JP3872154B2 - 血液凝固能の測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,検体と試薬とを混合させて反応系を作成し,反応系でフィブリン塊が生成されることによって生じる濁度を光学的に測定して検体の血液凝固能を測定する血液凝固能の測定方法に関し,より詳細には,フィブリン塊の生成速度を抑制することにより,血液凝固能の測定可能時間を延長して一般の自動分析装置の使用を可能とすると共に,反応セルの再使用を図れるようにした血液凝固能の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液検査項目の一つとして,血液凝固能を測定して,検体(ここでは,検査対象者の血液成分)の凝血障害の鑑別を行う項目が知られている。具体的には,この凝血障害の鑑別を行う項目の代表的なものとして,PT測定用試薬を用いて検体のプロトロンビン時間(PT)を測定するPT項目や,APTT測定用試薬を用いて検体の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を測定するAPTT項目等がある。
【0003】
また,血液凝固能の測定方法としては,▲1▼検体と試薬とを混合させて反応系を作成し,該反応系でフィブリン塊が生成されることによって生じる粘度変化を測定する方法や,▲2▼検体と試薬とを混合させて反応系を作成し,該反応系でフィブリン塊が生成されることによって生じる濁度を光学的に測定する方法の2つの方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の血液凝固能の測定方法によれば,フィブリン塊の生成によって生じる粘度変化または濁度を測定することで,血液凝固能を測定しているものの,反応系におけるフィブリン塊の生成速度が速いため,測定を終了した時点で,生成されたフィブリン塊が凝固して反応セルの壁面に固着してしまうという問題点があった。
【0005】
換言すれば,血液凝固能の測定に使用する反応セルは,使い捨てセルを用いる必要があるため,コストがかかるという問題点や,使い捨てセルが使用可能な自動分析装置でしか測定できないという問題点があった。
【0006】
また,▲1▼の粘度変化を測定する方法では,例えば,カップ(反応セル)の中にスチールボールを入れ,検体と試薬とを混合し,フィブリン塊の生成に伴って粘度が上昇してくると一定速度で回っているカップ中のスチールボールがカップと一緒に動き始めることを利用して,このボールが動き始める時間を凝固時間として測定しているが,このような測定が行える専用の測定装置が必要であるという問題点があった。換言すれば,一般の自動分析装置を用いて測定を行うことができないという問題点があった。
【0007】
一方,▲2▼濁度を測定する方法では,原理的には,使い捨てセルが使用可能な自動分析装置であれば,その装置を使用して血液凝固能の測定を行うことができるものの,現実的には,フィブリン塊の生成速度が速く,凝固時間(換言すれば,測定可能時間)が短いため,測光ポイント(反応開始から濁度の測光を行うまでの測光間隔)が20秒程度に設定されている一般的な自動分析装置では,測定時点で既に反応が終了していることになり,濁度の測定が行えないという問題点があった。特に,PT項目の測定では,PTの正常範囲の凝固時間が10秒前後と短いため,一般的な自動分析装置では,前述したように測光ポイントの関係で測定できなかった。
【0008】
さらに,上記従来の▲2▼濁度を測定する方法によれば,フィブリン塊の生成速度が速く,凝固時間(換言すれば,測定可能時間)が短いため,血液凝固能の測定を行う場合に,検体の血液凝固能が正常範囲であるか(換言すれば,正常範囲の時間内で凝固が終了したか),血液凝固能が低いことによる異常範囲であるか(換言すれば,正常範囲の時間より長く凝固時間がかかったか)の2種類の鑑別しか行えなず,血液凝固能が高いことによる異常範囲の場合(正常範囲より短い時間で凝固してまう場合)には,一般的な自動分析装置の測光ポイントでは過凝固の状態で測定されて正常範囲として鑑別されてしまうという不具合があった。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって,反応系におけるフィブリン塊の生成速度を抑制して凝固時間(測定可能時間)を延長することにより,測定を終了した時点でも,生成されたフィブリン塊が反応セルの壁面に固着しないようにして,測定後の反応セルの再使用を可能にすると共に,一般的な自動分析装置で測定できるようにすることを目的とする。
【0010】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって,反応系におけるフィブリン塊の生成速度を抑制して凝固時間(測定可能時間)を延長することにより,血液凝固能が高いことによる異常範囲の場合(正常範囲より短い時間で凝固してまう場合)でも,一般的な自動分析装置で測定できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために,本発明に係る血液凝固能の測定方法は,検体と試薬とを混合させて反応系を作成し,前記反応系でフィブリン塊が生成されることによって生じる濁度を光学的に測定して前記検体の血液凝固能を測定する血液凝固能の測定方法において,前記検体または/および試薬を希釈液で希釈する希釈工程と,前記希釈工程で希釈した前記検体または/および試薬を用いて,所定量の前記検体および試薬を反応セルに分注し,混合させることにより,希釈した反応系を作成する反応系作成工程と,前記希釈した反応系の濁度を光学的に測定する濁度測定工程と,前記濁度測定工程で測定した濁度に基づいて,前記検体の血液凝固能が正常範囲であるか,血液凝固能が高いことによる異常範囲であるか,血液凝固能が低いことによる異常範囲であるかを判定する判定工程と,前記濁度測定工程で濁度を測定した後に,測定済みの前記反応セルを洗浄する洗浄工程と,を含み,前記希釈した反応系の塩濃度を,前記フィブリン塊の生成に適した塩濃度の範囲から外したものである。
【0012】
また,本発明に係る血液凝固能の測定方法は,前記希釈液が,前記希釈した反応系の塩濃度を前記フィブリン塊の生成に適した塩濃度の範囲から外すために,あらかじめNaClおよびCaCl2が添加されているものである。
【0013】
また,本発明に係る血液凝固能の測定方法は,前記希釈した反応系で,前記検体が20倍希釈程度で希釈された状態であり,前記試薬が100倍希釈程度で希釈された状態であるものである。
【0015】
また,本発明に係る血液凝固能の測定方法は,前記試薬が,PT測定用試薬またはAPTT測定用試薬であるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の血液凝固能の測定方法について,〔実施の形態1〕,〔実施の形態2〕,〔実施の形態3〕の順で,図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
〔実施の形態1〕
実施の形態1の血液凝固能の測定方法(以下,希釈法と記載する)は,検体または/および試薬を希釈液で希釈して,これら検体,試薬および希釈液を混合した反応系(すなわち,希釈した反応系)においてフィブリン塊の生成反応を行わせることにより,該フィブリン塊の生成速度を抑制して凝固時間(測定可能時間)を延長できるようにしたものである。
【0018】
ただし,既存の血液凝固能の測定方法の発想では,最も血液凝固を効率的に行える条件で,確実にフィブリン塊を生成して血液凝固能を測定することを目的としているため,フィブリン塊の生成を抑制することは考えにくかった。また,従来,反応系を希釈した場合に,検体の血液凝固(フィブリン塊の生成反応)が起こるか否か検証されておらず,またフィブリン塊が生成された場合でも血液凝固能の測定に利用できるが否か検証されていなかった。
【0019】
したがって,以下に示すように,
▲1▼希釈法(実施の形態1の血液凝固能の測定方法)の概略フローチャート,
▲2▼希釈法の検討項目
▲3▼希釈法の同時再現性
▲4▼希釈法と従来法との相関性
の順で,希釈法の説明と共に,希釈法によって従来法と同様に血液凝固能を測定できることを証明する。
【0020】
▲1▼希釈法の概略フローチャート
図1は,実施の形態1の血液凝固能の測定方法(希釈法)の概略フローチャートを示す。ここでは,検体のプロトロンビン時間(PT)から血液凝固能を測定する場合を例として説明する。
【0021】
また,使用する検体,試薬,希釈液,測定装置および測定条件は以下の通りである。
検体:血液凝固検査で用いる検体は,血漿であり,全血から血球等(赤血球,白血球,血小板)を除去したものである。具体的には,抗凝固剤を入れた真空採血管で採血し,採血した全血を遠心分離すると血漿(検体)が得られる。
試薬:市販のPT測定用試薬(商品名:トロンボプラスチン・C,販売元:株式会社ミドリ十字)を用いる。
希釈液:HEPES緩衝液30mMに,NaCl(130mM),CaCl2 (12.5mM)を添加して塩濃度を調整する。次に,この緩衝液をPH7.35に調整し,希釈液とする。
希釈条件(希釈倍率):希釈液396μlを用いて試薬4μlを希釈(100倍希釈)する。その後,試薬・希釈液の混合液400μlを検体20μlを用いて希釈(約20倍希釈)し,希釈した反応系とする。
測定装置:一般的な自動分析装置を用いる。具体的には,日立製作所製の自動分析装置(7050形日立自動分析装置)を使用する。
測光ポイント:自動分析装置7050の1ポイント20秒の測光間隔において,5−32ポイントの範囲の少なくとも二つのポイントを,濁度(吸光度)の測光ポイントして設定する。
【0022】
図1のフローチャートにおいて,先ず,検体,試薬または希釈液が入ったカップをそれぞれ自動分析装置に載置する(S101)。このとき,載置された検体のカップは室温に保たれ,試薬および希釈液のカップはそれぞれ冷却されている。
【0023】
次に,試薬4μlと希釈液396μlを混合したものを所定の反応セルに分注する(S102:請求項1の希釈工程)。これによって,試薬が希釈(100倍希釈)されたことになる。
【0024】
次に,ステップS102で希釈した試薬が入った反応セルに,検体4μlを分注し,混合させることにより,希釈した反応系を作成する(S103:請求項1の反応系作成工程)。なお,ここで検体を分注した時点を0ポイントとして測光ポイントのカウントが開始される。
【0025】
ステップS103で検体を分注してから,あらかじめ設定した測光ポイント(例えば,10ポイント)に到達すると,前記希釈した反応系の吸光度(濁度)を光学的に測定する(S104:請求項1の濁度測定工程)。
【0026】
ステップS104で測定した吸光度(濁度)に基づいて,検体の血液凝固能が正常範囲であるか,血液凝固能が高いことによる異常範囲であるか,血液凝固能が低いことによる異常範囲であるかを判定する(S105:請求項1の判定工程)。具体的には,自動分析装置のプリンタまたは表示部に,測定した吸光度を表示し,オペレータ(分析者)が目視で吸光度を確認して,あらかじめ検証された正常値の吸光度の範囲に入っているか,または上下の何れに外れているかに基づいて,正常値の吸光度の範囲の場合に検体の血液凝固能が正常範囲であると判定し,正常値の範囲を超えている場合に検体の血液凝固能が高いことによる異常であると判定し,正常値の範囲より低い場合に検体の血液凝固能が低いことによる異常であると判定する。なお,この判定工程は,あらかじめ判定プログラムを作成して,自動分析装置に組み込むことにより,自動化することができるのは勿論である。
【0027】
その後,ステップS103で吸光度(濁度)を測定した後に,測定済みの反応セルを洗浄する(S106:請求項1の洗浄工程)。なお,希釈法では,希釈した反応系を用いることにより,フィブリン塊の生成速度を抑制して凝固時間(測定可能時間)が延長されているため,測定を終了した時点でも,生成されたフィブリン塊が反応セルの壁面に固着しない。したがって,一般的な自動分析装置に備わっている洗浄工程で,使用済みの反応セルを容易に洗浄することができ,測定後の反応セルの再使用が可能となる。
【0028】
前述したように実施の形態1の血液凝固能の測定方法(希釈法)によれば,反応系におけるフィブリン塊の生成速度を抑制して凝固時間(測定可能時間)を延長することにより,測定を終了した時点でも,生成されたフィブリン塊が反応セルの壁面に固着しないようにして,測定後の反応セルの再使用が可能となる。
【0029】
また,凝固時間(測定可能時間)を延長することにより,測光ポイントを大きくすることができるため,一般的な自動分析装置で測定することができる。
【0030】
さらに,血液凝固能が高いことによる異常範囲の場合(正常範囲より短い時間で凝固してまう場合)でも,一般的な自動分析装置で測定することができる。
【0031】
▲2▼希釈法の検討項目
次に,前述した希釈法で説明したように,反応系を希釈した場合に,反応系におけるフィブリン塊の生成速度を抑制して凝固時間(測定可能時間)の延長が行えること,および検体の血液凝固能の測定が行えること,について具体的に説明する。
【0032】
希釈法を実施する場合に,反応系を希釈することによって,フィブリン塊の生成速度が自動分析装置で測定するのに適した生成速度に抑制され,かつ,測定した吸光度(濁度)から血液凝固能の判定を確実に行えることが重要(必須条件)である。
【0033】
このため,希釈法を実施するための検討項目として,以下の項目を設定し,上記必須条件を満たすようにこれらの項目を検討した。なお,これらの検討項目は互いに影響し合うため,多種多様な条件で実験を行った結果に基づいて,最終的にそれぞれの項目の実験が最適に行える条件で希釈法を実施した。
【0034】
また,測定装置としては,一般的な自動分析装置を用いることを前提とし,一般的な自動分析装置の1ポイント20秒の測光間隔において,5−32ポイントの範囲で測光を行った。
【0035】
▲2▼−1 検量線データ(希釈法のΔODと従来法の凝固時間との関係)
先ず,図2の検量線データを参照して,希釈法のΔODと従来法の凝固時間との関係について説明する。なお,ΔODは一定時間の吸光度差を示し,ここでは,自動分析装置における5ポイント目の吸光度と32ポイント目の吸光度との差(32ポイント目の吸光度−5ポイント目の吸光度)を示す。
【0036】
従来の粘度変化を測定する方法で測定した際の凝固時間が,11.3秒,15.5秒,21.7秒,25.4秒,30.2秒の5つの種類の検体を準備する。これら5つの検体を,希釈法(図1の概略フローチャートで示した方法)を用いて5ポイント目の吸光度と32ポイント目の吸光度との差(ΔOD)を求め,以下の結果を得た。
凝固時間(11.3秒) → ΔOD(1385)
凝固時間(15.5秒) → ΔOD (724)
凝固時間(21.7秒) → ΔOD (397)
凝固時間(25.4秒) → ΔOD (259)
凝固時間(30.2秒) → ΔOD (132)
【0037】
次に,希釈法におけるΔODと従来法の凝固時間とを用いて図2に示すように検量線データを作成した。これにより,希釈法で測定したΔODを従来法の凝固時間に換算することができ,希釈法による血液凝固能の判定(鑑別)を行う際の基準を得ることができる。なお,この検量線データが実際に使用可能であることは,後述する▲3▼希釈法の同時再現性と▲4▼希釈法と従来法との相関性によって明らかになる。
【0038】
▲2▼−2 希釈液中の塩濃度の検討
次に,希釈液中の塩濃度の影響について説明する。本発明者は,希釈法の実験を行う過程で,希釈液の塩濃度を調整しない場合(すなわち,塩が無添加の場合)に検体中の塩濃度の違いによって,従来法で凝固時間が同じ検体でも,希釈法で測定したΔODの値にずれが生じることを発見した。これは反応系の塩濃度が検体の塩濃度のみに依存するため,その影響が大きく現れるものと推定される。換言すれば,反応系の塩濃度によってフィブリン塊の生成が影響を受けることを発見し,最適な希釈液の塩濃度について検討した。
【0039】
図3は,希釈液中のNaCl,CaCl2 濃度の影響を示す説明図である。ここでは,試薬(トロンボプラスチン・C)を4μl,希釈液(HEPES緩衝液,PH7.35)を396μl,検体(正常血漿と高度異常血漿の2種類)を20μlとして,図示の如く,塩濃度(NaCl,CaCl2 )を変えて希釈法を実施し,ΔOD(吸光度差:32−5ポイント)を測定して塩濃度の影響を調べた。なお,図3において,ΔOD1は検体が正常血漿の場合の吸光度差,ΔOD2は検体が高度異常血漿の場合の吸光度差を示す。
【0040】
先ず,NaCl,CaCl2 を添加しない場合,ΔOD1は1352,ΔOD2は130であった。この値を塩濃度の影響の判定値として用いる。判定値としては,できるだけΔODが大きいほど再現性や,異常と正常の分離能が大きくなるので好ましい。
【0041】
次に,NaClを130mMとして,CaCl2 を3〜50mMの範囲で変えたところ,CaCl2 が12.5mMで最も判定値に近い値を示した。
【0042】
次に,CaCl2 を12.5mMとして,NaClを30〜500mMの範囲で変えたところ,NaClが30mMで最も判定値に近い値を示した。
【0043】
さらに,NaCl:130mM,CaCl2 :12.5mMのΔOD1,2と,NaCl:30mM,CaCl2 :12.5mMのΔOD1,2との比較から,NaCl:130mM,CaCl2 :12.5mMが最も判定値に近い値であることが分かった。
【0044】
上記の結果より,試薬(トロンボプラスチン・C)を4μl,希釈液(HEPES緩衝液,PH7.35)を396μl,検体(正常血漿と高度異常血漿の2種類)を20μlとして用いる場合の希釈法において,希釈液の塩濃度をNaCl:130mM,CaCl2 :12.5mMに調整することが望ましいことが明らかになった。
【0045】
▲2▼−3 希釈倍率の検討
次に,希釈倍率について説明する。希釈倍率の影響としては,反応系中における試薬の希釈倍率および検体の希釈倍率の影響の両方が考えられる。したがって,図4に示すように,試薬:希釈液:検体のそれぞれの比率を変えて希釈した反応系を生成し,希釈法で1分後(3ポイント目)の吸光度OD01と10分後(30ポイント目)の吸光度OD10を求め,反応速度比(OD10/OD01)を求めた。この反応速度比がOD10/OD01≦1の場合,1分後に既に凝固が殆ど終了しており,10分後までフィブリン塊の生成状態に変化がないことを示している。また,OD10/OD01≒10の場合には,反応速度が緩やかで,かつ,反応タイムコースが直線(10分間の反応の進行状態がほぼ時間に比例している)であることを示している。
【0046】
さらに,反応セルを洗浄して再使用する目的から,フィブリン塊の生成が進み過ぎて,フィブリン塊が反応セルに固着(凝固)することは望ましくないので,従来の粘度変化を測定する方法を用いて凝固の程度を観測し,十分な時間(例えば,検体が正常血漿の場合には11秒以上)経過してもスチールボールが動かない場合に,『凝固しない』と判定し,スチールボールが動くが1回転せずに元に戻る場合に,『わずかに凝固する』と判定し,スチールボールが1回転以上動く場合に,『凝固する』と判定し,凝固(すなわち,フィブリン塊の固着発生)の程度の目安とした。
【0047】
図4に示すように,反応速度比が大きく,凝固の程度が『凝固しない』であるものを探すと,試薬4μl:希釈液396μl:検体20μlで測定した結果が該当することが分かる。これより,希釈した反応系で,検体が20倍希釈程度で希釈された状態であり,試薬が100倍希釈程度で希釈された状態であることが望ましいことが明らかである。
【0048】
図5は,このようにして求めた希釈倍率(試薬4μl:希釈液396μl:検体20μl)を用いて,希釈法で1−32ポイントの各ポイントのOD(吸光度)を測定し,OD(反応状態)と時間(ポイント)との反応タイムコースを作成したものである。図5の反応タイムコースから明らかなように,反応開始時から4ポイント目までは,反応速度が安定していない(すなわち,反応タイムコースが折れ線となっており,また傾斜が大きい)ものの,5ポイント目以降は,ほぼ直線となって反応が安定している。この直線が緩やかであるほど,フィブリン塊の生成が抑制されていることを示し,さらに直線度が高い程,フィブリン塊の生成が安定的に時間に比例して進んでいることを示している。
【0049】
▲2▼−4 希釈液種類の検討
次に,希釈液の種類について検討結果を示す。希釈液として,イミダゾール緩衝液,グリシン緩衝液,HEPES緩衝液を用いて,それぞれの緩衝液396μlにNaCl(130mM),CaCl2 (12.5mM)を添加して塩濃度を調整し,PH7.35に調整した。
【0050】
さらにこれらの希釈液を用いて,試薬(トロンボプラスチン・C)を4μl,希釈液を396μl,検体(正常血漿と高度異常血漿の2種類)を20μlとして,希釈法で32−5ポイントのΔOD1(検体が正常血漿の場合の吸光度差),ΔOD2(検体が高度異常血漿の場合の吸光度差)を求めた。
【0051】
図6は,上記希釈液の種類に対応した検討結果を示す。図示の如く,イミダゾール緩衝液,グリシン緩衝液,HEPES緩衝液の何れを希釈液として用いても大差なく,希釈法に使用可能であることが明らかになった。
【0052】
▲2▼−5 希釈法の検討結果
以上の各検討項目の結果より,希釈法を実施する場合の反応系の希釈条件として,以下のことが明らかになった。
【0053】
第1に,試薬(トロンボプラスチン・C)を4μl,希釈液(HEPES緩衝液,PH7.35)を396μl,検体(正常血漿と高度異常血漿の2種類)を20μlとして用いる場合の希釈法において,希釈液の塩濃度をNaCl:130mM,CaCl2 :12.5mMに調整することが望ましい。
【0054】
第2に,希釈した反応系で,検体が20倍希釈程度で希釈された状態であり,試薬が100倍希釈程度で希釈された状態であることが望ましい。
【0055】
第3に,希釈液は,イミダゾール緩衝液,グリシン緩衝液,HEPES緩衝液の何れを用いても良い。
【0056】
▲3▼希釈法の同時再現性
次に,上記希釈法の検討結果に基づいて,実施の形態1の血液凝固能の測定方法(希釈法)を実施した場合の同時再現性について説明する。
【0057】
図7は,希釈法の同時再現性を示すための説明図である。検体として正常血漿を用いて,同一の測定条件で10回の測定を行った。また,検体として高度異常血漿を用いて,同一の測定条件で10回の測定を行った。なお,ここでは,希釈法で測定したOD値を図2の検量線データを用いて従来法(従来の粘度変化を測定する方法)の凝固時間(秒)に変換した値を測定結果として示す。
【0058】
図7に示すように,それぞれ平均値Xが11.1(秒)と23.9(秒)であり,再現性が2.4%と2.3%であった。この結果より,本発明の希釈法の再現性が十分に高く,血液凝固能の測定に使用可能であることが明らかである。
【0059】
▲4▼希釈法と従来法との相関性
次に,希釈法と従来法(従来の粘度変化を測定する方法)との相関性について説明する。図8は,複数の検体(30検体)を,それぞれ希釈法と従来法の両方で測定し,相関図を作成したものである。図示の如く,非常に相関度(R=0.825)の高い対応を示しており,従来法で正常範囲と判定される範囲の検体は,希釈法でも正常範囲と判定される領域に分布しており,希釈法が従来法と同様に血液凝固能の測定に使用可能であることが明らかである。
【0060】
〔実施の形態2〕
実施の形態2の血液凝固能の測定方法(以下,希釈法と記載する)は,基本的に実施の形態1の血液凝固能の測定方法と同様であり,試薬としてAPTT測定用試薬を用いてAPTT項目を測定するようにしたものである。
【0061】
ただし,APTT項目の測定では,試薬としてAPTT測定用試薬を用いて,検体の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を測定するため,一連のフィブリン塊の生成反応サイクルにおいて,実施の形態1で示したPT測定用試薬と,APTT測定用試薬の作用部位が異なる。
【0062】
したがって,ここでは,APTT測定用試薬の作用部位に違いによる希釈法の変更部分のみを詳細に説明する。
【0063】
APTT測定用試薬は,第1試薬(商品名:アクチン)と第2試薬(CaCl2 )との2つの試薬からなる。これは,検体と第1試薬とを反応させて,約3〜5分間放置し,活性化を行った後,第2試薬をトリガーとしてフィブリン塊の生成を行うためである。
【0064】
また,APTT項目の測定では,フィブリン塊の生成速度がPT項目の測定と比較して遅いため,自動分析装置での測光ポイントを19−32に設定する。また,測光ポイントのカウントは,検体と第2試薬とを混合した時点から開始する。
【0065】
また,希釈液の塩濃度は,基本的に実施の形態1と同様であるが,前述したようにCaCl2 が第2試薬として添加されるため,希釈液の塩濃度はNaClのみで調整するものとする。
【0066】
なお,上記の相違点は,血液凝固能の測定を行う当業者にとっては,周知のことであり,実施の形態1の希釈法で示した概略フローチャート(図1参照)を変更して容易にAPTTの測定を行うことができる。
【0067】
さらに試薬の変更に伴って試薬の希釈倍率を変更した。詳細は後述するが,APTT測定用試薬の場合,実験によって希釈倍率10倍が最適であった。
【0068】
次に,APTT測定用試薬を用いた場合の希釈法の実施例について具体的に説明する。測定は以下の条件で行った。
検体:正常血漿
試薬:第1試薬(商品名:アクチン),第2試薬(CaCl2 )
希釈液:希釈液として第1〜第3の3種類を用意する。
第1の希釈液は,イミダゾール緩衝液(50mM)にNaCl(100mM)を添加して塩濃度を調整する。
第2の希釈液は,HEPES緩衝液(30mM)にNaCl(130mM)を添加して塩濃度を調整する。
第3の希釈液は,HEPES緩衝液(30mM)はNaClの添加なし。すなわち,塩濃度の調整なし。
なお,これらの希釈液はPH7.35に調整する。
測定装置:一般的な自動分析装置を用いる。具体的には,日立製作所製の自動分析装置(7050形日立自動分析装置)を使用する。
測光ポイント:自動分析装置7050の1ポイント20秒の測光間隔において,19−32ポイントの範囲の少なくとも二つのポイントを,濁度(吸光度)の測光ポイントして設定する。
【0069】
上記のように複数の希釈液(第1の希釈液〜第3の希釈液)をそれぞれ単独に用いて,第1試薬および第2試薬を,10倍希釈,50倍希釈,100倍希釈で希釈し,それぞれの場合について,以下のように希釈法でΔOD(32ポイント目の吸光度と19ポイント目の吸光度の差)を求めた。
【0070】
先ず,第1試薬(アクチン)を上記の希釈倍率で希釈してR1とし,次に,第2試薬(1.25mMのCaCl2 )を同様に希釈してR2とする。
【0071】
次に,検体をSとして,S/R1/R2=20μl/250μl/250μlの比率で,検体SにR1を添加後,5分間活性化した後,R2を添加し,R2添加後19−32ポイントで測光(吸光度の測定)を行った。図9にその測定結果を示す。
【0072】
図9から明らかなように,各希釈液において,それぞれ10倍希釈以外ではΔODが良好に測定できなかった。したがって,APTT測定用試薬を用いた場合には,試薬(第1試薬および第2試薬)を10倍希釈することが望ましい。
【0073】
次に,上記希釈法の検討結果に基づいて,実施の形態2の血液凝固能の測定方法(希釈法)を実施した場合の同時再現性について説明する。
【0074】
図10(a),(b)は,希釈法の同時再現性を示すための説明図である。同図(a)が第1の希釈液を用いて10倍希釈で,検体として正常血漿を用いて,同一の測定条件で10回の測定を行った場合,および検体として高度異常血漿を用いて,同一の測定条件で10回の測定を行った場合を示す。同図(b)が第2の希釈液を用いて10倍希釈で,検体として正常血漿を用いて,同一の測定条件で10回の測定を行った場合,および検体として高度異常血漿を用いて,同一の測定条件で10回の測定を行った場合を示す。なお,ここでは,希釈法で測定したOD値をあらかじめ作成した検量線データを用いて従来法(従来の粘度変化を測定する方法)の凝固時間(秒)に変換した値を測定結果として示す。
【0075】
図10(a)に示すように,それぞれ平均値Xが38.1(秒)と44.6(秒)であり,再現性が0.96%と0.87%であった。この結果より,本発明の希釈法の再現性が十分に高く,血液凝固能の測定に使用可能であることが明らかである。
【0076】
また,図10(b)に示すように,それぞれ平均値Xが36.0(秒)と46.4(秒)であり,再現性が1.74%と1.52%であった。この結果より,本発明の希釈法の再現性が十分に高く,血液凝固能の測定に使用可能であることが明らかである。
【0077】
図11(a),(b)は,希釈法と従来法(従来の粘度変化を測定する方法)との相関性を示す説明図である。同図(a)は,第1の希釈液・10倍希釈の場合の相関図を示し,同図(b)は,第2の希釈液・10倍希釈の場合の相関図を示す。なお,複数の検体(30検体)を,それぞれ希釈法と従来法の両方で測定し,相関図を作成したものである。
【0078】
同図(a),(b)に示すように,非常に相関度(R=0.845,R=0.862)の高い対応を示しており,従来法で正常範囲と判定される範囲の検体は,希釈法でも正常範囲と判定される領域に分布しており,希釈法が従来法と同様に血液凝固能の測定に使用可能であることが明らかである。
【0079】
〔実施の形態3〕
実施の形態3の血液凝固能の測定方法(以下,塩濃度調整法と記載する)は,反応系の塩濃度をフィブリン塊の生成に適した塩濃度の範囲から外すことにより,該フィブリン塊の生成速度を抑制して凝固時間(測定可能時間)を延長できるようにしたものである。
【0080】
図12は,実施の形態3の血液凝固能の測定方法の概略フローチャートを示す。ここでは,検体のプロトロンビン時間(PT)から血液凝固能を測定する場合を例として説明する。
【0081】
図12のフローチャートにおいて,先ず,検体または試薬が入ったカップをそれぞれ自動分析装置に載置する(S1201)。
【0082】
次に,所定の反応セルに試薬を分注し,続いてNaCl,CaCl2 を添加して塩濃度を調整する(S1202:請求項4の塩添加工程)。
【0083】
次に,ステップS1202で塩濃度を調整した試薬の入った反応セルに,検体を分注し,混合させることにより,反応系を作成する(S1203:請求項4の反応系作成工程)。なお,ここで検体を分注した時点を0ポイントとして測光ポイントのカウントが開始される。
【0084】
ステップS1203で検体を分注してから,あらかじめ設定した測光ポイント(例えば,10ポイント)に到達すると,前記希釈した反応系の吸光度(濁度)を光学的に測定する(S1204:請求項4の濁度測定工程)。
【0085】
ステップS1204で測定した吸光度(濁度)に基づいて,検体の血液凝固能が正常範囲であるか,血液凝固能が高いことによる異常範囲であるか,血液凝固能が低いことによる異常範囲であるかを判定する(S1205:請求項4の判定工程)。
【0086】
その後,ステップS1203で吸光度(濁度)を測定した後に,測定済みの反応セルを洗浄する(S1206:請求項4の洗浄工程)。なお,塩濃度調整法では,塩濃度を調整した反応系を用いることにより,フィブリン塊の生成速度を抑制して凝固時間(測定可能時間)が延長されているため,測定を終了した時点でも,生成されたフィブリン塊が反応セルの壁面に固着しない。したがって,一般的な自動分析装置に備わっている洗浄工程で,反応セルを容易に洗浄することができ,測定後の反応セルの再使用が可能である。
【0087】
前述したように実施の形態3の血液凝固能の測定方法(塩濃度調整法)によれば,反応系におけるフィブリン塊の生成速度を抑制して凝固時間(測定可能時間)を延長することにより,測定を終了した時点でも,生成されたフィブリン塊が反応セルの壁面に固着しないようにして,測定後の反応セルの再使用が可能となる。
【0088】
また,凝固時間(測定可能時間)を延長することにより,測光ポイントを大きくすることができるため,一般的な自動分析装置で測定することができる。
【0089】
さらに,血液凝固能が高いことによる異常範囲の場合(正常範囲より短い時間で凝固してまう場合)でも,一般的な自動分析装置で測定することができる。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明の血液凝固能の測定方法は,検体と試薬とを混合させて反応系を作成し,反応系でフィブリン塊が生成されることによって生じる濁度を光学的に測定して検体の血液凝固能を測定する血液凝固能の測定方法において,検体または/および試薬を希釈液で希釈する希釈工程と,希釈工程で希釈した検体または/および試薬を用いて,所定量の検体および試薬を反応セルに分注し,混合させることにより,希釈した反応系を作成する反応系作成工程と,希釈した反応系の濁度を光学的に測定する濁度測定工程と,濁度測定工程で測定した濁度に基づいて,検体の血液凝固能が正常範囲であるか,血液凝固能が高いことによる異常範囲であるか,血液凝固能が低いことによる異常範囲であるかを判定する判定工程と,濁度測定工程で濁度を測定した後に,測定済みの反応セルを洗浄する洗浄工程と,を含み,前記希釈した反応系の塩濃度を,前記フィブリン塊の生成に適した塩濃度の範囲から外したものであるため,反応系におけるフィブリン塊の生成速度を抑制して凝固時間(測定可能時間)を延長することにより,測定を終了した時点でも,生成されたフィブリン塊が反応セルの壁面に固着しないようにして,測定後の反応セルの再使用を可能にしている。また一般的な自動分析装置で測定することができる。さらに血液凝固能が高いことによる異常範囲の場合(正常範囲より短い時間で凝固してしまう場合)でも,一般的な自動分析装置で測定できる。
【0091】
また,本発明の血液凝固能の測定方法は,希釈液が,希釈した反応系の塩濃度をフィブリン塊の生成に適した塩濃度の範囲から外すために,あらかじめNaClおよびCaCl2が添加されているものであるため,フィブリン塊の生成速度の抑制を良好に行える。
【0092】
また,本発明の血液凝固能の測定方法は,希釈した反応系で,検体が20倍希釈程度で希釈された状態であり,試薬が100倍希釈程度で希釈された状態であるため,フィブリン塊の生成速度の抑制を良好に行える。
【0094】
また,本発明の血液凝固能の測定方法は,試薬が,PT測定用試薬またはAPTT測定用試薬であるため,検体のプロトロンビン時間(PT)または検体の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)から血液凝固能を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の血液凝固能の測定方法(希釈法)の概略フローチャートである。
【図2】検量線データ(希釈法のΔODと従来法の凝固時間との関係)を示す説明図である。
【図3】希釈液中のNaCl,CaCl2 濃度の影響を示す説明図である。
【図4】希釈倍率の影響を示す説明図である。
【図5】反応タイムコースを示す説明図である。
【図6】希釈液種類の検討結果を示す説明図である。
【図7】実施の形態1の血液凝固能の測定方法(希釈法)の同時再現性を示すための説明図である。
【図8】実施の形態1の血液凝固能の測定方法(希釈法)と従来法(従来の粘度変化を測定する方法)との関係を示す相関図である。
【図9】実施の形態2の血液凝固能の測定方法(希釈法)における望ましい希釈倍率を示す説明図である。
【図10】実施の形態2の血液凝固能の測定方法(希釈法)の同時再現性を示すための説明図である。
【図11】実施の形態2の血液凝固能の測定方法(希釈法)と従来法(従来の粘度変化を測定する方法)との関係を示す相関図である。
【図12】実施の形態4の血液凝固能の測定方法(塩濃度調整法)の概略フローチャートである。
【符号の説明】
ΔOD 一定時間の吸光度差
Claims (4)
- 検体と試薬とを混合させて反応系を作成し,前記反応系でフィブリン塊が生成されることによって生じる濁度を光学的に測定して前記検体の血液凝固能を測定する血液凝固能の測定方法において,
前記検体または/および試薬を希釈液で希釈する希釈工程と,
前記希釈工程で希釈した前記検体または/および試薬を用いて,所定量の前記検体および試薬を反応セルに分注し,混合させることにより,希釈した反応系を作成する反応系作成工程と,
前記希釈した反応系の濁度を光学的に測定する濁度測定工程と,
前記濁度測定工程で測定した濁度に基づいて,前記検体の血液凝固能が正常範囲であるか,血液凝固能が高いことによる異常範囲であるか,血液凝固能が低いことによる異常範囲であるかを判定する判定工程と,
前記濁度測定工程で濁度を測定した後に,測定済みの前記反応セルを洗浄する洗浄工程と,
を含み,
前記希釈した反応系の塩濃度を,前記フィブリン塊の生成に適した塩濃度の範囲から外したことを特徴とする血液凝固能の測定方法。 - 前記希釈液は,前記希釈した反応系の塩濃度を前記フィブリン塊の生成に適した塩濃度の範囲から外すために,あらかじめNaClおよびCaCl2が添加されていることを特徴とする請求項1記載の血液凝固能の測定方法。
- 前記希釈した反応系で,前記検体が20倍希釈程度で希釈された状態であり,前記試薬が100倍希釈程度で希釈された状態であることを特徴とする請求項1または2記載の血液凝固能の測定方法。
- 前記試薬は,PT測定用試薬またはAPTT測定用試薬であることを特徴とする請求項1〜3記載のいずれか一つの血液凝固能の測定方法。
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