JP3871510B2 - ダクト清掃装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダクト内における付着、堆積物を除去するダクト清掃装置に関するものであり、例えば灰溶融炉の排ガスダクト内壁に付着、堆積したダストを除去するためのダクト清掃装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市ごみ等の焼却処理に伴って発生する焼却残渣等(以下、「被溶融物」という。)を、灰溶融炉を用いて溶融固化する処理方法が多く利用されている。その理由は、この溶融処理方法により、被溶融物の減容化が可能となり、最終処分場の延命化が図れることに加え、被溶融物に含まれるダイオキシン類の分解および重金属類の溶出防止などの無害化が図れるからである。この溶融処理方法において、溶融時に発生するガスは、排ガスとして、灰溶融炉のガス排出口に接続される排ガスダクトを通じて下流側へ送出される。また、この排ガス中に含まれる溶融飛灰は、下流の低温域で集塵装置により回収される。ここで、溶融飛灰(以下、単に「ダスト」という。)とは、溶融により被溶融物に含まれている低沸点の重金属類や塩化物等が揮散し、冷却固化により下流の集塵装置で捕集される粉塵のことである。
【0003】
この溶融処理方法においては、ダストを含む排ガスが排ガスダクトを経て下流側へ送出されるため、その排ガスダクトの内壁にダストが付着、堆積し、その排ガスダクトの閉塞を招き、引いては炉の運転に支障を来すという問題点がある。
【0004】
そこで、この問題点に対処するものとして、従来、図5(a)に示されるようなダクト清掃装置(以下、「従来装置」という。)100が知られている。この従来装置100は、排ガスダクト101内に突入される駆動軸105と、この駆動軸105を回転させかつその軸方向に往復動させる駆動手段(図示省略)と、その駆動軸105の一端部に設けられ排ガスダクト101の内壁に付着したダストを除去する清掃用部材106とを備えて構成されている。ここで、前記清掃用部材106は、図5(b)に示されるように、複数枚(5枚)の掻取り板107が正面視放射状に等間隔で前記駆動軸105の前端部に固定されてなるものであり、前記駆動軸105の回転時におけるそれら掻取り板107の最外軌跡が排ガスダクト101の内周よりやや小さくなるようにされている。このように構成される従来装置100が排ガスダクト101における傾斜ダクト部102の上方と、同水平ダクト部103の上流側とに設けられ、前記駆動手段により、前記駆動軸105を介して、前記清掃用部材106を傾斜ダクト部102内/水平ダクト部103内で回転させながら往復動させ、前記掻取り板107で傾斜ダクト部102/水平ダクト部103の内壁に付着したダストを掻き取るようにされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来装置100においては、付着ダストの掻き取りに伴い掻取り板107にダストが付着、成長するため、清掃用部材106を排ガスダクト101内に突入させている間、その排ガスダクト101の排ガス流通を阻害して、灰溶融炉の内圧を上昇させ、炉の運転に支障を来すという問題点がある。また、水平ダクト部103において掻き取られたダストの排出については排ガス流力を利用しているために、水平ダクト部103のダクト長が比較的長いと、その掻き取られたダストの排出が十分に行われず、水平ダクト部103内で堆積し、水平ダクト部103の閉塞を招くという問題点がある。さらに、清掃用部材106は高温の排ガス中に常に曝されているため、その熱影響による劣化、損耗が著しく、その清掃用部材106を頻繁に交換する必要があるという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、灰溶融炉の排ガスダクト内に付着したダストを確実に除去することができ、灰溶融炉内圧の上昇を抑制でき、装置寿命を延ばすことことができ、これらによって、灰溶融炉の安定した操業を図ることができるダクト清掃装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、第1発明によるダクト清掃装置は、
ダクト内に突入される駆動軸と、この駆動軸を回転させかつその軸方向に往復動させる駆動手段とを備えるダクト清掃装置において、
前記駆動軸に、その駆動軸との間に開口部を有して螺旋状に形成される掻取り羽根を設けてなり、
前記駆動軸は、外側管と内側管とからなる二重管構造とされ、その外側管とその内側管との間に仕切り板が設けられて構成され、
前記駆動軸には、前記内側管内周面、外側管内周面、仕切り板および前記駆動軸の端壁で区画形成される冷却気体供給路と、前記内側管外周面、外側管内周面および仕切り板で区画形成される冷却気体還流路とが設けられ、
前記掻取り羽根は中空状に形成されるとともに、この掻取り羽根の一端側の開口部が前記冷却気体供給路と連通され、他端側の開口部が前記冷却気体還流路と連通されることを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、前記駆動手段で前記駆動軸を回転させながらその軸方向に往復動させることにより、前記掻取り羽根をダクト内で回転させながら往復動させ、そのダクト内における付着ダストの除去、つまりダクト内の清掃作業が行われる。
【0009】
本発明によれば、ダクト内壁に付着したダストが前記掻取り羽根の回転によるせん断力を付与されて掻き取られるとともに、その掻き取られたダストが前記掻取り羽根の回転による軸方向の推進力により押進される。したがって、ダクト内壁に付着したダストを前記掻取り羽根によって順次掻き取ることができるとともに、その掻き取られたダストをその掻取り羽根によって押進しつつ搬送し、ダクト系外に排出することができる。
【0010】
また、本発明によれば、前記駆動軸にはその駆動軸との間に開口部を有して螺旋状に形成される掻取り羽根が設けられるので、この開口部によってダクト内における排ガス流通路が確保される。さらに、前記掻取り羽根に付着したダストはその掻取り羽根によって押進されるダストとの接触によるせん断作用により除去されるので、ダストが前記掻取り羽根に付着、成長して、前記開口部を塞ぐような不具合を防止することができる。したがって、ダクト内における排ガス流通路を安定して確保することができ、灰溶融炉内圧の上昇を抑制することができる。
【0011】
なお、以上述べた本発明の作用効果から、本発明のダクト清掃装置は、ダクト長が比較的短いダクトにおいて適用可能であるのは言うに及ばず、ダクト長が比較的長いダクトにおいて適用されて好適である。
【0012】
さらに、本発明によれば、前記掻取り羽根内部に冷却気体を流通させることができ、その掻取り羽根の温度を下げることができるので、ダクト内の熱影響によるその掻取り羽根の劣化、損耗などの不具合が軽減され、その掻取り羽根の寿命を延ばすことができる。また、その掻取り羽根に付着したダストが冷却固化されて剥離し易い状態になるので、前述した被押進ダストとの接触による除去作用に寄与するという効果を奏する。
【0013】
また、第1発明において、前記掻取り羽根の巻数が1乃至2巻であるのが好ましい(第2発明)。こうすることにより、駆動軸および掻取り羽根に与える駆動力の集中と節約が可能となり、清掃作業を効率良く行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるダクト清掃装置の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1には、本発明の一実施形態に係るダクト清掃装置の構成図が示されている。また、図2には、掻取り羽根の正面図(a)およびその右側面図(b)がそれぞれ示されている。また、図3には、駆動軸および掻取り羽根の縦断面図が示されている。また、図4には、付着ダストの除去動作の説明図(a)〜(c)が示されている。
【0016】
本実施形態では、図1に示されるように、灰溶融炉1が排ガスダクト2を介して下流側に配される燃焼室5と接続されている。ここで、灰溶融炉1は、アーク放電に空気や窒素等を吹き込んで発生させた高温のプラズマにより、ごみ焼却炉(図示省略)における焼却残渣などの被溶融物がその溶融点を超える高温度(1300℃〜1500℃)に加熱されて溶融されるように構成されるものである。また、排ガスダクト2は、灰溶融炉1の上方にその灰溶融炉1のガス排出口1aと連通して斜設される傾斜ダクト部3と、この傾斜ダクト部3の上部から水平に延設され、燃焼室5と接続される水平ダクト部4とから構成されている。また、燃焼室5は、排ガス中の未燃分を燃焼させるためのものであって、下部にダスト排出口5aを具備して垂直方向に延設されている。こうして、溶融時に灰溶融炉1で発生する排ガスが、ガス排出口1aから傾斜ダクト部3および水平ダクト部4を経て、燃焼室5に送入されるようになっている。なお、前記ダスト排出口5aは、後述するダスト清掃装置10によって水平ダクト部4の下流端から燃焼室5に押し出されて落下されたダストを、系外に導出するためのものである。
【0017】
また、本実施形態では、水平ダクト部4内に付着したダストを除去するためのダクト清掃装置10と、傾斜ダクト部3内に付着したダストを除去するためのダクト清掃装置10'とが設けられている。傾斜ダクト部3のためのダクト清掃装置10'は、基本的に水平ダクト部4のためのダクト清掃装置10と同様に構成されているため、以下水平ダクト部4のためのダクト清掃装置10を中心に説明する。
【0018】
このダクト清掃装置10は、水平ダクト部4内の付着ダストを除去するための掻取り羽根20と、水平ダクト部4の上流側からその水平ダクト部4内に突入され、その一端部が前記掻取り羽根20と固定される駆動軸15と、この駆動軸15を回転させかつその軸方向に往復動させる駆動装置30(本発明の駆動手段に対応)とを備えて構成されている。
【0019】
前記掻取り羽根20は、図2および図3に示されるように、断面ロの字状の中空部材で螺旋状に形成され、その掻取り羽根20の回転時における最外周面軌跡が水平ダクト部4の内周よりやや小さく、かつ内周面が駆動軸15とは所要距離h隔てるように形成されている。また、この掻取り羽根20は、その両端部20a,20bがそれぞれ径方向内側に伸びて駆動軸15に固定され、更に所要箇所が支柱21を介して駆動軸15に固定されている。こうして、掻取り羽根20と駆動軸15との間に開口部22が設けられている。なお、掻取り羽根20の巻数は1.5巻とされ、駆動軸15および掻取り羽根20に与える駆動力の集中と節約を図り、清掃作業の効率化を図っている。
【0020】
前記駆動軸15は、図3に示されるように外側管16と内側管17とからなる二重管構造とされ、その外側管16の内周面とその内側管17の外周面との間には仕切り板18が設けられて構成されている。ここで、この仕切り板18は、駆動軸15と前記掻取り羽根20の両端部20a,20bとのそれぞれの固定部の間であって、それぞれの固定部とは所要距離隔てて設けられている。こうして、駆動軸15の軸内空間には、内側管17内周面、外側管16内周面、仕切り板18および駆動軸15の端壁19で区画形成される冷却空気供給路15A(本発明の冷却気体供給路に対応)と、内側管17外周面、外側管16内周面および仕切り板18で区画形成される冷却空気還流路15B(本発明の冷却気体還流路に対応)とが設けられている。そして、前記掻取り羽根20の一端側20aの開口部がその冷却空気供給路15Aと連通され、その掻取り羽根20の他端側20bの開口部がその冷却空気還流路15Bと連通されている。また、駆動軸15の他端部側はロータリジョイント(図示省略)を介して冷却空気供給源(図示省略)と接続され、冷却空気が冷却空気供給路15Aに流通するようにされている。こうして、冷却空気供給路15Aからの冷却空気が掻取り羽根20の内部を流通し、冷却空気還流路15Bを通じて還流するようにされている。
【0021】
前記駆動装置30は、駆動軸15をその軸方向に往復動させる往復動機構と、駆動軸15をその軸周りに回転させる回転機構とを備えて構成されている。すなわち、図1に示されるように、ボールネジ31の回転により架台32上のレール33に沿って往復動するスライドテーブル34に、駆動軸15が回転可能に支持されており、往復動用モータ38によりスプロケット39a,39bおよびチェーン40を介してボールネジ31を回転させ、駆動軸15をその軸方向に往復動するようにされるとともに、回転用モータ35によりスプロケット36a,36bおよびチェーン37を介して駆動軸15をその軸周りに回転するようにされている。こうして、駆動装置30の駆動により、駆動軸15がその軸周りに回転しながらその軸方向に往復動するようにされている。
【0022】
このように構成されるダクト清掃装置10においては、掻取り羽根20が傾斜ダクト部3の一側部から水平ダクト部4の軸線方向に延設される待機位置としての筒状部4aに配備され、その待機位置から移動して水平ダクト部4内を回転しながら往復動するようにされている。
【0023】
本実施形態では、溶融時に灰溶融炉1で発生するガスは、排ガスとして、ガス排出口1aから傾斜ダクト部3および水平ダクト部4を経て燃焼室5に送入され、この燃焼室5にて未燃分が完全に燃焼される。この燃焼室5で完全燃焼された排ガスは、その後、幾つかの排ガス処理工程を経て無害化されて大気中に排出される。ここで、傾斜ダクト部3内および水平ダクト部4内を流通する排ガス中にはダストが含まれているため、そのダストが凝縮して傾斜ダクト部3および水平ダクト部4の内壁に付着、堆積する。
【0024】
このように水平ダクト部4内に付着、堆積したダストを、前述のように構成されるダクト清掃装置10により次のように除去する。
【0025】
駆動装置30により駆動軸15を介して掻取り羽根20を図4(a)中矢印R方向に回転させながら待機位置の筒状部4aから燃焼室5方向に移動させ、水平ダクト部4の内壁に付着しているダストにせん断力を付与して順次掻き取るとともに、その掻き取ったダストを押進しつつ燃焼室5に向かって搬送し(図4(b)参照)、その掻き取ったダストを燃焼室5内に排出する(図4(c)参照)。その後、その掻取り羽根20を引き戻し、待機位置の筒状部4aに帰着させる。なお、燃焼室5内に排出されたダストは、ダスト排出口5aを経て系外に排出される。こうして、水平ダクト部4内に付着、堆積したダストを確実に除去、排出することができる。
【0026】
このダストの除去動作中、水平ダクト部4を塞いで排ガス流れを阻止する恐れがある。しかしながら、本実施形態のダクト清掃装置10においては、開口部22が設けられているうえ、掻取り羽根20が冷却空気によって冷却されていることにより掻取り羽根20に付着したダストを冷却固化して剥離し易い状態にし、その冷却固化されたダストを掻取り羽根20で押進するダストとの接触により掻き落し、掻取り羽根20に付着、成長したダストによる開口部22の閉塞を防止している。こうして、排ガス流通路が安定して確保され、水平ダクト部4を塞いで排ガス流れを阻止するといった不具合を防止している。これにより、水平ダクト部4の閉塞に起因する灰溶融炉1の内圧上昇を抑制することができる。
【0027】
また、駆動軸15および掻取り羽根20は、常に高温雰囲気中に曝されているが、本実施形態のダクト清掃装置10においては、駆動軸15および掻取り羽根20が冷却空気により冷却されているので、その熱影響による劣化、損耗などの不具合が軽減され、駆動軸15および掻取り羽根20の寿命を延ばすことができる。
【0028】
本実施形態によれば、水平ダクト部4内に付着、堆積したダストを確実に除去、排出して水平ダクト部4の閉塞を防止でき、またダスト除去作業中においても排ガス流通路が安定して確保されるので、灰溶融炉1の安定した操業を図ることができる。また、装置寿命の延命化が図れ、ランニングコストが削減できる。
【0029】
本実施形態においては、灰溶融炉に接続される排ガスダクトに、本発明のダクト清掃装置が適用される例について説明したが、これに限られず、本発明は、ダクト内壁にダスト等が付着、堆積する燃焼設備やその他の設備においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るダクト清掃装置の構成図である。
【図2】図2(a)は掻取り羽根の正面図で、図2(b)は同右側面図である。
【図3】図3は、駆動軸および掻取り羽根の縦断面図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、付着ダストの除去動作の説明図である。
【図5】図5(a)は従来のダクト清掃装置の概略構成図で、図5(b)は(a)のX−X視断面図である。
【符号の説明】
1 灰溶融炉
2 排ガスダクト
3 傾斜ダクト部
4 水平ダクト部
10 ダクト清掃装置(水平ダクト部用)
10' ダクト清掃装置(傾斜ダクト部用)
15 駆動軸
15A 冷却空気供給路
15B 冷却気体還流路
20 掻取り羽根
22 開口部
30 駆動装置
Claims (2)
- ダクト内に突入される駆動軸と、この駆動軸を回転させかつその軸方向に往復動させる駆動手段とを備えるダクト清掃装置において、
前記駆動軸に、その駆動軸との間に開口部を有して螺旋状に形成される掻取り羽根を設けてなり、
前記駆動軸は、外側管と内側管とからなる二重管構造とされ、その外側管とその内側管との間に仕切り板が設けられて構成され、
前記駆動軸には、前記内側管内周面、外側管内周面、仕切り板および前記駆動軸の端壁で区画形成される冷却気体供給路と、前記内側管外周面、外側管内周面および仕切り板で区画形成される冷却気体還流路とが設けられ、
前記掻取り羽根は中空状に形成されるとともに、この掻取り羽根の一端側の開口部が前記冷却気体供給路と連通され、他端側の開口部が前記冷却気体還流路と連通されることを特徴とするダクト清掃装置。 - 前記掻取り羽根の巻数が1乃至2巻である請求項1に記載のダクト清掃装置。
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