JP3864058B2 - 送信機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチ操作により操作信号を出力する送信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両におけるエンジン始動や扉の開閉などにおいて、その操作性を向上するために、機械式キーの代わりに無線信号の授受により上記動作を可能にした車両用キーレスエントリー装置がある。その装置においてユーザが操作するための送信機にあっては、複数の押し釦スイッチを設けることにより、例えば自動車におけるドアの解錠/施錠やトランクリッドの解錠を1つの送信機で行うことができ、利便性が増す。
【0003】
上記したような複数の押しボタンスイッチを送信機に設ける際には、例えばドアロック解錠用とトランクリッド解錠用との2つのスイッチを有する送信機21において、図8に示されるように各操作部21a・21bを送信機21のケースにそれぞれ別個に配置することが考えられる。各操作部21a・21bを押すことにより送信機21から発信される各対応する信号を、車両に設けられたレシーバ22で受信し、信号別にドアロック解錠アクチュエータ23またはトランクリッド解錠アクチュエータ24を駆動する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような車両用キーレスエントリー装置における送信機21にあっては、スイッチに対する防水性の確保のために防水シートを設ける必要がある。その場合には、各操作部21a・21b毎にそれぞれ防水シートを設けることになる。しかしながら、スイッチの数だけ防水シートが必要となり、コストが高騰化するばかりでなく、組み立てが煩雑化するという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決して、複数の操作スイッチを内蔵した送信機において組み立てが簡略化されかつ低廉化し得ることを実現するために、本発明に於いては、異なる操作信号を出力するために複数の操作スイッチが取り付けられた回路基板をケースに内蔵した送信機であって、前記各操作スイッチを近接して配置すると共に、外部操作力を前記各操作スイッチ別に伝達するための各操作力伝達部を設け、前記各操作力伝達部を、互いに独立して変位可能なように前記ケースにその肉厚方向に貫通するスリットを入れてたわみ易く形成し、かつ1枚のシートにより覆い前記各操作力伝達部において、前記各操作スイッチにおける使用頻度の高いものに対応する方の変位範囲を広くすると共に、前記ケースの裏面における前記各操作力伝達部の隣接するもの同士の間に、一方の操作力伝達部の変位が他方の操作力伝達部に伝達されることを防止するべく前記回路基板に当接する仕切り壁が突設されているものとした。
【0006】
これによれば、1つの送信機に複数の操作スイッチを設けたものにあって、その操作スイッチに対する防水などのためのシートを1枚としたことから、組み立て工数の簡略化により低廉化し得ると共に、操作力伝達部における使用頻度の高いものに対応する方の変位範囲を広くしたことから、送信機の大きさが限られている場合において使用頻度の高い方の操作性を簡単な形状で容易に確保することができる。
【0007】
また、前記各操作力伝達部の隣接するもの同士の間に、一方の操作力伝達部の変位が他方の操作力伝達部に伝達されることを防止するべく前記ケースの裏面に前記ケース内に組み付けられた回路基板に当接するように突設された仕切り壁が設けられていることによれば、各操作スイッチを近接させても個々の操作における誤操作を防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面に示された具体例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明が適用された自動二輪車用キーレスエントリー装置の構成を示す概略回路図である。図に示されるように、ユーザが操作する可搬型の送信機1には、内蔵されている2つの押し釦スイッチに対して操作可能な領域を示す大操作部2及び小操作部3が設けられている。大操作部2または小操作部3を操作(押圧)すると、それぞれに応じた例えば赤外線信号が出力され、その赤外線信号を車両側に設けた制御回路4の受光部4aにより受信するようになっている。
【0010】
制御回路4には、電源に接続されたイグニッションスイッチIGの接地側が接続されていると共に、そのイグニッションスイッチIGのオンにより各電装ユニットへ電力を供給するべく上記同様に電源に接続されたリレー4bのコイルの接地側が接続されている。また、制御回路4には、図示されないイグニッションスイッチボックスのポップアップの位置を検出するための検出センサSW1と、図示されないシートロック(収容部の蓋としてのシートに対するロック)の解錠を検出するための検出センサSW2とからの各接点信号が入力されるようになっている。
【0011】
本制御回路4により、その制御対象となるイグニッションスイッチボックスをポップアップさせるためのポップアップアクチュエータ5と、上記シートロックを解錠するためのシートロックアクチュエータ6と、図示されない燃料タンクのキャップを開栓可能にするためのキャップ開栓アクチュエータ7とが駆動制御されるようになっている。なお、制御回路4には左右の各方向指示灯L1・L2も接続されている。
【0012】
このようにして構成された本キーレスエントリー装置にあっては、送信機1からの各操作部2・3の操作に応じた押し釦スイッチによる信号により、上記各アクチュエータ5・6・7が駆動されるようになっている。
【0013】
次に、送信機1の構造について以下に示す。本送信機1は、図2に示されるようにアッパケース8とロアケース9とを互いに重ね合わせ、その中に回路基板10と電池11とを内蔵している。回路基板10には、図3に示されるように、上記大操作部2に対応する第1スイッチとしての押し釦スイッチ12aと、小操作部3に対応する第2スイッチとしての押し釦スイッチ12bと、外部へ赤外線信号を発信するためのLED13と、各素子(図示せず)とが取り付けられている。
【0014】
アッパケース8の裏面(送信機1の内側)には、図4及び図5に示されるように、回路基板10の4つの角部に弾発的に係合し得る係止片8aが突設されている。これにより、アッパケース8側に回路基板10が一体的に組み付けられる。
【0015】
アッパケース8には、各押し釦スイッチ12a・12bに対応する部分をたわみ易くするために、図5に良く示されるようにそれぞれ複数本のスリット8c・8dを入れて形成された操作力伝達部としての各可撓部14・15が設けられている。そして、上記大操作部2に対応する可撓部14の変位範囲を広くするようにスリット8cを入れ、小操作部3に対応する可撓部15の変位範囲は相対的に狭くするようにスリット8dを入れている。
【0016】
また、各可撓部14・15の裏側(回路基板10側)の中央部には扁平円柱状の各突部14a・15aが形成されており、それら突部14a・15aが、対応する各押し釦スイッチ12a・12bに近接するようになっている。
【0017】
さらに、アッパケース8の裏面には、各可撓部14・15の間にて仕切り壁8bが突設されている。その仕切り壁8bは、回路基板10を組み付けた状態で回路基板10に当接するようにされている。
【0018】
アッパケース8の表側には、各可撓部14・15を覆う例えば防水性のシート16が一体的に取り付けられる。このシート16の表面には、上記各操作部2・3の領域区分が例えば印刷にて描かれている。このように1枚のシート16で両可撓部14・15が連結されるようになるが、上記したように両者間に仕切り壁8bが設けられていることにより、大操作部2または小操作部3を押し込んだ際に、仕切り壁8bにて可撓部14・15の一方の操作力(押圧力)が他方に影響することを防止し得るため、両押し釦スイッチ12a・12bを同時に押してしまうような誤操作を防止することができる。
【0019】
また図6に示されるように、ロアケース9には電池11を収容する電池収容部9aが形成されていると共に、電池11及び回路基板10を防水するためのOリング17を支持するための周壁部9bが形成されている。また、ロアケース9の適所には回路基板10を支持する柱部9cが設けられている。アッパケース8には、上記周壁部9bに対応しかつ回路基板10を外囲する形状の環状段部8eが形成されており、周壁部9bと環状段部8eとの間に挟持するようにOリング17が組み付けられる。なお、両ケース8・9は、周壁部9bと環状段部8eとにそれぞれ形成された凹凸部により互いに弾発係合して一体的に組み付けられるようになっている。
【0020】
本送信機1にあっては、上記各可撓部14・15の各変位範囲が大小の大きさに設けられていると共に、シート16における操作領域も大操作部2及び小操作部3として図1に示されるように区分されている。この大操作部2の方を使用頻度の高い操作に割り当てて、例えば本図示例では上記したイグニッションスイッチボックスをポップアップさせるためのものである。そして、小操作部3に対する押し方の違いにより、シートロックの解錠と燃料タンクのキャップ開栓とを行うようにする。以下に、それらの操作方法について示す。
【0021】
図7(a)に示されるように、押し釦スイッチ12a(大操作部2)を押すことにより(短くて良い)、所定の応答時間後にLED13からポップアップアクチュエータ5に対する駆動信号(A+a)が出力される。この駆動信号(A+a)は、基本コードA(例えば車両識別コード)にポップアップアクチュエータ駆動信号用コードaを加えたものであって良い。この場合には、上記したイグニッションスイッチボックスがポップアップし、それによりイグニッションスイッチIGを操作できるようになる(例えばキー差し込み口が露出する)。そして、イグニッションスイッチIGをオンすることにより、リレー4bがオンする。
【0022】
押し釦スイッチ12b(小操作部3)にあっては、短く押す場合(図7(b))と、長く押す場合(図7(c))とで、LED13から出力される信号を変えるようにしている。すなわち、所定時間Taよりも短く押した場合には、その押す動作終了時に、基本コードAにシートロックアクチュエータ6に対する駆動信号用コードbを加えた駆動信号(A+b)が出力され(図7(b)参照)る。所定時間Taよりも長く押した場合には、所定時間Ta経過時に、基本コードAにキャップ開栓アクチュエータ7に対する駆動信号用コードcを加えた駆動信号(A+c)が出力される。
【0023】
このように、押し方に応じてコードを変えた操作信号を出力することにより、可搬性の送信機1など、大きさが限られたものにおいて操作スイッチの数をそれ程増やせない場合であっても、操作スイッチの数以上のものを操作対象とすることができ、利便性が良い。
【0024】
なお、本図示例では、自動二輪車のイグニッションスイッチボックスのポップアップや、シートロックの解錠や燃料タンクのキャップ開栓を行うようにしたが、操作対象はそれらに限られるものではなく、自動車におけるドアロックやトランクリッドの施解錠などに用いることができる。さらに、操作スイッチの数も2つに限られず、3つ以上であっても同様に適用可能である。
【0025】
【発明の効果】
このように本発明によれば、1つの送信機に複数の操作スイッチを設けたものにあって、その操作スイッチに対する防水などのためのシートを1枚としたことから、組み立て工数の簡略化により低廉化し得ると共に、操作力伝達部における使用頻度の高いものに対応する方の変位範囲を広くしたことから、送信機の大きさが限られている場合において使用頻度の高い方の操作性を簡単な形状で容易に確保することができる。また、各操作力伝達部の隣接するもの同士の間に、一方の操作力伝達部の変位が他方の操作力伝達部に伝達されることを防止する仕切り壁を設けることにより、各操作スイッチを近接させても個々の操作における誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された自動二輪車用キーレスエントリー装置の構成を示す概略回路図。
【図2】本発明に基づく送信機の縦断面図。
【図3】回路基板を示す図。
【図4】アッパケースを示す縦断面図。
【図5】図4の矢印V線から見たアッパケースの裏面図。
【図6】ロアケースの裏面図。
【図7】(a)は押し釦スイッチ12aを操作した場合の出力を示す図であり、(b)は押し釦スイッチ12bを短く押した場合の出力を示す図であり、(c)は押し釦スイッチ12bを長く押した場合の出力を示す図である。
【図8】従来の車両用キーレスエントリー装置を示す概略ブロック図。
【符号の説明】
1 送信機
2 大操作部
3 小操作部
4 制御回路、4a 受光部
5 ポップアップアクチュエータ
6 シートロックアクチュエータ
7 キャップ開栓アクチュエータ
8 アッパケース
8a 係止片、8b 仕切り壁部、8c・8d スリット、 8e 環状段部
9 ロアケース、9a 電池収容部、9b 周壁部、9c 柱部
10 回路基板
11 電池
12a・12b 押し釦スイッチ
13 LED
14・15 可撓性部、14a・15a 突部
16 シート

Claims (1)

  1. 異なる操作信号を出力するために複数の操作スイッチが取り付けられた回路基板をケースに内蔵した送信機であって、
    前記各操作スイッチを近接して配置すると共に、外部操作力を前記各操作スイッチ別に伝達するための各操作力伝達部を設け、
    前記各操作力伝達部を、互いに独立して変位可能なように前記ケースにその肉厚方向に貫通するスリットを入れてたわみ易く形成し、かつ1枚のシートにより覆い、
    前記各操作力伝達部において、前記各操作スイッチにおける使用頻度の高いものに対応する方の変位範囲を広くすると共に、
    前記ケースの裏面における前記各操作力伝達部の隣接するもの同士の間に、一方の操作力伝達部の変位が他方の操作力伝達部に伝達されることを防止するべく前記回路基板に当接する仕切り壁が突設されていることを特徴とする送信機。
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