JP3684799B2 - 移動体の停止位置ズレ量検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,表面に任意のパターンが形成されたパンチング材やグレーチング材などの床材が敷かれたクリーンルーム等で荷物の搬送などに用いられる移動体に搭載され,その停止位置と基準とする停止位置とのズレを検出する移動体の停止位置ズレ量検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス工場のクリーンルーム等では,装置と装置,装置とストッカ等の間でウェーハ等の荷物を搬送し,移載アームなどにより移載を行う無人搬送車が用いられている。この種の無人搬送車では,上記移載アームなどは予め上記無人搬送車を所定の作業位置(教示位置)に停止させた状態で教示された教示データに従って作業を行う。従って,上記移載アームなどによる作業を正確に行うためには,無人搬送車を上記教示位置に正確に停止させるか,或いはその停止位置の上記教示位置からのズレによって上記教示データ自体を補正するなど,上記無人搬送車の位置補正を正確に行うことが不可欠である。
ところで,上記のようなクリーンルーム等では,床材としてパンチング材やグレーチング材など,全面に所定のパターンで貫通孔を配した孔空き床材が用いられることが多い。そこで,床面に形成された上記パターンを利用して上記無人搬送車の位置の補正を行う装置について,本出願人は既に特許出願を行っている(特願平09−103301号)。上記先行出願に係る無人搬送車の位置補正装置及びその方法について,図11〜図14を用いて説明する。
【0003】
上記先行出願に係るアーム付無人搬送車A0では,図11に示すように,無人搬送車51の上部に,先端部にハンド53を有するアーム52が搭載されている。また,上記無人搬送車51の下部中央部付近(照明等の影響を受けにくい位置)には,床面59に対向するように,リング状の照明装置55を有する撮像部54が固定的に設置されており,更に,画像処理部56,記憶部57,及び教示データ補正部58が設けられている。また,半導体クリーンルーム等では通常行われているように,上記床面59には,図13に示すような所定のパターンで穿孔されたパンチング床が敷かれている。図13に示すように,該パンチング床59には,穿孔(パンチング孔)61により,直行する横枠62と縦枠63とがそれぞれ平行に複数形成されている。更に該パンチング床59には,上記無人搬送車51の停止位置付近で,且つ任意の上記横枠62と縦枠63との交差部64付近に認識マーク60が付設されている。
上記アーム52には,予め,所定の作業位置に上記無人搬送車51を停止させた状態で,ウェーハ(不図示)を無人搬送車51から作業台(不図示)へ移載する動作が教示される。実際の移載作業時には,上記アーム52はその教示データに従って作業を行う。
上記撮像部54では,上記アーム52の動作教示時,及び移載作業時の所定の作業位置での停止時に,上記認識マーク60を含む上記パンチング床59の画像が撮像される。
上記画像処理部56では,上記撮像部54による撮像後,上記撮像部54から取り込まれた撮像画像に画像処理を施すことにより,上記認識マーク60が設けられた交差部64を形成している横枠62及び縦枠63より直線H,直線Vがそれぞれ抽出され,撮像画像上の局所座標系における上記直線Hと直線Vとの交点Qの位置座標,及び回転角(以下,位置情報という)が求められる。上記アーム52の動作教示時に得られた上記位置情報は,記憶部57に記憶される。
上記教示データ補正部58では,移載作業時に上記無人搬送車51が所定の作業位置に停止して上記画像処理部56による処理がなされた後,上記記憶部57に予め記憶された上記位置情報と今回上記画像処理部56により得られた位置情報との差,即ち上記無人搬送車51の停止位置のずれ量に基づいて,上記アーム52の教示データの補正が行われる。
【0004】
以下,上記アーム付無人搬送車A0における位置補正動作について,図12に示すフローチャートを用いて具体的に説明する。
まず,実際の移載作業に先立って,所定の作業位置に上記無人搬送車51を停止させた状態で,上記アーム52に対して,ウェーハ(不図示)を無人搬送車51から作業台(不図示)へ移載する動作が教示される。その際,撮像部54により,パンチング床59の画像が撮像される(ステップS51)。続いて,画像処理部56において,上記撮像部54から取り込まれた撮像画像に画像処理を施すことにより,図13に示すように,上記認識マーク60が設けられた交差部を形成している横枠及び縦枠より直線H,直線Vがそれぞれ抽出され,撮像領域Rの局所座標系CSにおける上記交点Qの位置座標(X0 ,Y0 ),及び上記直線Hと上記局所座標系CSのX軸とのなす回転角θ0 が求められる(ステップS52)。このようにして求められた上記位置情報は記憶部57に記憶される(ステップS53)。
次に,実際の移動作業時においては,無人搬送車51が所定の作業位置に停止した時に,撮像部54により,パンチング床59の画像が撮像される(ステップS54)。続いて,画像処理部56において,上記教示時と同様,上記撮像部54から取り込まれた撮像画像に画像処理を施すことにより,図14に示すように,上記認識マーク60が設けられた交差部を形成している横枠及び縦枠より直線H,直線Vがそれぞれ抽出され,撮像領域Rの局所座標系CSにおける上記交点Qの位置座標(X1 ,Y1 ),及び上記直線Hと上記局所座標系CSのX軸とのなす回転角θ1 が求められる。
【0005】
続いて,教示データ補正部58において,上記教示時のステップS52で求められ記憶部57に記憶された位置情報(位置座標(X0 ,Y0 ),回転角θ0 )と,このステップS55で求めた位置情報(位置座標(X1 ,Y1 ),回転角θ1 )との差,即ち無人搬送車51の,教示時と作業時の停止位置のズレ量が求められ,それに基づいて上記アーム52の教示データが修正される(ステップS56)。上記アーム52は,ステップS56で補正された教示データに従って移載作業を行う(ステップS57)。以後,無人搬送車51の移動の都度,上記ステップS54〜S57が繰り返される。
以上が,上記先行出願に係る無人搬送車の位置補正装置及びその方法である。
また,上記教示時の撮像画像と上記作業時の撮像画像とのズレを求めるにあたり,上記先行出願のように上記直線Hと直線Vとの交点Qの位置座標,及び回転角を用いる以外に,例えば上記床面の画像をテンプレート画像として記憶しておき,上記テンプレート画像と上記各撮像画像とのマッチング処理を行って各撮像画像の位置と姿勢のズレを求める方法も考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが,上記先行出願に係る位置補正方法では,床面上のパターン(穿孔61)が格子状に配列していない場合のように,上記直線H,Vに相当する基準線を定義できない場合には対応できないという問題点があった。
また,上記床面上のパターンが格子状に配列している場合でも,パンチング孔61の位置は製造時の誤差を含んでおり,従って上記直線H,Vの設定精度はその誤差に左右されるため,位置補正精度が低く,また,上記認識マーク60を通る縦・横枠近傍の画像しか用いていないため,高精度化に限界があるという問題点もあった。
更に,床下に設置された照明装置などによる外乱により,注目すべき部分のパンチング孔61が認識できなくなると,位置補正動作そのものが不可能になるという問題点もあった。
また,上記テンプレート画像を用いたマッチング処理による方法では,図15に示すように,テンプレート画像と姿勢(回転角)が同じ撮像画像Aに対しては容易に検出が可能であるが,テンプレート画像と姿勢(回転角)が異なる撮像画像Bに対しては,上記テンプレート画像を少しずつ回転させながらマッチング処理を繰り返すか,或いは回転角を少しずつ変化させた多数のテンプレート画像を予めメモリに保存しておき,テンプレート画像を取り換えながらマッチング処理を繰り返す必要があった。従って,マッチング処理に膨大な時間が必要となったり,また,多数のテンプレート画像を記憶するための大きな記憶領域が必要となるといった問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,任意のパターンが形成された床面上において,外乱による影響を防止して,移動体の位置補正を高精度で行うことが可能な移動体の位置補正装置を提供することである。更には,上記位置補正においてマッチング処理を用いる場合には,少ない記憶領域を用いて,短時間で処理を行うことが可能な移動体の停止位置ズレ量検出装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,任意のパターンと所定の認識マークとが形成された床面上を移動する移動体を所定位置に停止させて上記床面の画像を撮像した移動作業時撮像画像と,予め上記移動体を所定の基準停止位置に停止させて上記床面の画像を撮像した基準撮像画像とのズレを,それぞれの撮像画像上の上記任意のパターンの上記認識マークを基準とした比較により求め,上記ズレに基づいて上記移動体の停止位置のズレ量を検出する移動体の停止位置ズレ量検出装置において,上記基準撮像画像から,上記任意のパターンを構成する複数の形態部と上記認識マークとの上記基準撮像画像上での位置データを取得する基準位置データ取得手段と,上記移動作業時撮像画像から,上記複数の形態部と上記認識マークとの上記移動作業時撮像画像上での位置データを取得する移動作業時位置データ取得手段と,上記複数の形態部に,上記各撮像画像上でそれぞれ上記認識マークを基準とした共通の符号付けを行う符号付け手段と,上記符号付け手段で得られた上記複数の形態部の符号に基づいて,上記各撮像画像間での上記複数の形態部の1対1の対応付けを行う対応付け手段と,上記対応付け手段で対応付けされた上記複数の形態部の各組について,上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段により得られた位置データの差を求め,上記各組における上記位置データの差に基づいて上記各撮像画像間のズレを求めるズレ算出手段とを具備してなることを特徴とする移動体の停止位置ズレ量検出装置として構成されている。
【0008】
更に,上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段で得られた上記形態部の位置データから所定数の位置データを選択し,該選択された位置データに対応する形態部のみについて上記対応付け手段による対応付けを行うようにすれば,一定以上の精度を保ちながら処理の高速化やメモリ容量の削減が可能である。
或いは,上記移動作業時位置データ取得手段を,上記複数の形態部の概略の位置データを取得する概略位置データ取得手段と,上記概略位置データ取得手段で取得された概略位置データの中から所定数の位置データを選択する概略位置データ選択手段と,上記概略位置データ選択手段で選択された概略位置データに対応する上記形態部についての詳細な位置データを取得する詳細位置データ取得手段とを具備するように構成すれば,更なる処理の高速化やメモリ容量の削減が可能である。
また,上記任意のパターンが上記複数の形態部の規則的な配列により構成される場合には,上記符号付け手段を,上記各撮像画像上での上記認識マークを基準として,上記複数の形態部の上記配列の規則性に基づく符号付けを行うように構成することにより容易且つ確実な符号付けが可能となる。
一方,例えば上記任意のパターンが上記複数の形態部の不規則な配列により構成される場合には,上記のような符号付け方法は用いられないため,上記基準撮像画像上で上記認識マークを起点として上記複数の形態部を順に結んだベクトルに基づいて上記基準撮像画像上での各形態部の符号付けを行い,上記移動作業時撮像画像上で上記認識マークを起点として上記ベクトルに従って上記基準撮像画像と共通の符号付けを行うようにすれば対応可能である。
【0009】
また,上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段において,所定のテンプレート画像と上記複数の形態部及び上記認識マークの画像とのマッチング処理により上記複数の形態部及び上記認識マークを認識し,上記各撮像画像上での位置データを取得するようにすれば,高精度な位置データの取得が可能となる。その際,上記任意のパターンを構成する複数の形態部がそれぞれ同一の円形に形成される場合には,上記所定のテンプレート画像として上記円形形態部の単体の画像を用いることにより,テンプレート画像と各撮像画像との間の姿勢角のズレに関係なく,高速でしかも使用メモリが少ないマッチング処理が可能となる。
また,上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段において,各撮像画像を所定の閾値で2値化した2値化画像から,予め設定しておいた形状特徴量を持つ部分を抽出することにより上記複数の形態部及び上記認識マークを認識し,上記各撮像画像上での位置データを取得するようにすれば,精度は上記マッチング処理に及ばないものの,処理速度の高速化が可能である。
尚,上記任意のパターンを構成する上記形態部のうち,1又は2以上の形態部が上記認識マークとして特定可能であれば,該形態部を基準として上記符号付け手段による処理を行うことが可能である。
尚,上記任意のパターンと所定の認識マークとは,必ずしも床面上に形成されている場合だけではなく,上記移動体が移動する平面上,例えば作業台上に形成される場合も考えられる。
【0010】
【作用】
本発明に係る移動体の停止位置ズレ量検出装置では,予め,移動体を所定の基準停止位置に停止させた状態で,任意のパターンと所定の認識マークとの画像を含む床面の画像(基準撮像画像)が撮像される。上記基準撮像画像は,基準位置データ取得手段により所定の画像処理が施され,上記任意のパターンを構成する複数の形態部と上記認識マークとの上記基準撮像画像上での位置データが算出される。この時,上記基準位置データ取得手段により,所定のテンプレート画像と上記複数の形態部及び上記認識マークの画像とのマッチング処理により上記複数の形態部及び上記認識マークを認識し,位置データを取得するようにすれば,高精度な位置データの取得が可能となる。その際,上記任意のパターンを構成する複数の形態部がそれぞれ同一の円形に形成される場合には,上記所定のテンプレート画像として上記円形形態部の単体の画像を用いることにより,テンプレート画像と各撮像画像との間の姿勢角のズレに関係なく,高速でしかも使用メモリが少ないマッチング処理が可能となる。尚,上記基準位置データ取得手段において,各撮像画像を所定の閾値で2値化した2値化画像から,予め設定しておいた形状特徴量を持つ部分を抽出することにより上記複数の形態部及び上記認識マークを認識し,位置データを取得するようにすれば,精度は上記マッチング処理に及ばないものの,処理速度の高速化が可能である。
【0011】
続いて,符号付け手段により,上記基準撮像画像上の各形態部に対して,上記認識マークを基準とした符号付けが行われる。
一方,実際の移動作業時においては,移動体を停止させた状態で,上記任意のパターンと所定の認識マークとの画像を含む床面の画像(移動作業時撮像画像)が撮像される。上記移動作業時撮像画像は,上記基準撮像画像と同様,移動作業時位置データ取得手段により所定の画像処理が施され,上記複数の形態部と上記認識マークとの上記基準撮像画像上での位置データが算出される。そして,符号付け手段により,上記移動作業時撮像画像上の各形態部に対して,上記認識マークを基準として,上記基準撮像画像と共通の符号付けが行われる。ここで,上記移動作業時位置データ取得手段で得られた上記形態部の位置データから所定数の位置データを選択し,該選択された位置データに対応する形態部のみについて上記対応付け手段による対応付けを行うようにすれば,一定以上の精度を保ちながら処理の高速化やメモリ容量の削減が可能となる。或いは,上記移動作業時位置データ取得手段による処理を,まず概略位置データ取得手段によって上記複数の形態部の概略の位置データを取得し,概略位置データ選択手段によって上記概略位置データの中から所定数の位置データを選択し,詳細位置データ取得手段によって,上記概略位置データ選択手段で選択された概略位置データに対応する上記形態部のみについての詳細な位置データを取得するようにすれば,更なる処理の高速化やメモリ容量の削減が可能となる。
【0012】
また,上記任意のパターンが上記複数の形態部の規則的な配列により構成される場合には,上記符号付け手段により,上記各撮像画像上での上記認識マークを基準として,上記複数の形態部の上記配列の規則性に基づく符号付けが行われる。これにより,容易且つ確実な符号付けが可能となる。一方,例えば上記任意のパターンが上記複数の形態部の不規則な配列により構成される場合には,上記のような符号付け方法は用いられないため,上記基準撮像画像上で上記認識マークを起点として上記複数の形態部を順に結んだベクトルに基づいて上記基準撮像画像上での各形態部の符号付けを行い,上記移動作業時撮像画像上で上記認識マークを起点として上記ベクトルに従って上記基準撮像画像と共通の符号付けを行うようにすれば対応可能である。
続いて,対応付け手段により,上記符号付け手段でふられた符号に基づいて,
上記各撮像画像間での上記複数の形態部の1対1の対応付けが行われ,形態部の組が作成される。この時,両方の撮像画像において位置データが得られた形態部についてのみ対応付けが行われるため,外乱光などの影響によって移動作業時に一部の形態部を認識できなかった場合でも問題なく処理できる。続いて,ズレ算出手段により,上記対応付け手段で対応付けされた上記形態部の各組について,
上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段により得られた位置データの差が求められ,上記各組における上記位置データの差に基づいて,例えば最小自乗法等を用いて上記各撮像画像間のズレが求められる。そして,求められた上記各撮像画像間のズレに基づいて,上記移動体の停止位置のズレ量が検出される。
以上のように,多数の位置データの組を用いて位置・姿勢のズレが求められることにより,高精度の計測が可能となる。また,上記各形態部の個々の位置データを用いるため,上記形態部の位置に製造時の誤差が含まれていても,計測精度に影響を及ぼすことはない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して,本発明の実施の形態及び実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る停止位置ズレ量検出装置を搭載する無人搬送車A1の概略構成を示す模式図,図2は上記停止位置ズレ量検出装置による処理手順を示すフローチャート,図3は教示時の撮像画像,及び符号付けの一例を示す図,図4はテンプレートマッチング処理に用いるテンプレート画像を示す図,図5は形状特徴量の一例を示す図,図6は作業時の撮像画像,及び符号付けの一例を示す図,図7は対応付けられたパンチング孔の位置データの一例を示す図,図8は実施例2に係るステップS5の処理手順を示すフローチャート,図9は実施例3に係るパンチング孔の配列に規則性がない場合の対応付け処理の説明図,図10は実施例4に係る特定のパンチング孔を認識マークとして用いる場合の説明図である。
本実施の形態では,上記従来の技術と同様,半導体クリーンルーム内において,半導体製造装置間,或いは半導体製造装置−ストッカ間でウェーハの搬送,及び移載を行うアーム付無人搬送車A1を例にあげて説明する。
上記アーム付無人搬送車A1では,図1に示すように,無人搬送車1(移動体の一例)の上部に,先端部にハンド3を有するアーム2が搭載されている。また,上記無人搬送車1の下部中央部付近(照明等の影響を受けにくい位置)には,床面9(所定の平面の一例)に対向するように,リング状の照明装置5を有する撮像部4が固定的に設置されており,更に,画像処理部6(基準位置データ取得手段,移動作業時位置データ取得手段,及び符号付け手段に相当),記憶部7,及び教示データ補正部8(対応付け手段,及びズレ算出手段に相当)が設けられている。また,半導体クリーンルーム等では通常行われているように,上記床面9には,図3に示すように所定のパターンでパンチング孔11(所定の形態部に相当)が形成されたパンチング床が敷かれている。更に該パンチング床9には,上記無人搬送車1の停止位置付近の任意の位置に,図3に示すような認識マーク10が設けられている。上記認識マーク10は,上記所定のパターンで配列されたパンチング孔11のある一箇所を特定するために設けるものであって,形状,大きさ,明るさなどの特徴により撮像画像内でただ一つに特定できるものであればよく,例えば上記パンチング孔11の間に貼り付けたマークや,床材を固定するためのネジ孔などが利用できる。
【0014】
上記各構成要素について,更に詳しく説明する。
上記アーム2には,予め,所定の作業位置に上記無人搬送車1を停止させた状態で,ウェーハ(不図示)を無人搬送車1から作業台(不図示)へ移載する動作が教示される。実際の移載作業時には,上記アーム2はその教示データに従って作業を行う。
上記撮像部4では,上記アーム2の動作教示時,及び移載作業時の所定の作業位置での停止時に,上記認識マーク10を含む上記パンチング床9の画像が撮像される。
上記画像処理部6では,上記撮像部4による撮像後,上記撮像部4から取り込まれた撮像画像に画像処理を施すことにより,上記各パンチング孔11及び上記認識マーク10の位置データ(撮像画像の局所座標系における座標値)が求められる。上記アーム2の動作教示時に得られた上記位置データは,上記記憶部7に記憶される。
上記教示データ補正部8では,移載作業時に上記無人搬送車1が停止して上記画像処理部6による処理がなされた後,上記記憶部7に予め記憶された各パンチング孔11の位置データと今回上記画像処理部6により得られた各パンチング孔11の位置データとの1対1の対応付けが上記認識マークの位置データを基準として行われ,該対応付けがなされた位置データの差に基づいて上記無人搬送車1の停止位置のズレ量が求められ,該ズレ量に基づいて上記アーム2の教示データの補正が行われる。
【0015】
以下,アーム付無人搬送車A1における位置補正動作について,図2に示すフローチャートを用いて更に具体的に説明する。
まず,実際の移載作業に先立って,所定の作業位置に上記無人搬送車1を停止させた状態で,上記アーム2に対して,ウェーハ(不図示)を無人搬送車1から作業台(不図示)へ移載する動作が教示される。その際,撮像部4により,パンチング床9の画像(基準撮像画像に相当)が撮像される(ステップS1)。
続いて,画像処理部6において,上記撮像部4から取り込まれた撮像画像(図3参照)に画像処理を施すことにより,床面の各パンチング孔11,及び認識マーク10を認識し,認識された各パンチング孔11及び認識マーク10について,撮像領域Rにおける局所座標系CS1での座標値(位置データ)が算出される(ステップS2)。上記位置データは,例えば上記パンチング孔11の中心位置など,パンチング孔の形状等に応じて最適な位置で求めることができる。
上記各パンチング孔11及び認識マーク10の認識,及び位置データの算出には,例えば画像処理で一般的に用いられているテンプレートマッチングや形状特徴量による方法を用いることができる。
上記テンプレートマッチングによる方法とは,図4に示すように,認識マーク10及びパンチング孔11の画像をテンプレート画像として予め記憶しておき,撮像画像中で上記テンプレート画像との相関値が高い部分を抽出して認識する方法である。本実施の形態に用いたパンチング床は,各パンチング孔11が全て同じ大きさの円形に形成されているため,図4に示すようにテンプレート画像として上記パンチング孔11の単体の画像を用いることにより,撮像画像が回転角を有する場合でも,1つのテンプレート画像で,しかも上記テンプレート画像を回転させることなく,短時間でマッチング処理を行うことができ,また,多数のテンプレート画像を記憶するための記憶領域を必要としない。尚,上記パンチング孔11の大きさが数種類存在する場合でも,上記テンプレート画像をその数だけ用意することで対応可能である。
【0016】
また,上記形状特徴量による方法とは,撮像画像を所定の閾値で2値化した画像から,予め設定しておいた幅,高さ,面積等の形状特徴量(図5参照)を持つ部分を抽出して認識する方法である。
上記テンプレートマッチングによる方法では,2値化画像を用いないで濃淡画像のままで処理するため,高精度の位置検出が行えるという長所が有る反面,処理のための計算量が多くなるという欠点もある。従って,認識マーク10の検出など,あまり高い位置精度が要求されない部分では上記上記形状特徴量による方法を用い,パンチング孔11の検出など,高精度が要求される部分には上記テンプレートマッチングによる方法を用いるといったように,上記2つの方法を組み合わせて用いると効果的である。
上記ステップS2で求められた教示時の位置データは記憶部7に記憶される(ステップS3)。
【0017】
次に,実際の移載作業時においては,無人搬送車1が停止した時に,撮像部4によりパンチング床9の画像(移動作業時撮像画像に相当,図6参照)が撮像される(ステップS4)。続いて,画像処理部6において,上記ステップS2と同様の処理が行われ,作業時の位置データが求められる(ステップS5)。
続いて,上記教示データ補正部8において,上記ステップS5で求められた作業時位置データと,上記記憶部7に記憶されている教示時位置データとの1対1の対応付けが行われる(ステップS6)。上記対応付けの具体例を以下に示す。
▲1▼ 認識マーク10の座標値を基に,教示時位置データに対応する各パンチング孔11にインデックスを付加する。例えば,図3に示すように,各行にa,b,c,…,各列にA,B,C,…,のようにそれぞれ符号をふり,行と列のそれぞれの符号の組み合わせ(aA,dB等)によりインデックスを作成する。
▲2▼ 作業時位置データについても,上記▲1▼と同様のインデックスを付加する(図6参照)。
▲3▼ 教示時と作業時とで同じインデックスが付加されたパンチング孔11を対応付ける。
尚,以上の対応付け処理において,教示時又は作業時のいずれかの位置データにしか含まれていないパンチング孔11の位置データは無視される。即ち,教示時及び作業時の両方で位置データが算出されたパンチング孔11の位置データのみを用いて以後の処理が行われる。従って,外乱光などの影響によって作業時に一部のパンチング孔11を認識できなかった場合でも問題なく対応できる。
図7に,対応付けられた各パンチング孔11の例を示す。尚,i番目に対応付けられた教示時位置データを(Tix,Tiy),作業時位置データを(Pix,Piy)で表している。
【0018】
続いて,上記教示データ補正部8において,上記ステップS6で対応付けられた各位置データの組を用いて,教示時の撮像画像と作業時の撮像画像との位置・姿勢のズレ,即ち,無人搬送車A1の所定の停止位置(教示時停止位置)からの停止位置のズレが求められる(ステップS7)。具体的には,まず,i番目に対応付けられた教示時位置データ(Tix,Tiy)と作業時位置データ(Pix,Piy)の関係は,次式により表される。
【数1】
ここで,θ,dx,dyは教示時の位置データから作業時の位置データへの変換パラメータであり,θは回転角,dx,dyはそれぞれx,y方向への平行移動量である。図7に示した各位置データの組(Tix,Tiy),(Pix,Piy)を上記(1)式に適用し,最小自乗法を用いて上記θ,dx,dyを算出することにより,教示時の撮像画像と作業時の撮像画像との位置・姿勢のズレが求められる。このように,撮像画像中に存在する複数のパンチング孔11の位置データを用いて上記位置・姿勢のズレが求められるため,高精度の計測が可能となる。また,パンチング孔11の個々の位置データを用いるため,パンチング孔の位置に製造時の誤差が含まれていても,計測精度に影響を及ぼすことはない。
続いて,上記ステップS7で求められた教示時の撮像画像と作業時の撮像画像との位置・姿勢のズレに基づいて,上記アーム2の教示データが修正される(ステップS8)。上記アーム2は,ステップS8で修正された教示データに従って移載作業を行う(ステップS9)。以後,無人搬送車1の移動の都度,上記ステップS4〜S9が繰り返される。
【0019】
以上説明したように,本実施の形態に係るアーム付無人搬送車A1では,床面上に形成されたパターンを構成する各パンチング孔11についての位置データを,教示時及び作業時の撮像画像よりそれぞれ求め,上記教示時と作業時の位置データの間で,対応する各パンチング孔11の位置データの対応付けを行い,対応する位置データの組を用いて教示時の撮像画像と作業時の撮像画像との位置・姿勢のズレが求められる。従って,多数の位置データの組を用いて位置・姿勢のズレが求められるため,高精度の計測が可能となる。また,パンチング孔11の個々の位置データを用いるため,パンチング孔の位置に製造時の誤差が含まれていても,計測精度に影響を及ぼすことはない。また,多数の位置データの組を用いて位置・姿勢のズレが求められるため,教示時又は作業時のいずれかの位置データにしか含まれていないパンチング孔11の位置データを無視し,教示時及び作業時の両方で位置データが算出されたパンチング孔11の位置データのみを用いることにより,外乱光などの影響によって作業時に一部のパンチング孔11を認識できなかった場合でも問題なく処理できる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
上記実施の形態に係るアーム付無人搬送車A1における位置補正動作においては,教示時,作業時における個々のパンチング孔の位置データの検出精度δと,対応付けされた上記位置データの組の数nとが,精度を決める大きな要素となる。上記nが多いほど精度は高くなるが,多すぎると対応付け処理(上記ステップS6)や位置・姿勢のズレ量の計算(上記ステップS7)における処理時間や,処理に必要なメモリ容量が増大するという問題がある。そこで,作業時位置データの算出(上記ステップS5)の後で,得られた位置データの選別を行い,以降の処理に用いる位置データの数を適切な数に制限すれば,高精度を維持しつつ,処理時間や使用メモリの増大を抑えることができる。この場合,選別後のデータ数は,位置・姿勢のズレ量の計算(上記ステップS7)で要求される誤差から算出することができる。即ち,位置・姿勢のズレ量の計算誤差Δは,概ね,
【数2】
となることが,統計的,実験的に確かめられているため,上記Δの許容最大値をΔm,選別後のデータ数をn′とすると,n′は次式により求めることができる。
n′>(δ/Δm)2 … (3)
上記n′個の位置データは,上記ステップS5で算出された位置データの中からランダムに選別してもよいが,位置・姿勢のズレ量の計算(上記ステップS7)に適した位置データを優先的に抽出すれば更に効果的である。例えば,撮像領域P(図6参照)の外周付近のデータを優先的に選択すれば,姿勢角θに対する精度が向上する。
【0021】
(実施例2)
上記実施例1では,作業時位置データの算出(上記ステップS5)の後で位置データの選別を行うようにしたが,位置データの選別処理を上記ステップS5の処理の途中で行うようにすれば,処理時間や使用メモリの削減効果を更に大きくすることができる。例えば,上記ステップS5の処理を,概略の位置データを算出する処理と詳細な位置データを算出する処理とに分割し,それらの処理の間にデータの選別処理を行う。図8に示すフローチャートを用いて具体的に説明する。
ステップS4において床面の画像が撮像された後,まず撮像画像に対して間引きや平均化の処理を行って画像データの縮小を行い,縮小された画像データから各パンチング孔11を認識して概略の位置データを算出する(ステップS5a)。例えば,縮小によって画像の縦横の画素数を1/mに削減したとすると,処理時間はほぼ1/m4 (テンプレートマッチングによる場合),或いは1/m2 (形状特徴量による場合)と大きく削減できる。その後,上記実施例1で説明したような位置データの選別処理を行い(ステップS10),選別された位置データに対応するパンチング孔11近傍について,上記縮小処理を行っていない画像データを用いて詳細な位置データを算出する(ステップS5b)。
以上の処理により,高精度を維持しつつ,処理時間や使用メモリの増大を更に抑えることができる。
【0022】
(実施例3)
上記実施の形態では,ステップS2の対応付け処理において,認識マーク10の座標値を基にして各パンチング孔11にインデックスを付加し,教示時と作業時とで同じインデックスが付加されたパンチング孔11を対応付けしている。ところが,この方法は各パンチング孔11が縦横に規則的に並んでいる場合にしか適用できない。そこで,各パンチング孔11の配列に規則性がない場合にも適用できる対応付け処理の手順を,図9を用いて説明する。
▲1▼ 教示時の各パンチング孔11の位置データを認識マークMtに近い順に並びかえる(図9(a)参照)。
▲2▼ 教示時位置データについて,認識マークMtに最も近いパンチング孔11の位置データを選び,起点Tsとする。
▲3▼ 認識マークMtから起点TsへのベクトルをV0とする。
▲4▼ 作業時の位置データについて(図9(b)),認識マークMpから上記ベクトルV0の分だけ延ばした位置付近にある位置データを探索し,これを起点Psとする。この時,探索範囲を半径r0の範囲内とし,この範囲に位置データが1つであれば,それを起点Psとする。上記探索範囲内に対応する位置データが無いときは,上記▲2▼に戻り,次に近い位置データを新たな起点Tsとして上記▲3▼,▲4▼の処理を行う。これを,起点Psが決まるまで繰り返す。
▲5▼ 教示時位置データについて,起点Tsからその他の位置データTiへのベクトルをViとする(図9(a)参照)。
▲6▼ 作業時位置データについて(図9(b)),上記起点Psから上記ベクトルViの分だけ延ばした位置付近で,探索範囲を半径rpとして上記Tiに対応する位置データPiを探索する。Piが見つかれば,TiとPiの位置データが対応付けされる。以上の処理を,全てのTiについて繰り返す。
以上の処理は,教示時と作業時でパンチング床と無人搬送車の位置姿勢のズレのうち姿勢角のズレが小さいときに適用できる。姿勢角にズレが大きいときには,上記▲3▼のベクトルV0と上記▲4▼で決まるベクトルMpPsとの角度のズレから概略の姿勢角のズレを算出し,それを基に上記▲6▼の処理を行うことで対応できる。
以上のような対応付け処理を行うことで,各パンチング孔11が縦横に不規則に並んでいる場合にも対応できる。
【0023】
(実施例4)
上記実施の形態では,床面上の時パンチング孔11とは別に設けられた認識マーク10を用いた例を示したが,上記パンチング孔11であっても,撮像画像上でただ一つに特定できるものであれば,上記認識マークとして用いることができる。例えば,図10に示す例では,撮像領域R内でのパンチング孔11の間隔が広く,無人搬送車1の停止誤差の範囲Rs内に必ず特定のパンチング孔11aが唯一存在することが保証されるため,上記パンチング孔11aを上記認識マークとして用いることが可能である。
尚,上記実施の形態及び各実施例においては,無人搬送車(移動体)がパターンと認識マークとが形成された床面(平面)上を走行する場合について説明したが,上記移動体と上記平面とは無人搬送車と床面とに限られるものではない。例えば,作業台(平面)上にパターンと認識マークとを形成し,上記作業台上を移動するロボットアームの先端(移動体)にカメラを取り付けて位置決めを行う場合や,作業装置によって取り扱うワーク自体にパターンと認識マークとを形成し,ワークに対する作業装置の位置決めを行う場合などにも適用できる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明は,任意のパターンと所定の認識マークとが形成された床面上を移動する移動体を所定位置に停止させて上記床面の画像を撮像した移動作業時撮像画像と,予め上記移動体を所定の基準停止位置に停止させて上記床面の画像を撮像した基準撮像画像とのズレを,それぞれの撮像画像上の上記任意のパターンの上記認識マークを基準とした比較により求め,上記ズレに基づいて上記移動体の停止位置のズレ量を検出する移動体の停止位置ズレ量検出装置において,上記基準撮像画像から,上記任意のパターンを構成する複数の形態部と上記認識マークとの上記基準撮像画像上での位置データを取得する基準位置データ取得手段と,上記移動作業時撮像画像から,上記複数の形態部と上記認識マークとの上記移動作業時撮像画像上での位置データを取得する移動作業時位置データ取得手段と,上記複数の形態部に,上記各撮像画像上でそれぞれ上記認識マークを基準とした共通の符号付けを行う符号付け手段と,上記符号付け手段で得られた上記複数の形態部の符号に基づいて,上記各撮像画像間での上記複数の形態部の1対1の対応付けを行う対応付け手段と,上記対応付け手段で対応付けされた上記複数の形態部の各組について,上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段により得られた位置データの差を求め,上記各組における上記位置データの差に基づいて上記各撮像画像間のズレを求めるズレ算出手段とを具備してなることを特徴とする移動体の停止位置ズレ量検出装置として構成されているため,多数の位置データの組を用いて位置・姿勢のズレが求められることにより,高精度の計測が可能となる。また,上記各形態部の個々の位置データを用いるため,上記形態部の位置に製造時の誤差が含まれていても,計測精度に影響を及ぼすことはない。また,多数の位置データの組を用いて位置・姿勢のズレが求められるため,基準撮像画像又は移動作業時撮像画像のいずれかの位置データにしか含まれていない上記形態部の位置データを無視し,両方の撮像画像で位置データが算出された形態部の位置データのみを用いることにより,外乱光などの影響によって移動作業時に一部の形態部を認識できなかった場合でも問題なく処理できる。
【0025】
また,上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段で得られた上記形態部の位置データから所定数の位置データを選択し,該選択された位置データに対応する形態部のみについて上記対応付け手段による対応付けを行うことにより,一定以上の精度を保ちながら処理の高速化やメモリ容量の削減が可能である。或いは,上記移動作業時位置データ取得手段を,上記複数の形態部の概略の位置データを取得する概略位置データ取得手段と,上記概略位置データ取得手段で取得された概略位置データの中から所定数の位置データを選択する概略位置データ選択手段と,上記概略位置データ選択手段で選択された概略位置データに対応する上記形態部についての詳細な位置データを取得する詳細位置データ取得手段とを具備するように構成することにより,更なる処理の高速化やメモリ容量の削減が可能である。
また,上記任意のパターンが上記複数の形態部の規則的な配列により構成される場合には,上記符号付け手段を,上記各撮像画像上での上記認識マークを基準として,上記複数の形態部の上記配列の規則性に基づく符号付けを行うように構成することにより,容易且つ確実な符号付けが可能となる。
【0026】
一方,例えば上記任意のパターンが上記複数の形態部の不規則な配列により構成される場合には,上記のような符号付け方法は用いられないため,上記基準撮像画像上で上記認識マークを起点として上記複数の形態部を順に結んだベクトルに基づいて上記基準撮像画像上での各形態部の符号付けを行い,上記移動作業時撮像画像上で上記認識マークを起点として上記ベクトルに従って上記基準撮像画像と共通の符号付けを行うようにすれば対応可能である。
また,上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段において,所定のテンプレート画像と上記複数の形態部及び上記認識マークの画像とのマッチング処理により上記複数の形態部及び上記認識マークを認識し,上記各撮像画像上での位置データを取得するようにすれば,高精度な位置データの取得が可能となる。その際,上記任意のパターンを構成する複数の形態部がそれぞれ同一の円形に形成される場合には,上記所定のテンプレート画像として上記円形形態部の単体の画像を用いることにより,テンプレート画像と各撮像画像との間の姿勢角のズレに関係なく,高速でしかも使用メモリが少ないマッチング処理が可能となる。
また,上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段において,各撮像画像を所定の閾値で2値化した2値化画像から,予め設定しておいた形状特徴量を持つ部分を抽出することにより上記複数の形態部及び上記認識マークを認識し,上記各撮像画像上での位置データを取得するようにすれば,精度は上記マッチング処理に及ばないものの,処理速度の高速化が可能である。
また,上記任意のパターンを構成する上記形態部のうち,1又は2以上の形態部が上記認識マークとして特定可能であれば,該形態部を基準として上記符号付け手段による処理を行うことが可能となる。
尚,上記任意のパターンと所定の認識マークとは,必ずしも床面上に形成されている場合だけではなく,上記移動体が移動する平面上,例えば作業台上に形成される場合も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る停止位置ズレ量検出装置を搭載する無人搬送車A1の概略構成を示す模式図。
【図2】 上記停止位置ズレ量検出装置による処理手順を示すフローチャート。
【図3】 教示時の撮像画像,及び符号付けの一例を示す図。
【図4】 テンプレートマッチング処理に用いるテンプレート画像を示す図。
【図5】 形状特徴量の一例を示す図。
【図6】 作業時の撮像画像,及び符号付けの一例を示す図。
【図7】 対応付けられたパンチング孔の位置データの一例を示す図。
【図8】 実施例2に係るステップS5の処理手順を示すフローチャート。
【図9】 実施例3に係るパンチング孔の配列に規則性がない場合の対応付け処理の説明図。
【図10】 実施例4に係る特定のパンチング孔を認識マークとして用いる場合の説明図。
【図11】 従来例に係る停止補正装置を搭載する無人搬送車A0の概略構成を示す模式図。
【図12】 上記従来の停止補正装置による処理手順を示すフローチャート。
【図13】 上記従来の停止補正装置による教示時の位置情報(位置座標(X0 ,Y0 ),回転角θ0 )の算出方法の一例を示す説明図。
【図14】 上記従来の停止補正装置による作業時の位置情報(位置座標(X1 ,Y1 ),回転角θ1 )の算出方法の一例を示す説明図。
【図15】 従来例に係るテンプテートマッチング処理の説明図。
【符号の説明】
1…無人搬送車(移動体の一例)
2…アーム
3…ハンド
4…撮像部
5…リング状照明装置
6…画像処理部(基準位置データ取得手段,移動作業時位置データ取得手段,及び符号付け手段に相当)
7…記憶部
8…教示データ補正部(対応付け手段,及びズレ算出手段に相当)
9…床面(パンチング床)
10…認識マーク
11…パンチング孔(所定の形態部)
Claims (10)
- 任意のパターンと所定の認識マークとが形成された床面上を移動する移動体を所定位置に停止させて上記床面の画像を撮像した移動作業時撮像画像と,予め上記移動体を所定の基準停止位置に停止させて上記床面の画像を撮像した基準撮像画像とのズレを,それぞれの撮像画像上の上記任意のパターンの上記認識マークを基準とした比較により求め,上記ズレに基づいて上記移動体の停止位置のズレ量を検出する移動体の停止位置ズレ量検出装置において,
上記基準撮像画像から,上記任意のパターンを構成する複数の形態部と上記認識マークとの上記基準撮像画像上での位置データを取得する基準位置データ取得手段と,
上記移動作業時撮像画像から,上記複数の形態部と上記認識マークとの上記移動作業時撮像画像上での位置データを取得する移動作業時位置データ取得手段と,
上記複数の形態部に,上記各撮像画像上でそれぞれ上記認識マークを基準とした共通の符号付けを行う符号付け手段と,
上記符号付け手段で得られた上記複数の形態部の符号に基づいて,上記各撮像画像間での上記複数の形態部の1対1の対応付けを行う対応付け手段と,
上記対応付け手段で対応付けされた上記複数の形態部の各組について,上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段により得られた位置データの差を求め,上記各組における上記位置データの差に基づいて上記各撮像画像間のズレを求めるズレ算出手段とを具備してなることを特徴とする移動体の停止位置ズレ量検出装置。 - 上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段で得られた上記形態部の位置データから所定数の位置データを選択し,該選択された位置データに対応する形態部のみについて上記対応付け手段による対応付けを行う請求項1記載の移動体の停止位置ズレ量検出装置。
- 上記移動作業時位置データ取得手段が,
上記複数の形態部の概略の位置データを取得する概略位置データ取得手段と,
上記概略位置データ取得手段で取得された概略位置データの中から所定数の位置データを選択する概略位置データ選択手段と,
上記概略位置データ選択手段で選択された概略位置データに対応する上記形態部についての詳細な位置データを取得する詳細位置データ取得手段とを具備してなる請求項1記載の移動体の停止位置ズレ量検出装置。 - 上記任意のパターンが,上記複数の形態部の規則的な配列により構成され,
上記符号付け手段が,上記各撮像画像上での上記認識マークを基準として,上記複数の形態部の上記配列の規則性に基づく符号付けを行う請求項1〜3のいずれかに記載の移動体の停止位置ズレ量検出装置。 - 上記符号付け手段が,上記基準撮像画像上で上記認識マークを起点として上記複数の形態部を順に結んだベクトルに基づいて上記基準撮像画像上での各形態部の符号付けを行い,上記移動作業時撮像画像上で上記認識マークを起点として上記ベクトルに従って上記基準撮像画像と共通の符号付けを行う請求項1〜3のいずれかに記載の移動体の停止位置ズレ量検出装置。
- 上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段において,所定のテンプレート画像と上記複数の形態部及び上記認識マークの画像とのマッチング処理により上記複数の形態部及び上記認識マークを認識し,上記各撮像画像上での位置データを取得する請求項1〜5のいずれかに記載の移動体の停止位置ズレ量検出装置。
- 上記任意のパターンを構成する複数の形態部がそれぞれ同一の円形に形成され,
上記所定のテンプレート画像として,上記円形形態部の単体の画像を用いる請求項6記載の移動体の停止位置ズレ量検出装置。 - 上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段において,各撮像画像を所定の閾値で2値化した2値化画像から,予め設定しておいた形状特徴量を持つ部分を抽出することにより上記複数の形態部及び上記認識マークを認識し,上記各撮像画像上での位置データを取得する請求項1〜7のいずれかに記載の移動体の停止位置ズレ量検出装置。
- 上記任意のパターンを構成する上記形態部のうち,上記認識マークとして特定可能な1又は2以上の形態部を基準として,上記符号付け手段による処理を行う請求項1〜8のいずれかに記載の移動体の停止位置ズレ量検出装置。
- 任意のパターンと所定の認識マークとが形成された所定の平面上を移動する移動体を所定位置に停止させて上記平面の画像を撮像した移動作業時撮像画像と,予め上記移動体を所定の基準停止位置に停止させて上記平面の画像を撮像した基準撮像画像とのズレを,それぞれの撮像画像上の上記任意のパターンの上記認識マークを基準とした比較により求め,上記ズレに基づいて上記移動体の停止位置のズレ量を検出する移動体の停止位置ズレ量検出装置において,
上記基準撮像画像から,上記任意のパターンを構成する複数の形態部と上記認識マークとの上記基準撮像画像上での位置データを取得する基準位置データ取得手段と,
上記移動作業時撮像画像から,上記複数の形態部と上記認識マークとの上記移動作業時撮像画像上での位置データを取得する移動作業時位置データ取得手段と,
上記複数の形態部に,上記各撮像画像上でそれぞれ上記認識マークを基準とした共通の符号付けを行う符号付け手段と,
上記符号付け手段で得られた上記複数の形態部の符号に基づいて,上記各撮像画像間での上記複数の形態部の1対1の対応付けを行う対応付け手段と,
上記対応付け手段で対応付けされた上記複数の形態部の各組について,上記基準位置データ取得手段及び上記移動作業時位置データ取得手段により得られた位置データの差を求め,上記各組における上記位置データの差に基づいて上記各撮像画像間のズレを求めるズレ算出手段とを具備してなることを特徴とする移動体の停止位置ズレ量検出装置。
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