JP3870526B2 - 移動体の停止位置ズレ量検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,例えばクリーンルーム等で荷物の搬送などに用いられるような移動体に搭載され,その停止位置と,基準とする停止位置とのズレを検出する移動体の停止位置ズレ量検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス工場のクリーンルーム等では,装置と装置,装置とストッカ等の間でウェーハ等の荷物を搬送し,移載アームなどにより移載を行う無人搬送車が用いられている。この種の無人搬送車では,上記移載アームなどは予め上記無人搬送車を所定の作業位置(教示位置)に停止させた状態で教示された教示データに従って作業を行う。従って,上記移載アームなどによる作業を正確に行うためには,無人搬送車の停止位置の上記教示位置からのズレに基づいて上記無人搬送車の停止位置,或いは上記教示データの内容を補正する必要があり,またそのためには上記停止位置のズレ量を正確に求めることが不可欠である。
ところで,上記のようなクリーンルーム等では,床材としてパンチング材やグレーチング材など,全面に所定のパターンで貫通孔を配した孔空き床材が用いられることが多い。そこで,床面に形成された上記パターンを利用して上記無人搬送車の停止位置ズレ量を検出する装置について,本出願人は既に特許出願を行っている(例えば特願平09−338530号,特願平9−338529号など)。上記2つの先行出願に係る無人搬送車の位置ズレ量検出装置及びその方法について,図4〜図12を用いて説明する。
まず,特願平09−338530号に係る位置ズレ量検出装置A0は,アーム付き無人搬送車21(移動体)上に搭載されており,図4に示すように,上記無人搬送車21(移動体)の上部には,先端部にハンド23を有するアーム22が搭載されている。また,上記無人搬送車21の下部中央部付近(照明等の影響を受けにくい位置)には,床面29(所定の平面)に対向するように,リング状の照明装置25を有する撮像部24(撮像手段)が固定的に設置されており,更に,画像処理部26,記憶部27,及び教示データ補正部28が設けられている。また,半導体クリーンルーム等では通常行われているように,上記床面29には,図6に示すように所定のパターンでパンチング孔31が形成されたパンチング床が敷かれている。更に該パンチング床29には,上記無人搬送車21の停止位置付近の任意の位置に,図6に示すような認識マーク30が設けられている。上記認識マーク30は,上記所定のパターンで配列されたパンチング孔31のある一箇所を特定するために設けるものであって,形状,大きさ,明るさなどの特徴により撮像画像内でただ一つに特定できるものであればよく,例えば上記パンチング孔31の間に貼り付けたマークや,床材を固定するためのネジ孔などが利用できる。
【0003】
上記各構成要素について,更に詳しく説明する。
上記アーム22には,予め,所定の作業位置に上記無人搬送車21を停止させた状態で,ウェーハ(不図示)を無人搬送車21から作業台(不図示)へ移載する動作が教示される。実際の移載作業時には,上記アーム22はその教示データに従って作業を行う。
上記撮像部24では,上記アーム22の動作教示時,及び移載作業時の所定の作業位置での停止時に,上記認識マーク30を含む上記パンチング床29の画像が撮像される。
上記画像処理部26では,上記撮像部24による撮像後,上記撮像部24から取り込まれた撮像画像に画像処理を施すことにより,上記各パンチング孔31及び上記認識マーク30の位置データ(撮像画像の局所座標系における座標値)が求められる。上記アーム22の動作教示時に得られた上記位置データは,上記記憶部27に記憶される。
上記教示データ補正部28では,移載作業時に上記無人搬送車21が停止して上記画像処理部26による処理がなされた後,上記記憶部27に予め記憶された各パンチング孔31の位置データと今回上記画像処理部26により得られた各パンチング孔31の位置データとの1対1の対応付けが上記認識マークの位置データを基準として行われ,該対応付けがなされた位置データの差に基づいて上記無人搬送車21の停止位置のズレ量が求められ,該ズレ量に基づいて上記アーム22の教示データの補正が行われる。
【0004】
以下,停止位置ズレ量検出装置A0における位置補正動作について,図5に示すフローチャートを用いて更に具体的に説明する。
まず,実際の移載作業に先立って,所定の作業位置に上記無人搬送車21を停止させた状態で,上記アーム22に対して,ウェーハ(不図示)を無人搬送車21から作業台(不図示)へ移載する動作が教示される。その際,撮像部24により,パンチング床29の画像(基準撮像画像)が撮像される(ステップS1)。
続いて,画像処理部26において,上記撮像部24から取り込まれた撮像画像(図6参照)に画像処理を施すことにより,床面の各パンチング孔31,及び認識マーク30を認識し,認識された各パンチング孔31及び認識マーク30について,撮像領域Rにおける局所座標系CS1での座標値(位置データ)が算出される(ステップS2)。上記位置データは,例えば上記パンチング孔31の中心位置など,パンチング孔の形状等に応じて最適な位置で求めることができる。
上記各パンチング孔31及び認識マーク30の認識,及び位置データの算出には,例えば画像処理で一般的に用いられているテンプレートマッチングや形状特徴量による方法を用いることができる。
【0005】
上記テンプレートマッチングによる方法とは,図7に示すように,認識マーク30及びパンチング孔31の画像をテンプレート画像として予め記憶しておき,撮像画像中で上記テンプレート画像との相関値が高い部分を抽出して認識する方法である。本実施の形態に用いたパンチング床は,各パンチング孔31が全て同じ大きさの円形に形成されているため,図7に示すようにテンプレート画像として上記パンチング孔31の単体の画像を用いることにより,撮像画像が回転角を有する場合でも,1つのテンプレート画像で,しかも上記テンプレート画像を回転させることなく,短時間でマッチング処理を行うことができ,また,多数のテンプレート画像を記憶するための記憶領域を必要としない。尚,上記パンチング孔31の大きさが数種類存在する場合でも,上記テンプレート画像をその数だけ用意することで対応可能である。
また,上記形状特徴量による方法とは,撮像画像を所定の閾値で2値化した画像から,予め設定しておいた幅,高さ,面積等の形状特徴量(図8参照)を持つ部分を抽出して認識する方法である。
上記テンプレートマッチングによる方法では,2値化画像を用いないで濃淡画像のままで処理するため,高精度の位置検出が行えるという長所が有る反面,処理のための計算量が多くなるという欠点もある。従って,認識マーク30の検出など,あまり高い位置精度が要求されない部分では上記上記形状特徴量による方法を用い,パンチング孔31の検出など,高精度が要求される部分には上記テンプレートマッチングによる方法を用いるといったように,上記2つの方法を組み合わせて用いると効果的である。
上記ステップS2で求められた教示時の位置データは記憶部27に記憶される(ステップS3)。
【0006】
次に,実際の移載作業時においては,無人搬送車21が停止した時に,撮像部24によりパンチング床29の画像(移動作業時撮像画像,図9参照)が撮像される(ステップS4)。
続いて,画像処理部26において,上記ステップS2と同様の処理が行われ,作業時の位置データが求められる(ステップS5)。続いて,上記教示データ補正部28において,上記ステップS5で求められた作業時位置データと,上記記憶部27に記憶されている教示時位置データとの1対1の対応付けが行われる(ステップS6)。上記対応付けの具体例を以下に示す。
(1) 認識マーク30の座標値を基に,教示時位置データに対応する各パンチング孔31にインデックスを付加する。例えば,図6に示すように,各行にa,b,c,…,各列にA,B,C,…,のようにそれぞれ符号をふり,行と列のそれぞれの符号の組み合わせ(aA,dB等)によりインデックスを作成する。
(2) 作業時位置データについても,上記(1)と同様のインデックスを付加する(図9参照)。
(3) 教示時と作業時とで同じインデックスが付加されたパンチング孔31を対応付ける。
【0007】
尚,以上の対応付け処理において,教示時又は作業時のいずれかの位置データにしか含まれていないパンチング孔31の位置データは無視される。即ち,教示時及び作業時の両方で位置データが算出されたパンチング孔31の位置データのみを用いて以後の処理が行われる。従って,外乱光などの影響によって作業時に一部のパンチング孔31を認識できなかった場合でも問題なく対応できる。
図10に,対応付けられた各パンチング孔31の例を示す。尚,i番目に対応付けられた教示時位置データを(Tix,Tiy),作業時位置データを(Pix,Piy)で表している。
続いて,上記教示データ補正部28において,上記ステップS6で対応付けられた各位置データの組を用いて,教示時の撮像画像と作業時の撮像画像との位置・姿勢のズレ,即ち,無人搬送車21の所定の停止位置(教示時停止位置)からの停止位置のズレが求められる(ステップS7)。具体的には,まず,i番目に対応付けられた教示時位置データ(Tix,Tiy)と作業時位置データ(Pix,Piy)の関係は,次式により表される。
【数1】
ここで,θ,dx,dyは教示時の位置データから作業時の位置データへの変換パラメータであり,θは回転角,dx,dyはそれぞれx,y方向への平行移動量である。図10に示した各位置データの組(Tix,Tiy),(Pix,Piy)を上記(1)式に適用し,最小自乗法を用いて上記θ,dx,dyを算出することにより,教示時の撮像画像と作業時の撮像画像との位置・姿勢のズレが求められる。このように,撮像画像中に存在する複数のパンチング孔31の位置データを用いて上記位置・姿勢のズレが求められるため,高精度の計測が可能となる。また,パンチング孔31の個々の位置データを用いるため,パンチング孔の位置に製造時の誤差が含まれていても,計測精度に影響を及ぼすことはない。
【0008】
続いて,上記ステップS7で求められた教示時の撮像画像と作業時の撮像画像との位置・姿勢のズレに基づいて,上記アーム22の教示データが修正される(ステップS8)。上記アーム22は,ステップS8で修正された教示データに従って移載作業を行う(ステップS9)。以後,無人搬送車21の移動の都度,上記ステップS4〜S9が繰り返される。
以上のように,この停止位置ズレ量検出装置A0では,床面上に形成されたパターンを構成する各パンチング孔31についての位置データを,教示時及び作業時の撮像画像よりそれぞれ求め,上記教示時と作業時の位置データの間で,対応する各パンチング孔31の位置データの対応付けを行い,対応する位置データの組を用いて教示時の撮像画像と作業時の撮像画像との位置・姿勢のズレが求められる。従って,多数の位置データの組を用いて位置・姿勢のズレが求められるため,高精度の計測が可能となる。また,パンチング孔31の個々の位置データを用いるため,パンチング孔の位置に製造時の誤差が含まれていても,計測精度に影響を及ぼすことはない。また,多数の位置データの組を用いて位置・姿勢のズレが求められるため,教示時又は作業時のいずれかの位置データにしか含まれていないパンチング孔31の位置データを無視し,教示時及び作業時の両方で位置データが算出されたパンチング孔31の位置データのみを用いることにより,外乱光などの影響によって作業時に一部のパンチング孔31を認識できなかった場合でも問題なく処理できる。
また,特願平9−338529号には,例えば上記無人搬送車21に搭載されている撮像部24の視野を囲むように反射板41を設けた構成が提案されている。図11に示すように,照明装置25から照射された光は,上記反射板41により,撮像部24の視野内の床面29上に集光される。これにより,従来,照明の映り込みが生じていた照明装置25の真下部分(図12参照)以外の周辺部分においても,床面で正反射した光が上記撮像部24に入射するため,撮像画像の各部の明るさが均一化される。従って,撮像画像を用いた画像処理,例えばパンチング孔31の位置データの計測等をより正確,且つ容易に行うことが可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように,停止位置ズレ量検出装置にて無人搬送車21の停止位置のズレ量が検出されると,その位置ズレ量に基づいて例えばアーム22の教示データが修正される。ここで,上記検出された位置ズレ量の精度が,例えば上記アーム22の先端部のハンド23(図4参照)の位置精度にどのような影響を与えるかについて考えてみる。
まず,検出された位置ズレ量の並進方向の誤差については,上記ハンド23の位置がどこにあろうと,その誤差がそのままハンド23の並進方向の位置に反映される。例えば,検出された位置ズレ量の並進方向の誤差が(δx,δy)であったとすると,その位置ズレ量に基づいて教示データが修正された後のハンド23の位置も,本来の教示位置から(δx,δy)だけずれたものとなる。しかしながら,上記検出された位置ズレ量の回転方向の誤差については,上記ハンド23の位置がその回転中心から離れるほど,その誤差は上記ハンド23の位置精度に大きく影響する。例えば,検出された位置ズレ量の回転方向の誤差がδθであったとすると,その回転中心から距離Lだけ離れた位置ではδθ・Lの位置ズレが生じてしまう。即ち,撮像部24の視野内では回転方向の誤差の影響が許容範囲内であっても,上記距離Lが大きくなるハンド23の位置では,その回転誤差の影響が無視できないほど大きなものとなる可能性がある。
これは,上記位置ズレ量の検出が,上記撮像部24の視野内という限られた範囲内の情報に基づいて行われていることが原因である。即ち,この限られた視野内の情報のみに基づいて位置ズレ量の検出を行う限り,上記回転誤差による影響を抑えるには自ずと限界がある。そこで,上記撮像部24の視野を拡大することが考えられるが,視野(撮像領域)が広く且つ検出精度の高い撮像部を用いることはコスト等の関係で難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,視野の広い撮像装置を用いることなく,特に位置ズレ量の回転方向の精度を向上させることが可能な移動体の停止位置ズレ量検出装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,平面上を移動する移動体の下部付近に上記平面と対向するように設置され,上記平面上の画像を撮像する撮像手段と,上記移動体を停止させて上記撮像手段により撮像した移動作業時撮像画像と予め上記移動体を所定の基準停止位置に停止させて上記撮像手段により撮像した基準撮像画像とのズレに基づいて上記移動体の停止位置のズレ量を検出するズレ量検出手段とを具備する移動体の停止位置ズレ量検出装置において,上記平面が,所定のパターンで配列された貫通孔及び該貫通孔とは別に所定の基準停止位置に配置された所定の認識マークが形成された床平面であって,上記撮像手段が,所定の位置関係で複数設置され,上記ズレ量検出手段が,上記各撮像手段でそれぞれ得られた上記貫通孔及び上記所定の認識マークを含む上記移動作業時撮像画像と上記貫通孔及び上記所定の認識マークを含む上記基準撮像画像との上記貫通孔の上記認識マークを基準とした比較により求めたズレに基づいて上記移動体の停止位置のズレ量を検出することを特徴とする移動体の停止位置ズレ量検出装置として構成されている。また,上記撮像手段の近傍に設けられた照明と,上記照明から照射された光を上記平面上の上記撮像手段の視野内に集光する反射板とを具備するように構成すれば,撮像画像の各部の明るさを均一化して照明の映り込みによる悪影響を解消することができる。
【0011】
【作用】
本発明に係る移動体の停止位置ズレ量検出装置では,複数の撮像手段でそれぞれ撮像された画像が,それら撮像手段の間の所定の位置関係に基づいて1つの撮像手段で撮像した画像と同様の処理がなされる。従って,上記複数の撮像手段の撮像領域を含む大きな視野をもつ撮像部を用いた場合と同様,より距離の離れた画像上の位置ズレを用いて車体の位置ズレ量が検出できる。しかも,画像認識の精度は低下しない。従って,視野の広い撮像手段を用いることなく,位置ズレ量の回転方向の精度を高めることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して,本発明の実施の形態及び実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る停止位置ズレ量検出装置A1及びそれを搭載する無人搬送車1の概略構成を示す模式図,図2は上記停止位置ズレ量検出装置A1による処理手順を示すフローチャート,図3は2つの撮像部2a,2bによる撮像画像とそれらの位置関係等を示す説明図である。
本実施の形態に係る停止位置ズレ量検出装置A1は,無人搬送車1上に搭載されており,図1に示すように,上記無人搬送車1の下部付近(照明等の影響を受けにくい位置)に床面10に対向するように取り付けられた2つの撮像部2a,2b,画像処理部4,記憶部5,及び位置ズレ量検出部6とで構成されている。
上記床面10上には,それぞれ識別可能なマーク8−1〜8−n,9−1〜9−nが付設されている。
また,上記床面10には,パンチング材など,所定のパターンで配列されたパンチング 孔が形成されたものが用いられている。
また,上記2つの撮像部2a,2bは,無人搬送車1の左右方向に同位置で前後方向に距離Sだけ間隔をあけて設置されており,それぞれリング状の照明装置3を具備している。上記撮像部2a,2bでは,無人搬送車1の基準位置教示時,及び移動作業時における停止時に,上記パンチング孔及び上記マークを含む上記床面10の画像が撮像される。
上記画像処理部4では,上記撮像部2a,2bによる撮像後,上記各撮像部から取り込まれた撮像画像に画像処理を施すことにより,上記パンチング孔及び上記各マークの位置データ(撮像画像の局所座標系における座標値)が求められる。無人搬送車1の基準位置教示時に得られた上記位置データは,上記記憶部5に記憶される。
上記位置ズレ量検出部6では,移動作業時に上記無人搬送車1が停止して上記画像処理部4による処理がなされた後,上記記憶部5に予め記憶された上記パンチング孔の位置データと今回上記画像処理部4により得られた上記パンチング孔の位置データとの1対1の対応付けが上記マークの位置データを基準として行われ,該対応付けがなされた位置データの差に基づいて最小自乗法などにより上記無人搬送車1の停止位置のズレ量が求められる。
上記画像処理部4,記憶部7,及び位置ズレ量検出部6によりズレ量検出手段が構成される。
【0013】
以下,停止位置ズレ量検出装置A1による無人搬送車1の位置ズレ量検出動作について,図2に示すフローチャート,及び図3を用いて更に具体的に説明する。
実際の移動作業に先立って,以下のような手順で基準停止位置の教示が行われる。
まず,所定の基準停止位置に上記無人搬送車1を停止させた状態で,撮像部2a,2bにより,床面10の画像(基準撮像画像に相当)が撮像される(ステップS11)。図3に,撮像部2a,2bによりそれぞれ撮像された撮像画像a,bの例を示す(なお,上記パンチング孔は省略)。撮像部2aにより上記パンチング孔及びマーク9−1〜9−nが,撮像部2bにより上記パンチング孔及びマーク8−1〜8−nがそれぞれ撮像されている。
続いて,画像処理部4において,上記撮像部2a,2bから取り込まれた撮像画像(図3参照)に画像処理を施すことにより上記床面10の上記パンチング孔及び各マークを認識し,認識された上記パンチング孔及び各マークについて,それぞれの撮像画像における局所座標系での座標値(位置データ)が算出される(ステップS12)。図3の例では,撮像画像a内の上記パンチング孔及びマーク9−1〜9−nについては局所座標系CSaの下で,撮像画像b内の上記パンチング孔及びマーク8−1〜8−nについては局所座標系CSbの下でそれぞれ位置データが求められる。尚,上記位置データは,例えば上記パンチング孔及び上記マークの中心位置など,上記パンチング孔及びマークの形状等に応じて最適な位置で求めることができる。また,上記パンチング孔及び上記各マークの認識,及び位置データの算出には,例えば画像処理で一般的に用いられているテンプレートマッチングや形状特徴量による方法(従来技術の欄で既に述べた)を用いることができる。
【0014】
次に,全ての上記パンチング孔及びマークの位置データを,共通の座標系の位置データに変換する(ステップS13)。例えば,一方の撮像画像上の上記パンチング孔及び各マークの位置データを,他方の撮像画像における局所座標系における座標値に変換する。ここでは,局所座標系CSaの下で求められている上記パンチング孔及びマーク9−1〜9−nの位置データを,局所座標系CSbにおける位置データに変換する。図3に示すように,2つの撮像部2a,2bの位置関係より,局所座標系CSaとCSbとは原点がy軸方向に距離Sだけ離れた位置関係にあるため,ここでは上記パンチング孔及び上記マーク9−1〜9−nの位置データに対して,y座標の値に一律にSを加算すればよい。2つの局所座標系の位置関係がx方向にもずれていたり回転している場合についても,相応の変換マトリックスを用いて変換すればよい。以上の処理を行うことにより,2つの撮像部2a,2bで撮像された上記パンチング孔及び各マークの位置データは,大きな視野をもつ1つの撮像部で撮像されたものと同等となる。
上記ステップS12で求められた位置データは記憶部5に記憶される(ステップS13)。
【0015】
次に,実際の移動作業時においても,無人搬送車1が停止した時に,その停止位置において上記ステップS11〜S13と全く同様の処理が行われる(ステップS21〜S23)。
そして,上記位置ズレ量検出部6において,記憶部5に記憶されている基準停止位置における上記パンチング孔及び各マークの位置データと上記ステップS23で求められた現在の停止位置における上記パンチング孔及び各マークの位置データとに基づいて,上記特願平09−338529号に係る位置ズレ量検出装置A0と全く同様の処理を行うことにより上記無人搬送車1の位置ズレ量が求められる(ステップS24)。具体的には,以下のようにして上記無人搬送車1の位置ズレ量が求められる。
上記マークの座標値を基に,基準位置教示時に上記撮像部2a,2bにより撮像された画像に含まれた各パンチング孔にインデックスを付加する。例えば,図6と同様に,各行にa,b,c,…,各列にA,B,C,…,のようにそれぞれ符号をふり,行と列のそれぞれの符号の組み合わせ(aA,dB等)によりインデックスを作成する。
次に,移動作業時における停止時に上記撮像部2a,2bにより撮像された画像に含まれた各パンチング孔についても,上記同様のインデックスを付加する。
そして,基準位置教示時と移動作業時における停止時とで同じインデックスが付加されたパンチング孔を対応付ける。尚,以上の対応付け処理において,基準位置教示時又は移動作業時における停止時のいずれかの位置データにしか含まれていないパンチング孔の位置データは無視される。即ち,基準位置教示時及び移動作業時における停止時の両方で位置データが算出されたパンチング孔の位置データのみを用いて以後の処理が行われる。従って,外乱光などの影響によって作業時に一部のパンチング孔を認識できなかった場合でも問題なく対応できる。ここでは,図10と同様に,i番目に対応付けられた基準位置教示時の位置データを(Tix,Tiy),移動作業時における停止時の位置データを(Pix,Piy)とする。
続いて,上記対応付けられた各位置データの組を用いて,基準位置教示時の撮像画像と移動作業時における停止時の撮像画像との位置・姿勢のズレ,即ち,無人搬送車1の所定の停止位置(教示時停止位置)からの停止位置のズレが求められる。具体的には,まず,i番目に対応付けられた基準位置教示時の位置データ(Tix,Tiy)と移動作業時における停止時の位置データ(Pix,Piy)の関係は,次式により表される。
【数2】
ここで,θ,dx,dyは教示時の位置データから作業時の位置データへの変換パラメータであり,θは回転角,dx,dyはそれぞれx,y方向への平行移動量である。上記各位置データの組(Tix,Tiy),(Pix,Piy)を上記(2)式に適用し,最小自乗法を用いて上記θ,dx,dyを算出することにより,基準位置教示時の撮像画像と移動作業時における停止位置の撮像画像との位置・姿勢のズレが求められる。このように,撮像画像中に存在する複数のパンチング孔の位置データを用いて上記位置・姿勢のズレが求められるため,高精度の計測が可能となる。また,パンチング孔の個々の位置データを用いるため,パンチング孔の位置に製造時の誤差が含まれていても,計測精度に影響を及ぼすことはない。
以上説明したように,本実施の形態に係る停止位置ズレ量検出装置A1では,所定の位置関係で設置された2つの撮像部2a,2bでそれぞれ撮像された画像中の上記パンチン グ孔及び各マークの位置データを,上記所定の位置関係に基づいて共通の座標系に変換し,該位置データに基づいて車体の位置ズレ量を検出しているため,上記2つの撮像部の撮像領域を含む大きな視野をもつ撮像部を用いた場合と同様,より距離の離れたマークの画像上の位置ズレを用いて車体の位置ズレ量が検出できる。しかも,画像認識の精度は低下しない。従って,視野の広い撮像装置を用いることなく,位置ズレ量の回転方向の精度を高めることが可能となる。
【0016】
【実施例】
上記実施の形態では,撮像部を2つ設置した例を示したが,3つ以上設置してもよいことはいうまでもない。
また,上記特願平9−338529号と同様の反射板を各撮像部の視野を囲むように設けることにより,撮像画像を用いた画像処理,例えばマークの位置データの計測等をより正確,且つ容易に行うことが可能となる。
尚,上記実施の形態及び実施例においては,無人搬送車(移動体)が床面(床平面)上を走行する場合について説明したが,上記移動体と上記平面とは無人搬送車と床面とに限られるものではない。例えば,作業台(平面)上にマークを形成し,上記作業台上を移動するロボットアームの先端(移動体)にカメラを取り付けて位置決めを行う場合や,作業装置によって取り扱うワーク自体にマークを形成し,ワークに対する作業装置の位置決めを行う場合などにも適用できる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明は,平面上を移動する移動体の下部付近に上記平面と対向するように設置され,上記平面上の画像を撮像する撮像手段と,上記移動体を停止させて上記撮像手段により撮像した移動作業時撮像画像と予め上記移動体を所定の基準停止位置に停止させて上記撮像手段により撮像した基準撮像画像とのズレに基づいて上記移動体の停止位置のズレ量を検出するズレ量検出手段とを具備する移動体の停止位置ズレ量検出装置において,上記平面が,所定のパターンで配列された貫通孔及び該貫通孔とは別に所定の基準停止位置に配置された所定の認識マークが形成された床平面であって,上記撮像手段が,所定の位置関係で複数設置され,上記ズレ量検出手段が,上記各撮像手段でそれぞれ得られた上記貫通孔及び上記所定の認識マークを含む上記移動作業時撮像画像と上記貫通孔及び上記所定の認識マークを含む上記基準撮像画像との上記貫通孔の上記認識マークを基準とした比較により求めたズレに基づいて上記移動体の停止位置のズレ量を検出することを特徴とする移動体の停止位置ズレ量検出装置として構成されているため,上記複数の撮像手段の撮像領域を含む大きな視野をもつ撮像部を用いた場合と同様,より距離の離れた画像上の位置ズレを用いて車体の位置ズレ量が検出できる。しかも,画像認識の精度は低下しない。従って,視野の広い撮像手段を用いることなく,位置ズレ量の回転方向の精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る停止位置ズレ量検出装置A1及びそれを搭載する無人搬送車1の概略構成を示す模式図。
【図2】 上記停止位置ズレ量検出装置A1による処理手順を示すフローチャート。
【図3】 2つの撮像部2a,2bによる撮像画像とそれらの位置関係等を示す説明図。
【図4】 第1の従来例に係る停止位置ズレ量検出装置A0及びそれを搭載する無人搬送車21の概略構成を示す模式図。
【図5】 上記停止位置ズレ量検出装置A0による処理手順を示すフローチャート。
【図6】 教示時の撮像画像,及び符号付けの一例を示す図。
【図7】 テンプレートマッチング処理に用いるテンプレート画像を示す図。
【図8】 形状特徴量の一例を示す図。
【図9】 作業時の撮像画像,及び符号付けの一例を示す図。
【図10】 対応付けられたパンチング孔の位置データの一例を示す図。
【図11】 第2の従来例に係る反射板41による照明25からの光の反射状態の一例を示す模式図。
【図12】 照明の映り込みのある床面撮像画像の一例を示す図。
【符号の説明】
1…無人搬送車(移動体の一例)
2a,2b…撮像部
3…照明装置
4…画像処理部
5…記憶部
6…位置ズレ量検出部
10…床面(床平面の一例)
Claims (2)
- 平面上を移動する移動体の下部付近に上記平面と対向するように設置され,上記平面上の画像を撮像する撮像手段と,上記移動体を停止させて上記撮像手段により撮像した移動作業時撮像画像と予め上記移動体を所定の基準停止位置に停止させて上記撮像手段により撮像した基準撮像画像とのズレに基づいて上記移動体の停止位置のズレ量を検出するズレ量検出手段とを具備する移動体の停止位置ズレ量検出装置において,
上記平面が,所定のパターンで配列された貫通孔及び該貫通孔とは別に所定の基準停止位置に配置された所定の認識マークが形成された床平面であって,
上記撮像手段が,所定の位置関係で複数設置され,
上記ズレ量検出手段が,上記各撮像手段でそれぞれ得られた上記貫通孔及び上記所定の認識マークを含む上記移動作業時撮像画像と上記貫通孔及び上記所定の認識マークを含む上記基準撮像画像との上記貫通孔の上記認識マークを基準とした比較により求めたズレに基づいて上記移動体の停止位置のズレ量を検出することを特徴とする移動体の停止位置ズレ量検出装置。 - 上記撮像手段の近傍に設けられた照明と,上記照明から照射された光を上記平面上の上記撮像手段の視野内に集光する反射板とを具備する請求項1記載の移動体の停止位置ズレ量検出装置。
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