JP3870396B2 - 商品の包装構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、保冷または保温が必要な食品を収納するのに用いて最適な商品の包装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、生クリームなどを使用した生洋菓子(ケーキ、シュークリームなど)などのように常温では経時的に品質が低下する商品がある。このような商品は、店内においても低温に維持できる保冷ケース等に陳列しておき、持ち帰る際には、容器に移し、この商品の入った容器内にドライアイス等の蓄冷材、保冷材あるいは冷却材などを入れて保冷している。
図4および図5は従来例を示す斜視図および断面説明図であり、商品15を収納した容器11内にドライアイス12を入れて保冷している様子を示している。従来は、このような状態で持ち帰るのが多い。
【0003】
また、出来たての温かいうちに食べるのがおいしい食品(例えば、てんぷらなどの揚げ物)もあるが、これらの持ち帰りはプラスチックフィルムや紙で包んだり、プラスチック製の袋や紙袋に入れるだけであるので冷めてしまい、通常は家に持ち帰ってから電子レンジ等で温め直している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、工場で製造した商品を、店で販売する際に保冷ケース等に陳列するのでは、保冷ケースが必要となるばかりでなく、冷却する設備も必要となるので、費用が嵩む課題があるし、売り場面積も広く必要となる。
また、持ち帰りの際に保冷するのにドライアイス等の蓄冷材、保冷材あるいは冷却材(以下、単に保冷材という)を使用するのは、常に保冷材を用意しておかなければならない不利があるし、また、販売の際に客の持ち帰りにかかる時間をいちいち聞かなければならず、面倒である。しかも例えば、帰宅途中で他の用事が入ったり、渋滞などで持ち帰る時間が大きく変わることがあるが、このような場合には保冷材の保冷時間が不足し商品の品質の低下を招くおそれがある。
また、従来、商品を包装して持ち帰るのに簡単な包装で、保温材を使用しなくても長時間保温できる包装構造は提供されていない。
【0005】
この発明は、このような点に鑑み前記課題を解決せんと提案されたものであり、その目的は、工場生産時に包装すると、商品の持つ低い温度だけで保冷効果を長時間持続し、または商品の持つ高い温度だけで保温効果を長時間持続することが可能な商品の包装構造の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明の商品の包装構造は、外箱と、該外箱内に入る内箱とよりなり、内箱に要保冷または要保温食品を容入して包装紙またはプラスチックフィルムで内箱外周面に密着して密封包装し、内箱内を密閉することにより内箱内の空気の流通を内箱外と遮断し、
この密封包装した内箱を外箱内に入れて、この外箱を包装紙またはプラスチックフィルムで外箱外周面に密着して密封包装し、外箱内を密閉することにより外箱内を外箱外の外気と遮断し、密封包装された内箱と密封包装された外箱との間に密閉された空気層による遮断層を介在させ、
内箱内に容入した食品の持つ低い温度または高い温度だけで、保冷または保温が可能なことを特徴とする。
これにより包装紙またはプラスチックフィルムで内箱外周面に密着して密封包装された商品(食品)の入った内箱内には、商品(食品)の持つ低い温度で冷えた空気、または商品(食品)の持つ高い温度で温められた空気が存在し、この空気は内箱外と内箱および包装紙またはプラスチックフィルムで遮断されており、また、この内箱を入れて包装紙またはプラスチックフィルムで外箱外周面に密着して密封包装した外箱は、外箱および包装紙またはプラスチックフィルムで外気と遮断されている。従って、密封包装された商品(食品)の入った内箱と、この内箱を入れて密封包装された外箱との間には、外気より遮断された空気層が、外気の遮断層として介在することとなり、内箱内の低温は長時間低温に保冷され、高温は長時間高温に保温される。また、密封包装する包装紙またはプラスチックフィルムと外箱および内箱の外周面との間に空気層の介在がなくなり包装の強度が向上すると共に、容積もその分小さくなる。
この時、内箱および外箱の材質、密封包装する包装紙またはプラスチックフィルムが、断熱効果の高いものであると、効果はより一層高くなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態についてこの発明を詳細に説明する。図1はこの発明の実施の形態を示す説明斜視図、図2は図1A−A線断面図、図3はこの発明の他の実施の形態を示す説明断面図である。
この発明の商品の包装構造は、同図に示したように外箱3と、該外箱3内に入る内箱1とよりなり、内箱1に商品5を容入してプラスチックフィルム2で密封包装し、この密封包装した内箱1を外箱3内に入れて、この外箱3をプラスチックフィルム4で密封包装することによって構成される。
【0008】
この商品の包装構造として、次の態様を例示することが出来る。
(1)図2に示すように1つの内箱1内に複数の商品5を容入してプラスチックフィルム2で密封包装し、この密封包装した1つの内箱1または複数を、外箱3内に入れて、この外箱3をプラスチックフィルム4で密封包装する態様。この場合の複数の商品5は、同じ商品でも異なる商品でもよい。この態様によれば複数の商品5を、1つの外箱3内に収納して販売できる。
(2)図3に示すように1つの内箱1内に1つの商品5を容入してプラスチックフィルム2で密封包装し、この密封包装した1つの商品5が入った内箱1の複数を外箱3内に入れて、この外箱3をプラスチックフィルム4で密封包装する態様。この場合の外箱3内に容入される内箱1は、全て同じ商品のものでも、または異なる商品のものでもよい。この態様によれば、1つの内箱1に1つの商品5が入っているので、1個づつ取り出して食べるのに便利となる。
(3)図示は省略したが、1つの内箱1内に1つの商品5を容入してプラスチックフィルム2で密封包装し、この密封包装した1つの商品5が入った内箱1の1つを、1つの外箱3内に入れて、この外箱3をプラスチックフィルム4で密封包装する態様。この態様によれば、店頭において好みの商品と数量を客が自由に選択できる。
これらの態様は主なものの例示であって、この発明を制限するものではない。
【0009】
前記内箱1および外箱3の構成に特に制限はなく、前記態様や商品によって適宜でよい。例えば、商品の包装構造をどのような態様にするかによって、その構成もそれに相応するものでなければならないし、収納する商品によってもそれに相応するものとなるからである。
また、材質も特に制限はないが断熱性の材質とすると、外気と断熱し内箱1内および外箱3内を保冷または保温する効果がより持続可能となるので好ましい。
図示の本例では内箱1および外箱3が、厚紙で天板が蓋片1aおよび3aとなっている方形に形成されている。この内箱1および外箱3は、内箱1が外箱3内に入れられるため、内箱1の方が外箱3より小さく形成される。
なお、この発明は、前記プラスチックフィルム2および4に代えて包装紙であってもよい。
【0010】
そして、商品5は、内箱1内に収納される。この商品5は、保冷を必要とする食品または保温を必要とする食品である。保冷を必要とする食品としては、ケーキやアイスクリーム入りまんじゅう等の生菓子、肉、魚等の生鮮、冷凍食品等を例示でき、保温を必要とする食品としては、天ぷら、とんかつ等の揚げ物、焼きいも、たこ焼きなどを例示できる。
【0011】
また、前記プラスチックフィルム2および4に特に制限はないが、好ましい実施の形態としては、断熱性で、透明または半透明のプラスチックフィルムがよい
。断熱性であると、外気と断熱し内箱1内および外箱3内を保冷または保温する効果がより長く持続可能となるからである。また、プラスチックフィルム2および4が透明または半透明であると、内箱1および外箱3を密封包装しても、内箱1および外箱3のデザインや文字が外部より見えるので好ましい。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。
プラスチックフィルム2および4に代えて包装紙とした場合にも、断熱性のものが同様に好ましい。プラスチックフィルム2および4の場合でもそれにデザインや必要とする文字等を印刷してもかまわないが、透視できない包装紙とした場合には、それにデザインや必要とする文字等を印刷するのが好ましい。
【0012】
この内箱1および外箱3を密封包装するプラスチックフィルム2および4は、内箱1および外箱3の外周面に密着して密封包装するのが好ましい。密着していないと、内箱1及び外箱3の外周面とプラスチックフィルム2および4との間に空気が密封状態で封入されるため、外部からの部材で破れやすくなるからである。この弱点を回避するにはプラスチックフィルム2および4に、空気抜き孔を設けてもよいが、そうすると外気との断熱効果がでなくなるので、この点に対する配慮が必要となる。
なお、内箱1および外箱3のプラスチックフィルム2および4での密封包装は、従来公知の手段を採用し得る。
【0013】
前記のようなこの実施の形態によれば、プラスチックフィルム2で密封包装された商品5の入った内箱1内には、商品の持つ低い温度で冷えた空気、または商品の持つ高い温度で温められた空気が存在し、この空気は内箱1の外部とは、内箱1およびプラスチックフィルム2で遮断されており、また、この内箱1を入れてプラスチックフィルム4で密封包装した外箱3は、外箱3およびプラスチックフィルム4で外気と遮断されている。従って、密封包装された商品5の入った内箱1と、この内箱1を入れて密封包装された外箱3との間には、図2および図3に示すように外気より遮断された空気層6が、外気の遮断層(断熱層)として介在する。しかも内箱1内は、この空気層6とも内箱1およびプラスチックフィルム2で遮断される。これにより内箱1内に存在する、商品5の持つ低い温度で冷えた空気、または商品5の持つ高い温度で温められた空気は、低温は長時間低温に保冷され、高温は長時間高温に保温されることとなる。
この時、内箱1および外箱3の材質、プラスチックフィルム2および4が、断熱性の高いものであると効果はより一層高くなる。特に、プラスチックフィルム2および4は、内箱1および外箱3の外側に位置するので、断熱性があると効果は顕著となる。
【0014】
しかして、商品の工場生産時に、この発明の商品の包装構造とすると、そのままで輸送が可能となるし、そのままで店頭に陳列することができ、かつ販売時に改めて包装する必要もない。
なお、前記実施の形態は、この発明を制限するものではなく、この発明は要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0015】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、この発明の商品の包装構造によれば、商品の持つ低い温度、または商品の持つ高い温度だけで、保冷効果または保温効果を持続することが可能であるので、次のような効果を奏する。
(1)保冷材を使用しなくても長時間保冷することができるし、または保温材を使用しなくても長時間保温することができる。従って、保冷材や保温材を用意する必要もなく、客に持ち帰り時間を聞く必要もない。
(2)商品の工場生産時に、この発明の商品の包装構造とすれば、そのままで輸送が可能となるし、そのままで店頭に陳列することもでき、かつ販売時に改めて包装する必要もない。しかもそのままで持ち帰ることができる。
(3)保冷ケースや冷却設備および保温ケースや加温設備は不要であるし、保冷材や保温材も不要であり、売場面積も少なくて済むし、かつ輸送も冷蔵車でなくてもよいので、全体にコストを下げることができる。
(4)また、前記(1)〜(3)の効果により売場の制約も少ないので、販路の拡大も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態を示す説明斜視図である。
【図2】 図1A−A線断面図である。
【図3】 この発明の他の実施の形態を示す説明断面図である。
【図4】 従来例を示す説明斜視図である。
【図5】 従来例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 内箱
2、4 プラスチックフィルム
3 外箱
5 商品(食品)
6 空気層(遮断層)
Claims (2)
- 外箱と、該外箱内に入る内箱とよりなり、内箱に要保冷または要保温食品を容入して包装紙またはプラスチックフィルムで内箱外周面に密着して密封包装し、内箱内を密閉することにより内箱内の空気の流通を内箱外と遮断し、
この密封包装した内箱を外箱内に入れて、この外箱を包装紙またはプラスチックフィルムで外箱外周面に密着して密封包装し、外箱内を密閉することにより外箱内を外箱外の外気と遮断し、密封包装された内箱と密封包装された外箱との間に密閉された空気層による遮断層を介在させ、
内箱内に容入した食品の持つ低い温度または高い温度だけで、保冷または保温が可能なことを特徴とする商品の包装構造。 - 前記外箱の材質、内箱の材質、外箱を密封包装する包装紙またはプラスチックフィルムおよび内箱を密封包装する包装紙またはプラスチックフィルムの内、少なくとも外箱を密封包装する包装紙またはプラスチックフィルムが、断熱性のある包装紙またはプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1記載の商品の包装構造。
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