JP3785953B2 - 消火栓の給水管用弁装置及びそれを備えた消火栓 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は消火栓の給水管用弁装置及びそれを備えた消火栓に関するものである。更に詳しくは、点検ホースを接続したり取り外す際の着脱操作により、緊急時に使用する流路と、点検時に使用する流路を自動的に切り換えることができるようにしたものに関する。また、弁部材の進退動によって二以上の流路を切り換えて形成できる消火栓の給水管用弁装置において、水が通過するときの圧力損失が少ない対向流路管により給水のための流路を形成することができるようにしたものに関する。
【0002】
【従来技術】
例えば、高速道路のトンネル内等、各種道路の各所に設けられる消火栓は、緊急時に放水できないということがないように、水圧、流量などが規定値を満たしているかどうかを定期的に点検することが義務付けられている。
消火栓のケース内に備え付けてある消火ホースは、緊急時に備えてあらかじめ給水管につながれている。そして、点検を行う際には、給水管につながれている消火ホースを延長し、ノズル先端部に水圧、水量などを測定する機器を取り付けて放水を行い、水圧、流量等を測定していた。
しかし、この方法では、点検後に消火ホースの洗浄をし、水抜きをしなければならず、更に収納のために巻き取る必要があった。これでは、一箇所の消火栓の点検に大変な手間がかかる。
【0003】
そこで、近年においては、給水管から分岐させて点検のための点検管を設けておき、給水管には消火ホースをつないだまま、点検管に点検用のホース(消火ホースと同じもの)を接続して点検をすることが行われている。この場合は、点検時に緊急用の流路から点検用の流路に切り換える必要があるため、弁装置が使用されている。このように流路を切り換えることができる弁装置としては、構造が簡単な、T字状の通路を有する弁部材が回転する構造のもの(図5参照)が一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記弁装置の場合は、操作を手動で行うことになるため、点検後に点検用の流路から緊急用の流路に戻すことを忘れてしまう可能性があった。万一、流路が緊急用の流路に戻っておらず点検用の流路のままである場合、消火ホースがつながれていない点検管から高圧の水が放水されてしまうので、非常に危険である。
また、緊急時に消火栓の操作を行うのは、多くは一般の人であるので、このような状況に際して、冷静に弁装置を操作して緊急用の流路に切り換えて放水を行うことは困難である。
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するための研究を進めていく中で、点検管に点検用のホースを着脱する際の動作に伴って弁装置を動かし、流路を自動的に切り換えることができれば上記課題が解消されることに着眼した。そのような弁装置としては、図6に示すような構造のものが考えられる。
すなわち、図6に示す弁装置の弁シリンダー100には、弁部材101が進退動可能に収容されている。弁シリンダー100には、軸線方向が互いに平行かつ段違いに設けられた流路管102、103が設けられている。また、弁シリンダー100の下側は流路管104を構成している。
【0006】
弁部材101の上部には、流路管102、103を連通させる通路105が設けられ、弁部材101の下部には流路管103と流路管104を連通させる通路106が設けられている。
また、弁シリンダー100の内壁部にはオーリング107が三箇所に設けられており、弁部材101にはオーリング107に対応する径大部108が三箇所に設けられている。弁部材101の径大部108以外は径小部109となっている。なお、この弁装置では、点検ホースの着脱動作に伴って弁部材101を外部から操作するようになっている。
【0007】
上記流路管102、103が軸線方向がずれているのは、仮に流路管102、103を相対向させると、弁部材101の外周部に径小部109が設けられる構造上、弁部材101を進退動させて交差する流路管に切り換えたときに、弁部材101の径小部109を通って、相対向する流路管間で液漏れが起こり、弁部材101のエルボー状の通路106における損失とも相まって、大きな圧力損失が生じるためである。
【0008】
しかし、この構造のために、次のような問題もある。すなわち、上記弁装置では、流路管102、103を対向させずに段違いにずらして中間のオーリング107で液漏れを防ぐ構造となっているので、弁部材101の通路105にエルボー部を二箇所に設ける必要がある。つまり、通路105を有効にして通路102、103で段違いの流路(緊急用の流路)を形成したときは、通路105における圧力損失が極めて大きい。
この場合の圧力損失は、上記エルボー部が一箇所に設けてある通路106を有効にして交差する流路(点検流路)を形成した場合より大きくなるので、緊急時に使用する流路の方が、点検時に使用する流路より圧力損失が大きくなり、実用的に問題がある。
本発明者は、このような問題を解決するべく更に鋭意研究を重ね、緊急時に使用する流路の圧力損失を小さくすることができる構造の本発明を完成するに至った。
【0009】
(本発明の目的)
本発明の目的は、点検ホースを接続したり取り外す際の着脱操作により、緊急時に使用する流路と、点検時に使用する流路を自動的に切り換えることができる消火栓の給水管用弁装置及びそれを使用した消火栓を提供することである。
本発明の他の目的は、水が通過するときの圧力損失が少ない対向流路管により緊急時に使用する流路を形成することができる消火栓の給水管用弁装置及びそれを使用した消火栓を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
弁部材の進退動によって流路を切り換える消火栓の給水管用弁装置であって、
弁シリンダーと、
弁シリンダーを挟んで軸線方向を同じにして相対向して設けてある対向流路管と、
対向流路管と軸線方向を所要の角度で交差して設けてある交差流路管と、
弁シリンダー内を進退動する弁部材と、
を備えており、
上記弁部材は、各対向流路管を連通させる通路と、対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路を有し、
上記弁部材は、常態においては各対向流路管を連通させた対向流路を形成する位置にあり、上記交差流路管に点検ホースを装着するときの動作によって移動し、対向流路管の上流側と交差流路管を連通させた交差流路が形成されるようにしてあることを特徴とする、
消火栓の給水管用弁装置である。
【0011】
第2の発明にあっては、
弁部材の進退動によって二以上の流路を切り換えて形成できる消火栓の給水管用弁装置であって、
弁シリンダーと、
弁シリンダーと交差して相対向して設けてある対向流路管と、
対向流路管と所要の角度で設けてある交差流路管と、
弁シリンダー内を進退動する弁部材と、
上記交差流路管に設けてあり点検ホースを接続するための接続具と、
接続具へ点検ホースを着脱するときの動作を上記弁部材に伝える動作伝達手段と、
を備えており、
上記弁部材は、各対向流路管を連通させる通路と、対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路を有し、
弁部材において、対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路が設けてある部分の外周部には、外周部と弁シリンダー内壁の間で形成される空隙部を対向流路管の軸線方向において遮断して水が通らないようにする遮水手段を有し、
弁部材は、常態においては各対向流路管を連通させた対向流路を形成する位置にあり、上記接続具に点検ホースを装着するときの動作によって弁部材が付勢力に抗して移動することにより、対向流路管の一と交差流路管を連通させた交差流路が形成されるようにしてあることを特徴とする、
消火栓の給水管用弁装置である。
【0012】
第3の発明にあっては、
遮水手段は、対向流路管の弁シリンダー側開口部のうち、流入側開口部の外側から、流出側開口部のうち流出側開口部の外側とは反対側の外側にかけて、対向流路管の軸線方向に対し垂直な部分または傾斜した部分を有するよう設けてあることを特徴とする、
第2の発明に係る消火栓の給水管用弁装置である。
【0013】
第4の発明にあっては、
弁シリンダーが交差流路管を構成していることを特徴とする、
第1、第2または第3の発明に係る消火栓の給水管用弁装置である。
【0014】
第5の発明にあっては、
第1、第2、第3または第4の発明に係る消火栓の給水管用弁装置を備えていることを特徴とする、
消火栓である。
【0015】
弁シリンダーと交差して相対向して設けてある対向流路管は、弁シリンダーの軸線方向と直角方向に設けてもよいし、所要角度で交差させて設けてもよい。
また、各対向流路管も軸線方向が同一直線上にあってもよいし、所要の角度をもって設けてもよい。
【0016】
(作用)
本発明に係る消火栓の給水管用弁装置及びそれを備えた消火栓は、次のように作用する。
常態においては、弁部材の通路のうち各対向流路管を連通させる通路が有効になっており、各対向流路が通路を介し連通し、対向流路(緊急用の流路)が形成されている。対向流路は、対向流路管の軸線方向がずれていないので、弁部材の通路を、例えば直線状に形成すれば、通路内での圧力損失は極めて少なくなる。従って、対向流路によって、水を効率よく送ることができる。
【0017】
点検を行うときには、接続具に点検ホースの接続具を押し込むようにして装着する。装着するときの動作によって動作伝達手段を介し弁部材が付勢力に抗して移動し、弁部材の通路のうち、対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路が有効となり、対向流路管の一と交差流路管を連通させた交差流路(点検流路)が形成される。
このとき、弁部材の対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路が設けてある部分の外周部と弁シリンダー内壁の間で形成される空隙部は、パッキンやオーリングなどの遮水手段によって対向流路管の軸線方向において遮断されるので、水は通らない。これにより、対向流路管の間で水漏れが生じることはない。
【0018】
また、点検ホースを接続具から取り外すと、弁部材は付勢力によって常態に戻り、通路によって各対向流路管が連通し、対向流路が形成される。このように、点検ホースの着脱時の動作によって、対向流路と交差流路の切り換えが自動的に行われるので、点検が簡単かつ確実にできる。
【0019】
遮水手段は、対向流路管の弁シリンダー側開口部のうち、流入側開口部の外側から、流出側開口部のうち流出側開口部の外側とは反対側の外側にかけて、対向流路管の軸線方向に対し垂直な部分または傾斜した部分を有するよう設けてあるものは、弁部材の外周部と弁シリンダー内壁の間で形成される空隙部を遮水手段によって対向流路管の軸線方向において遮断して水が通らないようにすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る弁装置の実施の形態を示す正面側の断面説明図、
図2は図1に示す弁装置のA−A部分に対応する断面図、
図3は図1に示す弁装置の弁部材を移動させて流路を切り換えた状態を示す断面説明図、
図4は図3に示す弁装置のB−B部分に対応する断面説明図である。
【0021】
弁装置Vは、弁シリンダー1と、対向流路管2、2aと、交差流路管3及び弁部材4を備えている。
本実施の形態に係る弁装置Vは、高速道路など各種道路の各所に設けられる消火栓の給水管として使用されるものである。対向流路管2、2aは、緊急時の給水管を構成し、交差流路管3は点検の際の点検管を構成する。対向流路管2、2aのうち、対向流路管2aが上流側になり、対向流路管2が下流側になる。
弁シリンダー1は円管状で、図において上端部は着脱可能な蓋体5で塞がれており、下端部は開口されている。弁シリンダー1の下側は、交差流路管3となっている。
【0022】
弁シリンダー1の中間部分には、弁シリンダー1と連通する対向流路管2、2aが相対向して設けられている。対向流路管2、2aは、軸線方向が同一である。一方の対向流路管2aの外端部には、取り付けのための取着フランジ20が設けてある。
弁シリンダー1の内壁部には、対向流路管2、2aが開口する部分より上部側と下部側の二箇所にゴム製のオーリング10が溝11に嵌め入れて設けてある。
【0023】
弁シリンダー1の内部には、外形がほぼ円柱形状の弁部材4が進退動(スライド)可能に収容されている。弁部材4の外周部には、ほぼ中間部と上下端部の三箇所に径大部40、40a、40bが設けてある。径大部40、40a、40b以外の部分は径小部41、41aとなっている。径大部40、40a、40bの間隔は、上記オーリング10、10の間隔と同じであり、径大部40、40a、40bはオーリング10表面に密着する。
なお、径大部40、40a、40bと径小部41、41aの境界部分には、面取部400が設けてあり、オーリング10を傷めにくいようにしている。
【0024】
弁部材4の上部側には、上記対向流路管2、2aを連通させるための通路42が周壁面を直径方向に貫通して設けてある。通路42は直線状で、内径は対向流路管2、2aの内径と同じに形成されている。
なお、径小部41aを設けない場合においては、オーリング10を傷めにくいように、通路42の両端部に面取部を設ける。これについては、次述の通路43の場合も同様である(通路43の場合は、側部開口部、つまり対向流路管2aにつながる側の開口部に設ければよい)。
弁部材4の下部側には、対向流路管2aと、後述する交差流路管3を連通させるための通路43が周壁面と下端面を貫通して設けてある。通路43はエルボー状で、内径は上記通路42と同様に対向流路管2、2aの内径と同じに形成されている。
【0025】
図において下側の径小部41aには、遮水手段を構成するオーリング44が取り付けられている。オーリング44は、径小部41aの左側では下端部に水平に巻かれ、右側でも同様に上端部に水平に巻かれており、それらの中間部分は湾曲部で連続して垂直に設けてある。オーリング44の上下方向における両端部は、それぞれ対向流路管2、2aの弁シリンダー1側開口部の外側、すなわち、オーリング10と対向流路管2、2aの開口縁の間に位置させてある(図2参照)。
【0026】
径小部41aのうちオーリング44の左側には、右方向からの液圧でオーリング44が左方へ変形しないようにバックアップする支持板45が嵌め込んである。支持板45は、径小部41aの形状に沿った曲板状である。支持板45は、両側の端辺部がオーリング44の垂直部を含む湾曲部に接して受けるようになっている。また、オーリング44の右側の最も高い水平部分の下部には、ずれ落ちないように支持ピン46が二本設けてある。なお、支持ピン46の数は特に限定するものではない。
【0027】
弁部材4の上端部には、中央部を挟んで二箇所に所要深さのバネ孔49が垂直に設けてある。
弁シリンダー1の上端部の蓋体5には、各バネ孔49に対応する位置の二箇所に、挿通ピン52が垂直に設けてある。各挿通ピン52には、圧縮コイルバネ53が嵌め入れてある。圧縮コイルバネ53は、蓋体5と各バネ孔49の孔底間に設けてあり、弁部材4を常時下方へ付勢している。
なお、弁部材4は、常態においては圧縮コイルバネ53の付勢力によって下方へ下がって下端部が、次述する接続具30の上端部に当たっており、通路43を介し対向流路管2、2aが連通し、これにより対向流路が形成されている。
【0028】
弁シリンダー1の下部に設けてある交差流路管3の下端の開口部には、取着環体32がネジ31によって着脱可能に取り付けてある。取着環体32には、点検ホース7を接続するための接続具30が、ネジ着してある。接続具30は、マチノ式といわれるもので、点検ホース7の基端部に設けてある接続具70とオスメスの関係で対を成すものである。ここでは、接続具30、70の詳細な説明は省略する。
【0029】
(作用)
図1ないし図4を参照して、本実施の形態に係る弁装置Vの作用を説明する。弁装置Vの対向流路管2、2aは、消火栓の給水管を構成しており、交差流路管3は点検管を構成している。消火栓は、定期的に水圧、流量などが規定値を満たしているかどうかを点検するようになっている。
【0030】
常態においては、弁部材4の通路42によって対向流路管2、2aが連通しており、対向流路が形成されている(図1参照)。対向流路は、軸線方向が直線状であるので、緊急時には対向流路を構成する給水管(図示省略)に接続される消火ホース(図示省略)に、圧力損失をそれほど生じることなく給水できる。
【0031】
点検時には、図1に示す状態の弁装置Vの接続具30に、点検ホース7を接続する。その際は、まず接続具30の先端開口部から所要長さの管体8(図2に仮想線で図示)を挿入する。そして、点検ホース7の接続具70で管体8を内部に押し込むようにして、接続具70を接続具30に接続する。
【0032】
弁部材4は管体8で押されて圧縮コイルバネ53の付勢力に抗して上方へ移動し、点検ホース7の接続が完了すると、所定の位置(通路43の開口部が右側の対向流路管2aの開口部に一致する位置)に位置する。これにより、通路43を介し対向流路管2aと弁シリンダー1の交差流路管3が連通し、通路43と対向流路管2a及び交差流路管3によって交差流路が形成されて、点検ホース7を使用した水圧、流量などの点検が可能になる。
【0033】
このとき、弁部材4の下部側の径小部41aが対向流路管2、2a間に位置しているが、径小部41aと弁シリンダー1内壁の間で形成される空隙部は、オーリング44によって対向流路2、2aの軸線方向において遮断され、オーリング44は支持板45でバックアップされるので、水は通らない。これにより、対向流路管2、2aの間で水漏れが生じることはなく、それによる圧力損失も生じない。
【0034】
また、給水管を構成する対向流路は軸線方向が直線状であり、点検管を構成する交差流路は軸線方向が交差し、交差角はほぼ直角である。このため、交差流路は、対向流路に比べて水が通るときの抵抗が大きく、圧力損失も大きい。
従って、交差流路で点検したときの水圧、流量などの測定値が基準値の範囲内にあれば、緊急時に使用される対向流路では、当然に基準値内にあることになる。よって、圧力損失を換算して補正する必要はなくなる。
なお、仮に上記図6に示す弁装置を消火栓の給水管用として使用した場合、緊急時に使用する給水管を構成する流路102、103を通る流路の方が圧力損失が大きく、流路103、104を通る流路で点検したときの測定値より水圧、流量などの数値が低くなるので、圧力損失を換算して補正しなければならず、煩雑な手間がかかる。
【0035】
点検ホース7を取り外すと、圧縮コイルバネ53の付勢力により弁部材4は自動的に下がって常態に戻り、通路42を介して対向流路管2、2aが連通し、対向流路が形成される。このように、点検ホース7の着脱操作に伴って、対向流路と交差流路の切り換えが簡単かつ確実にできる。また、手動の場合と相違して、点検後に点検に使用する交差流路から緊急時に使用する対向流路に切り換えるのを忘れるなどの問題も生じない。
【0036】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係る消火栓の給水管用弁装置及びそれを備えた消火栓は、次のような効果を有する。
(a)常態においては、弁部材の通路のうち各対向流路管を連通させる通路が有効になっており、各対向流路が通路を介し連通し、対向流路(緊急用の流路)が形成されている。対向流路は、対向流路管の軸線方向がずれていないので、弁部材の通路を、例えば直線状に形成すれば、通路内での圧力損失は極めて少なくなる。従って、対向流路によって水を効率よく送ることができ、水が通過するときの圧力損失が少ない対向流路管により給水のための流路を形成することができる。
【0038】
(b)点検を行うときには、接続具に点検ホースの接続具を押し込むようにして装着すれば、装着するときの動作によって動作伝達手段を介し弁部材が付勢力に抗して移動し、弁部材の通路のうち、対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路が有効となり、対向流路管の一と交差流路管を連通させた交差流路(点検流路)が形成される。
このとき、弁部材の対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路が設けてある部分の外周部と弁シリンダー内壁の間で形成される空隙部は、パッキンやオーリングなどの遮水手段によって対向流路管の軸線方向において遮断されるので、水は通らない。これにより、対向流路管の間で水漏れが生じることはなく、それによる圧力損失も生じない。
【0039】
(c)点検ホースを接続具から取り外すと、弁部材は付勢力によって常態に戻り、通路によって各対向流路管が連通し、対向流路が形成される。このように、点検ホースの着脱時の動作によって、対向流路と交差流路の切り換えが自動的に行われるので、点検が簡単かつ確実にできる。
【0040】
(d)交差流路は、対向流路に比べて水が通るときの抵抗が大きく、圧力損失も大きい。従って、交差流路で点検したときの水圧、流量などの測定値が基準値の範囲内にあれば、緊急時に使用される対向流路では、当然に基準値内にあることになる。よって、点検時において、圧力損失を換算して測定値を補正するという煩雑な手間がかからない。
【0041】
(e)遮水手段は、対向流路管の弁シリンダー側開口部のうち、流入側開口部の外側から、流出側開口部のうち流出側開口部の外側とは反対側の外側にかけて、対向流路管の軸線方向に対し垂直な部分または傾斜した部分を有するよう設けてあるものは、弁部材の外周部と弁シリンダー内壁の間で形成される空隙部を遮水手段によって対向流路管の軸線方向において遮断して水が通らないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る弁装置の実施の形態を示す正面側の断面説明図。
【図2】図1に示す弁装置のA−A部分に対応する断面図。
【図3】図1に示す弁装置の弁部材を移動させて流路を切り換えた状態を示す断面説明図。
【図4】図3に示す弁装置のB−B部分に対応する断面説明図。
【図5】従来の弁装置の一例(弁部材回転型)を示す正面側の断面説明図。
【図6】従来の消火栓用弁装置の一例を示す正面側の断面説明図。
【符号の説明】
V 弁装置
1 弁シリンダー
10 オーリング
11 溝
2、2a 対向流路管
20 取着フランジ
3 交差流路管
30 接続具
31 ネジ
32 取着環体
4 弁部材
40、40a、40b 径大部
400 面取部
41、41a 径小部
42 通路
43 通路
44 オーリング
45 支持板
46 支持ピン
49 バネ孔
5 蓋体
52 挿通ピン
53 圧縮コイルバネ
7 点検ホース
70 接続具
8 管体
【発明の属する技術分野】
本発明は消火栓の給水管用弁装置及びそれを備えた消火栓に関するものである。更に詳しくは、点検ホースを接続したり取り外す際の着脱操作により、緊急時に使用する流路と、点検時に使用する流路を自動的に切り換えることができるようにしたものに関する。また、弁部材の進退動によって二以上の流路を切り換えて形成できる消火栓の給水管用弁装置において、水が通過するときの圧力損失が少ない対向流路管により給水のための流路を形成することができるようにしたものに関する。
【0002】
【従来技術】
例えば、高速道路のトンネル内等、各種道路の各所に設けられる消火栓は、緊急時に放水できないということがないように、水圧、流量などが規定値を満たしているかどうかを定期的に点検することが義務付けられている。
消火栓のケース内に備え付けてある消火ホースは、緊急時に備えてあらかじめ給水管につながれている。そして、点検を行う際には、給水管につながれている消火ホースを延長し、ノズル先端部に水圧、水量などを測定する機器を取り付けて放水を行い、水圧、流量等を測定していた。
しかし、この方法では、点検後に消火ホースの洗浄をし、水抜きをしなければならず、更に収納のために巻き取る必要があった。これでは、一箇所の消火栓の点検に大変な手間がかかる。
【0003】
そこで、近年においては、給水管から分岐させて点検のための点検管を設けておき、給水管には消火ホースをつないだまま、点検管に点検用のホース(消火ホースと同じもの)を接続して点検をすることが行われている。この場合は、点検時に緊急用の流路から点検用の流路に切り換える必要があるため、弁装置が使用されている。このように流路を切り換えることができる弁装置としては、構造が簡単な、T字状の通路を有する弁部材が回転する構造のもの(図5参照)が一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記弁装置の場合は、操作を手動で行うことになるため、点検後に点検用の流路から緊急用の流路に戻すことを忘れてしまう可能性があった。万一、流路が緊急用の流路に戻っておらず点検用の流路のままである場合、消火ホースがつながれていない点検管から高圧の水が放水されてしまうので、非常に危険である。
また、緊急時に消火栓の操作を行うのは、多くは一般の人であるので、このような状況に際して、冷静に弁装置を操作して緊急用の流路に切り換えて放水を行うことは困難である。
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するための研究を進めていく中で、点検管に点検用のホースを着脱する際の動作に伴って弁装置を動かし、流路を自動的に切り換えることができれば上記課題が解消されることに着眼した。そのような弁装置としては、図6に示すような構造のものが考えられる。
すなわち、図6に示す弁装置の弁シリンダー100には、弁部材101が進退動可能に収容されている。弁シリンダー100には、軸線方向が互いに平行かつ段違いに設けられた流路管102、103が設けられている。また、弁シリンダー100の下側は流路管104を構成している。
【0006】
弁部材101の上部には、流路管102、103を連通させる通路105が設けられ、弁部材101の下部には流路管103と流路管104を連通させる通路106が設けられている。
また、弁シリンダー100の内壁部にはオーリング107が三箇所に設けられており、弁部材101にはオーリング107に対応する径大部108が三箇所に設けられている。弁部材101の径大部108以外は径小部109となっている。なお、この弁装置では、点検ホースの着脱動作に伴って弁部材101を外部から操作するようになっている。
【0007】
上記流路管102、103が軸線方向がずれているのは、仮に流路管102、103を相対向させると、弁部材101の外周部に径小部109が設けられる構造上、弁部材101を進退動させて交差する流路管に切り換えたときに、弁部材101の径小部109を通って、相対向する流路管間で液漏れが起こり、弁部材101のエルボー状の通路106における損失とも相まって、大きな圧力損失が生じるためである。
【0008】
しかし、この構造のために、次のような問題もある。すなわち、上記弁装置では、流路管102、103を対向させずに段違いにずらして中間のオーリング107で液漏れを防ぐ構造となっているので、弁部材101の通路105にエルボー部を二箇所に設ける必要がある。つまり、通路105を有効にして通路102、103で段違いの流路(緊急用の流路)を形成したときは、通路105における圧力損失が極めて大きい。
この場合の圧力損失は、上記エルボー部が一箇所に設けてある通路106を有効にして交差する流路(点検流路)を形成した場合より大きくなるので、緊急時に使用する流路の方が、点検時に使用する流路より圧力損失が大きくなり、実用的に問題がある。
本発明者は、このような問題を解決するべく更に鋭意研究を重ね、緊急時に使用する流路の圧力損失を小さくすることができる構造の本発明を完成するに至った。
【0009】
(本発明の目的)
本発明の目的は、点検ホースを接続したり取り外す際の着脱操作により、緊急時に使用する流路と、点検時に使用する流路を自動的に切り換えることができる消火栓の給水管用弁装置及びそれを使用した消火栓を提供することである。
本発明の他の目的は、水が通過するときの圧力損失が少ない対向流路管により緊急時に使用する流路を形成することができる消火栓の給水管用弁装置及びそれを使用した消火栓を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
弁部材の進退動によって流路を切り換える消火栓の給水管用弁装置であって、
弁シリンダーと、
弁シリンダーを挟んで軸線方向を同じにして相対向して設けてある対向流路管と、
対向流路管と軸線方向を所要の角度で交差して設けてある交差流路管と、
弁シリンダー内を進退動する弁部材と、
を備えており、
上記弁部材は、各対向流路管を連通させる通路と、対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路を有し、
上記弁部材は、常態においては各対向流路管を連通させた対向流路を形成する位置にあり、上記交差流路管に点検ホースを装着するときの動作によって移動し、対向流路管の上流側と交差流路管を連通させた交差流路が形成されるようにしてあることを特徴とする、
消火栓の給水管用弁装置である。
【0011】
第2の発明にあっては、
弁部材の進退動によって二以上の流路を切り換えて形成できる消火栓の給水管用弁装置であって、
弁シリンダーと、
弁シリンダーと交差して相対向して設けてある対向流路管と、
対向流路管と所要の角度で設けてある交差流路管と、
弁シリンダー内を進退動する弁部材と、
上記交差流路管に設けてあり点検ホースを接続するための接続具と、
接続具へ点検ホースを着脱するときの動作を上記弁部材に伝える動作伝達手段と、
を備えており、
上記弁部材は、各対向流路管を連通させる通路と、対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路を有し、
弁部材において、対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路が設けてある部分の外周部には、外周部と弁シリンダー内壁の間で形成される空隙部を対向流路管の軸線方向において遮断して水が通らないようにする遮水手段を有し、
弁部材は、常態においては各対向流路管を連通させた対向流路を形成する位置にあり、上記接続具に点検ホースを装着するときの動作によって弁部材が付勢力に抗して移動することにより、対向流路管の一と交差流路管を連通させた交差流路が形成されるようにしてあることを特徴とする、
消火栓の給水管用弁装置である。
【0012】
第3の発明にあっては、
遮水手段は、対向流路管の弁シリンダー側開口部のうち、流入側開口部の外側から、流出側開口部のうち流出側開口部の外側とは反対側の外側にかけて、対向流路管の軸線方向に対し垂直な部分または傾斜した部分を有するよう設けてあることを特徴とする、
第2の発明に係る消火栓の給水管用弁装置である。
【0013】
第4の発明にあっては、
弁シリンダーが交差流路管を構成していることを特徴とする、
第1、第2または第3の発明に係る消火栓の給水管用弁装置である。
【0014】
第5の発明にあっては、
第1、第2、第3または第4の発明に係る消火栓の給水管用弁装置を備えていることを特徴とする、
消火栓である。
【0015】
弁シリンダーと交差して相対向して設けてある対向流路管は、弁シリンダーの軸線方向と直角方向に設けてもよいし、所要角度で交差させて設けてもよい。
また、各対向流路管も軸線方向が同一直線上にあってもよいし、所要の角度をもって設けてもよい。
【0016】
(作用)
本発明に係る消火栓の給水管用弁装置及びそれを備えた消火栓は、次のように作用する。
常態においては、弁部材の通路のうち各対向流路管を連通させる通路が有効になっており、各対向流路が通路を介し連通し、対向流路(緊急用の流路)が形成されている。対向流路は、対向流路管の軸線方向がずれていないので、弁部材の通路を、例えば直線状に形成すれば、通路内での圧力損失は極めて少なくなる。従って、対向流路によって、水を効率よく送ることができる。
【0017】
点検を行うときには、接続具に点検ホースの接続具を押し込むようにして装着する。装着するときの動作によって動作伝達手段を介し弁部材が付勢力に抗して移動し、弁部材の通路のうち、対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路が有効となり、対向流路管の一と交差流路管を連通させた交差流路(点検流路)が形成される。
このとき、弁部材の対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路が設けてある部分の外周部と弁シリンダー内壁の間で形成される空隙部は、パッキンやオーリングなどの遮水手段によって対向流路管の軸線方向において遮断されるので、水は通らない。これにより、対向流路管の間で水漏れが生じることはない。
【0018】
また、点検ホースを接続具から取り外すと、弁部材は付勢力によって常態に戻り、通路によって各対向流路管が連通し、対向流路が形成される。このように、点検ホースの着脱時の動作によって、対向流路と交差流路の切り換えが自動的に行われるので、点検が簡単かつ確実にできる。
【0019】
遮水手段は、対向流路管の弁シリンダー側開口部のうち、流入側開口部の外側から、流出側開口部のうち流出側開口部の外側とは反対側の外側にかけて、対向流路管の軸線方向に対し垂直な部分または傾斜した部分を有するよう設けてあるものは、弁部材の外周部と弁シリンダー内壁の間で形成される空隙部を遮水手段によって対向流路管の軸線方向において遮断して水が通らないようにすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る弁装置の実施の形態を示す正面側の断面説明図、
図2は図1に示す弁装置のA−A部分に対応する断面図、
図3は図1に示す弁装置の弁部材を移動させて流路を切り換えた状態を示す断面説明図、
図4は図3に示す弁装置のB−B部分に対応する断面説明図である。
【0021】
弁装置Vは、弁シリンダー1と、対向流路管2、2aと、交差流路管3及び弁部材4を備えている。
本実施の形態に係る弁装置Vは、高速道路など各種道路の各所に設けられる消火栓の給水管として使用されるものである。対向流路管2、2aは、緊急時の給水管を構成し、交差流路管3は点検の際の点検管を構成する。対向流路管2、2aのうち、対向流路管2aが上流側になり、対向流路管2が下流側になる。
弁シリンダー1は円管状で、図において上端部は着脱可能な蓋体5で塞がれており、下端部は開口されている。弁シリンダー1の下側は、交差流路管3となっている。
【0022】
弁シリンダー1の中間部分には、弁シリンダー1と連通する対向流路管2、2aが相対向して設けられている。対向流路管2、2aは、軸線方向が同一である。一方の対向流路管2aの外端部には、取り付けのための取着フランジ20が設けてある。
弁シリンダー1の内壁部には、対向流路管2、2aが開口する部分より上部側と下部側の二箇所にゴム製のオーリング10が溝11に嵌め入れて設けてある。
【0023】
弁シリンダー1の内部には、外形がほぼ円柱形状の弁部材4が進退動(スライド)可能に収容されている。弁部材4の外周部には、ほぼ中間部と上下端部の三箇所に径大部40、40a、40bが設けてある。径大部40、40a、40b以外の部分は径小部41、41aとなっている。径大部40、40a、40bの間隔は、上記オーリング10、10の間隔と同じであり、径大部40、40a、40bはオーリング10表面に密着する。
なお、径大部40、40a、40bと径小部41、41aの境界部分には、面取部400が設けてあり、オーリング10を傷めにくいようにしている。
【0024】
弁部材4の上部側には、上記対向流路管2、2aを連通させるための通路42が周壁面を直径方向に貫通して設けてある。通路42は直線状で、内径は対向流路管2、2aの内径と同じに形成されている。
なお、径小部41aを設けない場合においては、オーリング10を傷めにくいように、通路42の両端部に面取部を設ける。これについては、次述の通路43の場合も同様である(通路43の場合は、側部開口部、つまり対向流路管2aにつながる側の開口部に設ければよい)。
弁部材4の下部側には、対向流路管2aと、後述する交差流路管3を連通させるための通路43が周壁面と下端面を貫通して設けてある。通路43はエルボー状で、内径は上記通路42と同様に対向流路管2、2aの内径と同じに形成されている。
【0025】
図において下側の径小部41aには、遮水手段を構成するオーリング44が取り付けられている。オーリング44は、径小部41aの左側では下端部に水平に巻かれ、右側でも同様に上端部に水平に巻かれており、それらの中間部分は湾曲部で連続して垂直に設けてある。オーリング44の上下方向における両端部は、それぞれ対向流路管2、2aの弁シリンダー1側開口部の外側、すなわち、オーリング10と対向流路管2、2aの開口縁の間に位置させてある(図2参照)。
【0026】
径小部41aのうちオーリング44の左側には、右方向からの液圧でオーリング44が左方へ変形しないようにバックアップする支持板45が嵌め込んである。支持板45は、径小部41aの形状に沿った曲板状である。支持板45は、両側の端辺部がオーリング44の垂直部を含む湾曲部に接して受けるようになっている。また、オーリング44の右側の最も高い水平部分の下部には、ずれ落ちないように支持ピン46が二本設けてある。なお、支持ピン46の数は特に限定するものではない。
【0027】
弁部材4の上端部には、中央部を挟んで二箇所に所要深さのバネ孔49が垂直に設けてある。
弁シリンダー1の上端部の蓋体5には、各バネ孔49に対応する位置の二箇所に、挿通ピン52が垂直に設けてある。各挿通ピン52には、圧縮コイルバネ53が嵌め入れてある。圧縮コイルバネ53は、蓋体5と各バネ孔49の孔底間に設けてあり、弁部材4を常時下方へ付勢している。
なお、弁部材4は、常態においては圧縮コイルバネ53の付勢力によって下方へ下がって下端部が、次述する接続具30の上端部に当たっており、通路43を介し対向流路管2、2aが連通し、これにより対向流路が形成されている。
【0028】
弁シリンダー1の下部に設けてある交差流路管3の下端の開口部には、取着環体32がネジ31によって着脱可能に取り付けてある。取着環体32には、点検ホース7を接続するための接続具30が、ネジ着してある。接続具30は、マチノ式といわれるもので、点検ホース7の基端部に設けてある接続具70とオスメスの関係で対を成すものである。ここでは、接続具30、70の詳細な説明は省略する。
【0029】
(作用)
図1ないし図4を参照して、本実施の形態に係る弁装置Vの作用を説明する。弁装置Vの対向流路管2、2aは、消火栓の給水管を構成しており、交差流路管3は点検管を構成している。消火栓は、定期的に水圧、流量などが規定値を満たしているかどうかを点検するようになっている。
【0030】
常態においては、弁部材4の通路42によって対向流路管2、2aが連通しており、対向流路が形成されている(図1参照)。対向流路は、軸線方向が直線状であるので、緊急時には対向流路を構成する給水管(図示省略)に接続される消火ホース(図示省略)に、圧力損失をそれほど生じることなく給水できる。
【0031】
点検時には、図1に示す状態の弁装置Vの接続具30に、点検ホース7を接続する。その際は、まず接続具30の先端開口部から所要長さの管体8(図2に仮想線で図示)を挿入する。そして、点検ホース7の接続具70で管体8を内部に押し込むようにして、接続具70を接続具30に接続する。
【0032】
弁部材4は管体8で押されて圧縮コイルバネ53の付勢力に抗して上方へ移動し、点検ホース7の接続が完了すると、所定の位置(通路43の開口部が右側の対向流路管2aの開口部に一致する位置)に位置する。これにより、通路43を介し対向流路管2aと弁シリンダー1の交差流路管3が連通し、通路43と対向流路管2a及び交差流路管3によって交差流路が形成されて、点検ホース7を使用した水圧、流量などの点検が可能になる。
【0033】
このとき、弁部材4の下部側の径小部41aが対向流路管2、2a間に位置しているが、径小部41aと弁シリンダー1内壁の間で形成される空隙部は、オーリング44によって対向流路2、2aの軸線方向において遮断され、オーリング44は支持板45でバックアップされるので、水は通らない。これにより、対向流路管2、2aの間で水漏れが生じることはなく、それによる圧力損失も生じない。
【0034】
また、給水管を構成する対向流路は軸線方向が直線状であり、点検管を構成する交差流路は軸線方向が交差し、交差角はほぼ直角である。このため、交差流路は、対向流路に比べて水が通るときの抵抗が大きく、圧力損失も大きい。
従って、交差流路で点検したときの水圧、流量などの測定値が基準値の範囲内にあれば、緊急時に使用される対向流路では、当然に基準値内にあることになる。よって、圧力損失を換算して補正する必要はなくなる。
なお、仮に上記図6に示す弁装置を消火栓の給水管用として使用した場合、緊急時に使用する給水管を構成する流路102、103を通る流路の方が圧力損失が大きく、流路103、104を通る流路で点検したときの測定値より水圧、流量などの数値が低くなるので、圧力損失を換算して補正しなければならず、煩雑な手間がかかる。
【0035】
点検ホース7を取り外すと、圧縮コイルバネ53の付勢力により弁部材4は自動的に下がって常態に戻り、通路42を介して対向流路管2、2aが連通し、対向流路が形成される。このように、点検ホース7の着脱操作に伴って、対向流路と交差流路の切り換えが簡単かつ確実にできる。また、手動の場合と相違して、点検後に点検に使用する交差流路から緊急時に使用する対向流路に切り換えるのを忘れるなどの問題も生じない。
【0036】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係る消火栓の給水管用弁装置及びそれを備えた消火栓は、次のような効果を有する。
(a)常態においては、弁部材の通路のうち各対向流路管を連通させる通路が有効になっており、各対向流路が通路を介し連通し、対向流路(緊急用の流路)が形成されている。対向流路は、対向流路管の軸線方向がずれていないので、弁部材の通路を、例えば直線状に形成すれば、通路内での圧力損失は極めて少なくなる。従って、対向流路によって水を効率よく送ることができ、水が通過するときの圧力損失が少ない対向流路管により給水のための流路を形成することができる。
【0038】
(b)点検を行うときには、接続具に点検ホースの接続具を押し込むようにして装着すれば、装着するときの動作によって動作伝達手段を介し弁部材が付勢力に抗して移動し、弁部材の通路のうち、対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路が有効となり、対向流路管の一と交差流路管を連通させた交差流路(点検流路)が形成される。
このとき、弁部材の対向流路管の一と交差流路管を連通させる通路が設けてある部分の外周部と弁シリンダー内壁の間で形成される空隙部は、パッキンやオーリングなどの遮水手段によって対向流路管の軸線方向において遮断されるので、水は通らない。これにより、対向流路管の間で水漏れが生じることはなく、それによる圧力損失も生じない。
【0039】
(c)点検ホースを接続具から取り外すと、弁部材は付勢力によって常態に戻り、通路によって各対向流路管が連通し、対向流路が形成される。このように、点検ホースの着脱時の動作によって、対向流路と交差流路の切り換えが自動的に行われるので、点検が簡単かつ確実にできる。
【0040】
(d)交差流路は、対向流路に比べて水が通るときの抵抗が大きく、圧力損失も大きい。従って、交差流路で点検したときの水圧、流量などの測定値が基準値の範囲内にあれば、緊急時に使用される対向流路では、当然に基準値内にあることになる。よって、点検時において、圧力損失を換算して測定値を補正するという煩雑な手間がかからない。
【0041】
(e)遮水手段は、対向流路管の弁シリンダー側開口部のうち、流入側開口部の外側から、流出側開口部のうち流出側開口部の外側とは反対側の外側にかけて、対向流路管の軸線方向に対し垂直な部分または傾斜した部分を有するよう設けてあるものは、弁部材の外周部と弁シリンダー内壁の間で形成される空隙部を遮水手段によって対向流路管の軸線方向において遮断して水が通らないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る弁装置の実施の形態を示す正面側の断面説明図。
【図2】図1に示す弁装置のA−A部分に対応する断面図。
【図3】図1に示す弁装置の弁部材を移動させて流路を切り換えた状態を示す断面説明図。
【図4】図3に示す弁装置のB−B部分に対応する断面説明図。
【図5】従来の弁装置の一例(弁部材回転型)を示す正面側の断面説明図。
【図6】従来の消火栓用弁装置の一例を示す正面側の断面説明図。
【符号の説明】
V 弁装置
1 弁シリンダー
10 オーリング
11 溝
2、2a 対向流路管
20 取着フランジ
3 交差流路管
30 接続具
31 ネジ
32 取着環体
4 弁部材
40、40a、40b 径大部
400 面取部
41、41a 径小部
42 通路
43 通路
44 オーリング
45 支持板
46 支持ピン
49 バネ孔
5 蓋体
52 挿通ピン
53 圧縮コイルバネ
7 点検ホース
70 接続具
8 管体
Claims (5)
- 弁部材の進退動によって流路を切り換える消火栓の給水管用弁装置であって、
弁シリンダー(1)と、
弁シリンダー(1)を挟んで軸線方向を同じにして相対向して設けてある対向流路管(2,2a)と、
対向流路管(2,2a)と軸線方向を所要の角度で交差して設けてある交差流路管(3)と、
弁シリンダー(1)内を進退動する弁部材(4)と、
を備えており、
上記弁部材(4)は、各対向流路管(2,2a)を連通させる通路(42)と、対向流路管(2,2a)の一と交差流路管(3)を連通させる通路(43)を有し、
上記弁部材(4)は、常態においては各対向流路管(2,2a)を連通させた対向流路を形成する位置にあり、上記交差流路管(3)に点検ホースを装着するときの動作によって移動し、対向流路管(2,2a)の上流側と交差流路管(3)を連通させた交差流路が形成されるようにしてあることを特徴とする、
消火栓の給水管用弁装置。 - 弁部材の進退動によって二以上の流路を切り換えて形成できる消火栓の給水管用弁装置であって、
弁シリンダー(1)と、
弁シリンダー(1)と交差して相対向して設けてある対向流路管(2,2a)と、
対向流路管(2,2a)と所要の角度で設けてある交差流路管(3)と、
弁シリンダー(1)内を進退動する弁部材(4)と、
上記交差流路管(3)に設けてあり点検ホースを接続するための接続具(30)と、
接続具(30)へ点検ホースを着脱するときの動作を上記弁部材(4)に伝える動作伝達手段と、
を備えており、
上記弁部材(4)は、各対向流路管(2,2a)を連通させる通路(42)と、対向流路管(2,2a)の一と交差流路管(3)を連通させる通路(43)を有し、
弁部材(4)において、対向流路管(2,2a)の一と交差流路管(3)を連通させる通路(43)が設けてある部分の外周部には、外周部と弁シリンダー(1)内壁の間で形成される空隙部を対向流路管(2,2a)の軸線方向において遮断して水が通らないようにする遮水手段を有し、
弁部材(4)は、常態においては各対向流路管(2,2a)を連通させた対向流路を形成する位置にあり、上記接続具(30)に点検ホースを装着するときの動作によって弁部材(4)が付勢力に抗して移動することにより、対向流路管(2,2a)の一と交差流路管(3)を連通させた交差流路が形成されるようにしてあることを特徴とする、
消火栓の給水管用弁装置。 - 遮水手段は、対向流路管(2,2a)の弁シリンダー(1)側開口部のうち、流入側開口部の外側から、流出側開口部のうち流出側開口部の外側とは反対側の外側にかけて、対向流路管(2,2a)の軸線方向に対し垂直な部分または傾斜した部分を有するよう設けてあることを特徴とする、
請求項2記載の消火栓の給水管用弁装置。 - 弁シリンダー(1)が交差流路管(3)を構成していることを特徴とする、
請求項1、2または3記載の消火栓の給水管用弁装置。 - 請求項1、2、3または4記載の消火栓の給水管用弁装置を備えていることを特徴とする、
消火栓。
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