JP3870580B2 - 電子部品の実装装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば携帯電話等の液晶表示のための液晶ディスプレイの回路末端にフレキシブル基板を加圧接合して接続するための実装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイを表示用として備えるたとえば携帯電話等では、携帯電話本体の電源やコントローラ等へディスプレイ用の液晶デバイスの配線パターンを導通させる製造が行われる。これは、液晶デバイスに予め熱圧着接合用のヒートシールを一体化しておき、導体パターンを形成したフレキシブル基板をこのヒートシールに熱圧着するというものである。ヒートシールは、液晶デバイスの回路に導通するパターンを熱溶融性の接着剤を含むシートに配置したもので、フレキシブル基板の導通パターンに重ね合わせて加熱圧着することでパターンどうしを接合できるようにしたものである。なお、ヒートシールを介さずに液晶デバイスの回路末端のパターンを直にフレキシブル基板に接続することもある。
【0003】
このようなヒートシールを介した液晶デバイスとフレキシブル基板との接合工程は、フレキシブル基板とヒートシールとをCCDカメラ等を利用した画像処理によってそれぞれを位置決めした後、ヒータ内蔵の加圧ステージ上に載せ、加圧ツールを接合面に向けて圧下するというものである。
【0004】
ところが、同一ステージで液晶デバイスとフレキシブル基板の供給工程、位置決め工程、加圧工程、接合後の排出工程の全てを実行させると、1個の製品を得るまでにかなりの時間を費やし、多量生産には適していない面がある。
【0005】
一方、図4に示すように、円形のターンテーブル51を用いて、中心角度が90°のピッチの4個のステーションとし、各ステーションで個別に操作すれば量産化が可能である。すなわち、図示のように、フレキシブル基板1を実装する供給ステーション51a,ヒートシール2aを予め一体に連結した液晶デバイス2の供給とフレキシブル基板1との位置決めのための位置決めステーション51b,フレキシブル基板1とヒートシール2aを加熱圧着する加圧ステーション51c,接合後のフレキシブル基板1と液晶デバイス2を取り出して後続のラインに流す回収ステーション51dとしてターンテーブル51を回転操作する。そして、各ステーション51a〜51dで最も時間がかかる操作に合わせてターンテーブル51を間欠的に回転させれば、この時間をサイクルとして液晶デバイス2にフレキシブル基板1を接合した製品を回収でき、製造時間の大幅な短縮が可能となる。
【0006】
このようなターンテーブル51を利用するとき、加圧ステーション51cではフレキシブル基板1とヒートシール2aとの間の圧着のための大きな圧力が加わる。したがって、加圧時にターンテーブル51が傾いたり振動を発生したりする恐れがあるので、特に位置決めステーション51bでのフレキシブル基板1と液晶デバイス2との間の位置合わせ不良を伴いやすい。
【0007】
これに対し、図5に示すようにターンテーブル51の各ステーション51a〜51dのそれぞれの位置に、フレキシブル基板1とヒートシール2aの加圧域を含む大きさの開口52を設け、加圧ステーション51cには開口52の中に差し込まれるヒータ内蔵の受けブロック53とその上方に配置したヒータ内蔵の加圧ツール54を備えれば、加圧による不都合は解消される。すなわち、加圧ステーション51cに搬送されてきたターンテーブル51上のフレキシブル基板1と液晶デバイス2に対し、受けブロック53が開口52に差し込まれてフレキシブル基板1の底面を受け、この後に加圧ツール54を下降させて加圧すれば、加圧ツール54による圧下はターンテーブル51には全く作用しない。したがって、加圧力を大きくしてフレキシブル基板1とヒートシール2aとを強固に圧着接合でき、位置決めステーション51bでの位置合わせ不良も発生しない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
フレキシブル基板1をターンテーブル51の表面に供給したとき、フレキシブル基板1の一端側は受けブロック53と加圧ツール54との間で加圧するため、開口52に含まれた部分に位置させることが必要である。この場合、フレキシブル基板1は自身の可撓性によって図6の(b)に示すように一端側が下に垂れ曲がるように変形してしまう。
【0009】
一方、位置決めステーション51bでの位置決めは、図6の(a)に示すようにターンテーブル51の下方に配置したCCDカメラ等の撮像素子55を利用し、開口52の中に臨んでいるフレキシブル基板1の認識マークを映し出して画像処理することによって行われる。しかしながら、フレキシブル基板1が垂れ曲がるように変形して開口52の中に落ち込んでいると、認識マークを正確に映し出すことができない場合がある。したがって、入力画像を画像処理してもフレキシブル基板1の液晶デバイス2に対する位置決めの精度は格段に低くなり、液晶デバイス2側との導通不良を招き、製品歩留りに大きく影響する。
【0010】
このように、量産化を図るためにはターンテーブル51を利用することが好ましいものの、加圧ステーション51cでの加圧工程に備えて開口52を開けることから、フレキシブル基板1の変形が避けられず、正確な位置決めができないという問題が新たに派生する。
【0011】
本発明において解決すべき課題は、加熱圧着工程のための開口を開けたターンテーブルを用いるものであってもフレキシブル基板の位置決めが高精度で実行でき生産性も高い電子部品の実装装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導体パターンを形成したフレキシブル基板を電子部品の回路に導通させて圧着接合するための実装装置であって、前記フレキシブル基板を供給して搭載する供給ステーションと、前記フレキシブル基板を位置決めするとともに前記電子部品の回路末端を前記フレキシブル基板の導体パターンと整合する姿勢に供給する位置決めステーションと、前記フレキシブル基板と前記電子部品の回路末端部分を加熱圧着する加圧ステーションと、一体に圧着接合された前記フレキシブル基板と電子部品とを搬出する回収ステーションとを備え、前記各ステーションに相当する位置に前記フレキシブル基板と電子部品との接合部を含む大きさの開口を設け、前記位置決めステーションには、前記フレキシブル基板の位置を撮像する撮像手段と、前記フレキシブル基板が前記開口の中に撓み変形する部分を正規の形状に復元する形状矯正手段を備えてなることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、導体パターンを形成したフレキシブル基板を電子部品の回路に導通させて圧着接合するための実装装置であって、ターンテーブルを用いて、前記フレキシブル基板を供給して搭載する供給ステーションと、前記フレキシブル基板を位置決めするとともに前記電子部品の回路末端を前記フレキシブル基板の導体パターンと整合する姿勢に供給する位置決めステーションと、前記フレキシブル基板と前記電子部品の回路末端部分を加熱圧着する加圧ステーションと、一体に圧着接合された前記フレキシブル基板と電子部品とを搬出する回収ステーションとを備え、前記ターンテーブルの前記各ステーションに相当する位置に前記フレキシブル基板と電子部品との接合部を含む大きさの開口を設け、前記位置決めステーションには、前記フレキシブル基板の位置を撮像する撮像手段と、前記ターンテーブルの上面側に配置され、前記フレキシブル基板が撓み変形した部分を含めて被さる平坦な底面形状を持ちかつ前記撓み変形した部分を負圧吸着する吸着ヘッドを備え、前記開口の下側に、前記フレキシブル基板が撓み変形した部分を前記吸着ヘッドの底面側に向けて押し上げるための空気を放出するノズルを備えてなる電子部品の実装装置であり、加圧工程のためにターンテーブルに開口を開けていても、この開口の中に垂れ下がるように変形するフレキシブル基板を形状矯正手段によって正規の形状に戻すことができ、撮像手段による位置決めに必要な画像データが確実に得られるという作用を有する。
【0016】
以下に、本発明の実施の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実装装置であってターンテーブル及びその周りの機器を示す概略斜視図、図2,図3は要部の縦断面図である。
【0017】
図1において、ターンテーブル3は図4の例と同様に中心周りの90°の角度ピッチで4個のスリット3aを開けるとともにこれらのスリット3aの縁に沿って一対のホルダブロック3bを設けたものである。そして、本実施の形態では、スリット3aとホルダブロック3bとの間の隙間によってターンテーブル3を表裏両面に貫通した開口3cを形成する。ターンテーブル3はその中心に連結した駆動軸(図示せず)をモータ等に連接し、90°の回転角度で間欠的に回転駆動される。
【0018】
スリット3a及びホルダブロック3bとによって形成される開口3cはいずれも同じ形状であって、図5に示したようにフレキシブル基板1と液晶デバイス2のヒートシール2aの接合部分の全体を含む大きさである。そして、ターンテーブル3が図示の姿勢にあるとき、それぞれの開口3cは供給ステーションA,位置決めステーションB,加圧ステーションC及び回収ステーションDの位置に設定される。なお、本実施の形態では、液晶デバイス2が電子部品に相当することは無論である。
【0019】
供給ステーションAはフレキシブル基板1がバキューム等の手段によって搬送されて位置決め搭載される部分であり、ターンテーブル3の外周側に配置した一方のホルダブロック3bの表面にフレキシブル基板1の一部が重なるようにセットされる。位置決めステーションBはフレキシブル基板1に液晶デバイス2の位置決め搭載が行われる部分であり、加圧ステーションCではターンテーブル3の下方及び上方にそれぞれ上下に移動可能に配置された受けブロック4と加圧ツール5による加熱圧着が行われる。そして、回収ステーションDでは圧着後に一体化されたフレキシブル基板1と液晶デバイス2が製品としてバキューム等によって吸着して搬送される。
【0020】
ここで、位置決めステーションBでは、搭載されたフレキシブル基板1の一端側が開口3cに被さるのでその可撓性によって下に垂れ曲がるように変形することは、すでに図6において説明した。本発明では、このような変形を矯正するために、図2に示すようにターンテーブル3の上側に吸着ヘッド6を配置するとともに下側にはブローのためのノズル7を設ける。なお、位置決めステーションBに開口3cが位置したときにその真下となる関係として、フレキシブル基板1の認識マークを撮影するためのたとえばCCDカメラを利用した撮像素子8を配置するものとする。
【0021】
吸着ヘッド6は、フレキシブル基板1の全体を覆う程度の平面形状を持ち、底面に1個または複数個の吸気孔6aを開けてこれに連なる吸気流路6bを形成しホース6cによってバキュームポンプ(図示せず)に接続したものである。また、吸着ヘッド6は図1に示すように、ターンテーブル3の軸線と平行に移動するZ軸方向ブロック6dとターンテーブル3の中心方向へ移動するX軸方向ブロック6eとに連接され、これらのブロック6d,6eの動作の合成によって、ホルダブロック3bの表面に対して昇降及び半径方向に移動可能である。
【0022】
この吸着ヘッド6を図2に示すようにフレキシブル基板1の表面に被せて吸気すれば、一点鎖線で示すように垂れ下がっているフレキシブル基板1の先端側を吸着して、曲げを矯正することができる。
【0023】
ノズル7は基端に接続したホース7aをコンプレッサ(図示せず)に連結したもので、その空気の放出方向を垂れ下がっているフレキシブル基板1の先端側の下面に向けたものである。このノズル7からの空気の放出によっても、フレキシブル基板1の先端側の曲げは上向きに矯正されて吸着ヘッド6の底面に沿う形状に整えられる。
【0024】
このように吸着ヘッド6及びノズル7を備えることによって、開口3cに一部がかかっていて垂れ下がっているフレキシブル基板1の先端側を平板状に矯正できる。このため、撮像素子8によるフレキシブル基板1の認識マークの撮影が正確に実行され、この撮影データを基にして画像処理することでフレキシブル基板1に対して液晶デバイス2は正確に位置決めされる。一方、液晶デバイス2は、画像処理後、吸着ヘッド6を上側に退避させている期間に、フレキシブル基板1に対してヒートシール2a部分を合わせて位置決め搭載される。なお、フレキシブル基板1に対する液晶デバイス2の位置決めは、ターンテーブル3の周りの適切な位置に専用の撮像素子を設けておき、フレキシブル基板1の表面に実装するときの液晶デバイス2の姿勢や位置を画像処理によってハンドリングする。
【0025】
なお、以上の位置決めにおいて、吸着ヘッド6による吸気度を十分に大きくできるものであれば、フレキシブル基板1の変形を支障なく矯正できるので、ノズル7は必ずしも必要ではない。また、ノズル7だけを設ける場合では、その空気放出流量や圧力が過大となると、フレキシブル基板1の先端側が上向きに反り変形する場合がある。したがって、フレキシブル基板1の上面を抑えるプレート材を備えておけば、同様にフレキシブル基板1の先端側を平板状に矯正することが可能である。
【0026】
このように吸気ヘッド6はフレキシブル基板1の先端側の垂れ下がりを引き上げる機能を持ち、ノズル7は持ち上げるように作用するので、両方を同時に作動させることで、フレキシブル基板1の垂れ下がりを確実に矯正できる。
【0027】
以上のフレキシブル基板1と液晶デバイス2との位置決めの後には、ターンテーブル3が90°回転し、フレキシブル基板1とヒートシール2aとが重なって被さっている開口3cが加圧ステーションCに移ることになる。
【0028】
加圧ステーションCでは、先に示したようにターンテーブル3の上方及び下方にそれぞれ受けブロック4と加圧ツール5とが配置されている。これらの受けブロック4及び加圧ツール5はいずれもヒータを内蔵して表面温度を高く維持したもので、それぞれが上下に移動する向きに駆動される。そして、図3のように受けブロック4を開口3cの中に差し込むと同時に加圧ツール5を下降させることで、これらの受けブロック4と加圧ツール5との間にフレキシブル基板1とヒートシール2aとが挟み込まれ、両者が加熱圧着される。
【0029】
この加熱圧着後には、受けブロック4と加圧ツール5とをそれぞれの待機位置に移動させ、ターンテーブル3を90°回転させて一体に接合された製品を回収ステーションDに搬送し、後続のラインへと払い出す。
【0030】
このようにフレキシブル基板1の搭載、液晶デバイス2の位置決め実装から加熱圧着及び製品の払い出しまでの4工程がターンテーブル3の間欠的な回動によって繰り返されるので、量産化に十分対応できる。
【0031】
なお、実施の形態においては、フレキシブル基板1と液晶デバイス2のそれぞれに配線パターンを導通させるためのヒートシール2aを液晶デバイス2に一体に備える例として説明した。これに代えて、ヒートシールを設けないでフレキシブル基板1と液晶デバイス2の配線パターン部分を直に重ね合わせて加熱圧着する製造も無論可能であり、このような製造においてもフレキシブル基板1の撓みの影響を受けない高精度の液晶デバイス2との接合が可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明では、ターンテーブルを用いてフレキシブル基板と液晶デバイスとの位置決め、加熱圧着及び搬出の工程を繰り返すので量産化が可能となるだけでなく、フレキシブル基板の垂れ下がりの変形を矯正して撮像素子による位置決めのための画像データが得られるので、高精度の接合が得られる。
【0033】
また、形状矯正の手段として負圧吸着を利用した吸着ヘッドを設けるものでは、空気吸引によるフレキシブル基板の強制変形となるので、表面傷の発生等がなく製品歩留りが向上する。
【0034】
更に、吸着ヘッドに加えて開口の下側にノズルを備えて空気を放出する構成としたものでは、吸着ヘッドの吸着力が不足してもこれを補ってフレキシブル基板の形状を確実に強制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実装装置の要部を示す概略斜視図
【図2】ターンテーブルの開口に対する吸着ヘッド及びノズルの位置関係を示す要部の縦断面図
【図3】加圧ステーションでの受けブロックと加圧ツールとによるフレキシブル基板と取付け基板の加熱圧着を示す要部の縦断面図
【図4】4個のステーションを設けて量産化に対応できるようにした従来のターンテーブル及び実装されるフレキシブル基板と取付け基板の配列を示す概略斜視図
【図5】図4のターンテーブルの開口を利用したフレキシブル基板と取付け基板の加熱圧着を示す概略斜視図
【図6】図4のターンテーブルの例であって、
(a)は位置決めステーションにおける撮像素子と開口の位置関係を示す斜視図
(b)は開口へのフレキシブル基板の垂れ下がり変形を示す斜視図
【符号の説明】
1 フレキシブル基板
2 液晶デバイス
2a ヒートシール
3 ターンテーブル
3a スリット
3b ホルダブロック
3c 開口
4 受けブロック
5 加圧ツール
6 吸着ヘッド
6a 吸気孔
6b 吸気流路
6c ホース
6d Z軸方向ブロック
6e X軸方向ブロック
7 ノズル
7a ホース
8 撮像素子

Claims (1)

  1. 導体パターンを形成したフレキシブル基板を電子部品の回路に導通させて圧着接合するための実装装置であって、ターンテーブルを用いて、前記フレキシブル基板を供給して搭載する供給ステーションと、前記フレキシブル基板を位置決めするとともに前記電子部品の回路末端を前記フレキシブル基板の導体パターンと整合する姿勢に供給する位置決めステーションと、前記フレキシブル基板と前記電子部品の回路末端部分を加熱圧着する加圧ステーションと、一体に圧着接合された前記フレキシブル基板と電子部品とを搬出する回収ステーションとを備え、前記ターンテーブルの前記各ステーションに相当する位置に前記フレキシブル基板と電子部品との接合部を含む大きさの開口を設け、前記位置決めステーションには、前記フレキシブル基板の位置を撮像する撮像手段と、前記ターンテーブルの上面側に配置され、前記フレキシブル基板が撓み変形した部分を含めて被さる平坦な底面形状を持ちかつ前記撓み変形した部分を負圧吸着する吸着ヘッドを備え、前記開口の下側に、前記フレキシブル基板が撓み変形した部分を前記吸着ヘッドの底面側に向けて押し上げるための空気を放出するノズルを備えてなる電子部品の実装装置。
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