JP3864937B2 - 駆動伝達機構の組付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動原稿供給装置(以下、ADF装置と言う)のような用紙搬送装置、更に詳しくは、1個のモーターで用紙搬送路上に配設された複数のローラに駆動伝達させる為の駆動伝達機構の組付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真複写機やファクシミリ装置においては、原稿トレーにセットされた原稿を1枚ずつ分離して読取部に向けて給紙するためのADF装置が設けられている。このようなADF装置においては、原稿トレー上から繰出された原稿を1枚ずつ分離して給送する分離ローラ、該分離ローラの下流側に配設され原稿を読取部に向け搬送する搬送ローラ、更には読取部を通過した原稿を排出トレーに排出させる為の排出ローラ等の複数のローラが原稿搬送路上に配設されている。そして、装置のコンパクト化を図るために上記原稿搬送路を倒U字型に湾曲形成して排出トレーを原稿トレーの下に積層するよう構成し、原稿トレーから排出トレーに至る間、原稿をUターン状にガイドするようにしたものも多く採用されるようになった。このようなUターン状の原稿搬送路を備えた装置の場合、結果的に各ローラが近接配置されることになり、従って、大掛かりな駆動伝達機構を用いずともこれらのローラを1個のモーターで駆動させることが可能となる。
【0003】
上記のように1個のモーターで、Uターン搬送路上の複数の駆動ローラを駆動させるようにしたADF装置の例として、特許文献1に開示されたものを挙げることができる。この特許文献1においては、ADF装置の本体フレームの一方(リヤフレーム)にモーターブラケットを配置し、このモーターブラケットに取付けられたモーターの出力ギヤから、アイドラギヤやベルト等の駆動伝達機構を介して上記各駆動ローラに駆動伝達されるようになされている。そして、これら駆動伝達機構の大半がリヤフレームとモーターブラケットとの間にコンパクトに組付けられる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−130782号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示されたような駆動伝達機構の組付構造においては、一般に、駆動伝達機構を構成するアイドラギヤ等の中間伝達用回転体は、本体フレームに片持支持されたスタッドにその軸心回りに回転可能に嵌装支持される。そして、その遊端側(先端側)にはEリングが装着され、上記回転体の抜け止めがなされる。このように、Eリングの使用が不可避である為、組付け時の作業工数が多くなり、またメンテナンス性も悪く、更には、リサイクル時の分別作業が煩雑となる、等の問題点もあり、その抜本的な改善が望まれるところであった。
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みなされたものであり、Eリング等の部品を用いることなくアイドラギヤ等の中間伝達用回転体の組付けを可能とし、組付けの作業性を著しく向上させることができる駆動伝達機構の組付構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る駆動伝達機構の組付構造は、1つの駆動モーターによる駆動力を、用紙搬送装置に設ける複数の駆動ローラに駆動伝達させる為の駆動伝達機構の組付構造であって、
本体フレームに、駆動伝達用回転体を軸心回りに回転可能に嵌装支持する為のスタッドの一端を固定し、
該スタッドの他端を、上記本体フレームに平行に配置された上記駆動モーター支持用のモーターブラケットに保持させ、
該モーターブラケットは、該本体フレームに固設されたナット支柱とビスにより所定の位置に固定されることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、本体フレームに一端が固定されたスタッドは、その他端がモーターブラケットに保持されるから、該スタッドに嵌装支持された駆動伝達用回転体は、Eリング等の止め具がなくとも、スタッドから抜け出すことがない。従って、駆動伝達用回転体の組付は、各スタッドにこれら回転体を嵌装し、モーターブラケットを取付けるだけでなされるから、その作業は極めて簡単である。また、メンテナンスやリサイクルの分別の為に分解する場合には、モーターブラケットを取外すだけで上記回転体を取出せるから、その作業は何等煩わしさを伴わず、効率的になされる。尚、上記駆動伝達用回転体がギヤであり、スタッドがギヤスタッドである場合の他に、プーリーとプーリースタッドの場合も対象とされることは言うまでもない。
【0009】
請求項2の発明は、上記駆動伝達用回転体のモーターブラケット側端部に、該端部より小径の凸部が形成されていることを特徴とする。このように、駆動伝達用回転体の端部とモーターブラケットとの接触面積が小さくなるから、この回転体の回転に伴う摺接音が発生し難くなる。また、請求項3の発明は、上記モーターブラケットの上記駆動伝達用回転体側の面には、該回転体の端部より小径の隆起部が形成されていることを特徴とする。この場合も、回転体の回転時には回転体の端部とこれより小径の隆起部とが互いに摺接することになり、摺接音が発生し難くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1はファクシミリ装置や複写機、或いはファクシミリと複写の両機能(プリンタ機能も含む)を備えた所謂複合機におけるADF1の要部の縦断面図を示すものである。図例のADF1は、シートものの原稿Dを1枚ずつ搬送しながら、その両面の画像を読み取って、それぞれデジタル信号として出力するための原稿送り装置として構成されている。尚、図1は、紙面奥側がADF1の正面側(フロント側)、紙面手前側が背面側(リヤ側)であることを示している。
【0011】
ADF1の原稿供給口部2aには、原稿トレー2bが該原稿供給口部2aに向かって下方に傾斜するよう着脱自在に装着され、この原稿供給口部2aと原稿トレー2bとにより原稿載置部(用紙載置部)2が構成されている。原稿供給口部2a上には、原稿載置部2に堆積された原稿(用紙)Dを上層部より繰出すピックアップローラ3が配設され、このピックアップローラ3に引き続き、繰出された原稿を1枚ずつ分離して給送する原稿分離装置4が装備されている。該原稿分離装置4は、分離ローラ4aとこの分離ローラ4aの周体に弾接するよう付勢された分離パッド4bからなる。ピックアップローラ3で繰出された原稿は、分離ローラ4aと分離パッド4bとの間に導入され、分離ローラ4aの回転に伴う両者の紙に対する摩擦係数の差により1枚ずつ分離され、下流側に給送される。4cは、分離パッド4bを分離ローラ4aの周体に弾接させる為の圧縮スプリングである。
【0012】
上記原稿分離装置4により1枚ずつ分離された原稿は、Uターン状に形成された原稿搬送路5に沿って順次配設されたレジストローラ6、第1搬送ローラ7及び第2搬送ローラ8によりレジスト搬送されて第1の読取ポイントP1に至り、更に第3搬送ローラ9により第2の読取ポイントP2に給送され、排出ローラ10により排出トレー11に排出される。第1の読取ポイントP1にはプラテン12が配置され、原稿が該プラテン12上を通過する際、このプラテン12の下部に待機された読取走査装置13により原稿表面の画情報が逐次読み取られ、上記のようにデジタル信号として出力される。
【0013】
この読取走査装置13は、蛍光灯或いは冷陰極管からなる光源13aと、複数のミラー13b…と、集光レンズ13cと、CCD(電荷結合素子)13dとよりなり、これらがユニット化され、キャリッジ13e上に搭載されている。光源13aからの照射光は、プラテン12上の読取ポイントP1を通過する原稿により反射され、その後4個のミラー13b…で反射を繰り返し、集光レンズ13cで集光され、CCD13dに入光する(1点鎖線の光路参照)。CCD13dでは、原稿の表面上に描かれた画情報が電気信号に変換され、デジタル信号として出力される。
【0014】
実施例に示す読取走査装置13は、フラットベッドスキャナ(FBS)にも兼用するよう構成されている。即ち、図示を一部省略したが、図1における破断部分の左側にはFBS部14が連成されている。上記キャリッジ13eは、図例ではADF原稿の読取位置に静止された状態を示すが、FBS原稿の読取時には、FBS部14内に移動し、FBS部14内をプラテンガラス15の下面に沿って往復移動し、この往復移動の間、プラテンガラス15上に載置された原稿の画情報が、読取走査装置13によって上記同様に読み取られる。ADF1、原稿トレー2b及び排出トレー11は一体化されてプラテンカバーを構成し、紙面手前側をヒンジ部(図示を省略)として上下に開閉可能とされている。従って、FBS部14にて原稿読み取りを行う際は、このプラテンカバーを開け、露見したプラテンガラス15上に原稿を載置することによりなされる。
【0015】
上記のように、第1の読取ポイントP1で表面画像が読み取られた原稿は、更に、第3搬送ローラ9により搬送されて第2の読取ポイントP2に至るが、この第2の読取ポイントP2は、搬送原稿の裏面側に配置された密着型イメージセンサ16と、これに接触的に配置されたプラテンローラ17との接触点とされる。即ち、密着型イメージセンサ16とプラテンローラ17との間に導入される原稿は、プラテンローラ17の回転により密着型イメージセンサ16の読取面を摺接しながら給送され、この間原稿の裏面画像が密着型イメージセンサ16により読取られ、電気信号に変換されてデジタル信号として出力される。
【0016】
上記分離ローラ4a、レジストローラ6、第1〜第3搬送ローラ7〜9、プラテンローラ17及び排出ローラ10は、1個のモーター(図2、図3参照)22を駆動源とし、適宜ギヤ或いはベルト等の後記する伝達手段を介し駆動伝達がなされ、また適宜電磁クラッチにより個々にオン・オフ制御がなされるよう構成されている。
【0017】
ピックアップローラ3は、分離ローラ4aの駆動軸4dから駆動伝達されるよう構成される。これを略述すれば、該駆動軸4dにはトルクリミッタ(不図示)を介しフレーム3aが上下揺動可能に取付けられ、このフレーム3aの先側には支軸3bが軸回転可能に支持されている。上記駆動軸4dに取付けられたプーリー4eと、支軸3bに取付けられたプーリー3cとの間にベルト3dが張設されており、駆動軸4dの回転がプーリー4e、ベルト3d及びプーリー3cを介して支軸3bに伝達され、更にこの支軸3bの回転はワンウェイクラッチ(不図示)を介してピックアップローラ3に伝達されるようになされている。
【0018】
前述したように構成されたピックアップローラ3は、待機状態ではフレーム3aをして上方に位置し、上記駆動軸4dが正回転(A方向)すると、上記トルクリミッタの作用によりフレーム3aが駆動軸4dを支点として下方に揺動する。この揺動はピックアップローラ3が原稿載置部2上に堆積された原稿Dの最上層部に押当した時に停止するが、駆動軸4dの引続く回転により、上記伝達系(プーリー4e、ベルト3d及びプーリー3c)を介しピックアップローラ3が回転する。このように、駆動軸4dが正回転している間、ピックアップローラ3は堆積原稿Dの最上層部に押当されながら回転するので、原稿Dは最上層部より逐次繰出されて行く。そして、駆動軸4dが一旦停止し逆回転(反A方向)すると、フレーム3aがトルクリミッタの作用により上方に揺動し、その後の駆動軸4dの停止により、待機状態に静止保持される。
【0019】
分離ローラ4aは不図示のワンウェイクラッチを介し駆動軸4dから駆動伝達される。従って、駆動軸4dの正回転により、上記のようにピックアップローラ3から原稿Dが繰出され、繰出された原稿は分離ローラ4aと分離パッド4bとの間に導入され、前記のように1枚ずつ分離されて下流側に給送される。分離ローラ4aから給送された原稿Dは、レジストローラ6によりレジストされて更に下流側に搬送されるが、このレジストローラ6以降の各ローラ7、8、9、17、10の周速は、分離ローラ4a及びピックアップローラ3の周速より大とされ、分離ローラ4aとレジストローラ6との間で原稿のページ間隔を確保するようになされている。従って、分離ローラ4aから給送された原稿Dの先端がレジストローラ6に差し掛かるとその周速度差により、原稿に搬送負荷(引張力)が掛かるが、分離ローラ4a及びピックアップローラ3には上述のように不図示のワンウェイクラッチが組み込まれており、これにより両ローラ4a、3が空回転し、上記搬送負荷が緩和される。
【0020】
レジストローラ6、第1〜第3搬送ローラ7、8、9及び排出ローラ10には、夫々プレッシャーローラ6a、7a、8a、9a及び10aが対設され、原稿はこれらローラにニップされて搬送される。上記分離ローラ4aとこれに連関するピックアップローラ3及びプレッシャーローラ6a、7aは、ヒンジピン18aを支点として上下に開閉可能に枢着されたジャムアクセスカバー18の内側に取付けられている。従って、第2搬送ローラ8に至るまでの原稿搬送路5で原稿ジャムが発生した場合は、このジャムアクセスカバー18を開けることにより、分離パッド4b、レジストローラ6、第1搬送ローラ7との間が開放されるので、ジャム原稿の取出しが容易に行える。
【0021】
また、第2搬送ローラ8、第3搬送ローラ9、これらと対をなすプレッシャーローラ8a、9a、プラテンローラ17及び排出ローラ10は、ADF1を含む前記プラテンカバーの機枠をなす機体フレーム19及びこれに固定された筒状の中間インナーガイドフレーム20に取付けられている。更に、密着型イメージセンサ16及びプレッシャーローラ10aは、機体フレーム19に対しヒンジピン21aを支点として上下に開閉可能に枢着された中間フレーム21に取付けられている。第2搬送ローラ8及び第3搬送ローラ9間でのジャム原稿のジャム解除については後記するが、第3搬送ローラ9以降でのジャム時には、上記ジャムアクセスカバー18を開けた上で中間フレーム21を開ければ、密着型イメージセンサ16とプラテンローラ17との間、及び排出ローラ10とプレッシャーローラ10aとのニップ関係が開放されるから、この部分でのジャム原稿の取出しが容易に行える。
【0022】
図2及び図3は上記各ローラの駆動伝達機構を示し、図2はその正面図(ADF1全体から見れば背面図)であり、図3はその平面図である。23は上記機体フレーム19に固設された駆動伝達機構用の板金製本体フレーム(リヤフレーム)であり、この本体フレーム23に、上記レジストローラ6、第1搬送ローラ7、第2搬送ローラ9、プラテンローラ17及び排出ローラ10の駆動軸6b、7b、9b、17a及び10bの一端部が軸支されている。また、24は板金製のモーターブラケットであり、本体フレーム23に固設されたナット支柱24aにビス24bを螺合することにより、本体フレーム23に対し間隔を隔て固定されている。更に、該モーターブラケット24には、上記各ローラの共通の駆動源であるモーター22が取付けられている。
【0023】
上記各ローラの駆動軸6b、7b、9b、17a及び10bの一端部にはギヤ6c、7c、9c、17b及び10cが取付けられ、これらギヤに対してモーター22の出力ギヤ22aから、アイドラギヤ或いはベルト等を介して駆動伝達される。上記出力ギヤ22aに第1アイドラギヤ25が噛合し、この第1アイドラギヤ25に第2アイドラギヤ26が噛合する。更に、第2アイドラギヤ26に第3アイドラギヤ27が噛合し、これらにより第1の駆動伝達系が確立されるが、この第1の駆動伝達系は、分離ローラ4a専用の駆動伝達系である。即ち、本体フレーム23の上辺部に切欠23aが形成されており、前記ジャムアクセスカバー18を閉めると、分離ローラ4aの駆動軸4dがこの切欠23aに嵌り込んで保持され、該駆動軸4dの一端に取付けられたギヤ4fが第3アイドラギヤ27に噛合して、モーター22の出力ギヤ22aから分離ローラ4aへの回転駆動伝達がなされる。
【0024】
また、上記第1アイドラギヤ25には、第4アイドラギヤ28が噛合し、更に、この第4アイドラギヤ28と第5アイドラギヤ29間に第1タイミングベルト(歯付ベルト、以下同じ)30が張設され、この第5アイドラギヤ29に上記レジストローラ6のギヤ6c及び第1搬送ローラ7のギヤ7cが噛合する。これにより第2の駆動伝達系が確立され、モーター22の出力ギヤ22aから、レジストローラ6及び第1搬送ローラ7に回転動力が伝達される。
【0025】
上記出力ギヤ22aには、更に別の第6アイドラギヤ31が噛合し、この第6アイドラギヤ31と第3搬送ローラ9のギヤ9c間に第2タイミングベルト32が張設されており、これにより第3の駆動伝達系が確立し、出力ギヤ22aから第3搬送ローラ9に回転動力が伝達される。また、第6アイドラギヤ31と第7アイドラギヤ33には第3タイミングベルト34が張設され、該第7アイドラギヤ33には、プラテンローラ17のギヤ17a及び排出ローラ10のギヤ10cが噛合する。これにより第4の駆動伝達系が確立し、出力ギヤ22aからプラテンローラ17及び排出ローラ10に回転動力が伝達される。
【0026】
上記第1〜第7アイドラギヤ25、26、27、28、29、31、33の多くは、多段ギヤで構成され、各ギヤの径(歯数)は、各ロ−ラが所定の周速度になるよう適宜設定される。また、いずれのアイドラギヤも、本体フレーム23にカシメ等により植設固定されたギヤスタッドに軸回転可能に装着され、一部のギヤスタッドは、その他端部がモーターブラケット24に保持されているが、その詳細については後記する。更に、分離ローラ4aへの駆動伝達系における第2アイドラギヤ26、レジストローラ6のギヤ6c及び第3搬送ローラ9のギヤ9cにはそれぞれ電磁クラッチ26a、6d及び9dが付設され、分離ローラ4a、レジストローラ6及び第3搬送ローラ9が個々にオン・オフ制御されるようになされている。尚、図2ではこれら電磁クラッチの図示を省略している。
【0027】
図2において、35a、35b、35cはテンションギヤであり、夫々第1、第2、第3タイミングベルト30、32、34の張り調整機能を奏するものである。これらテンションギヤ35a、35b、35cは、レジストローラ6の駆動軸6bを支点として垂直面域内で揺動可能に取付けられたテンションプレート35に装備されている。このテンションプレート35は、引張スプリング35dにより、常時駆動軸6bを中心に反時計方向に弾力付勢されており、これにより各テンションギヤ35a、35b、35cは、夫々第1、第2、第3タイミングベルト30、32、34に作用し、これらを常時緊張状態に維持する。
【0028】
次に、第2搬送ローラ8への駆動伝達機構について説明する。この伝達機構は、第3搬送ローラ9の駆動軸9bの他端側(ADF1のフロント側)に構成される。即ち、図4は、ADF1のフロント側から見た駆動機構の正面図であり、第3搬送ローラ9の駆動軸9bは、ADF1を横断してフロント側に及び、機体フレーム19に取付けられたフロントフレーム36にそのフロント側端部が保持されている。また、第2搬送ローラ8の駆動軸8bも、そのフロント側端部が、フロントフレーム36に保持されている。そして、両駆動軸9b、8bのフロント側端部には、夫々ギヤ9e及び8cが取付けられ、両ギヤ9e、8cには第4タイミングベルト37が張設され、これにより、第5の駆動伝達機構が確立される。従って、第3搬送ローラ9が上記第3の駆動伝達機構を介して回転駆動すると、この第5の駆動伝達機構により、第2搬送ローラ8が同時に回転駆動する。
【0029】
図4における38は、テンションプーリーであり、引張スプリング38aの弾力付勢力により上記第4タイミングベルト37に作用して該第4タイミングベルト37を常時緊張状態に維持する。また、39はジャム解除用操作ノブであり、その一部が、前記ジャムアクセスカバー18を開放すると装置上面に露出するよう構成されており、第2搬送ローラ8及び第3搬送ローラ9において原稿ジャムが発生した時に、ジャムアクセスカバー18を開けこの操作ノブ39の露出部を回転操作し、第2搬送ローラ8及び第3搬送ローラ9を強制回転させることにより、ジャム原稿を取り出すことができる。第3搬送ローラ9の駆動軸9bには大径のギヤ9fが取付けられ、このギヤ9fと操作ノブ39のギヤ39aとの間に2段のアイドラギヤ40が噛合介在する。
【0030】
また、アイドラギヤ40にはラチェット機構等のワンウェイクラッチ手段(不図示)が組み込まれ、操作ノブ39を矢視方向に回転操作した時には、このワンウェイクラッチ手段のロック作用により、操作ノブ39の回転がアイドラギヤ40及びギヤ9fを介して第3搬送ローラ9に伝達され、更にこの第3搬送ローラ9の回転が第2搬送ローラ8にも伝達される。従って、操作ノブ39の回転操作により、第3搬送ローラ9及び第2搬送ローラ8が強制回転され、この部分でのジャム原稿が繰出されその取出しが可能となる。
【0031】
尚、第3搬送ローラ9の駆動軸9bには前記のように電磁クラッチ9dが付設されており、この電磁クラッチ9dのオフ状態では、第3搬送ローラ9が駆動伝達系から遮断されることになるから、その負荷が掛からず、上記操作ノブ39の操作抵抗にはならないのである。一方、第3搬送ローラ9が駆動モーター22の駆動力を得て、矢視のように正規の回転(原稿搬送方向)がなされる場合には、上記ワンウェイクラッチ手段がアンロック状態となり、操作ノブ39にはその回転力は伝達されない。
【0032】
次に、上記各アイドラギヤの取付構造について述べる。図5(a)は、図2及び図3における第4アイドラギヤ28の取付状態を示す部分切欠拡大図であり、図5(b)はその変形例を示すものである。本体フレーム23には、ギヤスタッド28Aがその一端をしてカシメ等により固定植設されており、このギヤスタッド28Aにアイドラギヤ28がその軸心回りに回転可能に嵌装されている。アイドラギヤ28は、大径ギヤ28aと小径ギヤ28bとが一体化された2段ギヤに構成され、大径ギヤ28aには前記の通り第1アイドラギヤ25が噛合し、小径ギヤ28bには第1タイミングベルト30が噛合巻回される(図2参照)。
【0033】
ギヤスタッド28Aの他端部(先端部)は、モーターブラケット24に開設された小孔24cに挿入保持されている。アイドラギヤ28は、その長手方向両側が本体フレーム23とモーターブラケット24により規制されることになるから、ギヤスタッド28Aから抜け出る懸念がない。従って、従来の片持支持の場合のように、Eリング等の止具を不要とし、その装着の為の煩わしい作業がなくなり、組立て作業や、メンテナンス時或いはリサイクル時における分解作業も簡易となり、その効率化が図られる。
【0034】
アイドラギヤ28、即ち大径ギヤ28aのモーターブラケット24側端部に、該端部より小径の凸部28cが形成されている。この凸部28cは、アイドラギヤ28の回転に伴うアイドラギヤ28の端面とモーターブラケット24の盤面との摺接面積を小さくするものであり、これにより摺接音が小さくなり、また摩擦抵抗が小さくなることによりアイドラギヤ28の回転の円滑性も保たれる。図5(b)においては、モーターブラケット24の内面(ギヤ側)に、アイドラギヤ28の端部より小径の隆起部24dが、上記小孔4cを取囲むように絞り加工等により形成されている。この隆起部24dも、上記凸部28cと同様に、アイドラギヤ28の端面とモーターブラケット24の盤面との摺接面積を小さくするものであり、同様の機能を奏するものである。このような凸部28cや隆起部24dに代え、アイドラギヤ28とモーターブラケット24との間に適宜ワッシャを介在させることも可能である。
【0035】
図2では、上記第4アイドラギヤ28と同様の取付構造が、第1アイドラギヤ25、第3アイドラギヤ27、第6アイドラギヤ31及び第7アイドラギヤ33にも適用されており、モーターブラケット24の大きさとも関連して、この適用個数を適宜定めることにより、低コスト化、組立て作業等の作業効率化を図ることができる。特に、図例のようにUターン状に原稿を搬送する場合は、各ローラが狭いスペース内に集約されるから、モーターブラケット24で多くのギヤスタッドを保持させることが可能となり、そのコンパクト化及び低コスト化に大きく寄与する。
【0036】
また、第1アイドラギヤ25及び第6アイドラギヤ31は、モーター22の出力ギヤ22aから最初に動力が伝達されるものであり、上記のように、ギヤスタッド28Aの先端部をモーターブラケット24の小孔24cに保持させる構造をこれらアイドラギヤ25、31の取付構造にも適用すれば、各ギヤスタッド25A、31Aの先端部が位置決めピンとなり、このピンを介してこれらギヤスタッド25A、31Aが強固に固定されることになる。従って、出力ギヤ22aから大きな動力が第1アイドラギヤ25及び第6アイドラギヤ31に負荷されても、駆動力伝達の際のスタッド25A、31Aの逃げが防止され、伝達ロスを低減させることができる。
【0037】
図1において、41は用紙先端揃え用シャッタであり、待機状態の時には、原稿載置部2上に突出し、原稿トレー2b上にセットされる原稿Dの先端を揃えることが可能とされている。このシャッタ41は、レジストローラ6の回転に連動して上下揺動するリンク機構(一部図示省略)42に設けられており、このリンク機構42の上下揺動により原稿載置部2上に出没するよう構成されている。このように、レジストローラ6に機械的に連動させて、シャッタ41を原稿載置部2上に出没させるようにしているから、ソレノイド等の高価な電気部品を用いることなく簡易に構成することができる。
【0038】
尚、上記実施形態ではADFにおける例を述べたが、これに限らず各種画像形成装置における記録紙の給紙装置にも、本発明が適用され得ることは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
本発明の駆動伝達機構の組付構造においては、本体フレームに一端が固定されたスタッドは、その他端がモーターブラケットに保持されるから、該スタッドに嵌装支持された駆動伝達用回転体は、Eリング等の止め具がなくとも、スタッドから抜け出すことがない。従って、駆動伝達用回転体の組付は、各スタッドにこれら回転体を嵌装し、モーターブラケットを取付けるだけでなされるから、その作業は極めて簡単である。また、メンテナンスやリサイクルの分別の為に分解する場合には、モーターブラケットを取外すだけで上記回転体を取出せるから、その作業は何等煩わしさを伴わず、効率的になされる。また、請求項2及び3の発明においては、駆動伝達用回転体の端部とモーターブラケットとの接触面積が小さくなるから、この回転体の回転に伴う摺接音が発生し難くなると共にその回転の円滑性が保たれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ADFと走査装置の要部を示す縦断面図である。
【図2】 各ローラの駆動伝達機構を示す正面図である。
【図3】 同平面図である。
【図4】 同一連の駆動伝達機構の一部を示す正面図である。
【図5】 (a)はアイドラギヤの取付構造の一例を示す部分切欠拡大図であり、(b)はその変形例の同様図である。
【符号の説明】
1 ADF(用紙搬送装置)
22 駆動モーター
23 本体フレーム
24 モーターブラケット
24d 隆起部
25、26、27、28、29、31、33 駆動伝達用回転体
25A、28A、31A スタッド
28c 凸部
Claims (3)
- 1つの駆動モーターによる駆動力を、用紙搬送装置に設ける複数の駆動ローラに駆動伝達させる為の駆動伝達機構の組付構造であって、
本体フレームに、駆動伝達用回転体を軸心回りに回転可能に嵌装支持する為のスタッドの一端を固定し、
該スタッドの他端を、上記本体フレームに平行に配置された上記駆動モーター支持用のモーターブラケットに保持させ、
該モーターブラケットは、該本体フレームに固設されたナット支柱とビスにより所定の位置に固定されることを特徴とする駆動伝達機構の組付構造。 - 上記駆動伝達用回転体のモーターブラケット側端部に、該端部より小径の凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達機構の組付構造。
- 上記モーターブラケットの上記駆動伝達用回転体側の面には、該回転体の端部より小径の隆起部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達機構の組付構造。
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