JP3870635B2 - アルキレングリコール類の製造方法 - Google Patents
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- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルキレンオキシド類からアルキレングリコール類を製造する方法に関する。アルキレングリコール類、なかでもエチレングリコールは樹脂原料、不凍液などに用いられ、工業的に重要な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
アルキレンオキシドを水和してアルキレングリコールを製造する技術は知られている。なかでもエチレンオキシドの水和によるエチレングリコールの製造は大規模に行われている。
しかしながら、従来の技術ではアルキレングリコール以外にジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール等の好ましくない副生物が生成する。これらの副生を抑えてアルキレングリコールの選択性を高めるには、アルキレンオキシドに対し10〜20倍の水を用いる必要があり、精製工程での水の除去を考えると好ましくない。この問題を解決する手段として、各種触媒の使用による選択性の向上が検討され多数提案されている。
触媒として酸又は塩基を単独で用いることは公知であるが、選択性の改善に関しては不十分である。
特公昭60−45610号公報には、触媒としてモリブデン酸塩を用いることが、特公昭60−45611号公報には、触媒としてタングステン酸塩を用いることが、特公平01−16815号公報には、触媒としてバナジン酸塩類を用いることが、そして、特公平06−88922号公報には、触媒としてカルボン酸とカルボン酸金属塩を用いることが開示されている。
しかしながらこれらの触媒では選択性が低かったり、過剰の水を必要とするなどの問題があった。
【0003】
また、これらの触媒の活性成分を固定化する手段も、以下に示すようにいくつか提案されている。
特公昭60−56141号公報には、触媒としてハロゲンアニオンで交換された陰イオン交換樹脂と炭酸ガスを用いることが提案されている。
特公平5−47528号公報には、触媒としてモリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、バナジン酸イオンなどの金属酸化物アニオンで交換された陰イオン交換能をもつ固体支持体を用いることが提案され、この固体支持体としては陰イオン交換樹脂が用いられている。
また、EP741683号公報には、触媒として炭酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、カルボン酸イオンなどで交換された陰イオン交換能を持つ固体を用いることが提案され、固体としては陰イオン交換樹脂が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アルキレングリコールを高活性で、かつ高選択率に生成するための触媒を使用して、アルキレングリコールを製造する方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、触媒の存在下に、アルキレンオキシドと水とを反応させてアルキレングリコール類を製造するにあたり、触媒として亜セレン酸塩または亜テルル酸塩を用いるアルキレングリコール類の製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に使用する触媒は、亜セレン酸塩または亜テルル酸塩である。
亜セレン酸塩とは、亜セレン酸正塩、亜セレン酸水素塩及びこれらの混合物を指すものである。具体的には、亜セレン酸ナトリウム及び亜セレン酸カリウム等の亜セレン酸アルカリ金属塩、亜セレン酸水素ナトリウム及び亜セレン酸水素カリウム等の亜セレン酸水素アルカリ金属塩、亜セレン酸テトラメチルアンモニウム等の亜セレン酸4級アンモニウム塩、亜セレン酸水素テトラメチルアンモニム等の亜セレン酸水素4級アンモニウム塩、亜セレン酸テトラメチルホスホニウム等の亜セレン酸4級ホスホニウム塩、亜セレン酸水素テトラメチルホスホニウム等の亜セレン酸水素4級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0007】
また、上記の塩の他に、亜セレン酸または二酸化セレンと塩基とを反応させた状態で用いることもできる。この場合の塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、4級アンモニウム水酸化物、3級アミン及び4級ホスホニウム水酸化物が挙げられる。
更に、上記に示した正塩は単独で使用できるが、単独で使用する場合は反応系中で塩基性を示してしまうため、正塩と亜セレン酸水素塩、亜セレン酸及び二酸化セレンのうちの1種とを組み合わせて用いることが好ましい。
次に、亜テルル酸塩は、亜テルル酸正塩、亜テルル酸水素塩およびこれらの混合物を指すものである。具体的には、亜テルル酸ナトリウム及び亜テルル酸カリウム等の亜テルル酸アルカリ金属塩、亜テルル酸水素ナトリウム及び亜テルル酸水素カリウム等の亜テルル酸水素アルカリ金属塩、亜テルル酸テトラメチルアンモニウム等の亜テルル酸4級アンモニウム塩、亜テルル酸水素テトラメチルアンモニム等の亜テルル酸水素4級アンモニウム塩、亜テルル酸テトラメチルホスホニウム等の亜テルル酸4級ホスホニウム塩、亜テルル酸水素テトラメチルホスホニウム等の亜テルル酸水素4級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0008】
また、上記に示した他に、亜テルル酸または二酸化テルルと塩基とを反応させた状態で用いることができる。この場合の塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、4級アンモニウム水酸化物、3級アミン及び4級ホスホニウム水酸化物が挙げられる。
更に、上記に示した正塩は単独で使用できるが、単独で使用する場合は反応系中で塩基性を示すしてしまうため、正塩と亜テルル酸水素塩、亜テルル酸および二酸化テルルのうちの1種とを組み合わせて用いることが好ましい。
また、本発明で使用する触媒としては、固体陰イオン交換体を亜セレン酸塩または亜テルル酸塩の水溶液でイオン交換したものを用いることができる。固体陰イオン交換体としては、陰イオン交換樹脂及びヒドロタルサイト等が好ましく、4級アンモニウム塩型の陰イオン交換樹脂がより好ましい。その中でも、ビニル芳香族化合物の重合体を基体とし、その芳香族基に鎖長が3原子以上の連結基を介して第4級アンモニウム基が結合した構造を有する陰イオン交換樹脂が特に好ましい。
【0009】
本発明の触媒を溶液として使用する場合の亜セレン酸塩または亜テルル酸塩の使用量は、アルキレンオキシド1モルに対し0.1〜5モル%の範囲で用いることができる。また、固体陰イオン交換体を用いる場合には、亜セレン酸塩または亜テルル酸塩を適当な濃度の水溶液として、固体陰イオン交換体のアニオンが転換するように調製したものを用いればよい。
本発明の原料であるアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド等の脂肪族アルキレンオキシド、スチレンオキシド等の芳香族アルキレンオキシド等を用いることができるが、この内、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが特に好適である。
【0010】
もう一つの原料である水の使用量は、アルキレンオキシド1モルに対し、通常、1〜10モル、好ましくは1.2〜6モルの範囲で使用することができる。水の割合が1未満ではジアルキレングリコール及びトリアルキレングリコール等の副生物の生成量が増加し、アルキレングリコールの選択性が悪化する傾向があり、他方10を超える場合は、反応器もより大きなものが必要となり、また精製系で水を生成物から分離する際に多大なエネルギーを必要となる。
本発明の反応は、不活性ガスの共存下に行うこともできる。不活性ガスとしては窒素、アルゴン及びヘリウム等を用いることができる。また、反応方法は、バッチ式、セミバッチ式、連続式のいずれでもよい。反応温度は、通常、80〜200℃、好ましくは90〜170℃であり、反応圧力は、通常、0.1〜5MPa、好ましくは0.2〜2MPaの範囲で行うことができる。
【0011】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお実施例中の転化率および選択率は次式によって算出した。
【0012】
プロピレンオキシド転化率=(プロピレンオキシドの消費モル数)/(仕込みのプロピレンオキシドのモル数)×100(%)
プロピレングリコール選択率=(プロピレングリコールの生成モル数)/(プロピレンオキシドの消費モル数)×100(%)
ジプロピレングリコール選択率=(ジプロピレングリコールの生成モル数)/(プロピレンオキシドの消費モル数)×200(%)
トリプロピレングリコール選択率=(トリプロピレングリコールの生成モル数)/(プロピレンオキシドの消費モル数)×300(%)
【0013】
実施例1
SUS製の内容積30mlのオートクレーブに、触媒として亜セレン酸ナトリウム350mg(2mmol)及び亜セレン酸130mg(1mmol)を装入し、さらに水5.4g(300mmol)及びプロピレンオキシド8.7g(150mmol)を装入した。このオートクレーブを150℃の油浴に浸漬し、撹拌しながら1時間反応させた。反応温度は140℃であった。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。結果を表1に示す。
【0014】
比較例1
実施例1において、触媒を用いず反応時間を4時間とした他は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示す。
【0015】
実施例2
実施例1において、触媒として亜セレン酸ナトリウム260mg(1.5mmol)を用いた他は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示す。
【0016】
実施例3
実施例1において、触媒として亜テルル酸ナトリウム220mg(1mmol)及び二酸化テルル80mg(0.5mmol)を用いた他は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示す。
【0017】
実施例4
陰イオン交換樹脂(I)を亜セレン酸ナトリウム水溶液でイオン交換した樹脂を触媒として用いた。陰イオン交換樹脂(I)は4−クロロブチル基を有するスチレンとジビニルベンゼンとを水性媒体中で懸濁重合させて架橋共重合体とし、これにトリメチルアミンを反応させて合成したものである(交換容量1.27eq/l,水分量45.7%)。
陰イオン交換樹脂(I)の100mlをガラスカラムにつめ、亜セレン酸ナトリウムの5wt%水溶液2リットルを滴下することでイオン交換し、さらに1リットルの水で洗浄し触媒として使用した。
【0018】
【化1】
【0019】
この触媒10mlを反応管に充填し、90℃に加温、プロピレンオキシド1モルに対し水5モルを混合した溶液を毎分0.17mlの速度で流し、水和反応を行った。反応液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した。結果を表1に示す。
【0020】
実施例5
実施例4において、陰イオン交換樹脂(I)を亜テルル酸ナトリウム水溶液でイオン交換した樹脂を触媒として用いた他は、実施例4と同様な操作を行った。結果を表1に示す。
【0021】
比較例2
実施例4において、陰イオン交換樹脂(I)をモリブデン酸ナトリウム水溶液でイオン交換した樹脂を触媒として用いた他は、実施例4と同様な操作を行った。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
本発明方法による触媒を使用すると高活性で、かつ高選択的にアルキレングリコールを製造できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルキレンオキシド類からアルキレングリコール類を製造する方法に関する。アルキレングリコール類、なかでもエチレングリコールは樹脂原料、不凍液などに用いられ、工業的に重要な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
アルキレンオキシドを水和してアルキレングリコールを製造する技術は知られている。なかでもエチレンオキシドの水和によるエチレングリコールの製造は大規模に行われている。
しかしながら、従来の技術ではアルキレングリコール以外にジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール等の好ましくない副生物が生成する。これらの副生を抑えてアルキレングリコールの選択性を高めるには、アルキレンオキシドに対し10〜20倍の水を用いる必要があり、精製工程での水の除去を考えると好ましくない。この問題を解決する手段として、各種触媒の使用による選択性の向上が検討され多数提案されている。
触媒として酸又は塩基を単独で用いることは公知であるが、選択性の改善に関しては不十分である。
特公昭60−45610号公報には、触媒としてモリブデン酸塩を用いることが、特公昭60−45611号公報には、触媒としてタングステン酸塩を用いることが、特公平01−16815号公報には、触媒としてバナジン酸塩類を用いることが、そして、特公平06−88922号公報には、触媒としてカルボン酸とカルボン酸金属塩を用いることが開示されている。
しかしながらこれらの触媒では選択性が低かったり、過剰の水を必要とするなどの問題があった。
【0003】
また、これらの触媒の活性成分を固定化する手段も、以下に示すようにいくつか提案されている。
特公昭60−56141号公報には、触媒としてハロゲンアニオンで交換された陰イオン交換樹脂と炭酸ガスを用いることが提案されている。
特公平5−47528号公報には、触媒としてモリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、バナジン酸イオンなどの金属酸化物アニオンで交換された陰イオン交換能をもつ固体支持体を用いることが提案され、この固体支持体としては陰イオン交換樹脂が用いられている。
また、EP741683号公報には、触媒として炭酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、カルボン酸イオンなどで交換された陰イオン交換能を持つ固体を用いることが提案され、固体としては陰イオン交換樹脂が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アルキレングリコールを高活性で、かつ高選択率に生成するための触媒を使用して、アルキレングリコールを製造する方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、触媒の存在下に、アルキレンオキシドと水とを反応させてアルキレングリコール類を製造するにあたり、触媒として亜セレン酸塩または亜テルル酸塩を用いるアルキレングリコール類の製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に使用する触媒は、亜セレン酸塩または亜テルル酸塩である。
亜セレン酸塩とは、亜セレン酸正塩、亜セレン酸水素塩及びこれらの混合物を指すものである。具体的には、亜セレン酸ナトリウム及び亜セレン酸カリウム等の亜セレン酸アルカリ金属塩、亜セレン酸水素ナトリウム及び亜セレン酸水素カリウム等の亜セレン酸水素アルカリ金属塩、亜セレン酸テトラメチルアンモニウム等の亜セレン酸4級アンモニウム塩、亜セレン酸水素テトラメチルアンモニム等の亜セレン酸水素4級アンモニウム塩、亜セレン酸テトラメチルホスホニウム等の亜セレン酸4級ホスホニウム塩、亜セレン酸水素テトラメチルホスホニウム等の亜セレン酸水素4級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0007】
また、上記の塩の他に、亜セレン酸または二酸化セレンと塩基とを反応させた状態で用いることもできる。この場合の塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、4級アンモニウム水酸化物、3級アミン及び4級ホスホニウム水酸化物が挙げられる。
更に、上記に示した正塩は単独で使用できるが、単独で使用する場合は反応系中で塩基性を示してしまうため、正塩と亜セレン酸水素塩、亜セレン酸及び二酸化セレンのうちの1種とを組み合わせて用いることが好ましい。
次に、亜テルル酸塩は、亜テルル酸正塩、亜テルル酸水素塩およびこれらの混合物を指すものである。具体的には、亜テルル酸ナトリウム及び亜テルル酸カリウム等の亜テルル酸アルカリ金属塩、亜テルル酸水素ナトリウム及び亜テルル酸水素カリウム等の亜テルル酸水素アルカリ金属塩、亜テルル酸テトラメチルアンモニウム等の亜テルル酸4級アンモニウム塩、亜テルル酸水素テトラメチルアンモニム等の亜テルル酸水素4級アンモニウム塩、亜テルル酸テトラメチルホスホニウム等の亜テルル酸4級ホスホニウム塩、亜テルル酸水素テトラメチルホスホニウム等の亜テルル酸水素4級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0008】
また、上記に示した他に、亜テルル酸または二酸化テルルと塩基とを反応させた状態で用いることができる。この場合の塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、4級アンモニウム水酸化物、3級アミン及び4級ホスホニウム水酸化物が挙げられる。
更に、上記に示した正塩は単独で使用できるが、単独で使用する場合は反応系中で塩基性を示すしてしまうため、正塩と亜テルル酸水素塩、亜テルル酸および二酸化テルルのうちの1種とを組み合わせて用いることが好ましい。
また、本発明で使用する触媒としては、固体陰イオン交換体を亜セレン酸塩または亜テルル酸塩の水溶液でイオン交換したものを用いることができる。固体陰イオン交換体としては、陰イオン交換樹脂及びヒドロタルサイト等が好ましく、4級アンモニウム塩型の陰イオン交換樹脂がより好ましい。その中でも、ビニル芳香族化合物の重合体を基体とし、その芳香族基に鎖長が3原子以上の連結基を介して第4級アンモニウム基が結合した構造を有する陰イオン交換樹脂が特に好ましい。
【0009】
本発明の触媒を溶液として使用する場合の亜セレン酸塩または亜テルル酸塩の使用量は、アルキレンオキシド1モルに対し0.1〜5モル%の範囲で用いることができる。また、固体陰イオン交換体を用いる場合には、亜セレン酸塩または亜テルル酸塩を適当な濃度の水溶液として、固体陰イオン交換体のアニオンが転換するように調製したものを用いればよい。
本発明の原料であるアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド等の脂肪族アルキレンオキシド、スチレンオキシド等の芳香族アルキレンオキシド等を用いることができるが、この内、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが特に好適である。
【0010】
もう一つの原料である水の使用量は、アルキレンオキシド1モルに対し、通常、1〜10モル、好ましくは1.2〜6モルの範囲で使用することができる。水の割合が1未満ではジアルキレングリコール及びトリアルキレングリコール等の副生物の生成量が増加し、アルキレングリコールの選択性が悪化する傾向があり、他方10を超える場合は、反応器もより大きなものが必要となり、また精製系で水を生成物から分離する際に多大なエネルギーを必要となる。
本発明の反応は、不活性ガスの共存下に行うこともできる。不活性ガスとしては窒素、アルゴン及びヘリウム等を用いることができる。また、反応方法は、バッチ式、セミバッチ式、連続式のいずれでもよい。反応温度は、通常、80〜200℃、好ましくは90〜170℃であり、反応圧力は、通常、0.1〜5MPa、好ましくは0.2〜2MPaの範囲で行うことができる。
【0011】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお実施例中の転化率および選択率は次式によって算出した。
【0012】
プロピレンオキシド転化率=(プロピレンオキシドの消費モル数)/(仕込みのプロピレンオキシドのモル数)×100(%)
プロピレングリコール選択率=(プロピレングリコールの生成モル数)/(プロピレンオキシドの消費モル数)×100(%)
ジプロピレングリコール選択率=(ジプロピレングリコールの生成モル数)/(プロピレンオキシドの消費モル数)×200(%)
トリプロピレングリコール選択率=(トリプロピレングリコールの生成モル数)/(プロピレンオキシドの消費モル数)×300(%)
【0013】
実施例1
SUS製の内容積30mlのオートクレーブに、触媒として亜セレン酸ナトリウム350mg(2mmol)及び亜セレン酸130mg(1mmol)を装入し、さらに水5.4g(300mmol)及びプロピレンオキシド8.7g(150mmol)を装入した。このオートクレーブを150℃の油浴に浸漬し、撹拌しながら1時間反応させた。反応温度は140℃であった。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。結果を表1に示す。
【0014】
比較例1
実施例1において、触媒を用いず反応時間を4時間とした他は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示す。
【0015】
実施例2
実施例1において、触媒として亜セレン酸ナトリウム260mg(1.5mmol)を用いた他は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示す。
【0016】
実施例3
実施例1において、触媒として亜テルル酸ナトリウム220mg(1mmol)及び二酸化テルル80mg(0.5mmol)を用いた他は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示す。
【0017】
実施例4
陰イオン交換樹脂(I)を亜セレン酸ナトリウム水溶液でイオン交換した樹脂を触媒として用いた。陰イオン交換樹脂(I)は4−クロロブチル基を有するスチレンとジビニルベンゼンとを水性媒体中で懸濁重合させて架橋共重合体とし、これにトリメチルアミンを反応させて合成したものである(交換容量1.27eq/l,水分量45.7%)。
陰イオン交換樹脂(I)の100mlをガラスカラムにつめ、亜セレン酸ナトリウムの5wt%水溶液2リットルを滴下することでイオン交換し、さらに1リットルの水で洗浄し触媒として使用した。
【0018】
【化1】
【0019】
この触媒10mlを反応管に充填し、90℃に加温、プロピレンオキシド1モルに対し水5モルを混合した溶液を毎分0.17mlの速度で流し、水和反応を行った。反応液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した。結果を表1に示す。
【0020】
実施例5
実施例4において、陰イオン交換樹脂(I)を亜テルル酸ナトリウム水溶液でイオン交換した樹脂を触媒として用いた他は、実施例4と同様な操作を行った。結果を表1に示す。
【0021】
比較例2
実施例4において、陰イオン交換樹脂(I)をモリブデン酸ナトリウム水溶液でイオン交換した樹脂を触媒として用いた他は、実施例4と同様な操作を行った。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
本発明方法による触媒を使用すると高活性で、かつ高選択的にアルキレングリコールを製造できる。
Claims (4)
- 触媒の存在下に、アルキレンオキシドと水とを反応させてアルキレングリコール類を製造するにあたり、触媒として亜セレン酸塩または亜テルル酸塩を用いることを特徴とするアルキレングリコール類の製造方法。
- 触媒として、亜セレン酸塩または亜テルル酸塩の水溶液でイオン交換した陰イオン交換樹脂を用いることを特徴とする請求項1に記載のアルキレングリコール類の製造方法。
- 亜セレン酸塩が、亜セレン酸アルカリ金属塩、亜セレン酸水素アルカリ金属塩、亜セレン酸4級アンモニウム塩、亜セレン酸水素4級アンモニウム塩、亜セレン酸4級ホスホニウム塩及び亜セレン酸水素4級ホスホニウム塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルキレングリコール類の製造方法。
- 亜テルル酸塩が、亜テルル酸アルカリ金属塩、亜テルル酸水素アルカリ金属塩、亜テルル酸4級アンモニウム塩、亜テルル酸水素4級アンモニウム塩、亜テルル酸4級ホスホニウム塩及び亜テルル酸水素4級ホスホニウム塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルキレングリコール類の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP33114599A JP3870635B2 (ja) | 1999-11-22 | 1999-11-22 | アルキレングリコール類の製造方法 |
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JP33114599A JP3870635B2 (ja) | 1999-11-22 | 1999-11-22 | アルキレングリコール類の製造方法 |
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