JP3869053B2 - 衛生用管継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療、介護用ベッドなどの特殊ベッドに設けられるものであって、例えば、排泄物回収設備や入浴設備などにおいて、ベッド側に設置される装置本体と、汚水などを処理する容器とを接続し、流路を連通する衛生用管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の衛生用継手としては、米国特許第5,325,890号公報に開示されているものがある。これはプラグとソケットで構成され、プラグ及びソケットは、ポート、長手方向穴とで形成される通路を有し、ポートを開閉する弁手段と、弁手段を閉方向に付勢するバネが設けられ、プラグとソケットを接続したときに、弁手段が移動してポートが開き、各通路が連通され、プラグとソケットが分離しているときは、プラグ及びソケットに設けた弁手段がバネによって付勢され、各ポートを塞いで各通路が遮蔽される。そして、上記衛生用継手は、プラグをベッド側の本体に設け、ソケットを排出物処理用の容器の側壁に貫通固定して使用する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の衛生用継手は、プラグとソケットを接続、分離する際及び接続、分離している間、プラグ及びソケットの各接続口から排出物などが流出することがなく衛生的である。
【0004】
しかし、長手方向穴と交差して各ポートが一箇所づつにしか設けられていないので圧力損失が大きく、かつ、ソケットとプラグとの接続時の位置合わせが必要である。また、弁手段を付勢するバネを覆っているソケット、弁手段及びワッシャーによって、盲穴状に形成されているため、この盲穴内に排出物が侵入した場合、排出物には液体のほか、固形物やゲル状物が含まれているので、ソケットの盲穴内に詰まる虞れがある。かかる場合、詰まった排出物を除去するために、ソケットを分解する必要がありメンテナンスを容易に行えないなどの問題も有していた。
【0005】
さらに、プラグとソケットを接続、分離する際のプラグの移動距離が長いため、プラグ周面に設けたシールリングの摩耗などの損傷が速く、長期の使用による液漏れの発生が高いほか、複数のシールリングによる摺動抵抗が大きいために着脱操作性に問題を有していた。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するために成されたものであり、圧力損失が少なく、かつ、ソケットとプラグとの接続時の位置合わせが不必要であり、また、メンテナンスが容易な衛生用管継手を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、ソケットとプラグで接続させる衛生用管継手であって、このソケットには、接続端に弁体を有する筒体の外周に、バネで付勢された接続端部に拡径部を有するスリーブ弁を摺動自在に設け、かつ、筒体内の流路と連通する流出口を形成し、一方、前記プラグには、前記スリーブ弁の拡径部に嵌合押圧する押圧部を有する筒状のプラグ本体内に、接続端部に弁部を有するスライド筒部材を、このスライド筒部材の外周に設けたバネを介してプラグ本体内に摺動自在に設け、かつ、スライド筒部材内の流路と連通する連通口をスライド筒部材に設け、前記プラグ本体の筒状部分には、前記バネを露出させると共に、前記ソケットとプラグとを接続させたときに前記連通口と対向するように開口部を両側から貫通させて形成したものである。
【0008】
上述のように構成したので、ソケットとプラグとが分離している間、バネによって付勢されたスリーブ弁が、筒体の流出口を塞いで、ソケットからの液体等の流出を防止し、一方、バネによって付勢されたスライド筒部材の弁部が、プラグ本体の押圧部を塞いで、プラグからの液体等の流出を防止する。
【0009】
そして、ソケットとプラグを接続している間は、各バネの弾発力に抗して、プラグ本体の押圧部がスリーブ弁を筒体の後方に押圧し、スリーブ弁により閉ざされていた筒体の流出口を開くと共に、筒体と当接しているスライド筒部材が、プラグ本体の後方に移動してプラグ本体の流路を開くので、プラグ本体の内部に位置した筒体の流出口を経てソケットとプラグの流路が連通される。この場合、ソケットの筒体から、プラグのプラグ本体の開口部までの流路と、スライド筒部材の末端開口までの流路が連通状態となる。この時、連通口が開口部と対向するため、流体はスライド筒部材の流路と開口部の両側から容器内に流出するようにしたので圧力損失を小さくする。
【0010】
さらに、プラグ本体に設けた開口部から、プラグ本体内及びバネを洗浄することができる。
【0011】
また、前記ソケットの筒体とプラグ本体とにロック機構を設けた場合には、ロック機構によって、筒体の流出口をプラグ本体内に位置させた状態で、ソケットとプラグの接続を保持し、ソケットとプラグの流路を各バネの弾発力に抗して連通させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1乃至図4には、本発明における衛生用管継手の第一例を示しており、図1は本発明の衛生用管継手のソケットを示す断面図、図2は本発明の衛生用管継手のプラグを示す断面図、図3は前記ソケットとプラグを接続した状態を示す断面図、図4は図3におけるA−A断面図である。また、図5、図6は、前記衛生用管継手を被取付体に固定した状態を示す概略説明図である。
【0013】
図5、図6に示すように、本衛生用管継手を用いる被取付体は、介護用ベッドなどの特殊ベッド120であり、本例においては、この特殊ベッド120に具備された排泄物や汚水等の流体を回収処理する容器110にプラグ2が設けられ、この容器110を収納する容器収納部100にソケット1が設けられている。なお、容器収納部100内に容器110を収納することによって、ソケット1とプラグ2とが接続され、特殊ベッド120の排泄物等の回収部(図示せず)から容器までの流路が連通される。
【0014】
ソケット1は、容器収納部100の背面壁101に、貫通孔102を通して固定され、回収部からの配管ライン9の端部に接続されている。一方、プラグ2は、容器収納部100の所定位置に容器110を収納した場合にソケット1と接続するように、容器110の正面壁111に嵌入、シール固定されている。
【0015】
なお、図に示すように、容器収納部100、容器110には、ソケット1とプラグ2が二組設けられ、各ソケット1に配管ライン9が接続されている。これは、排出物をエアーにより圧送したり、真空により吸引する場合であり、一方の配管ライン9を通して排出物を回収し、他方の配管ライン9から空気を排気、吸引するためである。なお、配管ライン9を一本、ソケット1とプラグ2を一組にして、排出物の自重により回収することも可能である。
【0016】
容器収納部100は、容器110の外形に対応した開口部103を有し、更にこの開口部103内に、容器110を所定位置に固定するためのロック部104を有している。このロック部104は、開口部103背面から正面に突設した弾性片105と、弾性片105の先端部に固定した断面「レ」字形状のフック片106とから成る。
【0017】
一方、容器110は、ロック部104のフック片106に係止される段部112を上面に有しており、容器収納部100の開口部103内所定位置において固定される。そして、容器110を所定位置に固定すると、ソケット1とプラグ2の流路が連通して、回収部から容器110までの流路が連通する。
【0018】
図1に示すように、ソケット1は、筒体3、スリーブ弁4及びバネ5で構成される。
筒体3は、筒部31、中間部32、ニップル部33及び流路34を有しており、筒部31の後端に中間部32が延設され、中間部32の後端にニップル部33が延設され、これらの中心長手方向に沿って、流路34が形成されている。
【0019】
筒部31は、接続端に弁体36を有し、この弁体36を含む先端部分35を若干太めに形成し、先端部分35に流路34と連通する流出口37を形成し、先端部分35の円周方向に流出口37を挟んでシールリング38が設けられている。
また、中間部32は、筒部31よりも大径に形成され、外周表面にバネ5を当接する段部39が突設されている。そして、ソケット1を容器収納部100に固定する場合、中間部32の段部39と中間部32の外周面に設けたストップリング10とで容器収納部100の背面壁101に固定される。
そして、ニップル部33には配管ライン9を接続する(図5、図6参照)。
【0020】
スリーブ弁4は、本体41の内径を、筒体3の先端部分35の直径と等しくなるように形成し、接続端部を拡径して拡径部42を形成し、他端部の内周側に、太く形成された先端部分35に係止するフック部43を突設し、筒体3の筒部31外周に摺動自在に装着されている。
【0021】
バネ5は、コイルバネで、筒体3の中間部32とスリーブ弁4の本体41に各端部を嵌合し、中間部32の段部39とスリーブ弁4の拡径部42に各端面を当接し、スリーブ弁4を筒体3の先端方向に付勢している。
【0022】
図2に示すように、プラグ2は、筒状プラグ本体6と、スライド筒部材7と、バネ8とから成る。
プラグ本体6は、筒体3の筒部31外径より大きい内径を有し、先端を縮径している略筒状胴部61と、スリーブ弁4の拡径部42と嵌合できると共に、筒体3の先端部分35を挿入できるように、胴部61の先端に形成された略筒状の押圧部62とから成り、胴部61の筒状部分に、内蔵したバネ8を露出させる開口部63を両側から貫通させて形成し、胴部61先端付近の周面に段部64を形成し、胴部61末端のスライド筒部材7の挿入口内面にバネ8の一端を当接する保持部65を設け、更に段部64から、開口部63までの周面に雄ネジ66を設けている。そして、プラグ2を容器110に固定する場合、胴部61の段部64と胴部61の雄ネジ66に螺合するナット11とで容器110の正面壁111に、シールリング67を介在させて固定させる。なお、図示しないが、押圧部62の外周面に円周溝を形成しシールリングを設けても良い。
【0023】
スライド筒部材7は、接続端部に、プラグ本体6の押圧部62の流路77を開閉する弁部71を形成し、この弁部71の外周面にシールリング74を設け、また弁部71に隣接させて流路77aから外部に連通する連通口75を係止部72を構成するように形成し、胴部73先端外周に、プラグ本体6の内周面を摺動するフランジ部76を形成し、押圧部62の軸心に沿って移動可能にプラグ本体6内に設けられている。なお、係止部72は円錐台形状に形成され、分離時は、バネ8で付勢されて、プラグ本体胴部61の縮径した先端に当接している。
【0024】
バネ8は、コイルバネで、プラグ本体6の内側、スライド筒部材7の外周に沿って装着され、プラグ本体6の末端に設けた保持部65とスライド筒部材7のフランジ部76とに各端面を当接させて、スライド筒部材7を接続端側に付勢している。このフランジ部76は、スライド筒部材7が後退した時に、プラグ本体6に形成した開口部63とスライド筒部材7内の流路77aとの両方に流体を流通する役割を有している。また、プラグ本体6内とバネ8とに流体が直接流入するのを防止している。さらに、フランジ部76を軸心に向かってテーパに形成することによって、より流体の流れがスムーズになる。
【0025】
なお、図3、図4に示すように、ソケット1とプラグ2を接続している間、スライド筒部材7の弁部71に隣接して形成した連通口75とプラグ本体6の胴部61の開口部63とが上下に連通するように、連通口75と開口部63を形成している。
また、筒体3、スリーブ弁4、プラグ本体6、スライド筒部材7は、ポリアセタールなどの樹脂で形成されているが、これに限定されるものではない。
【0026】
上述した衛生用管継手の作動を説明する。
図1、図2に示すように、ソケット1とプラグ2とが分離している間、ソケット1では、バネ5によって筒体3の先端側に付勢されたスリーブ弁4のフック部43が筒体3の先端部分35に引掛かり、筒部31の流出口37を塞ぐ位置で停止し、流路34が確実に閉塞される。一方、プラグ2では、バネ8によって付勢されたスライド筒部材7の係止部72が、プラグ本体6の胴部61先端に当接すると共に、スライド筒部材7の弁部71が押圧部62を塞いで、流路77が確実に閉塞される。
【0027】
次に、容器収納部100内に容器110を挿入していくと、スリーブ弁4の拡径部42と、プラグ本体6の押圧部62とが嵌合すると共に、筒体3の弁体36と、スライド筒部材7の弁部71とが当接する。
更に容器110を挿入していくと、プラグ本体6の押圧部62が、バネ5の弾発力に抗してスリーブ弁4を押圧し、プラグ本体6内に筒体3の先端部分35が侵入する。一方、筒体3の弁体36と当接している弁部71を有するスライド筒部材7が、バネ8の弾発力に抗して、プラグ本体6の後方(容器110側)に移動する。
【0028】
そして、容器収納部100の所定位置に容器110を収納すると、図6に示すように、容器収納部100のフック片106が容器110上面の段部112を係止して容器110が固定されると共に、図3に示すように、筒部31の流出口37が、プラグ本体6の内部に位置して、筒体3の流路34とプラグ本体6の流路77とが流出口37を経て開口部63に連通すると共に、スライド筒部材7の連通口75を経て胴部73の流路77aの流路に連通する。この結果、配管ライン9から容器110内まで流路が連通し、排泄物などの流体が回収可能な状態となる。
【0029】
そして、例えば、容器110内の排出物が一杯になったり、容器110を傾けたことによって、プラグ本体6などが容器110内の排出物に浸かり、排出物がプラグ本体6内に詰まったり、バネ8に付着した場合でも、排出物を処分した後、プラグ本体6に開口部63を設けているので、内部及びバネ8を容易に洗浄することができる。
【0030】
次に、上述した衛生用管継手にロック機構90を設けた例を図7乃至図13を用いて説明する。なお、上述した衛生用管継手と同一部分の説明は省略すると共に、同一部分には同一符号を用いる。
【0031】
ロック機構90は、第一係合部91と第二係合部92とから成り、筒体3及びプラグ本体6にそれぞれ設けられ、ソケット1とプラグ2が接続したときに第一係合部91と第二係合部92とが係止して、ソケット1とプラグ2を分離しにくくする。そして、ロック機構90を設けた場合に、第一係合部91とソケット1のスリーブ弁4とが干渉しないように、スリーブ弁4の拡径部42から後方に向かってガイド部49が延設されている。このガイド部49によって埃が入るのを阻止する効果も兼ねている。なお、ガイド部49を省略しても良い。
【0032】
図7乃至図9に示すロック機構90の第一係合部91は、筒状で、先端部分外周面に係合凹部93を有し、筒体3の中間部32に突設した段部39から先端方向に一体的に延設されている。また、第二係合部92は、プラグ本体6の段部64に一体的に延設されている。この第二係合部92は少なくとも3か所に設けてある。なお、図1に示すように筒体3の先端部分35にスリーブ弁4のフック部43を係止させるのではなく、図10に示すように、第一係合部91とスリーブ弁4に設けたガイド部49とを係止させるようにしても良い。
【0033】
図11乃至図13に示すロック機構90の第一係合部91は、筒状で、筒体3の中間部32に突設した段部39から先端方向に一体に延設され、先端部に拡径したフック状端部94が形成されている。そして、第二係合部92は、プラグ本体6の段部64外周面の後端側に、溝状に形成されている。
【0034】
上述したように、ソケット1、プラグ2にロック機構90を設けることによって、ソケット1、プラグ2に設けたバネ5,8の弾発力に抗して、ソケット1とプラグ2の接続状態を保持することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した本発明は、プラグ本体の胴部に両側に貫通する開口部を設けたので、内側のバネなどの洗浄が容易で排出物の目詰まりによる作動不良を無くすことができると共に、両側の開口部から排出物を流出することができるので圧力損失が少ない。さらに、ソケットとプラグを接続するときに、流路の位置合わせの必要がないので、接続がスムーズであると共に、被取付体(例えば、介護用ベッドなど)への取付けが容易である。
【0036】
また、流路を連通させる際の筒体とスライド筒部材の移動距離を短くしたので、摩耗などの損傷が減り耐久性が向上し、長期使用に伴う液漏れなどの発生を防止することができる。
【0037】
さらに、衛生用管継手の一部にロック機構を設けたので、本発明における衛生用管継手を取り付ける被取付体に、衛生用管継手を接続するためのロック機構を設ける必要が無いので、安価に量産することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における衛生用管継手のソケットを示す正面断面図である。
【図2】本発明における衛生用管継手のプラグを示す正面断面図である。
【図3】図1、図2に示すソケットとプラグの接続状態を示す正面断面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】上記衛生用管継手の使用状態を示す概略斜視図である。
【図6】上記衛生用管継手の使用状態を示す概略一部断面正面図である。
【図7】本発明における他の衛生用管継手のソケットを示す正面断面図である。
【図8】本発明における他の衛生用管継手のプラグを示す正面断面図である。
【図9】図7、図8に示すソケットとプラグの接続状態を示す正面断面図である。
【図10】本発明における他の衛生用管継手のソケットを示す正面断面図である。
【図11】本発明における他の衛生用管継手のソケットを示す正面断面図である。
【図12】本発明における他の衛生用管継手のプラグを示す正面断面図である。
【図13】図11、図12に示すソケットとプラグの接続状態を示す正面断面図である。
【符号の説明】
1 ソケット
2 プラグ
3 筒体
4 スリーブ弁
5 バネ
6 プラグ本体
7 スライド筒部材
8 バネ
9 配管ライン
34 流路
36 弁体
37 流出口
42 拡径部
62 押圧部
63 開口部
71 弁部
75 連通口
77 流路
77a 流路
90 ロック機構

Claims (2)

  1. ソケットとプラグとから成る衛生用管継手であって、このソケットには、接続端に弁体を有する筒体の外周に、バネで付勢された接続端部に拡径部を有するスリーブ弁を摺動自在に設け、かつ、筒体内の流路と連通する流出口を形成し、一方、前記プラグには、前記スリーブ弁の拡径部に嵌合押圧する押圧部を有する筒状のプラグ本体内に、接続端部に弁部を有するスライド筒部材を、このスライド筒部材の外周に設けたバネを介してプラグ本体内に摺動自在に設け、かつ、スライド筒部材内の流路と連通する連通口をスライド筒部材に設け、前記プラグ本体の筒状部分には、前記バネを露出させると共に、前記ソケットとプラグとを接続させたときに前記連通口と対向するように開口部を両側から貫通させて形成したことを特徴とする衛生用管継手。
  2. 前記ソケットの筒体とプラグ本体に、ソケットとプラグの接続状態を保持するロック機構を設けた請求項1記載の衛生用管継手。
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