JP3867616B2 - 半導体製造装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体薄膜の製造装置および製造方法、並びに製造された半導体ウエハに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス流を制御した半導体製造装置が特表2000−511705(P2000−511705A)公報に記載されている。当該公報の図2に装置構造の断面構造が示され、基板は少なくとも2種類の反応成分を含むガスに曝されること、第1の反応成分を含む第1のガス流を中央の支持部材の上方から支持部材に向けて供給すること、第2の反応成分を含む第2のガス流は、上方から支持部材の中心に対して対称的に支持部材から第1のガス流よりも遠く離れて供給すること、その後、第1及び第2のガス流は支持部材に沿って側方に流れること、第2のガス流は、nを2に等しいか又はそれ以上の数とした場合にn個の個別サブガス流に分割し、各サブガス流は第2のガス流の1/nの部分をそれぞれ供給することが記載されている。
【0003】
化合物半導体を形成するためには、アルシンガス(AsH3)に代表されるV族系原料ガスとトリメチルガリウムガス(TMG)に代表されるIII族系原料ガスを反応容器に導入する。反応容器の中にはウエハ(基板)がサセプタの上に設置されている。ウエハはサセプタの下部のランプによって加熱される。III族系原料ガスとV族系原料ガスは熱分解され、ウエハの表面にガリウム砒素(GaAs)に代表される半導体薄膜が形成される。ウエハの表面に均一に半導体薄膜を形成するには、反応容器の中のガス流を制御することが重要である。そのために、この公知例では、ガス流制御治具を用いることで、III族系原料ガスとV族系原料ガスの流れを均一化している。また、この公知例には界面急峻性をも得ることが記載されているが、具体的数値については言及されていない。
【0004】
また、異なる2種類以上の原料ガスを一本のガス供給管で供給する単純なガス供給構造の半導体製造装置も知られている。このような例を示すものとして特開平2001−168034号公報がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特表2000−511705号広報に記載されているように、III族系原料ガスとV族系原料ガスとを別々に供給する構成にあっては、一方の原料ガスを多数のガス噴出孔から噴出させ、均一的に混合ガスを生成することが重要となる。そのために、ガス流制御部材である治具を2つのガス供給管を一体的に設け、多数のガス噴出孔を設けることのために複雑かつ精密な石英部材を作製する必要があり、コストが高いものとなっていた。
【0006】
また、従来の2種類以上の原料ガスを一本のガス供給管で供給するガス供給構造を有する半導体製造装置にあっては、単純な構成なためにコストが低いものであってもガス流制御がうまくいかず、積層構造体の界面の厚さは10nm以上となって界面の急峻性を達成する上で問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑み異なる2種類以上の原料ガスを一本のガス供給路で供給する単純なガス供給構造となし、かつ均質に近いガス流状態を形成し、以って積層構造体の界面が急峻性を有する構造が現出される半導体製造装置および製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は当該製造装置および方法によって製作される半導体ウエハを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、反応容器に基板が設置され、かつガス供給管が接続され、一本のガス供給管から2種類以上のガスが供給される半導体薄膜の形成装置において、ガス供給管が接続されている反応容器の底面である壁面の中心にリング状の部材を設置することで達成される。このように、リング状の部材を開口のある壁面側に設けることが逆流による渦発生を防止する上で重要である。
【0009】
さらに、上記目的は、円筒状の反応容器と、反応容器の一方の底面に基板が設置され、反応容器の残りの一方の底面の中心にガス供給管が接続され、反応容器内に2種類以上のガスが供給され、ガス供給管が接続されている反応容器の底面の中心にリング状の部材が設置された半導体薄膜の形成装置において、リング状の部材と基板が設置されている底面との間に円錐状の部材を設置することで達成される。
【0010】
本発明は、具体的には次に掲げる装置および方法を提供する。
【0011】
本発明は、対向配設される二つの円板を備え、かつ半導体薄膜形成のためのガスを導入するガス導入管および半導体薄膜形成後のガスを排出するガス排気管を備えた反応容器を有する半導体製造装置において、前記反応容器内部に開口して、一方の壁面に、第1の反応成分を含む第1のガスと第2の反応成分を含む第2のガスからなる混合した2種以上のガスを導入する前記ガス導入管が設けられ、前記開口を中心として当該一方の壁面上に、混合した2種以上のガスの半径方向への流れを整流制御するリング状部材を配設し、かつ前記反応容器の内部に面して、他方および一方のいずれかの壁面上であって前記リング状部材の半径方向外方側に基板を配設する半導体製造装置を提供する。
【0012】
本発明は、更に半導体薄膜形成のためのガスを導入し、および半導体薄膜形成後のガスを排出する反応容器を使用した半導体製造方法において、半導体薄膜形成のために、反応容器導入前に第1の反応成分を含む第1のガスと第2の反応成分を含む第2のガスからなる2種以上のガスを混合し、混合した2種以上のガスを開口を介して反応容器内に導入し、該混合した2種以上のガスの流れを反応容器内の部材によって整流して反応器内部に配設された基板上を流過させる半導体製造方法を提供する。
【0013】
本発明は、更に半導体薄膜形成のためのガスを導入し、および半導体薄膜形成後のガスを排出する反応容器を使用した半導体製造方法において、半導体薄膜形成のために、反応容器導入前に第1の反応成分を含む第1のガスと第2の反応成分を含む第2のガスからなる2種以上のガスを混合し、混合した2種以上のガスを開口を介して反応容器内に導入し、該混合した2種以上のガスが半径方向に層流状を呈するよう反応容器内の部材によって制御されたガス流として反応器内部に配設された基板上を流過する半導体製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係わり、半導体薄膜の製造装置10の概略構成を示し、図2は図1に示す製造装置10の要部である反応容器100の部分を拡大して示す。
【0016】
これらの図において、反応容器100は、円筒状をなし(円筒状でなく多角形でもよい)、上下の離間された2枚の円板(内面が壁になっていれば盤状材、ディスクを含む)101、102から形成され、一方の円板101の中央部にガス導入のために開口103にガス導入管104接続され、側方にガス排出管105、105aが設けられてパッキング106、106aを介してそれぞれ円板101、102に対して気密構造とされ、開口103を中心としてその周囲に設けたガス流制御部材108である治具によって構成される。円板102は駆動装置(図示せず)によって回転され得る。
【0017】
ガス流制御部材108は、円板101の反応容器100の内部空間107に面した壁面112上に設けられ、基板111、111aは他方の円板102の内部空間107に面した壁面113上のサセプタ(基板ホルダ)114に支持される。
【0018】
円板101は石英製であり、円板102は炭化シリコン膜で被覆したグラファイト製であり、ガス導入管104およびガス排出管105はステンレススチール(SUS)製である。
【0019】
基板111、111aはサセプタ114、すなわち壁面113に設置され、この状態で上側のランプ・ハウジング121に設けたタングステンハロゲンランプ122によって加熱され得る。また、反応容器100の内部空間もタングステンハロゲンランプ122によって加熱される。
【0020】
ガス導入管104は、3つの流量制御器123、124、125にそれぞれ接続され、流量制御器123、124、125は原料ガスを含むガス貯め126、127およびキャリアガスを含んだガス貯め128にそれぞれ接続され、流量制御されたガスは一本のガス導入管104を介して反応容器100の内部空間107に導入される。そして、ガス排出管105、105aはそれぞれ排気ポンプ129に接続され、排出ガスは排気ポンプ129によって排出される。
【0021】
ガス貯め126に貯められる第1の原料ガスは、アルシンガス(AsH3)に代表されるV族系ガスを含み、ガス貯め127に貯められる第2の原料ガスはトリメチルガリウムガス(TMG)に代表されるIII族ガスを含む。
【0022】
第1の原料ガスおよび第2の原料ガスは流量制御器123、124によって流量制御されて、混合ガスとなって前述のように一本のガス導入管104より内部空間107に導入される。この場合、キャリアガスとH2ガスが使用され、ガス貯め128に貯められ、流量制御器125によって流量制御されて原料ガスと混合される。
【0023】
開口103の周囲には、例えば円板101とは別体の山裾拡がりの山形に形成されたリング状部材、すなわちガス流制御部材108が固定もしくは着脱可能形式によって設けてある。当該山形形状は、図に示すようになだらかな山形状のほかに開口側に急峻な、場合によって直角形状にしたものであってもよい。他側の山裾はなだらかなものとされる。このような形状によって開口付近でのガス混合流が逆流となる二次流れの形成が防止される。
【0024】
図に示すように、基板111、111aはガス流制御部材(治具)(リング状部材)108の半径方向外側に配置される。図にあっては、基板111、111aは他方の壁面113側に設けてあるが一方の壁面112、すなわち開口103のある円板101上にサセプタを設けてこの上に設けるようにしてもよいし、場合によっては双方の壁面に設けてもよい。
【0025】
本実施例では、基板111、111aは600℃に熱せられ、リング状のガス流制御部材108である治具はガス導入管104と同じ円径を有するものとし、断面形状は翼型とした。
【0026】
直径3インチの単結晶ガリウム砒素の基板111、111aは前述のようにサセプタ114に保持される。
【0027】
図3において、基板111と該基板111に対向する一方の壁面112との距離をLとし、整流制御される混合ガスが流過するリング状のガス流制御部材108と他方の壁面113との距離をlとしたときに、lの間隔はLの10〜50%とするのがよい。
【0028】
このように絞り部を有した山形形状は、混合ガスを整流制御し、流れ115を層流状とする作用を有する。これによってガス導入管104の出口近傍に何も設けられないが、単に壁面の傾斜が設けられる場合に発生する渦の発生を防止し、層流が形成されることになる。この層流の形成された混合ガスは、積層構造が形成されたときに、積層管の界面にその組成比の急峻性において驚くべき結果を示す。
【0029】
上述した第1の原料ガスと第2の原料ガスとをキャリアガスと共に内部空間107に導入すると、流量制御されたV族系ガスとIII族系ガスとは熱分解され、基板111、111a上のGaAsとInGaPとからなる積層構造体を形成する。
【0030】
この場合に、図4に示すように、GaAsとInGaPとの間には、3nm以下(零を含まず)、例えば1〜3nmの界面が急峻性を呈して形成され得る。これは、反応容器100の内部空間107を流過する混合ガスがリング状のガス流制御部材108によって整流制御され、層流となって基板111、111aに接触することに起因する。
【0031】
この手段によれば、V族ガスを含む第1の原料ガスとIII族ガスを含む第2の原料ガスとの混合ガスであって、反応容器100導入前に混合され、導入後整流されたガスによって形成された急峻な切り替え組成比の界面を3nm以下(零を含まず)備えた一方をGaAs、他方をInGaPとした積層構造体の半導体ウエハが提供される。組成比を急峻化することでHEMT(high electron mobility transistor)における電子移動度を増加でき、トランジスタを従来より高い周波数で動作させることができる。本実施例では大量生産に好適な製造装置10を用いて組成比を精密に制御できる為、優れたトランジスタを安価に提供できる効果を得られる。
【0032】
次に、ガス流制御部材108である治具が膜厚制御性に与える影響をPL(フォトルミネッセンス)法で評価した。ガス流制御部材を設置した装置と設置しない装置によって、膜厚1nmから10nmに制御したGaAs/InGaP積層構造を有する試料をそれぞれ作製した。PLピークの半値幅を温度77Kで比較したところ、ガス流制御部材108がない装置では60meVであったが、ガス流制御部材108を設置した装置では40meVとなり、膜厚の制御性が向上したことを確認できた。これは、ガス流制御部材108の設置によって、反応容器100の内部空間107内のガス流が層流化されたため、GaAs/InGaP積層構造体の界面での組成比の切り替えが急峻化できた為である。
【0033】
以下、本発明の他の実施例を説明する。主要部は先の実施例と同一であり、特に異なっている部分を中心にして説明する(以下、同じである)。
【0034】
図5は本実施例で使用した装置の断面概略図である。V族系原料ガスとしてアルシンガス、III族系原料ガスとしてトリメチルガリウムガスやトリメチルアルミニウムガス、キャリアガスとして水素ガスをガス導入管104から円筒状の反応容器100の内部空間107へ導入した。ガス導入管104は石英製の円板101の中心に接続されている。導入されたガスは円板101と円板状のサセプタ114に挟まれた領域を流れ、SUS製のガス排気管105を通り、排気される。円板101およびサセプタ114とガス排気管105はパッキン106で気密されている。直径3インチの単結晶ガリウム砒素の基板111はサセプタ114に設置されている。基板111はサセプタ114の近傍のタングステンハロゲンランプ122によって加熱される。本実施例では、基板111の温度を600℃とした。リング状のガス流制御部材302である治具はガス導入管104と同じ内径を有し、断面形状の上部は直線状になっており、上面は反応容器の壁面112と平行である。このようにガス流制御部材302に並行平面303を形成すると混合ガスの整流に伴う層流化に一層効果的である。また、円錐状でグラファイト製のガススプリット治具301を他方の円板の壁面102に設置した。
【0035】
図6は反応容器100の内部空間107内のガス流状態をシミュレーションした結果である。図6(a)がガス流制御部材302およびガススプリット治具301が設けられていないときの流れのシミュレーションであり、図6(b)がガス流制御部材302およびガススプリット治具301を設けた場合のシミュレーションである。図6(a)の場合は、混合ガスは主流から剥離した状態で逆流が生じ、渦305を発生せしめている。流れ306は乱されて整流がなされているとは言えない。これに対して図6(b)に示すように、ガス流制御部材302とガススプリット治具301を設置することで、ガス導入管104の出口近傍に発生する渦が消失し、層流307が形成されることが分かる。
【0036】
次に、ガス流制御部材302とガススプリット治具301が膜厚の制御性に与える影響をPL(フォトルミネッセンス)法で評価した。ガス流制御部材302とガススプリット治具301を設置した装置と設置しない装置によって、膜厚1nmから10nmに制御したGaAs/AlGaAs積層構造を有する試料をそれぞれ作製した。PLピークの半値幅を温度77Kで比較したところガス流制御部材302とガススプリット治具301がない装置では60meVであったが、ガス流制御部材302とガススプリット治具301を設置した装置では35meVとなり、膜厚の制御性が向上したことが分かった。これは、ガス流制御治具302とガススプリット治具301の設置によって、反応容器100の内部空間107内のガス流が層流化されたため、GaAs/AlGaAs積層構造体の界面での組成比の切り替えが急峻化できた為である。組成比を急峻化することでHEMT(high electron mobility transistor)における電子移動度を増加でき、トランジスタを従来より高い周波数で動作させることができる。本実施例では大量生産に好適な製造装置10を用いて組成比を精密に制御できる為、優れたトランジスタを安価に提供できる効果を得られる。
【0037】
以下、本発明の他の一実施例を説明する。図7は、本実施例で使用した装置の断面概略図である。V族系原料ガスとしてアルシンガス、III族系原料ガスとしてトリメチルガリウムガスやトリメチルアルミニウムガス、キャリアガスとして水素ガスをガス導入管104から円筒状の反応容器100へ導入した。ガス導入間104は石英製の円板101の中心に接続されている。導入されたガスは円板101と円板状のサセプタ114に挟まれた領域を流れ、SUS製のガス排気管105を通り、排気される。円板101およびサセプタ114とガス排気管105はパッキン106で気密されている。直径3インチの単結晶ガリウム砒素の基板111はサセプタ114に設置されている。基板111はサセプタ114の近傍のタングステンハロゲンランプ122によって加熱される。本実施例では、基板111の温度を600℃とした。リング状のガス流制御部材である治具108はガス導入管104と同じ内径を有し、断面形状は翼型である。本実施例では、円錐状で石英製のガススプリット治具501を4本の石英製の支持棒502で石英製のガス流制御部材108に接続した。図8は本実施例で使用した石英治具601を斜め上から見た断面鳥瞰図である。ガススプリット治具501は4本の支持棒502でガス流制御部材108の上に支えられている。支持棒502の直径は1ミリメートルと細くなっており、反応容器100内部のガス流に影響を与えないようにされる。
【0038】
次に、石英治具601が膜厚の制御性に与える影響をPL(フォトルミネッセンス)法で評価した。石英治具601を設置した装置と設置しない装置によって、膜厚1nmから10nmに制御したGaAs/InGaP積層構造を有する試料をそれぞれ作製した。PLピークの半値幅を温度77Kで比較したところ、石英治具601がない装置では60meVであったが、石英治具601を設置した装置では35meVとなり、膜厚の制御性が向上したことが分かった。これは、石英治具601の設置によって、反応容器100内のガス流が層流化されたため、GaAs/InGaP積層構造体の界面での組成比の切り替えが急峻化できた為である。組成比を急峻化することでHEMT(high electron mobility transistor)における電子移動度を増加でき、トランジスタを従来より高い周波数で動作させることができる。本実施例では大量生産に好適な製造装置10を用いて組成比を精密に制御できる為、優れたトランジスタを安価に提供できる効果を得られる。
【0039】
本発明の実施例では、円筒状の反応容器と、反応容器の一方の底面に基板が設置され、反応容器の残りの一方の底面の中心にガス供給管が接続され、ガス供給管から2種類以上のガスが供給される半導体薄膜の形成装置において、ガス供給管が接続されている反応容器の底面の中心にリング状の部材を設置することで反応容器内部のガス流を層流化でき、積層構造体の界面での組成比を急峻に制御できる効果を得られる。特に、リング状の部材の上面を反応容器の底面とほぼ平行にすることで、リング状部材を通過している間にガス流速が低下する効果をより得られ、ガス流量が多くても層流を得られやすい効果を得られる。また、リング状の部材の縦断面の稜線の一部に曲率を持たせることで、航空機の翼のように高速ガス流が剥離することなく層流となって流れる効果を得られる。さらに、リング状部材は反応容器と一体化しておらず、容易に着脱できるため、リング状部材のみの交換作業や洗浄作業を容易に行える効果も得られる。
【0040】
さらに、本実施例では、円筒状の反応容器と、反応容器の一方の底面に基板が設置され、反応容器の残りの一方の底面の中心にガス供給管が接続され、反応容器内に2種類以上のガスが供給され、ガス供給管が接続されている反応容器の底面の中心にリング状の部材が設置された半導体薄膜の形成装置において、リング状の部材と基板が設置されている底面との間に円錐状の部材を設置することで、反応容器内部のガス流を層流化でき、積層構造体の界面での組成比を急峻に制御できる効果を得られる。特に、円錐状の部材を反応容器の底面から離すことで、円錐状の部材の温度が上がることを抑制でき、円錐状の部材表面への薄膜形成を防止できる。その結果、円錐状の部材から薄膜の剥離に起因する異物の発生を抑制でき、異物起因の欠陥の発生を防止できる効果を得られる。
【0041】
本発明の実施例による方法は、例えばInPおよびGaAs基板のようなIII−V族半導体基板にInGaAsPおよびInAlAsPのようなIII−V族半導体材料を形成するのに極めて好適である。この場合、第1の原料ガスは例えば砒素および/又はリンを含み、第2の原料ガスはIn、Ga、Alのトリメチル又はトリエチル化合物のようなInおよび/又はGaおよび/又はAlのアルキル化合物を含む。好ましくはこれらの揮発性又は揮発した物質について水素をキャリアガスとして用いる。
【0042】
本発明によれば、次に示す半導体製造装置および方法が提供される。
前記リング状部材は、山裾拡がりの山形に形成される半導体製造装置。
前記リング状部材は、他方の壁面と実質的に並行になるように形成された面を有する半導体製造装置。
前記リング状部材と、該リング状部材から離間して対向配置され、前記リング状部材に対向する面が円錐面とされた円錐体とでガス制御流を形成するガス制御部材を形成した半導体製造装置。
【0043】
前記反応容器は円筒状をなし、かつ前記2つの壁面をそれぞれ有する対向する2つの円板で形成される半導体製造装置。
前記ガス制御部材は前記リング状部材に直接的に支持されて一体化され、一体化されたガス制御部材およびリング状部材は前記一方の円板に着脱自在に取り付けられる半導体製造装置。
【0044】
混合した2種以上のガスは、アルシンガス、トリメチルガリウムガス、トリエチルガリウムガス、トリメチルアルミニウムガス、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、ホスフインガスおよびアンモニアガスのいずれかおよびキャリアガスを含む半導体製造方法。
【0045】
ガリウム砒素(GaAs)に代表される半導体薄膜を形成する方法において、アルシンガス(AsH3)に代表されるV族系ガスを含む第1の原料ガスとトリメチルガリウムガス(TMG)に代表されるIII族系ガスを含む第2の原料ガスとを混合して反応容器に導入し、導入のための開口を中心として反応容器の一方の壁面上に設けたリング状部材によって混合したガスの半径方向への流れを整流制御し、整流制御された混合ガスによって基板上に積層構造体を該積層構造体の間に急峻な切り替え界面を形成した半導体製造方法。
【0046】
基板と該基板に対向する壁面との距離をLとし、整流制御される混合ガスが流過する間隔をlとしたときにlの間隔はLの10〜50%とした半導体製造方法。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、異なる2種類以上の原料ガスを一本のガス供給路(管)で供給する単純なガス供給構造となし、かつ均質に近いガス流状態を治具でもって形成することができ、以って積層構造体の界面を3nm以下、例えば1〜3nmにする急峻性のある構造とした半導体製造装置および製造方法を提供することができる。また、これに伴って急峻性のある構造を有する半導体ウエハを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の概略構成を示す図。
【図2】図1の要部の拡大図。
【図3】整流された混合ガスの流れを示す図。
【図4】積層構造の概念を示す図。
【図5】本発明の他の実施例の要部構造図。
【図6】図5に示す例についての混合ガスのシミュレーション図。
【図7】本発明の他の実施例の要部構造図。
【図8】図7に示すガス流制御部材についての鳥瞰図。
【符号の説明】
10…半導体薄膜の製造装置、100…反応容器、101、102…円板、103…開口、104…ガス導入管、105、105a…ガス排出管、106、106a…パッキング、107…内部空間、108、302…ガス流制御部材(治具)、111、111a…基板(ウエハ)、112、113…壁面、114…サセプタ(基板ホルダ)、115…流れ(層流状の流れ)、122…タングステンハロゲンランプ、123、124、125…流量制御器、126、127、128…ガス貯め、129…排気ポンプ、301、501…ガススプリット治具、502…支持棒、601…石英治具。
Claims (10)
- 対向配設される二つの円板を備え、かつ半導体薄膜形成のためのガスを導入するガス導入管および半導体薄膜形成後のガスを排出するガス排気管を備えた反応容器を有する半導体製造装置において、
前記反応容器内部に開口して、前記二つの円板の一方の壁面に、第1の反応成分を含む第1のガスと第2の反応成分を含む第2のガスからなる混合した2種以上のガスを導入する前記ガス導入管が設けられ、前記開口を中心として当該一方の壁面上に、混合した2種以上のガスの半径方向への流れを整流制御するリング状部材を配設し、かつ前記反応容器の内部に面して、他方および一方のいずれかの壁面上であって前記リング状部材の半径方向外方側に基板を配設すること
を特徴とする半導体製造装置。 - 請求項1において、前記リング状部材は、山裾拡がりの山形に形成されることを特徴とする半導体製造装置。
- 請求項1において、前記リング状部材の上部は、他方の壁面と実質的に平行になるように形成された面を有することを特徴とする半導体製造装置。
- 請求項1において、前記リング状部材と、該リング状部材から離間して対向配置され、前記リング状部材に対向する面が円錐面とされた円錐体とでガス制御流を形成するガス制御部材を形成したことを特徴とする半導体製造装置。
- 請求項1から4のいずれかにおいて、前記反応容器は円筒状をなし、かつ前記2つの壁面をそれぞれ有する対向する2つの円板で形成されることを特徴とする半導体製造装置。
- 請求項5において、前記ガス制御部材は前記リング状部材に直接的に支持されて一体化され、一体化されたガス制御部材およびリング状部材は前記一方の壁面に着脱自在に取り付けられることを特徴とする半導体製造装置。
- 対向配設される二つの円板を備え、かつ半導体薄膜形成のためのガスを導入するガス導入管および半導体薄膜形成後のガスを排出するガス排気管を備えた反応容器を有し、前記反応容器内部に開口して、前記二つの円板の一方の壁面に、第1の反応成分を含む第1のガスと第2の反応成分を含む第2のガスからなる混合した2種以上のガスを導入する前記ガス導入管が設けられ、前記開口を中心として当該一方の壁面上に、混合した2種以上のガスの半径方向への流れを整流制御するリング状部材を配設し、かつ前記反応容器の内部に面して、他方および一方のいずれかの壁面上であって前記リング状部材の半径方向外方側に基板を配設した半導体製造装置による半導体製造方法において、
半導体薄膜形成のために、反応容器導入前に第1の反応成分を含む第1のガスと第2の反応成分を含む第2のガスからなる2種以上のガスを混合し、混合した2種以上のガスを開口を介して反応容器内に導入し、該混合した2種以上のガスの流れを前記反応容器内の前記リング状部材によって整流して前記反応器内部に配設された前記基板上を流過させること
を特徴とする半導体製造方法。 - 対向配設される二つの円板を備え、かつ半導体薄膜形成のためのガスを導入するガス導入管および半導体薄膜形成後のガスを排出するガス排気管を備えた反応容器を有し、前記反応容器内部に開口して、前記二つの円板の一方の壁面に、第1の反応成分を含む第1のガスと第2の反応成分を含む第2のガスからなる混合した2種以上のガスを導入する前記ガス導入管が設けられ、前記開口を中心として当該一方の壁面上に、混合した2種以上の ガスの半径方向への流れを整流制御するリング状部材を配設し、かつ前記反応容器の内部に面して、他方および一方のいずれかの壁面上であって前記リング状部材の半径方向外方側に基板を配設した半導体製造装置による半導体製造方法において、
半導体薄膜形成のために、反応容器導入前に第1の反応成分を含む第1のガスと第2の反応成分を含む第2のガスからなる2種以上のガスを混合し、混合した2種以上のガスを開口を介して反応容器内に導入し、該混合した2種以上のガスが半径方向に層流状を呈するよう反応容器内の前記リング状部材によって制御されたガス流として反応器内部に配設された前記基板上を流過すること
を特徴とする半導体製造方法。 - 請求項7もしくは8において、混合した2種以上のガスは、アルシンガス、トリメチルガリウムガス、トリエチルガリウムガス、トリメチルアルミニウムガス、トリエチルアルミニウムガス、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、ホスフインガスおよびアンモニアガスのいずれかを含むこと特徴とする半導体製造方法。
- 請求項7もしくは8において、基板と該基板に対向する壁面との距離をLとし、整流制御される混合ガスが流過する間隔をlとしたときにlの間隔はLの10〜50%としたことを特徴とする半導体製造方法。
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