JP3866397B2 - 光拡散性に優れたアクリル系樹脂板および照明カバー器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光拡散性,光透過性,耐光性及び板表面の風合いに優れたアクリル系樹脂板および該樹脂板から成形された照明カバー器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から照明カバー、照明看板、ディスプレイ、透過型スクリーンなどの光拡散性を要求される用途において光拡散材料を分散させたアクリル系樹脂組成物の成形板が使用されている。これらの成形板に要求される性能としては光透過性が高く且つ、透過した光が高度に拡散され着色されていない事である。
これらの要求に答える為、これまでにアクリル系樹脂に各種の無機系の光拡散剤を添加した組成物,有機系の光拡散剤を添加した組成物,無機系光拡散剤と有機系光拡散剤を併用して添加した組成物等,多くの提案がなされてきた。これらの中で有機系光拡散剤では特にポリスチレン系の架橋粒子を光拡散剤として用いた組成物が光拡散性に優れている事が提示されている。しかしながら、このものは光拡散性には優れているものの、耐光性が劣る事により、例えば照明器具カバー等のように光が強く照射される用途においては成形体が使用中に黄変する等の欠点を有する。又、無機系光拡散剤では光拡散性が十分となる使用量では光透過性が大幅に低下する欠点がある。このように、光拡散性と共に光透過性、耐光性を満足させるアクリル系樹脂板はこれまで提示されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は優れた光拡散性と共に光透過性、耐光性及び板表面の風合いに優れた特に照明用途に適したアクリル系樹脂組成物からなる樹脂板を提供する事を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは優れた光拡散性と共に光透過性、耐光性に優れた樹脂板を得る為に鋭意研究を重ねた結果、メタクリル系樹脂に特定の平均粒子径を有するポリスチレン系の球状架橋粒子を特定量と、特定の平均粒子径を有する有機系球状架橋粒子と特定の平均粒子径を有する無機系光拡散剤とを各々特定量添加した樹脂組成物から得られる樹脂板が満足すべき性能を有する事を見い出し本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は(A)メタクリル系樹脂100重量部、(B)平均粒子径が1〜5μm未満である球状のポリスチレン系架橋粒子0.1〜0.9重量部、(C)平均粒子径が1〜20μmである有機系球状架橋粒子から選ばれた少なくとも1種0.1〜10重量部及び(D)平均粒子径が1μm未満、又は8μm以上である無機系光拡散剤から選ばれた少なくとも1種0.1〜10重量部からなる樹脂組成物から形成された光拡散性に優れたアクリル系樹脂板および該樹脂板から成形された照明カバー器具に関するものである。
以下、本発明を詳細に述べる。
【0006】
本発明でいうメタクリル系樹脂(A)および(E)は、例えばメタクリル酸メチル又はメタクリル酸エチル等のメタアクリル酸エステルを主成分とする重合体が挙げられ、これにはメタクリル酸メチル又はメタクリル酸エチル等の単独重合体やメタクリル酸メチル又はメタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステルとアクリル酸メチルやアクリル酸エチル又はアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル及びアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、無水マレイン酸、スチレン、αーメチルスチレン、メタクリル酸シクロヘキシル等の共重合可能な単量体のいずれか1種以上との共重合体等が挙げられる。これらの共重合体は1種或いは2種以上を併用して用いる事ができる。これらの共重合体はすでに知られている懸濁重合方法、乳化重合方法、溶液重合方法等で得られる。その重量平均分子量は5〜50万が好ましいが、これは重合時にアルキルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いて調整する事が望ましい。又、これらのメタクリル系樹脂に耐衝撃改質剤としてアクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム等のゴム成分を配合する事により耐衝撃性に優れた樹脂組成物又は成形体とする事が可能であり特に薄肉で強度の弱い成形体には有効である。
【0007】
本発明に用いられる球状ポリスチレン系架橋粒子(B)はその平均粒子径が1〜5μm未満であり、メタクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜0.9重量部用られる。0.1重量部未満では光拡散性が不十分であり、0.9重量部を超えると耐光性が悪くなり、例えば照明カバー等で光が強く照射される使用環境では黄変が発生する等の欠点が現れ好ましくない。又、その平均粒子径は1μm未満では光拡散性及び光拡散性が低下する。球状ポリスチレン系架橋粒子の具体例としてはスチレン単量体と多官能ビニル単量体との共重合体、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸メチル等の単官能ビニル単量体及び多官能ビニル単量体との共重合体等があげられ、これらは懸濁重合方法,乳化重合方法等の重合方法により球状粒子として得られる。
【0008】
有機系球状架橋粒子(C)および無機系光拡散剤(D)は、前述の球状ポリスチレン系架橋粒子は耐光性に問題のおきない量が用いられるが、それでは光拡散性がまだ不十分な為、これを補う為に用いられる。この時、ポリスチレン系球状架橋粒子(B)と有機系球状架橋粒子(C)との2種との併用では白色感に乏しく、得られるアクリル系樹脂板も風合うに欠け、例えば照明カバー等に用いた場合には意匠性に欠けるものとなり好ましくない。
【0009】
有機系球状架橋粒子(C)の平均粒子径は1〜20μmであり、メタクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜10重量部用いられる。平均粒子径が1μm未満では光透過性が低下し,20μmを超えると光拡散性が低下する為、好ましくない。好ましくは2〜10μmである。又、その使用量は0.1重量部未満では光拡散性が低下し、10重量部を超えると光透過性が低下する為、好ましくない。好ましくは0.1〜5重量部である。
【0010】
有機系球状架橋粒子としてはシロキサン系架橋粒子、アクリル系架橋粒子等が挙げられるがこれらの中ではシリコン系架橋粒子が好ましい。
無機系光拡散剤(D)は白色感を補う目的に用いられ、平均粒径は1μm未満であり、1μm以上では白色感を十分付与できず、好ましくない。また、有機系球状架橋剤(C)は高価であるため、その一部を無機光拡散剤(D)に置き換えることが可能である。その場合には、平均粒子径が8μm以上が用いられる。8μm未満では樹脂板の光透過率の低下が大であり、本発明の範囲外である。無機光拡散剤(D)の具体例としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク等が挙げられ、1または2種以上が用いられる。
【0011】
本発明によって得られる全光線透過率が50%以上で且つ、光拡散率が80%以上を示し、更に白色感が有り、光学特性及び意匠性に優れたアクリル系樹脂板はこれまで提示されたことがなく、驚くべき性能を有する全く、新規のものである。
次に本発明の樹脂板の表面には白さや艶消し等の風合いを調節して意匠性を高める為、光透過性及び光拡散性を大きく低下させない範囲で異なる樹脂組成物を片面或いは両面に積層する事ができる。
【0012】
積層に用いる異なる樹脂組成物としてはメタクリル系樹脂(E)100重量部に対して平均粒子径が1〜100μmである有機系球状架橋粒子(G)から選ばれた少なくとも1種および平均粒子径が1〜100μmである無機系光拡散剤(F)から選ばれた少なくとも1種との合計が8〜50重量部であり且つ、(G)/(F)の重量比が0.2以上の条件で添加された樹脂組成物が好ましい。この時、積層部の厚みは10〜500μmが好ましく、10μmより薄い場合は樹脂板表面の白さや艶消し等の風合いを調節する事が困難であり、500μmを超えると積層体の光透過性を低下させる為、好ましくない。好ましくは10〜200μmである。この時用いられる有機系球状架橋粒子(G)及び無機系光拡散剤(F)の粒子径は、1μm未満では樹脂板表面の艶消し効果はなく、100μmを超えると樹脂板表面に白さを付与する事ができない。好ましくは2〜50μmである。、また、樹脂板表面に白さを強調する場合には平均粒径が20μm以下の比較的大粒径のものを、樹脂板表面を艶消しする場合には平均粒径が2μm以上の比較的小粒径のものを使用し、要求される樹脂板の風合いにより適正な平均粒径の粒子が選択できる。その使用量はメタクリル系樹脂(E)100重量部に対して8重量部未満では樹脂板表面への白さの付与及び艶消し効果が十分でなく、50重量部を超えると光透過性が低下する為好ましくない。好ましくは8〜30重量部である。又、有機系球状架橋粒子(G)と無機系光拡散剤(F)の重量比(G)/(F)は0.2以上で用いられる。無機系光拡散剤の添加量が多くなると樹脂板の艶消しのきめが荒くなり風合いに欠ける。好ましくは0.5以上である。用いられる有機系球状架橋粒子(G)の具体例としてはポリスチレン系架橋粒子、シロキサン系架橋粒子、アクリル系架橋粒子等が挙げられ、無機系光拡散剤としては炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク等が挙げられこれらから1種又は2種以上を併用して用いられる。 又、アクリル系樹脂板中に帯電防止剤を添加する事によりに帯電防止性を付与する事ができる。帯電防止剤の種類としてはポリエーテルエステルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルエステル、ポリエーテルイミドアミド等のエラストマー及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の電解質助剤を要求性能に合わせて任意に添加できる。これらの帯電防止剤はアクリル系樹脂板全体には添加せず樹脂板の表層のみに添加する事により低コストで製造できる。
【0013】
次に本発明の樹脂板を形成する樹脂組成物には目的に応じて酸化防止剤、光安定剤或いは紫外線吸収剤等を添加する事ができる。
具体例としては酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤ではステアリルーβー(3,5ージーtーブチルー4ヒドロキシフェニル)プロピオネート,1,3,5トリメチルー2,4,6ートリス(3,5ージーtーブチルー4ーヒドロキシベンジル)ベンゼン,テトラキスー〔メチレンー3ー(3’,5’ージーtーブチルー4’ーヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン,2,2’メチレンビス(4ーエチルー6ーtーブチルフェノール)等が,フォスファイト系酸化防止剤ではトリステアリルホスファイト,トリス(2,4ージーtーブチルフェニル)ホスファイト,サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6ージ−tーブチルーメチルフェニル)ホスファイト,サイリックネオペンチルテトライルビス(オクタデシルホスファイト)等が,ヒンダートアミン系光安定剤では ビス(2,2,6,6,−テトラメチルー4ーピペリジル)セバケート等が挙げられ、紫外線吸収剤の具体例としてはベンゾフェノン系紫外線吸収剤では2,4ージヒドロキシベンゾフェノン,2ーヒドロキシー4ーオクトキシベンゾフェノン,ビス(2ーメトキシー4ーヒドロキシー5ーベンゾイルフェニル)メタン等が,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤では2ー(2’−ヒドロキシー3’,5’ージ・tーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール,2ー(2’−ヒドロキシー5’ーメチルフェニル)ベンゾトリアゾール,2,2ーメチレンビス〔4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)ー6ー(2Hーベンゾトリアゾールー2ーイル)フェノール〕等が,サリチル酸系紫外線吸収剤でははフェニルサリシレート,pーtーブチルフェニルサリシレート,pーオクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。これらはメタクリル系樹脂100重量部に対して0.005〜1重量部の範囲で用いられる。
【0014】
又、本発明のアクリル系樹脂板は各種用途で使用する事が可能であるがその光拡散性、光透過性、耐光性、板表面の風合いが良好な事から特に照明器具カバーに適しているが限定されるものではない。
本発明の樹脂板の製造方法は特に限定ず公知の成形方法で成形することが可能である。例えばポリシングロールを有する押出機によるシート或いはフィルムの押出成形方法、賦型金型を有する射出成形機による射出成形方法、賦型金型を有するプレス成形機によるプレス成形方法、賦型金型を有する真空成形機による真空成形方法等いずれも可能であるが、このなかではポリシングロールを有する押出機によるシート押出成形方法が大型成形品を低コストで得るには好ましい。又、積層板を得る際には通常のラミネート方法や共押出成形方法等を用いる事ができるがこれらの中ではフィードブロック形式のシートダイス、マルチマニホールド形式のシートダイスを用いた押出成形方法が製造コスト面で有利である。押出成形方法で行う場合には樹脂温度は180〜280℃の範囲で実施することが好ましい。
【0015】
次に本発明の樹脂板は、通常のアクリル樹脂板の成形に用いられる圧空成形、真空成形フリー加熱成形等の一般的な成形方法で加工することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に実施例と比較例を用いて本発明の形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら制限されるものではない。なお、用いた評価および試験方法を以下に示す。
【0017】
【0018】
【0019】
【実施例1】
旭化成工業製アクリル樹脂「デルペットLP−1」100重量部、積水化成品工業製ポリスチレン架橋ビーズ「テクポリマーSBX−4:平均粒子径4.5μm(B)」0.8重量部、東芝シリコン社製シロキサン系架橋粒子「トスパール2000B:平均粒径6μm(C)」を1.5重量部、無機系光拡散剤として「炭酸カルシウム:平均粒径0.7μm」1.5重量部をドラムブレンダーで混合し、30mm二軸押出機を用いて樹脂温度約250℃で混練、造粒し樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物を65mmφ、L/D=32のシートダイスを有する押出機及び3本のポリシングロールからなるシート成形設備を用いて、厚みが2mmで幅が30cmであるアクリル系樹脂板を作成した。この時、押出機とダイの温度は250〜260℃で行った。得られた樹脂板から試験片を切り出し、全光線透過率、光拡散率、耐光性、及び色合いを評価した。結果を表1に示す。樹脂板の全光線透過率、光拡散率は高い値であり、耐光性、色合いにも優れたものであった。
【0020】
【実施例2】
実施例1で、(C)の架橋粒子を「トスパール120:平均粒径2μm」に変更した以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板の全光線透過率、光拡散率は高い値であり、耐光性、色合いにも優れたものであった。
【0021】
【実施例3】
実施例1で、(C)の架橋粒子を「トスパール3120:平均粒径12μm」に変更した以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板の全光線透過率、光拡散率は高い値であり、耐光性、色合いにも優れたものであった。
【0022】
【実施例4】
実施例1で、ポリスチレン架橋ビーズ「テクポリマーSBX−4:平均粒子径4.5μm(B)」の添加量を0.3重量部、シロキサン系架橋粒子「トスパール2000B:平均粒径6μm(C)」の添加量を2.0重量部に変更した他は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板の全光線透過率、光拡散率は高い値であり、耐光性、色合いにも優れたものであった。
【0023】
【実施例5】
実施例1で、ポリスチレン架橋ビーズ「テクポリマーSBX−4:平均粒子径4.5μm(B)」の添加量を0.3重量部、無機系光拡散剤「炭酸カルシウム:平均粒径0.7μm」の添加量を2.0重量部に変更した他は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板の全光線透過率、光拡散率は高い値であり、耐光性、色合いにも優れたものであった。
【0024】
【比較例1】
実施例1で、光拡散剤としてポリスチレン架橋ビーズ「テクポリマーSBX−4:平均粒子径4.5μm」を単独で3.8重量部添加した他は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板は全光線透過率、光拡散率は高い値を示すが耐光性が悪く実用性のないものであった。
【0025】
【比較例2】
実施例1で、光拡散剤としてシロキサン系架橋粒子「トスパール2000B:4:平均粒子径6μm」を単独で3.8重量部添加した他は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板は全光線透過率、光拡散率、耐光性は良いものの白色感に乏しい外観を示し実用性のないものであった。
【0026】
【比較例3】
実施例1で、光拡散剤として無機系光拡散剤の「炭酸カルシウム:平均粒径0.7μm」を単独で3.8重量部添加した他は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板は全光線透過率、光拡散率が小さく実用性のないものであった。
【0027】
【比較例4】
実施例1で、無機系光拡散剤の炭酸カルシウムを平均粒径5μmのものに変更した他は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板は全光線透過率、光拡散率は高い値を示すものの白色感に乏しい外観を示し実用性のないものであった。
【0028】
【比較例5】
実施例1で、光拡散剤としてシロキサン系架橋粒子「トスパール2000B:平均粒径6μm(C)」を1.9重量部と、無機系光拡散剤として「炭酸カルシウム:平均粒径0.7μm」1.9重量部用いた他は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板は全光線透過率、光拡散率、共に小さく且つ、白色感に乏しい外観を示し実用性の無いものであった。
【0029】
【実施例6】
実施例1で、トスパール2000Bを1.0重量部に減少し、無機系光拡散剤として平均粒子径が10μmであるタルクを1.0重量部を添加した他は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板は全光線透過率、光拡散率は高い値を示し、耐光性、色合いにも優れたものであった。
【0030】
【実施例7】
実施例1で用いた樹脂組成物を中央層とし、その両面に旭化成工業製アクリル樹脂「デルペットLP−1」100重量部、無機系光拡散剤として粒径15μmであるタルク10重量部、東芝シリコン社製シロキサン系架橋粒子「トスパール120:平均粒径2μm」10重量部からなる樹脂組成物の層を積層した樹脂板を製造した。積層した樹脂層の厚みは両面とも30μmであり、樹脂板全体の厚みは2mmに調整した。この時の樹脂板の製造方法は、積層用の樹脂組成物の押出しには30mmφ、L/D=24の押出機を用い、また、中央層の押出には90mmφ、L/D=32の押出機を用いて行った。ダイは2種3層のフィードブロック式を用い、リップ開度及びポリシングロールのクリアランスで樹脂板の厚みを調整した。押し出し機とダイの温度は250〜260℃で行った。得られた樹脂板から試験片を切り出し実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。樹脂板の全光線透過率、光拡散率は高い値であり、耐光性、色合いにも優れたものであった。
【0031】
【実施例8】
実施例6で積層に用いた樹脂組成物を、旭化成工業製アクリル樹脂「デルペットLP−1」100重量部、無機系光拡散剤として粒径15μmであるタルク5重量部、東芝シリコン社製シロキサン系架橋粒子「トスパール120:平均粒径2μm」15重量部からなる樹脂組成物に変えた他は実施例6と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板の全光線透過率、光拡散率は高い値であり、耐光性、色合いにも優れたものであった。
【0032】
【比較6】
実施例6で積層に用いた樹脂組成物の積層厚みを5μmとした他は、実施例6と同様に実施した。積層厚みが薄い事により樹脂板の外観は表面荒れの状態であり実用性の無いものであった。
【0033】
【比較例7】
実施例6で積層に用いた樹脂組成物を、旭化成工業製アクリル樹脂「デルペットLP−1」100重量部、無機系光拡散剤として粒径15μmであるタルク30重量部、東芝シリコン社製シロキサン系架橋粒子「トスパール120:平均粒径2μm」30重量部からなる樹脂組成物に変えた他は実施例6と同様に実施した。結果を表1に示す。得られた樹脂板の外観はは積層に用いた樹脂組成物中の有機系粒子及び無機系光拡散剤の濃度が大きい事により表面荒れの状態であり実用性の無いものであった。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明のアクリル系樹脂板は、従来の光拡散性樹脂板に比較して極めて優れた光拡散性と共に光透過性、耐光性及び板表面の風合いにも優れている為、特に照明カバー等の照明用途において極めて有用である。
Claims (6)
- (A)メタクリル系樹脂100重量部、(B)平均粒子径が1〜5μm未満である球状のポリスチレン系架橋粒子0.1〜0.9重量部、(C)平均粒子径が1〜20μmである有機系球状架橋粒子から選ばれた少なくとも1種0.1〜10重量部及び(D)平均粒子径が1μm未満、又は8μm以上である無機系光拡散剤から選ばれた少なくとも1種0.1〜10重量部からなる樹脂組成物から形成された光拡散性に優れたアクリル系樹脂板。
- (E)メタクリル系樹脂100重量部、(F)平均粒子径が1〜100μmである無機系光拡散剤から選ばれた少なくとも1種および(G)平均粒子径が1〜100μmである有機系球状架橋粒子から選ばれた少なくとも1種からなり、(F)と(G)の合計量が8〜50重量部、且つ(G)/(F)の重量比が0.2以上である樹脂組成物からなる層を請求項1のアクリル系樹脂板の片面或いは両面に10〜500μmの厚みで積層させた光拡散性に優れたアクリル系樹脂板。
- (C)および(G)の有機系球状架橋粒子が、シロキサン系真球状架橋粒子である請求項1及び2項記載の光拡散性に優れたアクリル系樹脂板。
- (D)および(F)の無機系光拡散剤が炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルクから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3項記載の光拡散性に優れたアクリル系樹脂板。
- 全光線透過率が50%以上であり、且つ、光拡散率が80%以上である請求項1〜4項記載の光拡散性に優れたアクリル系樹脂板。
- 請求項1〜5項記載の光拡散性に優れたアクリル系樹脂板より成形された照明カバー器具
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