JP3867563B2 - カット刃の取付け角度設定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カット刃の取付け角度設定方法に関し、具体的には、セラミックブロック等を切断するためのカッティング装置において、カット刃取付部材に取付けられたカット刃の傾きを矯正してカット刃取付部材に固定するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1はカッティング装置に用いられているカット刃固定機構の構成を示す側面図である。また、図2は、図1に示すカット刃固定機構の正面図である。図1および図2に示すカット刃固定機構においては、断面逆U字状に形成されたカット刃取付部材2の後方鉛直板にシリンダー3が取り付けられており、当該後方鉛直板を摺動自在に貫通しているシリンダー3のロッドの先端にはシリンダーヘッド6が設けられている。横長長方形状をしたカット刃1は、カット刃取付部材2の前方鉛直板内面のクランプ面5に沿うように配設されており、当該前方鉛直板のクランプ面5とシリンダーヘッド6の先端のクランプ面4との間に所定圧力で挟み込んで固定されている。
【0003】
このようなカッティング装置では、カット刃を保持したカット刃固定機構を断裁テーブル上のセラミックブロック等の上に下降させてカット刃でセラミックブロック等を断裁するので、カット刃が断裁テーブルに衝突しないように、カット刃を断裁テーブルと正確に平行となるようにしてカット刃取付部材に固定しておく必要がある。
【0004】
例えば、新しいカット刃を取り付ける場合、上記従来例によるカット刃固定機構では、以下に説明するようにして新しいカット刃が断裁テーブルと平行になるように矯正される。まず、シリンダー3を縮めてシリンダーヘッド6を後退させ、カット刃取付部材2の前方鉛直板内面のクランプ面5とシリンダーヘッド6先端のクランプ面4の間隙に新しいカット刃1をセットする。その後、シリンダー3を伸張させてシリンダーヘッド6を前進させ、外力により軽く摺動する程度の保持力でクランプ面4、5間においてカット刃1を保持させる。一方、図1及び図2に示すように、断裁テーブル8の上には、カット刃1の両端部に対向させて位置決めコマ7を置いておく。
【0005】
ついで、カット刃取付部材2を下降させてカット刃1の刃先を位置決めコマ7に押し当てる。このとき、カット刃1はクランプ面4、5をスライドし、このスライドに任せて、カット刃1は位置決めコマ7に押し当てられるので、カット刃1は位置決めコマ7の上面に倣った形で断裁テーブル8と平行に調整される。この時点で、シリンダー3の押圧力を上昇させ、カット刃1をクランプ面4、5で動かないように固定する。これで、カット刃1が水平調整された状態でカット刃固定機構に強固に保持されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにカット刃1の水平調整に位置決めコマ7を用いているのは、カット刃1を断裁テーブル8の上面に直接押し当てて水平調整すれば、カット刃1の刃先が衝撃によって破損する恐れがあり、断裁テーブル8もカット刃1によって傷つくためである。
【0007】
また、位置決めコマ7は、弾性のある材質でできているとカット刃1の水平調整を行えないので、硬質の材料でできている。このような硬質の位置決めコマ7にカット刃1が押し当てられると、やはりカット刃1が位置決めコマ7に衝突してその部分の刃先が破損する恐れがあり、これによりセラミックブロックなどの切断に使用できなくなることがある。そのため、位置決めコマ7は、セラミックブロック等の切断に使用されないカット刃1の両端のみに当接させるようにしている。
【0008】
この結果、カット刃1はセラミックブロック等を切断する長さだけでは足りず、位置決めコマ7に当てるための長さが余分に必要になり、カット刃1の刃長(刃渡り)が長くなる。また、位置決めコマ7はカット刃1の両端部を支持するので、刃長が長くなった場合、位置決めコマ7から離れているカット刃1の中央あたりが撓んで、断裁テーブル8と刃先との平行を維持できなくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カット刃の刃先を断裁テーブル等の基準面に対して平行に調整する際に、カット刃の刃先の部分を用いることなく調整することができるようにしたカット刃の取付け角度設定方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載したカット刃の取付け角度設定方法は、カット刃を取付けるためのカット刃取付部材と、カット刃を前記カット刃取付部材に固定するためのカット刃固定手段と、前記カット刃の傾きを矯正するための校正部材と、カット刃の刃先以外の箇所を保持することができ、かつ、前記校正部材に対して相対的に移動可能となったカット刃仮保持部とを備え、前記カット刃取付部材に配設されているカット刃を前記カット刃固定手段による固定状態から解放すると共に前記カット刃仮保持部によって軽く保持させた後、前記カット刃仮保持部によってカット刃を移動させ、カット刃の刃先と反対側の面を前記校正部材に押圧させることによってカット刃の傾きを矯正し、ついで、前記カット刃固定手段によりカット刃を前記カット刃取付部材に固定することを特徴としている。
【0011】
前記校正部材によりカット刃の傾きを矯正するとは、例えば被断裁物が置かれる断裁テーブルの上面とカット刃の刃先とが平行となるようにカット刃の傾きを調整することであり、そのためには、カット刃の刃先と反対側が当たる面が断裁テーブルの上面と平行となるようにして校正部材が配置されていればよい。また、カット刃仮保持部によりカット刃を軽く保持するとは、カット刃が脱落しないが、外力が加わった場合には軽い動く程度の保持力で保持することをいう。
【0012】
請求項1におけるカット刃の取付け角度設定方法によれば、カット刃の刃先と反対側の面を校正部材に押圧させてカット刃の傾きを矯正しており、また、カット刃の仮保持部も刃先以外の箇所を保持するようにしているので、カット刃の刃先の傾きを矯正する際にカット刃の刃先が他の部材に衝突したりして破損することが無くなる。なお、校正部材とカット刃仮保持部とは相対的に移動すればよいので、校正部材が静止していてカット刃仮保持部が移動してもよく、カット刃仮保持部が静止していて校正部材が移動してもよく、両者が同時に移動しても差し支えない。
【0013】
請求項2に記載の実施の態様では、請求項1に記載したカット刃の取付け角度設定方法における前記校正部材が、前記カット刃固定手段に設けられていることを特徴としている。この実施の態様によれば、校正部材がカット刃固定手段に設けられているので、校正部材を位置決めして取付けるための部材が別途必要なく、カット刃の取付け角度を設定するための構造を簡略にし、かつ、コンパクトにすることができる。
【0014】
請求項3に記載したカット刃の取付け角度設定方法は、カット刃を取付けるためのカット刃取付部材と、カット刃を前記カット刃取付部材に固定するためのカット刃固定手段と、前記カット刃取付部材及びカット刃固定手段に対して相対的に移動可能となった、前記カット刃の傾きを矯正するための校正部材とを備え、前記カット刃取付部材に配設されているカット刃を前記カット刃固定手段によって軽く保持させた後、前記校正部材を移動させ、カット刃の刃先と反対側の面に前記校正部材を押圧させることによってカット刃の傾きを矯正し、ついで、前記カット刃固定手段によりカット刃を前記カット刃取付部材に固定することを特徴としている。ここでも、カット刃固定手段によりカット刃を軽く保持するとは、カット刃が脱落しないが、外力が加わった場合には軽い動く程度の保持力で保持することをいう。
【0015】
請求項3におけるカット刃の取付け角度設定方法によっても、カット刃の刃先と反対側の面を校正部材に押圧させてカット刃の傾きを矯正しているので、カット刃の刃先の傾きを矯正する際にカット刃の刃先が他の部材に衝突したりして破損することが無くなる。また、請求項3に記載の方法では、カット刃取付部材及びカット刃固定手段と校正部材とが別個になっているので、カット刃仮保持手段が必要なく、カット刃の取付け角度を設定するための構造を簡略にすることができる。なお、校正部材とカット刃取付部材及びカット刃固定手段とは相対的に移動すればよいので、校正部材が静止していてカット刃取付部材及びカット刃固定手段とが移動してもよく、カット刃取付部材及びカット刃固定手段が静止していて校正部材が移動してもよく、両者が同時に移動しても差し支えない。
【0016】
請求項4に記載の実施の態様は、請求項1、2又は3に記載したカット刃の取付け角度設定方法における前記校正部材の長さは、カット刃の全長と等しいか、もしくはカット刃の全長よりも長くなっていることを特徴としている。この実施の態様によれば、カット刃の全長を校正部材に押圧させて矯正することができるので、カット刃の傾きだけでなく、カット刃の撓みや波打ちといった変形も矯正することが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図3は本発明の第1の実施形態を示す断面図であって、10分の数mm〜1mm程度の厚みを有するセラミックブロック等を切断するためのカッティング装置に用いられるカット刃固定機構11の構成を示している。また、図4は図3に示すカット刃固定機構11の斜視図である。図3および図4に示すカット刃固定機構11は、断面逆U字状に形成されたカット刃取付部材12と、カミソリ状をした薄手のカット刃13の刃先部分以外の箇所をカット刃取付部材12との間に挟み込んで固定する手段と、カット刃13の上面を押圧させることによってカット刃13が水平となるように傾きを矯正する手段と、カット刃13を両面から挟んで仮保持する手段とを備えている。
【0018】
カット刃13の傾きを矯正する手段は、カット刃13の刃先が断裁テーブル18の上面と平行となるように位置決めするものであって、カット刃取付部材12の前方鉛直板14に取り付けられた校正部材15によって構成されている。すなわち、カット刃取付部材12の前方鉛直板14内面には、前方鉛直板14の全長にわたって水平に角溝16が凹設されており、この角溝16内の全長にわたって角棒状をした校正部材15の一部が嵌合されていて、校正部材15の一部が前方鉛直板14の内面に突出している。校正部材15は、前方鉛直板14に貫通させたネジ17によって前方鉛直板14の内面に固定されている。カット刃取付部材12の角溝16は、水平方向すなわち断裁テーブル18の上面と平行な方向に伸びており、校正部材15は当該角溝16に嵌合させて位置決めされることにより、直線状に保持されると共に断裁テーブル18の上面と平行に保持される。また、校正部材15は、セラミックブロックなどを切断する際にカット刃13を押えつける役目と、カット刃13をカット刃取付部材12に取付ける際にカット刃13の上面を当てて水平に位置決めする役目とを兼ねている。
【0019】
カット刃13をカット刃取付部材12に固定する手段は、断裁テーブル18の上面に対してカット刃13が垂直となるように保持するものであって、カット刃取付部材12の前方鉛直板14と、カット刃13を全長にわたって押圧する押圧板19と、押圧板19による押圧力を調整するための調整ネジ20とからなる。押圧板19は、前方鉛直板14の内面と対向しており、調整ネジ20によって支持されている。調整ネジ20は、カット刃取付部材12の後方鉛直板21に設けられた雌ネジ孔(図示せず)に螺合されており、後方鉛直板21を貫通した複数本の調整ネジ20の先端は、押圧板19の外面に回転自在に連結されている。従って、各調整ネジ20を回して締めることによって押圧板19を前方鉛直板14に接近させることができ、校正部材15の下方で前方鉛直板14の内面と押圧板19との間にカット刃13を挟持させることができる。また、調整ネジ20を回して緩めることにより押圧板19を後退させることができる。なお、押圧板19の内面のうち、校正部材15と対向する位置には、校正部材15がはまり込むような大きさの凹部22が設けられているので、校正部材15の突出長よりも薄いカット刃13も押圧板19と前方鉛直板14との間に挟み込むことができる。
【0020】
なお、複数本の調整ネジ20は、図4に示すようにカット刃取付部材12の後方から見て左右対称に設けられている。また、複数本のネジ17は、カット刃取付部材12の正面から見て左右対称に設けられている。
【0021】
カット刃13の水平調整時にカット刃13を仮保持する手段(カット刃仮保持部)は、水平に移動して開閉するようになった2つのチャック爪23、24を有するチャック機構によって構成されている。図示しないが、各チャック爪23、24は、水平な複数本のガイド軸によって上部をスライド自在に支持されており、カット刃13の位置を中心として前後に水平移動できるようになっている。各チャック爪23、24を水平移動させる手段としては、エアシリンダ等を用いてもよい。あるいは、チャック爪23側とチャック爪24側とで互いに逆ネジとなるように雄ネジを設けたボールネジを両チャック爪23、24のネジ孔に挿通させておき、ボールネジを回転させることでチャック爪23、24間を開閉できるようにしてもよい。よって、チャック爪23、24を閉じることにより、カット刃取付部材12の下方において、チャック爪23、24の先端間でカット刃13が全長にわたって挟持されるようになっている。なお、チャック爪23、24を閉じた後で、調整ネジ20を操作できるよう、チャック爪23には調整ネジ20に対向する位置に孔を開けておくのが望ましい。
【0022】
また、断裁テーブル18の上面には、カット刃取付部材12に保持されたカット刃13と対向するようにして木製ないしプラスチック製の溝木25が設けられている。
【0023】
次に図5(a)(b)(c),図6(d)(e),図7(f)(g)を参照してカット刃13をカット刃固定機構11にセットする方法について説明する。図5(a)は、新しいカット刃13をカット刃取付部材12の前方鉛直板14と押圧板19との間に挟みこんで保持させた状態を示している。あるいは、使用によって位置のずれたカット刃13を表わしていると考えてもよい。このような状態からカット刃13の水平調整を行う場合には、まず図5(b)に示すようにチャック爪23、24を閉じてカット刃13の下部を挟み込んで保持する。このときチャック爪23、24の保持力は、カット刃13が脱落しない程度に強く、且つ、外力が加わった場合には、カット刃13がチャック爪23、24間で軽く滑り動く程度としておく。
【0024】
ついで、図5(c)に示すように、調整ネジ20を緩めてカット刃13を押圧板19と前方鉛直板14との間から解放した(カット刃13が軽く摺動する程度に押圧力を緩めるだけでもよい。)後、図6(d)に示すようにカット刃取付部材12を下降させる。カット刃13をチャック爪23、24間に保持させた状態でカット刃取付部材12を下降させると、校正部材15の下面がカット刃13の上面に当接し、さらにカット刃取付部材12を下降させると、図8に示すように、カット刃13の上面が校正部材15で押えられることによってチャック爪23、24間に保持されているカット刃13が滑り動き、カット刃13の上面が全長にわたって校正部材15の下面に当接させられる。よって、この段階で、カット刃13は、その刃先が断裁テーブル18の上面と平行となるように調整される。
【0025】
この段階で、図6(e)に示すように、調整ネジ20を締め付け、カット刃13を強い押圧力で押圧板19と前方鉛直板14の間に挟みこむ。よって、カット刃13は断裁テーブル18と平行な状態でカット刃取付部材12にしっかりと固定される。
【0026】
ついで、図7(f)に示すように、チャック爪23、24を開いてチャック爪23、24からカット刃13を解放した後、図7(g)に示すようにカット刃取付部材12を元の位置まで上昇させる。これによりカット刃13がカット刃取付部材12に正しくセットされる。
【0027】
なお、上記実施形態では、カット刃13を保持しているチャック爪23、24を静止させたままでカット刃取付部材12を下降させたが、これとは反対に、カット刃取付部材12を静止させたまま、カット刃13を保持しているチャック爪23、24を上昇させてカット刃13の上面を校正部材15の下面に当てるようにしてもよい。
【0028】
このようにしてカット刃13をカット刃固定機構11に取付ければ、カット刃13の刃先に他の部材が接触することがないので、カット刃13の調整作業によってカット刃13の刃先が損傷する恐れが無くなる。また、押圧板19はカット刃13を全長にわたって押えているので、カット刃13の上面側から見て、カット刃13が前後に波打ったりすることがなく、薄手のカット刃13も平らな状態となるように矯正してカット刃取付部材12に取付けることができる。さらに、カット刃13はチャック爪23、24によって全長を保持された状態で校正部材15に押し当てられるので、カット刃13が図9(a)のように上下に波打っていたり、撓んでいたりする場合でも、校正部材15に押し当てられることで図9(b)のように真っ直ぐに矯正される。
【0029】
このようにしてカット刃13を水平に保ってカット刃取付部材12に取付けられたカッティング装置は、図10(a)(b)に示すように、断裁テーブル18の上に置かれたセラミックブロック等の被断裁物26の上に下降させられ、カット刃13の刃先が被断裁物26を通過して被断裁物26を切断する。このときカット刃13の刃先は、溝木25に衝突することなく溝木25の溝内の途中で止まるので、溝木25で刃先が破損することはない。
【0030】
(第2の実施形態)
図11は本発明の別な実施形態によるカット刃固定機構31の構造を示す概略側面図である。このカット刃固定機構31と第1の実施形態によるカット刃固定機構11との主な違いは、カット刃13を固定する手段として、カット刃仮保持手段のチャック爪23、24と同様なチャック機構を用いている点にある。すなわち、この実施形態では、カット刃13の固定手段を2つのチャック爪32、33からなるチャック機構によって構成し、チャック爪32、33間にカット刃13を挟み込むようにすると共に一方のチャック爪33の上部に校正部材15を設けている。
【0031】
(第3の実施形態)
図12は本発明のさらに別な実施形態によるカット刃固定機構41の構造を示す斜視図である。このカット刃固定機構41にあっては、校正部材15をカット刃取付部材12に設けず、カット刃取付部材12と校正部材15を個別に形成した点を特徴としている。
【0032】
このカット刃固定機構41にあっては、前方鉛直板14の両側端と後方鉛直板21の両側端とが側板42によって連結されていてカット刃取付部材12が角枠状をしている。よって、カット刃取付部材12の上面及び下面が開口しており、前方鉛直板14と押圧板19との間に挟みこんで固定されているカット刃13の上部及び下部がそれぞれカット刃取付部材12の上端及び下端から突出している。
【0033】
このカット刃取付部材12は、垂直に昇降するようになっており、校正部材15は、カット刃取付部材12に取付けられたカット刃13の上面と対向するようにして水平に(すなわち、断裁テーブル18の上面と平行になるようにして)固定されている。
【0034】
しかして、この実施形態でカット刃13の水平調整を行う場合には、図13(a)(b)(c)に示すように行う。すなわち、まず図13(a)に示すように、調整ネジ20を回してカット刃13が脱落せず、かつカット刃13が外力で軽く滑り動く程度に押圧板19の押圧力を緩くする。ついで、図13(b)に示すように、カット刃取付部材12を上昇させてカット刃13の上面を校正部材15の下面に当接させ、校正部材15でカット刃13の上面を押えることでカット刃13を水平に調整する。この後、調整ネジ20を締めて押圧板19によりカット刃13をしっかりと固定し、図13(c)のようにカット刃取付部材12を元の高さまで下降させる。
【0035】
このような実施形態によれば、刃先を損傷させることなくカット刃13を水平に調整して取付けることができるのはもちろん、前記チャック爪23、24のようなカット刃仮保持手段を不要にでき、構造を簡単にすることができる。
【0036】
なお、図12、図13のような実施形態においても、カット刃取付部材12を静止させたままで校正部材15を水平に保ったままで下降させ、下降した校正部材15をカット刃13の上面に当接させることによってカット刃13を水平に調整させてもよい。
【0037】
【発明の効果】
請求項1に記載したカット刃の取付け角度設定方法にあっては、カット刃の刃先と反対側の面を校正部材に押圧させてカット刃の傾きを矯正しており、また、カット刃の仮保持部も刃先以外の箇所を保持するようにしているので、カット刃の刃先の傾きを矯正する際にカット刃の刃先が他の部材に衝突したりして破損することが無くなる。
【0038】
請求項2に記載の実施の態様では、校正部材がカット刃固定手段に設けられているので、校正部材を位置決めして取付けるための部材が別途必要なく、カット刃の取付け角度を設定するための構造を簡略にし、かつ、コンパクトにすることができる。
【0039】
請求項3におけるカット刃の取付け角度設定方法にあっては、カット刃の刃先と反対側の面を校正部材に押圧させてカット刃の傾きを矯正しているので、カット刃の刃先の傾きを矯正する際にカット刃の刃先が他の部材に衝突したりして破損することが無くなる。また、請求項3に記載の方法では、カット刃取付部材及びカット刃固定手段と校正部材とが別個になっているので、カット刃仮保持手段が必要なく、カット刃の取付け角度を設定するための構造を簡略にすることができる。
【0040】
請求項4に記載の実施の態様にあっては、前記校正部材の長さが、カット刃の全長と等しいか、もしくはカット刃の全長よりも長くなっているので、カット刃の全長を校正部材に押圧させて矯正することができ、カット刃の傾きだけでなく、カット刃の撓みや波打ちといった変形も矯正することができる。
【0041】
よって、本発明の方法によれば、カット刃を取付ける際におけるカット刃の破損を最小限にすることができ、被裁断物の断裁不良などを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例によるカット刃の取付け角度設定方法に用いられるカット刃固定機構の構成を示す側面図である。
【図2】図1に示すカット刃固定機構の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るカット刃の取付け角度設定方法に用いられるカット刃固定機構の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示すカット刃固定機構の斜視図である。
【図5】(a)(b)(c)は、第1の実施形態においてカット刃をカット刃固定機構に固定する方法を説明する側面図である。
【図6】(d)(e)は、第1の実施形態においてカット刃をカット刃固定機構に固定する方法を説明する側面図であって、図5の続図である。
【図7】(f)(g)は、第1の実施形態においてカット刃をカット刃固定機構に固定する方法を説明する側面図であって、図6の続図である。
【図8】カット刃が校正部材によって水平調整される様子を説明する図である。
【図9】湾曲したカット刃が校正部材によって矯正される様子を説明する図である。
【図10】(a)(b)は、カット刃によって被断裁物を切断する工程を説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るカット刃の取付け角度設定方法に用いられるカット刃固定機構を示す概略側面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るカット刃の取付け角度設定方法に用いられるカット刃固定機構を示す斜視図である。
【図13】(a)(b)(c)は、第3の実施形態においてカット刃をカット刃固定機構に固定する方法を説明する側面図である。
【符号の説明】
11 カット刃固定機構
12 カット刃取付部材
13 カット刃
15 校正部材
19 押圧板
20 調整ネジ
23、24 チャック爪
31 カット刃固定機構
32、33 チャック爪
41 カット刃固定機構
Claims (4)
- カット刃を取付けるためのカット刃取付部材と、カット刃を前記カット刃取付部材に固定するためのカット刃固定手段と、前記カット刃の傾きを矯正するための校正部材と、カット刃の刃先以外の箇所を保持することができ、かつ、前記校正部材に対して相対的に移動可能となったカット刃仮保持部とを備え、
前記カット刃取付部材に配設されているカット刃を前記カット刃固定手段による固定状態から解放すると共に前記カット刃仮保持部によって軽く保持させた後、
前記カット刃仮保持部によってカット刃を移動させ、カット刃の刃先と反対側の面を前記校正部材に押圧させることによってカット刃の傾きを矯正し、
ついで、前記カット刃固定手段によりカット刃を前記カット刃取付部材に固定することを特徴とするカット刃の取付け角度設定方法。 - 前記校正部材は、前記カット刃固定手段に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のカット刃の取付け角度設定方法。
- カット刃を取付けるためのカット刃取付部材と、カット刃を前記カット刃取付部材に固定するためのカット刃固定手段と、前記カット刃取付部材及びカット刃固定手段に対して相対的に移動可能となった、前記カット刃の傾きを矯正するための校正部材とを備え、
前記カット刃取付部材に配設されているカット刃を前記カット刃固定手段によって軽く保持させた後、
前記校正部材を移動させ、カット刃の刃先と反対側の面に前記校正部材を押圧させることによってカット刃の傾きを矯正し、
ついで、前記カット刃固定手段によりカット刃を前記カット刃取付部材に固定することを特徴とするカット刃の取付け角度設定方法。 - 前記校正部材の長さは、カット刃の全長と等しいか、もしくはカット刃の全長よりも長くなっていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載のカット刃の取付け角度設定方法。
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