JP3868888B2 - 濾過器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒状の本体容器と、この本体容器内に設けられる濾過エレメントと、本体容器に対して接線方向から流体を導入する流入管と、濾過エレメントにより異物が濾過された流体を流出する流出管と、異物を流体と共に排出するドレイン管とを備えた濾過器に関する。
【0002】
【従来の技術】
火力発電所や原子力発電所における復水器に用いる冷却水、水力発電用に用いる水、製鉄・石油化学プラントにおける冷却工業用水等では、使用する水や海水から異物(海藻や生物等) を除去する必要があるため、濾過器を使用している。かかる濾過器の基本的構造は、円筒状の本体容器と、この内部に設けられる濾過エレメント (フィルター) を備え、本体容器に対して接線方向から流入管により水や海水等の流体を導入し、この流体に含まれる異物を濾過エレメントにより除去する。異物の除去された流体は、流出管から送り出され冷却水等として利用される。また、異物は、流入された流体と共に、適宜のタイミングでドレイン管から排出される。かかる濾過器としては、例えば特公昭61−53094号公報の異物除去装置、特公平2−18890号公報の濾過器、特開2000−334223号公報の旋回流式ストレーナが知られている。
【0003】
この濾過器の作用を説明する。流入管から流体は接線方向に導入されるため、流体は濾過エレメントの周囲を旋回する。また、流体に含まれる異物も旋回しながら下方に沈下していく。異物を除去された流体は、濾過エレメントを通過し、流出管から送り出される。一方、下方に沈下した異物は、ドレイン管から排出される。
【0004】
【特許文献1】
特公昭61−53094号公報(第1図、第2図、 第3図)
【特許文献2】
特公平2−18890号公報(第1図、第2図、 第3図)
【特許文献3】
特開2000−334223号公報(図1、 図2、 図3)
【発明が解決しようとする課題】
かかる濾過器における課題は、次の通りである。流入管からの流体が接線方向から導入されることにより旋回流を形成しているが、流入管から導入される流体の全てが旋回流の形成に寄与するのではない。すなわち、 流入管の管径には大きさがあり、本体容器の内壁近傍に導入される流体は、旋回流の形成に寄与するが、内壁から離れた位置(旋回流の旋回中心寄り) に導入される流体は、濾過エレメントのフィルター面に向かう。かかる方向に向かう流体は、流体に含まれる異物が直接濾過エレメントにぶつかるため、旋回流を乱す方向に作用する。従って、流体と同等程度の比重の異物は重力沈降がないので、排出できないという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、流入管から導入される流体により旋回流が乱されることのないような濾過器を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係る濾過器は、
円筒状の本体容器と、
この本体容器内に設けられる濾過エレメントと、
本体容器に対して接線方向から流体を導入する流入管と、
濾過エレメントにより異物が濾過された流体を流出する流出管と、
異物を流体と共に排出するドレイン管とを備えた濾過器において、
本体容器と流入管の接合部に、流入管内壁面から張り出す規制手段を設け、この規制手段により、流入される流体が直接濾過エレメントに向かうことを防止するように構成し、
前記流入管の軸方向視で、前記規制手段の張り出し側端部は、上方向又は下方向に向いた傾斜線に形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
この構成による濾過器の作用・効果は、以下の通りである。流体は流入管から導入されるが、この流入管と本体容器の接合部に、規制手段を設けている。この規制手段は、流入管内壁面から張り出した形態をしている。この規制手段は、導入される流体が直接濾過エレメントの方向に向かうのを防止する。すなわち、 導入される流体に含まれる異物が、そのまままっすぐに濾過エレメントの方向に向かうことを防止し、濾過エレメントとの衝突を防止する。その結果、流入管から導入される流体により旋回流が乱されることのないような濾過器を提供することができる。また、規制手段の張り出し側端部を上方向又は下方向に向いた傾斜線に形成すれば、流体よりも比重の軽い異物を強制的に上方向又は下方向に向かわせることができる。いずれの方向に向かわせるかは、ドレイン管を設ける位置に応じて決めればよい。
【0010】
本発明の別の好適な実施形態として、前記流入管の水平方向断面において、前記規制手段の流入管側の規制面が前記濾過エレメントの外面に対して接線方向又はほぼ接線方向を向いているものがあげられる。
【0011】
この構成によると、規制手段の規制面に衝突した流体は、濾過エレメントの接線方向又はほぼ接線方向に向かう。これにより、流体中の異物が直接濾過エレメントに衝突することを防止できると共に、乱れのない旋回流を形成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る濾過器の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、濾過器の一部破断斜視図、図2は、水平断面図、図3は、垂直断面図を示す。
【0013】
<濾過器の構成>
濾過器1は、円筒状の本体容器2を備えており、この本体容器2の上部に流入管3が接合され、下部に流出管4が接合される。本体容器2の内部には濾過エレメント5が設けられている。本体容器2の上部には蓋6が設けられている。また、本体容器2の下方には、異物を排出するためのドレイン管7が設けられている。濾過器1全体を支えるために、本体容器2には数箇所に脚8が取り付けられている。
【0014】
濾過エレメント5は、導入される流体に含まれている異物を除去するフィルターとしての機能を有する。そのため、濾過エレメント5の周囲には多数の孔5aが形成されている。濾過エレメント5は、逆円錐台状に形成されており、上部が大径であり下部が小径となっている。そして、上部が本体容器2と蓋6の間に挟持されることで、本体容器2に対して取り付けられている。また、濾過エレメント5の内部には、流出管4の先端4aが配置されており、濾過エレメント5により濾過された流体は、流出管4により流出される(矢印B方向) 。流出管4の先端4aは垂直上方向を向いている。なお、濾過エレメント5の上部を本体容器2に対して、適宜の方法で直接取り付けてもよい。
【0015】
取り扱う流体は、主に水や海水である。また異物は、海藻や生物、その他のゴミである。
【0016】
本体容器2の下部には、ドレイン管7が設けられており、接線方向(矢印C方向) に異物を排出する。異物は、流体と共に排出される。ドレイン管7の径は、流出管4の径よりも小さく設定されている。
【0017】
次に、流入管3に関する詳細な構造を説明する。図2に示すように、流入管3は本体容器2に対して、接線方向から流体を導入できるように接合されている。これにより、本体容器2の内部に旋回流を形成させる。図2において、旋回流は、時計方向に旋回する。つまり、流体を接線方向から導入することで旋回流を形成できる。しかしながら、導入される流体の全てが旋回流の形成に寄与するのではない。流体のうち、本体容器2の内壁面に近い側から導入される流体(図2の矢印A1)は、確かに旋回流の形成に寄与するが、内壁面に遠い側(旋回中心に近づく方向) から導入される流体(矢印A2)は、そのまままっすぐ進行すると、濾過エレメント5の外面に衝突する。つまり、流体に含まれている異物も、濾過エレメント5の外面に衝突することになり、旋回流に乱れを生じさせる。そこで、濾過エレメント5への異物の直接の衝突をできるだけ防止するため、規制手段として機能する堤9を設けている。
【0018】
堤9の詳細を図4で説明する。図4(a)は堤9の拡大平面図(水平方向断面図)、(b)は管軸方向視(矢視A)の図である。堤9は、流入管3と本体容器2の接合部に取り付けられる。堤9は、流入管3の内壁面から管軸方向に向けて張り出している。堤9は、流入管3のほうを向いた規制面9aと、濾過エレメント5を向いた裏面9bとを有する。裏面9bは、本体容器2の内壁面と連続した面(円筒面)となっている。規制面9aは、流体が直接濾過エレメント5の方向に向かうのを防止する。図4(a)に示すように、矢印A2方向に進んできた流体は、矢印A2’方向に変換させられる。矢印A2’方向は、濾過エレメント5の外形に対して接線方向、又は、ほぼ接線方向としている。かかる方向とすることで、旋回流の形成に寄与できる。
【0019】
図4(b)に示すように、堤9の張り出し側端部9cは垂直線に形成されている。これにより、旋回流を乱さず、流体を方向変換させることができる。図5は、堤9の別実施形態を示すものであり、(a)は、張り出し側端部9dが下向きの傾斜線となっている。(b)は端部9eが上向きの傾斜線となっている。傾斜線とすることで、流体に含まれる異物を上方向または下方向に強制的に向かわせることができる。いずれを採用するかは、ドレイン管7の配置により決めることができる。本実施形態では、ドレイン管7が本体容器2の下方に設けられているので、図5(a)の構成を採用して、下方向に向かわせることが好ましい。なお、異物が流体の比重よりも大きい場合は、自然に重力沈下していくが、異物の比重が流体と同等、あるいは軽い場合は、図5(a)の構成を採用すれば効果的である。
【0020】
<作用>
次に、濾過器1の作用について説明する。図1の矢印A方向から流体を導入する。流体は接線方向から導入され、また、規制手段としての堤9を設けているので、乱れのない旋回流を形成することができる。図6は旋回流の流速分布を示す図である。旋回流は、本体容器2の内壁面と濾過エレメント5の外面との間に形成されるが、壁面における流速が最も小さく、流れの中央部が最も流速が大きくなる。そして、ベルヌーイの定理によれば、流速が大きいところは圧力が低くなり、流速が小さくなるほど圧力が大きくなる。従って、流体と同程度の比重の異物は、圧力の低い中央部に引き寄せられるようになる。すなわち、 かかる異物は最も速い流速に乗せられて旋回していくため、効率良く異物を収集することができる。
【0021】
異物は旋回流に乗せられながら次第に下方に沈下していき、ドレイン管7から排出される。一方、異物が除去された流体は、濾過エレメント5の孔5aを通過し、流出管4から流出される。
【0022】
<別実施形態>
図1の実施形態では、流出管4の先端4aが濾過エレメント5の内部に突出していたが、これに限定されるものではない。図7は、流出管4の先端が濾過エレメント5の内部に突出していない構成例を示す図である。また、旋回流の旋回方向は、図1とは逆になっており、この旋回方向についても、いずれかの方向に限定されるものではない。図1と同じ機能を有する部材には、同じ図番を付している。
【0023】
図8と図9は、濾過エレメント5の下部の取り付け構成に関する別実施形態を示す図である。図8において、濾過エレメント5の下部には、管5bが設けられており、これが流出管4の入口部に装入されている。また、本体容器2の底部20には、濾過エレメント5を挿入しやすいように、面取り20aが施されている。
【0024】
図9において、濾過エレメント5は円筒形に形成されている。本体容器2の底部20には、リング状に突出した突出部21が形成され、濾過エレメント5の下部が装入され位置決めされる。また、突出部21には面取り21aが施されており、濾過エレメント5を挿入しやすいようにしている。濾過エレメント5の下部取付け方法は、上記に限定されるものではなく、濾過エレメント5が取り外し可能な嵌合になっておればよい。
【0025】
本実施形態では、濾過エレメント5を逆円錐台状に形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、円筒状に形成してもよい。
【0026】
堤9は、本体容器2や流入管3に一体形成してもよいし、独立した部品として形成し、これを適宜の手段で本体容器2や流入管3に取り付けてもよい。
【0027】
本実施形態では図示はしていないが、蓋6にエアーベントを取り付けることができる。エアーベントとは、運転前に本体容器内部に溜まっている空気を抜き出すための空気抜き弁である。また、流入管及び流出管に、圧力計を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】濾過器の一部破断斜視図
【図2】濾過器の水平断面図
【図3】濾過器の垂直断面図
【図4】堤(規制手段)の構成を示す図
【図5】堤の別実施形態の構成を示す図
【図6】旋回流の流速分布を示す図
【図7】第2実施形態に係る濾過器の一部破断斜視図
【図8】濾過エレメントの下部の取り付け構成の別実施形態を示す図
【図9】濾過エレメントの下部の取り付け構成の別実施形態を示す図
【符号の説明】
1 濾過器
2 本体容器
3 流入管
4 流出管
5 濾過エレメント
6 蓋
7 ドレイン管
8 脚
9 堤
9a 規制面
9c,9d,9e 張り出し側端部

Claims (4)

  1. 円筒状の本体容器と、
    この本体容器内に設けられる濾過エレメントと、
    本体容器に対して接線方向から流体を導入する流入管と、
    濾過エレメントにより異物が濾過された流体を流出する流出管と、
    異物を流体と共に排出するドレイン管とを備えた濾過器において、
    本体容器と流入管の接合部に、流入管内壁面から張り出す規制手段を設け、この規制手段により、流入される流体が直接濾過エレメントに向かうことを防止するように構成し、
    前記流入管の軸方向視で、前記規制手段の張り出し側端部は、上方向又は下方向に向いた傾斜線に形成されていることを特徴とする濾過器。
  2. 前記流入管の水平方向断面において、前記規制手段の流入管側の規制面が前記濾過エレメントの外面に対して接線方向又はほぼ接線方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載の濾過器。
  3. 前記濾過エレメントは、逆円錐台状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の濾過器。
  4. 前記濾過エレメントは、円筒状に形成されることを特徴とする1又は2に記載の濾過器。
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