JP3865724B2 - 刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法に関するものである。
生食用(刺し身用)の魚介類、例えばマグロのようなミオグロビン蛋白色素を含む赤身魚肉は、非常に短時間のうちにミオグロビン蛋白色素が酸化(メト化)し、肉色が刺し身用には適さない褐色若しくは黒色に変化してしまう。これを防止する手段として従来、ラウンド状の魚肉を−60℃に凍結保存する方法が考案されて採用されているが、そのためには特殊な冷凍設備を要するとともに、常に魚肉を−60℃に保つために多大なコストとエネルギーが費やされることが大きな問題となっている。
この問題に対して、本発明者らは、生食用の赤身魚肉を一般的な冷凍設備(−18℃)で保存した場合でも魚肉の肉色が変化しない前処理方法を考案し、冷凍保存のためのコストを大幅に削減することを可能とした(特許文献1〜4)。
しかしながら、冷凍保存された生食用の赤身魚肉の品質(外観、風味、歯ざわり・舌ざわり)は、解凍後極端に低下してしまうため、冷凍保存された赤身魚肉を店舗へ納品する場合、冷凍状態のまま赤身魚肉を加工工場でロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉に加工した上、これを冷凍したまま鮮魚店あるいはスーパー等の店舗に納品する必要があった。
また、そのため、店舗で赤身魚肉の刺し身を販売する場合、冷凍状態で納品されたロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉を解凍した上で、スライス加工し、盛り付けして販売する必要があった。
特許第2711377号公報 特開平8−298925号公報 特開平8−294357号公報 特開平10−179016号公報
ところで、近年の流通形態の劇的な変化で目覚ましい発展を遂げているコンビニエンス・ストアはその流通機能として商品に一切の加工を施さず、納品即店舗販売の機能しか持たないことから、上述したように、店舗におけるロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉の解凍、スライス加工、及び盛り付けの必要のある刺し身は、顧客の要望がありながら販売が不可能であった。
本発明は、上述の問題を解決したもので、店舗における、ロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉の解凍、スライス加工、及び盛り付けを全く必要とせず、納品即店舗販売が可能な刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法を提供することを目的としている。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
生若しくは前処理が施された一種類若しくは複数種類の魚介類の刺し身1を容器2に盛り付け、これを内フィルム3によって真空包装し、これを凍結した後、外フィルム4によりガス充填包装を行うことを特徴とする刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法に係るものである。
また、包装する前に、刺し身1の少なくとも表面を凍結させておくことを特徴とする請求項1記載の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法に係るものである。
また、前記真空包装に用いる前記内フィルム3を低バリアー性とし、前記ガス充填包装に用いる前記外フィルム4を高バリアー性としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法に係るものである。
また、前記真空包装は、透明で弾力性を有する内フィルム3を用いた深絞り真空包装であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法に係るものである。
また、前記ガス充填包装は、透明な外フィルム4内に炭酸ガス,窒素ガス若しくは炭酸ガス及び窒素ガスの混合ガスを充填したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法に係るものである。
また、前記凍結は、−35℃以下のエアブラスト、液体窒素、若しくは液体炭酸ガスによりなされることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法に係るものである。
本発明は、工場出荷以降の一切の加工を必要とせず、冷凍状態のまま冷凍食品として店舗で販売したり、解凍状態として生の刺し身として店舗で販売したりできる刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法となる。
しかも本発明によれば、真空包装により内フィルムと刺し身とを密着させて水分の昇華による刺し身の劣化を防止できるとともに、内フィルム内の酸素を遮断して刺し身の脂質酸化、ミオグロビン色素のメト化、及び微生物による腐敗を防止できる刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法となる。
また、請求項に記載の発明によれば、刺し身を容器に美しく盛り付けした形状のままに包装することができる刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法となる。
また、請求項に記載の発明によれば、刺し身の脂質酸化、ミオグロビン色素のメト化、及び微生物による腐敗を確実に防止できる刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法となる。
また、請求項に記載の発明によれば、刺し身の内容や盛り付けの状態を一目瞭然とでき、刺し身と内フィルムの空隙を可及的に少なくして水分の昇華による刺し身の劣化を確実に防止でき、刺し身をより確実に酸素や微生物から遮断して刺し身の脂質酸化、ミオグロビン色素のメト化、及び微生物による腐敗をより確実に防止することができる刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法となる。
また、請求項に記載の発明によれば、刺し身の内容や盛り付けの状態を一目瞭然とでき、刺し身をより一層確実に酸素や微生物から遮断して刺し身の脂質酸化、ミオグロビン色素のメト化、及び微生物による腐敗をより一層確実に防止することができ、解凍後も、刺し身の保存性を一定期間保つことができる刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法となる。
また、請求項に記載の発明によれば、加工段階における刺し身の鮮度の低下を極めて少なくすることができ、刺し身の初期の鮮度を保持した刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法となる。
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するのが最良か)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
刺し身盛り付け冷凍食品の製造に際し、例えば、原産地の加工工場等で生若しくは前処理が施された一種類若しくは複数種類の魚介類の刺し身1を容器2に盛り付けし、これを包装して凍結すると、納品即店舗販売が可能な刺し身盛り付け冷凍食品となる。
従って、従来と異なり、冷凍状態のロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉を、店舗にて解凍、スライス加工、及び盛り付けして刺し身とせずとも、加工工場等で一連の加工作業および包装を行うことができるから、店舗では加工作業に必要なスペースを確保したり、加工作業に手間を掛ける必要がなくなり、しかも、一旦冷凍したロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉を解凍して刺し身とするのでなく、生若しくは前処理が施された魚介類を刺し身1としてこれを冷凍することにより、微生物の増殖を防止しながら、刺し身1を新鮮なままの状態で保存・運搬できることとなり、更に、容器2に盛り付けた刺し身1を包装することで、ゴミや微生物の混入を防止して保存・運搬できることとなり、納品即店舗販売が可能な刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法となる。
即ち、従来のように冷凍保存された生食用の魚肉、特に、赤身魚肉の品質(外観、風味、歯ざわり・舌ざわり)は、解凍後極端に低下してしまうため、冷凍保存された赤身魚肉を店舗へ納品する場合、冷凍状態のまま赤身魚肉を加工工場でロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉に加工した上、冷凍したまま鮮魚店あるいはスーパー等の店舗に納品する必要があり、そのため、店舗で赤身魚肉の刺し身を販売する場合、冷凍状態で納品されたロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉を解凍した上で、スライス加工し、盛り付けして販売する必要があった。とは言え納品即店舗販売の機能しか持たない例えばコンビニエンス・ストア等の店舗では上記のように店内における前記ロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉の解凍、スライス加工、及び盛り付けの必要のある刺し身は、その販売が制限される結果となっていた。
この点、本発明は、工場出荷時点で既に刺し身1が容器2に盛り付けされて包装され、尚且つ冷凍されているので、工場出荷以降の一切の加工を必要とせず、冷凍状態のまま冷凍食品として店舗で販売したり、解凍状態として生の刺し身1として店舗で販売したりできるようになる。
また、しかも生若しくは前処理が施された一種類若しくは複数種類の魚介類の刺し身1を容器2に盛り付け、これを内フィルム3によって真空包装し、これを凍結した後、外フィルム4によりガス充填包装を行う構成としたから、水分の昇華による刺し身1の劣化を防止できるとともに、刺し身1の脂質酸化、ミオグロビン色素のメト化、及び微生物による腐敗を防止できることになる。
即ち、仮に、容器2に盛り付けた刺し身1を単にフィルムで包装するような方法を採用した場合、刺し身1とフィルムの間に空隙が生じ、そのために刺し身1の水分が刺し身1とフィルムの間の空気中へ昇華したり、刺し身1がフィルムの内側に含まれる酸素と接触することとなり、刺し身1の水分の昇華により刺し身1の品質が低下したり、刺し身1と酸素が接触することにより刺し身1の脂質が酸化したり、ミオグロビン蛋白色素が酸化(メト化)して肉色が刺し身用には適さない褐色若しくは黒色に変化したり、刺し身1の表面に付着した微生物が増殖したりする場合が危惧されるが、この点、本発明は、刺し身1を容器2ごと内フィルム3で覆い、該内フィルム3の内側を真空にするため、刺し身1とフィルムの間に空隙が生じにくくなり、刺し身1と酸素の接触を遮断するため、刺し身1の水分の昇華、刺し身1の脂質酸化、ミオグロビン色素のメト化、及び微生物による腐敗を防止でき、しかも、内フィルム3で覆われた刺し身1と容器2とを外フィルム4で覆い、前記内フィルム3の外側であって該外フィルム4の内側にガスを充填するため、より一層酸素残量を制限することができ、刺し身1の脂質酸化、ミオグロビン色素のメト化、及び微生物による腐敗を防止できることになる。
また、例えば、包装する前に、刺し身1の少なくとも表面を凍結させておく構成とした場合、刺し身1を容器2に美しく盛り付けした形状のままに包装することができる。
即ち、仮に容器2に盛り付けした刺し身1の表面を凍結させずに包装する方法を採用した場合、包装の際のフィルムの押さえ付けに対し、刺し身1の盛り付けに乱れや崩れ等が生じる場合が危惧されるが、この点、本発明は、容器2に盛り付けした刺し身1の表面を凍結させることにより、包装若しくは真空包装の際のフィルムの押さえ付けに対し、盛り付けが乱れたり、崩れたりということがなく、さらに、真空包装の際の強い押さえ付けに際しても、刺し身1の角が潰れたりすることがなく、刺し身1を容器2に美しく盛り付けした形状のままに包装することができる。
また、例えば、前記内フィルム3を低バリアー性とし、且つ前記ガス充填包装に用いる前記外フィルム4を高バリアー性とした場合、外フィルム4を高バリアー性としたことにより内部の充填ガスが外部へ漏れずに保持され、且つ外部からの微生物やゴミの混入が防止され、更に、内フィルム3を低バリアー性としたことにより、外フィルム4の内部に充填したガスを内フィルム3を介して刺し身1と接触させることができることとなり、仮に、前記ガスを制菌ガスとした場合、該制菌ガスと刺し身1を接触させることで、刺し身1の微生物による腐敗を防止することができるため、内フィルム3の内部の刺し身1を確実に酸素や微生物から遮断して、刺し身1の脂質酸化、ミオグロビン色素のメト化、及び微生物による腐敗を確実に防止することができる。
また、例えば、前記真空包装は、透明で弾力性を有する内フィルム3を用いた深絞り真空包装を採用した場合、刺し身1の内容や盛り付けの状態を透明な内フィルム3により一目瞭然とでき、弾力性を有する内フィルム3により、前記内フィルム3と刺し身1とのなじみを良くすることができるので、真空包装時の内フィルム3と刺し身1との密着性を向上させて、内フィルム3と刺し身1との間の空隙の発生を可及的に防止でき、刺し身1をより確実に酸素や微生物から遮断して、水分の昇華による刺し身1の劣化、刺し身1の脂質酸化、ミオグロビン色素のメト化、及び微生物による腐敗をより確実に防止することができる。
また、例えば、前記ガス充填包装は、透明な外フィルム4内に炭酸ガス,窒素ガス若しくは炭酸ガス及び窒素ガスの混合ガスを充填する構成とした場合、刺し身1の内容や盛り付けの状態を透明な外フィルム4により一目瞭然とでき、炭酸ガスの制菌作用若しくは窒素ガスの脱酸素作用、又はこの両者の作用を有するガスと刺し身1が接触することとなるので、刺し身1の脂質酸化、ミオグロビン色素のメト化、及び微生物による腐敗をより一層確実に防止することができ、更には、万一、前記刺し身1が解凍後長時間経過するような場合であっても、炭酸ガス,窒素ガス若しくは炭酸ガス及び窒素ガスの混合ガスにより微生物の増殖を可及的に抑制することができるので、解凍後も、刺し身1の保存性が一定期間保たれることとなる。
また、例えば、前記凍結は、−35℃以下のエアブラスト、液体窒素、若しくは液体炭酸ガスにより行う構成とした場合、これら超低温のエアブラスト、液体窒素、若しくは液体炭酸ガスにより刺し身1の凍結が急速に行われるので、加工段階における刺し身1の鮮度の低下を極めて少なくすることができ、刺し身1の初期の鮮度を保持することができることとなる。
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
実施例1は、生魚を刺し身1とし、この刺し身1を容器2に盛り付け、前記容器2に盛り付けた刺し身1を生のまま若しくは表面を凍結し、これを内フィルム3により真空包装し、続いてこれを凍結し、外フィルム4によりガス充填包装した刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法である。
まず、刺し身1について説明する。
前記刺し身1は、生魚をロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉に加工したものを原材料としたものであり、これを生のまま若しくはスライスを容易にするために、表面を急速凍結し、機械加工及び手作業でスライスしたものである。
刺し身1の表面の急速凍結は、液体窒素若しくは液体炭酸ガスの噴霧、若しくは浸漬、あるいは−35℃以下のエアブラストにより適宜行っている。
次に容器2について説明する。
容器2は、前記刺し身1を載置させるためのもので、材質は例えば発砲スチロールやプラスチック等を採用し、刺し身1の盛り付けの状態により該容器2の容量や形状を適宜決定している。
次に内フィルム3について説明する。
内フィルム3は、刺し身1を容器2ごと包装するもので、後述する外フィルム4と併用する際に充填ガスが浸透しやすい低バリアー性で、刺し身1の内容や盛り付けの状態が一目で分かりやすいように透明で、柔軟性を有し、後述する真空包装の際、刺し身1の盛り付けにより生じる凹凸とのなじみが良く、刺し身1との密着性が良好になるように適度な弾力性を有し、刺し身1を容器2ごと覆った際、内フィルム3の接合部分を加熱軟化させて接着して刺し身1を容器2ごと密封でき、しかも開封も容易となるような材料により構成され、一般にスキンパックと呼ばれるフィルムを採用している。尚、この内フィルム3のみで包装する場合、ガス透過性が低い高バリアー性のフィルムを採用するのが望ましい。
次に外フィルム4について説明する。
外フィルム4は、刺し身1及び容器2並びにこれらを真空包装した内フィルム3を包装するもので、後述するガス充填包装の際、ガスが外部に漏出しないようにガス透過性が極めて低く、刺し身1の内容や盛り付けの状態が一目で分かりやすいように透明で、該外フィルム4の接合部分を加熱軟化させて接着し、刺し身1及び容器2並びにこれらを真空包装した内フィルム3ごと密封でき、しかも開封も容易となるような材料により構成された、一般にスキンパックと呼ばれるフィルムを採用している。尚、この外フィルム4は、透明なものに部分印刷を施しても良い。
尚、図中符号5はあしらいに添える野菜、海藻、花等の副食材(つま)、図中符号6はワサビやネギ等の薬味である。
次に、刺し身1の容器2への盛り付けついて説明する。
刺し身1を前記容器2に立体的に盛り付けを行う。盛り付けの際、例えば、副食材5を適宜使用することで、刺し身1をより立体的に盛り付けでき、見た目を良くすることができる。飾り材等を適宜使用しても良い。
尚、前記盛り付けした刺し身1の風味の向上や品質保持のため、グルタミン酸ナトリウム,コハク酸ナトリウム等の核酸系調味料、ビタミンC(L−アルコルビン酸),ビタミンE(抽出トコフェノール)等の酸化防止剤、クエン酸ナトリウム等の金属イオン封鎖材等を適宜噴霧しても良い。
前記金属イオン封鎖材の噴霧は、微生物による腐敗よりも先に、生前から魚肉中に散在する酵素により魚肉の変性が生じることに対応したもので、金属イオンは酵素反応を促進する触媒作用を有し、魚肉の変性を進める作用があるから、魚肉の変性を抑制し、長期保存性を達成するために金属イオン封鎖材を使用し、金属イオンの影響を少なくしている。
次に、刺し身1の表面の凍結について説明する。
刺し身1は、生のままで包装しても良いが、例えば、容器2に美しく盛り付けしたやわらかい刺し身1をフィルムで覆う際、フィルムと盛り付けた刺し身1が接触することで、盛り付けが押さえ付けられ、盛り付けに乱れや崩れが生じる場合があり、しかも真空包装を行う場合、この押さえ付けがもっと強くなり、盛り付けが一層乱れやたり、崩れたり、刺し身1の角が潰れたりするため、美しく盛り付けした刺し身1であっても包装後には見た目が非常に悪くなり、解凍後も盛り付けが崩れた刺し身1となってしまう。
そこで、これを防止するため、包装若しくは真空包装の際のフィルムの押さえ付けに対して盛り付けの乱れや崩れ、刺し身1の角の潰れが出ない程度に適宜、刺し身1及び副食材5の表面を凍結させることで、盛り付けが乱れやたり、崩れたり、刺し身1が潰れたりすることがなく、刺し身1を容器2に美しく盛り付けしたままに包装することができる。
具体的には、容器2に盛り付けた刺し身1の表面の凍結は、液体窒素若しくは液体炭酸ガスの噴霧、あるいは−35℃以下のエアブラストにより、刺し身1及び副食材5の表面が凍結して固化するまでの適宜な時間行っている。
次に、内フィルム3による真空包装について説明する。
真空包装は、深絞り型真空包装機を使用して行っている。
具体的には、フラットな連続した帯状の内フィルム3を用いて、それに容器状凹部を形成して、そこに包装しようとする容器2とこれに盛り付けした刺し身1を投入し、別に用意していた蓋用の内フィルム3で覆い、その後に真空チャンバー部へ導いて真空、シールを行う方式で真空包装を行っている。
尚、前記深絞り型真空包装機は、真空チャンバーの上部に板状のヒーターを埋め込み、フィルムを加熱し柔軟性を与える構造とし、真空チャンバーの下部に容器2と同様の金型を形成し、金型の中央部の複数の穴により排気する構造とした場合、刺し身1の上面を覆う蓋用の内フィルム3が、真空チャンバーの上部に設けた板状のヒーターにより加熱されて軟化するため、真空の際、刺し身1と蓋用の内フィルム3との密着性が良好となり、刺し身1の表面に蓋用の内フィルム3を密着させるための圧力がほとんどかからなくなり、また、ドリップの出るスペースも生じにくい真空包装の方法となる。
尚、容器2として発砲スチロール製のトレーを採用する場合、発砲スチロール板に含まれる酸素により、刺し身1の発砲スチロール板と接触した部分が茶色に変色することが危惧さるため、脱酸素剤を併用することが望ましい。本実施例は、脱酸素剤として冷凍用脱酸素剤を採用することにより、完全に長期間完全無酸素(酸素濃度0.01%以下)状態が維持可能で、不安定な魚肉の脂質酸化防止及びミオグロビン色素のメト化防止ができることを確認している。
次に、外フィルム4によるガス充填包装について説明する。
具体的には、ガス充填包装は、チューブに外フィルム4によりなる袋をいれ、その状態で軽く封をしてチューブを通じて中の空気を排気し、続いてガスを封入し、シールを行っており、これを連続自動タイプにした機械を採用してもよい。
前記ガスは、具体的には微生物の増殖を抑制するための炭酸ガス,酸化を防ぐための窒素ガス若しくはこれらの混合ガスを採用している。
尚、ガス充填包装により完全に空気を排出できない場合が考えられるため、上記と同様、脱酸素剤を併用することが望ましい。
本実施例は、前記低バリアー性の内フィルム3と前記高バリアー性の外フィルム4による二重包装を行っており、微生物の増殖を抑制するための炭酸ガス,酸化を防ぐための窒素ガス若しくはこれらの混合ガスが外フィルム4の外側へは漏れ出すことはないが、内フィルム3の内部には浸透することができるので、前記ガスと刺し身1が接触することにより、刺し身1の微生物による腐敗を防止でき、万一、前記刺し身1が解凍後長時間経過した場合でも、前記ガスにより微生物の繁殖を可及的に抑制して、刺し身1の保存性を高めることができる。
次に、刺し身1の凍結について説明する。
刺し身1の凍結は、解凍後の刺し身1にドリップを生じさせる要因となるATP(アデノシン三リン酸)が可及的に緩慢消失した時点、且つ味覚成分であるIn(イノシン酸)の生成量が最大となる直前を見計らって行う。
これにより、解凍後の刺し身1にドリップが生じて食味が低下することなく、風味も良好なものとなる。
具体的には、刺し身1の凍結は、液体窒素若しくは液体炭酸ガスの噴霧、若しくは浸漬、あるいは−35℃以下のエアブラストにより、容器2に盛り付けられて内フィルム3により真空パックされた刺し身1が完全に凍結するまでの適宜な時間行っている。
本発明の具体的な実施例2について説明する。
実施例2は、前処理として上述した特許文献1,2に開示の方法に準じ、超低温薫製処理を行い、−18℃で冷凍されたマグロの刺し身1を容器2に盛り付け、前記容器2に盛り付けた前記マグロの刺し身1を内フィルム3により真空包装し、続いてこれを凍結し、外フィルム4によりガス充填包装した刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法である。
まず、刺し身1について説明する。
刺し身1は、超低温条件下で薫製処理を行い、−18℃で冷凍されたマグロを原材料として使用している。
低温条件下で薫製処理を行ったマグロは、メト化が可及的に抑制され、燻煙成分により実質的に生の状態を保持しながら、防腐、殺菌、変色防止効果が付与され、比較的容易に得られる冷蔵または冷凍温度において品質を保持できると同時に、上記生の状態を保持する範囲内で、適度の味、においが付与されたものである。
前記刺し身1は、冷凍の赤身魚肉をロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉に加工したものを原材料として、機械加工及び手作業でスライスしたものである。
本実施例の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法は実施例1と同様であるが、本実施例は、刺し身1がすでに冷凍状態であるので、刺し身1の表面の凍結を行わずとも良い。
本発明の具体的な実施例3について説明する。
実施例3は、特許文献3,4に開示の方法により前処理を行ったぶり及びカンパチの刺し身を、容器に盛り付け、凍結及びパックした刺し身盛り付け冷凍食品である。
刺し身1は、上述した特許文献3,4に開示の方法に準じ、酸化防止や味覚改善などの目的に応じた成分を体内に注入し、品質の低下を可及的に防止したぶり及びカンパチを原材料として使用している。
その他の条件は実施例2と同様である。
以上に述べた、実施例1,2及び3によりなる刺し身盛り付け冷凍食品は、店舗において−18℃〜−3℃の冷凍状態、若しくは通常の冷蔵設備に陳列して自然に解凍した状態で販売されるが、消費者が購入後比較的短時間内に食することが前提である。
つまり、本実施例による刺し身盛り付け冷凍食品は、解凍直後から一定時間内を賞味時間とすることで、生鮮品の刺し身と同等の外観、風味、舌触り・歯触りで賞味することができるものである。
実施例1,2及び3は以上のようにしたから、現場でのロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉の解凍、スライス加工、及び盛り付けを全く必要とせず、納品即店舗販売が可能で、解凍直後から賞味期限内において、生鮮品の刺し身と同等の外観、風味、舌触り・歯触りを実現するものとなる。
また、魚介類のうち、マグロ、ぶり、カンパチ、真鯛、すぎ、ティラピア、にべ等の赤身魚については、上述した特許文献1〜4に開示の方法により前処理を行い、刺し身1とすると良く、一方、すずき、ひらめ、きす等の白身魚については、前記前処理を行わずに刺し身1として良い。
以上、本発明の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法は、従来の生鮮魚介類の流通形態を変えるものであり、例えば、店舗内にロイン魚肉若しくはスキンレスフィレー魚肉の解凍、スライス加工、及び盛り付けの設備が備わっていないコンビニエンス・ストア等においても刺し身盛り付け冷凍食品を提供でき、末端消費者に幅広い購買機会を提供することが可能となる。
尚、本発明は、実施例1,2及び3に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
本実施例の斜視図である。 本実施例の内フィルム3による真空包装時の断面である。 本実施例の断面である。
符号の説明
1 刺し身
2 容器
3 内フィルム
4 外フィルム

Claims (6)

  1. 生若しくは前処理が施された一種類若しくは複数種類の魚介類の刺し身を容器に盛り付け、これを内フィルムによって真空包装し、これを凍結した後、外フィルムによりガス充填包装を行うことを特徴とする刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法。
  2. 包装する前に、刺し身の少なくとも表面を凍結させておくことを特徴とする請求項1記載の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法。
  3. 前記真空包装に用いる前記内フィルムを低バリアー性とし、前記ガス充填包装に用いる前記外フィルムを高バリアー性としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法。
  4. 前記真空包装は、透明で弾力性を有する内フィルムを用いた深絞り真空包装であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法。
  5. 前記ガス充填包装は、透明な外フィルム内に炭酸ガス,窒素ガス若しくは炭酸ガス及び窒素ガスの混合ガスを充填したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法。
  6. 前記凍結は、−35℃以下のエアブラスト、液体窒素、若しくは液体炭酸ガスによりなされることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の刺し身盛り付け冷凍食品の製造方法。
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