JP3868396B2 - SiOx粉末の製造方法、SiOx粉末からなる膜 - Google Patents

SiOx粉末の製造方法、SiOx粉末からなる膜 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度・超微粒SiOx粒子・粉末及びその製造方法、並びにこれらを用いてなる半導体の保護膜又は絶縁膜等に関する。
【0002】
【従来の技術】
SiOx粒子又は粉末はその高い蒸気圧を利用し、食品包装用フィルムや光学部品にSiOx質の蒸着膜を形成させるための蒸着原料として用いられている。たとえば、水蒸気、酸素ガスの透過を防止して食品の劣化を防ぐため、食品包装用フィルムにSiOx膜からなるガスバリア膜を形成する原料に用いられている。
【0003】
従来、SiOx粒子又は粉末の製造方法としては、シリカと金属シリコン及び/又は炭素とを含む混合原料を、少なくとも8×10Pa以上の非窒化性雰囲気下で高温処理してSiO含有ガスを生成させ、それを1000℃/秒以下の冷却速度で冷却する方法(特許文献1参照)、SiO粉末を不完全燃焼炎中で加熱してSi蒸気を発生させ、それを亜酸化する方法(特許文献2参照)等、が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−158613号公報。
【0005】
【特許文献2】
特開平5−213606号公報。
【0006】
前記の従来法で、SiOx粒子又は粉末の高純度化を行うには、原料の調製から製品の捕集までの間に不純物が混入しないようにしなければならない。しかしながら、原料の高純度化には精製等の特殊処理が必要となる問題がある。また、原料を加熱してSiO蒸気又はSi蒸気を発生させるには、1500〜2000℃程度での高温操作が必要となり、高純度原料を用いても、炉材等からNa、Al、Mg、Ca、Fe等の不純物が混入し、高純度SiOx粒子又は粉末を製造することが困難である。尚、本発明でいう「高純度」とは、Na、Fe、Al、Clの合計量が10ppm以下のことである。
【0007】
また、従来法のSiOx粒子又は粉末は、Si粒子をコア、SiOxをシェルとするようなコア・シェル構造は有しておらず、概ね均一な粒子又は粉末であり、蒸着原料として用いる場合には蒸気圧を高くするために通常、x値(O/Siモル比)が2.0よりも1.0に近いものが用いられる。従って蒸着膜も原料同様に、組成SiOyにおけるy値(O/Siモル比)は2.0よりも1.0に近くなる。但し蒸着膜においては、O/Si値が小さい(y値が2.0よりも1.0に近い)程絶縁性が低下するので、従来法の蒸着膜は絶縁性が充分ではなかった。蒸着膜の絶縁性を向上させるために、x値が2である二酸化珪素(SiO)粉末を原料に使用する試みもなされたが、蒸着に必要なほどの高い蒸気圧を有するSiO粉末は、これまで見出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記状況に鑑み、いろいろな形態のSiOxを得るべく検討したところ、ある特定の条件下でSi粒子をコア、SiOxをシェルとするコア・シェル構造を有する高純度で超微粒なSiOx粒子とそれを含む粉末が得られること、そして、それを用いてPVDを行うときに、熱並びに光酸化性に優れるSiOy膜が得られ、更に、従来よりも電気絶縁性に優れるSiOz膜をも容易に得ることができるという新しい知見を得て、本発明に至ったものである。
【0009】
即ち、本発明の目的は、Si粒子をコア、SiOxをシェルとするコア・シェル構造を有する高純度・超微粒SiOx粒子・粉末を提供すること、また、前記原料を用いていろいろな保護膜や絶縁膜として利用し得るSiOy膜を提供すること、更に、良好な絶縁破壊電圧を有しシリコン集積回路におけるゲート酸化膜等を始めとするいろいろな用途に利用可能なSiOz膜を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、Si粒子を内包していることを特徴とするSiOx(x=1.0〜2.0)粒子であり、好ましくは、粒径が50nm以下であることを特徴とする前記のSiOx粒子である。
【0011】
本発明は、前記のSiOx粒子を当該粉末の90質量%以上含有することを特徴とするSiOx粉末であり、好ましくは、前記のSiOx粒子を含有し、Si粒子が5〜50質量%、Si粒子を包囲するSiOxが95〜50質量%からなることを特徴とするSiOx粉末であり、更に好ましくは、比表面積値が10m/g以上であり、Na、Fe、Al、Clの合計量が10ppm以下であることを特徴とする前記のSiOx粉末である。
【0012】
本発明は、反応容器内に、モノシランガスと、前記モノシランガスを酸化するための酸化性ガスと、必要に応じて両者を希釈するための希釈ガスと、を導入してSiOx粉末を製造する方法であって、モノシランガスと酸化性ガスとを交互に前記反応容器内に供給することを特徴とするSiOx粉末の製造方法であり、好ましくは、反応容器内を、圧力が10〜1000kPa、温度が500〜1000℃の条件とすることを特徴とする前記のSiOx粉末の製造方法である。
【0013】
本発明は、前記のSiOx粉末を、光照射することなく、PVD蒸着して得られることを特徴とするSiOy(y=1.2〜1.8)膜であり、好ましくは、PVD蒸着時に基材を加熱することなく得られたSiOy膜であって、Si粒子含有量が0.1〜5質量%であることを特徴とする前記のSiOy膜であり、シリコン集積回路における保護膜若しくは層間絶縁膜、化合物半導体集積回路における保護膜、又はエレクトロルミネッセンス素子の保護膜であることを特徴とする前記のSiOy膜である。
【0014】
加えて、本発明は、前記のSiOx粉末を用いて、PVD蒸着しながら、又はPVD蒸着後に、光照射して得られることを特徴とするSiOz(zは1.5以上2.0未満)膜であり、好ましくは、光照射が100℃以下で行われ、しかも当該光照射時に酸化を伴って得られたSiOz膜であって、当該膜の絶縁破壊電圧が4MV/cm以上であることを特徴とする前記のSiOz膜であり、シリコン集積回路におけるゲート酸化膜、保護膜若しくは層間絶縁膜、化合物半導体集積回路における保護膜、薄膜トランジスタのゲート酸化膜若しくは絶縁性被膜、又はエレクトロルミネッセンス素子の保護膜であることを特徴とする前記のSiOz膜である。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係るSiOx粉末の製造方法について、説明する。
本発明は、原料にモノシランガスを用いることによって、低温反応が可能となるので、従来法におけるような炉材等からの不純物混入を極限まで低下させることができ、その結果、生成するSiOx粉の高純度化と超微粉化が可能となるものである。
【0016】
本発明において用いるモノシラン(SiH)ガスは市販品を用いることができる。モノシランガスは、塩素を構成成分としていない点でトリクロルシラン等のシラン系ガスよりも環境に及ぼす負荷が低く、優れている。また、モノシランの酸化性ガス(以下、単に「酸化性ガス」という。)としては、酸素ガス、乾燥空気の他に、モノシランに対して酸化性を有する例えばNO、CO、HO等のガスを用いることができる。これらの酸化性ガスは、不純物が極限まで除去されていることが好ましい。
【0017】
モノシランガスと酸化性ガスの反応は、圧力10〜1000kPaの非酸化性ガス雰囲気下、温度500〜1000℃で行わせることが好ましい。圧力が10kPa未満であると、生成したSiOx膜が反応容器壁面に付着成長し、排出部を閉塞するので長期操業が容易でなくなることがあるし、1000kPaをこえると、反応装置の耐圧を高めるのに大がかりな設備が必要になるうえ、不純物が増加する傾向となるからである。好ましい圧力は、50〜300kPaである。
【0018】
一方、反応場の温度が500℃未満であると主としてSiOが生成し易く、また1000℃をこえると単体のSiが生成し易くなると共に、炉材等からの不純物がより多く混入する恐れが高くなることから、いずれの場合も高純度・超微粉SiOx粉の製造が容易でなくなる。前記温度範囲の中で、550〜950℃が好ましく、更に650〜850℃が一層好ましい範囲である。
【0019】
本発明において、モノシランガスと酸化性ガスは、一度にではなく、それぞれが別々の時期に交互に反応容器内へ導入される。これよってSi粒子を内包するSiOx粒子、条件によっては、Si粒子をコア、SiOxをシェルとするコア・シェル構造の粒子が形成される。その理由は、先ずモノシランガス導入時に、モノシランが熱分解してSi粒子のコアが形成され、その後、酸化性ガスが導入された際にSiコアの外周が酸化されてSiOxシェルが形成されるためであると考えられる。
【0020】
本発明において、モノシランガスと酸化性ガスの反応は、必要に応じて、非酸化性ガスからなる希釈ガスの存在下で行われる。これによって、生成したSiOx粉の容器壁への付着をより少なくすることができる。希釈ガス(以下、非酸化性ガスともいう)としては、アルゴン、ヘリウムのような不活性ガスが最適であるが、反応を妨げない範囲で、H、N、NH、CO等を用いることもできる。酸化性ガスとして乾燥空気を用いた場合、非酸化性ガスと酸化性ガスの両方を用いたことになる。非酸化性ガスの量は、モノシランガス量と酸化性ガスの酸化反応に与る酸素量との合計量よりも多くすることが好ましく、モル比で2倍以上、特に10倍以上であることが好ましい。ここで、酸化性ガスの酸化反応に与る酸素量とは、たとえば乾燥空気の場合には、それに含まれる酸素量であり、NOとCOの場合は、それを構成する酸素原子分の酸素量である。
【0021】
反応容器としては、石英ガラス等の高純度材料で製作されたものが使用できる。その形状は、底付きのコップ形状とすることもできるが、管状が好ましく、その向きは縦型設置、横型設置のいずれであっても良い。反応容器の加熱方法については、抵抗加熱発熱体、高周波加熱、赤外輻射加熱等の手段を用いることができる。
【0022】
反応容器内で生成したSiOx粉は、非酸化性ガス及び副成ガスと共に系外に排出され、バッグフィルター等の従来公知の粉末回収装置を用いて回収される。
【0023】
本発明の製造方法においては、モノシランガスと酸化性ガスの比率を変えることによって、x値すなわちO/Siモル比の異なるSiOx粉を制御して製造できる。
【0024】
本発明に係るSiOx粒子のx値は1.0〜2.0である。x値が1.0未満であると、PVD等の蒸着原料としたときに、蒸着速度が低下し、蒸着温度をあげる必要が生じるので、望ましくなく、本発明者の実験的検討に基づけば、好ましいx値は1.2〜1.8である。尚、x値は、SiOx中のSiモル量をJIS−R;6124(炭化けい素質研削材の化学分析)に準じて測定し、また酸素モル量をO/N同時分析装置(例えばLECO社「TC−136」)を用いて測定し、それらのモル比から算出することができる。
【0025】
前記した通りに、本発明のSiOx粉の製造方法によって、Si粒子を内包し、またはSi粒子をコア、SiOxをシェルとするコア・シェル構造を有し、粒径が50nm以下のSiOx粒子、そして前記SiOx粒子を当該粉末の90質量%以上含有する、比表面積が10m/g以上であり、Na,Fe,Al,Clの合計量が10ppm以下である高純度で超微粉のSiOx粉末を容易に得ることができる。更に、前記SiOx粉末は、前記特有な構造のSiOx粒子を含有し、Si粒子が5〜50質量%、Si粒子を包囲するSiOxが95〜50質量%からなるSiOx粉末をも得ることができる。
【0026】
本発明に係る高純度、超微粉のSiOx粉の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって測定できる。またSiOx粉がSi粒子を内包すること、またはSi粒子をコア、SiOxをシェルとするコア・シェル構造を有することは、TEM観察並びにラマン分光分析におけるSi粒子に帰属されるピークの位置及び形態によって確認できる。SiOx粉に内包されるかコアとして存在するSi粒子の量は、SiOx粉を加熱したフッ化水素酸中で煮沸後、残留物をSi粒子とみなし、質量を測定して求められる。
【0027】
本発明のSiOx粉において、Na、Fe、Al、Clの合計量が10ppmをこえると、これを用いて層間絶縁膜等を形成した場合に、絶縁不良、腐食の原因となることがあるので好ましくなく、5ppm以下であることが一層好ましい。尚、これらの不純物は、ICP等の発光分析法によって測定することができる。また、比表面積が10m/g未満であると、前述した通りに、蒸着開始温度が高くなることがある。比表面積は50m/g以上であることが一層好ましい。
【0028】
本発明の高純度、超微粉のSiOxを蒸着原料に用いて、光照射することなくPVD蒸着すると、y=1.2〜1.8のSiOy膜が得られ、このSiOy膜は酸化されやすい特徴を有している。特に、前記SiOx粉末を原料にして、基材を加熱することなく得られたSiOy膜であって、Si粒子含有量が0.1〜5質量%であるSiOy膜は、そのものが適度の絶縁破壊特性を有していて、シリコン高集積回路における保護膜若しくは層間絶縁膜、化合物半導体集積回路における保護膜、又はエレクトロルミネッセンス素子の保護膜等に好適に用いることができると共に、後述する通りに、更に容易に酸化されて絶縁破壊特性が一層優れるSiOz膜(1.5≦z<2.0)を提供できる特徴を有している。y値は1.5以上、2.0未満に達する。SiOy膜中のSi粒子含有量は、X線光電子スペクトル(XPS)におけるSi2pスペクトルの、SiOyに帰属されるピークとSi粒子に帰属されるピークの強度比(面積比)より求められる。
【0029】
前記の酸化性に優れるSiOy膜がSiOx粉末を用いて容易に得られることの原因について、本発明者は、SiOx粒子中にSi粒子が内在されているが、この構造が蒸発後の蒸着膜中に取り残されるように蒸着が行われ、前記の構造が存在することにより、蒸着膜中のSi粒子が活性化されており、熱酸化或いは光酸化されやすいためであると考えている。
【0030】
つまり、本発明のSiOy膜は、蒸着後に例えば酸素を含む雰囲気中400℃で2時間程度加熱すること等によって、酸化の程度をさらに進めることも可能である。そして、SiOy膜は酸化の度合いが大きくなると、それにつれて絶縁性が向上する特徴を有している。
【0031】
また、本発明は、前述のSiOx粉末を蒸着原料に用い、蒸着中もしくは蒸着後に得られる蒸着膜に光照射を行うことにより得られるSiOz膜(1.5≦z<2.0)である。特に、前記光照射が100℃以下で酸化を現象を伴って行われた前記SiOz膜は、絶縁破壊電圧が4MV/cm以上の極めて優れた電気絶縁特性を有するので、シリコン集積回路におけるゲート酸化膜、保護膜若しくは層間絶縁膜、化合物半導体集積回路における保護膜、薄膜トランジスタのゲート酸化膜若しくは絶縁性被膜、又はエレクトロルミネッセンス素子の保護膜として好適に使用することができる特徴がある。
【0032】
【実施例】
以下、実施例、比較例をあげて更に詳細に本発明を説明する。
【0033】
(実施例1〜5、比較例1〜4)
図1に例示する装置を用いてSiOx粉末を作製した。
まず、モノシランガス、窒素ガス、酸素ガス(いずれも、純度が99.999質量%以上)を用意し、それぞれのガスを、質量流量計を通じて石英ガラス製反応容器(内径60mm×長さ1500mm)1に導入した。
モノシランガスは、石英ガラス製のモノシランガス導入管4(内径5mm)を通し、窒素ガスと混合して反応容器1内に吹き出すようにして供給した。また酸素ガスは、石英ガラス製の酸化性ガス導入管3(内径5mm)を通し、窒素ガスと混合して反応容器1内に吹き出すようにして供給した。この際、モノシランガス導入管4および酸化性ガス導入管3の途中にタイマーで動作する電磁式バルブ7を設け、(1)モノシランガスを2秒間導入、(2)ガス導入を2秒間遮断、(3)酸化性ガスを2秒間導入、(4)ガス導入を2秒間遮断のサイクルを繰り返して反応させた。
【0034】
ここで、反応容器1は、その外周を巻回させたニクロム線ヒーター2に通電を行い、所定の反応温度(表1参照)に保たれるように加熱されている。温度調整は、反応容器中央部中心に設置された熱電対で測温し、ニクロム線ヒーター2の電力を制御して行った。
【0035】
反応容器1内の圧力は、多くの実験では大気圧下とほぼ同等の101kPaで実施した。反応容器内の大気圧未満の減圧は、排出側に設けた真空ポンプで減圧しつつバルブの開度を調節することによって行い、大気圧をこえる加圧は、反応容器1の外側にステンレス製容器をかぶせ2重構造にして行った。この際、ニクロム線ヒーター2とステンレスの間には繊維質断熱材を埋め込むと共に、反応容器1とステンレスの間には、反応容器1内の圧力と同等になるように窒素ガスを導入し、反応容器1の内外でのガス圧を均衡させた。
【0036】
生成したSiOx粉は、副生ガス、窒素ガスと共に、排出管8から排出され、途中に設けられたバグフィルター9で回収された。回収した粉末について、SiOx粉のx値、比表面積、不純物を測定した。Si粒子の質量分率は、生成物を加熱したフッ化水素酸中で煮沸後、残留物をSi粒子とみなし、質量を測定して求めた。SiOの質量分率は、生成物を真空中1100℃で加熱してSiOx分を揮発させた後の残留物を、さらに加熱したフッ化水素酸中で煮沸し、この時の質量減少分をSiOとみなして求めた。SiOx分の質量分率は、全体の質量からSi粒子とSiOの質量を差し引いて算出した。また、透過型電子顕微鏡(TEM)観察及びラマン分光分析を行い、粒径及び粒子内のSi粒子内包(Siコア)有無を確認した。それらの結果を表2に示す。
【0037】
反応容器1内の圧力を5kPaとした比較例3では、少量の生成物しか回収できず、大部分が反応容器の排出部に付着していた。また、回収粉末の色調も実施例で得られた薄茶色ないしは茶褐色に対し白いものであった。一方、反応容器1内の圧力を1200kPaに高めた比較例4では、比表面積、純度ともに目的とするものが得られなかった。
【0038】
【表1】
Figure 0003868396
【0039】
【表2】
Figure 0003868396
【0040】
(実施例6)
窒素ガスの代わりにアルゴンガスを用い、それ以外は実施例1と同様にして反応を行い、生成物を分析した結果を表2に示す。
【0041】
(実施例7)
モノシランガスおよび酸化性ガス導入の間隔を、(1)モノシランガスを1秒間導入、(2)ガス導入を1秒間遮断、(3)酸化性ガスを1秒間導入、(4)ガス導入を1秒間遮断のサイクルとし、それ以外は実施例1と同様にして反応を行い、生成物を分析した結果を表2に示す。
【0042】
(比較例5)
モノシランガスおよび酸化性ガスを、交互にではなく同時に反応容器に導入し、それ以外は実施例1と同様にして反応を行い、生成物を分析した結果を表2に示す。
【0043】
表1及び表2から、本発明の製造方法によって、Si粒子を内包し、またはSi粒子をコア、SiOxをシェルとするコア・シェル構造を有し、粒径が50nm以下のSiOx粒子が得られていること、また、比表面積が10m/g以上で、Na、Fe、Al、Clの合計量が10ppm以下である高純度・超微粉SiOx(x=1.0〜2.0)粉が製造できるが明瞭である。
【0044】
(実施例8〜10、比較例6〜8)
実施例1、実施例6、実施例7、比較例1、比較例5のそれぞれのSiOx粉、並びに市販のSiO粉末(Merck製、Patinal 7725)を蒸着用原料として用い、圧力1.3×10−5Pa、蒸発温度1100℃で、温度45℃の砒化ガリウム(GaAs)単結晶ウェハー上に20分間蒸着を行い、厚さ約300nmの蒸着膜を形成させた。
【0045】
得られた膜に含まれるSi粒子の量を、X線光電子スペクトル(XPS)におけるSi2pスペクトルの、SiOyに帰属されるピークとSi粒子に帰属されるピークの強度比(面積比)より求めた。また膜の組成(SiOyにおけるy値)、並びに前記膜について、酸素を含む雰囲気中でハロゲンランプを用い室温で光を照射した後の組成(SiOzにおけるz値)を、XPSのSi2p、O1sピークの強度比から求めた。また光照射後の膜の絶縁破壊電圧を測定した。これらの結果を表3に示した。
【0046】
【表3】
Figure 0003868396
【0047】
(実施例11、比較例9〜10)
実施例1、比較例5のSiOx粉、又比較例8で用いた市販のSiO粉末を蒸着用原料として用い、圧力1.3×10−5Pa、蒸発温度1100℃で、温度45℃の砒化ガリウム(GaAs)単結晶ウェハー上に20分間ハロゲンランプで光照射を行いながら蒸着を行って厚さ約300nmの蒸着膜を形成させた。得られた膜の組成(SiOzにおけるz値)をXPSのSi2p、O1sピークの強度比から求めた。また膜の絶縁破壊電圧を測定した。これらの結果を表3に示した。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、Si粒子を内包し、またはSi粒子をコア、SiOxをシェルとするコア・シェル構造を有し、粒径が50nm以下、比表面積が10m/g以上、Na、Fe、Al、Clの合計量が10ppm以下である高純度で超微粉のSiOx(x=1.0〜2.0)粉が提供される。
【0049】
本発明のSiOx粉は、これを用いてPVD蒸着するときに絶縁破壊電圧の高いSiOy膜を容易に得ることができるし、更に、前記SiOy膜は光照射により酸化して一層絶縁破壊電圧の高いSiOz膜を容易に形成することができる特徴を有している。
【0050】
本発明のSiOy膜、SiOz膜は、絶縁破壊電圧が極めて高いので、シリコン高集積回路におけるゲート酸化膜、保護膜若しくは層間絶縁膜、化合物半導体集積回路における保護膜、薄膜トランジスタのゲート酸化膜若しくは絶縁性被膜、又はエレクトロルミネッセンス素子の保護膜等のいろいろな用途に好適に使用できるので、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るSiOx粉末の製造に用いた反応装置概略図。
【符号の説明】
1 反応容器
2 ニクロム線ヒーター
3 酸化性ガス導入管
4 モノシランガス導入管
5 希釈ガス(非酸化性ガス)導入管
6 流量コントローラー
7 タイマーで動作する電磁式バルブ
8 排出管
9 バグフィルター

Claims (8)

  1. 反応容器内に、モノシランガスと、前記モノシランガスを酸化するための酸化性ガスと両者を希釈するための希釈ガスと、を導入してSiOx粉末を製造する方法であって、モノシランガスと酸化性ガスとを交互に前記反応容器内に供給することを特徴とするSiOx粉末の製造方法。
  2. 反応容器内を、圧力が10〜1000kPa、温度が500〜1000℃の条件とすることを特徴とする請求項記載のSiOx粉末の製造方法。
  3. Si粒子を内包しているSiO x x =1.0〜2.0)粒子を含有するSiO x 粉末を、光照射することなく、PVD蒸着して得られることを特徴とするSiOy(y=1.2〜1.8)膜。
  4. PVD蒸着時に基材を加熱することなく得られたSiOy膜であって、Si粒子含有量が0.1〜5質量%であることを特徴とする請求項記載のSiOy膜。
  5. シリコン集積回路における保護膜若しくは層間絶縁膜、化合物半導体集積回路における保護膜、又はエレクトロルミネッセンス素子の保護膜であることを特徴とする請求項又は請求項記載のSiOy膜。
  6. Si粒子を内包しているSiO x x =1.0〜2.0)粒子を含有するSiO x 粉末を用いて、PVD蒸着しながら、又はPVD蒸着後に、光照射して得られることを特徴とするSiOz(zは1.5以上2.0未満)膜。
  7. 光照射が100℃以下で行われ、しかも当該光照射時に酸化を伴って得られたSiOz膜であって、当該膜の絶縁破壊電圧が4MV/cm以上であることを特徴とする請求項記載のSiOz膜。
  8. シリコン集積回路におけるゲート酸化膜、保護膜若しくは層間絶縁膜、化合物半導体集積回路における保護膜、薄膜トランジスタのゲート酸化膜若しくは絶縁性被膜、又はエレクトロルミネッセンス素子の保護膜であることを特徴とする請求項又は請求項記載のSiOz膜。
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