上述のように、雌ルアーコネクターには、常閉型の弁機構が搭載されたものが知られているが、雄ルアーコネクターにはこのような弁機構は搭載されていない。これは、雄ルアーコネクターを雌ルアーコネクターに接続する前に、雄ルアーコネクター内の流路を流通すべき液体で充填させる事前処理(プライミング)が必要であり、もし雄ルアーコネクターの先端に弁機構が取り付けられていると、このプライミングができなくなるからである。
上記のような事情から、雄ルアーコネクターは常時開放されている。したがって、雄ルアーコネクターの先端開口に菌が繁殖するおそれがあった。また、実際のプライミングにおいては、雄ルアーコネクターに完全に薬液を充填させるために、雄ルアーコネクターの先端開口から薬液がこぼれるまで充填し、こぼれた段階で充填を停止させるようにしていた。このため、こぼれる分の薬液が無駄に消費されていた。また、プライミングにおいて雄ルアーコネクターから薬液がこぼれたところに菌が繁殖するおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたのもので、外部にこぼれた薬液などが付着して菌が繁殖するおそれの少ない雄ルアーコネクター、または、プライミングに使用する液体を無駄に消費することなくプライミングが実行でき、且つ、付着した薬液によって菌が繁殖するおそれの少ない雄ルアーコネクターを提供することを、その目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明に係る雄ルアーコネクターの特徴は、一方の管体と他方の管体との接続に用いられ、前記一方の管体に連結されるとともに、前記他方の管体に連結された雌ルアーコネクターに対して着脱可能に接続される雄ルアーコネクターにおいて、第一開口および、外周面に形成された第二開口を備え、前記第一開口にて前記一方の管体に連通する流路が内部に形成される本体管と、円筒状に形成されるとともに前記本体管の外周に装着され、前記第二開口を閉塞および開放できるように前記本体管の外周を移動可能とされるとともに、前記雌ルアーコネクターに形成されたテーパー状の内壁に液密的に当接可能なテーパー状の外壁を有する雄ルアー部材と、前記雄ルアー部材に形成され、前記雄ルアー部材の前記外壁が前記雌ルアーコネクターの前記内壁と液密的に当接していないときに前記第二開口を閉塞し、前記雄ルアー部材の前記外壁が前記雌ルアーコネクターの前記内壁と液密的に当接しているときに前記第二開口を開放して前記流路と前記雌ルアーコネクターとを連通する弁手段と、前記本体管に形成された開口であって前記流路を外部に連通させる気体抜き用開口に取り付けられ、気体を透過させるとともに液体を透過させないフィルターと、前記雄ルアー部材の前記外壁が前記雌ルアーコネクターの前記内壁と液密的に当接していないときに前記第二開口が開放するように、前記雄ルアー部材あるいは前記本体管を移動操作する操作手段と、備えるものとしたことである。
上記した本発明によれば、雄ルアーコネクターは、雄ルアー部材と、本体管と、弁手段とを備える。また、本体管は内部に流路が形成されており、流路の一端につながる第一開口と、他方につながる第二開口を有している。本体管の外周には、テーパー状の外壁を有する雄ルアー部材が装着される。雄ルアー部材のテーパー状の外壁(テーパー状外壁)に形成されたテーパー形状は、雌ルアーコネクターに形成されるテーパー状の内壁(テーパー状内壁)のテーパー形状に対応しており、そのテーパー角度および径がほぼ同一となる部分を有する。したがって、雄ルアー部材は、そのテーパー状外壁で、雌ルアーコネクターのテーパー状内壁に液密的に当接可能とされる。
そして、弁手段は、雄ルアー部材のテーパー状外壁が雌ルアーコネクターのテーパー状内壁に当接していないときは、第二開口を閉塞している。したがって、雄ルアーコネクターが雌ルアーコネクターに結合されていない単独の状態では、第二開口は弁手段によって閉塞されているため、この第二開口から流路内の液体がこぼれることはない。よって、外部に薬液などがこぼれたりして雄ルアーコネクターの外表面に付着し、付着部分から菌が繁殖するようなことを、防止できる。
さらに、弁手段は、雄ルアー部材のテーパー状外壁が雌ルアーコネクターのテーパー状内壁に液密的に当接しているときは、第二開口部を開放して、本体管に形成された流路と雌ルアーコネクターとを連通する。このため、雄ルアーコネクターに接続された一方の管体と雌ルアーコネクターに接続された他方の管体とが接続され、一方の管体と他方の管体との間で流体の流通が成される。このように、本発明の雄ルアーコネクターは、雌ルアーコネクターと結合していない単独のときは、外部に薬液などがこぼれない仕様のため、薬液が付着して菌が繁殖することを極力抑えることができ、かつ、雌ルアーコネクターと結合されたときは、流路が開通されてコネクターとしての機能を適格に果たすものである。
また、前記本体管には、前記流路を外部に連通させる気体抜き用開口が形成されており、前記気体抜き用開口には、気体を透過させるとともに液体を透過させないフィルターが取り付けられている。
このような構成とすることにより、プライミングによって、気体抜き用開口から本体管内の流路空間に存在するエアーなどの気体を外部に放出させることができる。このとき、気体抜き用開口には、気体透過性であり且つ液体非透過性のフィルターが取り付けられているため、プライミング中に気体抜き用開口を通じて本体管内の液体が外部に漏れ出すことはない。なお、プライミングは、雄ルアーコネクターが雌ルアーコネクターと結合していないときに行われるため、第二開口は弁手段によって閉塞されている。したがって、第二開口から液体が漏れることはない。よって、液体がこぼれることがなく、液体を無駄に消費することなくプライミングを実行することができる。さらに、第二開口および気体抜き用開口から液体がこぼれることもないので、こぼれた液体で菌の繁殖が起こることもない。
また、本発明において、弁手段を雄ルアー部材に形成した構成とすることもできる。あるいは、雄ルアー部材に弁手段としての機能を持たせるように構成することもできる。すなわち、前記雄ルアー部材は、前記雄ルアー部材の外壁が前記雌ルアーコネクターの前記内壁と液密的に当接していないときに前記第二開口を閉塞し、前記雄ルアー部材の前記外壁が前記雌ルアーコネクターの前記内壁と液密的に当接しているときに前記第二開口を開放して前記流路と前記雌ルアーコネクターとを連通するものであってもよい。このように構成すれば、本発明の作用効果を奏する雄ルアーコネクターを構成する部品として、本体管と弁機能付の雄ルアー部材のみの構成で足り、別途弁手段を設けなくてもよい。したがって、低コストにて雄ルアーコネクターを製造することができる。この場合、前記第二開口は前記本体管の外周面に形成され、前記雄ルアー部材は、前記第二開口を閉塞および開放できるように前記本体管の外周を移動可能とされるものであるとよい。雄ルアー部材は本体管の外周に装着されているので、弁手段で閉塞すべき第二開口を本体管の外周面に形成し、且つ雄ルアー部材をこの第二開口を閉塞および開放できるように移動可能な構成とすることによって、雄ルアー部材の構造を特に変更することなく雄ルアー部材に弁手段としての機能を持たせることができ、より便宜である。
さらにこのとき、前記雄ルアー部材の前記外壁が前記雌ルアーコネクターの前記内壁に当接した状態で前記雌ルアーコネクターが移動することによって、前記雄ルアー部材が前記第二開口を開放する方向に移動するように構成するとよい。このように構成すれば、雄ルアーコネクターのテーパー状外壁と雌ルアーコネクターのテーパー状内壁との当接状態を維持させるように、雌ルアーコネクターを雄ルアーコネクターに近づける方向に移動させるのみで、上記当接が維持されるとともに、雄ルアー部材も移動して第二開口が開放される。このため、別途雄ルアー部材を移動させて第二開口を開放させるための構成を要しない。
この場合、前記雄ルアー部材が前記第二開口を閉塞するように、前記雄ルアー部材を付勢する付勢手段をさらに備えるものであるとよい。このように構成すれば、雄ルアーコネクターが雌ルアーコネクターに結合されていないときに、上記付勢手段の付勢力によって雄ルアー部材が第二開口を閉塞する状態が維持される。このため、プライミング時などに確実に第二開口から薬液などがこぼれることを防止できる。
前記付勢手段は、前記本体管の外周を覆うように配設された蛇腹部材であると、よりよい。付勢手段を蛇腹状の部材で構成することにより、この蛇腹状の部材が付勢力に抗した力を受けて変形しても、場所を取ることなく折り畳まれるため、付勢手段の取り付けスペースに苦慮することなく取り付けることが可能となる。また、折り畳まれるときの折れ目が常に同じ部分であり、折りたたみ癖がついているので、破損しにくい。このため、付勢手段の信頼性を向上させることができる。また、バネ部品を用いずに付勢手段を構成することができる。
また、本発明の雄ルアーコネクターは、前記雄ルアー部材の外周に回転可能に取り付けられ、内周側にネジ部が形成されたロック部材を備えるものとし、前記ロック部材と雌ルアーコネクターとを螺合接続することによって、前記雌ルアーコネクターが雄ルアーコネクターに結合されるようにするとよい。ルアーコネクターは、通常雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとが着脱可能に結合されるため、何かの拍子にこの結合が解かれてしまうおそれがある。この点につき、上記構成によれば、雌ルアーコネクターがロック部材で雄ルアーコネクターに螺合接続されているので、確実に雌ルアーコネクターと雄ルアーコネクターとを結合させておくことができる。
また、ロック部材を回転させると、雌ルアーコネクターが雄ルアーコネクターに対して螺合接続されるとともに、雄ルアーコネクターに近づく方向に移動する。ここで、雄ルアー部材のテーパー状外壁と雌ルアーコネクターのテーパー状内壁とが当接するように雌ルアーコネクターが移動する方向と、雄ルアー部材が第二開口を開放させるように移動する方向とを、このロック部材の回転による雌ルアーコネクターの移動方向と同じ方向とすることにより、ロックリングを回転させるのみで、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとの結合が成されるとともに、この結合(テーパー状外壁とテーパー状内壁との係合)が維持された状態で、雄ルアー部材が移動して第二開口の開放を行うことができる。つまり、ロック部材の回転動作のみで、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターの結合、および、第二開口の開放を行うことができる。
また、前記気体抜き用開口は、前記本体管の端面に形成されているとよい。気体抜き用開口を本体管の端面に形成することにより、本体管の全領域に滞留する気体を端面に集め、ここから外部に除去することができる。このため、プライミング操作によってほとんどの気体を除去することができる。
また、前記気体抜き用開口は、前記本体管の外周面に形成されているものとしてもよい。気体抜き用開口が本体管の外周面に形成されていれば、この気体抜き用開口に取り付けられるフィルターも、本体管の外周面に取り付けられる。このため、フィルターを用いて気体(エアー)抜きを行う場合、フィルターには径方向に均等に気体の圧力が作用するため、十分に圧力を分散でき、局所的に圧力がかかる部分はない。このため、フィルターの信頼性を向上させることができる。
また、前記第二開口で前記気体抜き用開口を共用することもできる。つまり、第二開口と気体抜き用開口とを同一の開口とすることもできる。このようにすれば、開口を別々に形成する必要がなく、成形コストを低減させることができる。ここで、気体抜き用開口にはフィルターが取り付けられるが、このフィルターは液体を透過しないので、このような構成を採用した場合、本体管内の流路内の液体がフィルターに邪魔されて外部に流出できないことになる。このような問題に対しては、第二開口から液体を流出させる際(例えば、雄ルアー部材のテーパー状外壁と雌ルアーコネクターのテーパー状内壁とが当接して、本体管の流路と雌ルアーコネクターとが連通した際)に、第二開口(気体抜き用開口)からフィルターを除去するような構成を採用すればよい。
この場合、雄ルアー部材がフィルターおよび弁手段を兼用する構成が好適である。このような構成とすれば、雄ルアー部材がフィルターとして気体抜き用開口に取り付けられるとともに、弁手段として第二開口を閉塞・開放する。このため、第二開口から液体を流出させる際には、弁手段としての雄ルアー部材が移動して第二開口が開放されるので、液体は第二開口を通って流出可能となる。
また、前記雄ルアー部材は、弾性材料により成形されているとよい。雄ルアー部材を弾性材料で成形することにより、雌ルアーコネクターとの密着力が向上し、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとを結合したときに、より外れにくくなる。
また、前記雄ルアー部材には、前記フィルターが一体的に形成されている構成、または前記ルアー部材自体がフィルターである構成であると、なおよい。雄ルアー部材がフィルターを兼用することにより、別途フィルターを設けることを要しないので、より低コストで雄ルアーコネクターを製造することができる。また、雄ルアー部材にフィルターを一体的に形成する場合、雄ルアー部材は多孔性材料により成形されるものであるとよい。雄ルアー部材を多孔性材料、例えば空隙を内部に有するプラスチック材料などの多孔質樹脂のようなものとすれば、簡単な構成で且つ低コストに雄ルアー部材を製造することができる。
また、前記本体管は、前記第一開口を有する接続口部と、前記第二開口を有するとともに外周に前記雄ルアー部材が装着された導管部とを備え、前記接続口部と前記導管部とが分離して形成され、さらに導管部は、前記雄ルアー部材に対して前記第二開口を閉塞および開放するように移動可能に構成されているとよい。本体管が接続口部と導管部とに分離して形成されているため、導管部のみが単独で移動可能とされる。この場合、導管部のみの単独移動で第二開口を閉塞および開放することにより雄ルアーコネクターが雌ルアーコネクターに結合されていないときでも、導管部を移動して第二開口部を開放することができる。このため、例えば雄ルアーコネクターを雌ルアーコネクターに結合していないときに流路内の流体を外部に放出したいような場合、この導管部を移動させて放出させることができる。なお、この場合には、導管部の移動によって本体管内の流路から流体が外部に漏れないように、導管部の摺動部分にOリングなどのシール部材を設けておくとよい。
また、本発明の雄ルアーコネクターは、前記本体管内の流路と前記一方の管体内の流路とを連通するように前記本体管と前記一方の管体との間に配設され、軸方向に伸縮可能な伸縮部材を有するものであるとよい。この場合、前記伸縮部材は、前記本体管に対する前記雄ルアー部材の移動に連動して伸縮するものであるとよい。
雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとの結合を解除する場合、雌ルアーコネクター内から雄ルアー部材が引き抜かれることによって、雌ルアーコネクター内の空間が陰圧になる。雌ルアーコネクター内の空間が陰圧になると、雌ルアーコネクターに連結した管体内の液体が逆流してしまう。この逆流は好ましくない。この点につき、上記発明においては、本体管内の流路と管体内の流路とを連通するように伸縮部材が配設されているので、雌ルアーコネクター内から雄ルアー部材を引き抜く際に伸縮部材を収縮させることによって、伸縮部材内の空間に充填されている液体を本体管側に流し、本体管の第二開口側からこの液体を吐出させることができる。このようにして第二開口から吐出された液体は順方向の流れを形成するので、逆流の発生が防止される。
ここで、雌ルアーコネクターと雄ルアーコネクターとの結合が解除するときには、雄ルアー部材が本体管の外周を軸方向に移動して第二開口を閉塞する動作が伴うので、この雄ルアー部材の本体管に対する移動動作に連動して伸縮部材が伸縮するようにしておけば、雌ルアーコネクターから雄ルアー部材を引き抜くときに自動的に伸縮部材が収縮されて第二開口から液体を吐出することができる。よって、逆流の発生が自動的に防止される。この場合、伸縮部材は、雄ルアー部材が第二開口を閉塞する方向に移動するときに収縮し、開放する方向に移動するときに伸張するようにしておくとよい。
(第一実施形態)
以下、本発明に係る雄ルアーコネクターについて、図面を用いて詳しく説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る雄ルアーコネクターの正面図、図2は平面図、図3は図2におけるA−A断面図である。図において、雄ルアーコネクター100は、本体管110と、雄ルアー部材120と、ロックリング130とを備えて構成されている。
本体管110は、細長の段付円筒状に形成されており、内部に流路115が形成されている。この流路115は、図3に示すように、直線状の流路軸Lを持って形成される。また、本体管110は、接続口部111、連結部112および導管部113を備えて構成されている。接続口部111は、図3において本体管110の右側の部分を形成するものであり、流路軸Lを軸とした円筒形状に形成されている。この接続口部111は、管体としての医療用チューブなどが取り付けられて、医療用チューブからの液体を本体管110内の流路115に送るための接続ポートである。
導管部113は、図3に示すように本体管110の図示左側の部分に形成され、流路軸Lを軸とした中空円筒状に形成されている。また、導管部113の図3において右側には、連結部112が形成されている。連結部112の外径は、導管部113の外径よりも大きくされている。したがって、導管部113と連結部112との間には、段差部114が形成されている。また、連結部112は、導管部113と同軸的となるように、流路軸Lを軸とした円筒形状に形成される。
本体管110内の流路115は、接続口部111、連結部112および導管部113を貫通して形成されている。本体管110の接続口部111側には、流路115の一端につながる第一開口111aが形成される。また、導管部113側には、流路115の他端につながるエアー抜き用開口113bが形成される。さらに図に示すように、導管部113には、上記エアー抜き用開口113bの近傍であり、且つ導管部113の外周面に、第二開口113aが形成される。この第二開口113aは、導管部113の外周面に一つまたは複数形成されている。
雄ルアー部材120は、段付円筒形状に形成され、流路軸Lが中心軸となるように、本体管110の導管部113の外周に装着されている。また、雄ルアー部材120には、先端部121、雄側テーパー部122、基部123が形成されている。先端部121は、図3において雄ルアー部材120の左端の部分を形成する。この先端部121の図示左端には開口121aが形成される。雄側テーパー部122は、先端部121の右側に連なった部分である。雄側テーパー部122の右側には、基部123が形成されている。基部123の外径は、雄側テーパー部122の右端部の外径よりも大きくされている。したがって、雄側テーパー部122と基部123との間には、流路軸Lに対して径方向外方に放射状に延びた段差部124が形成される。
雄側テーパー部122は、その外周面の外径が図3において右方から左方に行くにつれて小さくなる先細り状のテーパー形状とされたテーパー状外壁122aを有する。なお、このテーパー状外壁122aのテーパー角および径は、規格によりほぼ統一されているものである。一方、雄側テーパー部122の内周面の内径は、流路軸L方向にほぼ均一とされている。
図4は、雄ルアーコネクター100の先端部(図3において左端側の部分)の拡大図である。雄ルアー部材120の先端部121は、図において右方から左方に行くにつれて内径が僅かに大きくなるように逆テーパー状に形成された逆テーパー状内壁121bを有している。したがって、先端部121の内径は、雄側テーパー部122との境において最も内径が小さい最小内径Dminとされている。また、雄側テーパー部122の内径は、上記最小内径Dminとほぼ等しい径で軸L方向に均一にされている。
一方、本体管110の導管部113の図4において左端側の外周は、図において右方から左方に行くにつれて外径が僅かに大きくなるような逆テーパー状に形成された逆テーパー状外壁113cを持つ。この逆テーパー状外壁113cの逆テーパー形状は、逆テーパー状内壁121bの逆テーパー形状に対応する部分を持つ。なお、逆テーパー状外壁113cは、雄ルアー部材120の先端部121に対応する部分のみに(図4において導管部113の左端側の部分のみ)に形成されており、その最小外径は上記最小内径Dminと等しいものとされる。また、導管部113において、逆テーパー状外壁113cよりも図示右側の部分の外径は、上記最小外径と等しい径で軸L方向に均一にされる。
したがって、これらの逆テーパー状内壁121bと逆テーパー状外壁113cとが係合状態となった場合、双方がこれ以上近づく方向の移動は規制される。すなわち、本体管110が雄ルアー部材120に対して図4において右方向へ移動する動作、または雄ルアー部材120が本体管110に対して図4において左方向へ移動する動作が規制される。ただし、双方が離間する方向、すなわち、本体管110が雄ルアー部材120に対して図4において左方向へ移動する動作、または雄ルアー部材120が本体管110に対して図4において右方向へ移動する動作は許容される。
また、逆テーパー状内壁121bと逆テーパー状外壁113cとが係合した状態では、これらのテーパー状の壁面は、互いに摺接している状態とされている。このとき、雄側テーパー部122の内壁面は、導管部113の外壁面に当接される。したがって、導管部113に形成された第二開口113aは、雄側テーパー部122の内壁面および逆テーパー状内壁121bに覆い隠され、閉塞された状態となっている。よって、図4に示す状態においては、本体管110の流路115内の液体が、第二開口113aから外部にこぼれることはない。
図3に示すように、雄ルアー部材120の基部123は、雄側テーパー部122から段差部124によって拡径されている。このため、基部123と本体管110の導管部113との間には、円筒状の空間が形成される。この円筒状の空間の内部には、円筒形状の蛇腹部材140が配設されている。この蛇腹部材140は、ゴムにより成形されている。また、蛇腹部材140は、導管部113の外周を覆うよう円筒形状に形成され、その外周面が蛇腹状にされて、円筒軸方向に弾性力を発揮できるようにされている。さらに、蛇腹部材140は、その一端側が雄ルアー部材120の段差部124に当接され、その他端側が本体管110の段差部114に当接されている。
蛇腹部材140は、図3に示す状態で伸張力を発揮している状態で取り付けられる。したがって、斯かる伸張力によって、雄ルアー部材120が本体管110に対して図において左方向に移動しようとする。しかしながら、上述したように、雄ルアー部材120側の逆テーパー状内壁121bと、本体管110側の逆テーパー状外壁113cとの係合によって、雄ルアー部材120は、本体管110に対して図3において左方向への移動が規制されている。よって、雄ルアー部材120は、図3に示す状態から左方向には移動できないが、蛇腹部材140によって常時図示左方向への付勢力を付与されている状態とされる。この付勢力によって、第二開口113aが雄ルアー部材120で閉塞される状態が維持される。
ロックリング130は、図3に示すように雄ルアー部材120および本体管110の外周を覆うように取り付けられている。このロックリング130は、円筒形状を呈しており、流路軸Lを中心として回転可能に本体管110に取り付けられている。また、ロックリング130は、その内周側にネジ部131が形成されている。ネジ部131にはネジが形成されており、後述する雌ルアーコネクターに形成された係合用の突起部に螺合して、雌ルアーコネクターを雄ルアーコネクター100に結合させるためのものである。また、ロックリング130には、図示省略の係止片が形成されており、この係止片によって本体管110の連結部112に係止されている。斯かる係止によって、ロックリング130が本体管110に対して所定の範囲内での軸方向移動は可能であるが、それ以上の軸方向移動が規制される。このようにして、ロックリング130が本体管110から脱落しないようにされている。
図4からわかるように、導管部113の先端側(図示左端側)の内壁には、段差113dが形成されている。そして、この段差113dに係合するようにして、フィルター151が流路115内に配設されている。このフィルター151は、エアー抜き用開口113bを閉塞するように、導管部113の内壁に液密的に取り付けられている。また、フィルター151は、多孔性の樹脂材料で成形されており、気体透過性に優れ、且つ、液体は非透過のものとされる。したがって、流路115内の気体はフィルター151を透過して外部に放出可能とされるが、流路115内の液体はフィルター151を透過することはできず、液体がフィルター151を通過して外部に放出されるようなことはない。
図5は、本実施形態における雄ルアーコネクター100に結合する雌ルアーコネクター10の断面図である。この雌ルアーコネクター10は、図において左から右に向かって内径が大きくなるラッパ形状を呈しており、接続口部11、連結部12および雌側テーパー部13を備えるとともに、内部に流路15が形成される。接続口部11は、図において雌ルアーコネクター10の左側の部分を形成し、その左端に流路15の開口11aが形成されている。この接続口部11は、医療用チューブなどの管体が接続され、流路15内の液体を医療用チューブに流すための接続ポートである。
雌側テーパー部13は、図において雌ルアーコネクター10の右側の部分を形成するものである。雌側テーパー部13は、図において右方から左方に行くにつれて内径が小さくなるテーパー状に形成されたテーパー状内壁13aを有する(なお、本明細書では、図において右方から左方に行くにつれて径が小さくなる様をテーパー状と称し、図において右方から左方に行くにつれて径が大きくなる様を逆テーパー状と称することとする)。このテーパー状内壁13aは、雄ルアー部材120の雄側テーパー部122に形成されたテーパー状外壁122aに対応したテーパー角および径を有する部分を持つものとされる。また、雌側テーパー部13の外周には、径方向外方に突出した突起部13bが形成されている。この突起部13bは、本実施形態においては雌側テーパー部13の外周の対称的な2箇所の位置に設けられており、雌ルアーコネクター10が雄ルアーコネクター100と結合した際に、ロックリング130のネジ部131と螺合可能に構成される。
上記構成において、雄ルアーコネクター100と雌ルアーコネクター10とを結合させる前に、雄ルアーコネクター100に形成された流路115内の気体を除去して、流路115内を流通すべき液体で充填する措置としてプライミングが行われる。このプライミングは、医療用チューブを雄ルアーコネクター100の本体管110の接続口部111に接続した後に、医療用チューブ側から流通すべき液体を供給し、流路115内に液圧を付与することによって行われる。
プライミングによって医療用チューブから液体が供給され、流路115内に液圧が付与されると、この液圧によって流路115内の圧力が外部よりも高い圧力とされる。しかし、図3および図4に示すように、導管部113の外周に形成された第二開口113aは、雄ルアー部材120の雄側テーパー部122の内壁および先端部121の逆テーパー状内壁121bに覆われており、閉塞された状態となっているので、この第二開口113aから流路115内の液体や気体が外部に放出されることはない。
また、導管部113の端面に形成されたエアー抜き用開口113bには、気体透過性に優れたフィルター151が取り付けられている。したがって、流路115内の気体は、フィルター151を透過し、エアー抜き用開口113bを通って外部に放出される。このとき、フィルター151は液体を透過しないので、気体の放出ととともに液体が外部に漏れ出すことはない。そして、流路115中のほとんどの気体がフィルター151を通して外部に排出されて、充填すべき液体がフィルター151に隣接する程度に到達した段階で、プライミングが終了される。
次に、プライミングが完了した雄ルアーコネクター100を雌ルアーコネクター10に結合して、雄ルアーコネクター100に接続された医療用チューブと、雌ルアーコネクター10に接続された医療用チューブとをつなぐ作業を行う。図6は、雄ルアーコネクター100と雌ルアーコネクター10とを結合する際の作動状況を時系列的に示す図であり、図6(a)は両者を結合する前の状態を、図6(b)は両者が結合されているが、雄ルアーコネクター100側の流路115が雌ルアーコネクター10側の流路15に連通していない状態を、図6(c)は両者が結合し、且つ、流路115と流路15とが連通した状態の図を示している。
図6(a)に示すような雄ルアーコネクター100と雌ルアーコネクター10とが対面した状態から、雄ルアーコネクター100をさらに図示左方に移動させて、雄ルアー部材120の先端部121および雄側テーパー部122を雌ルアーコネクター10の雌側テーパー部13の内部に侵入させる。すると、図6(b)に示すように、雄ルアーコネクター100の雄側テーパー部122のテーパー状外壁122aが、雌ルアーコネクター10の雌側テーパー部13のテーパー状内壁13aに当接する。上述したように、テーパー状内壁13aのテーパー形状は、テーパー状外壁122aのテーパー形状と対応しているため、これらを係合させると、テーパー状外壁122aとテーパー状内壁13aとは全面で当接することになる。このような全面的な接触によって、雄側テーパー部122と雌側テーパー部13とが当接される。
また、図6(b)の状態では、雌ルアーコネクター10の雌側テーパー部13の外周に形成された突起部13bは、雄側テーパー部122の軸方向の中腹あたりに位置している。この位置では、ロックリング130の内周に形成されたネジ部131で突起部13bを捕捉可能である。したがって、ロックリング130を本体管110に沿って軸方向に許容範囲内で移動させてネジ部131の図示左端と突起部13bとを対面させ、ロックリング130を回転させる。すると、突起部13bは、ネジ部131によって螺合されて、雌ルアーコネクター10と雄ルアーコネクター100とがより強固に結合される。
また、このようなロックリング130の回転により、突起部13bがネジ部131に巻き上げられて、ネジ部131の回転軸方向に沿って図示右方向に移動する。これに伴って、雌ルアーコネクター10の全体が、雄ルアーコネクター100に近づく方向(図示右方向)に移動する。ここで、雌ルアーコネクター10の雌側テーパー部13は雄ルアーコネクター100の雄側テーパー部122に当接しており、両者がこれ以上相対的に近づくことはできない。このため、雄ルアー部材120は、雄側テーパー部122と雌側テーパー部13との当接状態を保ったまま、雌ルアーコネクター10の移動とともに、図6(b)において右方へと移動する。なお、図6(b),(c)からわかるように、雄ルアー部材120が図示右方へ移動するときに、雄ルアー部材120の基部123が本体管110の連結部112に干渉しないように、連結部112の形状に工夫が施されている。
雄ルアー部材120は、蛇腹部材140によって図示左方向への付勢力を受けているが、ロックリング130の回転に伴い、この付勢力に抗して図示右方向へ移動する。このとき、ロックリング130およびロックリング130を係合している本体管110は移動しない。したがって、雄ルアー部材120が本体管110に相対的に図示右方向に移動する。そして、この移動が所定量進むと、雄ルアー部材120に閉塞されていた第二開口113aが開放され、第二開口113aを通じて本体管110内の流路115が雌ルアーコネクター10の流路15に連通する状態となる。この状態が図6(c)の状態である。
よって、この図6(c)の状態で、雄ルアーコネクター100に接続された医療用チューブAから液体を供給すれば、雄ルアーコネクター100の本体管110に形成される流路115内の液体は、第二開口113aから雌ルアーコネクター10内の流路15に流れ込む。そして、雌ルアーコネクター10に接続された医療用チューブBに流れる。このようにして、雄ルアーコネクター100側の医療用チューブAと雌ルアーコネクター10側の医療用チューブBが接続される。
以上のように、本実施形態の雄ルアーコネクター100は、雄ルアー部材120の内壁によって本体管110の第二開口113aを閉塞するように構成したので、雄ルアーコネクター100が雌ルアーコネクター10に結合されていない単独の状態では、雄ルアー部材120が弁手段として機能して、第二開口113aを閉塞する。このため、第二開口113aから流路115内の液体がこぼれることはない。よって、外部に薬液などがこぼれて付着した部分から菌が繁殖するようなことを防止できる。
また、テーパー状外壁122aとテーパー状内壁13aとが液密的に当接しているときに、雄ルアー部材120が移動して第二開口113aを開放し、本体管110側の流路115と雌ルアーコネクター10側の流路15とが連通される。これにより雄ルアーコネクター100に接続された医療用チューブAと雌ルアーコネクター10に接続された医療用チューブBとが接続され、これらのチューブA−B間で流体の流通が成される。このように、雄ルアーコネクター100が雌ルアーコネクター10と結合されたときは、流路が開通されてコネクターとしての機能を適格に果たす。
また、プライミング時には、本体管110内の流路115内に存在するエアーなどの気体がフィルター151を通過し、エアー抜き用開口113bから外部に放出される。一方、流路115中の液体は、液体非透過性のフィルター151を通り抜けることができないため、プライミング中に気体抜き用開口113bを通じて本体管110内の液体が外部に漏れ出すことはない。また、このとき第二開口113aは雄ルアー部材120によって閉塞されているので、第二開口113aから液体が漏れることもない。よって、液体のこぼれなどの液体の無駄な消費を防止しつつプライミングを実行することができる。さらに、こぼれた液体で菌の繁殖が起こることもない。
また、第二開口113aを閉塞または開放する弁手段としての機能を、雄ルアー部材120に持たせた構成であるので、別途上記機能を奏する弁手段を設けなくてもよい。したがって、低コストにて雄ルアーコネクターを製造することができる。さらに、第二開口113aは本体管110の導管部113の外周面に形成されており、雄ルアー部材120はこの第二開口113aを閉塞および開放できるように、図6(a)において左方向に、導管部113の外周を移動可能とされている。このような構成であれば、雄ルアー部材120の構造を特に変更することなく雄ルアー部材120に弁としての機能を持たせることができる。
また、雄ルアー部材120のテーパー状外壁122aが雌ルアーコネクター10のテーパー状内壁13aに当接した状態で雌ルアーコネクター10がロックリング130の回転に伴って移動することによって、雄ルアー部材120が第二開口113aを開放する方向に移動される。このため、上記当接状態を維持しつつ、第二開口113aが開放される。よって、第二開口113aを開放させるために、別途雄ルアー部材120を移動させる構成を要しない。
また、本実施形態の雄ルアーコネクター100は、雄ルアー部材120が第二開口113aを閉塞するように移動する方向(図3において左方向)に雄ルアー部材120を付勢する付勢手段としての蛇腹部材140を備える。この蛇腹部材140によって、雄ルアーコネクター100が雌ルアーコネクター10に結合されていないときは、雄ルアー部材120による第二開口113aの閉塞状態が維持される。このため、プライミング時などに確実に第二開口113aから薬液などがこぼれることを防止できる。
また、上記蛇腹部材140は、本体管110の外周を覆うように配設されるとともに、一端が本体管110の段差部114に当接され、他端が雄ルアー部材120の段差部124に当接され、外周が蛇腹状とされた部材である。このような形状とすることで、外周の蛇腹状の部分が付勢力に抗した力を受けて変形しても、場所を取ることなく折り畳まれる。よって、このような蛇腹部材140を取り付けスペースに苦慮することなく取り付けることが可能となる。また、折り畳まれるときの折れ目が常に同じ部分であり、折りたたみ癖がついているので、破損しにくい。このため、蛇腹部材140の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態の雄ルアーコネクター100は、ロックリング130と雌ルアーコネクター10とを螺合接続することによって、雌ルアーコネクター10が雄ルアーコネクター100に結合されるようにしてある。このため、確実に雌ルアーコネクター10と雄ルアーコネクター100とを結合させておくことができる。
また、ロックリング130の回転により雌ルアーコネクター10が移動する方向と、雌側テーパー部13のテーパー状内壁13aと雄側テーパー部122のテーパー状外壁122aとが当接するように雌ルアーコネクター10が移動する方向と、雄ルアー部材120が第二開口113aを開放させるように移動する方向とは同じ方向(図6において右方向)である。したがって、ロックリング130を回転させるのみで、雄ルアーコネクター100と雌ルアーコネクター10との結合を完了させることができるとともに、テーパー状外壁122aとテーパー状内壁13aとの係合を維持しつつ、雄ルアー部材120が移動して第二開口113aを開放させることができる。
また、エアー抜き用開口113bは、本体管110の導管部113の端面に形成されている。このため、本体管110の全領域に滞留する気体を端面に集め、ここから外部に除去することができ、プライミング操作によってほとんどの気体を除去することができる。
また、雄ルアー部材120は、蛇腹部材140からの付勢力によって、本体管110の前方側(図3において左方側)に付勢されるとともに、本体管110の導管部113の先端部分の外周に形成された逆テーパー状外壁113cと雄ルアー部材120の先端部121の内周に形成された逆テーパー状内壁121bとの係合によって、雄ルアー部材120が本体管110の前方に抜け落ちるのが防止される。このため、雄ルアー部材120を逆テーパー状外壁113cと逆テーパー状内壁121bとが係合した位置にセットしておくことができ、この位置で確実に第二開口113aを閉塞することができる。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態につき説明するが、本実施形態は、雄ルアー部材にレバー部を設け、このレバー部を操作することによって、人手によっても雄ルアー部材を動作できるようにした点に特徴を有し、その他の点については、基本的には上記第一実施形態と同様の形態である。なお、以下の実施形態および変形例においては、上記第一実施形態と同一部分については同一の呼び名で称するとともに上記第一実施形態で付した符号のうちの下二桁の数字を同じものとして付してその具体的説明を省略し、上記第一実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
図7は、本実施形態における雄ルアーコネクターの断面図である。図からわかるように、本実施形態の雄ルアーコネクター200は、本体管210と、雄ルアー部材220と、ロックリング230とを備えて構成されている。本体管210は、接続口部211、連結部212および導管部213を備えて構成される。接続口部211、連結部212および導管部213の配置構成は、第一実施形態における場合と基本的に同一である。また、本体管210の内部には、流路軸Lを持ち、接続口部211、連結部212および導管部213を貫通する流路215が形成されている。
雄ルアー部材220は、段付円筒形状に形成され、本体管210の導管部213を覆うように、その外周に装着されている。また、雄ルアー部材220には、雄側テーパー部222、基部223、レバー部225が形成されている。雄側テーパー部222は、雄ルアー部材220の図において左側に形成される円筒状の部分であり、上記第一実施形態における雄側テーパー部122と同様に、その外周に図において右方から左方に行くにつれて外径が小さくなるテーパー状外壁222aを有している。さらに、雄側テーパー部222は、その内周に、図において右方から左方に行くにつれて内径が大きくなる逆テーパー状内壁222bを有している。
基部223は雄側テーパー部222の図示右側に形成される。基部223は、雄側テーパー部222と同軸的となる円筒形状に形成されており、その外径は、雄側テーパー部222の外径よりも大きくされている。したがって、雄側テーパー部222と基部223との間には、流路軸Lに対して径方向外方に放射状に延びた段差部224が形成される。さらに基部223の図示右側には、レバー部225が形成される。このレバー部225は、基部223の右端部から、流路軸Lに対して径外方に延びて形成されている。また、基部223からレバー部225にかけて、軸方向に細長いスリット226が形成されている。
図7に示すように、本体管210の導管部213の図示左半分程度、具体的には、雄側テーパー部222の逆テーパー状内壁222bに対面する部分における外周は、図において右方から左方にいくにつれて外径が大きくなる逆テーパー状に形成された逆テーパー状外壁213cを有する。この逆テーパー状外壁213cのテーパー形状は、雄側テーパー部222の逆テーパー状内壁222bのテーパー形状に対応する。また、逆テーパー状外壁213cの最小外径と、逆テーパー状内壁222bの最小内径とは、ほぼ一致した径とされる。
図7に示した状態は、導管部213の逆テーパー状外壁213cと、雄側テーパー部222の逆テーパー状内壁222bとが当接した状態である。このように対応したテーパー形状が当接している状態では、これらのテーパー面がより近づく方向への移動は規制される。すなわち、本体管210が雄ルアー部材220に対して図において右方向へ移動する動作、または、雄ルアー部材220が本体管210に対して図において左方向へ移動する動作が規制される。ただし、これらの逆テーパー面が離間する方向、すなわち、本体管210が雄ルアー部材220に対し、図において左方向へ移動する動作、または、雄ルアー部材220が本体管210に対し、図において右方向へ移動する動作、は許容される。
また、導管部213の外周に形成された第二開口213aは、雄側テーパー部222の内周壁である逆テーパー状内壁222bに覆い隠され、閉塞された状態となっている。したがって、本体管210の流路215内の液体が、第二開口213aから外部にこぼれることはない。また、雄ルアー部材220の基部223の内壁と本体管210の導管部213の外壁との間には円筒状の空間が形成され、この円筒状の空間の内部には、円筒形状の蛇腹部材240が収納されている。そして、この蛇腹部材240の付勢力が雄ルアー部材220に作用することによって、雄ルアー部材220が上記付勢力を受けつつ図7に示した位置に保持される。このため、雄ルアー部材220が第二開口213aを閉塞する状態が維持される。
また、本体管210の連結部212の図7において左側、すなわち導管部213との連結部分には、流路軸Lに対して径外方向に突出した突起部216が形成されている。この突起部216は、本実施形態においては、周方向に90度間隔で4個設けられている。また、この突起部216は、雄ルアー部材220の基部223およびレバー部225に形成されたスリット226内に挿入するような状態で配置しており、突起部216の先端がスリット226から飛び出すような状態とされている。
ロックリング230は、図7に示すように雄ルアー部材220および本体管210の外周を覆うように取り付けられている。このロックリング230は、全体的に見て円筒形状を呈しており、内周にネジ部231が形成されている。また、図からわかるように、ネジ部231のうち、最も右端のネジ溝には、雄ルアー部材220のスリット226から突出した突起部216の先端部分が係合している。この係合によって、ロックリング230が本体管210に対して回転可能且つ軸方向移動不能に固定されて、本体管210から脱落しないようにされている。
導管部213の先端側(図示左端側)の内壁には、段差213dが形成されている。そして、この段差213dに係合するようにして、フィルター251が流路215内に配設されている。このフィルター251は、エアー抜き用開口213bを閉塞するように、導管部213の内壁に液密的に取り付けられている。フィルター251は、上記第一実施形態で説明したフィルター151と同様に、気体透過性に優れ、且つ液体は非透過である。なお、その他の構成、および、本実施形態の雄ルアーコネクター200に結合される雌ルアーコネクターの構成は、概ね上記第一実施形態で説明したものと同じであるので、その具体的説明を省略する。
上記構成において、雄ルアーコネクター200と雌ルアーコネクター10とを結合させる前に、プライミングが行われる。このプライミングにおいて、第一実施形態で説明したように、流路215中のエアーなどの気体は、フィルター251を透過してエアー抜き用開口213bから外部に排出される。また、フィルター251は液体を通さず、さらに第二開口213aは雄側テーパー部222の内壁に閉塞された状態となっているので、流路215内の液体は、エアー抜き用開口213b、第二開口213aのいずれからも外部に流出できず、プライミング時に液体がこぼれるようなことはない。
ところで、プライミングを完了させた場合であっても、流路215中に気泡が残存することがある。この場合、プライミングによって既に液体が流路215中に充填されてしまっていると、いくら液圧を付与したとしても、流路215中に残存する気泡をフィルター251側に移動させて排出することはできない。よって、このような残存気泡は、プライミングで除去することはできない。本実施形態において、万一このような残存気泡が存在する場合には、手動により雄ルアー部材220のレバー部225を図7の矢印Aで示すように右方向に引き込む操作を行う。この操作によって、雄ルアー部材220は本体管210に対して図示右方向に移動し、図8に示す状態となる。
すると、それまで雄ルアー部材220の雄側テーパー部222の内壁に覆われて閉塞していた第二開口213aが、雄ルアー部材220の移動によって開放される。このため、接続口部211側に接続された医療用チューブからの液圧の付与によって、本体管210の流路215内の液体が第二開口213aから流出する。この流出により、本体管210の流路215内に流れが生じる。したがって、流路215中に残存する気泡は、この流路215内の流れによって流され、第二開口213aから外部に放出される。このようにして、手動でレバー部225を操作することにより、残存気泡が外部に放出される。
このような残存気泡の排出措置は、残存気泡とともに流路215内の液体が外部にこぼれることとなるので、液体の余分な消費、および、こぼれた部分からの菌の繁殖などの観点からすれば、多用すべきではないが、万一プライミングを行っても残存気泡が残るような場合には、これらの気泡を完全に除去することができるという点において有利であり、このような機能を備えた雄ルアーコネクターとすることにより、利便性を向上させることができる。
次に、プライミングが完了した雄ルアーコネクター200を雌ルアーコネクター10に結合して、雄ルアーコネクター200に接続された医療用チューブと、雌ルアーコネクター10に接続された医療用チューブとをつなぐ作業を行うが、この作業は、上記第一実施形態で説明したものと同一である。図9は、雄ルアーコネクター200と雌ルアーコネクター10とを結合する際の作動状況を示す図であり、図9(a)は両者を結合する前の状態を、図9(b)は両者が結合されているが、雄ルアーコネクター200側の流路215と雌ルアーコネクター10側の流路15が連通していない状態を、図9(c)は両者の結合が完了し、且つ流路215と流路15とが連通された状態の図を示している。
図9(a)に示す状態から、雄ルアーコネクター200をさらに図示左方に移動させて、雄ルアー部材220の雄側テーパー部222を雌ルアーコネクター10の雌側テーパー部13の内部に侵入させる。すると、図9(b)に示すように、雄ルアーコネクター200の雄側テーパー部222のテーパー状外壁222aが、雌ルアーコネクター10の雌側テーパー部13のテーパー状内壁13aに当接する。さらに、図9(b)の状態から、ロックリング230の内周に形成されたネジ部231で雌ルアーコネクター10の突起部13bを捕捉して、ロックリング230を回転させる。すると、ロックリング230の回転によって突起部13bがネジ部231に螺合され、雌ルアーコネクター10と雄ルアーコネクター200とがより強固に結合される。
また、ロックリング230の回転によって突起部13bがネジ部231に巻き上げられて、ネジ部231の回転軸方向である図示右方向に移動し、これに伴い雄ルアー部材220が本体管210に対して図示右方向に移動する。この雄ルアー部材220の移動により、雄ルアー部材220に閉塞されていた本体管210の第二開口213aが開放され、第二開口213aを通じて本体管210内の流路215が雌ルアーコネクター10の流路15に連通する状態となる。この状態が図9(c)の状態である。
よって、図9(c)の状態で、雄ルアーコネクター200に接続された医療用チューブ(図示省略)から液圧を付与すれば、雄ルアーコネクター200の本体管210内の液体は、第二開口213aから雌ルアーコネクター10内の流路15に流れ込む。そして、雌ルアーコネクター10に接続された医療用チューブ(図示省略)に流れる。このようにして、雄ルアーコネクター200側の医療用チューブと雌ルアーコネクター10側の医療用チューブが接続される。
本実施形態においては、雄ルアー部材220にレバー部225を設け、このレバー部225を手動(あるいは自動)で操作することにより、雄ルアーコネクター200が雌ルアーコネクター10に接続されていない状態においても第二開口213aを開放させることができる。このため、プライミングにおいて除去しきれなかった残存気泡があった場合、レバー部225の操作によって第二開口213aを開放させて流路215内に液体の流れを生じさせ、残存気泡をこの液体の流れに乗せて、第二開口213aから排出することができる。
また、レバー部225が基部223から図示右方に延出して形成されているため、基部223が突起部216と干渉するおそれがあるが、この点につき、本実施形態では、雄ルアー部材220の基部223からレバー部225にかけて、流路軸L方向に沿ってスリット226を設け、突起部216がスリット226内に挿入されるように配設されている。したがって、レバー部225を流路軸L方向に操作しても、雄ルアー部材220の基部223と突起部216とが干渉することはない。
(変形例)
図10は、本実施形態の変形例としての雄ルアーコネクター201の断面図である。この雄ルアーコネクター201は、上記第二実施形態において説明した蛇腹部材240を設けていない点が、上記第二実施形態と異なり、その他の構成は同一である。蛇腹部材240を設けていない本例の構成によれば、雄ルアー部材220が図において左方向に受ける付勢力が発生しない。したがって、雄ルアー部材220は、本体管210に対して軸方向に移動可能な状態となる。
しかし、雄ルアー部材220の雄側テーパー部222に形成された逆テーパー状内壁222bと、本体管210の図示左方の領域に形成された逆テーパー状外壁213cとの当接によって多少の固定力が発揮される。よって、この状態でプライミングを行っても、雄ルアー部材220が移動して第二開口213aが開放されることはない。そして、雄ルアー部材220を雌ルアーコネクター10と結合させて、ロックリング230を回転させることによって、雄ルアー部材220が移動して、第二開口213aが開放される。このようにして開放された第二開口213aから、流路215内の液体が雌ルアーコネクター10側に流れる。
また、使用後の雄ルアーコネクター201を雌ルアーコネクター10から取り外す際は、まずロックリング230を回転させてネジ部231と突起部13bとの螺合を解き、その後、レバー部225を持ちながら本体管210を引き抜く。このようにすれば、本体管210の引き抜き動作によって第二開口213aが雄ルアー部材220で閉塞される。そして、第二開口213aが閉塞した状態のまま雌ルアーコネクター10との結合が解かれる。このため、雄ルアーコネクター201を雌ルアーコネクター10から取り外す際の液漏れを防止することができる。
したがって、雄ルアー部材220を本体管210に付勢する蛇腹部材などを要せずともプライミングができる構造であれば、蛇腹部材を省略して雄ルアーコネクターを構成することができる。特に、この種の部品は一度使用したら廃棄するディスポーザブルなものが多いため、本例のように蛇腹部材を必要としない設計とすれば、低コストに雄ルアーコネクターを製造することができる。
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態につき説明するが、本実施形態は、雄ルアー部材の外周に蛇腹部材を取り付けた点に特徴を有し、その他の点については概ね上記第二実施形態と同様の形態である。以下、本実施形態の特徴点を中心に説明する。
図11は、本実施形態における雄ルアーコネクター300の断面図である。図からわかるように、本実施形態における雄ルアーコネクター300は、雄ルアー部材320の雄側テーパー部322の外周部に第一蛇腹部材361が取り付けられている。さらに、雄ルアー部材320の基部323の図示左方の外周部には、第二蛇腹部材362が取り付けられている。これらの第一、第二蛇腹部材361,362はゴム状の材質で成形されており、雄側テーパー部322、および基部323の左方側の外周を取り巻くように円筒状に形成されている。
第一蛇腹部材361の一端(図示右端)は、雄ルアー部材320の雄側テーパー部322と基部323との間に取り付けられており、この部分で第一蛇腹部材361が雄ルアー部材320に固定されている。また、第二蛇腹部材362は、その一端(図示左端)が第一蛇腹部材361の端部に接しており、一方、その他端(図示右端)が本体管310に形成された突起部316に当接している。ここで、第二蛇腹部材362は、図11に示す状態で自然長であるか、または、伸張力を発生させる状態とされる。このため、第二蛇腹部材362は第一蛇腹部材361およびこの第一蛇腹部材361が固定されている雄ルアー部材320を図示左方へ付勢する。
また、図11に示す状態では、雄ルアー部材320が本体管310の導管部313の図示左端側の外周に開口した第二開口313aを閉塞している。この状態は、上記した第一および第二蛇腹部材361および362の付勢力によって維持されて、雄ルアー部材320による第二開口313aの閉塞が確実になされるようにされる。その他の構成は、基本的には上記第二実施形態で説明した雄ルアーコネクターと同一であるので、具体的な説明は省略する。
このような構成において、プライミング時には、流路315内のエアーなどの気体は、気体透過性に優れたフィルター351を通過し、エアー抜き用開口313bより外部に放出される。このとき、フィルター351は液体を透過しないので、気体の放出ととともに液体が外部に漏れ出すことはない。
次に、雄ルアーコネクター300を雌ルアーコネクターに結合する場合について説明する。図12は、雄ルアーコネクター300を雌ルアーコネクター10に結合したときの断面図である。図に示すように、雌ルアーコネクター10の雌側テーパー部13が雄ルアーコネクター300の雄側テーパー部322に結合するように雌ルアーコネクター10が移動してくると、雌側テーパー部13の先端部分で雄側テーパー部322の外周に配置された第一蛇腹部材361を押しのけていく。そして、雌側テーパー部13のテーパー状内壁13aと雄側テーパー部322のテーパー状外壁322aとが当接する。さらに移動が進むと、雄ルアー部材320が本体管310に対して図示右方向に移動して、第二開口313aが開放される。そして、流路315内の液体が第二開口313aから流出されて、雌ルアーコネクター10内の流路15側に流れる。このように、雄ルアー部材320の外周に付勢部材としての第一、第二蛇腹部材361,362を設ける構成としても、本発明を実施することができる。
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態につき説明するが、本実施形態は、液体を流出させる開口部と、エアーなどの気体を除去するための開口部とを同一の開口部とし、且つ、雄ルアー部材を気体透過性の優れた弾性材料で構成した点に特徴を有する。以下、本実施形態の特徴点を中心に説明する。
図13は、本実施形態における雄ルアーコネクター400の要部の断面図である。図に示すように、本実施形態における雄ルアーコネクター400において、本体管410の先端部である図示左端面は、閉塞されている。また、導管部413の外周には、環状溝413cが周方向に沿って形成されている。この環状溝413cの図示左端側の底面には、第二開口413aが形成されている。
また、雄ルアー部材420は、円筒状に形成されており、導管部413に形成された環状溝413c内に嵌め込まれた状態で配設されている。この雄ルアー部材420の外周は、図において右から左にいくにつれて径が小さくなるテーパー状外壁422aとされている。また、雄ルアー部材420は、弾性変形可能であって、内部および表面に多数の空隙が形成された多孔性の樹脂材料によって形成される。この多数の空隙によって、気体透過性に優れたものとされている。ただし、液体は透過しないようにされている。
上述したように、第二開口413aは、導管部413の外周に形成された環状溝413cの底面に開口して形成されている。しかし、この環状溝413cには、雄ルアー部材420が嵌めこまれており、図に示す状態では、環状溝413cの底面の全面を、雄ルアー部材420の内壁で覆っている状態とされている。したがって、第二開口413aは、雄ルアー部材420によって閉塞されている。
このような構成において、プライミング時には、流路415内のエアーなどの気体は、第二開口413aを経て、雄ルアー部材420の内壁面に面する。ここで、雄ルアー部材420は、気体透過性に優れるので、気体は、この雄ルアー部材420を透過して外部に放出される。このとき、雄ルアー部材420は液体を透過しないので、気体の放出ととともに液体が外部に漏れ出すことはない。
次に、雄ルアーコネクター400を雌ルアーコネクターに結合する場合について説明する。図14は、雄ルアーコネクター400と雌ルアーコネクター10とが結合した際の状況を示す図であり、(a)は、両コネクターが結合されているが、雄ルアーコネクター側の流路415と雌ルアーコネクター側の流路15が連通していない状態、(b)は、両コネクターが結合し、流路415と流路15とが連通されている状態を、それぞれ示す図である。雌ルアーコネクター10と雄ルアーコネクター400とを近接させると、やがて図14(a)に示すように雌側テーパー部13のテーパー状内壁13aと雄ルアー部材420のテーパー状外壁422aとが当接する。
図14(a)に示す状態から、ロックリング430を回転させると、ロックリング430の内壁に形成されたネジ部431が雌側テーパー部13の外周に形成された突起部13bを巻き上げて、雌ルアーコネクター10がさらに図示右方向に移動しようとする。この移動に伴って、雄ルアー部材420も、上記当接を維持したまま図示右方向に移動しようとする。
しかし、雄ルアー部材420は、導管部413の外周に形成された環状溝413c内に嵌り込んでいるので、雄ルアー部材420が図において右方向に移動しようとしても、環状溝413cの側壁に干渉してしまう。ここで、本実施形態における雄ルアー部材420は、弾性変形可能な多孔性樹脂材料で形成されている。したがって、雄ルアー部材420のうち、雌側テーパー部13のテーパー状内壁13aに当接していない部分Aは、雌ルアーコネクター10の図示右方向への移動により座屈変形する。そして、図15に示すように、部分Aが折り畳まれて、その軸方向長さが短縮される。
このようにして部分Aが折り畳まれて、軸方向長さが短縮された分だけ、雌ルアーコネクター10は図示右方向に移動される。このとき、雌側テーパー部13と雄ルアー部材420との当接が維持され、雄ルアー部材420のうち、雌側テーパー部13と当接している部分Bのみが、雌ルアーコネクター10とともに本体管410に対して図示右方向に移動する。この移動によって、それまで雄ルアー部材420で閉塞されていた第二開口413aが開放される。したがって、本体管410の流路415内の液体は、第二開口413aから流出される。第二開口413aから流出された液体は、雌ルアーコネクター10側の流路15に流れる。
本実施形態の雄ルアーコネクター400は、プライミング時において、流路415内のエアーが、本体管410(導管部413)の外周面に形成された第二開口413aを通り、さらに雄ルアー部材420を透過して外部に放出される。つまり、第一乃至第三実施形態において説明したエアー抜き用開口(気体抜き用開口)が、本実施形態においては、本体管410(導管部413)の外周面に形成されている。このため、プライミング時にフィルターとして機能する雄ルアー部材420には径方向に均等に気体の圧力が作用するため、十分に圧力を分散でき、局所的に圧力がかかる部分はない。このため、フィルターとしての信頼性を向上させることができる。
また、液体の流出口として用いられる第二開口413aを、エアー抜きとして用いられる気体抜き用開口として共用する構成であるため、これらの開口を別々に形成する必要がなく、成形コストを低減させることができる。さらに、本実施形態では、雄ルアー部材420をフィルターとして用いており、第二開口413aを閉塞および開放する弁手段としての機能に加え、フィルターとしての機能を持たせてある。すなわち、フィルターが雄ルアー部材420に一体に形成されている。よって、別途フィルターを設けることを要しないので、より低コストで雄ルアーコネクターを製造することができる。また、雄ルアー部材420を多孔性の材料により成形しているため、簡単な構成で且つ低コストに、フィルター兼用の雄ルアー部材420を製造することができる。
さらに、雄ルアー部材420が弾性変形可能な樹脂材料(弾性材料)により成形されているので、雌ルアーコネクター10の雌側テーパー部13と当接する際の密着力が向上し、雄ルアーコネクター400と雌ルアーコネクター10とを結合したときに、より外れにくくすることができる。
(第五実施形態)
次に、本発明の第五実施形態につき説明するが、本実施形態は、本体管の導管部と接続口部とを分離して構成し、導管部を接続口部に対して液密的に相対移動可能に構成した点に特徴を有する。以下、本実施形態の特徴点を中心に説明する。
図15は、本実施形態における雄ルアーコネクター500の要部の断面図である。図に示すように、本実施形態における雄ルアーコネクター500の本体管510は、第一パーツ610と第二パーツ620とに分離して形成されている。第一パーツ610は接続口部611と外挿部612とを備えて構成されている。接続口部611には、その図示右端の第一開口611aに医療用チューブなどの管体が接続される部分である。外挿部612は、接続口部611に連結されており、接続口部よりも内径および外径が大きくされている。したがって、第一パーツ610は、全体的に、段付円筒状に形成されている。そして、その内部には、接続口部611から外挿部612にかけて貫通した第一流路615が形成されている。
また、第二パーツ620は、導管部623および内挿部622を備えて構成されている。導管部623は円筒形状に構成され、その一端面(図示左端面)が閉塞されているとともに、この一端面の近傍に位置する外周面に、第二開口623aが形成されている。この第二開口623aは、導管部623の周方向に一つまたは複数形成される。また、内挿部622は、導管部623の図示右側に形成される部分であり、円筒形状に構成されている。そして、第二パーツ620の内部には、導管部623から内挿部622にかけて貫通した第二流路625が形成されている。また、第二パーツ620には、導管部623と内挿部622との間に突起部626が形成されている。この突起部626は、第二パーツ620の径外方に突出して形成されており、本実施形態においては周方向に90度間隔で4個形成されている。
図からわかるように、第二パーツ620の内挿部622は、第一パーツ610の外挿部612の内周側に入り込んでいる。ここで、外挿部612の内径は、内挿部622の外径よりも僅かに大きくされている。したがって、内挿部622は、外挿部612の内周において、軸方向に移動可能とされている。また、外挿部612の内壁と内挿部622の外壁との間には、Oリング660が取り付けられている。したがって、このOリング660によって、内挿部622が外挿部612内に収納された場合に、第一パーツ610内の第一流路615と第二パーツ620内の第二流路625とが液密的に連通される。
雄ルアー部材520は、段付円筒形状に形成され、本体管510の導管部623を覆うように、その外周に装着されている。また、この雄ルアー部材520は、雄側テーパー部522および基部523を備えて構成される。雄側テーパー部522は、雄ルアー部材520の図において左側に形成される円筒状の部分であり、上記第一実施形態における雄側テーパー部122と同様に、その外周に図において右方から左方に行くにつれて外径が小さくなるテーパー状外壁522aを有している。
基部523は雄側テーパー部522の図示右側に形成される。基部523は、雄側テーパー部522と同軸的となる円筒形状に形成されており、その外径は、雄側テーパー部522の外径よりも大きくされている。したがって、雄側テーパー部522と基部523との間には、径方向外方に放射状に延びた段差部524が形成される。また、基部523には、軸方向に細長いスリット526が形成されている。このスリット526内には、本体管510の突起部626が入り込んでおり、このスリット526によって、雄ルアー部材520や本体管510が軸方向に移動した際の干渉を防止している。
また、雄側テーパー部522の図示左側の外周には、第三開口522bが形成されている。この第三開口522bは、図に示すように、導管部623の外周に形成された第二開口623aに対面した位置に形成される。したがって、第二開口623aと第三開口522bとは連通した状態とされている。さらに、第三開口522bには、フィルター651が取り付けられている。このフィルター651は、第三開口522bを塞ぐように取り付けられており、気体透過性に優れ、液体は透過しない性質を持つ。
また、ロックリング630は、図15に示すように雄ルアー部材520および本体管510の外周を覆うように取り付けられている。このロックリング630は円筒形状を呈しており、内周にネジ部631が形成されている。また、ロックリング630の図示右側の端面は、図からわかるように径方向内方に延びており、スリット526から突出した突起部626の先端部分が係合可能とされる。なお、その他の構成は、前述の実施形態と同様の構成であるので、その具体的説明は省略する。
このような構成において、プライミング時には、第一流路615および第二流路625内のエアーなどの気体は、第二開口623aから第三開口522bを経て、フィルター651に面する。ここで、フィルター651は、気体透過性に優れるので、気体は、このフィルター651を透過して外部に放出される。このとき、フィルター651は液体を透過しないので、気体の放出ととともに液体が外部に漏れ出すことはない。
図16は、雄ルアーコネクター500と雌ルアーコネクター10との結合の際の作動状況を示す図であり、(a)は、両コネクターが結合されているが、雄ルアーコネクター500側の第一流路615および第二流路625と、雌ルアーコネクター10側の流路15とが連通していない状態を、(b)は、両コネクターが結合し、第一流路615および第二流路625と、流路15が連通されている状態を、それぞれ示す図である。
図16(a)に示すように、雌ルアーコネクター10と雄ルアーコネクター500とを近接させて、雌側テーパー部13のテーパー状内壁13aと雄側テーパー部522のテーパー状外壁522aとを当接させる。そして、さらに雌ルアーコネクター10を図において右方に移動させると、テーパー状内壁13aとテーパー状外壁522aとの当接を維持した状態で、雄ルアー部材520が雌ルアーコネクター10とともに右方に移動する。この雄ルアー部材520の移動によって、それまで雄ルアー部材520の第三開口522bに取り付けられたフィルター651で塞がれていた第二開口623aが開放される。このため、第一流路615および第二流路625が、第二開口623aを介して雌ルアーコネクター10内の流路15に連通する。したがって、本体管510内の第一流路615および第二流路625内の液体は、第二開口623aから流出され、雌ルアーコネクター10側に流れる。この状態が、図16(b)の状態である。
ところで、上記第二実施形態で説明したように、プライミングを完了させた後に流路615,625内に気泡が残存することがある。この場合、プライミングによって既に液体が流路615,625内に充填されてしまっていると、いくら液圧を付与したとしても、これらの流路内に残存する気泡をフィルター651側に移動させることはできない。よって、このような残存気泡は、プライミングで除去することはできない。本実施形態において、万一このような残存気泡が存在する場合には、図17に示すように、手動によりロックリング630を矢印Aで示すように左方向に引く操作を行う。ロックリング630を図示左方向に移動させると、このロックリング630に係合した突起部626も左方向に移動する。突起部626は、本体管510の第二パーツ620に形成されているため、ロックリング630の左方移動により、第二パーツ620が左方移動する。
このとき、本体管510は第一パーツ610と第二パーツ620とに分離して形成されているので、第一パーツ610は移動せずに、第二パーツ620のみが移動する。また、突起部626は雄ルアー部材520に形成されたスリット526内に入るように配設されているため、突起部626が左方に移動すると、このスリット526内を移動することになり、雄ルアー部材520と突起部626とが干渉することはない。したがって、上記ロックリング630の左方移動操作により、ロックリング630および本体管510の第二パーツ620が移動する。
この第二パーツ620の移動によって、導管部623と雄ルアー部材520との対面位置が軸方向にずれて、それまで雄ルアー部材520の第三開口522bに取り付けられたフィルター651で塞がれていた第二開口623aが開放される。このため、第一流路615および第二流路625が、第二開口623aを介して外部に連通する。この状態で接続口部611側に接続された医療用チューブから液圧を付与すれば、本体管510の流路615,625内の液体が第二開口623aから流出する。流路615,625内に残存する気泡は、この液体の流れによって流され、第二開口623aから外部に放出される。このようにして、手動でロックリング630を操作することにより、残存気泡が外部に放出される。
このような動作は、上記第二実施形態で説明した場合と同様の作用効果をもたらす。さらに、本実施形態では、第二実施形態のようにレバー部225などを設けず、ロックリング自身を動作させることで残存気泡を除去できる構成である。上記第二実施形態のようにレバー部225を設けた場合、残存気泡を除去するためには、ロックリング230を片手で持ち、レバー部225をもう片方の手で操作する両手操作となる。これに対し、本実施形態の雄ルアーコネクター500は、例えばロックリング630を片手で握り、ロックリング630を握った方の指で第一パーツ610をロックリング630に対して離間させる方向に移動させるような動作を行うことによって、片手で行うことができる。このため、作業性が向上するという利点がある。
以上のように、本実施形態においては、本体管510は、第一開口611aを有する接続口部611を含む第一パーツ610と、第二開口623aを有するとともに外周に雄ルアー部材520が装着された導管部623を含む第二パーツ620とを備え、これらの第一パーツ610と第二パーツ620とが分離して形成されている。そして、導管部623を含む第二パーツ620が、ロックリング630の操作によって、雄ルアー部材520に対して第二開口623aを閉塞および開放するように移動可能に構成されている。したがって、残存気泡の放出のために流路615,625内の流体を外部に放出したいような場合、このロックリング630の操作により導管部623を移動させ、第二開口623aを開放して、流路615,625内の液体を外部に放出させることができる。
(第六実施形態)
次に、本発明の第六実施形態につき説明する。本実施形態は、本体管のレバー部を固定するとともに作業者が指で把持する部分である把持部材と、本体管と把持部材との間に配設されて、本体管の第二開口を覆うように取り付けられた伸縮用蛇腹部材を設け、伸縮用蛇腹部材を伸張状態から収縮状態とすることによって、雄ルアーコネクターと雌ルアーコネクターとの結合を解除したときの逆流の発生を防止することできる点に特徴を有する。以下に、本実施形態の特徴的な構成を中心に説明する。
図18は、本実施形態に係る雄ルアーコネクターの断面図である。図からわかるように、本実施形態の雄ルアーコネクター700は、本体管710の後方(図示右方)に取り付けられた伸縮用蛇腹部材(伸縮部材)750を備える。この伸縮用蛇腹部材750は円筒形状を呈していて、その一端が本体管710の基端(図示右端)側に形成された突起部716の図示右側に当接して、本体管710の第一開口711aを覆うように本体管710に取り付けられている。また、伸縮用蛇腹部材750の他端側は把持部760に接続されている。把持部760は、内部に直線状の流路760aが形成された導管部761と、導管部761の一端側から径外方に延びた突部762とを備えている。伸縮用蛇腹部材750の他端側は突部762の端面に当接して、流路760aの一端側開口760bを覆うように把持部760に取り付けられている。
また、導管部761内の流路760aの他端側の開口760cは、図示しない管体に接続されている。したがって、把持部760に接続された管体内の流路は、把持部760内の流路760a、伸縮用蛇腹部材750内の空間を介して本体管710内の流路715に連通されている。また、把持部760の突部762には雄ルアー部材720の基部723に接続されるレバー部725が固定されている。したがって、雄ルアー部材720が本体管710に対して軸方向に移動した場合、把持部760も雄ルアー部材720とともに移動するようにされている。
図からわかるように、本体管710の突起部716の図示左側には付勢用蛇腹部材740が配設されている。この付勢用蛇腹部材740は、その一端が雄ルアー部材720の雄側テーパー部722の後端(図示右端)に形成されている段差部724に当接され、その他端側が本体管710の突起部716に当接されている。このため、本体管710の突起部716は、付勢用蛇腹部材740と伸縮用蛇腹部材750とにより両側から付勢されている状態とされて、両蛇腹部材740,750の付勢力の差によってどちらに付勢されるかが決まる状態となっている。本実施形態では、付勢用蛇腹部材740によって生じる弾性力の方が、伸縮用蛇腹部材750によって生じる弾性力よりも大きいものとされる。したがって、本体管710は付勢用蛇腹部材740の付勢力によって図示右側に付勢された状態とされる。それ以外の構成は、概ね上記第二実施形態で説明した雄ルアーコネクターの構成と同様である。
上記構成において、雌ルアーコネクター10を雄ルアーコネクター700に結合するときには、ロックリング730の内周に形成されたネジ部731に雌ルアーコネクター10の外周に形成された突起部13bを噛み合わせた状態でロックリング730を回転する。すると、雌ルアーコネクター10の突起部13bがロックリング730に巻き上げられる。また、ロックリング730は本体管710の突起部716に係止されているので、ロックリング730が回転してもロックリング730と本体管710との位置関係は変化しない。したがって、ロックリング730の回転によって雌ルアーコネクター10と本体管710との相対的位置が近づく。このとき、雄ルアー部材720は、その雄側テーパー部722が雌ルアーコネクター10の雌側テーパー部13に当接して、雌ルアーコネクター10と一体に移動するようにされているので、上記ロックリング730の回転によって雄ルアー部材720が雌ルアーコネクター10とともにロックリング730に巻き上げられて、本体管710に対して軸方向に沿って図示右方に移動する。これにより、図19に示すように本体管710の第二開口713aが開放される。このような雄ルアー部材720の移動に連動して、図19に示すように付勢用蛇腹部材740が収縮するとともに伸縮用蛇腹部材750が伸張する。そして、この状態で液体が雄ルアーコネクター700に接続された管体から雌ルアーコネクター10に接続された管体に流通する。
雌ルアーコネクター10と雄ルアーコネクター700との結合を解除するときには、ロックリング730を結合時とは逆方向に回転させる。すると、雌ルアーコネクター10が本体管710から離れる方向に移動する。そして、雄側テーパー部722と雌側テーパー部13とが離間し、両コネクター10,700の結合が解除される。このとき、付勢用蛇腹部材740の付勢力によって、雄ルアーコネクター720が本体管710の第二開口713aを閉塞する方向に移動する。この移動に連動して付勢用蛇腹部材740が伸張するとともに、伸縮用蛇腹部材750が収縮する。この状態では、第二開口713aは雄ルアー部材720によって閉塞されているので、第二開口713aから液体が外部に漏れ出すことはない。
ところで、雄ルアーコネクター700と雌ルアーコネクター10との結合を解除する場合、雌ルアーコネクター10内から雄ルアー部材720が引き抜かれることによって、雌ルアーコネクター10内の空間が陰圧になる。雌ルアーコネクター10内の空間が陰圧になると、雌ルアーコネクター10に連結した管体内の液体が逆流してしまう。この逆流は好ましくない。この点につき、本実施形態の雄ルアーコネクター700においては、雌ルアーコネクター10と雄ルアーコネクター700との結合を解除するときに、伸縮用蛇腹部材750は、雄ルアー部材720が第二開口713aを閉塞する方向へ移動するのに連動して伸張状態から収縮状態に変化するので、この変化に伴って伸縮用蛇腹部材750内の空間に充填されている液体が本体管710に押し出され、さらに第二開口713a側から吐出されて、雌ルアーコネクター10内で順方向の流れを形成する。このような順方向の流れの形成によって、雌ルアーコネクター10に接続された管体における逆流の発生を効果的に防止することができる。