JP2004314327A - 光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】波長520〜690nmの短波長レーザーでの記録および再生が可能でかつ、耐久性に優れた高密度、高速記録に適した光記録媒体を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を少なくとも1種含有する光記録媒体。
〔式中、R1〜R12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数20以下の置換または未置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、Mは遷移元素を表す。〕
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を少なくとも1種含有する光記録媒体。
〔式中、R1〜R12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数20以下の置換または未置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、Mは遷移元素を表す。〕
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を用いた記録および再生可能な光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像、映像、音声等のデータを記録再生することのできる媒体として、有機色素を記録材料として用いるCD−Rが広く知られている。現在は、扱われるデータ量の増大に伴い、CD−Rと比較して大容量な記録再生可能な光記録媒体の普及が望まれ、中でもCD−R同様有機色素を記録材料とするDVD−Rが、次世代を担う媒体として開発され、商品化されるに至っている。
DVD−Rでは高密度記録を行うためにレーザー光の発信波長が630nm〜680nm近傍とCDの場合より短波長化している。このような短波長用途の有機色素系光記録媒体の色素としては、シアニン(特許文献1等)、アゾ(特許文献2等)、テトラアザポルフィリン(特許文献3等)、その他ポルフィリン系色素、インジゴ類、ジオキサジン、クマリン、ペリレン、ナフトラクタム、トリフェニルメタン、サブフタロシアニン、ジベンゾピラン等が提案されている。
【0003】
しかしながら、耐久性の問題や、特に短波長用途に固有の問題、例えば、絞られたレーザー光で小さいピットを開けるべきところが、周りへの影響が大きく、分布の大きいピット形成に起因するジッターの悪化、半径方向へのクロストークの悪化や、ピットが極端に小さくなることに起因する変調度の悪化、あるいは、目的とするレーザー光の波長において、不適切な光学定数(屈折率、消衰係数)を有する有機色素を記録層に選択することに起因する反射率の低下や感度の悪化等については未だ改善の余地が残されている。
更に、CD−Rにおける記録速度の高速化に見られるように、DVD−Rにおいても標準の記録速度(線速度 3.5m/s)に比べ、2倍速(線速度 7.0m/s)や4倍速(線速度 14.0m/s)、若しくはそれ以上の高速度の記録に対応した光記録媒体が望まれている。また、標準の記録速度から高速の記録速度のいずれの速度で記録しても良好な記録が行うことのできる光記録媒体の実現が望まれている。
【0004】
しかし、記録速度の高速化に伴い、ピット形成時の記録層色素の分解挙動を制御することは困難となり、これに起因する記録感度の悪化、ジッターの悪化等の問題を有している。また、標準速記録における記録特性と高速記録における記録特性は、トレードオフの関係にあり、いずれか一方の特性を満足するためには、他方の特性を犠牲にする必要があるという問題を有している。
ジピロメテン金属キレート化合物(特許文献4等)を用いた光記録媒体は優れた特性を有しているが、記録速度の高速化に伴う記録特性の更なる向上が望まれている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−235999号公報
【特許文献2】
特開平10−86519号公報
【特許文献3】
特開平10−112064号公報
【特許文献4】
特開平11−227333号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、波長520〜690nmの短波長レーザーでの記録および再生が可能でかつ、標準の記録速度のみならず高速度の記録においても良好な記録特性を有し、かつ耐久性に優れた高密度光記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高速時にも良好な記録特性を有する有機色素として鋭意検討を進めた結果、トリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を用いることにより、標準速記録における記録特性や、耐久性に優れるばかりでなく、高速度の記録にも対応が可能な光記録媒体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
▲1▼ 基板上に少なくとも記録層および反射層を有する光記録媒体において、該記録層中に、下記一般式(1)(化2)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする光記録媒体、
【0008】
【化2】
【0009】
〔式中、R1〜R12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数20以下の置換または未置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、Mは遷移元素を表す。〕
▲2▼ レーザー光の波長において、記録層の屈折率が1.8以上であり、消衰係数が0.04〜0.40である▲1▼記載の光記録媒体、
▲3▼ 波長520〜690nmの範囲から選択されるレーザー光に対して、記録および再生が可能である▲1▼〜▲2▼記載の光記録媒体、
に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
前記一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物において、R1〜R12の具体例としては、
水素原子;
フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子;
ニトロ基;ヒドロキシ基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、cyclo−ペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、3−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、cyclo−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルペンチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、4−エチル−4,5−ジメチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラエチルオクチル基、4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6−メチル−4−ブチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,2,5,5−テトラメチルヘキシル基、1−cyclo−ペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−cyclo−ヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアルキル基;
【0011】
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、neo−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等の炭素数20以下の置換または未置換のアルコキシ基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、iso−ペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、1−メチルブチルチオ基、neo−ペンチルチオ基、1,2−ジメチルプロピルチオ基、1,1−ジメチルプロピルチオ基等の炭素数20以下の置換または未置換のアルキルチオ基;
【0012】
フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、4−iso−プロピルフェノキシ基等の炭素数20以下の置換または未置換のアリールオキシ基;
フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、4−t−ブチルフェニルチオ基等の炭素数20以下の置換または未置換のアリ−ルチオ基;
【0013】
ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、iso−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−シアノ−2−メチルカルボキシルビニル基、2−シアノ−2−メチルスルホンビニル基、2−フェニル−1−ブテニル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアルケニル基;
【0014】
ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、iso−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、iso−ブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、iso−ペンチルカルボニル基、neo−ペンチルカルボニル基、2−メチルブチルカルボニル基、ニトロベンジルカルボニル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアシル基;
【0015】
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、2,4−ジメチルブチルオキシカルボニル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアルコキシカルボニル基;
カルバモイル基;
アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ブチルカルボニルアミノ基等の炭素数20以下の置換または未置換のアシルアミノ基;
【0016】
ベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、ジクロロベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、ナフチルメチル基、ニトロナフチルメチル基、シアノナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、メチルナフチルメチル基、トリフルオロメチルナフチルメチル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアラルキル基;
【0017】
フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、ジ(n−プロピル)フェニル基、トリ(n−プロピル)フェニル基、iso−プロピルフェニル基、ジ(iso−プロピル)フェニル基、トリ(iso−プロピル)フェニル基、n−ブチルフェニル基、ジ(n−ブチル)フェニル基、トリ(n−ブチル)フェニル基、 iso−ブチルフェニル基、ジ(iso−ブチル)フェニル基、トリ(iso−ブチル)フェニル基、 sec−ブチルフェニル基、ジ(sec−ブチル)フェニル基、トリ(sec−ブチル)フェニル基、 t−ブチルフェニル基、ジ(t−ブチル)フェニル基、トリ(t−ブチル)フェニル基、ジメチル−t−ブチルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、ヨードナフチル基、メトキシナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基、N,N−ジメチルアミノナフチル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアリール基;
【0018】
ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾフラニル基、インドイル基、イソインドイル基等の炭素数20以下の置換または未置換のヘテロアリール基;
【0019】
Mの具体例としては、トリアゾールフタロシアニン化合物とキレートを形成する能力を有する遷移元素であれば特に制限されないが、8、9、10族(VIII族)、11族(Ib族)、12族(IIb族)、3族(IIIa族)、4族(IVa族)、5族(Va族)、6族(VIa族)、7族(VIIa族)の金属が挙げられ、好ましくは、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銅、オスミウム、イリジウム、白金、亜鉛等が挙げられる。
【0020】
本発明の一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物は、限定されないが、例えば、Synthetic Metals, vol.71, 2289 (1995)、Chem. Eur. J., vol.7, no.11, 2407 (2001)等に記載の方法に準じて製造される。代表的には、以下の反応にて製造することができる。
3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール(2)と一般式(3)で示されるジイミノイソインドリンをメタノール中で還流させると、一般式(4)で示される化合物が生成する。これに、一般式(5)で示されるジイミノイソインドリンを反応させるとトリアゾールフタロシアニン化合物(6)が得られる。DMF中、化合物(6)と金属酢酸塩を作用させると目的とする前記トリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物(1)が得られる。
【0021】
【化3】
【0022】
〔式(3)〜(6)において、R1〜R12は前記と同じ意味を表す。〕
表−1に本発明の一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物の具体例を示す。
【0023】
【表1】
【0024】
本発明の具体的構成について以下に説明する。
光記録媒体とは予め情報を記録されている再生専用の光再生専用媒体及び情報を記録して再生することのできる光記録媒体の両方を示すものである。但し、ここでは適例として後者の情報を記録して再生のできる光記録媒体、特に基板上に記録層、反射層を有する光記録媒体に関して説明する。本発明の光記録媒体は図1に示すような貼り合わせ構造を有している。すなわち、基板1上に記録層2が形成されており、その上に密着して反射層3が設けられており、さらにその上に接着層4を介して基板5が貼り合わされている。ただし、記録層2の下または上に別の層があっても良く、反射層3の上に別の層があっても良い。
【0025】
基板の材質としては、基本的には記録光および再生光の波長で透明であればよい。例えば、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料やガラス等の無機材料が利用される。これらの基板材料は射出成形法等により円盤状に基板に成形される。必要に応じて、基板表面に案内溝やピットを形成することもある。このような案内溝やピットは、基板の成形時に付与することが望ましいが、基板の上に紫外線硬化樹脂層を用いて付与することもできる。通常DVDとして用いる場合は、厚さ1.2mm程度、直径80ないし120mm程度の円盤状であり、中央に直径15mm程度の穴が開いている。
【0026】
本発明においては、基板上に記録層を設けるが、本発明の記録層は、λmaxが450nm〜630nm付近に存在する一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を含有する。中でも、520nm〜690nmより選択される記録および再生レーザー光の波長に対して適度な光学定数(光学定数は複素屈折率(n+ki)で表現される。式中のn、kは、実数部nと虚数部kとに相当する係数である。ここでは、nを屈折率、kを消衰係数とする。)を有する必要がある。
【0027】
一般に有機色素は、波長λに対し、屈折率nと消衰係数kが大きく変化する特徴がある。nが1.8より小さい値になると正確な信号読み取りに必要な反射率と信号変調度は得られず、kが0.40を越えても反射率が低下して良好な再生信号が得られないだけでなく、再生光により信号が変化しやすく実用に適さない。また、kが0.04より小さいと感度が悪くなる。この特徴を考慮して、目的とするレーザー光の波長において好ましい光学定数を有する有機色素を選択し記録層を成膜することで、高い反射率を有し、かつ、感度の良い媒体とすることができる。
【0028】
本発明で使用する一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物は、置換基の選択により吸収波長域を任意に選択できるため、前記レーザー光の波長において記録層に必要な光学定数(nが1.8以上、且つ、kが0.04から0.40であり、好ましくは、nが2.0以上、且つ、kが0.04〜0.20)を満足する極めて有用な化合物である。
【0029】
本発明の記録層においては、更に、記録特性などの改善のために、一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を2種以上混合しても良い。これらの混合割合については特に制限はされないが、前記の理由で、光学定数nが1.8以上、好ましくは2.0以上で、且つ、kが0.04から0.40であり、好ましくは0.04〜0.20になるように混合するのが好ましい。
【0030】
また、波長450nm〜630nmに吸収極大を有し、520nm〜690nmでの屈折率が大きい前記以外の色素と混合しても良い。具体的には、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、ポルフィリン系色素、アザポルフィリン系色素、テトラピラポルフィラジン系色素、インドフェノール系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、インダスレン系色素、インジゴ系色素、チオインジゴ系色素、メロシアニン系色素、チアジン系色素、アクリジン系色素、オキサジン系色素、ジピロメテン金属キレート化合物等があり、複数の色素の混合であっても良い。これらの色素の混合割合は、0.1〜30%程度である。
【0031】
更に、一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物の、520nm〜690nmから選択される記録及び再生レーザー光の波長に対してのkが小さい場合には、記録特性などの改善のために、波長600nm〜900nmに吸収極大を有する光吸収化合物と混合しても良い。具体的には、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、ポルフィリン系色素、アザポルフィリン系色素、テトラピラポルフィラジン系色素、インドフェノール系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、インダスレン系色素、インジゴ系色素、チオインジゴ系色素、メロシアニン系色素、チアジン系色素、アクリジン系色素、オキサジン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ジピロメテン金属キレート化合物等があり、複数の色素の混合であっても良い。これらの色素の混合割合は、0.1〜30%程度である。
【0032】
本発明の光記録媒体を520nm〜690nmから選択されるレーザー光で再生することは、基本的には、反射率が20%あれば一応可能であるが、30%以上の反射率が好ましい。
【0033】
記録層を製膜する際に、必要に応じて前期の色素に、クエンチャー、色素分解促進剤、紫外線吸収剤、接着剤、吸熱分解化合物などを混合するか、あるいは、そのような効果を有する化合物を前記色素の置換基として導入することも可能である。
クエンチャーの具体例としては、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジケトン系やビスフェニルジチオール系などのビスジチオール系、チオカテコール系、サリチルアルデヒドオキシム系、チオビスフェノレート系などの金属錯体が好ましい。また、アミンも好適である。
熱分解促進剤としては、例えば、金属系アンチノッキング剤、メタロセン化合物、アセチルアセトナート系金属錯体などの金属化合物が挙げられる。
さらに、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤などを併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0034】
記録層を基板の上に成膜する際に、基板の耐溶剤性や反射率、記録感度などを向上させるために、基板の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
ここで、記録層における一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物の含有量は、30%以上、好ましくは60%以上である。尚、実質的に100%であることも好ましい。
【0035】
記録層を設ける方法は、例えば、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、浸漬法などの塗布法、スパッタ法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には、一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は基板にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタフルオロペンタノール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノールなどのアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチルなどのエステル系溶媒、水などが挙げられる。これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。
なお、必要に応じて、記録層の色素を高分子薄膜などに分散して用いたりすることもできる。
また、基板にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法などが有効である。
【0036】
色素層の膜厚は、特に限定するものではないが、好ましくは50nm〜300nmである。色素層の膜厚を50nmより薄くすると、熱拡散が大きいため記録できないか、記録信号に歪が発生する上、信号振幅が小さくなる。また、膜厚が300nmより厚い場合は反射率が低下し、再生信号特性が悪化する。
【0037】
次に記録層の上に、好ましくは50nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、CrおよびPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。これ以外でも下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属および半金族を挙げることができる。また、Auを主成分とするものは反射率の高い反射層が容易に得られるため好適である。ここで主成分というのは含有率が50%以上のものをいう。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0038】
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上などのために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
さらに、反射層の上の保護層の材料としては反射層を外力から保護するものであれば特に限定しない。有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などを挙げることができる。また、無機物質としては、SiO2、Si3N4、MgF2、SnO2などが挙げられる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶媒に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法などの塗布法やスパッタ法や化学蒸着法などの方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般には0.1μm〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3μm〜30μmであり、より好ましくは5μm〜20μmである。
【0039】
保護層の上にさらにレーベルなどの印刷を行うこともできる。また、反射層面に保護シートまたは基板を張り合わせる、あるいは反射層面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を貼り合わせるなどの手段を用いても良い。また、基板鏡面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を製膜しても良い。
【0040】
本発明でいう波長520nm〜690nmのレーザーは、特に制限はないが、例えば、可視光領域の広範囲で波長選択のできる色素レーザーや波長633nmのヘリウムネオンレーザー、最近開発されている波長680、650、635nm付近の高出力半導体レーザー、波長532nmの高調波変換YAGレーザーなどが挙げられる。本発明では、これらから選択される1波長または複数波長において高密度記録および再生が可能となる。
【0041】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらになんら限定されるものではない。
〔実施例1〕
トリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物(1−8)0.2gをジメチルシクロヘキサン10mlに溶解し、色素溶液を調製した。基板は、ポリカーボネート樹脂製で連続した案内溝(トラックピッチ:0.74μm)を有する直径120mm、厚さ0.6mmの円盤状のものを用いた。
この基板上に色素溶液を回転数1500rpmでスピンコートし、70℃で3時間乾燥して記録層を形成した。この記録層の640nm、650nm、660nm各波長における光学定数は、下記のとおりであった。
【0042】
【表2】
【0043】
この記録層の上にバルザース社製スパッタ装置(CDI−900)を用いてAuをスパッタし、厚さ100nmの反射層を形成した。スパッタガスには、アルゴンガスを用いた。スパッタ条件は、スパッタパワー2.5kW、スパッタガス圧1.0×10−2Torrで行った。
さらに反射層上に紫外線硬化性樹脂SD−1700(大日本インキ化学工業製)をスピンコートした後、紫外線を照射して厚さ6μmの保護層を形成した。
さらに保護層上に紫外線硬化性接着剤SD−301(大日本インキ化学工業製)をスピンコートし、その上にポリカーボネート樹脂製で直径120mm、厚さ0.6mmの円盤状基板をのせた後、紫外線を照射して貼り合わせた光記録媒体を作製した。
得られた光記録媒体に、波長658nmでレンズの開口数が0.6の半導体レーザーヘッドを搭載したパルステック工業製光ディスク評価装置(DDU−1000)およびパルステック工業製パルスジェネレーターを用いて、線速3.5m/sで最短ピット長が0.40μmになるように記録した。記録後、650nm赤色半導体レーザーヘッド(レンズの開口数は0.6)を搭載した評価装置を用いて信号を再生し、反射率、ジッターおよび変調度を測定した結果、いずれも良好な値を示した。また、100時間のカーボンアークでの耐光性試験、並びに80℃、85%、100時間の耐湿熱試験後も変化は見られなかった。
更に、線速14.0m/s(記録速度4倍)で最短ピット長が0.40μmになるように記録した。記録後、650nm赤色半導体レーザーヘッド(レンズの開口数は0.6)を搭載した評価装置を用いて信号を再生し、反射率、ジッターおよび変調度を測定した結果、いずれも良好な値を示した。
【0044】
〔実施例2〜18〕
表−1に記載したトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を用いる以外は実施例1と同様にして光記録媒体を作製し、1倍速、及び4倍速の記録を行った。信号を再生したところ、反射率、ジッター、変調度いずれも良好な値を示した。また、100時間のカーボンアークでの耐光性試験、並びに80℃、85%、100時間の耐湿熱試験後も変化は見られなかった。
【0045】
【発明の効果】
本発明のトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物または六員環拡張フタロシアニン金属錯体化合物を記録層として用いることにより、高密度光記録媒体として非常に注目されている波長520〜690nmのレーザーで記録再生が可能で、かつ耐久性に優れた高密度、高速記録に適した追記型光記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光記録媒体および本発明の層構成を示す断面構造図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 反射層
4 接着層
5 基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を用いた記録および再生可能な光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像、映像、音声等のデータを記録再生することのできる媒体として、有機色素を記録材料として用いるCD−Rが広く知られている。現在は、扱われるデータ量の増大に伴い、CD−Rと比較して大容量な記録再生可能な光記録媒体の普及が望まれ、中でもCD−R同様有機色素を記録材料とするDVD−Rが、次世代を担う媒体として開発され、商品化されるに至っている。
DVD−Rでは高密度記録を行うためにレーザー光の発信波長が630nm〜680nm近傍とCDの場合より短波長化している。このような短波長用途の有機色素系光記録媒体の色素としては、シアニン(特許文献1等)、アゾ(特許文献2等)、テトラアザポルフィリン(特許文献3等)、その他ポルフィリン系色素、インジゴ類、ジオキサジン、クマリン、ペリレン、ナフトラクタム、トリフェニルメタン、サブフタロシアニン、ジベンゾピラン等が提案されている。
【0003】
しかしながら、耐久性の問題や、特に短波長用途に固有の問題、例えば、絞られたレーザー光で小さいピットを開けるべきところが、周りへの影響が大きく、分布の大きいピット形成に起因するジッターの悪化、半径方向へのクロストークの悪化や、ピットが極端に小さくなることに起因する変調度の悪化、あるいは、目的とするレーザー光の波長において、不適切な光学定数(屈折率、消衰係数)を有する有機色素を記録層に選択することに起因する反射率の低下や感度の悪化等については未だ改善の余地が残されている。
更に、CD−Rにおける記録速度の高速化に見られるように、DVD−Rにおいても標準の記録速度(線速度 3.5m/s)に比べ、2倍速(線速度 7.0m/s)や4倍速(線速度 14.0m/s)、若しくはそれ以上の高速度の記録に対応した光記録媒体が望まれている。また、標準の記録速度から高速の記録速度のいずれの速度で記録しても良好な記録が行うことのできる光記録媒体の実現が望まれている。
【0004】
しかし、記録速度の高速化に伴い、ピット形成時の記録層色素の分解挙動を制御することは困難となり、これに起因する記録感度の悪化、ジッターの悪化等の問題を有している。また、標準速記録における記録特性と高速記録における記録特性は、トレードオフの関係にあり、いずれか一方の特性を満足するためには、他方の特性を犠牲にする必要があるという問題を有している。
ジピロメテン金属キレート化合物(特許文献4等)を用いた光記録媒体は優れた特性を有しているが、記録速度の高速化に伴う記録特性の更なる向上が望まれている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−235999号公報
【特許文献2】
特開平10−86519号公報
【特許文献3】
特開平10−112064号公報
【特許文献4】
特開平11−227333号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、波長520〜690nmの短波長レーザーでの記録および再生が可能でかつ、標準の記録速度のみならず高速度の記録においても良好な記録特性を有し、かつ耐久性に優れた高密度光記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高速時にも良好な記録特性を有する有機色素として鋭意検討を進めた結果、トリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を用いることにより、標準速記録における記録特性や、耐久性に優れるばかりでなく、高速度の記録にも対応が可能な光記録媒体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
▲1▼ 基板上に少なくとも記録層および反射層を有する光記録媒体において、該記録層中に、下記一般式(1)(化2)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする光記録媒体、
【0008】
【化2】
【0009】
〔式中、R1〜R12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数20以下の置換または未置換のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、Mは遷移元素を表す。〕
▲2▼ レーザー光の波長において、記録層の屈折率が1.8以上であり、消衰係数が0.04〜0.40である▲1▼記載の光記録媒体、
▲3▼ 波長520〜690nmの範囲から選択されるレーザー光に対して、記録および再生が可能である▲1▼〜▲2▼記載の光記録媒体、
に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
前記一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物において、R1〜R12の具体例としては、
水素原子;
フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子;
ニトロ基;ヒドロキシ基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、cyclo−ペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、3−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、cyclo−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルペンチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、4−エチル−4,5−ジメチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラエチルオクチル基、4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6−メチル−4−ブチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,2,5,5−テトラメチルヘキシル基、1−cyclo−ペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−cyclo−ヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアルキル基;
【0011】
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、neo−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等の炭素数20以下の置換または未置換のアルコキシ基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、iso−ペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、1−メチルブチルチオ基、neo−ペンチルチオ基、1,2−ジメチルプロピルチオ基、1,1−ジメチルプロピルチオ基等の炭素数20以下の置換または未置換のアルキルチオ基;
【0012】
フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、4−iso−プロピルフェノキシ基等の炭素数20以下の置換または未置換のアリールオキシ基;
フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、4−t−ブチルフェニルチオ基等の炭素数20以下の置換または未置換のアリ−ルチオ基;
【0013】
ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、iso−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−シアノ−2−メチルカルボキシルビニル基、2−シアノ−2−メチルスルホンビニル基、2−フェニル−1−ブテニル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアルケニル基;
【0014】
ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、iso−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、iso−ブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、iso−ペンチルカルボニル基、neo−ペンチルカルボニル基、2−メチルブチルカルボニル基、ニトロベンジルカルボニル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアシル基;
【0015】
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、2,4−ジメチルブチルオキシカルボニル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアルコキシカルボニル基;
カルバモイル基;
アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ブチルカルボニルアミノ基等の炭素数20以下の置換または未置換のアシルアミノ基;
【0016】
ベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、ジクロロベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、ナフチルメチル基、ニトロナフチルメチル基、シアノナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、メチルナフチルメチル基、トリフルオロメチルナフチルメチル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアラルキル基;
【0017】
フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、ジ(n−プロピル)フェニル基、トリ(n−プロピル)フェニル基、iso−プロピルフェニル基、ジ(iso−プロピル)フェニル基、トリ(iso−プロピル)フェニル基、n−ブチルフェニル基、ジ(n−ブチル)フェニル基、トリ(n−ブチル)フェニル基、 iso−ブチルフェニル基、ジ(iso−ブチル)フェニル基、トリ(iso−ブチル)フェニル基、 sec−ブチルフェニル基、ジ(sec−ブチル)フェニル基、トリ(sec−ブチル)フェニル基、 t−ブチルフェニル基、ジ(t−ブチル)フェニル基、トリ(t−ブチル)フェニル基、ジメチル−t−ブチルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、ヨードナフチル基、メトキシナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基、N,N−ジメチルアミノナフチル基等の炭素数20以下の置換または未置換のアリール基;
【0018】
ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾフラニル基、インドイル基、イソインドイル基等の炭素数20以下の置換または未置換のヘテロアリール基;
【0019】
Mの具体例としては、トリアゾールフタロシアニン化合物とキレートを形成する能力を有する遷移元素であれば特に制限されないが、8、9、10族(VIII族)、11族(Ib族)、12族(IIb族)、3族(IIIa族)、4族(IVa族)、5族(Va族)、6族(VIa族)、7族(VIIa族)の金属が挙げられ、好ましくは、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銅、オスミウム、イリジウム、白金、亜鉛等が挙げられる。
【0020】
本発明の一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物は、限定されないが、例えば、Synthetic Metals, vol.71, 2289 (1995)、Chem. Eur. J., vol.7, no.11, 2407 (2001)等に記載の方法に準じて製造される。代表的には、以下の反応にて製造することができる。
3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール(2)と一般式(3)で示されるジイミノイソインドリンをメタノール中で還流させると、一般式(4)で示される化合物が生成する。これに、一般式(5)で示されるジイミノイソインドリンを反応させるとトリアゾールフタロシアニン化合物(6)が得られる。DMF中、化合物(6)と金属酢酸塩を作用させると目的とする前記トリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物(1)が得られる。
【0021】
【化3】
【0022】
〔式(3)〜(6)において、R1〜R12は前記と同じ意味を表す。〕
表−1に本発明の一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物の具体例を示す。
【0023】
【表1】
【0024】
本発明の具体的構成について以下に説明する。
光記録媒体とは予め情報を記録されている再生専用の光再生専用媒体及び情報を記録して再生することのできる光記録媒体の両方を示すものである。但し、ここでは適例として後者の情報を記録して再生のできる光記録媒体、特に基板上に記録層、反射層を有する光記録媒体に関して説明する。本発明の光記録媒体は図1に示すような貼り合わせ構造を有している。すなわち、基板1上に記録層2が形成されており、その上に密着して反射層3が設けられており、さらにその上に接着層4を介して基板5が貼り合わされている。ただし、記録層2の下または上に別の層があっても良く、反射層3の上に別の層があっても良い。
【0025】
基板の材質としては、基本的には記録光および再生光の波長で透明であればよい。例えば、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料やガラス等の無機材料が利用される。これらの基板材料は射出成形法等により円盤状に基板に成形される。必要に応じて、基板表面に案内溝やピットを形成することもある。このような案内溝やピットは、基板の成形時に付与することが望ましいが、基板の上に紫外線硬化樹脂層を用いて付与することもできる。通常DVDとして用いる場合は、厚さ1.2mm程度、直径80ないし120mm程度の円盤状であり、中央に直径15mm程度の穴が開いている。
【0026】
本発明においては、基板上に記録層を設けるが、本発明の記録層は、λmaxが450nm〜630nm付近に存在する一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を含有する。中でも、520nm〜690nmより選択される記録および再生レーザー光の波長に対して適度な光学定数(光学定数は複素屈折率(n+ki)で表現される。式中のn、kは、実数部nと虚数部kとに相当する係数である。ここでは、nを屈折率、kを消衰係数とする。)を有する必要がある。
【0027】
一般に有機色素は、波長λに対し、屈折率nと消衰係数kが大きく変化する特徴がある。nが1.8より小さい値になると正確な信号読み取りに必要な反射率と信号変調度は得られず、kが0.40を越えても反射率が低下して良好な再生信号が得られないだけでなく、再生光により信号が変化しやすく実用に適さない。また、kが0.04より小さいと感度が悪くなる。この特徴を考慮して、目的とするレーザー光の波長において好ましい光学定数を有する有機色素を選択し記録層を成膜することで、高い反射率を有し、かつ、感度の良い媒体とすることができる。
【0028】
本発明で使用する一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物は、置換基の選択により吸収波長域を任意に選択できるため、前記レーザー光の波長において記録層に必要な光学定数(nが1.8以上、且つ、kが0.04から0.40であり、好ましくは、nが2.0以上、且つ、kが0.04〜0.20)を満足する極めて有用な化合物である。
【0029】
本発明の記録層においては、更に、記録特性などの改善のために、一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を2種以上混合しても良い。これらの混合割合については特に制限はされないが、前記の理由で、光学定数nが1.8以上、好ましくは2.0以上で、且つ、kが0.04から0.40であり、好ましくは0.04〜0.20になるように混合するのが好ましい。
【0030】
また、波長450nm〜630nmに吸収極大を有し、520nm〜690nmでの屈折率が大きい前記以外の色素と混合しても良い。具体的には、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、ポルフィリン系色素、アザポルフィリン系色素、テトラピラポルフィラジン系色素、インドフェノール系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、インダスレン系色素、インジゴ系色素、チオインジゴ系色素、メロシアニン系色素、チアジン系色素、アクリジン系色素、オキサジン系色素、ジピロメテン金属キレート化合物等があり、複数の色素の混合であっても良い。これらの色素の混合割合は、0.1〜30%程度である。
【0031】
更に、一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物の、520nm〜690nmから選択される記録及び再生レーザー光の波長に対してのkが小さい場合には、記録特性などの改善のために、波長600nm〜900nmに吸収極大を有する光吸収化合物と混合しても良い。具体的には、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、ポルフィリン系色素、アザポルフィリン系色素、テトラピラポルフィラジン系色素、インドフェノール系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、インダスレン系色素、インジゴ系色素、チオインジゴ系色素、メロシアニン系色素、チアジン系色素、アクリジン系色素、オキサジン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ジピロメテン金属キレート化合物等があり、複数の色素の混合であっても良い。これらの色素の混合割合は、0.1〜30%程度である。
【0032】
本発明の光記録媒体を520nm〜690nmから選択されるレーザー光で再生することは、基本的には、反射率が20%あれば一応可能であるが、30%以上の反射率が好ましい。
【0033】
記録層を製膜する際に、必要に応じて前期の色素に、クエンチャー、色素分解促進剤、紫外線吸収剤、接着剤、吸熱分解化合物などを混合するか、あるいは、そのような効果を有する化合物を前記色素の置換基として導入することも可能である。
クエンチャーの具体例としては、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジケトン系やビスフェニルジチオール系などのビスジチオール系、チオカテコール系、サリチルアルデヒドオキシム系、チオビスフェノレート系などの金属錯体が好ましい。また、アミンも好適である。
熱分解促進剤としては、例えば、金属系アンチノッキング剤、メタロセン化合物、アセチルアセトナート系金属錯体などの金属化合物が挙げられる。
さらに、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤などを併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0034】
記録層を基板の上に成膜する際に、基板の耐溶剤性や反射率、記録感度などを向上させるために、基板の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
ここで、記録層における一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物の含有量は、30%以上、好ましくは60%以上である。尚、実質的に100%であることも好ましい。
【0035】
記録層を設ける方法は、例えば、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、浸漬法などの塗布法、スパッタ法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には、一般式(1)で示されるトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は基板にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタフルオロペンタノール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノールなどのアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチルなどのエステル系溶媒、水などが挙げられる。これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。
なお、必要に応じて、記録層の色素を高分子薄膜などに分散して用いたりすることもできる。
また、基板にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法などが有効である。
【0036】
色素層の膜厚は、特に限定するものではないが、好ましくは50nm〜300nmである。色素層の膜厚を50nmより薄くすると、熱拡散が大きいため記録できないか、記録信号に歪が発生する上、信号振幅が小さくなる。また、膜厚が300nmより厚い場合は反射率が低下し、再生信号特性が悪化する。
【0037】
次に記録層の上に、好ましくは50nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、CrおよびPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。これ以外でも下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属および半金族を挙げることができる。また、Auを主成分とするものは反射率の高い反射層が容易に得られるため好適である。ここで主成分というのは含有率が50%以上のものをいう。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0038】
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法などが挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上などのために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
さらに、反射層の上の保護層の材料としては反射層を外力から保護するものであれば特に限定しない。有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などを挙げることができる。また、無機物質としては、SiO2、Si3N4、MgF2、SnO2などが挙げられる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶媒に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法などの塗布法やスパッタ法や化学蒸着法などの方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般には0.1μm〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3μm〜30μmであり、より好ましくは5μm〜20μmである。
【0039】
保護層の上にさらにレーベルなどの印刷を行うこともできる。また、反射層面に保護シートまたは基板を張り合わせる、あるいは反射層面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を貼り合わせるなどの手段を用いても良い。また、基板鏡面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を製膜しても良い。
【0040】
本発明でいう波長520nm〜690nmのレーザーは、特に制限はないが、例えば、可視光領域の広範囲で波長選択のできる色素レーザーや波長633nmのヘリウムネオンレーザー、最近開発されている波長680、650、635nm付近の高出力半導体レーザー、波長532nmの高調波変換YAGレーザーなどが挙げられる。本発明では、これらから選択される1波長または複数波長において高密度記録および再生が可能となる。
【0041】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらになんら限定されるものではない。
〔実施例1〕
トリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物(1−8)0.2gをジメチルシクロヘキサン10mlに溶解し、色素溶液を調製した。基板は、ポリカーボネート樹脂製で連続した案内溝(トラックピッチ:0.74μm)を有する直径120mm、厚さ0.6mmの円盤状のものを用いた。
この基板上に色素溶液を回転数1500rpmでスピンコートし、70℃で3時間乾燥して記録層を形成した。この記録層の640nm、650nm、660nm各波長における光学定数は、下記のとおりであった。
【0042】
【表2】
【0043】
この記録層の上にバルザース社製スパッタ装置(CDI−900)を用いてAuをスパッタし、厚さ100nmの反射層を形成した。スパッタガスには、アルゴンガスを用いた。スパッタ条件は、スパッタパワー2.5kW、スパッタガス圧1.0×10−2Torrで行った。
さらに反射層上に紫外線硬化性樹脂SD−1700(大日本インキ化学工業製)をスピンコートした後、紫外線を照射して厚さ6μmの保護層を形成した。
さらに保護層上に紫外線硬化性接着剤SD−301(大日本インキ化学工業製)をスピンコートし、その上にポリカーボネート樹脂製で直径120mm、厚さ0.6mmの円盤状基板をのせた後、紫外線を照射して貼り合わせた光記録媒体を作製した。
得られた光記録媒体に、波長658nmでレンズの開口数が0.6の半導体レーザーヘッドを搭載したパルステック工業製光ディスク評価装置(DDU−1000)およびパルステック工業製パルスジェネレーターを用いて、線速3.5m/sで最短ピット長が0.40μmになるように記録した。記録後、650nm赤色半導体レーザーヘッド(レンズの開口数は0.6)を搭載した評価装置を用いて信号を再生し、反射率、ジッターおよび変調度を測定した結果、いずれも良好な値を示した。また、100時間のカーボンアークでの耐光性試験、並びに80℃、85%、100時間の耐湿熱試験後も変化は見られなかった。
更に、線速14.0m/s(記録速度4倍)で最短ピット長が0.40μmになるように記録した。記録後、650nm赤色半導体レーザーヘッド(レンズの開口数は0.6)を搭載した評価装置を用いて信号を再生し、反射率、ジッターおよび変調度を測定した結果、いずれも良好な値を示した。
【0044】
〔実施例2〜18〕
表−1に記載したトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物を用いる以外は実施例1と同様にして光記録媒体を作製し、1倍速、及び4倍速の記録を行った。信号を再生したところ、反射率、ジッター、変調度いずれも良好な値を示した。また、100時間のカーボンアークでの耐光性試験、並びに80℃、85%、100時間の耐湿熱試験後も変化は見られなかった。
【0045】
【発明の効果】
本発明のトリアゾールフタロシアニン金属錯体化合物または六員環拡張フタロシアニン金属錯体化合物を記録層として用いることにより、高密度光記録媒体として非常に注目されている波長520〜690nmのレーザーで記録再生が可能で、かつ耐久性に優れた高密度、高速記録に適した追記型光記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光記録媒体および本発明の層構成を示す断面構造図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 反射層
4 接着層
5 基板
Claims (3)
- レーザー光の波長において、記録層の屈折率が1.8以上であり、かつ消衰係数が0.04〜0.40である請求項1記載の光記録媒体。
- 波長520〜690nmの範囲から選択されるレーザー光に対して、記録および再生が可能である請求項1〜2記載の光記録媒体。
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