JP3863787B2 - 光中継器接続用封止ファイバガイド - Google Patents

光中継器接続用封止ファイバガイド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海底で用いられる光海底中継器の耐圧筐体に光ファイバを導入するフィードスルー内に取り付けられたファイバガイドを用いた光海底中継器に関するものであり、光ファイバの光損失を低減する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光海底中継器は、光通信システムの一部として、海底に設置される光海底ケーブルで使用される中継器である。図4はこの光海底中継器の構成を示す部分断面図である。図において、1は耐圧筺体、2はシリンダ、3は放熱緩衝体、4は中継器回路、5は端面板、6はフィードスルー、7はテールケーブルである。
この中継器の主な構成部分である中継器回路4は、その周りを放熱緩衝体3、シリンダ2と端面板5からなる耐圧筐体1に囲まれている。光海底ケーブル内の光ファイバは、光海底中継器に導入され、テールケーブル7、端面板5に取り付けられたフィードスルー6を通り、中継器回路4に接続される。
【0003】
この耐圧筐体1に導入する複数本の光ファイバは、フィードスルー6内に取り付けられたファイバガイド16に低融点金属で封止されている。図3(c)はファイバガイド16を示す断面図である。図において、11は光ファイバ、12はガイド、13はスリーブ、14は低融点金属で例えばはんだ、15はナット、17はスリーブ13の端部の気密封止部である。
【0004】
図3(a)は、フィードスルー内に光ファイバを気密に導入したガイド12部分のみを取り出して示した構造断面図であり、図3(b)に示すスリーブ13に封止する前の構造である。図に示したように、複数本の光ファイバ11をガイド12の外周に、円筒中心からみて対称位置に内接して取まくように配置した光ファイバ11を、1本毎に収納する溝20を周囲に設けている。
このガイド12をスリーブ13内に挿入し、ナット15でガイド12をスリーブ13内に固定した後、光ファイバを真っ直ぐにした状態で光ファイバ11の保護7被覆を除去してコア部にメタル蒸着した金属被覆部24で、ガイド12とスリーブ13との間を低融点金属14、例えばはんだなどで封止し、気密封止部17を形成する。この気密封止部17は、ケーブルが切断された時などに海底8000mの環境において、耐圧筐体1内の中継器回路4に海水が進入するのを1000時間以上防ぐ働きをする。
【0005】
しかしこの封止部分には、はんだの凝固時や、あるいは海底8000mの環境を模擬した気密試験におけるHeガスの加圧時に、気密封止部17の低融点金属14内に、例えば図5に示される応力ムラが発生し、それに比例して光ファイバ11に内部応力不均一やマイクロベンドが増え、結果として光損失が増加する。従来の技術によれば、ファイバガイドに光ファイバを気密封止する構造として、気密封止部17の深さが10mmのファイバガイドが一般的であり、それ以上の詳細については検討されていない。
図5はこの具体的な応力ムラの発生を示す図であり、はんだが凝固する過程で発生する応力ムラや、大きな外圧による応力ムラが溶融金属全体に発生して、ファイバの軸方向の長い部分に直接圧力を与える様子を示している。
【0006】
特開平3−242605号公報によれば、光ファイバ導入部の気密封止構造が示されている。しかしこれは単に光ファイバを封止するもので、その経年変化による劣化防止と作業性の向上のため、はんだ付け部分よりも長いスリーブにファイバを挿入して、端面からファイバに添ってはんだ封止する構成を示している。同様に特開平9−49945号公報では、光半導体モジュールの気密封止方法が示されている。これは1本の光ファイバを確実にパッケージ等の他の器具に気密封止する一般的な構造を示しているに過ぎない。また特開2001−154033号公報では、筐体への光ファイバ導入部構造が示されている。しかしこれも光海底中継器に使用するため、気密性に重点が置かれていることは容易に推定できるが、そのためにかえってはんだをスリーブに添ってケーブル長さ方向に十分に長く流し込む構造を示している。いずれにせよ、はんだが受ける凝固や、圧力によるムラには言及されていないし、ましてそれによる光損失は何も検討されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方法は上記のように構成されており、低融点金属14にて封止された区間内にある光ファイバは、低融点金属14が凝固する際に気密封止部17の低融点金属14内に凝固ムラによる内部応力が深さに比例して発生し、それにより光ファイバ11に確実に内部応力不均一やマイクロベンドが起こっており、光損失が増大するという課題がある。
これは半田封止の後工程で封止部の気密試験を行う際にも同様である。即ち、Heガスの加圧による負荷が加わり、気密封止部17の低融点金属14内に内部応力が発生する。このため、それに比例して光ファイバ11の内部応力の不均一やマイクロベントがさらに進展し、これによる光損失が増大するという課題がある。
光中継器は使用時には海底8000mに置かれるので、初期劣化のみならず、経年変化によっても光損失が増加し、機器の寿命を縮めることにもなる。
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、金属で封止される長さ(深さともいう)を適切にすることで、気密封止用低融点金属内の発生応力を減らして、従って光損失の低下を防いだ光ファイバガイドを得る。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る光中継器接続用封止ファイバガイドは、複数の光ファイバを束ねてスリーブに嵌合させて封止する光中継器用の接続用ファイバガイドにおいて、
スリーブと上記光ファイバとを封止する部分の、ファイバの軸方向長さで封止長さを1〜5mmとした。
【0010】
また更に、光ファイバを封止するスリーブの開口端部に溶融性金属の受け部分を設けて、その深さを封止深さとした。
【0011】
また更に、ガイドの外周壁面に光ファイバを収容する溝を設けて、この溝を円中心に対して均等に配置した。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明においては、複数の光ファイバをスリーブに挿入する構造とし、光ファイバを1本毎に外壁に収納する溝を、円筒中心からみて対称な位置となるよう周囲に設けてガイドとし、併せて密着性を高めて気密構造とする。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。本実施の形態における光中継器とファイバガイドは、図3と図4に示すものと同じである。ファイバガイド16は、フィールドスルー6の中に取り付けられる。光ファイバ11は、スリーブ13のガイド12に添ってスリーブ13の中に挿入され、ナット15で止められて後、気密封止部17の低融点金属、例えばはんだで封止される。
気密封止部17を軸方向に1〜5mmとして、封止金属による深さを減らすことができる。はんだの凝固時あるいは封止部の気密試験を行う際のHeガスの加圧により、封止金属にて封止された区間の低融点金属14内に内部応力が発生する。それが光ファイバ11に対して内部応力不均一やマイクロベンドを起こさせ、光伝送特性が劣化する。これは気密封止部17の長さに比例する。本発明を示す図2の構造においては、気密封止部17bが短く、光ファイバ11に発生する内部応力不均一やマイクロベンドを減少させ、光伝送特性の低下が抑えられる。
【0013】
図1は、本実施の形態における封止部の長さ(深さ)による光損失の実測結果を示す図である。図1(a)は気密封止部深さを横軸に、対応して縦軸に絶対損失をグラフとして示し、図1(b)は封止深さが10mmを基準とした場合の相対損失を示す図である。また図のそれぞれ下にある表は、代表的な深さでの損失の数値である。例えば5mm深さの封止は、10mm深さの場合の損失に対して74パーセントにとどまり、3mm深さの封止と3mm深さの封止は、10mm深さの損失の、それぞれ73パーセント、72パーセントとなり、損失の改善は26ないし27パーセントにもなる。
しかし、0ないし3mmの深さでは、改善効果が飽和し、更に1mm以下の封止では、気密試験におけるHeガスの加圧に絶えることができず、回路への漏れが生じる。即ち、光損失の抑制と漏れの防止を両立させる封止部の最適範囲は、1〜5mmとなる。
【0014】
図3の構造において、ガイド12の外壁には複数の光ファイバ11をそれぞれ収容する溝が、円周中心からみて対称となるように設けられている。図3では判りにくいが、この各溝に空間を置いて嵌合しているので、断面図ではガイド12と光ファイバ11間に隙間があるように見えるが、これは溝を示している。この溝があるため、光ファイバ11は均等な圧力を受ける。
【0015】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、海底に設置する光中継器用の接続用ファイバガイドにおいて、スリーブのファイバを封止する封止長さを1〜5mmとしたので、初期に発生する、または経年変化で発生する応力ムラを少なくして、光損失を抑える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における封止長を説明する、封止長対応の光損失を示す図である。
【図2】 実施の形態1におけるスリーブとファイバ間の封止構造を示す断面図である。
【図3】 ファイバのガイド部分と、スリーブとナットと、両者を組み合せたファイバガイドを示す図である。
【図4】 光海底中継器を収容した全体構成の断面図である。
【図5】 従来のスリーブとファイバ間の封止構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 耐圧筺体、2 シリンダ、3 放熱緩衝体、4 中継器回路、5 端面板、6 フィールドスルー、7 テールケーブル、11 光ファイバ、12 ガイド、13 スリーブ、14 低融点金属、15 ナット、16 ファイバガイド、17,17b 気密封止部、20 溝、24 金属被覆部。

Claims (1)

  1. 複数の光ファイバを束ねてスリーブに嵌合させて封止する光中継器用の接続用ファイバガイドにおいて、
    上記スリーブと上記光ファイバとを封止する部分の、ファイバの軸方向長さで該封止長さを1〜5ミリメータとし、かつ上記光ファイバを封止するスリーブの開口端部に上記光ファイバと同軸方向に該光ファイバと接する円筒状の溶融性金属の受け部分を設けて、該受け部分の上記開口端部からの深さを上記封止長さとして上記溶融性金属を該封止長さ部分のみに満たしたことを特徴とする光中継器接続用封止ファイバガイド。
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