JP3871612B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は前面に洗濯物投入口を有するドラム式洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
略水平な軸を中心に回転する横型のドラムを備えたドラム式洗濯機は、一般にドラムを低速で回転させる洗い工程、すすぎ工程と、高速で回転させる脱水工程から成る洗濯作業を行い、更に、乾燥工程を行うものが商品化されている。
【0003】
従来のドラム式洗濯機を図30に示す。ドラム式洗濯機は、底台32上に外箱1が配され、外箱1の上面が天板31で覆われている。外箱の内部には洗濯物投入口1aに向かって開口する水槽(不図示)が横設されており、水槽と同軸に内装されるドラム(不図示)が回転自在に支持されている。
【0004】
また、外箱1の前面には洗濯物投入口1aが形成される前面パネル33が装着され、洗濯物投入口1aを開閉する開閉扉3が前面パネル33に枢支されている。開閉扉3の上方には表示部35及び操作キー36を有して使用者が操作を行う操作パネル11が配されている。
【0005】
開閉扉3には可動するロック部材42が設けられ、洗濯物投入口1aの側部には開閉扉3を閉じた際にロック部材42と係合してロックを行うロック機構部41が設けられている。また、開閉扉3には閉成時に水漏れを防止するように洗濯物投入口1aに嵌合するとともに、ドラム内を視認できるように透明の部材から成る窓部3aが突設されている。
【0006】
洗濯物投入口1aからドラム内に洗濯物が投入され、開閉扉3が閉じられると、水槽内に給水が行われる。そして、ドラムが回転することにより洗濯が行われるようになっている。また、回転するドラム内に温風を送出することにより、洗濯後の洗濯物を乾燥するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のドラム式洗濯機において、外箱1の前面に配される前面パネル33は板金加工等により形成される。しかしながら、外形が大きいため大型の機械を必要とする。また、開閉扉3が配される部分が除去されるため、材料に無駄が生じ、多くの材料を必要とする。更に、前面パネル33を外箱1にネジ止め等により取り付ける際に、美観上ネジが前面に露出しないように外箱1の内側から取り付ける必要がある。このため、加工コスト、材料コスト及び組立てコストが大きくなる問題があった。
【0008】
また、ドラム式洗濯機の上部に配される電装部品と、下部に配される電装部品とを接続するリード線が、外箱1の内部を通って配線されるため、組立て時やメンテナンス時の作業性が悪い問題もあった。
【0009】
また、開閉扉3をロックするロック機構部41が洗濯物投入口1aの側方に配されるため、洗濯物投入口1aの開口面積を大きくすることができず、ドラム内の視認性や洗濯物を出し入れする作業性が悪い問題があった。
【0010】
本発明は、コスト削減及びメンテナンス時や使用時の作業性を向上させることのできるドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、前面に洗濯物投入口を開口し、外箱により覆われるドラム式洗濯機において、前記開閉扉の回動軸及び前記洗濯物投入口は上部が後方になるように前後方向に傾斜するとともに、前記回動軸は上部が外側になるように左右方向に傾斜して前後方向と左右方向の傾斜角度が略一致し、前面上方に配される操作パネルを前記開閉扉の上端よりも突出して設けるとともに前記操作パネルの前記開閉扉から突出した下面を面取りしたことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。説明の便宜上、従来例の図30と同一の部分については同一の符号を付している。図1は第1実施形態のドラム式洗濯機を示す外観斜視図である。また、図2(a)、(b)はそれぞれ正面図及び側面図である。
【0016】
ドラム式洗濯機は、底台32上に外箱1が配され、外箱1の上面が天板31で覆われている。外箱1の内部には前面に向かって開口する水槽4が後方が下がるように傾斜して配されている。詳細は後述するが、水槽4内には回転するドラム(不図示)が同軸に配され、水槽4の傾斜によって、前面側からドラム内の見通しがよくなるようにしている。外箱1は前面が開閉扉3で開閉できるようになっている。外箱1の前面上部には操作キー36や表示部35を備えた操作パネル11が設けられている。
【0017】
図7にドラム式洗濯機の外装部分の分解斜視図を示す。外箱1は鉄板を板金加工して形成されている。天板31は圧縮ボード等から成り、外箱1にネジ止めされている。外箱1により形成される側面パネル61、62はドラム式洗濯機の側面外壁を形成する。外箱1の前面及び背面には外箱1内に配される部材の組立てを行うための孔部1d、1eが設けられている。外箱1の背面には孔部1eを覆うための背面板55が取り付けられる。
【0018】
外箱1の前面には、孔部1dの周囲にアングル1fが形成され、操作パネル11等の前面に配される部材のネジ止め等ができるようになっている。外箱1の前面に配される部材は、図8に示すような部材から成っている。図8において、洗濯物投入口45aを有する中央パネル45は、左方にヒンジ用逃げ部45bが開口して後述するヒンジが回動可能になっており、これにより開閉扉3が枢支される。中央パネル45の両側方には中央パネル45と一体化される側方パネル46、47が設けられている。
【0019】
中央パネル45の上部に配される操作パネル11は、表示部35や操作キー36を有する中央部51と、中央部51の側方に配される側方部52、53とから形成されている。これにより、側方パネル46、47と側方部52、53とのデザイン上の統一を容易に図ることができるようになっている。また、中央パネル45の下方には、下方パネル48が配されている。
【0020】
中央パネル45の右上方の収容部45cにはロック機構部41が配されるようになっている。開閉扉3には取っ手部54が設けられ、開閉扉3の裏面には、従来例と同様に取っ手部54と一体に回動するロック部材42(図30参照)が形成されている。ロック部材42は中央パネル45の収容部45cに形成された孔部45dに挿通してロック機構部41と係合し、開閉扉3がロックされるようになっている。
【0021】
図9に示すように、中央パネル45の両側部の裏面には、図10に示すようなフック45fが切り起こして形成されている。外箱1のアングル1fにはフック45fに対応する位置に孔部1gが形成されている。そして、図11(a)に示すようにフック45fを孔部1gに挿入し、図11(b)に示すように下方へ中央パネル45をスライドして係合させることで、外箱1に中央パネル45を掛着することができる。
【0022】
これにより、中央パネル45を掛着した後、ネジによってネジ孔45g、45hを介してナット部1jに前面から固定することができる。従って、容易に組立ての作業を行うことができるようになっている。尚、図10において、フック45fは先端が後方へ折曲されている。
【0023】
従って、スライドの際に孔部1gの下端周縁との衝突を防止することができ、容易に中央パネル45を取り付け可能となる。また、図12(a)に示すように、孔部1gの下端周縁を前方に折曲しても同様に、図12(b)に示すように容易にフック45fをスライドできるようになる。
【0024】
側方パネル47は、図13に示すように板金加工により形成され、背面側に上方に向けて屈曲するフック47a、47bが形成されている。中央パネル45にはフック47aに対応する位置に孔部45eが設けられ、外箱1にはフック47bに対応する位置に孔部1hが設けられる。
【0025】
そして、図14の上面断面図に示すように、フック47a、47bを孔部45e、1hに挿入して上方にスライドさせることにより、これらが係合して側方パネル47が取り付けられている。また、取付け強度確保のためネジを併用してもよい。尚、左方の側方パネル46についても同様に取り付けられる。
【0026】
また、側方パネル46、47は外箱1との間に空間46c、47c(46cは不図示)が設けられるように形成される。図15、図16に示すように、空間46c、47cには、ドラム式洗濯機の上部に配される電装部品と、下部に配される電装部品とを接続するリード線63等の上下を連結する連結部材を通すことができる。ここで45jは中央パネル45に形成される取付部であり、リード線63等の連結部材を保持する。
【0027】
このようにすると、組立てが容易となるとともに、リード線63が外箱1の内部の可動部品と接触することによる故障を防止できる。また、フック47a、47bと孔部45e、1fとの係合を解除すれば簡単に側方パネル46、47だけを取り外しできるので、メンテナンス性も向上する。
【0028】
図17は中央パネル45に開閉扉3を取り付けた状態を示している。開閉扉3は上下2箇所のヒンジ70により枢支されている。ヒンジ70は図18に示すように、ネジ孔71aを介して中央パネル45に取り付けられる固定部材71と、ネジ孔73aを介してネジにより開閉扉3に取り付けられる回動部材73とを有し、回動部材73はシャフト72により回転自在に支持さている。
【0029】
また、回転部材73は円弧状の円弧部73bが設けられており、図19に示すように、固定部材71の挿通部71bに挿通されている。シャフト72を回動軸として回動部材73が回動すると、図20に示すように、円弧部73bの端部に設けられるストッパー部73cが挿通部71bの外形部71cに当接して開閉扉3の回動が停止されるようになっている。
【0030】
この時、図21に示すように、ストッパー部73cにネジ74を取り付けると、ネジ74が挿通部71bの外形部71cに当接して開閉扉3の回動が停止される。従って、ネジ74は突出量の調整によって開閉扉3の開閉角度を可変できるアジャスタとして作用する。
【0031】
ネジ74の調整は側方パネル46を取り外すことにより簡単に行うことができ、例えばドラム式洗濯機をユーザー宅に設置し、開閉扉3を開くと壁等に当たるような場合であっても、現地で簡単に調整して壁等との衝突を回避することができる。また、小さい子供のいる場合には開閉扉3の開閉角度を調整して指つめ等を防止することがきる。
【0032】
また、図22に示すように、挿通部71bの外形部71cにラバーや合成樹脂等の緩衝材75を嵌合し、衝撃を緩和するとともに大きさの異なる緩衝材75に取り換えることによって開閉扉3の開閉角度を調整することができる。この時、緩衝材75は開閉扉3の開閉角度を可変するアジャスタとして作用する。
【0033】
また、図17において、開閉扉3の回動軸(シャフト72)は洗濯物投入口45aの傾斜に対応して上部が後方になるように傾斜角α(図2(b)参照)だけ傾斜している。本実施形態では、更に、回動軸を上部が外側になるように傾斜角β(図2(a)参照)だけ傾斜させている。
【0034】
ここで、傾斜角αを有した状態で開閉扉3の開閉時における開閉扉3の開放側の一点(例えば図24における点W)の高さHの変化を図23に示す。同図において、横軸は開閉角度を示し縦軸は開閉扉3の開放側の一点(点W)の高さHの変化量を示している。同図によると、傾斜角βが0゜の場合は開閉扉3は開閉角度が大きくなるに従って上昇する。このため、開閉扉3を開くと自重により閉じられ、指つめ等を生じるおそれがある。
【0035】
これに対し、傾斜角βを適切な値にすると、開閉扉3の上昇を抑制して略水平に開閉扉3を開くことができる。これにより、開閉扉3の自重による力の開閉扉3が閉じる方向の成分が減少するとともに、ヒンジ70には摩擦抵抗等が働いているため自重による閉成を防止することができる。
【0036】
この時、傾斜角αと傾斜角βを等しくすると開閉角度が0゜〜90゜間をより水平に近づけて開閉扉3を開くことができる。更に、図24に示すように、開閉扉3を開いた時の最大の奥行き寸法Dを最小にすることができる。
【0037】
また、開閉扉3を開いたときに閉じたときよりも開放側の位置が高くなるので、操作パネル11との干渉を回避するために、操作パネル11と開閉扉3との間には隙間(不図示)が設けられる。前述の図2(b)に示すように、開閉扉3の上端よりも操作パネル11を前面に突出させることで、この隙間の目隠しをすることができ、美観が向上する。
【0038】
この時、図1に示すように、操作キー36や表示部35を上面に向けて配することで、ドラム式洗濯機の操作性を向上させることができる。また、操作パネル11は、図2(b)に示すように、前後に傾斜する開閉扉3の下端よりも突出させないことで、不必要にドラム式洗濯機を大型にすることがなく、美観向上と操作性向上を図ることができる。
【0039】
図3に本実施形態のドラム式洗濯機の側面断面図を示すと、外箱1内には前面に開口部4aを有する有底筒状の水槽4が横設されている。水槽4内には有底筒状のドラム5が配されている。水槽4にはモータケース9aを介してベアリング6が一体化されている。
【0040】
ドラム5に固定される軸部5eはベアリング6に支持されて、ドラム5が回転自在になっている。軸部5eにはロータ9bが固着され、モータケース9a内にはステータ9cが固定されている。これにより、ドラム5に直結される駆動機構9が構成されている。また、駆動機構9は3相直流ブラシレスモータから成っており、制御部2によって駆動電圧が供給されて駆動されるようになっている。
【0041】
ドラム5の周壁には小孔5aが設けられている。小孔5aは洗濯時に水槽4とドラム5内との間を洗濯水が流出入できるようにしている。ドラム5の内壁面にはバッフル5bが突出して設けられ、ドラム5の回転により洗濯物を引っかけて持上げ、洗濯液中に落下させることにより洗浄が行われるようになっている。
【0042】
ドラム5の前面の開口部5cの外周縁には流体バランサー5dが設けられている。流体バランサー5dは塩水等の流体が封入されており、ドラム5の回転時に該流体が移動して洗濯物及び洗濯液の片寄りによる重心移動を打消すようになっている。流体バランサー5dはドラム5の内周縁に設けてもよい。
【0043】
ドラム5の回転軸心y−yは、水平方向に対して角度θだけドラム5の奥が下がるように傾斜されている。これにより、使用者がドラム式洗濯機の前面側に立って洗濯物を出し入れする際に、ドラム5の奥まで見通しが良くなるようになっている。
【0044】
洗濯物投入口45aと水槽4の開口部4aの周縁にはゴムや軟質樹脂等の弾性体から成るパッキン10が洗濯物を出し入れする通路を形成するように取り付けられている。開閉扉3には、ドラム5内を視認できるように透明の部材から成る窓部3aが突設されている。
【0045】
パッキン10は開閉扉3を閉じたときに内周縁10aが窓部3aの周縁に密着して通路を閉口する構造となっている。これにより、洗濯動作中の防水が行われるようになっている。また、パッキン10には蛇腹などが設けられ、水槽4の揺動に応じて撓みを生じて追従するようになっている。
【0046】
外箱1内の上部には水道管に接続された給水パイプ12が配されている。給水パイプ12の途中に設けた給水弁13を開くと、洗剤ケース14を介してドアパッキン10に取り付けられた給水ノズル15から水槽4内に給水されるようになっている。
【0047】
水槽4の底面より導出された排水ダクト16aには、糸屑フイルタ17aを内装した接続ケース17が接続され、排水ダクト16bを介して排水ポンプ18に連通している。これにより、水槽4からの洗濯液を外箱1の外部に排水する構成となっている。
【0048】
糸屑フイルタ17aは、例えば、樹脂を格子状に形成したり或いは、目の細かい繊維を袋状に形成して構成され、洗濯液中の糸屑等を集積するようになっている。そして、糸屑フイルタ17aは接続ケース17内に着脱自在に装着され、外箱1の前面下部から取り外すことができる。
【0049】
接続ケース17の上部にはエアートラップ22から導圧パイプ21を介して水位センサー23が設けられている。水位センサー23は、エアートラップ22内の圧力変化に応じて磁性体をコイル内で移動させる。その結果生じるコイルのインダクタンス変化を発振周波数の変化として検出し、水槽4内の水位を検知するようになっている。
【0050】
ドラム式洗濯機の図3と異なる側面断面を図4に示すと、接続ケース17の出口側には排水ダクト16bから分岐する循環ダクト19が設けられている。循環ダクト19は水槽4の開口部4aに臨むようにパッキン10に接続されており、経路途中に循環ポンプ20を備えている。
【0051】
そして、排水ポンプ18を停止して循環ポンプ20を駆動させると、水槽4、排水ダクト16a、接続ケース17、排水ダクト16b、循環ポンプ20及び循環ダクト19を通って水槽4に至る循環経路が形成される。これにより、水槽4内の洗濯液を循環経路を通して循環させ、該循環経路を通過させる間に洗濯液内の洗剤を充分溶解させるとともに、糸屑フイルター17aで糸屑等を除去する。従って、洗濯物に対する糸屑の再付着を防止することができる。
【0052】
更に異なる側面断面を図5に示すと、水槽4の上方には送風ファン25とヒータ26とから構成された洗濯物を乾燥するための乾燥ユニット24が設けられている。乾燥ユニット24は水槽4の開口部4aに臨む吹出し口4bと下部に設けられた循環口4cとを連結する乾燥用ダクト27の経路途中に配されている。また、乾燥用ダクト27の経路途中には冷却器29が配されている。
【0053】
上記構成のドラム式洗濯機は制御部2によって図6に示す運転チャートが実行され、洗濯動作が行われるようになっている。洗濯動作を同図を参照して以下に説明する。洗濯物投入口45aより洗濯物を投入して開閉扉3を閉じると、開閉扉3の窓部3aの周縁にパッキン10の内周縁10aが密着して水槽4が封止される。そして、洗剤ケース14に洗剤を入れ、操作パネル11を操作すると制御部2からの指令により「洗い工程」、「すすぎ工程」、「脱水工程」、「乾燥工程」から成る洗濯動作が開始される。
【0054】
まず、「洗い工程」の給水動作では、開閉扉3がロック機構部41によりロックされるとともに給水弁13が開成する。給水弁13の開成に基づいて水道水は途中で洗剤ケース14を経由して給水ノズル15から洗剤とともに水槽4とドラム5内に流れ込む。そして、水槽4内の水位が所定水位に達すると、水位センサー23が検知して給水弁13が閉じられ、駆動機構9を駆動してドラム5を所定の洗いチャートにより回転制御して所定時間だけ洗い動作が行われる。
【0055】
ドラム5の回転は、洗い、すすぎ、脱水及び乾燥工程、或いは洗濯物の種類に応じた回転速度、更には反転時間や反転周期等を変えた回転チャートが設定されており、使用者による選択或いは自動的に選択されるようにプログラムされている。
【0056】
そして、「洗い工程」が終了すると、すすぎ脱水動作と攪拌すすぎ動作を交互に複数回繰返して成る「すすぎ工程」に移行する。「すすぎ工程」では、まず、排水ポンプ18が作動して、洗濯液を排水ダクト16a、16bを介して外部に排水する排水動作が行われる。
【0057】
排水動作が終了すると、ドラム5は第1の脱水チャートで回転して、すすぎ脱水動作が行われる。洗濯物の洗濯液は脱水回転による遠心力でドラム5の周壁に設けた小孔5aを通じて水槽4の内壁へ吐出される。該内壁を伝って水槽4内の下部に流下した洗濯液は排水ダクト16a、16bを通って外部に排水される。
【0058】
このすすぎ脱水動作中に、給水弁13を開いて給水ノズル15から水槽4内に水道水を噴射してもよい。このようにすると、水道水は遠心力により洗濯物を透過して、洗濯物に残った洗剤を効率良く除去することができる。第1の脱水チャートは、ドラム回転を途中で休止したり、回転速度を変えたりすることにより、洗剤を多く含んだ洗濯液の脱水に適したチャートになっている。
【0059】
すすぎ脱水動作が終了すると、給水動作が行われ、排水ポンプ18を停止して給水弁13を再度開く。給水弁13の開成に伴って水槽4内の水位が所定水位になると給水弁13が閉じられ、駆動機構9の駆動によりドラム5がすすぎチャートで回転し、攪拌すすぎ動作が実行される。
【0060】
この攪拌すすぎ動作中に、柔軟仕上剤収納箱(図示せず)及びこれに連通するすすぎ給水経路を別途設け、このすすぎ給水経路から柔軟仕上剤とともに給水するようにしてもよい。また、洗い動作あるいは攪拌すすぎ動作中に循環ポンプ20を駆動して水槽4内の洗濯液を循環させてもよい。
【0061】
以上のすすぎ脱水動作と攪拌すすぎ動作とを数回繰返して「すすぎ工程」が終了すると、プログラムが「脱水工程」に切り替わる。「脱水工程」ではまず、給水弁13を閉じるとともに排水ポンプ18を作動させて洗濯液を外部に排水する排水動作が行われる。
【0062】
そして、ドラム5を第2の脱水チャートで回転させて仕上げ脱水動作が行われる。仕上げ脱水動作では、洗濯液を脱水回転による遠心力でドラム5の周壁に設けた小孔5aを通じて水槽4の内壁へ吐出させる。その後、洗濯液が水槽4の内壁を下部に流下し、排水ダクト16a、16bにより外部に排水される。
【0063】
「脱水工程」が終了すると、ドラム5を乾燥チャートで回転するとともに送風ファン25及びヒータ26を駆動して「乾燥工程」を実行する。「乾燥工程」では、送風ファン25の駆動によって、ドラム5内の洗濯物の水分を吸収した空気がドラム5の小孔5a、水槽4の循環口4c、乾燥用ダクト27、送風ファン25、ヒータ26を通り、吹出し口4bよりドラム5内へ循環する。
【0064】
水分を含む空気は、乾燥用ダクト27を通過中に該乾燥用ダクト27内に設けた冷却器29で冷却されることにより降温される。その結果、乾燥用ダクト27内の空気は水分の結露により除湿され、湿度の低い空気となってヒータ26に至る。
【0065】
ヒータ26で加熱された空気は温風となって吹出し口4bより水槽4内に吹き込まれ、再び洗濯物と接触して水分を吸収する。再度循環口4cから乾燥用ダクト27内に吸引されて同様に冷却器29で冷却され除湿される。この動作を繰り返すことにより洗濯物の乾燥が行われる。
【0066】
そして、ドラム5内の乾燥度を乾燥センサー(不図示)で検知し、所定値になると「乾燥工程」を終了する。この「乾燥工程」において除湿により凝縮された水分は、乾燥用ダクト27内を下降して循環口4cから排水ダクト16a、16bを介して外部に排水される。
【0067】
以上により洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程が連続で実行され、洗濯物の洗濯及び乾燥が行われる。また、操作パネル11からの設定により洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を単独で実行することも可能である。
【0068】
本実施形態のドラム式洗濯機によると、外箱1の前面を覆う中央パネル45、側方パネル46、47、下方パネル48が分割されているので、従来のように一体に形成するよりも小型の加工機によってそれぞれを形成することができる。これにより大型の加工機を必要とせず加工コストを削減できる。
【0069】
また、中央パネル45、側方パネル46、47、下方パネル48を分割し、洗濯物投入口45aを中央パネル45に形成している。そして、外箱1にはこれらを取り付けるためのアングルを設けるだけであり、中央パネル45を樹脂等で形成すると、従来、前面パネル(図30参照)の開閉扉3が配される部分を除去していたがこの必要がない。このため、材料を無駄なく使用することができ、材料コストを削減することができる。
【0070】
また、中央パネル45をネジにより前面から固定しても、側方パネル46、47により覆われるため、美観を損なうことがない。このため、中央パネル45の取付けを外箱1の内側から行う必要がなく前面から行うことができる。従って、組立てが容易で工数を削減することができる。
【0071】
図25は中央パネル45を正面から見た図である。開閉扉3に設けられる取っ手部54(図1参照)と一体に回動するロック部材(図30参照)は、洗濯物投入口45aの右上に配されるロック機構部41と孔部45d(ロック部)を介して係合する。この時、孔部45dは洗濯物投入口45aの中心Gよりも上方に配されている。
【0072】
これにより、洗濯物投入口45aの開口面積を大きくすることができ、洗濯物の出し入れを容易にするとともに、ドラム5内の見通しがよくなる。また、取っ手部54が上方に配されることになり、使用者が開閉扉3の開閉を楽な姿勢で行うことができるようになる。
【0073】
洗濯動作中には、洗濯物や洗濯水の衝突によって洗濯物投入口45aを介して開閉扉3にかかる力は平均的に洗濯物投入口45aの中心Gに働く。また、開閉扉3はヒンジ用逃げ部45bの周囲に保持されるヒンジ70(図17参照)によって枢支される。そして、開閉扉3を枢支するヒンジ70(枢支部)の下端Hと、洗濯物投入口45aの中心Gとを結ぶ線Eよりも孔部45dを下方に配している。
【0074】
これにより、洗濯動作中に開閉扉3が受ける力による開閉扉3の下方の浮き上がりを防止し、水漏れを防止することができる。尚、洗濯物投入口45aは同図の一点鎖線Kで示すように真円に形成されない場合があるが、洗濯物投入口45aの中心Gはドラム5の中心に対応する位置として考えれば良く、洗濯物投入口45aの円弧部分Fの半径の中心が相当する。
【0075】
次に、図26は第2実施形態のドラム式洗濯機の前面部分を示す分解斜視図である。説明の便宜上、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付している。本実施形態は、第1実施形態に対して中央パネル45を更に中央部45mと左右のアングル部45nとに分割している。その他の部分は第1実施形態と同様の構成である。
【0076】
中央部45mには、洗濯物投入口45aが形成されており、ネジ(不図示)が挿通されるネジ孔45qが形成される。アングル部45nには、ナット部45pが形成され、図27の断面図に示すように、ネジ孔45qを介してナット部45pをネジ57によって固定することで中央部45mとアングル部45nとが一体化されるようになっている。
【0077】
尚、アングル部45nは、中央部45mよりも高度の高い金属材料で形成する方が望ましい。これにより、中央部45mを樹脂等の安価な材料で形成でき、且つ補強保持することができる。
【0078】
前述の図17に示すように、中央部45mに設けられるヒンジ用逃げ部45bを貫通してアングル部45nにヒンジ70が取り付けられ、開閉扉3が枢支されている。また、アングル部45nには第1実施形態と同様のフック45f(図10参照)が形成され、外箱1に設けられる孔部1gと係合して前面パネル45が取り付けられる。これにより、中央部45m、アングル部45n及び開閉扉3を一体に組立てた後外箱1に掛着し、ネジ(不図示)により固定することで簡単に組立てを行うことができる。
【0079】
中央部45mには、第1実施形態と同様に側方パネル46、47のフック46a、47a(図13参照)が係合する孔部45eが形成されている。アングル部45nには、孔部45eと重なり合う部分に孔部45rが形成されている。従って、図28に示すように、側方パネル46、47は、孔部45e、45rと同時に係合して取り付けられるようになっている。
【0080】
また、中央パネル45と下方パネル48とは、図29に示すように、中央パネル45と下方パネル48とを挿通するネジ58を固定部材56に形成されるナット部(不図示)に螺合して締結されるようになっている。固定部材56は、予め中央パネル45にネジ等で固定されている。
【0081】
本実施形態によると、中央パネル45を中央部45mとアングル部45nとに分割しているので、アングル部45nの板厚を厚くしたり、アングル部45nに高強度の材料を用いることによって、開閉扉3を支える中央パネル45の強度を向上させることができる。このため、第1実施形態のように中央部45mとアングル部45nを同一部材により形成する場合に比して、低コストで強度向上を図ることができる。
【0082】
【発明の効果】
本発明によると、開閉扉を開いたときに閉じたときよりも開放側の位置が高くなるので、操作パネルとの干渉を回避するために操作パネルと開閉扉との間に隙間が設けられる。開閉扉の上端よりも操作パネルを前面に突出させることで、この隙間の目隠しをすることができ、美観を向上させることができる。また、操作キー等の入力部や表示部を上面に向けて配することで、ドラム式洗濯機の操作性を向上させることができる。また異なる色や形状で異なるデザインを容易に作成でき、多様化することができる。
【0083】
また本発明によると、開閉扉の回動軸を洗濯物投入口の傾斜に対応して上部が後方になるように傾斜し、更に、上部が外側になるように傾斜させることによって、開閉扉の上昇量を抑制して略水平に開閉扉を開くことができる。これにより、開閉扉の自重の開閉扉が閉じる方向の成分が減少し、自重による閉成を防止し、指つめ等を防止することができる。
【0084】
また本発明によると、開閉扉の開閉角度を調節し、ネジや緩衝材から成るアジャスタを設けることにより、ドラム式洗濯機をユーザー宅に設置し、開閉扉を開くと壁等に当たるような場合であっても、現地で簡単に調整して壁等との衝突を回避することができる。また、小さい子供のいる場合には開閉扉の開閉角度を調整して指つめ等を防止することがきる。
【0085】
また本発明によると、開閉扉と一体のロック部材と係合するロック部を、洗濯物投入口の中心よりも上方に配し、開閉扉の枢支部の下端と、洗濯物投入口の中心とを結ぶ線よりも下方に配している。これにより、洗濯物投入口の開口面積を大きくすることができ、洗濯物の出し入れを容易にするとともに、ドラム内の見通しをよくすることができる。更に、洗濯動作中に開閉扉が洗濯物や洗濯水の衝突によって受ける力による開閉扉の下方の浮き上がりを防止し、水漏れを防止することができる。また、開閉扉の開閉時に把持する取っ手部がロック部材と一体に回動する場合には、取っ手部が上方に配されることになり、使用者が開閉扉の開閉を楽な姿勢で行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機を示す正面図及び側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機を示す側面断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の他の切断面の側面断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の更に他の切断面の側面断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の洗濯動作を示すチャート図である。
【図7】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の外装部を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の前面の外装部を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の中央パネルの取付け状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の中央パネルのフックを示す斜視図である。
【図11】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の中央パネルのフックの係合状態を示す断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の中央パネルのフックの係合状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の側方パネルの取付け状態を示す斜視図である。
【図14】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の側方パネルの取付け状態を示す断面図である。
【図15】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機のリード線の配線状態を示す斜視図である。
【図16】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機のリード線の配線状態を示す断面図である。
【図17】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の開閉扉の取付け状態を示す斜視図である。
【図18】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機のヒンジを示す分解斜視図である。
【図19】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機のヒンジを示す組立て斜視図である。
【図20】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機のヒンジの動作を示す上面図である。
【図21】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機のヒンジのアジャスタの動作を示す上面図である。
【図22】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機のヒンジの他のアジャスタを示す上面図である。
【図23】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の開閉扉の軌跡を示す図である。
【図24】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の開閉扉を90゜開いた状態を示す側面図である。
【図25】本発明の第1実施形態のドラム式洗濯機の中央パネルを示す正面図である。
【図26】本発明の第2実施形態のドラム式洗濯機の前面の外装部を示す分解斜視図である。
【図27】本発明の第2実施形態のドラム式洗濯機の中央パネルの取付け状態を示す上面図である。
【図28】本発明の第2実施形態のドラム式洗濯機の側方パネルの取付け状態を示す上面図である。
【図29】本発明の第2実施形態のドラム式洗濯機の中央パネルの取付け状態を示す側面図である。
【図30】従来のドラム式洗濯機を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 外箱
2 制御部
3 開閉扉
4 水槽
5 ドラム
9 駆動機構
10 パッキン
11 制御パネル
12 給水パイプ
13 給水弁
16 排水ダクト
17 接続ケース
18 排水ポンプ
20 循環ポンプ
23 水位センサー
24 乾燥ユニット
25 送風ファン
26 ヒータ
27 乾燥用ダクト
28 ウエイト
41 ロック機構部
42 ロック部材
45 中央パネル
45a 洗濯物投入口
45f フック
45m 前面部
45n アングル部
46、47 側方パネル
47a、47b フック
47c 空間
48 下方パネル
51 中央部
52、53 側方部
54 取っ手部
63 リード線
70 ヒンジ
Claims (1)
- 前面に洗濯物投入口を開口し、外箱により覆われるドラム式洗濯機において、前記開閉扉の回動軸及び前記洗濯物投入口は上部が後方になるように前後方向に傾斜するとともに、前記回動軸は上部が外側になるように左右方向に傾斜して前後方向と左右方向の傾斜角度が略一致し、前面上方に配される操作パネルを前記開閉扉の上端よりも突出して設けるとともに前記操作パネルの前記開閉扉から突出した下面を面取りしたことを特徴とするドラム式洗濯機。
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