JP3868099B2 - ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物及びそれを含有してなる光記録媒体 - Google Patents
ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物及びそれを含有してなる光記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、及びこれを用いた、従来に比較して高密度に記録および再生可能な光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、CDと比較して大容量な光記録媒体として、容量4.7GBであるDVDが開発され、商品化されている。DVDは再生専用媒体であるので、この容量に見合った記録再生可能な光記録媒体が望まれている。その中でも、追記型のものはDVD−Rと呼ぶ。
【0003】
DVDでは高密度記録を行うためにレーザー光の発振波長が630nm〜680nm近傍とCDの場合より短波長化している。このような短波長用途の有機色素系光記録媒体の色素としては、シアニン、アゾ、ベンゾピラン、ベンゾジフラノン、インジゴ、ジオキサジン、ポルフィリン系色素等が提案されており、特開平4−74690号公報、特開平5−38878号公報、特開平6−40161号公報、特開平6−40162号公報、特開平6−199045号公報、特開平6−336086号公報、特開平7−76169号公報、特開平7−125441号公報、特開平7−262604号公報、特開平9−156218号公報、特開平9−193544号公報、特開平9−193545号公報、特開平9−193547号公報、特開平9−194748号公報、特開平9−202052号公報、特開平9−267562号公報、特開平9−274732号公報等があるが、耐久性の問題や、特に短波長用途に固有の問題、例えば、絞られたレーザー光で小さいピットを開けるべきところが、周りへの影響が大きく分布の大きいピットになり、ジッターが大きくなったり、半径方向へのクロストークが悪化する、あるいはピットが極端に小さくなって十分な変調度がとれない、などについてはなんら解決されていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新規なジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、及びこれを含有する、波長520〜690nmの短波長レーザーでの記録および再生が可能な高密度記録に適した光記録媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
▲1▼ 下記一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、
【0006】
【化2】
【0007】
(式中、R1〜R11は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、スルホン基、炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノアルコキシ基、アルキルチオアルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールアミノカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、モノ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基、モノ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基、ジ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基または炭素数2〜20のアルケニル基を表わす。R12〜R13はフッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ヘテロアリール基、又はアルコキシ基を表わすが、R12〜R13の少なくとも1つはフッ素原子以外の前記置換基を示す。但し、R2とR3又はR3とR4又はR4とR5又はR7とR8又はR8とR9又はR9とR10結合して芳香環を形成してもよい。)
【0008】
▲2▼ 基板上に少なくとも記録層及び反射層を有する光記録媒体において、記録層中に、▲1▼に記載のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を含有する光記録媒体、
▲3▼ 波長520〜690nmの範囲から選択されるレーザー光に対して記録及び再生が可能である▲2▼に記載の光記録媒体、に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の記録層に含有される一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物の具体例を次に述べる。
【0010】
R1〜R11の具体例としては、水素原子;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシ基;アミノ基;カルボキシ基;スルホン基;
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、cyclo−ペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、3−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチルブチル基、1,2,2−トリエチルブチル基、1,1,2−トリエチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、cyclo−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリエチルペンチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、4−エチル−4,5−ジメチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラメチルオクチル基、4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6−メチル−4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,2,5,5−テトラメチルヘキシル基、1−cyclo−ペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−cyclo−ヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基等の炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基;
【0011】
クロロメチル基、ジクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基等のハロゲノアルキル基;
メトキシエチル基、エトキシエチル基、iso−プロピルオキシエチル基、3−メトキシプロピル基、2−メトキシブチル基等のアルコキシアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、neo−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等のアルコキシ基;
メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、3−メトキシプロピルオキシ基、3−(iso−プロピルオキシ)プロピルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;
フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、4−iso−プロピルフェノキシ基等のアリールオキシ基;
2−ジメチルアミノエトキシ基、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エトキシ基、4−ジメチルアミノブトキシ基、1−ジメチルアミノプロパン−2−イルオキシ基、3−ジメチルアミノプロポキシ基、2−ジメチルアミノ−2−メチルプロポキシ基、2−ジエチルアミノエトキシ基、2−(2−ジエチルアミノエトキシ)エトキシ基、3−ジエチルアミノプロポキシ基、1−ジエチルアミノプロポキシ基、2−ジ−iso−プロピルアミノエトキシ基、2−ジ−n−ブチルアミノエトキシ基等の直鎖又は分岐のジアルキルアミノアルコキシ基;
【0012】
2−メチルチオエトキシ基、2−エチルチオエトキシ基、2−n−プロピルチオエトキシ基、2−iso−プロピルチオエトキシ基、2−n−ブチルチオエトキシ基、2−iso−ブチルチオエトキシ基のアルキルチオアルコキシ基;
ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、iso−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、iso−ペンチルカルボニル基、neo−ペンチルカルボニル基、2−メチルブチルカルボニル基、ニトロベンジルカルボニル基等のアシル基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、2,4−ジメチルブチルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;
メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n−プロピルアミノカルボニル基、n−ブチルアミノカルボニル基、n−ヘキシルアミノカルボニル基等のアルキルアミノカルボニル基;
ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ−n−プロピルアミノカルボニル基、ジ−n−ブチルアミノカルブニル基、N−メチル−N−シクロヘキシルアミノカルボニル基等のジアルキルアミノカルボニル基;
アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ブチルカルボニルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基;
フェニルアミノカルボニル基、4−メチルフェニルアミノカルボニル基、2−メトキシフェニルアミノカルボニル基、4−n−プロピルフェニルアミノカルボニル基等のアリールアミノカルボニル基;
フェニルカルボニルアミノ基、4−エチルフェニルカルボニルアミノ基、3−ブチルフェニルカルボニルアミノ基等のアリールカルボニルアミノ基;
フェノキシカルボニル基、2−メチルフェノキシカルボニル基、4−メトキシフェニルカルボニル基、4−t−ブチルフェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;
【0013】
ベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、メチルベンジル基、トリメチルベンジル基、ジクロロベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、ナフチルメチル基、ニトロナフチルメチル基、シアノナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、メチルナフチルメチル基、トリフルオロメチルナフチルメチル基等のアラルキル基;
フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基等のアリール基;
ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾフラニル基、インドイル基等のヘテロアリール基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、iso−ペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、1−メチルブチルチオ基、neo−ペンチルチオ基、1,2−ジメチルプロピルチオ基、1,1−ジメチルプロピルチオ基等のアルキルチオ基;
フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、4−t−ブチルフェニルチオ基等のアリールチオ基;
アリルオキシカルボニル基、2−ブテノキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基;
ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;
メトキシカルボニルメトキシカルボニル基、エトキシカルボニルメトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニルメトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニルメトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基;
【0014】
メチルカルボニルメトキシカルボニル基、エチルカルボニルメトキシカルボニル基等のアルキルカルボニルアルコキシカルボニル基;
ヒドロキシエチルアミノカルボニル基、2−ヒドロキシプロピルアミノカルボニル基、3−ヒドロキシプロピルアミノカルボニル基等のモノ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基;
ジ(ヒドロキシエチル)アミノカルボニル基、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノカルボニル基、ジ(3−ヒドロキシプロピル)アミノカルボニル基等のジ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基;
メトキシメチルアミノカルボニル基、メトキシエチルアミノカルボニル基、エトキシメチルアミノカルボニル基、エトキシエチルアミノカルボニル基、プロポキシエチルアミノカルボニル基等のモノ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基;
ジ(メトキシエチル)アミノカルボニル基、ジ(エトキシメチル)アミノカルボニル基、ジ(エトキシエチル)アミノカルボニル基、ジ(プロポキシエチル)アミノカルボニル基等のジ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基;
ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、iso−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−シアノ−2−メチルカルボキシルビニル基、2−シアノ−2−メチルスルホンビニル基等の炭素数2〜20のアルケニル等を挙げることができる。
【0015】
R12及びR13の具体例としては、
フッ素原子;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、cyclo−ペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、3−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチルブチル基、1,2,2−トリエチルブチル基、1,1,2−トリエチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、cyclo−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリエチルペンチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、4−エチル−4,5−ジメチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラメチルオクチル基、4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6−メチル−4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,2,5,5−テトラメチルヘキシル基、1−cyclo−ペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−cyclo−ヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基等の炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基;
【0016】
ベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、メチルベンジル基、トリメチルベンジル基、ジクロロベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、ナフチルメチル基、ニトロナフチルメチル基、シアノナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、メチルナフチルメチル基、トリフルオロメチルナフチルメチル基等のアラルキル基;
フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基等のアリール基;
フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、4−iso−プロピルフェノキシ基等のアリールオキシ基;
フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、4−t−ブチルフェニルチオ基等のアリールチオ基;
ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾフラニル基、インドイル基等のヘテロアリール基;
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、neo−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等のアルコキシ基を挙げることができる。
【0017】
本発明の一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は以下のようにして合成できる。一般式(2)で示される化合物と一般式(3)で示される化合物、または一般式(4)で示される化合物と一般式(5)で示される化合物とを、臭化水素酸や塩化水素等の酸触媒の存在下、適当な溶媒中で反応させて、一般式(6)で示されるジピロメテン系化合物を得る。次いで一般式(6)で示される化合物を、三フッ化ホウ素類と反応させて一般式(7)で示される化合物を得た後、フッ素原子を置換して一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を合成する。
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】
【化7】
【0023】
【化8】
[式(2)〜(7)に於いて、R1〜R11は前記に同じ。]
【0024】
また、一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物に於いて、R1=R11、R2=R10、R3=R9、R4=R8、R5=R7である対称型ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は以下の様に合成することもできる。
【0025】
一般式(8)で示される化合物を適当な溶媒中、酢酸アンモニウム或いはアンモニア水及び酢酸の混合物と反応させて一般式(9)で示されるジピロメテン系化合物を得る。次いで一般式(9)で示される化合物を、三フッ化ホウ素類と反応させて一般式(10)で示される化合物を得た後、フッ素原子を置換して一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を合成する。
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
[式(8)〜(10)に於いて、R1〜R6は前記に同じ。]
【0029】
一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物の具体例としては、表−1に示す置換基を有する化合物が挙げられる。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
本発明の具体的構成について以下に説明する。
本発明の光記録媒体は図1に示すような貼り合わせ構造を有している。すなわち、基板1上に記録層2が形成されており、その上に密着して反射層3が設けられており、さらにその上に接着層4を介して基板5が貼り合わされている。ただし、記録層2の下または上に別の層があっても良く、反射層3の上に別の層があっても良い。
【0037】
基板の材質としては、基本的には記録光および再生光の波長で透明であればよい。例えば、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料やガラス等の無機材料が利用される。これらの基板材料は射出成形法等により円盤状に基板に成形される。必要に応じて、基板表面に案内溝やピットを形成することもある。このような案内溝やピットは、基板の成形時に付与することが望ましいが、基板の上に紫外線硬化樹脂層を用いて付与することもできる。通常DVDとして用いる場合は、厚さ1.2mm程度、直径80ないし120mm程度の円盤状であり、中央に直径15mm程度の穴が開いている。
【0038】
本発明においては、基板上に記録層を設けるが、本発明の記録層は、その吸収極大が450nm〜630nm付近に存在する一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を含有する。中でも、520nm〜690nmより選択される記録および再生レーザー波長に対して適度な光学定数を有する必要がある。
【0039】
光学定数は複素屈折率(n+ki)で表される(iは虚数単位を表す)。式中のn、kは、実数部nと虚数部kとに相当する係数である。ここでは、nを屈折率、kを消衰係数とする。
【0040】
一般に有機色素の屈折率と消衰係数は大きな波長依存性を示す。この特徴を考慮して、目的とするレーザー波長において好ましい光学定数を有する有機色素を選択し、記録層を成膜することで、高い反射率を有し、かつ、感度の良い媒体とすることができる。
【0041】
本発明によれば、記録層に必要な光学定数は、前記レーザー光の波長において、nが1.8以上、かつ、kが0.04〜0.40であり、好ましくは、nが2.0以上で、かつ、kが0.04〜0.20である。nが1.8より小さい値になると正確な信号読み取りに必要な反射率と信号変調度は得られず、kが0.40を越えても反射率が低下して良好な再生信号が得られないだけでなく、再生光により信号が変化しやすく実用に適さない。この特徴を考慮して、目的とするレーザー波長において好ましい光学定数を有する有機色素を選択し記録層を成膜することで、高い反射率を有し、かつ、感度の良い媒体とすることができる。本発明で使用する一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物は、いずれも上記の好ましい光学定数を有するものである。
【0042】
本発明の光記録媒体を520nm〜690nmから選択されるレーザー光で再生することは、基本的には、反射率が20%あれば一応可能であるが、30%以上の反射率が好ましい。
【0043】
また、記録特性などの改善のために、波長450nm〜630nmに吸収極大を持ち、520nm〜690nmでの屈折率が大きい前記以外の色素と混合しても良い。具体的には、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、ポルフィリン系色素、テトラピラポルフィラジン系色素、インドフェノール系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、インダスレン系色素、インジゴ系色素、チオインジゴ系色素、メロシアニン系色素、チアジン系色素、アクリジン系色素、オキサジン系色素などがあり、複数の色素の混合であっても良い。これらの色素の混合割合は、0.1%〜30%程度である。
【0044】
記録層を成膜する際に、必要に応じて前記の色素に、クエンチャー、色素分解促進剤、紫外線吸収剤、接着剤などを混合するか、あるいは、そのような効果を有する化合物を前記色素の置換基として導入することも可能である。
【0045】
クエンチャーの具体例としては、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジケトン系やビスフェニルジチオール系などのビスジチオール系、チオカテコール系、サリチルアルデヒドオキシム系、チオビスフェノレート系などの金属錯体が好ましい。また、アミンも好適である。
【0046】
熱分解促進剤としては、例えば、金属系アンチノッキング剤、メタロセン化合物、アセチルアセトナート系金属錯体などの金属化合物が挙げられる。
【0047】
さらに、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤などを併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0048】
記録層を基板の上に成膜する際に、基板の耐溶剤性や反射率、記録感度などを向上させるために、基板の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
【0049】
ここで、記録層における一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物の含有量は、30%以上、好ましくは60%以上である。尚、実質的に100%であることも好ましい。
【0050】
記録層を設ける方法は、例えば、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、浸漬法などの塗布法、スパッタ法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
【0051】
スピンコート法などの塗布法を用いる場合には、一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は基板にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタフルオロペンタノール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノールなどのアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチルなどのエステル系溶媒、水などが挙げられる。これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。
【0052】
なお、必要に応じて、記録層の色素を高分子薄膜などに分散して用いたりすることもできる。
【0053】
また、基板にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法などが有効である。
【0054】
色素層の膜厚は、特に限定するものではないが、好ましくは50nm〜300nmである。色素層の膜厚を50nmより薄くすると、熱拡散が大きいため記録できないか、記録信号に歪が発生する上、信号振幅が小さくなる。また、膜厚が300nmより厚い場合は反射率が低下し、再生信号特性が悪化する。
【0055】
次に記録層の上に、好ましくは50nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、CrおよびPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。これ以外でも下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属および半金族を挙げることができる。また、Auを主成分とするものは反射率の高い反射層が容易に得られるため好適である。ここで主成分というのは含有率が50%以上のものをいう。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0056】
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上などのために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0057】
さらに、反射層の上の保護層の材料としては反射層を外力から保護するものであれば特に限定しない。有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などを挙げることができる。また、無機物質としては、SiO2、Si3N4、MgF2、SnO2などが挙げられる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶媒に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
【0058】
保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法などの塗布法やスパッタ法や化学蒸着法などの方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
【0059】
保護層の膜厚は、一般には0.1μm〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3μm〜30μmであり、より好ましくは5μm〜20μmである。
【0060】
保護層の上にさらにレーベルなどの印刷を行うこともできる。
【0061】
また、反射層面に保護シートまたは基板を張り合わせる、あるいは反射層面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を貼り合わせるなどの手段を用いても良い。
【0062】
また、基板鏡面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を成膜しても良い。
【0063】
本発明でいう波長520nm〜690nmのレーザーは、特に制限はないが、例えば、可視光領域の広範囲で波長選択のできる色素レーザーや波長633nmのヘリウムネオンレーザー、最近開発されている波長680、650、635nm付近の高出力半導体レーザー、波長532nmの高調波変換YAGレーザーなどが挙げられる。本発明では、これらから選択される1波長または複数波長において高密度記録および再生が可能となる。
【0064】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0065】
実施例1 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物(1−16)の合成
窒素気流下、エタノール100mLに1−ホルミル−3−フェニル−イソインドール2.2g及び1−フェニルイソインドール1.9gを溶解し、臭化水素酸5mlを滴下し、20℃で2時間撹拌した。濃縮後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン)にて精製し、下記構造式(1−16a)で示される化合物を1.9g得た。
【0066】
【化12】
【0067】
下記の分析結果より(1−16a)であることを確認した。
【0068】
【表7】
【0069】
このようにして得られた化合物は、トルエン溶液中において596nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数1.20×105mL/g・cmであった。
【0070】
窒素気流下、ジクロロメタン100mLに式(1−16a)で示される化合物4.4gとN,N−ジイソプロピルエチルアミン4.3gを加え、室温で30分間撹拌した後、ボロントリフルオリドエーテル錯体4.7gを加え更に16時間撹拌した。濃縮後、トルエン200mLにて抽出し、水洗、トルエンを溜去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/クロロホルム)にて精製し、下記構造式(1−16b)で示される化合物を1.7g得た。
【0071】
【化13】
【0072】
下記の分析結果より(1−16b)であることを確認した。
【0073】
【表8】
【0074】
このようにして得られた化合物は、トルエン溶液中において644nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数2.39×105mL/g・cmであった。
【0075】
次に、窒素気流下、無水テトラヒドロフラン45mLに式(1−16b)で示される化合物1.5gを溶解し、5℃冷却下、n−ペンチルマグネシウムブロマイド(1.0mol/L:テトラヒドロフラン)23mLを滴下し、2時間撹拌した。2%塩酸200mLに排出し、トルエン300mLにて抽出し、水洗後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン:n−ヘキサン=1:5)にて精製し、下記構造式(1−16)で示される化合物を0.4g得た。
【0076】
【化14】
【0077】
下記の分析結果より目的物であることを確認した。
元素分析値(C44H51BN2)
【0078】
【表9】
【0079】
このようにして得られた化合物は、トルエン溶液中において588nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数2.11×105mL/g・cmであった。
【0080】
実施例2 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物(1−19)の合成
窒素気流下、無水テトラヒドロフラン20mLに実施例1で得た式(1−16b)で示される化合物1.6gを溶解し、5℃冷却下、n−オクチルマグネシウムブロマイド(1.0mol/L:テトラヒドロフラン)45mLを滴下し、4時間撹拌した。2%塩酸200mLに排出し、ヘプタン100mLにて抽出し、水洗後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/n−ヘキサン)にて精製し、下記構造式(1−19)で示される化合物を0.7g得た。
【0081】
【化15】
【0082】
下記の分析結果より目的物であることを確認した。
元素分析値(C53H69BN2)
【0083】
【表10】
【0084】
このようにして得られた化合物は、トルエン溶液中において588nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数1.57×105mL/g・cmであった。
【0085】
実施例3
ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物(1−16)0.2gをジメチルシクロヘキサン10mlに溶解し、色素溶液を調製した。基板には、ポリカーボネート樹脂製で連続した案内溝(トラックピッチ:0.8μm)を有する直径120mm、厚さ0.6mmの円盤状のものを用いた。
【0086】
この基板上に色素溶液を回転数1500rpmでスピンコートし、70℃で3時間乾燥して記録層を形成した。
【0087】
この記録層の上にバルザース社製スパッタ装置(CDI−900)を用いてAuをスパッタし、厚さ100nmの反射層を形成した。スパッタガスには、アルゴンガスを用いた。スパッタ条件は、スパッタパワー2.5kW、スパッタガス圧1.0×10-2Torrで行った。
【0088】
さらに反射層上に紫外線硬化性接着剤SD−301(大日本インキ化学工業製)をスピンコートし、その上にポリカーボネート樹脂製で直径120mm、厚さ0.6mmの円盤状基板をのせた後、紫外線を照射して貼り合わせた光記録媒体を作製した。
【0089】
得られた光記録媒体に、波長635nmでレンズの開口数が0.6の半導体レーザーヘッドを搭載したパルステック工業製光ディスク評価装置(DDU−1000)およびKENWOOD製EFMエンコーダーを用いて、線速3.8m/s、レーザーパワー10mWで最短ピット長が0.40μmになるように記録した。記録後、650nm、635nm赤色半導体レーザーヘッド(レンズの開口数は0.6)を搭載した評価装置を用いて信号を再生し、反射率、ジッターおよび変調度を測定した結果、650nm再生で反射率52%、ジッター8.8%、変調度0.67、635nm再生で反射率50%、ジッター8.9%、変調度0.66といずれも良好な値を示した。また、100時間のカーボンアークでの耐光性試験、並びに80℃、85%の耐湿熱試験後も変化は見られなかった。
【0090】
実施例4〜13
表−1に記載したジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を用いる以外は実施例3と同様にして光記録媒体を作製し、記録した。記録後、650nmおよび635nm赤色半導体レーザーヘッドを搭載した評価装置を用いて信号を再生し、反射率、ジッターおよび変調度を測定した結果、いずれも良好な値を示した。また、100時間のカーボンアークでの耐光性試験、並びに80℃、85%の耐湿熱試験後も変化は見られなかった。
【0091】
以上の実施例3〜13において、各光記録媒体を635nmで記録して、650および635nmで再生したときの反射率、ジッター、変調度を表−2にまとめて示す。尚、極大吸収は記録層として成膜した状態で測定したものである。
【0092】
比較例1
実施例3において、ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物(1−16)の代わりに、ペンタメチンシアニン色素NK−2929「1,3,3,1',3',3'-ヘキサメチル-2',2'-(4,5,4',5'-ジベンゾ)インドジカルボシアニンパークロレート、日本感光色素研究所製」を用いてテトラフルオロプロパノールに溶解してスピンコートする以外は同様にして光記録媒体を作製した。作製した媒体に実施例3と同様に635nm半導体レーザーヘッドを搭載したパルステック工業製光ディスク評価装置(DDU−1000)および、KENWOOD製EFMエンコーダーを用いて、線速度3.8m/s、レーザーパワー10mWで記録した。記録後、650nmおよび635nm赤色半導体レーザーヘッドを搭載した評価装置を用いて信号を再生し、反射率、ジッターおよび変調度を測定した結果、650nm再生で反射率9%、ジッター20%以上、変調度0.13、635nm再生で反射率9%、ジッター20%以上、変調度0.15と劣っていた。また、100時間のカーボンアークでの耐光性試験後、信号は劣化し、再生ができなかった。
【0093】
【表11】
【0094】
【表12】
【0095】
【発明の効果】
本発明のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を記録層材料として用いることにより、高密度光記録媒体として非常に注目されている波長520〜690nmのレーザーで記録再生が可能で耐久性に優れた追記型光記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来および本発明の光記録媒体の層構成を示す断面構造図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 反射層
4 接着層
5 基板
Claims (3)
- 下記一般式(1)で示されるジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物。
- 基板上に少なくとも記録層及び反射層を有する光記録媒体において、記録層中に、請求項1に記載のジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物を含有する光記録媒体。
- 波長520〜690nmの範囲から選択されるレーザー光に対して記録及び再生が可能である請求項2記載の光記録媒体。
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