JP3866550B2 - 生分解性模型素材用樹脂成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、模型素材用樹脂成形品に関するものであり、さらに詳しくは、生分解性模型素材用樹脂を使用した成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業用デザイン模型素材としては、切削性の良好な硫黄含有のインダストリアルクレイが使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のクレイは硫黄含有であることから、使用中の臭気や使用後の廃棄方法に問題があること、および比重が大きいために大型模型の場合には重いなどの問題点を有している。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、使用中の臭気がほとんど無く、使用後の廃棄方法が簡単で、低密度である工業用デザイン模型素材について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0005】
即ち本発明は、ヒドロキシ価が10〜250であり軟化温度が100℃以下である直鎖型脂肪族ポリエステルジオール(a1)を10質量%以上含有する活性水素成分(a)と、脂肪族系ポリイソシアネート(b)とを反応させてなる熱可塑性ウレタン樹脂(A)、充填剤(B)、相溶化剤(C)、および成形品の質量に基づいて0.5〜40質量%の(a1)を混練成形してなる生分解性模型素材用樹脂成形品、並びに上記成形品を切削加工することによって得られる切削加工製品である。
【0006】
【発明の実施形態】
本発明において、生分解性とは、JIS K6951に準じて、対象物を微生物分解させ、発生した全二酸化炭素量を測定し、炭素量換算した値を対象物中の全炭素量で割った値が0.60以上であることを意味する。
【0007】
本発明における活性水素成分(a)は、直鎖型脂肪族ポリエステルジオール(a1)を10質量%以上含有するものである。(a1)の含有量は、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは60〜99.5質量%である。(a1)が10質量%未満であると成形品の硬度が不十分である。
(a1)のヒドロキシ価は、通常10〜250、好ましくは20〜200である。ヒドロキシ価が10未満では切削性良好な成形品が得られず、250を越えると十分な成形品の硬度が得られない。
(a1)の軟化温度(環球法による、以下の軟化温度についても同様)は、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。軟化温度が100℃を越えると、切削性良好な成形品が得られるない。
【0008】
(a1)としては、2価アルコール(a11)と、2塩基カルボン酸(a12)もしくはその無水物、低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステルなどのエステル形成性誘導体(例えば、アジピン酸、セバシン酸、これらのメチルエステル、無水マレイン酸など)、またはカルボン酸無水物およびアルキレンオキサイド[エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)など炭素数2〜8のアルキレンオキサイド]との縮合反応物;そのアルキレンオキサイド付加反応物;ポリラクトンジオール、例えば(a11)を開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトンなど)を開環重合させることにより得られるもの;ポリカーボネートジオール[例えば、(a11)と低級アルコール(メタノールなど)の炭酸ジエステルとの反応物];などが挙げられる。
【0009】
2価アルコール(a11)としては、炭素数2〜20の脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール)および炭素数2〜20の脂環式ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレングリコール)などが挙げられる。
ポリエステルジオールの軟化温度および生分解性を考慮して、これらのうち好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよびそれらの混合物である。
【0010】
2塩基カルボン酸(a12)としては、炭素数3〜18の脂肪族カルボン酸(例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸)などが挙げられる。
ポリエステルジオールの軟化温度および生分解性を考慮して、これらのうち好ましくはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸およびそれらの混合物である。
【0011】
直鎖型脂肪族ポリエステルジオール(a1)の数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフ法による、以下の数平均分子量についても同様)は、好ましくは500〜5000、さらに好ましくは800〜3000である。数平均分子量が500以上で十分な成形品の硬度が得られ、5000以下で通常100℃以下の軟化温度が得られるので好ましい。
【0012】
(A)を得るのに用いる(a)と(b)の合計質量に対する(a1)の使用量は、好ましくは40〜98質量%、さらに好ましくは50〜96質量%である。(a1)が40質量%以上で硬化物の密着性が向上し、98%以下で切削性良好な成形品が得られるので好ましい。
【0013】
活性水素成分(a)中には、必要により(a1)以外のポリオール(a2)を含有することができる。(a2)としては、得られる成形品の生分解性に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、(a1)以外の高分子ポリオール(a2−1)、前記2価アルコール(a11)、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0014】
(a2−1)としては、ポリエーテルポリオール、変性ポリオール、およびこれらの混合物などが挙げられる。また、数平均分子量が200〜7000、とくに500〜5000のものが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、2個の活性水素を含有する化合物(多価アルコール、多価フェノール、アミン類、ポリカルボン酸など)にアルキレンオキサイドが付加された構造の化合物およびこれらの混合物が挙げられる。
【0015】
多価アルコールとしては、前記2価アルコール(a11)が挙げられる。
【0016】
多価フェノールとしては、ハイドロキノンなどの単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールスルホンなどのビスフェノール類などが挙げられる。
【0017】
アミン類としては、脂肪族アミン類としては、炭素数1〜20のアルキルアミン類(例えば、n−ブチルアミンおよびオクチルアミン)が挙げられる。
また、炭素数6〜20の芳香族モノアミン類(例えば、アニリン);炭素数4〜20の複素環式アミン(例えば、ピペラジン)などが挙げられる。
【0018】
ポリカルボン酸としては、前記2塩基カルボン酸(a12)、炭素数8〜20の芳香族ポリカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸など)、およびこれらの2種類以上の混合物などが挙げられる。
【0019】
活性水素含有化合物に付加させるアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜8のものが好ましく、例えば、EO、PO、1,2−、1,3−、1,4−または2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、およびこれらの2種類以上の併用(ブロックおよび/またはランダム付加)が挙げられる。
得られるポリエーテルポリオールの生分解性を考慮して、好ましくはEO、またはEOとPOとの併用である。
【0020】
上記ポリエーテルポリオールの具体例としては、上記活性水素含有化合物にEOと他のアルキレンオキサイド(以下AOと略記)を下記の様式で付加したもの、およびAOを付加したもの、並びに、これらの付加化合物とポリカルボン酸もしくはポリリン酸とのエステル化合物が挙げられる。
▲1▼AO−EOの順序で付加したもの(チップド)
▲2▼AO−EO−AO−EOの順序でブロック付加したもの(バランスド)
▲3▼EO−AO−EOの順序でブロック付加したもの
▲4▼AO−EO−AOの順序でブロック付加したもの(活性セカンダリー)
▲5▼AOおよびEOを混合付加したランダム付加物
▲6▼特開昭57−209920号公報記載の順序でランダムまたはブロック付加したもの
▲7▼特開昭53−13700号公報記載の順序でランダムまたはブロック付加したもの
【0021】
変性ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオールなどのポリジエンポリオールおよびそれらの水添物;アクリル系ポリオールなどが挙げられる。
【0022】
硬化物の物性および生分解性を考慮して、(a2)として好ましいものは、(a11)、(a11)のアルキレンオキサイド付加物、およびそれらの混合物であり、さらに好ましくは(a11)である。
【0023】
(A)を得るのに用いる(a)と(b)の合計質量に対する(a2)の使用量は、好ましくは58質量%以下、さらに好ましくは0.2〜40質量%である。(a2)が58質量%以下であると切削性良好な成形品が得られるので好ましく、0.2質量%以上であると成形品の密着性が向上するので好ましい。
【0024】
本発明に用いる脂肪族系ポリイソシアネート(b)としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、これらの変性物(例えばウレタン基、カルボジイミド基、ウレア基またはオキサゾリドン基含有変性物)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0025】
脂肪族系ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネート[例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート]などが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート)などが挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性HDI、カルボジイミド変性HDIなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは脂肪族ジイソシアネートであり、特に好ましくはHDIである。
【0026】
(A)を得るのに用いる(a)と(b)の合計質量に対する(b)の使用量は、好ましくは2〜50質量%、さらに好ましくは4〜45質量%である。(b)が2質量%以上で成形品の密着性が向上し、50質量%以下で切削性良好な成形品が得られるので好ましい。
【0027】
熱可塑性ウレタン樹脂(A)の製造の際には、必要によりポリウレタン製造に通常使用される触媒を用いることができる。
触媒としては、例えば、3級アミン[トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノメチルフェノール、N−メチル−N−ジメチルアミノエチルピペラジン、ピリジンなど]およびこれらの酸ブロック化合物、カルボン酸の金属塩(酢酸ナトリウム、オクチル酸鉛、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレートなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシドまたはフェノキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムフェノキシドなど)、4級アンモニウム塩(テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなど)、イミダゾール類(イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなど)、およびスズ、アンチモンなどの金属を含有する上記以外の有機金属化合物(テトラフェニルスズ、トリブチルアンチモンオキサイドなど)が挙げられる。これらの触媒は、単独または混合して使用することができる。
触媒の配合量は、製造される(A)に対し、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは0.001〜4質量%である。
【0028】
熱可塑性ウレタン樹脂(A)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜300,000、さらに好ましくは10,000〜200,000である。また、(A)は20℃で固状またはペースト状のものが好ましく、軟化温度は、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
【0029】
本発明の成形品中の(A)の配合量は、好ましくは20〜95質量%、さらに好ましくは30〜80質量%である。(A)が20質量%以上で成形品の密着性が向上し、95質量%以下で切削性良好な成形品が得られるので好ましい。
【0030】
充填剤(B)としては、無機フィラー[無定形フィラー(例えば、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、マグネシア)、板状フィラー(例えば、タルク、マイカ、ガラスフレーク)、針状フィラー(例えば、ウォラストナイト、モスハイジ、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム)、および球状フィラー(例えば、ガラスビーズ)など]、並びに中空微小球[熱可塑性樹脂系(例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル)、熱硬化性樹脂系(例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂)、および無機系(例えば、ガラスバルーン、アルミナバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーン、セラミックバルーン)など]等が挙げられる。上記の中空微小球の嵩密度は、好ましくは0.005〜0.5g/cm3 、さらに好ましくは0.01〜0.4g/cm3 である。0.005g/cm3 以上であると取り扱いが容易で、0.5g/cm3 以下であると成形品の軽量化が容易である。
成形品の軽量化および強度を考慮して、これらのうち好ましいものは、無定型フィラー、板状フィラー、無機系中空微小球、およびこれらの混合物であり、さらに好ましくは、カオリン、クレー、炭酸カルシウムおよびタルクから選ばれる1種以上の無機フィラー、ガラスバルーン、並びにこれらの混合物である。
(B)中の中空微小球の量を5〜60質量%にすると、成形品の軽量化ができるのでさらに好ましい。
【0031】
(B)の平均粒径は、好ましくは300μm以下であり、さらに好ましくは0.5〜200μmである。(B)が300μm以下であると、表面のきめが細かくなるので好ましい。
【0032】
(B)の成形品中の配合量は、好ましくは1〜60質量%、さらに好ましくは5〜50質量%である。(B)が1質量%以上で切削性良好な成形品が得られ、60質量%以下で成形品の密着性が向上するので好ましい。
【0033】
相溶化剤(C)としては、熱可塑性ウレタン樹脂(A)と直鎖型脂肪族ポリエステルジオール(a1)が分散できるものが好ましく、脂肪族系ジエステル[炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸のアルキル基の炭素数が1〜4のジアルキルエステル(例えば、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル)など]、芳香族系ジエステル[炭素数8〜30の芳香族ジカルボン酸のアルキル基の炭素数が1〜4のジアルキルエステル(例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル)など]、ポリエーテルポリオール(例えば、数平均分子量150〜1000の前記ポリエーテルポリオール)、およびこれらの混合物などが挙げられる。
成形品の密着性と生分解性を考慮して、これらのうち好ましいものは、脂肪族系ジエステル、多価アルコールのEO付加物、およびこれらの混合物であり、さらに好ましくは、アジピン酸ジエステル、グリセリンのEO付加物、およびこれらの混合物である。
【0034】
(C)の成形品中の配合量は、好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%である。(C)が0.1質量%以上で成形品の密着性が良好であり、30質量%以下で成形品が十分な硬度を得られるので好ましい。
【0035】
脱水剤(D)としては、通常用いられている脱水効果を持つ化合物を使用できるが、中性またはアルカリ性で粒径が0.1〜50μmの脱水剤が好ましい。
脱水剤の具体例としては、酸化カルシウム、硫酸カルシウム(半水石膏)、塩化カルシウム、モレキュラーシーブなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、硫酸カルシウム(半水石膏)およびモレキュラーシーブである。
【0036】
(D)の成形品中の配合量は、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは1〜20質量%である。(D)が30質量%以下で成形品の密着性が良好であるので好ましい。
【0037】
離型剤(E)としては、ワックス[植物系(例えば、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油)、動物系(例えば、みつろう、ラノリン、鯨ろう)、鉱物系(例えば、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン)、石油ワックス(例えば、パラフィンワックス、マイクロワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス)など]、油脂(例えば、ひまし油、大豆油、あまに油、オリーブ油、それらの硬化油)、炭素数8〜30の高級アルコール(例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール)、炭素数8〜30の高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ステアリン酸)、およびこれらの混合物などが挙げられる。
成形品の生分解性と離型性を考慮して、これらのうち好ましいものは、植物系ワックス、高級アルコール、高級脂肪酸、およびこれらの混合物である。
【0038】
(E)の成形品中の配合量は、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは1〜15質量%である。(E)が20質量%以下で成形品の密着性が良好であるので好ましい。
【0039】
成形品の生分解性を得るために、(a)、(b)、(C)および(E)は、それぞれ単独でも生分解性であることが好ましい。
【0040】
本発明の成形品には、必要により、顔料[無機顔料(酸化チタン、ベンガラ、黄鉛、硫化カドミウム、群青など)、および有機顔料(アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系など)等]、および染料(アントラキノン系、インジゴイド系、アゾ系など)も含有させることができる。
これらの顔料または染料の成形品中の配合量は、好ましくは10質量%以下である。
【0041】
本発明の成形品は、例えば、以下のようにな方法により作成できる。
熱可塑性ウレタン樹脂(A)は、活性水素成分(a)および脂肪族系ポリイソシアネート(b)を40〜150℃で加温しながら反応させる。必要により、撹拌しながら反応させることができる。
成形品は、(A)、充填剤(B)、相溶化剤(C)、および直鎖型脂肪族ポリエステルジオール(a1)を、ニーダーおよびオープンロールなどを用いて混練することにより得られる。必要により脱水剤(D)および/または離型剤(E)を添加して、混練することができる。また、混合物は、押出機および真空脱泡成型機などを使って成形し、割れにくい成形品を作成することができる。
(B)および(D)は、上記の(A)に混合する方法の他、(A)の作成時に(a)、(b)などと共に添加する方法をとることもできる。
【0042】
切削性良好な成形品を得るためには、成形品を混練成形する時に(a1)を添加する必要がある。
(a1)の配合量は、成形品中に、好ましくは0.5〜40質量%、さらに好ましくは1〜30質量%である。(a1)が0.5質量%以上で切削性良好な成形品が得られ、40質量%以下で切削加工しやすい硬度となるので好ましい。
なお、(a1)は、(A)を作成する際に、(a1)を(b)に対して大過剰に用いることによって、(A)中の未反応物の形で配合することもできる。
【0043】
成形品の密度は、好ましくは0.15〜1.0g/cm3 、さらに好ましくは0.2〜0.9g/cm3 である。成形品の密度が0.15g/cm3 以上で成形品の切削強度が良好であり、1.0g/cm3 以下で軽量化したデザイン模型ができるので好ましい。
【0044】
本発明の成形品は、レイク、ワイヤー、ヘラ、ノミ、カンナ、ノコギリなどによる手加工、およびNCマシンなどによる機械切削などの方法により切削加工され、所望の形状の模型とすることができる。
【0045】
本発明の生分解性模型素材用樹脂成形品は、使用中に硫黄などの臭気がなく、使用後の廃棄方法は土壌に埋めるだけでよく容易であり、比重が小さく大型模型を作製してもインダストリアルクレイよりも軽いので、模型素材用樹脂として好適であり、切削加工して得られた切削加工製品は、模型、特に工業用デザイン模型として用いられる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において%は質量%、部は質量部を示す。
【0047】
[使用原料]
ポリエステルジオール(a1−1):ポリエチレンアジペート[サンエスター2620(数平均分子量:2000、ヒドロキシ価:56、軟化温度:30℃)、三洋化成工業(株)製]
ポリエステルジオール(a1−2):ポリブチレンアジペート[サンエスター4620(数平均分子量:2000、ヒドロキシ価:56、軟化温度:30℃)、三洋化成工業(株)製]
他のポリオール(a2−1):1,4−ブタンジオール
ポリイソシアネート(b−1):HDI
【0048】
充填剤(B−1):ガラスバルーン[クラスバブルズK15、住友スリーエム(株)製]
充填剤(B−2):カオリン[カオリンJP−100、土屋カオリン工業(株)製]
相溶化剤(C−1):グリセリンのEO付加物[サンニックスGE−600(数平均分子量:600)、三洋化成工業(株)製]
脱水剤(D−1):モレキュラーシーブ[モレキュラーシーブ3A−Bパウダー、ユニオン昭和(株)製]
離型剤(E−1):ステアリルアルコール
【0049】
実施例1
ポリエステルジオール(a1−1)581部、ポリイソシアネート(b−1)46部、充填剤(B−1)102部、充填剤(B−2)102部、脱水剤(D−1)18部、トリエチレンジアミン2部をプラネタリーミキサーで混合後、80℃で3時間加熱し、熱可塑性ウレタン樹脂(A−1)からなる硬化組成物を得た。
さらに、ポリエステルジオール(a1−1)59部、相溶化剤(C−1)59部、離型剤(E−1)31部を80℃でニーダーを用いて混合し、成形品を得た。
【0050】
実施例2
ポリエステルジオール(a1−1)403部、ポリイソシアネート(b−1)32部、トリエチレンジアミン2部を80℃で3時間加熱し、熱可塑性ウレタン樹脂(A−2)を得た。
さらに、ポリエステルジオール(a1−1)20部、充填剤(B−1)218部、充填剤(B−2)218部、相溶化剤(C−1)20部、離型剤(E−1)87部を80℃でニーダーを用いて混合し、成形品を得た。
【0051】
実施例3
実施例2の熱可塑性ウレタン樹脂(A−2)437部に、ポリエステルジオール(a1−2)20部、充填剤(B−1)218部、充填剤(B−2)218部、相溶化剤(C−1)20部、離型剤(E−1)87部を80℃でニーダーを用いて混合し、成形品を得た。
【0052】
実施例4
ポリエステルジオール(a1−1)393部、ポリオール(a2−1)4.4部、ポリイソシアネート(b−1)39部、トリエチレンジアミン2部を80℃で3時間加熱し、熱可塑性ウレタン樹脂(A−3)を得た。
さらに、ポリエステルジオール(a1−1)20部、充填剤(B−1)218部、充填剤(B−2)218部、相溶化剤(C−1)20部、離型剤(E−1)87部を80℃でニーダーを用いて混合し、成形品を得た。
【0053】
比較例1
パラフィンワックス[パラフィンワックス115、日本精蝋(株)製]300部、充填剤(B−2)600部、硫黄100部を60℃でニーダーを用いて混合し、成形品を得た。
【0054】
比較例2
パラフィンワックス[パラフィンワックス115、日本精蝋(株)製]200部、水添ホホバ油[ホホバワックス、日光ケミカルズ(株)製]100部、充填剤(B−2)600部、硫黄100部を60℃でニーダーを用いて混合し、成形品を得た。
【0055】
[性能試験例]
実施例1〜4、および比較例1〜2の各成形品の、密度、生分解性、硬さ(D硬度)、曲げ強度、および臭気の試験結果を表1に示す。なお試験法は以下のとおりである。
(生分解性)
JIS K6951に準じて、試料を数mm程度に粉砕したもので測定した。
(D硬度)
成形品の硬度は、高分子計器社製D型硬度計を用いて測定した。
(曲げ強度)
JIS K6911に準じて、島津製作所製「島津オートグラフAGS−500A」を用いて測定した。
(臭気)
成形品の臭気は、10cm離れた場所から嗅ぎ、以下の基準で判定した。
〔判定:臭気あり=×、若干臭気あり=△、臭気なし=○〕
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】
本発明の生分解性模型素材用樹脂成形品は、下記の効果を奏する。
(1)硫黄成分が添加されていないことにより臭気の問題がなく、且つ従来のインダストリアルクレイと同様の切削が可能である。
(2)成形品が生分解性なので、土壌に埋める、またはコンポスト化することで処分でき、環境破壊を起こさない。
(3)従来のインダストリアルクレイよりも軽量であることにより、モデルの軽量化のニーズが高まっている現在、大型モデルの作製に非常に有効である。
Claims (7)
- ヒドロキシ価が10〜250であり軟化温度が100℃以下である直鎖型脂肪族ポリエステルジオール(a1)を10質量%以上含有する活性水素成分(a)と、脂肪族系ポリイソシアネート(b)とを反応させてなる熱可塑性ウレタン樹脂(A)、充填剤(B)、相溶化剤(C)、および成形品の質量に基づいて0.5〜40質量%の(a1)を混練成形してなる生分解性模型素材用樹脂成形品。
- さらに脱水剤(D)および/または離型剤(E)を含有する請求項1記載の樹脂成形品。
- (A)を20〜95質量%、(B)を1〜60質量%、(C)を0.1〜30質量%、(a1)を0.5〜40質量%、(D)を30質量%以下、および(E)を20質量%以下含有する請求項1または2記載の樹脂成形品。
- (a)、(b)、(C)および(E)が生分解性である請求項1〜3のいずれか記載の樹脂成形品。
- (b)がヘキサメチレンジイソシアネートである請求項1〜4のいずれか記載の樹脂成形品。
- 成形品の密度が、0.15〜1.0g/cm3 である請求項1〜5のいずれか記載の樹脂成形品。
- 請求項1〜6のいずれか記載の樹脂成形品を切削加工することによって得られる切削加工製品。
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