JP3872860B2 - 薬液吸収材容器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば綿棒などの薬液吸収材を収納してなる薬液吸収材容器に関し、より詳細には、薬液吸収材を薬液と共に収納してなる薬液吸収材容器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば綿棒などの薬液吸収材は、薬液を吸収させ、薬液を患部に塗布するのに好適に用いられている。この種の薬液吸収材としては、綿棒、ガーゼ、脱脂綿、不織布などからなるものが知られている。中でも、綿棒は適用箇所に手を触れることなく操作し得るため衛生的であり、幅広く用いられている。
【0003】
ところで、綿棒などに薬液を含浸させ、皮膚などに塗布するに際しては、従来、▲1▼綿棒と薬液が収納されている容器とを用意し、▲2▼適用の都度、綿棒に薬液を滴下したり、あるいは綿棒を薬液に浸漬して綿棒に薬液を吸収させ、▲3▼薬液が吸収された綿棒を患部に適用していた。
【0004】
従って、操作が煩雑であるだけでなく、綿棒及び薬液収納容器を適用の都度探さねばならず、加えて、綿棒や残りの薬液が汚染される可能性があり、衛生上の点においても問題があった。
【0005】
そこで、予め綿棒に薬液が含浸された薬液吸収材が提案されている。例えば、実開昭57−26247号公報には、綿棒の綿球に予め薬液を含浸させたものが開示されている。しかしながら、薬液が含浸された綿棒を長期間保存した場合、薬液の種類と綿球の構成材料との組み合わせによっては、薬液が綿球に吸着してしまい、患部に薬液を適用することが困難な場合があった。また、綿球構成材料、薬液が接触する綿棒の軸構成材料、軸に綿球に固定するための接着剤あるいは包装袋などからの溶出物や繊維屑などが薬液に混入するおそれもあった。
【0006】
そこで、綿棒と薬液とを分離収納し、使用に際し綿棒に薬液を含浸させる形式の薬液吸収材収納袋が提案されている。例えば、実開昭58−156664号公報には、シール袋内を薬液室と綿棒収納部分とに区画し、それぞれに薬液及び綿棒を収納し、外圧により薬液室と綿棒収納部とを連通し得るように構成されたシール袋が開示されている。しかしながら、このシール袋では、外力が薬液室にも直接伝わるため、薬液室のシール部分が、製品保管中に比較的小さな外圧が加わった場合でも剥離し、使用前に薬液が汚染するおそれがあった。加えて、薬液室と綿棒収納部との間のシール部が剥離すると、薬液が綿棒収納室内に流れ込み、綿棒の軸部分も薬液に濡れ、汚染することがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、薬液及び薬液吸収材の汚染が生じ難く、かつ簡便に使用し得る薬液吸収材容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、薬液吸収材と薬液とを収納してなる薬液吸収材容器であり、下記の構成を備えることにより上記課題を達成するものである。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明に係る薬液吸収材容器は、第1の筒状容器と、第1の筒状容器に対してスライド可能に内挿もしくは外挿される第2の筒状容器とを有する容器と、前記容器内に収納された薬液吸収材と、前記容器内に収納されておりかつ外圧により破れ得るように構成された薬液袋と、前記第1,第2の筒状容器の少なくとも一方が他方側に向かってスライドされた際に前記薬液袋を破り得るように、前記容器内に構成された薬液袋開封手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、前記薬液袋開封手段が、容器内に配置されており、かつ第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に第1もしくは第2の筒状容器により押圧されて前記薬液袋を開封するように構成された押動部材により構成されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明では、前記第1の筒状容器に対し第2の筒状容器がスライド可能に内挿されるように構成されており、前記第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に、第2の筒状容器により薬液袋が開封されるように前記薬液袋開封手段が構成されている。
【0012】
請求項4に記載の発明では、前記薬液袋開封手段が、第1の筒状容器の第2の筒状容器とは反対側の端部に設けられた可撓性を有する薬液袋収納部であり、該薬液袋収納部の第2の筒状容器側に薬液吸収材が配置されている。
【0013】
また、請求項4に記載の発明に係る薬液吸収材容器では、好ましくは、前記第1,第2の筒状容器の少なくとも一方が他方側に向かってスライドされた際に、前記薬液吸収材が第2の筒状容器により押動されて、前記薬液袋収納部側に移動されるように構成されている。
【0014】
作用
請求項1に記載の発明に係る薬液吸収材容器では、第1の筒状容器に対して第2の筒状容器がスライド可能に内挿もしくは外挿されるように構成されているので、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせることにより薬液吸収材容器の全長を短くするように操作することができる。他方、薬液袋開封手段は第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に薬液袋を破り得るように構成されているので、上記操作により薬液袋が破れ、薬液袋内の薬液が薬液吸収材側に漏洩する。その結果、薬液吸収材に薬液が吸収される。
【0015】
請求項2に記載の発明では、薬液袋開封手段は、上記押動部材により構成されており、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に、該押動部材が第1もしくは第2の筒状容器により押動されて薬液袋を開封する。従って、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせる操作を行うだけで、押動部材により薬液袋を開封し、薬液を薬液吸収材に吸収させ得る。
【0016】
請求項3に記載の発明では、第1の筒状容器に対して第2の筒状容器がスライド可能に内挿されるように構成されており、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせる操作を行うことにより、第2の筒状容器によって薬液袋に圧力が加えられ、薬液袋が開封される。その結果、薬液が漏洩し、薬液吸収材に吸収される。
【0017】
請求項4に記載の発明では、薬液袋収納部が可撓性を有するので、該薬液袋収納部を手指により、あるいは机などに押しつけることにより容易に変形させることができる。その結果、薬液袋収納部の変形により加わる圧力により内部の薬液袋が開封され、薬液袋内の薬液が漏洩し、薬液吸収材に吸収される。
【0018】
請求項5に記載の発明では、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に、薬液吸収材が第2の筒状容器により押動されて薬液袋収納部側に移動されるように構成されているので、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせる操作を行うだけで、薬液吸収材自体により薬液袋が圧力を受け開封され得る。従って、可撓性を有する薬液袋収納部に外力を加えるだけでなく、上記操作を行うことにより、より確実に開封袋が開封される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る薬液吸収材容器の実施の形態を説明する。
(薬液袋)
本発明において用いられる薬液袋は、外圧により破れ得るように構成されている限り、特に限定されるものではない。もっとも、外圧により容易に破れ得るように構成するためには、薬液袋は合成樹脂フィルムをシールすることにより構成されたシール袋を用いることが好ましい。
【0020】
上記薬液袋を構成するための材料については特に限定されるわけではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ナイロンなどのポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリスチレンなどの合成樹脂を例示することができる。薬液袋では、一般に、ガス及び水蒸気バリア性が求められ、ガス及び水蒸気バリア性と上記シール性とを両立させるためには、上述した合成樹脂を2種以上組み合わせてなる積層フィルムが好適に用いられる。
【0021】
また、ガス及び水蒸気バリア性を高めるために、アルミニウムなどの金属箔を単層もしくは積層合成樹脂フィルムとラミネートしてなる積層材、あるいはアルミニウムなどの金属や珪素酸化物などの無機物を単層もしくは積層合成樹脂フィルムに蒸着してなるシートを用いてもよい。
【0022】
さらに、好ましくは、薬液袋の最内層は、シール性を付与するための易シール性材料により構成することが望ましい。このような易シール性材料としては、特に限定されるわけではないが、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンまたはポリ塩化ビニリデンなどを用いることができる。中でも、ポリ塩化ビニリデンは、シール条件に影響されずに安定したシールが可能であり、また易開封性に優れており、かつバリア性と易開封性とのバランスに優れているため、最も好ましい。
【0023】
薬液袋を構成するための材料の好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン/ポリエチレンのラミネートフィルム、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ポリエチレンテレフタレート/ポリ塩化ビニリデンのラミネートフィルム、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ポリプロピレンのラミネートフィルムなどを例示することができる。
【0024】
薬液袋におけるシール強度は、易開封性を得るには、例えば指で押圧した場合に容易にシール部を剥離し得る程度とされることが好ましく、従って、シール強度は100〜1500g/15mmの範囲であることが望ましい。100g/15mm未満の場合には、僅かな外力が加わっただけでも薬液袋が破れることがあり、かつシールの確実性が損なわれることがある。1500g/15mmを超えると、易開封性が損なわれることがある。易開封性をさらに高めるには、上記シール強度は、好ましくは100〜1000g/15mm、より好ましくは100〜500g/15mm、他方、シールの確実性を考慮すると、より好ましくは、200〜500g/15mmとすることが望ましい。
【0025】
なお、本明細書において上記シール強度とは、JIS Z0218における180°引き剥がし試験により測定される剥離強度を意味するものとする。
シール強度100〜1500g/15mmのハーフシール性を得るには、ヒートシールに際しての温度や時間条件をコントロールすることにより行うことができ、かつシール材の種類、厚み及びシール幅を制御することによっても可能である。特に、シール材として上述したポリ塩化ビニリデンを用いた場合、シール材の厚みを薄くしたとしても、安定なハーフシールを実現することができる。すなわち、一定の外力でシール部は破壊されるが、安定したシール強度が得られるので、一定の外力より小さな力が加わったとしても、所望でないシール破壊が生じ難い。
【0026】
薬液袋は、上記のようにシール袋で構成されることが望ましいが、この場合、シール袋の周囲の全てのシール部を上記ハーフシール部としてもよく、部分的にハーフシール部を構成してもよい。薬液袋の強度を高めるには、外周シール部の一部をハーフシール部とし、他の部分をよりシール強度が高いシール部としてもよい。
【0027】
薬液袋を構成する上述した材料の厚みについては特に限定されるものではないが、要求されるガスバリア性及び水蒸気バリア性を考慮すると、薬液袋構成材料によっても異なるが、通常、10〜1000μmとすることが好ましく、より好ましくは、20〜500μmである。厚みが10μm未満では、十分なガスバリア性及び水蒸気バリア性を得ることができないことがあり、1000μmを超えると、加工性が悪くなったり易開封性が損なわれることがある。
【0028】
要求されるガスバリア性は、充填される薬液により異なるため、一義的には定め得ないが、例えば、酸素透過度で15ml/24時間・m2 ・atm以下、より好ましくは、5ml/24時間・m2 ・atm以下であり、特に高いガスバリア性が要求される場合には、1ml/24時間・m2 ・atm以下とすることが望ましい。
【0029】
また、要求される水蒸気バリア性についても、充填される薬液により異なるため、一義的には定め得ないが、例えば、水蒸気透過度で15g/24時間・m2 以下、好ましくは5g/24時間・m2 以下、特に高い水蒸気バリア性が求められる場合には、1g/24時間・m2 以下であることが望ましい。
【0030】
(薬液)
上記薬液袋に収納される薬液についても特に限定されるものではなく、後述の薬液吸収材に含浸させて皮膚等に塗布するのに適した適宜の薬剤を用いることができる。また、薬液は、薬効等を示す主成分の水溶液であってもよく、他の溶媒の溶液であってもよい。さらに、薬液は、溶液ではなく分散液であってもよい。
【0031】
薬液は水性あるいは油性の何れであってもよく、薬効等を示す主成分についても特に限定されるものではなく、例えば、消毒薬、キズ薬、かゆみ止め薬、水虫薬などを挙げることができ、その他、洗浄液や化粧液などを用いてもよい。
【0032】
消毒薬の例としては、ポビドンヨード、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール類などを挙げることができる。また、これらの2種以上を混合することなどにより併用してもよい。
【0033】
薬剤の量は、特に限定されるものではない。綿棒などの薬液吸収材の薬材吸収量に合わせて適宜薬剤量を決定すればよい。薬剤量が多すぎると、薬液吸収材に十分に吸収されず、余剰の薬剤が飛散したり、こぼれ落ちたりすることがある。また、使用されない薬剤量が多くなる分だけコストが高くつくことになる。逆に、薬剤が少なすぎると、十分な量の薬剤が皮膚等の表面に塗布し得ないことがある。従って、薬剤量は、薬剤の種類及び薬液吸収材の種類によっても異なるが、好ましくは、綿棒等の薬液吸収材の最大薬剤吸収量の0.5〜5倍、より好ましくは1〜3倍の範囲とすればよい。
なお、薬剤には色素等を添加して着色してもよく、それによって薬液の存在の確認を容易とすることができる。
【0034】
(薬液吸収材)
本発明において用いられる薬液吸収材は、綿棒に限定されるものではなく、ガーゼ、脱脂綿もしくは不織布などの従来より薬液等を含浸させて皮膚等に適用するのに用いられている、一般的な薬液吸収性材料の全てを用いることができる。
【0035】
薬液吸収材の材質についても特に限定されるものではなく、薬液を吸収しかつ皮膚などに適用し得るものである限り、適宜の材質のものを用いることができる。例えば、脱脂綿、絹、ウール、レーヨン、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ウレタン、ポリオレフィンなどからなるものを例示することができ、これらの2種以上を混合したものであってもよい。また、薬液吸収材の形状及び大きさについても特に限定されるものではなく、使用目的に応じて適宜設定すればよい。
【0036】
薬液吸収材として綿棒を用いる場合、綿棒の形状についても特に限定されるものではなく、例えば、薬液等を含浸させ得る綿球と、指で容易に把持し得る軸とを有する一般的な綿棒を用いることができる。
【0037】
綿球については、薬液等を吸収し、皮膚に塗布し得るものであれば、その材質については特に限定されるものではない。綿球を構成する材料としては、例えば、脱脂綿、絹、ウール、レーヨン、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ウレタン、ポリオレフィンなどを挙げることができ、これらの2種以上を混合したものを用いてもよい。
【0038】
綿球の形状についても特に限定されるものではなく、例えば、球形、円筒形、平板型などを挙げることができ、球形の変形体として断面形状が楕円のものを用いてもよい。また、綿球については、繊維を巻き付けたもの、帯状の不織布をロール状に巻き付けたもの、型抜きされた一体ものもしくは成形品であってもよい。
【0039】
綿球の大きさは特に限定されず、所定量の薬液などを皮膚に塗布し得るように選択され、使用目的に応じて設定されればよい。消毒薬の場合、好ましくは、長さ10〜30mm、最大径3〜20mm、重量0.01〜0.3g程度とされ、それによって皮膚表面の消毒に好適に用いることができる。
【0040】
綿棒の軸部分については、材質、形状及び大きさなどについて特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂、紙、木、アルミニウムなどの金属を例示することができる。形状については、軸状のものが一般的であるが、この場合、断面が円形のものに限らず、断面が角形の角柱状のものや楕円柱状ものであってもよい。また、軸棒には、綿球を固定するための滑り止めを施してもよい。
【0041】
一般に綿球と軸は接着剤を用いて固定されているが、熱融着や一体成形により固定されていてもよく、固定方法についても限定されるものではない。
綿球は繊維を巻き付けたような繊維集合体で構成してもよく、その場合には、表面の毛羽立ち防止及び繊維の抜け落ち防止のために、表面を、例えば、カルボキシメチルセルロースなどの接着剤等によりコーティングしてもよい。
また、綿棒などの薬液吸収材は、容器内に複数収納されていてもよい。
【0042】
(第1,第2の筒状容器の材料及び形状)
本発明において、上記第1,第2の筒状容器を構成する材料についても特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアセタール、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの合成樹脂を例示することができる。上記合成樹脂は単独で使用してもよく、2種以上の積層体であってもよい。また、ガス及び水蒸気バリア性を高めるために、合成樹脂材にアルミニウムなどの金属箔をラミネートしたものであってもよく、あるいは合成樹脂材に珪素酸化物などの無機物もしくは金属などの蒸着された材料から構成してもよい。
【0043】
第1,第2の筒状容器は、保形性を有するように構成されており、従って、筒状の形状を保持し得る強度を有する。もっとも、筒状とは、円筒型に限定されず、角筒状であってもよい。
【0044】
第1,第2の筒状容器の形状及び薬液袋開封手段の具体的な構造については、以下において、図面を参照しつつ非限定的な構造例を説明することにより明らかにする。
【0045】
(第1の構造例)
図1〜図4を参照して、本発明の薬液吸収材容器の第1の構造例を説明する。図3に示すように、薬液吸収材容器1は、第1の筒状容器2と、第2の筒状容器3とを有する。第2の筒状容器3は、第1の筒状容器2に対して外挿されており、かつ第1の筒状容器2に対してスライド可能に構成されている。第1の筒状容器2は、先端が閉じられており、かつ該先端に中央に向かって窪んだ凹部2aが形成されている。
【0046】
また、図4(a)から明らかなように、第1の筒状容器2の中心には、長さ方向に延びるように円筒状のシリンダー2bが形成されている。シリンダー2bの外周面には、シリンダー2bの外周面を周方向に5分割した位置に隔壁2cが形成されている。隔壁2cの外側端は、筒状容器部材2の側壁内面に固定されている。従って、5枚の隔壁2cにより、図4(a)に示す5個の区画2dが形成されている。各区画2dには、それぞれ、後述する綿棒が収納されるように構成されている。
【0047】
他方、シリンダー2b内には、押動部材4が配置されている。押動部材4は、円筒4aの中央に断面十字状のリブ4bを設けた構造を有する。また、リブ4bの両端には、それぞれ、蓋4c,4dが形成されている。
【0048】
押動部材4は、前述したシリンダー2b内を長さ方向に移動可能に配置されている。もっとも、押動部材4の外周面と、シリンダー2bの内周面とがある程度の摩擦力を有し、例えば、図1に示した状態では、押動部材4が外力を加えられない状態でその位置を保ち得るように、上記シリンダー2bの径、押動部材4の外径、並びにこれらの材質が選ばれている。
【0049】
図1に示すように、第1の筒状容器2の先端中央には、薬液袋5が配置されている。薬液袋5は、本構造例ではPET/Al/PET/PVDCの積層フィルムにより構成されている。また、薬液袋5内には、薬液6として0.5%グルコン酸クロルヘキシジン・エタノール液が収納されている。
【0050】
図1を参照して、第1の筒状容器2の区画2dには、綿棒7が収納されている。綿棒7は、軸7aの先端に綿球7bを形成した構造を有する。図1から明らかなように、綿球7bが、第1の筒状容器2の先端に当接するように配置されており、すなわち、薬液袋5の側方に綿球7bが配置されている。
【0051】
図1では、図示を省略しているが、図4に示した区画2dの何れにも、上記綿棒7が配置されている。
第2の筒状容器3は、第1の筒状容器2と同様に、本構造例では、ポリエチレンにより構成されている。第2の筒状容器3は、図1において上端が閉じられており、前述した押動部材4は、その上端が第2の筒状容器3内に位置するように押動部材4及び筒状容器3の長さが選択されている。
【0052】
使用に際しては、図1に示す状態から、第2の筒状容器3を第1の筒状容器2側に向かってスライドさせる。逆に、第1の筒状容器2を第2の筒状容器3側にスライドさせてもよく、両者を互いに近接する方向にスライドさせてもよい。その結果、図2に示すように、押動部材4が、第2の筒状容器3の天板3aの内面により押されて、第1の筒状容器2の先端側に移動される。従って、押動部材4により薬液袋5が破れ、薬液6が漏洩し、綿棒7の綿球7bに含浸される。よって、第1の筒状容器2に対して第2の筒状容器3を上記のように近接するようにスライドさせるだけで、綿棒7に薬液を含浸させることができる。
【0053】
なお、上記構造例では、押動部材4は第2の筒状容器3に固定されていなかったが、第2の筒状容器3の天板2aの内面に固定されていてもよい。
また、押動部材4については、上記のように円筒4aの中央にリブ4bを設けた構造を有する必要は必ずしもなく、単に棒状の部材により押動部材4を構成してもよい。また、押動部材4及びシリンダー2bは、断面が円形以外の形状、例えば、正方形などの多角形状とされていてもよい。
同様に、第1,第2の筒状容器についても、円筒状でなく角筒状であってもよい。
【0054】
(第2の構造例)
図5は、本発明の薬液吸収材容器の第2の構造例を示す斜視図である。薬液吸収材容器11は、第1の筒状容器12と、第2の筒状容器13とを有する。本構造例では、第1,第2の筒状容器12,13はそれぞれ円筒状の形状を有するが、角筒状の形状を有するものであってもよい。
【0055】
第2の筒状容器13は、第1の筒状容器12に内挿されるように、その外径が第1の筒状容器12の内径とほぼ同等とされている。また、第2の筒状容器13は、上方に配置された筒状容器半体13aと、下方に配置された筒状容器半体13bとを有する。筒状容器半体13aは、上端が天板13eにより閉じられており、他方端が開口されている。筒状容器半体13bについては、上端が開口されており、下端に底板13cを有する。筒状容器半体13aの下端と、筒状容器半体13bの上端とは、図6(a)に示されているように突き合わされている。
【0056】
また、筒状容器半体13bの下端の底板13cには、中央に貫通孔13dが形成されている。
上記のように、第2の筒状容器13を、筒状容器半体13a,13bの2つの部材で構成しているのは、筒状容器半体13aのみを取り外して、綿棒の取り出しを容易とするためである。好ましくは、第2の筒状容器13により後述の薬液袋5を確実に押圧するために、筒状容器半体13bと筒状容器半体13aとがある程度の面積で突き合わされていることが望ましい。従って、より好ましくは、筒状容器半体13a,13bの内径をほぼ等しく、かつ両者の肉厚を厚くすることが望ましい。
【0057】
なお、図6に第1,第2の筒状容器のみを断面図で示すように、第1の筒状容器12は、先端が底板12aで閉じられている。
図7(a)は、薬液吸収材容器11内に薬液吸収材としての綿棒7及び薬液袋5が収納されている状態を示す断面図である。綿棒7は、第2の筒状容器13内に収納されている。
【0058】
他方、第2の筒状容器13は、底板13cを有するため、収納されている綿棒7の綿球7bが底板13cに当接することにより、綿棒7が第2の筒状容器13外に突出しないように構成されている。
【0059】
綿棒7及び薬液袋5については、第1の構造例で示した綿棒7及び薬液袋5と同様に構成されている。薬液袋5は、第1の筒状容器12に収納されている。
使用に際しては、図7(b)に示すように、第2の筒状容器13を第1の筒状容器12側に向かってスライドさせる。その結果、薬液袋7が、第2の筒状容器13により押圧されて、開封される。開封により薬液袋5内の薬液6が漏洩するが、該薬液6が貫通孔13dを通り第2の筒状容器13内に流れ込む。そのため、綿球7bに薬液6が含浸される。
【0060】
従って、第2の構造例の薬液吸収材容器11においても、第1,第2の筒状容器12,13を互いに近接させるようにスライドさせるだけで、綿棒7の綿球7bに薬液6を確実にかつ衛生的に含浸させ得る。
【0061】
なお、第2の構造例において、上記底板13cは、中央に貫通孔13dを有していたが、貫通孔13dは、底板13cに複数形成されていていもよい。また、底板13cに代えて、メッシュなどを第2の筒状容器13の先端に取り付けたものであってもよい。
【0062】
(第3の構造例)
図8は、本発明の薬液吸収材容器の第3の構造例を示す斜視図である。薬液吸収材容器21は、第1の筒状容器22と、第1の筒状容器22に外挿されており、第1の筒状容器22に対してスライド可能に構成されている第2の筒状容器23とを有する。
【0063】
図9(a)に筒状容器部材22,23のみの断面を示すように、第1の筒状容器22の先端には、可撓性を有する薬液袋収納部22aが設けられている。薬液袋収納部22aは蛇腹状の形状を有し、可撓性を有する。従って、図9(a)の矢印X方向に外力を加えた場合、薬液袋収納部22aは圧縮変形し得るように構成されている。
【0064】
本構造例の薬液吸収材容器21では、上記薬液袋収納部22a内に薬液袋5が収納されている。薬液袋5については、第1の構造例と同様に構成されている。他方、第1,第2の筒状容器22,23で構成される容器内に綿棒7が配置されている。綿棒7は、綿球7bが薬液袋収納部22a側を向くように収納されている。もっとも、綿棒7を軸7aが、第2の筒状容器23内に入り込み得るように、綿棒7の長さ及び第1,第2の筒状容器22,23の長さが選択されている。
【0065】
薬液吸収材容器21では、使用前の状態では、上記のように綿棒7と薬液袋5とが薬液吸収材容器21に収納されているが、薬液6が薬液袋5に収納されているため、薬液6により綿棒7が汚染されない。
【0066】
使用に際しては、薬液袋収納部22aの先端を矢印X方向に圧縮変形させることにより、薬液袋5を開封することができる。その結果、薬液6が漏洩する。従って、第2の筒状容器23を第1の筒状容器22側に向かってスライドさせることにより、綿球7bに薬液6を含浸させることができる。
【0067】
また、上記薬液袋5を開封する場合、薬液袋収納部22aを圧縮変形させるだけでなく、さらに、薬液袋収納部22aを圧縮変形させると同時に第2の筒状容器23を第1の筒状容器22側にスライドさせて綿棒7を第2の筒状容器23の天板23aで押動し、綿球7aから薬液袋5に圧力を加えれば、薬液袋5をより一層容易に開封することができる。
【0068】
なお、第3の構造例では、薬液袋収納部22aに可撓性を設けるために、薬液袋収納部22aを蛇腹形状としたが、薬液袋収納部22aに外力を加えて変形させることにより薬液袋5を開封し得る限り、可撓性を与えるための構造及び材質については特に限定されるものではない。すなわち、薬液袋収納部22aを薄い合成樹脂材で構成することにより、薬液袋収納部22に可撓性を与えてもよい。
【0069】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明に係る薬液吸収材容器によれば、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせることにより、薬液袋が破られ、薬液袋内の薬液が薬液吸収材に確実に含浸される。従って、使用前の保管時には、薬液吸収材と薬液とが確実に分離されているため、使用前に薬液吸収材が薬液により汚染されるおそれや薬液の汚染のおそれがなく、かつ使用時には、上記操作を行うだけで薬液吸収材に薬液を確実に含浸させることができるので、薬液が含浸された薬液吸収材を患部に対して簡便かつ衛生的に適用することが可能となる。
【0070】
請求項2に記載の発明によれば、薬液袋開封手段が、上記押動部材により構成されているため、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせるだけで、該押動部材により薬液袋を確実に開封することができる。よって、請求項1に記載の発明と同様に、使用前には薬液吸収材と薬液とが分離されているため、薬液吸収材及び薬液の汚染が生じ難く、かつ使用時には簡便な操作で薬液吸収材に薬液をより一層確実に含浸させることができる。
【0071】
請求項3に記載の発明によれば、第2の筒状容器が第1の筒状容器に対してスライド可能に内挿されるように構成されているので、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせるだけで、薬液袋を容易に開封することができる。従って、使用に際し、簡便な操作により、薬液吸収材に薬液をより確実に含浸させることができる。
【0072】
請求項4に記載の発明では、第1の筒状容器の第2の筒状容器と反対側の端部に可撓性を有する薬液袋収納部が設けられているので、使用に際して薬液袋収納部に小さな外力を加えるだけで薬液袋を確実に開封することができる。よって、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせることにより、薬液吸収材により確実に薬液を含浸させることができる。
【0073】
請求項5に記載の発明では、薬液吸収材が第2の筒状容器により押動されて薬液袋収納部側に移動され得るため、開封された薬液袋から漏洩した薬液に薬液吸収材をより確実に接触させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薬液吸収材容器の第1の構造例を示す縦断面図。
【図2】本発明に係る薬液吸収材容器の第1の構造例において、綿棒に薬液を吸収させた状態を示す縦断面図。
【図3】本発明の第1の構造例に係る薬液吸収材容器の斜視図。
【図4】(a)及び(b)は、本発明に係る薬液吸収材容器の第1の構造例の第1,第2の筒状容器を説明するための(b)のA−A線に沿う横断面図及び縦断面図。
【図5】本発明に係る薬液吸収材容器の第2の構造例の斜視図。
【図6】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明に係る薬液吸収材容器の第2の構造例の第1,第2の筒状容器を説明するための縦断面図及び(a)のB−B線に沿う横断面図。
【図7】(a)及び(b)は、本発明に係る薬液吸収材容器の第2の構造例の使用前の縦断面図及び薬液吸収材に薬液を含浸させた状態を示す縦断面図。
【図8】本発明に係る薬液吸収材容器の第3の構造例の斜視図。
【図9】(a)及び(b)は、本発明に係る薬液吸収材容器の第3の構造例における第1,第2の筒状容器を説明するための縦断面図及び綿棒及び薬液袋を収納した状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…薬液吸収材容器
2…第1の筒状容器
3…第2の筒状容器
4…押動部材
5…薬液袋
6…薬液
7…薬液吸収材としての綿棒
11…薬液吸収材容器
12…第1の筒状容器
13…第2の筒状容器
21…薬液吸収材容器
22…第1の筒状容器
23…第2の筒状容器
22a…薬液袋収納部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば綿棒などの薬液吸収材を収納してなる薬液吸収材容器に関し、より詳細には、薬液吸収材を薬液と共に収納してなる薬液吸収材容器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば綿棒などの薬液吸収材は、薬液を吸収させ、薬液を患部に塗布するのに好適に用いられている。この種の薬液吸収材としては、綿棒、ガーゼ、脱脂綿、不織布などからなるものが知られている。中でも、綿棒は適用箇所に手を触れることなく操作し得るため衛生的であり、幅広く用いられている。
【0003】
ところで、綿棒などに薬液を含浸させ、皮膚などに塗布するに際しては、従来、▲1▼綿棒と薬液が収納されている容器とを用意し、▲2▼適用の都度、綿棒に薬液を滴下したり、あるいは綿棒を薬液に浸漬して綿棒に薬液を吸収させ、▲3▼薬液が吸収された綿棒を患部に適用していた。
【0004】
従って、操作が煩雑であるだけでなく、綿棒及び薬液収納容器を適用の都度探さねばならず、加えて、綿棒や残りの薬液が汚染される可能性があり、衛生上の点においても問題があった。
【0005】
そこで、予め綿棒に薬液が含浸された薬液吸収材が提案されている。例えば、実開昭57−26247号公報には、綿棒の綿球に予め薬液を含浸させたものが開示されている。しかしながら、薬液が含浸された綿棒を長期間保存した場合、薬液の種類と綿球の構成材料との組み合わせによっては、薬液が綿球に吸着してしまい、患部に薬液を適用することが困難な場合があった。また、綿球構成材料、薬液が接触する綿棒の軸構成材料、軸に綿球に固定するための接着剤あるいは包装袋などからの溶出物や繊維屑などが薬液に混入するおそれもあった。
【0006】
そこで、綿棒と薬液とを分離収納し、使用に際し綿棒に薬液を含浸させる形式の薬液吸収材収納袋が提案されている。例えば、実開昭58−156664号公報には、シール袋内を薬液室と綿棒収納部分とに区画し、それぞれに薬液及び綿棒を収納し、外圧により薬液室と綿棒収納部とを連通し得るように構成されたシール袋が開示されている。しかしながら、このシール袋では、外力が薬液室にも直接伝わるため、薬液室のシール部分が、製品保管中に比較的小さな外圧が加わった場合でも剥離し、使用前に薬液が汚染するおそれがあった。加えて、薬液室と綿棒収納部との間のシール部が剥離すると、薬液が綿棒収納室内に流れ込み、綿棒の軸部分も薬液に濡れ、汚染することがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、薬液及び薬液吸収材の汚染が生じ難く、かつ簡便に使用し得る薬液吸収材容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、薬液吸収材と薬液とを収納してなる薬液吸収材容器であり、下記の構成を備えることにより上記課題を達成するものである。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明に係る薬液吸収材容器は、第1の筒状容器と、第1の筒状容器に対してスライド可能に内挿もしくは外挿される第2の筒状容器とを有する容器と、前記容器内に収納された薬液吸収材と、前記容器内に収納されておりかつ外圧により破れ得るように構成された薬液袋と、前記第1,第2の筒状容器の少なくとも一方が他方側に向かってスライドされた際に前記薬液袋を破り得るように、前記容器内に構成された薬液袋開封手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、前記薬液袋開封手段が、容器内に配置されており、かつ第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に第1もしくは第2の筒状容器により押圧されて前記薬液袋を開封するように構成された押動部材により構成されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明では、前記第1の筒状容器に対し第2の筒状容器がスライド可能に内挿されるように構成されており、前記第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に、第2の筒状容器により薬液袋が開封されるように前記薬液袋開封手段が構成されている。
【0012】
請求項4に記載の発明では、前記薬液袋開封手段が、第1の筒状容器の第2の筒状容器とは反対側の端部に設けられた可撓性を有する薬液袋収納部であり、該薬液袋収納部の第2の筒状容器側に薬液吸収材が配置されている。
【0013】
また、請求項4に記載の発明に係る薬液吸収材容器では、好ましくは、前記第1,第2の筒状容器の少なくとも一方が他方側に向かってスライドされた際に、前記薬液吸収材が第2の筒状容器により押動されて、前記薬液袋収納部側に移動されるように構成されている。
【0014】
作用
請求項1に記載の発明に係る薬液吸収材容器では、第1の筒状容器に対して第2の筒状容器がスライド可能に内挿もしくは外挿されるように構成されているので、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせることにより薬液吸収材容器の全長を短くするように操作することができる。他方、薬液袋開封手段は第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に薬液袋を破り得るように構成されているので、上記操作により薬液袋が破れ、薬液袋内の薬液が薬液吸収材側に漏洩する。その結果、薬液吸収材に薬液が吸収される。
【0015】
請求項2に記載の発明では、薬液袋開封手段は、上記押動部材により構成されており、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に、該押動部材が第1もしくは第2の筒状容器により押動されて薬液袋を開封する。従って、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせる操作を行うだけで、押動部材により薬液袋を開封し、薬液を薬液吸収材に吸収させ得る。
【0016】
請求項3に記載の発明では、第1の筒状容器に対して第2の筒状容器がスライド可能に内挿されるように構成されており、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせる操作を行うことにより、第2の筒状容器によって薬液袋に圧力が加えられ、薬液袋が開封される。その結果、薬液が漏洩し、薬液吸収材に吸収される。
【0017】
請求項4に記載の発明では、薬液袋収納部が可撓性を有するので、該薬液袋収納部を手指により、あるいは机などに押しつけることにより容易に変形させることができる。その結果、薬液袋収納部の変形により加わる圧力により内部の薬液袋が開封され、薬液袋内の薬液が漏洩し、薬液吸収材に吸収される。
【0018】
請求項5に記載の発明では、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に、薬液吸収材が第2の筒状容器により押動されて薬液袋収納部側に移動されるように構成されているので、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせる操作を行うだけで、薬液吸収材自体により薬液袋が圧力を受け開封され得る。従って、可撓性を有する薬液袋収納部に外力を加えるだけでなく、上記操作を行うことにより、より確実に開封袋が開封される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る薬液吸収材容器の実施の形態を説明する。
(薬液袋)
本発明において用いられる薬液袋は、外圧により破れ得るように構成されている限り、特に限定されるものではない。もっとも、外圧により容易に破れ得るように構成するためには、薬液袋は合成樹脂フィルムをシールすることにより構成されたシール袋を用いることが好ましい。
【0020】
上記薬液袋を構成するための材料については特に限定されるわけではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ナイロンなどのポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリスチレンなどの合成樹脂を例示することができる。薬液袋では、一般に、ガス及び水蒸気バリア性が求められ、ガス及び水蒸気バリア性と上記シール性とを両立させるためには、上述した合成樹脂を2種以上組み合わせてなる積層フィルムが好適に用いられる。
【0021】
また、ガス及び水蒸気バリア性を高めるために、アルミニウムなどの金属箔を単層もしくは積層合成樹脂フィルムとラミネートしてなる積層材、あるいはアルミニウムなどの金属や珪素酸化物などの無機物を単層もしくは積層合成樹脂フィルムに蒸着してなるシートを用いてもよい。
【0022】
さらに、好ましくは、薬液袋の最内層は、シール性を付与するための易シール性材料により構成することが望ましい。このような易シール性材料としては、特に限定されるわけではないが、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンまたはポリ塩化ビニリデンなどを用いることができる。中でも、ポリ塩化ビニリデンは、シール条件に影響されずに安定したシールが可能であり、また易開封性に優れており、かつバリア性と易開封性とのバランスに優れているため、最も好ましい。
【0023】
薬液袋を構成するための材料の好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン/ポリエチレンのラミネートフィルム、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ポリエチレンテレフタレート/ポリ塩化ビニリデンのラミネートフィルム、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ポリプロピレンのラミネートフィルムなどを例示することができる。
【0024】
薬液袋におけるシール強度は、易開封性を得るには、例えば指で押圧した場合に容易にシール部を剥離し得る程度とされることが好ましく、従って、シール強度は100〜1500g/15mmの範囲であることが望ましい。100g/15mm未満の場合には、僅かな外力が加わっただけでも薬液袋が破れることがあり、かつシールの確実性が損なわれることがある。1500g/15mmを超えると、易開封性が損なわれることがある。易開封性をさらに高めるには、上記シール強度は、好ましくは100〜1000g/15mm、より好ましくは100〜500g/15mm、他方、シールの確実性を考慮すると、より好ましくは、200〜500g/15mmとすることが望ましい。
【0025】
なお、本明細書において上記シール強度とは、JIS Z0218における180°引き剥がし試験により測定される剥離強度を意味するものとする。
シール強度100〜1500g/15mmのハーフシール性を得るには、ヒートシールに際しての温度や時間条件をコントロールすることにより行うことができ、かつシール材の種類、厚み及びシール幅を制御することによっても可能である。特に、シール材として上述したポリ塩化ビニリデンを用いた場合、シール材の厚みを薄くしたとしても、安定なハーフシールを実現することができる。すなわち、一定の外力でシール部は破壊されるが、安定したシール強度が得られるので、一定の外力より小さな力が加わったとしても、所望でないシール破壊が生じ難い。
【0026】
薬液袋は、上記のようにシール袋で構成されることが望ましいが、この場合、シール袋の周囲の全てのシール部を上記ハーフシール部としてもよく、部分的にハーフシール部を構成してもよい。薬液袋の強度を高めるには、外周シール部の一部をハーフシール部とし、他の部分をよりシール強度が高いシール部としてもよい。
【0027】
薬液袋を構成する上述した材料の厚みについては特に限定されるものではないが、要求されるガスバリア性及び水蒸気バリア性を考慮すると、薬液袋構成材料によっても異なるが、通常、10〜1000μmとすることが好ましく、より好ましくは、20〜500μmである。厚みが10μm未満では、十分なガスバリア性及び水蒸気バリア性を得ることができないことがあり、1000μmを超えると、加工性が悪くなったり易開封性が損なわれることがある。
【0028】
要求されるガスバリア性は、充填される薬液により異なるため、一義的には定め得ないが、例えば、酸素透過度で15ml/24時間・m2 ・atm以下、より好ましくは、5ml/24時間・m2 ・atm以下であり、特に高いガスバリア性が要求される場合には、1ml/24時間・m2 ・atm以下とすることが望ましい。
【0029】
また、要求される水蒸気バリア性についても、充填される薬液により異なるため、一義的には定め得ないが、例えば、水蒸気透過度で15g/24時間・m2 以下、好ましくは5g/24時間・m2 以下、特に高い水蒸気バリア性が求められる場合には、1g/24時間・m2 以下であることが望ましい。
【0030】
(薬液)
上記薬液袋に収納される薬液についても特に限定されるものではなく、後述の薬液吸収材に含浸させて皮膚等に塗布するのに適した適宜の薬剤を用いることができる。また、薬液は、薬効等を示す主成分の水溶液であってもよく、他の溶媒の溶液であってもよい。さらに、薬液は、溶液ではなく分散液であってもよい。
【0031】
薬液は水性あるいは油性の何れであってもよく、薬効等を示す主成分についても特に限定されるものではなく、例えば、消毒薬、キズ薬、かゆみ止め薬、水虫薬などを挙げることができ、その他、洗浄液や化粧液などを用いてもよい。
【0032】
消毒薬の例としては、ポビドンヨード、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール類などを挙げることができる。また、これらの2種以上を混合することなどにより併用してもよい。
【0033】
薬剤の量は、特に限定されるものではない。綿棒などの薬液吸収材の薬材吸収量に合わせて適宜薬剤量を決定すればよい。薬剤量が多すぎると、薬液吸収材に十分に吸収されず、余剰の薬剤が飛散したり、こぼれ落ちたりすることがある。また、使用されない薬剤量が多くなる分だけコストが高くつくことになる。逆に、薬剤が少なすぎると、十分な量の薬剤が皮膚等の表面に塗布し得ないことがある。従って、薬剤量は、薬剤の種類及び薬液吸収材の種類によっても異なるが、好ましくは、綿棒等の薬液吸収材の最大薬剤吸収量の0.5〜5倍、より好ましくは1〜3倍の範囲とすればよい。
なお、薬剤には色素等を添加して着色してもよく、それによって薬液の存在の確認を容易とすることができる。
【0034】
(薬液吸収材)
本発明において用いられる薬液吸収材は、綿棒に限定されるものではなく、ガーゼ、脱脂綿もしくは不織布などの従来より薬液等を含浸させて皮膚等に適用するのに用いられている、一般的な薬液吸収性材料の全てを用いることができる。
【0035】
薬液吸収材の材質についても特に限定されるものではなく、薬液を吸収しかつ皮膚などに適用し得るものである限り、適宜の材質のものを用いることができる。例えば、脱脂綿、絹、ウール、レーヨン、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ウレタン、ポリオレフィンなどからなるものを例示することができ、これらの2種以上を混合したものであってもよい。また、薬液吸収材の形状及び大きさについても特に限定されるものではなく、使用目的に応じて適宜設定すればよい。
【0036】
薬液吸収材として綿棒を用いる場合、綿棒の形状についても特に限定されるものではなく、例えば、薬液等を含浸させ得る綿球と、指で容易に把持し得る軸とを有する一般的な綿棒を用いることができる。
【0037】
綿球については、薬液等を吸収し、皮膚に塗布し得るものであれば、その材質については特に限定されるものではない。綿球を構成する材料としては、例えば、脱脂綿、絹、ウール、レーヨン、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ウレタン、ポリオレフィンなどを挙げることができ、これらの2種以上を混合したものを用いてもよい。
【0038】
綿球の形状についても特に限定されるものではなく、例えば、球形、円筒形、平板型などを挙げることができ、球形の変形体として断面形状が楕円のものを用いてもよい。また、綿球については、繊維を巻き付けたもの、帯状の不織布をロール状に巻き付けたもの、型抜きされた一体ものもしくは成形品であってもよい。
【0039】
綿球の大きさは特に限定されず、所定量の薬液などを皮膚に塗布し得るように選択され、使用目的に応じて設定されればよい。消毒薬の場合、好ましくは、長さ10〜30mm、最大径3〜20mm、重量0.01〜0.3g程度とされ、それによって皮膚表面の消毒に好適に用いることができる。
【0040】
綿棒の軸部分については、材質、形状及び大きさなどについて特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂、紙、木、アルミニウムなどの金属を例示することができる。形状については、軸状のものが一般的であるが、この場合、断面が円形のものに限らず、断面が角形の角柱状のものや楕円柱状ものであってもよい。また、軸棒には、綿球を固定するための滑り止めを施してもよい。
【0041】
一般に綿球と軸は接着剤を用いて固定されているが、熱融着や一体成形により固定されていてもよく、固定方法についても限定されるものではない。
綿球は繊維を巻き付けたような繊維集合体で構成してもよく、その場合には、表面の毛羽立ち防止及び繊維の抜け落ち防止のために、表面を、例えば、カルボキシメチルセルロースなどの接着剤等によりコーティングしてもよい。
また、綿棒などの薬液吸収材は、容器内に複数収納されていてもよい。
【0042】
(第1,第2の筒状容器の材料及び形状)
本発明において、上記第1,第2の筒状容器を構成する材料についても特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアセタール、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの合成樹脂を例示することができる。上記合成樹脂は単独で使用してもよく、2種以上の積層体であってもよい。また、ガス及び水蒸気バリア性を高めるために、合成樹脂材にアルミニウムなどの金属箔をラミネートしたものであってもよく、あるいは合成樹脂材に珪素酸化物などの無機物もしくは金属などの蒸着された材料から構成してもよい。
【0043】
第1,第2の筒状容器は、保形性を有するように構成されており、従って、筒状の形状を保持し得る強度を有する。もっとも、筒状とは、円筒型に限定されず、角筒状であってもよい。
【0044】
第1,第2の筒状容器の形状及び薬液袋開封手段の具体的な構造については、以下において、図面を参照しつつ非限定的な構造例を説明することにより明らかにする。
【0045】
(第1の構造例)
図1〜図4を参照して、本発明の薬液吸収材容器の第1の構造例を説明する。図3に示すように、薬液吸収材容器1は、第1の筒状容器2と、第2の筒状容器3とを有する。第2の筒状容器3は、第1の筒状容器2に対して外挿されており、かつ第1の筒状容器2に対してスライド可能に構成されている。第1の筒状容器2は、先端が閉じられており、かつ該先端に中央に向かって窪んだ凹部2aが形成されている。
【0046】
また、図4(a)から明らかなように、第1の筒状容器2の中心には、長さ方向に延びるように円筒状のシリンダー2bが形成されている。シリンダー2bの外周面には、シリンダー2bの外周面を周方向に5分割した位置に隔壁2cが形成されている。隔壁2cの外側端は、筒状容器部材2の側壁内面に固定されている。従って、5枚の隔壁2cにより、図4(a)に示す5個の区画2dが形成されている。各区画2dには、それぞれ、後述する綿棒が収納されるように構成されている。
【0047】
他方、シリンダー2b内には、押動部材4が配置されている。押動部材4は、円筒4aの中央に断面十字状のリブ4bを設けた構造を有する。また、リブ4bの両端には、それぞれ、蓋4c,4dが形成されている。
【0048】
押動部材4は、前述したシリンダー2b内を長さ方向に移動可能に配置されている。もっとも、押動部材4の外周面と、シリンダー2bの内周面とがある程度の摩擦力を有し、例えば、図1に示した状態では、押動部材4が外力を加えられない状態でその位置を保ち得るように、上記シリンダー2bの径、押動部材4の外径、並びにこれらの材質が選ばれている。
【0049】
図1に示すように、第1の筒状容器2の先端中央には、薬液袋5が配置されている。薬液袋5は、本構造例ではPET/Al/PET/PVDCの積層フィルムにより構成されている。また、薬液袋5内には、薬液6として0.5%グルコン酸クロルヘキシジン・エタノール液が収納されている。
【0050】
図1を参照して、第1の筒状容器2の区画2dには、綿棒7が収納されている。綿棒7は、軸7aの先端に綿球7bを形成した構造を有する。図1から明らかなように、綿球7bが、第1の筒状容器2の先端に当接するように配置されており、すなわち、薬液袋5の側方に綿球7bが配置されている。
【0051】
図1では、図示を省略しているが、図4に示した区画2dの何れにも、上記綿棒7が配置されている。
第2の筒状容器3は、第1の筒状容器2と同様に、本構造例では、ポリエチレンにより構成されている。第2の筒状容器3は、図1において上端が閉じられており、前述した押動部材4は、その上端が第2の筒状容器3内に位置するように押動部材4及び筒状容器3の長さが選択されている。
【0052】
使用に際しては、図1に示す状態から、第2の筒状容器3を第1の筒状容器2側に向かってスライドさせる。逆に、第1の筒状容器2を第2の筒状容器3側にスライドさせてもよく、両者を互いに近接する方向にスライドさせてもよい。その結果、図2に示すように、押動部材4が、第2の筒状容器3の天板3aの内面により押されて、第1の筒状容器2の先端側に移動される。従って、押動部材4により薬液袋5が破れ、薬液6が漏洩し、綿棒7の綿球7bに含浸される。よって、第1の筒状容器2に対して第2の筒状容器3を上記のように近接するようにスライドさせるだけで、綿棒7に薬液を含浸させることができる。
【0053】
なお、上記構造例では、押動部材4は第2の筒状容器3に固定されていなかったが、第2の筒状容器3の天板2aの内面に固定されていてもよい。
また、押動部材4については、上記のように円筒4aの中央にリブ4bを設けた構造を有する必要は必ずしもなく、単に棒状の部材により押動部材4を構成してもよい。また、押動部材4及びシリンダー2bは、断面が円形以外の形状、例えば、正方形などの多角形状とされていてもよい。
同様に、第1,第2の筒状容器についても、円筒状でなく角筒状であってもよい。
【0054】
(第2の構造例)
図5は、本発明の薬液吸収材容器の第2の構造例を示す斜視図である。薬液吸収材容器11は、第1の筒状容器12と、第2の筒状容器13とを有する。本構造例では、第1,第2の筒状容器12,13はそれぞれ円筒状の形状を有するが、角筒状の形状を有するものであってもよい。
【0055】
第2の筒状容器13は、第1の筒状容器12に内挿されるように、その外径が第1の筒状容器12の内径とほぼ同等とされている。また、第2の筒状容器13は、上方に配置された筒状容器半体13aと、下方に配置された筒状容器半体13bとを有する。筒状容器半体13aは、上端が天板13eにより閉じられており、他方端が開口されている。筒状容器半体13bについては、上端が開口されており、下端に底板13cを有する。筒状容器半体13aの下端と、筒状容器半体13bの上端とは、図6(a)に示されているように突き合わされている。
【0056】
また、筒状容器半体13bの下端の底板13cには、中央に貫通孔13dが形成されている。
上記のように、第2の筒状容器13を、筒状容器半体13a,13bの2つの部材で構成しているのは、筒状容器半体13aのみを取り外して、綿棒の取り出しを容易とするためである。好ましくは、第2の筒状容器13により後述の薬液袋5を確実に押圧するために、筒状容器半体13bと筒状容器半体13aとがある程度の面積で突き合わされていることが望ましい。従って、より好ましくは、筒状容器半体13a,13bの内径をほぼ等しく、かつ両者の肉厚を厚くすることが望ましい。
【0057】
なお、図6に第1,第2の筒状容器のみを断面図で示すように、第1の筒状容器12は、先端が底板12aで閉じられている。
図7(a)は、薬液吸収材容器11内に薬液吸収材としての綿棒7及び薬液袋5が収納されている状態を示す断面図である。綿棒7は、第2の筒状容器13内に収納されている。
【0058】
他方、第2の筒状容器13は、底板13cを有するため、収納されている綿棒7の綿球7bが底板13cに当接することにより、綿棒7が第2の筒状容器13外に突出しないように構成されている。
【0059】
綿棒7及び薬液袋5については、第1の構造例で示した綿棒7及び薬液袋5と同様に構成されている。薬液袋5は、第1の筒状容器12に収納されている。
使用に際しては、図7(b)に示すように、第2の筒状容器13を第1の筒状容器12側に向かってスライドさせる。その結果、薬液袋7が、第2の筒状容器13により押圧されて、開封される。開封により薬液袋5内の薬液6が漏洩するが、該薬液6が貫通孔13dを通り第2の筒状容器13内に流れ込む。そのため、綿球7bに薬液6が含浸される。
【0060】
従って、第2の構造例の薬液吸収材容器11においても、第1,第2の筒状容器12,13を互いに近接させるようにスライドさせるだけで、綿棒7の綿球7bに薬液6を確実にかつ衛生的に含浸させ得る。
【0061】
なお、第2の構造例において、上記底板13cは、中央に貫通孔13dを有していたが、貫通孔13dは、底板13cに複数形成されていていもよい。また、底板13cに代えて、メッシュなどを第2の筒状容器13の先端に取り付けたものであってもよい。
【0062】
(第3の構造例)
図8は、本発明の薬液吸収材容器の第3の構造例を示す斜視図である。薬液吸収材容器21は、第1の筒状容器22と、第1の筒状容器22に外挿されており、第1の筒状容器22に対してスライド可能に構成されている第2の筒状容器23とを有する。
【0063】
図9(a)に筒状容器部材22,23のみの断面を示すように、第1の筒状容器22の先端には、可撓性を有する薬液袋収納部22aが設けられている。薬液袋収納部22aは蛇腹状の形状を有し、可撓性を有する。従って、図9(a)の矢印X方向に外力を加えた場合、薬液袋収納部22aは圧縮変形し得るように構成されている。
【0064】
本構造例の薬液吸収材容器21では、上記薬液袋収納部22a内に薬液袋5が収納されている。薬液袋5については、第1の構造例と同様に構成されている。他方、第1,第2の筒状容器22,23で構成される容器内に綿棒7が配置されている。綿棒7は、綿球7bが薬液袋収納部22a側を向くように収納されている。もっとも、綿棒7を軸7aが、第2の筒状容器23内に入り込み得るように、綿棒7の長さ及び第1,第2の筒状容器22,23の長さが選択されている。
【0065】
薬液吸収材容器21では、使用前の状態では、上記のように綿棒7と薬液袋5とが薬液吸収材容器21に収納されているが、薬液6が薬液袋5に収納されているため、薬液6により綿棒7が汚染されない。
【0066】
使用に際しては、薬液袋収納部22aの先端を矢印X方向に圧縮変形させることにより、薬液袋5を開封することができる。その結果、薬液6が漏洩する。従って、第2の筒状容器23を第1の筒状容器22側に向かってスライドさせることにより、綿球7bに薬液6を含浸させることができる。
【0067】
また、上記薬液袋5を開封する場合、薬液袋収納部22aを圧縮変形させるだけでなく、さらに、薬液袋収納部22aを圧縮変形させると同時に第2の筒状容器23を第1の筒状容器22側にスライドさせて綿棒7を第2の筒状容器23の天板23aで押動し、綿球7aから薬液袋5に圧力を加えれば、薬液袋5をより一層容易に開封することができる。
【0068】
なお、第3の構造例では、薬液袋収納部22aに可撓性を設けるために、薬液袋収納部22aを蛇腹形状としたが、薬液袋収納部22aに外力を加えて変形させることにより薬液袋5を開封し得る限り、可撓性を与えるための構造及び材質については特に限定されるものではない。すなわち、薬液袋収納部22aを薄い合成樹脂材で構成することにより、薬液袋収納部22に可撓性を与えてもよい。
【0069】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明に係る薬液吸収材容器によれば、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせることにより、薬液袋が破られ、薬液袋内の薬液が薬液吸収材に確実に含浸される。従って、使用前の保管時には、薬液吸収材と薬液とが確実に分離されているため、使用前に薬液吸収材が薬液により汚染されるおそれや薬液の汚染のおそれがなく、かつ使用時には、上記操作を行うだけで薬液吸収材に薬液を確実に含浸させることができるので、薬液が含浸された薬液吸収材を患部に対して簡便かつ衛生的に適用することが可能となる。
【0070】
請求項2に記載の発明によれば、薬液袋開封手段が、上記押動部材により構成されているため、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせるだけで、該押動部材により薬液袋を確実に開封することができる。よって、請求項1に記載の発明と同様に、使用前には薬液吸収材と薬液とが分離されているため、薬液吸収材及び薬液の汚染が生じ難く、かつ使用時には簡便な操作で薬液吸収材に薬液をより一層確実に含浸させることができる。
【0071】
請求項3に記載の発明によれば、第2の筒状容器が第1の筒状容器に対してスライド可能に内挿されるように構成されているので、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせるだけで、薬液袋を容易に開封することができる。従って、使用に際し、簡便な操作により、薬液吸収材に薬液をより確実に含浸させることができる。
【0072】
請求項4に記載の発明では、第1の筒状容器の第2の筒状容器と反対側の端部に可撓性を有する薬液袋収納部が設けられているので、使用に際して薬液袋収納部に小さな外力を加えるだけで薬液袋を確実に開封することができる。よって、第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせることにより、薬液吸収材により確実に薬液を含浸させることができる。
【0073】
請求項5に記載の発明では、薬液吸収材が第2の筒状容器により押動されて薬液袋収納部側に移動され得るため、開封された薬液袋から漏洩した薬液に薬液吸収材をより確実に接触させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薬液吸収材容器の第1の構造例を示す縦断面図。
【図2】本発明に係る薬液吸収材容器の第1の構造例において、綿棒に薬液を吸収させた状態を示す縦断面図。
【図3】本発明の第1の構造例に係る薬液吸収材容器の斜視図。
【図4】(a)及び(b)は、本発明に係る薬液吸収材容器の第1の構造例の第1,第2の筒状容器を説明するための(b)のA−A線に沿う横断面図及び縦断面図。
【図5】本発明に係る薬液吸収材容器の第2の構造例の斜視図。
【図6】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明に係る薬液吸収材容器の第2の構造例の第1,第2の筒状容器を説明するための縦断面図及び(a)のB−B線に沿う横断面図。
【図7】(a)及び(b)は、本発明に係る薬液吸収材容器の第2の構造例の使用前の縦断面図及び薬液吸収材に薬液を含浸させた状態を示す縦断面図。
【図8】本発明に係る薬液吸収材容器の第3の構造例の斜視図。
【図9】(a)及び(b)は、本発明に係る薬液吸収材容器の第3の構造例における第1,第2の筒状容器を説明するための縦断面図及び綿棒及び薬液袋を収納した状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…薬液吸収材容器
2…第1の筒状容器
3…第2の筒状容器
4…押動部材
5…薬液袋
6…薬液
7…薬液吸収材としての綿棒
11…薬液吸収材容器
12…第1の筒状容器
13…第2の筒状容器
21…薬液吸収材容器
22…第1の筒状容器
23…第2の筒状容器
22a…薬液袋収納部
Claims (5)
- 第1の筒状容器と、第1の筒状容器に対してスライド可能に内挿もしくは外挿される第2の筒状容器とを有する容器と、
前記容器内に収納された薬液吸収材と、
前記容器内に収納されておりかつ外圧により破れ得るように構成された薬液袋と、
前記第1,第2の筒状容器の少なくとも一方が他方側に向かってスライドされた際に前記薬液袋を破り得るように、前記容器内に構成された薬液袋開封手段とを備えることを特徴とする薬液吸収材容器。 - 前記薬液袋開封手段が、容器内に配置されており、かつ第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に第1もしくは第2の筒状容器により押圧されて前記薬液袋を開封するように構成された押動部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の薬液吸収材容器。
- 前記第1の筒状容器に対し第2の筒状容器がスライド可能に内挿されるように構成されており、
前記第1,第2の筒状容器の少なくとも一方を他方側に向かってスライドさせた際に、第2の筒状容器により薬液袋が開封されるように前記薬液袋開封手段が構成されている請求項1に記載の薬液吸収材容器。 - 前記薬液袋開封手段が、第1の筒状容器の第2の筒状容器とは反対側の端部に設けられた可撓性を有する薬液袋収納部であり、
該薬液袋収納部の第2の筒状容器側に薬液吸収材が配置されている請求項1に記載の薬液吸収材容器。 - 前記第1,第2の筒状容器の少なくとも一方が他方側に向かってスライドされた際に、前記薬液吸収材が第2の筒状容器により押動されて、前記薬液袋収納部側に移動されるように構成されている請求項4に記載の薬液吸収材容器。
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