JP3864912B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーカートリッジが装着されて使用される印刷装置に、関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、印刷を行うための装置(複写機、FAX、プリンタ等;以下、印刷装置と表記する)の中には、1つ或いは複数のトナーカートリッジを装着して使用するものが、存在している。
【0003】
そのような印刷装置は、トナー残量検出用のセンサで検出したトナー残量、印刷エンジンに描画させたドット数に基づき算出したトナー残量(例えば、特許文献1参照)等を出力(コントロールパネルへの表示、外部機器への送信)することが出来るように構成されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−214899号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
トナー残量検出用のセンサで検出可能なトナー残量の分解能は、1%程度のものである。すなわち、トナー残量がセンサで検出されるタイプの印刷装置は、印刷装置が出力するトナー残量の値が、数十ページの印刷を行わないと変わらない装置となっている。このため、このタイプの印刷装置は、印刷装置が出力するトナー残量に応じた額の課金を行うといったことが行えない装置となっていた。
【0006】
一方、印刷エンジンに描画させたドット数に基づき算出されるトナー残量は、トナー残量検出用のセンサで検出されるトナー残量よりも分解能が高い情報(1ページの印刷により値が変わる情報)となっている。ただし、ドット数と実際に消費されるトナー量との関係は、印刷内容によって変わるものであるため、印刷エンジンに描画させたドット数に基づきトナー残量が算出されるタイプの印刷装置は、実際のトナー残量と大きく異なるトナー残量が出力される(例えば、50%のトナーが残っているのに、トナー残量が45%であることを示す情報が出力される)ことがある装置となっていた。
【0007】
本発明は、このような現状を鑑みなされたものであり、本発明の課題は、より正確なトナー残量を出力することが出来る印刷装置を、提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、トナーカートリッジが装着されて使用される印刷装置を、与えられたデータに応じた内容の印刷物をトナーカートリッジを利用して生成する印刷物生成手段と、トナーカートリッジ内に残っているトナーの量を表す第1トナー残量データとして、その値が第1所定値単位で変化する第1トナー残量データを出力する第1トナー残量データ出力手段と、第1トナー残量データ出力手段が出力する第1トナー残量データが変化した後に印刷物生成手段がトナーカートリッジ内のトナーを利用して描画したドット数を管理するドット数管理手段と、第1トナー残量データ出力手段が出力するトナー残量データと、ドット数管理手段により管理されているドット数とに基づき、トナーカートリッジ内に残っているトナーの量を表す第2トナー残量データとして、その値が第1所定値よりも小さな第2所定値単位で変化する第2トナー残量データを出力する第2トナー残量データ出力手段と、第2トナー残量データ出力手段が出力する第2トナー残量データを含むログ情報を記録するログ情報記録手段と、第1トナー残量データ出力手段が出力する第1トナー残量データの値が変化した後に、ログ情報記録手段により記録された各ログ情報内の、その値が変化前の第1トナー残量データの値と変化後の第1トナー残量データの値との間に入っている各第2トナー残量データの値を修正するログ情報修正手段とを、備えるものとしておく。
【0009】
すなわち、本発明の印刷装置は、印刷物生成手段が描画を行ったドット数のみからではなく、印刷物生成手段が描画を行ったドット数と第1トナー残量データ出力手段が出力する第1トナー残量データとから、当該第1トナー残量データよりも有効桁数の大きな第2トナー残量データを算出する装置となっている。このため、この印刷装置は、常に、正確なトナー残量を出力することが出来る(値が大きく異なるトナー残量が出力されることがない)装置として機能することになる。
【0011】
また、本発明の印刷装置では、第2トナー残量データが記録されることになる。従って、本発明の印刷装置は、記録された第2トナー残量データに基づき、トナー使用量に応じた額の課金等を行う形で運用可能な装置であることになる。
【0012】
また、本発明の他の態様の印刷装置は、複数のトナーカートリッジが装着されて使用される印刷装置であって、与えられたデータに応じた内容の印刷物を複数のトナーカートリッジを利用して生成する印刷物生成手段と、複数のトナーカートリッジのそれぞれについて、そのトナーカートリッジ内に残っているトナーの量を表す第1トナー残量データとして、その値が第1所定値単位で変化する第1トナー残量データを出力する第1トナー残量データ出力手段と、複数のトナーカートリッジのそれぞれについて、第1トナー残量データ出力手段が出力する第1トナー残量データが変化した後に、印刷物生成手段がそのトナーカートリッジ内のトナーを利用して描画したドット数を管理するドット数管理手段と、第1トナー残量データ出力手段が各トナーカートリッジに関して出力するトナー残量データと、ドット数管理手段により各トナーカートリッジに関して管理されているドット数とに基づき、複数のトナーカートリッジのそれぞれについて、そのトナーカートリッジ内に残っているトナーの量を表す第2トナー残量データとして、その値が第1所定値よりも小さな第2所定値単位で変化する第2トナー残量データを出力する第2トナー残量データ出力手段と、第2トナー残量データ出力手段が各トナーカートリッジに関して出力する第2トナー残量データを含むログ情報を記録するログ情報記録手段と、第1トナー残量データ出力手段が出力する或るトナーカートリッジに関する第1トナー残量データの値が変化した後に、ログ情報記録手段により記録された各ログ情報内の、当該トナーカートリッジに関する、その値が変化前の第1トナー残量データの値と変化後の第1トナー残量データの値との間に入っている第2トナー残量データの値を修正するログ情報修正手段とを、備える。
【0013】
すなわち、この態様の印刷装置は、上記した本発明の印刷装置(請求項1記載の印刷装置)を、複数のトナーカートリッジを備えたものに変形したものとなっている。従って、この態様の印刷装置も、常に、正確なトナー残量を出力することが出来る(値が大きく異なるトナー残量が出力されることがない)装置として機能することになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る印刷装置10の構成及び使用形態を説明する。
【0016】
図示したように、本発明の一実施形態に係る印刷装置10は、この印刷装置10用のプリンタドライバ35がインストールされている何台か(図では、2台)のパーソナルコンピュータ(PC)30とLANケーブルにて接続されて使用される装置(いわゆるネットワークプリンタ)である。また、印刷装置10は、制御部11とコントロールパネル12と印刷機構部13とを備えた装置となっている。
【0017】
この印刷装置10が備えているコントロールパネル12は、液晶ディスプレイ,複数の押しボタンスイッチ等から構成された、ユーザと印刷装置10(制御部11)との間のインタフェースユニットである。
【0018】
印刷機構部13は、制御部11から供給されるビデオ信号に基づき用紙上に印刷(画像形成)を行う印刷エンジン(本発明の印刷物生成手段及び第1トナー残量データ出力手段に相当)、印刷エンジンへ用紙を供給するための給紙装置、印刷エンジンにより印刷が行われた用紙を印刷装置10外に排出するための排紙装置等で構成されたユニットである。
【0019】
この印刷機構部13を構成している印刷エンジンは、4種のトナーカートリッジ(C、M、Y及びKトナーカートリッジ)をセットして使用する印刷エンジン(カラー印刷が可能な印刷エンジン)である。また、印刷エンジンは、各トナーカートリッジのトナー残量をセンサにて検出し、検出結果を表す情報(以下、トナー残量値Lと表記する)として、トナー残量の,初期トナー量に対する小数点以下の値がない百分率(0〜100の整数値)を出力する機能を有するエンジンとなっている。
【0020】
制御部11(ドット数管理手段及び第2トナー残量データ出力手段に相当)は、受信した印刷ジョブデータに応じた内容のビデオ信号を印刷機構部13(印刷エンジン)に供給する処理(以下、印刷制御処理と表記する)を行うことにより、印刷機構部13に印刷物を生成させるユニットである。
【0021】
図示してあるように、制御部11は、ネットワークインタフェース回路21,CPU22,RAM23,ROM24,メモリ制御部25,HDD26,インタフェース回路27,ビデオ信号生成回路28等で構成されている。
【0022】
この制御部11を構成しているネットワークインタフェース回路21は、LAN接続されているPC30との間で通信(印刷ジョブデータの受信等)を行うための回路である。CPU22は、制御部11内の各部を統合的に制御する制御回路である。ROM24は、CPU22が実行する各種のプログラムや,CPU22が利用するフォントデータが記録されている不揮発性メモリである。
【0023】
RAM23は、CPU22(CPU22が実行しているプログラム)が作業領域として用いるメモリである。HDD26は、CPU22が印刷ジョブデータの処理時に参照/更新する各種の情報を保存しておくために制御部11に搭載されている補助記憶装置(不揮発性記憶装置)である。このHDD26に記憶される各情報(値/テーブル)の詳細は後述するが、本印刷装置10は、このHDD26に利用状況管理テーブル、4種のトナーのそれぞれについての総ドット数管理テーブル、補正済トナー残量値Vc,現ドットカウント値Nc,基準比例係数R0,現比例係数R及び前トナー残量値Vpが、記憶されている状態で動作する装置となっている。
【0024】
インタフェース回路27は、CPU22が、コントロールパネル12との間、印刷機構部13との間で情報交換(各種指示の送信、情報の受信)を行うために利用する回路である。メモリ制御部25は、ネットワークインタフェース回路21が受信した情報(印刷ジョブデータ等)をCPU22/RAM23に転送する処理、ネットワークインタフェース回路21が受信した印刷ジョブデータに基づきCPU22がRAM23上に生成する,1ページ分の印刷内容を規定する各データ(一種のイメージデータ;以下、印刷用データと表記する)をビデオ信号生成回路28に転送する処理などを行う回路である。
【0025】
ビデオ信号生成回路28は、CPU22により生成された印刷用データ(メモリ制御部25から送られてくる印刷用データ)から、印刷エンジンを動作させるためのビデオ信号を生成して印刷エンジンに供給する回路である。このビデオ信号生成回路28は、既存の同種の回路を、自身が印刷エンジンに供給した1ページ分のビデオ信号により用紙上に形成されることになるドットの総数をトナー別に出力することが可能なように、改良した回路(つまり、既存の同種の回路に、印刷エンジンに供給するビデオ信号中のパルスの数をトナー別にカウントする機能と、それらのカウント結果を出力する機能とを付加した回路)となっている。
【0026】
そして、本印刷装置10は、このような構成を有する制御部11により、各トナーに関する残量を表す値として、印刷エンジンから出力されるトナー残量値Lよりも有効桁数の大きな値が算出される装置となっている。
【0027】
以上のことを前提として、以下、本実施形態に係る印刷装置10の構成及び動作をさらに具体的に説明する。
【0028】
まず、HDD26に記憶されている、印刷制御処理時に制御部11(CPU22)が参照・更新する値/テーブルの概要を、説明する。
【0029】
HDD26に記憶されている各トナーに関する補正済トナー残量値Vcは、各トナーの現時点における、トナー残量値Lよりも有効桁数の大きなトナー残量を示しているように、印刷制御処理時にその値が更新される情報となっている。また、補正済トナー残量値Vcは、1ページ分の印刷が行われる度に、その値が変更される情報であるとともに、対応するトナーカートリッジが交換された時に“100”に初期化される情報となっている。
【0030】
HDD26に記憶されている各トナーに関する現ドットカウント値Ncは、対応するトナーに関するトナー残量値Lの値が変化した後(或いは、トナーカートリッジが交換された後)、現時点までの間に、対応するトナーが用いられて何枚かの用紙上に形成されたドットの総数を示しているように、印刷制御処理時にその値が更新される情報である。
【0031】
HDD26に記憶されている各トナーに関する現比例係数Rは、印刷制御処理時に、現ドットカウント値Ncを、トナー残量値Lと同じ単位の情報(%単位のトナー消費量)に変換するために使用される係数である。この現比例係数Rは、印刷装置10に印刷させる印刷物の内容に応じてその値が変更されていく情報となっている。そして、HDD26に記憶されている各トナーに関する基準比例係数R0は、各トナーに関する現比例係数Rの初期値(トナーカートリッジ交換直後の値)として使用される情報(標準的な内容の印刷物を印刷機構部13に生成させることによりその値が決定された情報)となっている。
【0032】
HDD26に記憶されている各トナーに関する前トナー残量値Lpは、対応するトナーカートリッジが交換された際に、“100”に初期化される情報であると共に、対応するトナー残量値Lの値が変化した際(“1”減少した際)に、変化後の値に書き換えられる情報である。
【0033】
HDD26に記憶されている各トナーに関する総ドット数管理テーブルは、対応するトナーに関するトナー残量値Lが、XからX−1(Xは、1〜100の整数値)に変わるまでの間に、対応するトナーを用いて用紙上に形成されたドットの総数である総ドット数Naを、Xに対応づけた形で記憶しておくためのテーブルである。この総ドット数管理テーブルは、トナーカートリッジが交換された際に、何も記憶していない状態に初期化されるテーブルとなっている。
【0034】
そして、利用状況管理テーブルは、印刷装置10により処理された印刷ジョブデータ毎に、その印刷ジョブデータを送信した者を示す情報(本実施形態では、プリンタドライバ35が印刷ジョブデータのヘッダに設定するコンピュータ名;以下、ユーザ名と表記する)、その印刷ジョブデータに基づく印刷時に消費された各トナーの量を示す値(以下、トナー使用量値と表記する)、その印刷の開始時における各トナーの補正済トナー残量値(以下、印刷開始時トナー残量値と表記する)、その印刷の終了時における各トナーの補正済トナー残量値(以下、印刷終了時トナー残量値と表記する)等からなる利用状況情報を記憶しておくためのテーブルとなっている。また、この利用状況管理テーブルは、制御部11がそこに記憶された情報を、所定のコマンドを送信してきた機器に対して返送するテーブルともなっている。
【0035】
次に、図2及び図3を用いて、印刷ジョブデータ受信時に制御部11が実行する印刷制御処理の詳細を、説明する。
【0036】
図2に示してあるように、印刷ジョブデータを受信した制御部11は、まず、HDD26から各トナーに関する補正済トナー残量値Vcを読み出して、各トナーに関する補正済トナー残量初期値Vcsとして記憶する処理(ステップS101)を、行う。
【0037】
次いで、制御部11は、受信した(受信し始めた)印刷ジョブデータ(以下、処理対象印刷ジョブデータと表記する)に応じた内容の1ページ分の印刷を、印刷機構部13に行わせるための処理を実行する(ステップS102)。すなわち、このステップS102において、制御部11(CPU22)は、処理対象印刷ジョブデータから印刷用データをRAM23上に生成し、当該印刷用データをメモリ制御部25を介してビデオ信号生成回路28に供給する処理を、行う。
【0038】
その後、制御部11は、補正済トナー残量値算出処理(ステップS103)を開始し、図3に示してあるように、まず、各トナーに関する現ドットカウント値Nc,現比例係数R,前トナー残量値Lp,ページ単位ドットカウント値Nを特定する(ステップS201)。すなわち、制御部11(CPU22)は、このステップS201において、各トナーに関する現ドットカウント値Nc,現比例係数R,前トナー残量値LpをHDD26から読み出すと共に、各トナーに関するページ単位ドットカウント値Nをビデオ信号生成回路28から取得する処理を、行う。
【0039】
次いで、制御部11は、各トナーに関するトナー残量値Lを印刷機構部13(印刷エンジン)から取得し、各トナーに関する現トナー残量値Lcとして記憶する処理(ステップS202)を、行う。
【0040】
そして、制御部11は、後述するステップS204〜S208の処理を行うトナー(以下、処理対象トナーと表記する)を選択(ステップS203)し、処理対象トナーに関するLc値とLp値とが一致していた場合(ステップS204;YES)には、処理対象トナーに関する現ドットカウント値Ncに、処理対象トナーに関するページ単位ドットカウント値Nを加算してから、処理対象トナーに関する補正済トナー残量値Vcの値を“Lp−Nc・R”(=“Lc−Nc・R”)に変更する処理(ステップS205)を行う。
【0041】
一方、処理対象トナーに関するLc値とLp値とが一致していていなかった場合(ステップS204;NO)、制御部11は、処理対象トナーに関する現ドットカウント値Ncに、処理対象トナーに関するページ単位ドットカウント値Nを加算(ステップS205)した後、処理対象トナーに関する総ドット数管理テーブルに、トナー残量値Lpに対する総ドット数Na(以下、Na(Lp)と表記する)がNcであることを記憶する(ステップS206)。また、制御部11は、このステップS206にて、印刷中に処理対象トナーに関するトナー残量値Lが変化したことを記憶する処理(所定のフラグをONとする処理)も、行う。
【0042】
次いで、制御部11は、前トナー残量値Lp、現比例係数R、現ドットカウント値Ncの値を、それぞれ、Lc、1/Nc[=(Lp−Lc)/Nc]、“0”に変更し、補正済トナー残量値Vcの値をLpとする処理(ステップS208)を行う。
【0043】
ステップS205或いはS208の処理を終えた制御部11は、全てのトナーに関する補正済トナー残量値Vcの算出が完了したか否かを判断(ステップS209)し、全てのトナーに関する補正済トナー残量値Vcの算出が完了していなかった場合(ステップS209;NO)には、ステップS203からの処理を再び実行する。一方、全てのトナーに関する補正済トナー残量値Vcの算出が完了していた場合(ステップS209;YES)、制御部11は、この補正済トナー残量算出処理を終了する。
【0044】
補正済トナー残量算出処理を終了した制御部11は、図2に示してあるように、処理対象印刷ジョブデータに対する処理(処理対象印刷ジョブデータにて印刷が指示されている全ページの印刷)が完了したか否かを判断(ステップS104)し、完了していなかった場合(ステップS104;NO)には、ステップS102からの処理を実行する。
【0045】
そして、制御部11は、処理対象印刷ジョブデータに対する処理が完了した場合(ステップS104;YES)には、ステップS106〜S109の処理を行うトナーである処理対象トナーを選択(ステップS105)し、その処理対象トナーに関するトナー残量値Lが印刷中に変化したことを記憶していなかった場合(ステップS106;NO)には、処理対象トナーに関する補正済トナー残量初期値Vcs(すなわち、印刷開始時点における補正済トナー残量値Vc)から、処理対象トナーに関するその時点における補正済トナー残量値Vcを減じた値Vuを、算出・記憶する(ステップS109)。
【0046】
その後、制御部11は、ステップS106〜S109の処理を全てのトナーに対して行ったか否かを判断(ステップS110)し、ステップS106〜S109の処理を行っていないトナーが存在していた場合(ステップS110;NO)にはステップS105以降の処理を再び実行する。
【0047】
いずれのトナーについても印刷中にトナー残量値Lが変化していなかった場合、制御部11は、各トナーに対してステップS109の処理を行った後に(いずれのトナーに対してもステップS107、S108の処理を行うことなく)、ステップS105〜S110の処理ループを抜け出す。そして、制御部11は、ステップS111にて、処理対象印刷ジョブデータのヘッダに含まれていたユーザ名を含むと共に、各トナーに関するVu値、Vcs値、Vc値を、それぞれ、各トナーに関するトナー使用量値、印刷開始時トナー残量量値、印刷終了時トナー残量値として含む利用状況情報を、利用状況管理テーブルに追加する処理を行ってから、この印刷制御処理を終了する。
【0048】
一方、処理対象トナーに関するトナー残量値Lの値が印刷中に変化していた場合(ステップS106;YES)、制御部11は、処理対象トナーに関する総ドット数管理テーブルから、トナー残量初期値Vcsの小数点以下を切り上げた値(以下、Rup(Vcs)と表記する)と対応づけられている総ドット数Na(Rup(Vcs))と、トナー残量値“Rup(Vcs)+1”と対応づけられている総ドット数Na(Rup(Vcs)+1)とを読み出し、それぞれの逆数をR1、R2として記憶する(ステップS107)。なお、Rup(Vcs)=100である場合(この場合、総ドット数管理テーブル内にNa(Rup(Vcs)+1)が記憶されていない)、制御部11は、このステップS107において、総ドット数管理テーブルから、総ドット数Na(Rup(Vcs))を読み出して、その逆数をR1として記憶し、R2として、処理対象トナーに関するR0値を記憶する処理を、行う。
【0049】
そして、制御部11は、Vcsの値を“Vcs・R1/R2”に変更してから、ステップS107の処理を終了する。
【0050】
すなわち、このステップS107において、制御部11は、総ドット数Na(Rup(Vcs))が総ドット数Na(Rup(Vcs)+1)と等しいという仮定に基づき算出されているVcs値(図2のステップS205参照)を、値が確定した総ドット数Na(Rup(Vcs))等を用いてより正確な値に変更する処理を、行う。
【0051】
ステップS107の処理を終えた制御部11は、利用状況管理テーブル内の、所定の条件を満たす各利用状況情報(図では、要修正利用状況情報)の内容を変更する処理(ステップS108)を、行う。より具体的には、このステップS108において、制御部11は、まず、利用状況管理テーブルに記憶されている利用状況管理情報の中から、処理対象トナーに関する印刷終了時トナー残量値の値が、Rup(Vcs)以下となっている利用状況管理情報を全て特定する(Vcsは、印刷制御処理開始時の補正済トナー残量値であるので、印刷終了時トナー残量値の値は、どの状況管理情報においてもVcs以上となっている)。次いで、制御部11は、特定した利用状況管理情報のそれぞれについて、以下の処理を行う。
【0052】
まず、制御部11は、利用状況管理情報に含まれる処理対象トナーに関する印刷開始時トナー残量値の値がRup(Vcs)以下となっているか否かを判断する。そして、利用状況管理情報に含まれる処理対象トナーに関する印刷開始時トナー残量値の値がRup(Vcs)以下となっていた場合には、その利用状況管理情報内の処理対象トナーに関するトナー使用量値、印刷開始時トナー残量値、印刷終了時トナー残量値を、いずれも、R1/R2倍する処理を行う。一方、処理対象トナーに関する印刷開始時トナー残量値がRup(Vcs)以下となっていなかった場合、制御部11は、利用状況管理情報が利用状況管理テーブル内に記憶されていた場合には、その利用状況管理情報の処理対象トナーに関する印刷終了時トナー残量値を“Rup(Y)−(Rup(Y)−Y)・R1/R2”(Yは、変更前の印刷終了時トナー残量値)に変更するとともに、その利用状況管理情報内の処理対象トナーに関するトナー使用量値を、その利用状況管理情報内の処理対象トナーに関する印刷開始時トナー残量値(変更していない値)から、値を変更した印刷終了時トナー残量値を減じた値に変更する処理を、行う。
【0053】
要するに、このステップS108において、制御部11は、ステップS107と同様に、総ドット数Na(Rup(Vcs))が総ドット数Na(Rup(Vcs)+1)と等しいという仮定に基づき算出されているVcs値、そのVcs値を用いて算出されているVu値等を、値が確定した総ドット数Na(Rup(Vcs))等を用いてより正確な値に変更する処理を、行う。
【0054】
そして、このステップS108の処理を終えた制御部11は、既に説明したステップS109以降の処理を、行う。
【0055】
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る印刷装置10は、印刷エンジンが描画を行ったドット総数のみからではなく、印刷エンジンが描画を行ったドット総数と印刷機構部13(印刷エンジン)が出力するトナー残量値Lとから、当該トナー残量値Lよりも有効桁数の大きな(より正確な)補正済トナー残量値Vcを算出する装置となっている。このため、本実施形態に係る印刷装置10は、印刷エンジンが描画を行ったドット総数のみからトナー残量を算出するようにした場合に生ずる問題(不正確なトナー残量が出力されることがあるといった問題)が生ずることがない装置として機能することになる。また、本実施形態に係る印刷装置10は、既存の印刷装置の僅かな改良で製造できるものであるので、本実施形態に係る印刷装置10の構成は、正確なトナー残量を出力可能な印刷装置10を、安価に製造できるものとなっているということも出来る。
【0056】
<変形形態>
上記した印刷装置10は、各種の変形を行うことが出来る。例えば、印刷装置10は、各トナーに関して形成されたドット数をカウントするために、ハードウェア(ビデオ信号生成回路28)を用いたものであったが、ソフトウェアによりドット数のカウントが行われるように、印刷装置10を変形しておいても良い。ただし、ソフトウェアによりドット数をカウントさせるのようにすると、印刷用データの生成により長い時間を要するようになってしまうので、実施形態の構成を採用しておくことが望ましい。
【0057】
また、印刷装置10は、ドット数をカウントする(ビデオ信号生成回路28により、パルスの数がカウントされる)装置であったが、ドットの幅(パルスの幅)により重み付けがなされたドット数を用いて、補正済トナー残量値Lcが算出されるように、印刷装置10を変形しておいても良い。
【0058】
また、印刷装置10は、いわゆるネットワークプリンタであったが、印刷装置10で用いられている技術に基づき、ローカルプリンタ、FAX、複写機、複合機等を実現しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る印刷装置の構成の説明図。
【図2】 実施形態に係る印刷装置にて実行される印刷制御処理の流れ図。
【図3】 実施形態に係る印刷装置にて実行される補正済トナー残量値算出処理の流れ図。
【符号の説明】
10 印刷装置、11 制御部、12 コントロールパネル
13 印刷機構部、28 ビデオ信号生成回路

Claims (2)

  1. トナーカートリッジが装着されて使用される印刷装置であって、
    与えられたデータに応じた内容の印刷物を前記トナーカートリッジを利用して生成する印刷物生成手段と、
    前記トナーカートリッジ内に残っているトナーの量を表す第1トナー残量データとして、その値が第1所定値単位で変化する第1トナー残量データを出力する第1トナー残量データ出力手段と、
    前記第1トナー残量データ出力手段が出力する第1トナー残量データが変化した後に前記印刷物生成手段が前記トナーカートリッジ内のトナーを利用して描画したドット数を管理するドット数管理手段と、
    前記第1トナー残量データ出力手段が出力する前記トナー残量データと、前記ドット数管理手段により管理されているドット数とに基づき、前記トナーカートリッジ内に残っているトナーの量を表す第2トナー残量データとして、その値が前記第1所定値よりも小さな第2所定値単位で変化する第2トナー残量データを出力する第2トナー残量データ出力手段と、
    前記第2トナー残量データ出力手段が出力する前記第2トナー残量データを含むログ情報を記録するログ情報記録手段と、
    前記第1トナー残量データ出力手段が出力する第1トナー残量データの値が変化した後に、前記ログ情報記録手段により記録された各ログ情報内の、その値が変化前の第1トナー残量データの値と変化後の第1トナー残量データの値との間に入っている各第2トナー残量データの値を修正するログ情報修正手段
    とを、備えることを特徴とする印刷装置。
  2. 複数のトナーカートリッジが装着されて使用される印刷装置であって、
    与えられたデータに応じた内容の印刷物を前記複数のトナーカートリッジを利用して生成する印刷物生成手段と、
    前記複数のトナーカートリッジのそれぞれについて、そのトナーカートリッジ内に残っているトナーの量を表す第1トナー残量データとして、その値が第1所定値単位で変化する第1トナー残量データを出力する第1トナー残量データ出力手段と、
    前記複数のトナーカートリッジのそれぞれについて、前記第1トナー残量データ出力手段が出力する第1トナー残量データが変化した後に、前記印刷物生成手段がそのトナーカートリッジ内のトナーを利用して描画したドット数を管理するドット数管理手段と、
    前記第1トナー残量データ出力手段が各トナーカートリッジに関して出力する前記トナー残量データと、前記ドット数管理手段により各トナーカートリッジに関して管理されているドット数とに基づき、前記複数のトナーカートリッジのそれぞれについて、そのトナーカートリッジ内に残っているトナーの量を表す第2トナー残量データとして、その値が前記第1所定値よりも小さな第2所定値単位で変化する第2トナー残量データを出力する第2トナー残量データ出力手段と、
    前記第2トナー残量データ出力手段が各トナーカートリッジに関して出力する前記第2トナー残量データを含むログ情報を記録するログ情報記録手段と、
    前記第1トナー残量データ出力手段が出力する或るトナーカートリッジに関する第1トナー残量データの値が変化した後に、前記ログ情報記録手段により記録された各ログ情報内の、当該トナーカートリッジに関する、その値が変化前の第1トナー残量データの値と変化後の第1トナー残量データの値との間に入っている第2トナー残量データの値を修正するログ情報修正手段
    とを、備えることを特徴とする印刷装置。
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