JP3865202B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紙もしくはシート状のプラスチックフィルム等の連続した被記録体の片面もしくは両面の未定着トナー像を非接触で定着する印刷装置に関するものである
【0002】
【従来の技術】
プリンタ等の印刷装置に用いられる連続した被記録体への非接触定着装置としては、例えば、公知の技術でフラッシュ定着が知られている。前記フラッシュ定着装置はトナー像に短時間で放射エネルギーを与えて、トナー像を溶融し被記録体に定着させる方式であるが、多色画像の定着には吸収スペクトルに違いにより、不適であるという問題がある。
【0003】
また、オーブン方式の両面非接触定着装置としては特開平7−2750号公報に記載されており、被記録体に対向する少なくとも一対の加熱装置が各々蝶番式に結合された熱遮蔽筐体の形状を有し、印刷時と非印刷時のそれぞれ開放位置から閉止位置の間で移動自在とする機構を設け、被記録体の停止時には被記録体に対向する加熱面がそれぞれ、向き合うように移動する手段が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術において、記録紙停止時には蝶番式に結合された加熱板は記録紙に対する熱移動を防ぐため、加熱面がそれぞれ向き合うように移動する。これは加熱板の背面に記録しの搬送方向長さ分の大きなスペースが必要であり、装置が必要以上に大きくなるという不具合が発生する。これは印刷装置の印刷速度が高速なるほど、加熱板の搬送方向の長さが長くなる為、顕著になり、装置自体の印刷速度に制約を与える結果を招く。
【0005】
また、前述した装置自体が必要以上にスペースをとることにより、ユニット外への熱の放出を防ぐ断熱手段も必要以上に大きくなり、断熱効果を低下させると共に、加熱装置の熱効率を低下させるという不具合がある。また、高速化を図った場合、加熱板長の拡大により、加熱板の移動量が大きい為、加熱板に内装するヒータの給電線等の構成部品の移動量も大きくなる為、給電線に負荷を与えるという不具合が発生する。
【0006】
更には連続した被記録体上に転写された片面もしくは両面の未定着トナー像を非接触で定着するオーブン方式の定着装置においては、ヒータ等の熱源を有する加熱板は高温であるため、被記録体が停止の際は、早急に被記録体への熱移動を低減させることが必要であるため、加熱板の開閉機構が必須である。特に被記録体が紙である場合、被記録体の搬送手段や加熱板開閉手段等の駆動装置の故障や電力障害による給電停止が発生した場合、加熱板への電力が切れても、加熱板自体はすぐに温度が低下しないため、紙の発火や黄変の問題が発生する。また、通常の装置のアイドリング状態において、被記録体と加熱板の被記録体対向面は被記録体に対する熱移動を防ぐため、加熱板の平行移動により距離を大きく離す、又はエアの吹き込みにより空気層を介しての熱伝達を低減させる方法がある。しかし、上記は移動スペース確保による装置全体が必要以上に大きくなる問題があると共に、エアの加熱板への吹き付けは消費電力の無駄が発生する。
【0007】
本発明の目的は、非接触定着装置の小スペース化を図り、高速印刷への対応を可能とすると共に省電力化及び熱効率向上を達成し、更には信頼性を向上させた非接触定着装置備えた印刷装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は電力断等の異常時における被記録体への焼損防止を達成する非接触定着装置備えた印刷装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、トナー担持体に形成されたトナー像を、連続した被記録体に転写する画像記録手段と、前記被記録体に対し非接触で対向させた加熱板を有し、該加熱板からの熱により前記被記録体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを備えた印刷装置において、前記加熱板の加熱面を被記録体表面に対向する位置と対向しない位置とにおいて回動可能に設けるとともに、前記加熱板の回動動作に連動し、前記加熱板の加熱面が前記被記録体表面に対向しない位置において前記加熱面を遮蔽する熱遮蔽板を設けることにより達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1は本発明のオーブン定着装置を用いた電子写真方式の両面印刷装置の概略構成を示す。
【0012】
先ず、図1を用いて、本発明の実施形態を適用した両面印刷装置の全体構成について説明する。ロール状に巻かれた紙もしくはシート状のプラスチックフィルム等の連続した被記録体3は給紙装置1から搬送ローラ2に送られる。
【0013】
搬送ローラ2から送り出された被記録体3は被記録体3に張力を作用させる張力制御部4、被記録体3の幅方向の位置を規制する規制手段5、補助ローラ6を介した後、トナー画像部7a、7bに送られる。トナー画像8を形成するトナー画像部7a、7bは被記録体3の両面に画像を形成するよう配置している。トナー画像8を形成する被記録体3は金属製のドラム表面に感光体層を塗布したトナー担持体9を回動可能に設け、トナー担持体9の外周にトナー担持体9の表面を一様に帯電させる帯電器10、トナー担持体9上に静電潜像を形成する光学系11、静電潜像をトナーにより顕像化して、トナー像を形成するための現像機12、トナー像を被記録体3に転写する転写器13、トナー担持体9上の転写後の残留トナーを除去する清掃機14が設けられている。
【0014】
被記録体3はトナー画像記録7a、7bを通過し、両面にトナー画像8が形成され、トナー画像8が形成された被記録体3は被記録体3に対向配置されたヒータ16の熱源を内装する加熱板15の間を非接触で通過し、両面に永久画像が形成される。永久画像が形成された被記録体は排出ローラ32によって、図示しない後処理装置に送られ、印刷工程が完了する。
【0015】
なお、図1は被記録体の搬送方式にローラ方式を用いているが、搬送方式にトラクタ方式を用いた電子写真方式の印刷装置においても同様の効果が得られる。
【0016】
図1において、加熱板15は表面温度を250℃以上に制御され、加熱板15から被記録体3への熱移動は、熱板表面を被記録体3の吸収波長に合わせた放射率とすることによる輻射熱と加熱板15を被記録体3に近接させることによる空気層を介した熱伝達により行われる。加熱板ユニットの構成はヒータ16を内装したアルミ等の加熱板15と、被記録体対向面以外からの周囲への放熱を防ぐ断熱カバ17からなり、更には図示しない加熱板15への給電線や加熱板の温度をコントロールするセンサの信号線等の構成部品への熱負荷を低減するため、断熱カバ17内部に断熱材18が具備されている。
【0017】
加熱板15は図中Aを回転中心に回動可能に取付けられており、印刷停止時においては図中破線位置に移動する。また、加熱板15の開閉動作に連動する熱遮蔽板29が具備されており、加熱板同様、印刷停止時には破線位置に移動する。
【0018】
上記加熱板15は被記録体3に対向するように、少なくとも1対で構成され、装置の印刷速度や被記録体3の厚み等の条件により、搬送方向に複数個配列される。
【0019】
上述したように、加熱板15は被記録体3に対し、個々に回動中心を持った離接動作を行なうため、複数個配列された場合でも、定着装置背面のスペースは一定に保つことが可能となり、必要以上のスペースを確保する必要がなくなる。これは、印刷速度が高速化になるほど、効果は顕著になる。
【0020】
被記録体3は連続した紙又はシート状のプラスチックであるため、印刷開始及び印刷終了時においても、定着内部に残っている。上記印刷停止時に加熱板15が印刷時の状態で停止すると、被記録体3の加熱板15に対向する部分が、過剰に熱を加えられる為、用紙等の被記録体3は黄変や焼損、異臭の発生が生じる。従って、加熱板15の被記録体対向面から被記録体への熱移動を遮断する必要が有り、開閉機構が必須となってくる。上記の加熱板15の被記録体近接からの回避は通常の印刷停止時は勿論、装置の異常時においても自動的に行われなければならない。例えば、電力障害による装置への給電停止が発生しても、加熱板15自体の温度はヒータ16を遮断しても、なかなか低下しないため、短時間で用紙の黄変や焼損の不具合が発生してしまう。
【0021】
そこで、上記を踏まえ、本発明のオーブン方式の定着装置を図2、図3、図4を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1は印刷時における本定着装置の模式図である。図3は非印刷時における定着装置の模式図であり、図4は断面図を示す。なお、図において、加熱板15は両面4つの構成で記載されているが、複数個配列されても同様である。
【0023】
ヒータ16を内装したアルミ等の加熱板15と被記録体対向面以外からの周囲への放熱を防ぐ断熱カバ17、断熱カバ17内部に具備されている断熱材18から構成される加熱板ユニットは定着フレーム19に加熱板支持シャフト20を介して支持されており、加熱板支持シャフト20を回転中心に回動可能になっている。前記加熱板支持シャフト20は加熱板15の回転を伝達する加熱板回転用アーム21に固定されている。加熱板回転用アーム21の先端には従動可能な動滑車22が具備されており、ワイヤ23がかけられている。複数個配列される場合も、上記構成が追加される。
【0024】
ここで、加熱板15の開閉動作について説明する。加熱板15の開閉動作はワイヤ23を介して行われ、ワイヤ23の一方の端部を固定し、他方を駆動モータ24に取付けられた巻取り滑車25によって巻上げ/巻き戻しにより行なう。図3の加熱板開放状態から巻き取り滑車25によって、ワイヤ23を巻上げることにより、固定滑車27、動滑車22が取付けられた加熱板回転用アーム21を介して、加熱板15が、図2の閉止状態まで回転移動する。閉止状態の停止はストッパ26及び図示しないセンサにより行ない、被記録体3と適正なすきま及び対向する加熱板とのすきまを一定に保つ。このとき、加熱板15の閉止及び開放状態の動作タイミングであるが、被記録体3の搬送速度立ち上り/立ち下げ時、被記録体3が停止あるいは低速領域の状態においては、閉止位置手前にあるようにしておく。
【0025】
加熱板15を支持する加熱板支持シャフト20には復帰スプリング28が具備されており、常時加熱板15が開放状態に復帰できる方向に荷重をかけておく。従って、印刷時の閉止状態においては上記スプリング力に逆らって、ワイヤ23を介し、加熱板15を停止させておくことになる。これにより、装置の異常時、例えば、電力障害による給電断が発生してもメカニカルなスプリング力によって、開放位置に加熱板15を移動させることが可能となり、被記録体3への黄変や焼損等の不具合を防止できる。
【0026】
熱遮蔽板29は熱遮蔽板支持シャフト30を介して、定着フレーム19に回動可能となるよう取付けられており、熱遮蔽板29は前記シャフト30の先端に取付けられた熱遮蔽板回転用アーム31によって加熱板15の回転動作に連動する。上記により図3に示す加熱板15の開放位置には被記録体3に対向する加熱面をカバーする位置で停止する。これにより、加熱板15が搬送方向に複数個配列された場合に、搬送方向下流側の加熱板15の背面部の断熱カバ17表面の不必要な温度上昇を防ぐことが可能となり、加熱板15の給電線やセンサの信号線等の構成部品への熱負荷を抑えることが可能となる。
【0027】
実施例においては、開閉機構のモータからの駆動伝達系にワイヤを用いているが、リンク等による機構においても効果は同様である。また、上記の給電線やセンサの信号線等の構成部品は加熱板15が個々に回転中心をもっているため、必要以上に負荷を与えることがなくなるため、断線等の不具合が防止可能となる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、定着装置の小スペース化を図り、高速印刷への対応を可能とすると共に省電力化及び熱効率向上を達成し、更には信頼性が向上された定着装置を搭載した印刷装置を提供することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオーブン定着装置を適用した両面印刷装置の全体構成図。
【図2】本発明に係るオーブン定着装置の閉止状態(印刷時)示す模式図。
【図3】本発明に係るオーブン定着方式の開放状態(非印刷時)を示す模式図。
【図4】本発明に係るオーブン定着方式の断面図。
【符号の説明】
3は被記録体、15は加熱装置、16はヒータ、17は断熱カバ、18は断熱材、19は定着フレーム、20加熱板支持シャフト、21は加熱板回転用アーム、22は動滑車ブロア、23はワイヤ、24は駆動モータ、25巻取り滑車、26はストッパ、27は固定滑車、28は復帰スプリング、29は熱遮蔽板、30は熱遮蔽板支持シャフト、31は熱遮蔽板回転用アームを示す。

Claims (1)

  1. トナー担持体に形成されたトナー像を、連続した被記録体に転写する画像記録手段と、
    前記被記録体に対し非接触で対向させた加熱板を有し、該加熱板からの熱により前記被記録体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを備えた印刷装置において、
    前記加熱板の加熱面を被記録体表面に対向する位置と対向しない位置とにおいて回動可能に設けるとともに、前記加熱板の回動動作に連動し、前記加熱板の加熱面が前記被記録体表面に対向しない位置において前記加熱面を遮蔽する熱遮蔽板を設けたことを特徴とする印刷装置。
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