシュートのピーク値が、前記他系統用受熱管(21)内の流体の沸騰温度を越えない範囲で高くなるように、前記燃焼量を前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度に応じて設定変更することを特徴とする[3]または[4]記載の一缶多水路型流体加熱装置。
【0018】
[7]前記バーナー(12)の燃焼をオフにした後に前記他系統用受熱管(21)内の流体温度に現れるオーバーシュートのピーク値が、前記他系統用受熱管(21)内の流体の沸騰温度を越えない範囲で高くなるように、前記空気比を前記戻り温度検知手段(45)の検知する温度に応じて設定変更することを特徴とする[1]、[2]、[3]または[4]記載の一缶多水路型流体加熱装置。
【0019】
前記本発明は次のように作用する。
燃焼制御手段(81)の有するオンオフ制御手段(82)は、循環系単独加熱運転を行う際に、管内温度検知手段(26)の検知する他系統用受熱管内の温度(水温)が所定の燃焼オン温度以下のときバーナー(12)の燃焼をオンにし、管内温度検知手段(26)の検知する温度が燃焼オン温度よりも高い所定の燃焼オフ温度に達したとき、バーナー(12)の燃焼をオフにするようオンオフ制御を行う。制御温度変更手段(83)は、戻り温度検知手段(45)の検知する循環経路用受熱管(41)の入側における温度(水温)が高いほど、燃焼オン温度および燃焼オフ温度を下げるように変更する。
【0020】
たとえば、他系統としての給湯側に通水が無い状態で循環経路(40)としての風呂の追い焚き側を加熱する追い焚き単独運転を行うとき、浴槽からの戻り湯の温度が低い間は燃焼オン温度および燃焼オフ温度を高く設定し、戻り湯の温度が高くなるに従って、燃焼オン温度および燃焼オフ温度を次第にあるは段階的に下げる。
【0021】
戻り温度検出手段の検出する循環経路用受熱管(41)の入側における水温(入側温度)が低いほど、他系統用受熱管(21)から循環経路用受熱管(41)への伝熱効率が高くなる。このため、燃焼停止後に、他系統用受熱管(21)内に現れる水温のオーバーシュート量は、循環経路用受熱管(41)の入側温度が低いとき小さくなり、入側温度が高くなるに従ってオーバーシュート量は増加する。すなわち、循環経路用受熱管(41)の入側温度が低いときの燃焼オフ温度を、入側温度が高いときの燃焼オフ温度より高く設定しても、燃焼停止後に他系統用受熱管(21)内に現れるオーバーシュートのピーク温度は沸騰温度を越え難くなる。
【0022】
そこで、循環経路用受熱管(41)の入側温度が低いときの燃焼オフ温度を高く設定し、入側温度が高まるほど燃焼オフ温度を下げるように変更することで、燃焼停止後に他系統用受熱管(21)内に現れるオーバーシュートのピーク温度が沸騰温度を越えないという条件を満たしつつ、入側温度が低いときの燃焼オン時間を長くすることができ、循環経路(40)側に対する時間平均の加熱量(アウトプット)を高めることができる。
【0023】
また、燃焼制御手段(81)の有する燃焼量変更手段(84)は、戻り温度検知手段(45)の検知する循環経路用受熱管(41)の入側温度が高いほど、バーナー(12)の燃焼量を下げるように変更する。熱交換器(11)の管体部分の温度と管内の流体との熱伝導率の違いから、バーナー(12)の燃焼量が多いほど管体部分の温度と管内の流体の温度との温度差が大きくなる。したがって、同一の燃焼オフ温度でバーナー(12)の燃焼を停止した場合には、燃焼オフ前の燃焼量が大きいほど、熱交換器(11)の管体に蓄積された熱による後沸きが大きく現れ、オーバーシュート量が増える。
【0024】
一方、先に説明したように循環経路用受熱管(41)の入側温度が低いほど、オーバーシュート量は小さくなる。そこで、循環経路用受熱管(41)の入側温度が高くなるほど、バーナー(12)の燃焼量を下げるように制御すれば、入側温度の上昇に伴うオーバーヘッド量の増加が燃焼量の低下によって相殺され、循環系単独加熱運転を行っている間、入側温度の変動にかかわらず、オーバーシュート時のピーク温度をほぼ一定に保つことができる。
【0025】
このように、循環経路用受熱管(41)の入側温度が低いときの燃焼量を大きく設定し、入側温度が高まるほど燃焼量を下げるように変更することで、燃焼停止後に他系統用受熱管(21)内に現れるオーバーシュートのピーク温度が沸騰温度を越えないという条件を満たしつつ、入側温度が低いときの加熱量を増加させることができ、循環経路(40)側に対する時間平均の加熱量(アウトプット)を高めることができる。
【0026】
また、バーナー(12)への給気量を制御する給気量制御手段(85)は、循環系単独加熱運転中において、戻り温度検知手段(45)の検知する温度が高いほど、バーナー(12)燃焼時の空気比を高めるように制御する。空気比を上げればそれだけ熱交換効率は低下するので、空気比を高めることは、燃焼量自体を下げることに相当する効果をもたらす。従って、循環経路用受熱管(41)の入側温度が低いときの空気比を小さく設定し、入側温度が高まるほど空気比を上げるように制御することで、燃焼停止後に他系統用受熱管(21)内に現れるオーバーシュートのピーク温度が沸騰温度を越えないという条件を満たしつつ、循環経路(40)側に対するアウトプットを高めることができる。
【0027】
なお、バーナー(12)の燃焼をオフしている期間中も燃焼ファン(17)の回転数を燃焼オン中と同一の回転数で駆動しておけば、燃焼中の空気比を高めることで燃焼がオフしているときの給気量、すなわち、熱交換器(11)を通過する空気量が増加して冷却効率が高まる。従って、循環経路用受熱管(41)の入側温度が高まるほど空気比を上げれば、これに応じて燃焼オフ中における冷却効率も高まり、入側温度の上昇に伴うオーバーシュート量の増加を抑えることができる。
【0028】
このように、空気比を上げることは、燃焼停止後におけるオーバーシュート量の抑制に、燃焼オン中における効率低下と燃焼オフ中における冷却効率の上昇の双方の面から寄与するので、循環経路用受熱管(41)の入側温度が低いときの空気比を小さく設定し、入側温度が高まるほど空気比を上げるよう制御することで、他系統用受熱管(21)内での沸騰を抑えつつ、循環経路(40)側に対するアウトプットを高めることができる。
【0029】
また、循環経路用受熱管(41)の入側温度が高いほど燃焼オン温度と燃焼オフ温度を下げることおよび入側温度が高いほど燃焼量を下げることの双方を、またはいずれか一方を入側温度が高いほど空気比を上げることに組み合わせることによって、燃焼停止後に他系統用受熱管(21)内に現れるオーバーシュートのピーク温度が沸騰温度を越えないという条件を満たしつつ、循環経路(40)側に対するアウトプットをより効果的に高めることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の一実施の形態を説明する。
各図は本発明の一実施の形態を示している。
図1に示すように、本実施の形態にかかる一缶多水路型流体加熱装置10は、給水を加熱するための給湯流路20と、浴槽60内の湯を追い焚きするための追い焚き流路40の双方が通る熱交換器11と、当該熱交換器11を加熱するためのバーナー12とを備えた一缶二水路型給湯機である。バーナー12には、燃焼ガスの供給路であるガス供給管13が接続されており、ガス供給管13の途中には、燃焼ガスの供給量を調整するためのガス量調整弁14(比例弁)が取り付けられている。
【0031】
他系統側としての給湯流路20は、熱交換器11のフィンプレートから受熱する配管部分である給湯系受熱管21と、給湯系受熱管21の入口部に通じ、給水の流れ込み側となる給水管22と、給湯系受熱管21の出口部から延びる給湯管23とから構成されている。給水管22には、流入する給水の温度(入水温度)を検知するための入水サーミスタ24と、通水量を検知するための流量センサー25が設けられている。
【0032】
また、給湯系受熱管21のうち、熱交換器11の外部で折り返すUベンド部には、当該部分における水温を検知する水管サーミスタ26が設けてある。給湯系受熱管21の出口部近傍には、給湯系受熱管21で加熱された後の水温(熱交内水温)を検知する熱交サーミスタ27が配置されている。
【0033】
給湯管23のうち熱交サーミスタ27よりも下流側の所定箇所と給水管22のうち流量センサー25より上流側の所定箇所との間は、熱交換器11を介さずに給水を給湯管23へ送り込むためのバイパス通路28によって接続されている。また、当該バイパス通路28の途中には、熱交換器11を迂回させる給水の流量を調整するためのバイパス流量制御弁28aが設けられている。
【0034】
給湯管23には、バイパス通路28との接続位置よりも下流側の箇所に、熱交換器11で加熱された湯とバイパス通路28を通じて熱交換器11を迂回した給水とがミキシングされた後の水温(出湯温度)を検知するための出湯サーミスタ29が配置されている。また給湯管23には、バイパス通路28との接続位置よりも上流側の箇所に出湯量を調整するための流量制御弁30が設けられている。
【0035】
浴槽60内の湯を循環させる循環経路としての追い焚き流路40は、熱交換器11のフィンプレートから受熱する配管部分である追い焚き系受熱管41と、追い焚き系受熱管41の一端部(追い焚き循環時における入口側)と浴槽60との間を接続する追い焚き戻り管42と、追い焚き系受熱管41の他端部と浴槽60との間を接続する追い焚き往き管43とから構成されている。追い焚き戻り管42の途中には、浴槽60内の湯を追い焚き系受熱管41に向けて送る循環ポンプ44と、追い焚き系受熱管41の入側における管内の水温(ふろ戻り温度)を検出する風呂サーミスタ45と、循環ポンプ44を回した際に追い焚き戻り管42内を水が流れるか否かを検知する流水スイッチ46とが設けられている。
【0036】
追い焚き戻り管42のうち循環ポンプ44よりも追い焚き系受熱管41側の所定箇所と給湯管23のうち出湯サーミスタ29よりも下流側の所定箇所との間は、給湯管23内の水を追い焚き流路40に送り込むための連絡路50によって接続されている。また、連絡路50の途中には、給湯管23からの水を追い焚き戻り管42に流すか否かを切り替えるための切替弁51が設けられている。切替弁51を開くことにより、給湯流路20側で加熱された湯を浴槽60へ注ぎ込むことが可能になっている。
【0037】
図2は、熱交換器11の有するフィンの形状を示している。フィン70の下部は、二手に分かれており、当該二手に分かれたそれぞれの部分の最下段に給湯系受熱管21を通す穴71が、その上に追い焚き系受熱管41を通す穴72が、さらにその上に給湯系受熱管21を通す穴73が開設されている。穴72を通る追い焚き系受熱管41は、穴71および穴73を通る給湯系受熱管21によって上下から挟まれることになる。またフィン70の上部には、給湯系受熱管21の通る穴74と追い焚き系受熱管41の通る穴75が上下2段に開設されている。穴72および穴75を通る追い焚き系受熱管41は、主としてそれぞれの直ぐ下方に配置された給湯系受熱管21からの伝熱によって加熱される。
【0038】
図1に示すように、一缶多水路型流体加熱装置10の有する排気通路内には、燃焼ファン17が配置されており、バーナー12への給気および排気は、当該燃焼ファン17によって排気側から空気を吸い出すことで行われるようになっている。
【0039】
一缶多水路型流体加熱装置10は、給湯動作、注湯動作、追い焚き動作など各種の動作を制御するための制御部80を備えている。制御部80には、出湯温度の設定や、風呂の追い焚き指示等を受け付けるためのリモコン90が接続されている。このリモコン90は浴室等に設置されるものである。制御部80には、ガス量調整弁14、入水サーミスタ24、流量センサー25、水管サーミスタ26、熱交サーミスタ27、バイパス通路28、出湯サーミスタ29、循環ポンプ44、風呂サーミスタ45、流水スイッチ46、切替弁51、燃焼ファン17等の各種の制御部品やセンサ類が電気的に接続されている。
【0040】
制御部80は、燃焼制御手段81と、給気量制御手段85と、使用状態判別手段86とを備えている。このうち、使用状態判別手段86は、給湯のみを単独で使用する給湯単独運転の状態にあるか否か、追い焚きのみを単独で使用する追い焚き単独運転の状態にあるか、給湯と追い焚きとを同時に使用する同時運転の状態にあるかを判別する回路部分である。使用状態判別手段86は、リモコン90からの追い焚き指示の有無や流水スイッチ46のオンオフ状態および内部の動作フラグ等を基にして追い焚きが動作中か否かを判別する。また流量センサー25のオンオフを基にして給湯側を使用しているか否かを判別するようになっている。
【0041】
燃焼制御手段81は、追い焚き単独運転中にバーナー12の燃焼をオンオフ制御するオンオフ制御手段82と、オンオフ制御手段82がバーナーの燃焼をオンオフ制御する際の燃焼オフ温度と燃焼オン温度とを追い焚き単独運転中に変更する制御温度変更手段83と、バーナー12の燃焼量(ガス量調整弁14を通じて供給するガス量)を追い焚き単独運転中に変更する燃焼量変更手段84とを備えている。
【0042】
オンオフ制御手段82は、水管サーミスタ26の検知する給湯系受熱管21内の水温に基づいてバーナー12の燃焼をオンオフ制御するように構成されている。より具体的には、水管サーミスタ26の検知する給湯系受熱管21内の湯温が制御温度変更手段83によって設定された燃焼オフ温度を越えたときバーナー12の燃焼をオフにし、水管サーミスタ26の検知する温度が、制御温度変更手段83によって設定された燃焼オン温度以下のときバーナー12の燃焼をオンにすることを、追い焚き単独運転中、繰り返し行うようになっている。
【0043】
制御温度変更手段83は、風呂サーミスタ45の検出するふろ戻り温度に基づいて、燃焼オフ温度および燃焼オン温度(これらを制御温度と呼ぶ)を追い焚き単独運転中に動的に変更するように構成されている。また燃焼量変更手段84は、追い焚き単独運転中にバーナー12を燃焼させる際の燃焼量を、風呂サーミスタ45の検出するふろ戻り温度に基づいて動的に変更する機能を有している。給気量制御手段85は、燃焼ファン17の回転数を制御することによってバーナー12への給気量を制御するものであり、回転数を、バーナー12の燃焼量と指定された空気比とに基づいて設定するようになっている。
【0044】
制御部80は、図3に示すような参照テーブル100を有している。参照テーブル100は、ふろ戻り温度に対し、設定すべき制御温度と、バーナー12の燃焼量(インプット)と、空気比とを表している。たとえば、ふろ戻り温度が20℃〜30℃の範囲101にあるときは、燃焼オフ温度を85℃、燃焼オン温度を84℃、インプットを14000kcal/h、空気比を2.3に設定すべきことを示している。制御温度変更手段83、燃焼量変更手段84、給気量制御手段85は、風呂サーミスタ45によって検出されたふろ戻り温度に対応する制御温度、燃焼量および空気比をそれぞれ参照テーブル100から取得するようになっている。
【0045】
なお、制御部80は、CPU(中央処理装置)とROM(リード・オンリ・メモリ)とRAM(ランダム・アクセス・メモリ)とを主要部とした回路によって構成されている。ROMには、CPUの実行するプログラムのほか、図3に示した参照テーブル100に対応するデータ等が登録されている。
【0046】
次に作用を説明する。
図4は、一缶多水路型流体加熱装置10の行う動作の流れを示している。使用状態判別手段86は、給湯のみを単独で使用する給湯単独運転の状態にあるか否か、追い焚きのみを単独で使用する追い焚き単独運転の状態にあるか、給湯と追い焚きとを同時に使用する同時運転の状態にあるか、または何らの運転も行われていない待機状態にあるかを常時監視している。そして、追い焚き単独運転中であることが確認されると(ステップS201;Y)、制御部80は、オンオフ制御手段82を通じてバーナー12の燃焼をオンオフ制御する。この際、風呂サーミスタ45からふろ戻り温度を取得し(ステップS202)、取得したふろ戻り温度に対応する燃焼オン温度、燃焼オフ温度、インプット、空気比の各値を参照テーブル100から求めて設定する(ステップS203)。
【0047】
より具体的には、制御温度変更手段83は、風呂サーミスタ45の検出するふろ戻り温度に基づいて参照テーブル100を参照して得た燃焼オフ温度および燃焼オン温度が、現在設定中の値と異なる制御温度に変化したとき、今回取得した燃焼オフ温度および燃焼オン温度をオンオフ制御手段82に対して再設定する。同様に燃焼量変更手段84は、ふろ戻り温度に基づいて参照テーブル100を参照して得たインプット量が、現在設定中のインプット量と異なるとき、今回取得した値を、以後、バーナー12を燃焼させる際のインプット量として設定する。
【0048】
給気量制御手段85は、風呂サーミスタ45の検出するふろ戻り温度に基づいて参照テーブル100を参照することで空気比とインプット量の双方の値を取得し、これらに基づいて燃焼ファン17の回転数を求め、当該回転数で燃焼ファン17を駆動する。なお、空気比に代えて、燃焼ファン17の回転数自体を参照テーブル100に登録しておき、空気比とインプット量とから演算することなく、参照テーブル100から直接、燃焼ファン17の回転数を求めるようにしてもよい。
【0049】
燃焼制御手段81は、制御温度変更手段83によって現在設定されている燃焼オン温度および燃焼オフ温度に基づいてバーナー12の燃焼をオンオフ制御する。すなわち、水管サーミスタ26によって検出される給湯系受熱管21内の水温が、現在設定されている燃焼オン温度以下の場合には(ステップS204;Y)バーナー12の燃焼をオンにし(ステップS205)、水管サーミスタ26の検出する水温が燃焼オフ温度を越えると(ステップS206;Y)バーナー12の燃焼をオフにする(ステップS207)。
【0050】
追い焚き単独運転の状態が継続している間は、上記の処理が繰り返し行われ、燃焼オン温度、燃焼オフ温度、インプット量および空気比(燃焼ファン17の回転数)の各値は、風呂サーミスタ45の検出するふろ戻り温度に基づいて動的に変更される。通常、追い焚き開始時点は、ふろ戻り温度が低く、時間の経過とともに次第に上昇する。したがって、制御温度は、当初、高めに設定され、次第に低くなるように変更される。また燃焼量(インプット)も、当初は高めに設定され、次第に低下される。一方、空気比は、当初、低めに設定され、次第に高められる。
【0051】
なお、給湯単独運転や同時運転、あるいは運転待機状態など他の状態に移行したときは(ステップS201;N)、それぞれの状態に対応付けて予め用意された処理が実行される(ステップS208)。
【0052】
図5は、制御温度等をふろ戻り温度に応じて変更しない場合における燃焼のオンオフタイミングと給湯系受熱管21内の水温(熱交温度)とふろ戻り温度の変化の様子を示している。図中の左半分は、ふろ戻り温度が20℃付近の様子を、右半分は、ふろ戻り温度が42℃付近の様子を示しており、その中間については図示省略してある。
【0053】
制御温度等を固定的に設定すると、燃焼停止後に給湯系受熱管21内の水温に現れるオーバーシュートのピーク温度が、ふろ戻り温度が高くなるにしたがって上昇している。制御温度は、ふろ戻り温度が高くなった場合でも、オーバーシュートのピーク温度が沸騰温度に到達しないように選定されるので、ふろ戻り温度が20℃付近におけるピーク温度301は、ふろ戻り温度が40℃付近でのピーク温度302に比べて低く、沸騰するまでにまだ十分な余裕がある。このように、ふろ戻り温度が低いほど給湯系受熱管21内に現れる水温のオーバーシュート量が小さくなるのは、主として給湯系受熱管21から追い焚き系受熱管41への伝熱効率が、ふろ戻り温度が低いほど高いからである。
【0054】
図6は、制御温度等をふろ戻り温度に応じて変更した場合における燃焼のオンオフタイミングと給湯系受熱管21内の水温(熱交温度)とふろ戻り温度の変化の様子を示している。ふろ戻り温度が20℃の付近では、燃焼オフ温度および燃焼オン温度を高め(たとえば、ふろ戻り温度が20℃以下では燃焼オフ温度を90℃に、燃焼オン温度を89℃)に設定してあるので、これに伴ってバーナー12の1回当たりの燃焼オン時間311が、図5に示す燃焼オン時間303に比べて長くなっている。したがって、その分、図5に示したように制御温度を固定的に定めたものよりも、特に、ふろ戻り温度が低い期間において追い焚き側に対するアウトプット(時間平均の加熱量)が高まっている。
【0055】
また、図5と図6とを、ふろ戻り温度が20℃付近において比較すると、燃焼オン時間311が長くなったことに対応して、図6では、燃焼停止後のオーバーシュート時のピーク温度312も、図5に示したピーク温度301に比べて高くなっている。また、図6内で見ると、ふろ戻り温度が20℃付近でのピーク温度312とふろ戻り温度が40℃付近でのピーク温度313とがほぼ等しくなっている。すなわち、ふろ戻り温度が低いほど給湯系受熱管21から追い焚き系受熱管41への伝熱効率が高くなり燃焼停止後のオーバーシュート量が少なくなるので、その分、ふろ戻り温度が低いときの燃焼オフ温度を、ふろ戻り温度が高いときの燃焼オフ温度より高めても、現れるピーク温度をほぼ同一にすることができる。
【0056】
このように、ふろ戻り温度が低いときの制御温度を高く設定し、ふろ戻り温度が高まるほど制御温度を下げるように変更することで、燃焼停止後に給湯系受熱管21内に現れるオーバーシュートのピーク温度が沸騰温度を越えないという条件を満たしつつ、ふろ戻り温度が低いときの燃焼オン時間を長くすることができ、追い焚き側に対するアウトプットを高めることができる。
【0057】
図5に示したふろ戻り温度の変化特性304の上昇勾配に比べて、図6に示したふろ戻り温度の変化特性314の上昇勾配の方が、特にふろ戻り温度が低い部分で大きくなっており、制御温度等をふろ戻り温度に応じて変更することによって追い焚きに要する時間が短縮されることが分かる。
【0058】
また、熱交換器11の管体部分の温度と給湯系受熱管21内の流体との熱伝導率の違いから、バーナー12の燃焼量が大きいほど、管体部分の温度と管内の流体の温度との温度差が大きくなる。したがって、バーナー12の燃焼量が大きいほど、熱交換器11の管体部分に蓄積された熱による燃焼停止後の後沸きが大きく現れ、オーバーシュート量が増える。一方、ふろ戻り温度が低いほどオーバーシュート量は小さくなる。このため、ふろ戻り温度が低いときの燃焼量を大きく設定しておき、ふろ戻り温度が高くなるに従ってバーナー12の燃焼量を下げることで、ふろ戻り温度に依存したピーク温度の変動を低減することができる。
【0059】
さらに、ふろ戻り温度が低いとき、空気比を小さく設定し、ふろ戻り温度が高くなるに従って空気比を上げることによっても、オーバーシュートのピーク温度の変動が低減される。すなわち、空気比を上げればそれだけ熱交換効率が低下するので、結局、空気比を高めることは、燃焼量自体を下げることに相当する。従って、ふろ戻り温度が低いときの空気比を小さく設定し、ふろ戻り温度が高まるほど空気比を上げるように制御することで、燃焼停止後に給湯系受熱管21内に現れるオーバーシュートのピーク温度が沸騰温度を越えないという条件を満たしつつ、追い焚き側へのアウトプットを高めることができる。
【0060】
ここではバーナー12の燃焼をオフしている期間中も、燃焼ファン17の回転数を燃焼オン中と同一の回転数で駆動しているので、ふろ戻り温度に応じて空気比を上げ(実際には燃焼ファン17の回転数を上げる)れば、これに伴って燃焼オフ中における熱交換器11の冷却効率も高まり、ふろ戻り温度の上昇に伴うオーバーシュート量の増大が低減されることになる。このように、空気比を上げることは、燃焼停止後におけるオーバーシュート量の抑制に、燃焼オン中における熱交換効率低下と燃焼オフ中における冷却効率の上昇の双方の面から寄与している。
【0061】
なお、各ふろ戻り温度に対する制御温度やインプット、空気比等は、燃焼停止後に現れるオーバーシュートのピーク温度を基準に設定している。すなわち、図6に示すように給湯系受熱管21内に現れるオーバーシュートのピーク温度が、ふろ戻り温度にかかわらず、沸騰の生じない上限温度の近傍になるように、各ふろ戻り温度に対する制御温度等を予め選定してある。
【0062】
以上説明した実施の形態では、ふろ戻り温度に応じて、制御温度と、燃焼量と、空気比の3つを変更するようにしたが、これらのうちのいずれか1つまたは2つだけをふろ戻り温度に応じて変更するようにしてもよい。
【0063】
また、実施の形態では、各ふろ戻り温度に対応する制御温度等を参照テーブル100に記憶しておきこれを参照するようにしたが、ふろ戻り温度を変数とした所定の関数を演算することで制御温度等を求めるようにしてもよい。たとえば、所定の一次関数にふろ戻り温度を代入することで、燃焼オフ温度等を求めることができる。さらに、実施の形態では、風呂サーミスタ45の検知するふろ戻り温度に基づいて制御温度等を変更するようにしたが、ふろ戻り温度の変化率、つまり単位時間当たりにおけるふろ戻り温度の上昇量に応じて、制御温度等を変更するようにしてもよい。これは、追い焚き側の吸熱効率は、ふろ戻り温度が低いときほど高まるので、水温の上昇率によってふろ戻り温度が間接的に表されるからである。
【0064】
このほか実施の形態で示した制御温度、インプット、空気比等の値は一例であり、熱交換器の形状や希望するピーク温度等に応じて適宜定めることができる。また実施の形態では一缶二水路型の給湯と追い焚きの例を示したが、これに限定されず、たとえば、循環経路側として床暖房等の回路であってもかまわない。したがって、給湯と追い焚きと暖房の各流路を共通の熱交換器で加熱する一缶多水路型給湯機でも本願は有効である。さらに、他系統側は必ずしも給湯流路である必要はない。たとえば、風呂の追い焚き流路と床暖房用の流路のように2つの循環経路が1つの熱交換器を通っているような場合であっても、一方が滞留した状態で加熱を行うような場合には、本発明を適用することができる。なお、バーナーへ供給する燃料はガス以外に石油等であってもかまわない。また、石油等ではガンタイプバーナーのようなバーナーレスタイプなどでもよい。
【0066】
【発明の効果】
本発明にかかる一缶多水路型流体加熱装置によれば、循環経路用受熱管の入側温度が高くなるほどバーナーの燃焼量を下げたり、循環経路用受熱管の入側温度が高くなるほど空気比を上げるように制御することで、入側温度の上昇に伴うオーバーシュート量の増加が抑制あるいは相殺される。これにより、入側温度が低いときの加熱量を増すことができ、燃焼停止後に他系統用受熱管内に現れるオーバーシュートのピーク温度が沸騰温度を越えないという条件を満たしつつ、循環経路側に対するアウトプットを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る一缶多水路型流体加熱装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る一缶多水路型流体加熱装置の有する熱交換器のフィン形状を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る一缶多水路型流体加熱装置の制御部に予め記憶してある参照テーブルの一例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る一缶多水路型流体加熱装置の行う動作の流れを示す流れ図である。
【図5】制御温度等をふろ戻り温度に応じて変更しない場合における燃焼のオンオフタイミングと給湯系受熱管内の水温とふろ戻り温度の変化を示す説明図である。
【図6】制御温度等をふろ戻り温度に応じて変更した場合における燃焼のオンオフタイミングと給湯系受熱管内の水温とふろ戻り温度の変化を示す説明図である。
【図7】従来から使用されている一缶二水路型給湯機の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
10…一缶多水路型流体加熱装置
11…熱交換器
12…バーナー
14…ガス量調整弁
17…燃焼ファン
20…給湯流路
21…給湯系受熱管
26…水管サーミスタ
27…熱交サーミスタ
40…追い焚き流路
41…追い焚き系受熱管
44…循環ポンプ
45…風呂サーミスタ
46…流水スイッチ
60…浴槽
80…制御部
81…燃焼制御手段
82…オンオフ制御手段
83…制御温度変更手段
84…燃焼量変更手段
85…給気量制御手段
86…使用状態判別手段
100…参照テーブル
Claims (7)
- 加熱対象の流体が循環する循環経路の一部を成す循環経路用受熱管と少なくとも1つの他系統用受熱管とが共通の熱交換器を通る一缶多水路型流体加熱装置において、
前記熱交換器を加熱するためのバーナーと、前記バーナーの燃焼を制御する燃焼制御手段と、前記バーナーへの給気量を制御する給気量制御手段と、前記他系統用受熱管内の流体の温度を検知する管内温度検知手段と、前記循環経路内の流体の温度を前記循環経路用受熱管の入側において検知する戻り温度検知手段とを備え、
前記燃焼制御手段は、前記他系統用受熱管内の流体が滞留している状態で前記循環経路内の流体を循環させて加熱する循環系単独加熱運転を行う際に、前記他系統用受熱管内に滞留する流体が沸騰しないように前記管内温度検知手段の検知する温度に基づいて前記バーナーの燃焼をオンオフ制御し、
前記給気量制御手段は、前記循環系単独加熱運転中に前記バーナーを燃焼させる際の空気比を前記戻り温度検知手段の検知する温度が高いほど上げて、熱交換率を低下させることを特徴とする一缶多水路型流体加熱装置。 - 加熱対象の流体が循環する循環経路の一部を成す循環経路用受熱管と少なくとも1つの他系統用受熱管とが共通の熱交換器を通る一缶多水路型流体加熱装置において、
前記熱交換器を加熱するためのバーナーと、前記バーナーの燃焼を制御する燃焼制御手段と、前記バーナーへの給気量を制御する給気量制御手段と、前記他系統用受熱管内の流体の温度を検知する管内温度検知手段と、前記循環経路内の流体の温度を前記循環経路用受熱管の入側において検知する戻り温度検知手段とを備え、
前記燃焼制御手段は、前記他系統用受熱管内の流体が滞留している状態で前記循環経路内の流体を循環させて加熱する循環系単独加熱運転を行う際に前記管内温度検知手段の検知する温度が所定の燃焼オン温度以下のとき前記バーナーの燃焼をオンにするとともに前記管内温度検知手段の検知する温度が前記燃焼オン温度よりも高い所定の燃焼オフ温度に達したとき前記バーナーの燃焼をオフにするオンオフ制御手段と、前記燃焼オン温度および前記燃焼オフ温度を変更する制御温度変更手段とを有し、
前記制御温度変更手段は、前記戻り温度検知手段の検知する温度が高いほど前記燃焼オン温度および前記燃焼オフ温度を下げ、
前記給気量制御手段は、前記循環系単独加熱運転中に前記バーナーを燃焼させる際の空気比を前記戻り温度検知手段の検知する温度が高いほど上げて、熱交換率を低下させることを特徴とする一缶多水路型流体加熱装置。 - 加熱対象の流体が循環する循環経路の一部を成す循環経路用受熱管と少なくとも1つの他系統用受熱管とが共通の熱交換器を通る一缶多水路型流体加熱装置において、
前記熱交換器を加熱するためのバーナーと、前記バーナーの燃焼を制御する燃焼制御手段と、前記バーナーへの給気量を制御する給気量制御手段と、前記他系統用受熱管内の流体の温度を検知する管内温度検知手段と、前記循環経路内の流体の温度を前記循環経路用受熱管の入側において検知する戻り温度検知手段とを備え、
前記燃焼制御手段は、前記他系統用受熱管内の流体が滞留している状態で前記循環経路内の流体を循環させて加熱する循環系単独加熱運転を行う際に、前記他系統用受熱管内に滞留する流体が沸騰しないように前記管内温度検知手段の検知する温度に基づいて前記バーナーの燃焼をオンオフ制御するオンオフ制御手段と、前記バーナーを燃焼させる際の燃焼量を変更する燃焼量変更手段とを有し、
前記燃焼量変更手段は、前記戻り温度検知手段の検知する温度が高いほど前記バーナーの燃焼量を下げ、
前記給気量制御手段は、前記循環系単独加熱運転中に前記バーナーを燃焼させる際の空気比を前記戻り温度検知手段の検知する温度が高いほど上げて、熱交換率を低下させることを特徴とする一缶多水路型流体加熱装置。 - 加熱対象の流体が循環する循環経路の一部を成す循環経路用受熱管と少なくとも1つの他系統用受熱管とが共通の熱交換器を通る一缶多水路型流体加熱装置において、
前記熱交換器を加熱するためのバーナーと、前記バーナーの燃焼を制御する燃焼制御手段と、前記バーナーへの給気量を制御する給気量制御手段と、前記他系統用受熱管内の流体の温度を検知する管内温度検知手段と、前記循環経路内の流体の温度を前記循環経路用受熱管の入側において検知する戻り温度検知手段とを備え、
前記燃焼制御手段は、前記他系統用受熱管内の流体が滞留している状態で前記循環経路内の流体を循環させて加熱する循環系単独加熱運転を行う際に前記管内温度検知手段の検知する温度が所定の燃焼オン温度以下のとき前記バーナーの燃焼をオンにするとともに前記管内温度検知手段の検知する温度が前記燃焼オン温度よりも高い所定の燃焼オフ温度に達したとき前記バーナーの燃焼をオフにするオンオフ制御手段と、前記燃焼オン温度および前記燃焼オフ温度を変更する制御温度変更手段と、前記バーナーを燃焼させる際の燃焼量を変更する燃焼量変更手段とを有し、
前記制御温度変更手段は、前記戻り温度検知手段の検知する温度が高いほど前記燃焼オン温度および前記燃焼オフ温度を下げ、
前記燃焼量変更手段は、前記戻り温度検知手段の検知する温度が高いほど前記バーナーの燃焼量を下げ、
前記給気量制御手段は、前記循環系単独加熱運転中に前記バーナーを燃焼させる際の空気比を前記戻り温度検知手段の検知する温度が高いほど上げて、熱交換率を低下させることを特徴とする一缶多水路型流体加熱装置。 - 前記バーナーの燃焼をオフにした後に前記他系統用受熱管内の流体温度に現れるオーバーシュートのピーク値が、前記他系統用受熱管内の流体の沸騰温度を越えない範囲で高くなるように、前記燃焼オフ温度を前記戻り温度検知手段の検知する温度に応じて設定変更することを特徴とする請求項2または4記載の一缶多水路型流体加熱装置。
- 前記バーナーの燃焼をオフにした後に前記他系統用受熱管内の流体温度に現れるオーバーシュートのピーク値が、前記他系統用受熱管内の流体の沸騰温度を越えない範囲で高くなるように、前記燃焼量を前記戻り温度検知手段の検知する温度に応じて設定変更することを特徴とする請求項3または4記載の一缶多水路型流体加熱装置。
- 前記バーナーの燃焼をオフにした後に前記他系統用受熱管内の流体温度に現れるオーバーシュートのピーク値が、前記他系統用受熱管内の流体の沸騰温度を越えない範囲で高くなるように、前記空気比を前記戻り温度検知手段の検知する温度に応じて設定変更することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の一缶多水路型流体加熱装置。
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