JP3866337B2 - 新規なリピドa及びlps並びにこれを産生する光合成細菌 - Google Patents

新規なリピドa及びlps並びにこれを産生する光合成細菌 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なリピドA及びリポ多糖(以下LPSという)並びにこれを産生する光合成細菌に関する。本発明のリピドA及びLPSは、CSF(colony stimulation factor) の誘導作用活性を有し、かつ毒性が低いので健康食品、食品添加物として、さらには医薬として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
腸内細菌等グラム陰性菌の細胞壁表面には、LPSが存在する。LPSは脂質(リピドA)と多糖の複合体であり、菌体内毒素の主成分であることが知られている。菌体内毒素の生物活性については、リピドAがその活性中心部分であることも知られているが、リピドAの組成、構造及び生物活性は、菌種によって多少異なる。
【0003】
代表的腸内細菌である大腸菌(E.coli)のリピドAは、以下の化1に示す構造を有することが知られている。
【0004】
【化1】
Figure 0003866337
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記大腸菌のリピドAは、血液幹細胞の増殖分化因子であるCSFの誘導作用活性を有することが知られているが、毒性が高いため食用に供することができない。
【0006】
本発明は、CSF活性などの生体の免疫賦活的活性が高く、しかも毒性の低いリピドAを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究の結果、ある種の光合成細菌の細胞壁表面にあるLPSから抽出されるリピドAが、大腸菌由来のリピドAと比較してCSF活性はやや劣るが、毒性が極めて低いことを見いだした。
【0008】
すなわち、本発明は、糖鎖と、該糖鎖とエステル結合した型の脂肪酸及びアミド結合した型の脂肪酸との複合体であるリピドAにおいて、該糖がグルコサミン、マンノース又は名称不明の糖からなることと;該エステル結合した型の脂肪酸が炭素原子数12の直鎖飽和脂肪酸であることと;該アミド結合した型の脂肪酸が炭素原子数14の直鎖脂肪酸であって、該直鎖の末端の炭素原子と末端から2番目の炭素原子との間の結合が二重結合である直鎖不飽和脂肪酸、及び炭素原子数14の直鎖脂肪酸であって、該直鎖の末端から3番目の炭素原子に結合する水素原子1つが水酸基により置換された直鎖飽和脂肪酸であることと;該リピドAがリンを包含しないことと;質量が1928.9であることとを特徴とするリピドAを提供する。
【0009】
本発明は、前記リピドAを包含するLPSをも提供する。
【0010】
さらに、本発明は、受託番号FERM P−15871で寄託されたランプロバクター(Lamprobacter)属の光合成細菌を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のリピドAについて詳細に説明する。
【0012】
本発明のリピドAを構成する糖は、グルコサミン、マンノースおよび名称不明の糖である。グルコサミン:マンノース:名称不明の糖を合わせると構成糖は、3〜5個と考えられる。
【0013】
本発明のリピドAを構成する脂肪酸は、前記糖とエステル結合した型の脂肪酸が炭素原子数12の直鎖飽和脂肪酸(以下「12:0の脂肪酸」という)であり、また前記糖にアミド結合した型の脂肪酸が炭素原子数14の直鎖脂肪酸であって、該直鎖の末端の炭素原子と末端から2番目の炭素原子との間の結合が二重結合である直鎖不飽和脂肪酸(以下「14:1の脂肪酸」という)、及び炭素原子数14の直鎖脂肪酸であって、該直鎖の末端から3番目の炭素原子に結合する水素原子1つが水酸基により置換された直鎖飽和脂肪酸(以下「3−OH−14:0の脂肪酸」という)である。
【0014】
本発明のリピドAには、リンは包含されていない。
【0015】
本発明のリピドAは、高速原子衝撃法−重量分析法(以下「FAB−MS」という)により測定した質量が1928.9である。
【0016】
本発明のリピドAの構造は、それを構成する糖として、マンノース及び名称不明の糖を包含している点、さらにはリンを含んでいない点において大腸菌由来のリピドAと大きく異なる。
【0017】
本発明のリピドAは、後に詳細に説明するLamprobacter属の新規な光合成細菌(以下「TP−5」という)を出発物質として、それ自体は公知の、リピドAの抽出方法に準じて製造することができる。以下に、本発明のリピドAの製造方法の一例を示す。
【0018】
TP−5の脱脂乾燥菌体を、温フェノール法により抽出し、水層に粗LPSを得る。得られた粗LPSを、酵素処理に供し、精製LPSを得る。次いで、LPSを酸加水分解し、精製することによりリピドAが得られる。
【0019】
より詳しくは、本発明のリピドAは、通常、45%〜50%のフェノールを用い、通常、65℃〜70℃で、10分〜20分間抽出する。45%フェノールで抽出する場合には、例えば、90%フェノール水溶液と、同量のTP−5の水縣濁液とを混合して、フェノールの終濃度を45%として抽出することができる。
【0020】
粗LPSを含む水層は、水で透析することにより、フェノール、塩類のような低分子を除去することができる。
【0021】
粗LPSの酵素処理には、RNase−Aを用いることができる。
【0022】
酵素処理は、用いる酵素の種類により適宜設定することができるが、通常、pH5.0、温度37℃、で12〜16時間行なう。
【0023】
酵素処理した粗LPSは、通常105 ×g〜1.5×105 ×gの超遠心に3時間〜4時間供すると、沈殿に精製LPSが得られる。
【0024】
この精製LPSは、通常、濃度0.1規定〜0.2規定の例えば酢酸、塩酸等の酸により、100℃〜120℃の温度で、2〜8時間加水分解する。これを遠心に供し、沈殿にリピドAが得られる。このリピドAは、クロロホルム:メタノール(4:1、体積比)に溶解し、例えば、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いることにより精製することができる。
【0025】
本発明のリピドAのCSF誘導作用活性は、大腸菌リピドAのそれと同等又はそれよりも若干弱い。しかしながら、本発明のリピドAは、大腸菌由来のリピドAに比べて極めて低い毒性を有するという利点を有する。
【0026】
本発明は、上記方法により製造されたTP−5由来の新規なLPSをも提供するものである。
【0027】
以下、本発明のLPSを詳細に説明する。
【0028】
本発明のLPSは、少糖の繰返し単位であるO抗原性多糖にRコアオリゴ糖がつき、それがさらにKDO(3-keto-3-deoxyoctonate)を介して本発明のリピドAに結合する複合体であるいわゆるI型のLPSである。
【0029】
本発明は、上述した本発明のリピドAの製造方法における出発物質であるTP−5も提供するものである。
【0030】
以下、本発明のTP−5について詳細に説明する。
【0031】
TP−5は、通産省工業技術院 生命工学工業技術研究所に平成8年9月19日から受託番号FERM P−15871として寄託された。
【0032】
TP−5は、Chromatiaceae 科(紅色硫黄細菌:Purple sulfur bacteria) 、Lamprobacter属に属し、以下に記載する形態、生化学的性状のうち、特にビタミンB12要求性がないこと、NaCl要求性がないことが、公知の種(Lamprobacter modestohalophilus 種)と異なるため、新規な種と判定した。なお、Lamprobacterは、1種しか報告されていない。(Gorlenko, V.M., E.N. Krasil'nilova, O.G. Kikina and N.Y. Tatarinova, 1988. In Validation of the publication of new names and new combinations previously effectively published outside the IJSB, Int. J. Syst. Bacteriol. 38:220-222)
(a)形態
(1)卵型状、短桿状
(2)グラム染色性:−
(3)莢膜(slime) :−
(4)細胞内硫黄粒:+
(5)ガス胞:+
(b)生育状態
(1)菌体懸濁液:紅色
(c)生理的性質
(1)微好気ないしは嫌気状態で成長する
(2)細胞中に硫黄粒の生成
(3)成長最適温度:30℃付近
(4)NaCl要求性:−
(d)炭素源の利用性
(1)グルコース:−
(2)シュクロース:−
(3)マンノース:−
(4)フラクトース:+
(5)ラクトース:−
(6)マンニット:−
(7)ソルビトール:−
(8)スターチ:−
(9)フォルメイト:−
(10)アセテート:+
(11)パイルベート:+
(12)プロピオネート:+
(13)マレート:+
(14)サクシネート:+
(15)グリセロール:+
(16)メタノール:−
(17)エタノール:−
(e)その他
(1)ビタミンB12要求性:−
(2)培養液(生細胞)の吸収スペクトル:800、855nm付近に吸収極大を有する。図1に吸収スペクトルを示す。
【0033】
本発明のTP−5は、以下に記載する方法により製造することができる。
【0034】
長崎県大村湾河口から採取した泥を0.8%(重量)寒天を加えた実施例1の培養液で培養し、生えてきた菌のコロニーをさらにビタミンB12を除いた培養液で培養し、色調、硫黄粒、ガス胞、莢膜及び形態で選択する。
【0035】
本発明のTP−5には、大腸菌とほぼ同量のLPSが含有されることが分かった。したがって、本発明のTP−5は、本発明のリピドA及びLPSの製造に有用に用いることができる。
【0036】
以上説明したように、本発明のリピドA、LPS及びTP−5は、CSF誘導作用活性が高く、しかも毒性がきわめて低い。したがって、本発明のリピドA、LPS及びTP−5は、健康食品、食品添加物として、さらには医薬として使用することができる。
【0037】
本発明のリピドAを医薬として用いる場合、水溶液中にエマルジョン化した状態で、あるいはカプセル中に封入、又は経口剤に添加した状態で、経口薬として、用量として0.1μg〜1gの範囲で、好ましくは10μg〜100mgの範囲で用いることができる。注射薬としては用量として0.1μg〜100mg、好ましくは1μg〜10mgの範囲で用いることができる。また皮膚からの吸収を考慮した湿布薬として、用量としては1μg〜1gの範囲で用いることができる。
【0038】
本発明のLPSを健康食品、特定保健用食品あるいは食品添加物として用いる場合、クロレラや他の食物に添加した状態、あるいは水溶液中に添加した状態で、用量として0.1mg〜100g、好ましくは1mg〜10gの範囲で用いることができる。
【0039】
LPSを医薬として用いる場合、経口剤に添加した状態で、あるいは水溶液中に添加した状態で、用量として0.1mg〜100g、好ましくは1mg〜10gの範囲で用いることができる。注射薬としては用量として1μg〜10g、好ましくは10μg〜100mgの範囲で用いることができる。また皮膚からの吸収を考慮した湿布薬として、用量としては10μg〜100gの範囲で用いることができる。
【0040】
本発明のTP−5を健康食品、特定保健用食品あるいは食品添加物として用いる場合、クロレラや他の食品に添加した状態、あるいはTP−5の熱水抽出物(菌体を100℃の熱水で20分間加熱した後に得られる抽出物(以下、「熱水抽出物」という))を含む水溶液の状態で、用量として10mg〜100g、好ましくは100mg〜10gの範囲で用いることができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
実施例1
(1)TP−5の培養
菌体の培養には以下に記載する化合物を1リットルの蒸留水に溶解した培養液(以下「培養液1」という)、以下に記載する培養液2及び培養液3を用いた。
【0043】
培養液1で用いた化合物
CH3 COONa 0.5g
KH2 PO4 1.0g
NH4 Cl 1.0g
CaCl2 ・2H2 O 0.2g
EDTA- 2Na 2 mg
FeSO4 ・7H2 O 2 mg
3 BO3 100 μg
CoCl2 ・6H2 O 100 μg
ZnCl2 100 μg
MnCl2 ・4H2 O 100 μg
Na2 MoO4 ・2H2 O 20 μg
NiCl2 ・6H2 O 20 μg
CuCl2 ・2H2 O 10 μg
Na2 SeO3 1 μg
チアミン−HCl 500 μg
ナイアシン 500 μg
p−アミノ安息香酸 300 μg
ビタミンB12 50 μg
ピリドキシン−HCl 100 μg
ビオチン 50 μg
培養液2:Na2 S・9H2 O 0.25g/10ml
培養液3:4%のNaCO3 25ml
上記培養液1及び培養液2を、121℃、15分間オートクレーブで別々に滅菌した。培養液3は、ろ過滅菌した。
【0044】
継代培養
培養液1及び培養液2を冷却後、培養液3を加えすばやく撹拌し、スクリューキャップ付試験管(全容量20ミリリットル)にほぼ満たすまで入れてから試験管のキャップを閉めた。得られた培地入試験管は、よく振った後、一昼夜冷暗所に放置し、培地内を完全に嫌気的にした。この状態で1カ月程度の保存ができる。1昼夜以上放置した培地に菌を含む溶液を培養液20ミリリットルに対して1〜2滴加えて培養を開始した。通常、室内(できれば暗所)に数時間から1昼夜放置し、その後光照射下(弱光)に移して光合成培養を開始した。5〜7日間培養を続け、継代を繰返す。
【0045】
TP−5の生産培地としては、培養液1のCH3 COONaを2.0g/リットルに増加した上記の培地を5リットル用して培養し、培養期間5〜7日間で、1.5〜2.0g(乾燥重量)のTP−5を得た。
【0046】
(2)LPSの調製
上記(1)で得られた脱脂菌体20gに45%フェノールを750ミリリットル添加し、68℃で15分間抽出した。水層を水で透析した後、凍結乾燥し、1.6gの粗LPSが得られた。粗LPSをpH5.0、37℃で12時間RNase−A(WORTHINGTON BIOCHEMICAL CORPORATION 製)処理し、超遠心(105 ×g、3時間、2回)し、得られた沈殿を凍結乾燥し、0.2gの精製LPSが得られた。
【0047】
(3)リピドAの調製
上記(2)で得られた乾燥LPS1.0gに0.2規定酢酸を100ミリリットル添加し、100℃で3時間加水分解した。沈殿(0.05g)を1〜2ミリリットルのクロロホルム:メタノール(4:1、体積比)溶液に溶解させた。これを薄層クロマトグラフィー(以下TLCという)に2回かけ精製した。得られたリピドAは、以下に示すリソ−リピドAの調製、並びにリピドAのリンの測定、糖分析、脂肪酸分析及び質量分析に供した。
【0048】
(4)リソ−リピドAの調製
上記(3)で得られたリピドA0.02gに0.2規定KOH−メタノール20ミリリットルを添加し、37℃で14時間加水分解した。沈殿(0.004g)をクロロホルム:メタノール(4:1、体積比)に溶解させる。これをTLCに2回かけ、リソ−リピドAを精製した。リソ−リピドAは、リピドAからエステル結合型脂肪酸を除いたものである。
【0049】
(5)リピドAのリンの測定
上記(3)で得られたリピドAをTLCで展開し、ディットマー−レスター(dittmer-Lester)試薬を噴霧してリンの有無を確認したが、リンは確認されなかった。
【0050】
同様にして、TLCで展開したリピドAをバートレット(Bartlett)法により非色定量したが、リンは検知されなかった。
【0051】
(6)リピドAの糖分析
上記(4)で得られたリソ−リピドAを2.0モル/リットルのトリフルオロ酢酸(TFA)を用いて120℃で2時間加水分解した。得られた糖画分を回収し、アルジトールアセテイト化し、ガスクロマトグラフィー(5890 SERIES II、HEWLETT-PACKARD 製)(以下「GC」という)、次いでGCで得られたピーク部分の重量分析(JEO L-SX 102、日本電子製)(以下「MS」という)により分析した。得られた結果を図2(GC)、図3〜5(MS)に示す。
【0052】
図2〜5の結果より、リピドAは、グルコース、マンノースおよびもう1種未知の糖から構成されることが明らかになった。
【0053】
7)リピドAの脂肪酸分析
a)エステル結合型脂肪酸の分析
上記(3)で得られたリピドAに0.2規定KOH−メタノールを添加し、37℃で14時間加水分解した後、脂肪酸分画を回収し、メチルエステル化し、GC、次いでGCにより得られたピーク部分のMSにより分析した。得られた結果を図6(GC)、図7(MS)に示す。
【0054】
図6〜7に示した結果から、エステル型脂肪酸は、12:0の脂肪酸であることがわかった。
【0055】
b)アミド結合型脂肪酸の分析
上記(4)で得られたリソ−リピドAに6.0規定HClを添加し、100℃で2時間加水分解した後、脂肪酸分画を回収し、メチルエステル化し、GC、次いでGCにより得られたピーク部分のMSにより分析した。得られた結果を図8(GC)、図9〜10(MS)に示す。
【0056】
図8〜10に示した結果から、アミド型脂肪酸は、3−OH−14:0の脂肪酸及び14:1の脂肪酸であることがわかった。
【0057】
c)全脂肪酸の分析
上記(3)のリピドAを6.0規定HClを用いて100℃で2時間加水分解した後、脂肪酸分画を回収し、メチルエステル化し、GC、次いでGCにより得られたピーク部分のMSにより分析した。得られた結果を図11(GC)、図12〜14(MS)に示す。
【0058】
図11〜14から明らかなように、3−OH−14:0、14:1および12:0の脂肪酸が確認された。
【0059】
(8)リピドAの質量分析
上記(3)のリピドAを高速原子衝撃法−重量分析法(以下「FAB−MS」という)(JEOL-SX 102 、日本電子製)によりその質量を分析した。得られた結果を図15に示す。
【0060】
図15の結果は、リピドAからHをはずしたリピドAマイナスイオンの質量であるので、リピドAの質量は、1928.9であることが分かった。
【0061】
実施例2
リピドAのCSF誘導作用活性
本発明のリピドAのCSF誘導作用活性は、次のようにして測定した。
【0062】
本発明のリピドAをリン酸緩衝溶液(以下PBSという)に溶解し、CDF1マウスの腹腔内に投与し、6時間後に血清を回収する。この血清(50マイクロリットル)をCDF1マウス骨髄細胞(5×104 個)と混和し、軟寒天(DIFCO 社製)中に蒔き込み、CO2 雰囲気下、37℃で5日間培養する。得られたコロニー数を測定した結果を、図7に示す。本発明のリピドAの代わりに大腸菌(O−111:B4)由来のリピドA(LIST BIOLOGICAL LABORATORIES. INC.製)を用いた以外は同じ条件で測定した結果も図16に示す。
【0063】
図16から、CSF誘導作用活性は、0.1μg/マウス及び1μg/マウスの投与では、大腸菌のリピドAのほうが高いが、10マイクログラム/マウスの投与では、TP−5のリピドAと大腸菌由来のリピドAとは有意差がないことが分かる。
【0064】
実施例3
本発明のLPSのドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル(以下「SDS・PAGE」という)電気泳動のパターンを図17に示す。
【0065】
図17から、本発明のLPSは、段階状に数千〜4、5万の分子量分布を示すものであることがわかる。
【0066】
実施例4
LPSの毒性試験及び血中クリアランス試験を次のようにして行った。
【0067】
CDF1マウス(5週齢、メス)に上記方法により製造したLPSおよび大腸菌(O−111:B4)由来LPS(LIST BIOLOGICAL LABORATORIES. INC.製)を投与し、致死毒性を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0003866337
【0069】
表1から明らかなように、TP−5由来LPSのLD50は、大腸菌由来LPSのLD50の約100倍であった。
【0070】
このように、TP−5由来LPSの毒性が、大腸菌(O−111:B4)由来LPSの毒性に比べて極めて低いのは、TP−5由来LPSが血中から速やかに除去されるためと見られる。以下に、TP−5由来LPSと大腸菌(O−111:B4)由来のLPSについてのそれぞれの血中クリアランス時間測定方法とその結果を示す。
【0071】
CDF1マウス(5週齢、メス)にTP−5由来LPSまたは大腸菌(O−111:B4)由来のLPSを0.1ミリグラム/マウス腹腔投与し、1、3、および6時間後に血中に放出されるLPSの量をリムルステストにより測定した。得られた結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
Figure 0003866337
【0073】
表2の結果から、大腸菌由来のLPSは、6時間の測定時間の範囲では血中にとどまるのに対し、TP−5のLPSは、速やかに血中から除去されることがわかる。
【0074】
LPSの毒性試験結果は、LPSの活性中心がリピドAであることから、リピドAの毒性試験結果に比例することは明らかである。
【0075】
実施例5
TP−5に含有されるLPS量の測定
以下の方法により、TP−5及びE.coliのLPS、並びに各々の菌体の熱水抽出物のLPSの含有量をリムルステストで測定した。
【0076】
得られた結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
Figure 0003866337
【0078】
表3の結果から、TP−5には、菌体として測定したときは、E.coliよりも多くのLPSを、熱水抽出物として測定したときは、E.coliよりもやや少ないLPSが含有されていることが分かる。なお、熱水抽出物として測定した時のほうが含有量が多いのは、熱水抽出により、LPSが菌体から遊離し、試薬と反応し易くなるとの理由によるものと思われる。
【0079】
実施例6
TP−5の抗腫瘍効果
BALB/cマウスにMeth−A繊維肉腫をマウス1匹当り5×106 細胞づつ右側脇腹に皮下移植した。移植の2日後より2日に1回づつ計2回各試料(TP−5、大腸菌は、死菌各1mg/マウス)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に縣濁して腫瘍内注射により投与した。腫瘍移植15日後に腫瘍のサイズを測定した。
【0080】
得られた結果を表4に示す。
【0081】
【表4】
Figure 0003866337
【0082】
表4から明らかなように、TP−5は、大腸菌に比べるとやや劣るが、高い抗腫瘍活性を有している。
【0083】
実施例7
TP−5の安全性を以下に示す動物実験により試験した。
【0084】
飼育条件
飼料は、オリエンタル酵母のCRF−1固形飼料をコントロールとして、同飼料にTP−5乾燥菌体をそれぞれ1、5、10%添加した飼料を作成した。
【0085】
実験動物としてはICRマウスを用い、オス、メス各群10匹、8群に分け5週零より12週間飼育した。飼料の摂取は、飼育開始より2週間は自由摂取とし、3週目より制限食とし、5g/マウス/日、更に6週目より試験終了時まで6g/マウス/日とした。また、水は自由摂取とした。
【0086】
実験期間中は体重の変動を調べた。また飼育終了時には、採血後、剖検を行い、臓器を採取して湿重量を測定した。採血した血液については、血液学的検査、血液生化学的検査を行うと共に、10%投与群については各種の臓器について病理学的検査もあわせて行なった。得られた結果を図18〜19及び表5〜7に示す。
【0087】
a)体重
オス、メスともにTP−5の添加量が多い飼料ほど食べ残しが多くなる傾向が観察さたが、飼育中の体重の変動についてはオス、メスとも各群に有意な差は認められなかった。
【0088】
b)臓器重量
【表5】
Figure 0003866337
【0089】
臓器重量については、造血臓器である脾臓が肥大した以外、悪影響を示す肥大という点ではオス、メスとも各群に有意な差は認められなかった。
【0090】
c)血液学的検査
【表6】
Figure 0003866337
【0091】
血液学的検査では、MCV(平均赤血球容積)やヘモグロビン量に一部有意差が見られる群があったが、これはマウスの個体差に基づくばらつきによるものと考えられた。
【0092】
d)血液生化学的検査
【表7】
Figure 0003866337
【0093】
血液生化学的検査についても一部に有意の差が認められたが、TP−5投与量に依存したものではなかった。
【0094】
e)各臓器の病理学的検査
唾液線、膀胱、子宮、精巣、卵巣、肝臓、腎臓、腸間膜リンパ節について検討した。唾液線、膀胱、子宮、精巣、卵巣、並びに阻害物質の影響を受け易い臓器である肝臓及び腎臓については、コントロール群との間に変化は認められなかった。免疫に係わる臓器である脾臓と腸間膜
総合的に判断すると、TP−5は、全身的な毒性は低い。
【0095】
【発明の効果】
本発明により、CSF活性などの生体の免疫賦活的活性が高く、しかも毒性の低いリピドAが提供される。
【0096】
また、本発明のTP−5により、新規なLPSおよびリピドAを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TP−5の培養液の吸収スペクトルの図
【図2】リピドAの糖のガスクロマトグラムの図
【図3】リピドAの糖の重量分析の図
【図4】リピドAの糖の重量分析の図
【図5】リピドAの糖の重量分析の図
【図6】リピドAのエステル型脂肪酸のガスクロマトグラムの図
【図7】リピドAのエステル型脂肪酸の重量分析の図
【図8】リピドAのアミド型脂肪酸のガスクロマトグラムの図
【図9】リピドAのアミド型脂肪酸の重量分析の図
【図10】リピドAのアミド型脂肪酸の重量分析の図
【図11】リピドAの全脂肪酸のガスクロマトグラムの図
【図12】リピドAの全脂肪酸の重量分析の図
【図13】リピドAの全脂肪酸の重量分析の図
【図14】リピドAの全脂肪酸の重量分析の図
【図15】リピドAの高速原子衝撃法−重量分析の図
【図16】リピドAのCSF活性を表すグラフ
【図17】LPSの電気泳動の写真
【図18】TP−5投与マウス(オス)の体重変化を表すグラフ
【図19】TP−5投与マウス(メス)の体重変化を表すグラフ

Claims (3)

  1. 糖鎖と、該糖鎖とエステル結合した型の脂肪酸及びアミド結合した型の脂肪酸との複合体であるリピドAにおいて、
    該糖がグルコサミン、マンノース又は名称不明の糖からなることと、
    該エステル結合した型の脂肪酸が炭素原子数12の直鎖飽和脂肪酸であることと、
    該アミド結合した型の脂肪酸が炭素原子数14の直鎖脂肪酸であって、該直鎖の末端の炭素原子と末端から2番目の炭素原子との間の結合が二重結合である直鎖不飽和脂肪酸、及び炭素原子数14の直鎖脂肪酸であって、該直鎖の末端から3番目の炭素原子に結合する水素原子1つが水酸基により置換された直鎖飽和脂肪酸であることと、
    該リピドAがリンを包含しないことと、
    質量が1928.9であることと
    を特徴とするリピドA。
  2. 請求項1に記載のリピドAを包含するポリ多糖。
  3. 受託番号FERM P−15871であるランプロバクター属の光合成細菌。
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