JP3863668B2 - 内視鏡システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡検査や内視鏡下手術において使用する内視鏡と、処置用の器材とを備えた内視鏡システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、体腔内臓器などを観察したり、必要に応じて処置用チャンネル内に挿通した処置用の器材(処置具とも記載する)を用いて各種治療処置のできる医療用の内視鏡が広く利用されている。
【0003】
前記処置用の器材は、内視鏡の処置具用チャンネルの直径寸法が細径(3mm程度)で長尺(2m程度)な管腔内に挿通可能なように細長な構造になっている。このため、この細長な処置用の器材を内視鏡の処置用チャンネルに挿入する際、折れたり、破損したりするおそれがあるので、医療者は処置用の器材を処置用チャンネルに挿入するために細心の注意を払わなければならなかった。
【0004】
例えば、特開昭64−80335号公報には前記処置具の挿入時の破損を防止するため、処置用の器材に適度な弾力性を有する部材を用いたり、先端形状を滑らかにすることで挿入性を向上させるようにした内視鏡が示されている。
【0005】
また、経内視鏡的に処置を行う場合、内視鏡と処置具とが独立しているため、医療者は両手を用いて、複雑な内視鏡の操作と処置具の操作とを行ったり、介添え者を含む数人で内視鏡と処置具との操作を行わなければならないので、熟練した操作技術を必要にしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開昭64−80335号公報に示されているように材料的な改善や形状を曲面にすることでは根本的な解決にならず、特に特殊な材料を使用する場合には材料の入手が困難なことや製造方法が複雑になって大量生産するには不向きで、処置具が高価になるなどといった問題があった。
【0007】
また、内視鏡と処置具との操作を容易化するために、内視鏡と処置具とを連結固定するものでは内視鏡の操作部と処置具の操作部とが干渉するため操作性が悪化するという問題があった。
【0008】
さらに、処置具に、細長な処置用の器材の洗滌、消毒などの後処理を行う際、洗滌し難く、後処理に時間がかかるという問題があるとともに、後処理後に処置具を保管、管理をする際、処置具が細長であるため保管スペースが大きくなるという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、処置具の破損を防止し、内視鏡下での操作が容易で、複数の内視鏡に使用でき、小さなスペースで保管が可能な内視鏡システムを提供することを目的にしている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様による内視鏡システムは、
処置手段を備えた内視鏡用モジュールと、この内視鏡用モジュールを内視鏡挿入部の先端部に着脱自在に取り付け可能な複数種類の内視鏡とを有する内視鏡システムにおいて、
前記内視鏡は、前記内視鏡用モジュールを着脱自在に取り付ける係止部と、挿入部先端面に開口するワイヤ用チャンネルと、前記ワイヤ用チャンネル内に進退自在に挿入した伝達ワイヤと、前記伝達ワイヤの先端側に設けた連結部材と、前記連結部材に設けた係合部と、を備え、
前記内視鏡用モジュールは、前記係止部に係止する被係止部を有して内視鏡挿入部先端部に着脱自在に取り付けられるモジュール本体と、先端側に処置手段を有し、後端側にモジュール側連結部材を設けると共に、前記処置手段及び前記モジュール側連結部材を前記モジュール本体に対して進退自在となすため当該モジュール本体に対して進退自在に挿通配置される処置具操作用チューブを設けた処置具と、前記モジュール側連結部材に設けて前記内視鏡の連結部材に設けた係合部に係合する被係合部と、を備えている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図4は本発明の第1実施形態に係り、図1は内視鏡システムの構成を示す説明図、図2は操作部の処置具挿入口から延出する伝達ワイヤ及びチューブの基端部の構成を示す図、図3は切開用モジュールを内視鏡の先端部に装着した状態を示す図、図4は切開用モジュールを先端部に装着した状態の内視鏡の作用を示す説明図である。
【0012】
図1に示すように本実施形態の内視鏡システムは、第1の内視鏡10と、第2の内視鏡20と、前記第1の内視鏡10と第2の内視鏡20とに選択的に着脱自在な切開用の内視鏡用モジュール(以下切開用モジュールと記載する)30とで構成されている。
【0013】
前記第1の内視鏡10は、挿入部11、操作部12、ユニバーサルコード13、コネクタ14とを備え、前記挿入部11の先端部15の外周には前記切開用モジュール30を着脱自在に取付け可能にする着脱手段を兼ねる第1の係止部16が設けられている。前記第1の係止部16は、磁石あるいは磁石によって吸着される金属からなり、周囲の色とは異なる色であり例えは赤色に着色されている。
【0014】
前記先端部15の先端面には前記切開用モジュール30に操作力を伝達する伝達ワイヤ40が進退自在に挿通されるワイヤ用チャンネル17と、吸引管路18と、図示しない対物光学系及び照明光学系のレンズの表面の汚物や水滴を除去する洗滌用のノズルに連通する送気・送水管路が開口している。
【0015】
前記伝達ワイヤ40の先端部には連結手段及び操作力伝達手段となる筒状で、内周面には雌ネジを形成した第1連結部材41が固設されている。前記伝達ワイヤ40は、先端側端部に雄ネジ部42を設けた網管入りのチューブ43に内挿されており、このチューブ43は先端硬性部19に形成されているワイヤ用チャンネル17の内孔に接着剤等によって水密的に固定されている。
【0016】
一方、前記切開用モジュール30は、硬質な樹脂部材である例えばポリオレフィン、ポリカーボネイト、ABS、ポリアミド、塩化ビニール、ラテックスや天然ゴム等で略パイプ形状に形成されて患部を配置することが可能な空間部である処置用空洞部31を有するモジュール本体32と、このモジュール本体32の基端部に固定されて着脱手段を兼ねて前記内視鏡10の第1の係止部16との係合部となる略パイプ形状の第1磁石33と、例えば輪状の切開部44を備えた処置手段である切開具45とで構成されている。
【0017】
前記切開具45は、一端側に前記切開部44を有し、他端側に前記内視鏡10側の第1連結部材41に形成されている雌ネジに連結可能な雄ネジ部46aを設けたモジュール側連結部材46と、前記切開具45が挿通され、前記モジュール本体32に対して進退自在に配置された切開具操作用チューブ47と、前記チューブ43の雄ネジ部42に螺合する雌ネジ部48aを端部内周面に設けた止め具48とで構成されている。
【0018】
前記第2の内視鏡20は、前記第1の内視鏡10と同様に、挿入部21、操作部22、ユニバーサルコード23、コネクタ24とを備え、前記挿入部21の先端部25の外周には前記切開用モジュール30を着脱自在に取付け可能にする着脱手段を兼ねる第2の係止部26が設けられている。この第2の係止部26の外径寸法と前記第1の係止部16の外径寸法とは同じ寸法に設定されている。
【0019】
前記第2の内視鏡20は、前記第1の内視鏡10の吸引管路18よりも内径寸法が大径な吸引管路28を有しており、このことにより前記第1の内視鏡10よりも大きな吸引量が得られる。また、この第2の内視鏡20は、挿入する対象臓器が大腸のように長い臓器に対応するものであり、前記第1の内視鏡10よりも挿入部21の長さが長くなっている。この第2内視鏡20のその他の構成は前記第1の内視鏡10と同様であり、同部材には同符合を付して説明を省略する。
【0020】
図2に示すように前記操作部12の処置具挿入口12aからは前記伝達ワイヤ40及び前記チューブ43が延出しており、このワイヤ40の基端には第1つまみ51が固設され、前記チューブ43の基端部には第2つまみ52が固設されている。なお、前記第2内視鏡20の操作部22も第1内視鏡10と同様に処置具挿入口22aから伝達ワイヤ40、チューブ43が延出する構造になっている。
【0021】
図3を参照して切開用モジュールの内視鏡の先端部への装着を説明する。
図に示すように切開用モジュール30を第1の内視鏡10に装着する手順を以下に示す。
【0022】
まず、伝達ワイヤ40の先端に設けられている第1連結部材41をワイヤ用チャンネル17から突出させるとともに、切開具45の後端部に配設したモジュール側連結部材46を止め具48から突出させる。そして、このモジュール側連結部材46の雄ネジ部46aを前記第1連結部材41の雌ネジに螺合して、伝達ワイヤ40と切開具45とを一体的に接続する。
【0023】
次に、チューブ43の先端部に設けた雄ネジ部42を前記ワイヤ用チャンネル17から突出させ、前記止め具48の雌ネジ部48aと雄ネジ部42とを螺合して前記チューブ43と前記止め具48とを一体的に固定する。
【0024】
次いで、モジュール本体32の第1の磁石33を、内視鏡10の先端部15に設けた第1の係止部16に対して挿入部長手軸方向にスライドさせ、前記第1の磁石33で前記第1の係止部16を覆った状態にして装着を完了する。
【0025】
図4を参照して切開用モジュール30を第1の係止部16に装着した内視鏡10の操作及び作用を説明する。
まず、切開用モジュール30を第1の係止部16に装着した内視鏡2を例えば体腔内に挿入してモジュール本体32を患部近傍に配置する。
次に、切開したい患部49に切開具45の切開部44をかけるため、第2ツマミ52に対し第1ツマミ51を押し込んで切開部44を前方に移動させて患部49に引っかける。
【0026】
次いで、前記第2ツマミ52に対して第1ツマミ51を後退させる。すると、切開具45が第1の磁石33の中に引き込まれ、前記切開部44の輪の大きさが小さくなって患部49を締め付ける。
【0027】
そして、この締め付けた状態で、切開用モジュール30に高周波電流を流す。このことによって、患部49は根本から切断され、処置が完了する。そして、処置完了後、内視鏡2を体腔内から抜去し、切開用モジュール30を内視鏡2から取り外す。
【0028】
その取り外しの手順は、取付け時の逆であり、まずモジュール本体32を第1の係止部16から取り外す。次に、操作チューブ43の雄ネジ部42と止め具48の雌ネジ部48aとの螺合状態を解除する。次いで、第1連結部材41の雌ネジとモジュール側連結部材46の雄ネジ部46aとの螺合状態を解除する。このことにより、内視鏡2と切開用モジュール30とが分離されてる。
【0029】
なお、図3及び図4で切開用モジュール30を第1の内視鏡10に装着する手順と、切開用モジュール30を先端部15に装着した第1の内視鏡10の作用を説明したが、切開用モジュール30を第2の内視鏡20に装着する手順及び切開用モジュール30を先端部15に装着した第2の内視鏡20の作用は、前記切開用モジュール30を第1の内視鏡10に装着する手順と、切開用モジュール30を先端部15に装着した第1の内視鏡10の作用と同様である。
【0030】
このように、2つの内視鏡にそれぞれ設けられている第1の係止部と第2の係止部の外径寸法を同一寸法に形成したことにより、同一種類の切開用モジュールを第1の内視鏡にも第2の内視鏡にも選択的に装着することができる。
【0031】
また、内視鏡用モジュールの内視鏡の挿入部先端部への取付けを、内視鏡用モジュールに設けた第1の磁石の磁力によって、第1の係止部あるいは第2の係止部に固定したことにより、装着作業性を大幅に向上させることができる。
【0032】
さらに、係止部と係合部との装着方向が挿入部長手軸方向なので対物光学系などに干渉することがないので先端部の外径を小さくすることができる。
【0033】
又、第1の磁石を第1の係止部あるいは第2の係止部に取り付けた状態のとき、この第1の磁石と係止部とが挿入部長手軸方向に所定の長さの嵌合長を有しているので第1の磁石を係止部に安定した状態で装着することができる。
【0034】
また、第1の磁石が第1の係止部又は第2の係止部に適正に装着された状態のとき、周囲と色の異なる第1の係止部あるいは第2の係止部が第1の磁石によって完全に覆われることによって、内視鏡用モジュールが適正な位置に装着されていることを容易に確認することができる。
【0035】
また、第1の内視鏡や第2の内視鏡の先端部を、例えば赤色等、周囲と違う色で構成したことにより、先端部が赤色でないモジュールタイプでない内視鏡との識別を容易に行うことができる。
【0036】
また、切開用モジュールを装着していない状態の第1の内視鏡あるいは第2の内視鏡の先端部を、周囲と異なる例えば赤色にしたことにより、検査開始時に切開用モジュールのつけ忘れを防止することができる。
【0037】
なお、前記モジュール本体32に第1の磁石33を設ける代わりに、弾性力を有するエラストマーからなり自然状態では前記第1の磁石の内径寸法又は前記第1の係止部16及び第2の係止部26の外径寸法より小さく構成された弾性固定部材を設けることによって、第1の係止部16又は第2の係止部26に弾性固定部材が装着されると、この弾性固定部材が弾性を有することによって拡開するように変形するが、このとき弾性固定部材の復元力が締め付け力になって、弾性固定部材を設けた切開用モジュールが第1の内視鏡10あるいは第2の内視鏡20に固定することができる。
【0038】
また、第1の係止部16及び第2の係止部26の外周面に周方向の凹部を設け、切開用モジュール30の弾性固定部材の内周面に前記凹部に対応する凸部を設けることによって、切開用モジュール30を第1の係止部16又は第2の係止部26に装着したとき、前記凹部に凸部が係入してより確実に切開用モジュールを第1の内視鏡10あるいは第2の内視鏡20に固定することができる。
【0039】
図5及び図6は本発明の第2実施形態に係り、図5は内視鏡システムの他の構成を示す説明図、図6は切開用モジュールを内視鏡の先端部に装着した状態を示す図である。
【0040】
図5に示すように本実施形態の内視鏡システムにおいては、モジュール本体32の基端部に着脱手段を兼ねて前記内視鏡10の第1の係止部16との係合部となる略パイプ形状の第1磁石33を設ける代わりに、モジュール本体32の基端部に着脱手段を兼ね弾性力を有するエラストマーからなる装着部材55を設けている。この装着部材55の基端面からは前記内視鏡10に設けられている吸引管路18の位置に対応して開口を有し、着脱手段となる円筒部56が凸設している。一方、前記内視鏡10の吸引管路18の端部には前記円筒部56の外径寸法より小径に形成した内径寸法を有する拡径部57が設けてある。
【0041】
本実施形態の第2の内視鏡20は、第1の内視鏡10に対して例えば優れた対物光学系を有し、挿入部21の外径寸法は、前記第1の内視鏡10の挿入部11の外径よりも大きい。しかし、第2の内視鏡20の吸引管路18の端部には前記第1の内視鏡に設けた拡径部57と同じ内径寸法で形成した拡径部58が第2内視鏡20のワイヤ用チャンネルから同位置に形成されている。
【0042】
そして、前記第1の内視鏡10の操作部12と第2の内視鏡20の操作部22の挿入部基端側近傍には周囲と色の異なる指標部59が設けられており、この指標部59に内視鏡がモジュールタイプであることを示す「module」という文字が明記されている。
【0043】
図6に示すように円筒部56に近いモジュール本体32の外周面には指示部となるライン60が設けてあり、このモジュール本体32が装着される内視鏡10,20側には指標となる丸印61が設けられている。このため、切開用モジュール30を前記第1の内視鏡10あるいは第2の内視鏡20に装着したとき、前記ライン60と丸印61とを対向させることによって、所定の配設位置関係であることがわかるようになっている。そして、前記モジュール本体32の外周面には前記ライン60とともに、切開用モジュール30の機能を表す「snare」という文字62及びマーク63が明記されている。
【0044】
前記切開用モジュール30の係合部である円筒部56は、内径側に弾性変形して第1の内視鏡10の係止部である拡径部57あるいは第2の内視鏡20の係止部である拡径部58に収納される。そして、円筒部56の弾性力で切開用モジュール30は第1の内視鏡10あるいは第2の内視鏡20に固定される。
【0045】
このように、吸引管路に設けた拡径部に、モジュールに形成した円筒部を装着して円筒部の弾性力で内視鏡用モジュールを内視鏡の先端面に一体的に固定することができる。このことにより、吸引管路径がほぼ同じであれば挿入部外径が異なるスコープであっても同一種の切開用モジュールを装着することが可能になるので使い勝手が大幅に向上する。
【0046】
また、操作部に設けた指標部に記載されている「module」という文字や、色を判断して、スコープの識別を容易に行うことができる。
【0047】
さらに、モジュール側に設けられているラインと内視鏡側に設けられている丸印とを並列させたときを装着状態としたことにより、切開用モジュールと第1の内視鏡あるいは第2の内視鏡の回転方向の位置合わせを容易にかつ適切に行うことができる。
【0048】
又、係合部及び係止部の近傍にライン及び丸印が設けられているので係合部及び係止部の位置を容易に判断することができるとともに、このラインと丸印との位置を合わせてから切開用モジュールを第1の内視鏡あるいは第2の内視鏡に装着することにより、装着時の位置合わせがを容易に行うことができる。
【0049】
さらにまた、モジュール本体の外周面に文字又はマークが記載されているので、内視鏡用モジュールの機能の判別や型番の判別を容易に行うことができる。
【0050】
図7は前記第2実施形態の変形例を示す説明図である。
図に示すように本実施形態においては前記円筒部56のかわりにモジュール本体32に一体的な腕部66を切開用モジュール30に設けている。この腕部66の内視鏡側端部には外周方向に出っ張った凸部67が形成されるとともに、挿入部軸方向に延びるスリット68が形成されている。このことにより、前記凸部67は、径方向に対して弾性変形する。一方、吸引管路18の端部には前記凸部67が係入する係合部となる溝部69が形成されており、モジュール本体32と先端部15の先端面とが一致したとき前記溝部69に凸部67が係入して、この腕部66の弾性変形することによって凸部67が径外周方向に拡開して内視鏡用モジュールを内視鏡に一体的に装着固定することができるようになっている。
【0051】
図8及び図9は本発明の第3実施形態に係り、図8は内視鏡システムの他の構成を示す説明図、図9はモニタ画面上の表示状態を示す図である。
図8に示すように本実施形態においては、前記止め具48の外周に弾性を有するエラストマー材からなる係合部としての弾性体71を設けている。この弾性体71の外径寸法は、係止部としてのワイヤ用チャンネル17の内径寸法より大径に形成されている。このため、前記止め具48がワイヤ用チャンネル17内に挿通配置されることによって止め具48の外周に設けた弾性体71の弾性力で内視鏡用モジュールを内視鏡の先端面に一体的に固定されるようになっている。
【0052】
また、図示しない対物光学系の結像面に配置されている図示しないCCDのデータは、コネクタ14を介して接続されるプロセッサー(不図示)で画像信号に生成された後、モニター上に表示される。前記第1の内視鏡10及び第2の内視鏡20は、ROMあるいはCPUを内蔵しており、内視鏡用モジュールが装着されるタイプのスコープであることを示すIDを有している。このため、このIDを利用することによって、IDを認識したスコープに対してどのモジュールを使用することが可能であるかを判別することができるようになっている。
【0053】
すなわち、第1の内視鏡10あるいは第2の内視鏡20をプロセッサーに装着して、このプロセッサーのスイッチをオン状態にすると、図9に示すようにモニター70の画面上には図に示すような表示がされる。この表示画面によれば内視鏡に内蔵されているROM等から読みとったID情報によって、プロセッサーに装着されているスコープがモジュールタイプのスコープであること、組合せ可能なモジュールの種類を判別し表示したものである。
【0054】
なお、切開用モジュール30を第1の内視鏡10あるいは第2の内視鏡20に装着した時にモジュール本体32に設けた孔72に対向する位置の第1の内視鏡10あるいは第2の内視鏡20の周囲には周囲の色と異なるマーク73が設けてある。
【0055】
このように、弾性体の弾性変形による復元力を用いることによって、内視鏡用モジュールを第1の内視鏡あるいは第2の内視鏡に装着固定することができる。このことにより、スコープの外径寸法、吸引管路の内径寸法が異なっていた場合でも内視鏡用モジュールの止め具の形状が同じであれば、内視鏡用モジュールを内視鏡に装着することが可能になって、幅広いスコープスペックに対して同一のモジュールの使用が可能になる。
【0056】
また、内視鏡に内蔵されているROMなどに予め内視鏡の仕様を示すデータを記録させておくことにより、表示されるデータを基に内視鏡の仕様及び内視鏡に対応する内視鏡用モジュールの形式を認識することができる。
【0057】
さらに、内視鏡用モジュールに形成されている孔から見える色を判断して内視鏡用モジュールが適正な状態に装着されているか否かを容易に確認することができる。
【0058】
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0059】
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0060】
(1)少なくとも挿入部の先端部に第1の係止部を有する第1の内視鏡と、挿入部の先端部に第2の係止部を有する第2の内視鏡とを有し、
前記第1の係止部と前記第2の係止部とに選択的に装着可能な係合部を有する少なくとも1つ以上の処置手段を備えた内視鏡用モジュールを具備する内視鏡システム。
【0061】
(2)前記係止部と前記係合部との装着方向が挿入部長手軸方向である付記1記載の内視鏡システム。
【0062】
(3)前記係止部と前記係合部との近傍に、内視鏡先端部と内視鏡用モジュールとを挿入部長手軸方向に嵌合する嵌合部を設けた付記2記載の内視鏡システム。
【0063】
(4)前記嵌合部は、内視鏡先端部の外周面である付記3記載の内視鏡システム。
【0064】
(5)前記係止部が内視鏡先端部の外周面に設けた凹部である付記2記載の内視鏡システム。
【0065】
(6)前記係合部が装着方向に対して垂直な方向に弾性変形可能な変形部を有する付記5記載の内視鏡システム。
【0066】
(7)前記嵌合部は、内視鏡に設けた吸引管路の内周面である付記3記載の内視鏡システム。
【0067】
(8)前記内視鏡の吸引管路内に当接する突出部を係合部に設けた付記2記載の内視鏡システム。
【0068】
(9)前記突出部は、装着方向に対して垂直な方向に弾性変形可能な変形部を有する付記8記載の内視鏡システム。
【0069】
(10)前記内視鏡用モジュールの処置手段を駆動する駆動手段との連結部を内視鏡用モジュールに設け、この連結部近傍に係合部を設けた付記1記載の内視鏡システム。
【0070】
(11)前記係合部が装着方向に対して垂直な方向に弾性変形可能な変形部を有する付記10記載の内視鏡システム。
【0071】
(12)内視鏡挿入部の先端部に少なくとも1つ以上の処置手段を有する内視鏡用モジュールを着脱手段を介して取付け可能な内視鏡システムにおいて、
前記内視鏡用モジュールと前記内視鏡との取付け状態が適正な取付け状態であることを示す装着状態確認手段を設けた内視鏡システム。
【0072】
(13)前記装着状態確認手段は、内視鏡用モジュール又は内視鏡の少なくとも一方に設けた周囲の色と異なる指標である付記12記載の内視鏡システム。
【0073】
(14)前記装着状態確認手段は、内視鏡用モジュールと内視鏡との挿入部軸方向位置関係又は挿入部周方向位置関係の少なくとも一方が適正な装着状態であることを示す付記13記載の内視鏡システム。
【0074】
(15)前記内視鏡用モジュール又は前記内視鏡の一方に設けた指標が前記内視鏡用モジュール又は内視鏡に覆われた状態のとき、内視鏡用モジュールと内視鏡との取付け状態が適正な状態になる付記13記載の内視鏡システム。
【0075】
(16)前記内視鏡用モジュールと前記内視鏡の双方に設けた指標が並列した位置関係に配置されたとき、内視鏡用モジュールと内視鏡との取付け状態が適正な状態になる付記13記載の内視鏡システム。
【0076】
(17)前記内視鏡用モジュール又は前記内視鏡の一方に指標を設け、他方に指示部を設け、前記指標と前記指示部とが対向したとき、内視鏡用モジュールと内視鏡との取付け状態が適正な状態になる付記13記載の内視鏡システム。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、処置具の破損を防止し、内視鏡下での操作が容易で、複数の内視鏡に使用でき、小さなスペースで保管が可能な内視鏡システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図4は本発明の第1実施形態に係り、図1は内視鏡システムの構成を示す説明図
【図2】操作部の処置具挿入口から延出する伝達ワイヤ及びチューブの基端部の構成を示す図
【図3】切開用モジュールを内視鏡の先端部に装着した状態を示す図
【図4】切開用モジュールを先端部に装着した状態の内視鏡の作用を示す説明図
【図5】図5及び図6は本発明の第2実施形態に係り、図5は内視鏡システムの他の構成を示す説明図
【図6】切開用モジュールを内視鏡の先端部に装着した状態を示す図
【図7】第2実施形態の変形例を示す説明図
【図8】図8及び図9は本発明の第3実施形態に係り、図8は内視鏡システムの他の構成を示す説明図
【図9】モニタ画面上の表示状態を示す図
【符号の説明】
10…第1の内視鏡
16…第1の係止部
20…第2の内視鏡
26…第2の係止部
30…切開用モジュール
33…第1磁石
41…第1連結部材
46…モジュール側連結部材

Claims (2)

  1. 処置手段を備えた内視鏡用モジュールと、この内視鏡用モジュールを内視鏡挿入部の先端部に着脱自在に取り付け可能な複数種類の内視鏡とを有する内視鏡システムにおいて、
    前記内視鏡は、
    前記内視鏡用モジュールを着脱自在に取り付ける係止部と、
    挿入部先端面に開口するワイヤ用チャンネルと、
    前記ワイヤ用チャンネル内に進退自在に挿入した伝達ワイヤと、
    前記伝達ワイヤの先端側に設けた連結部材と、
    前記連結部材に設けた係合部と、
    を備え、
    前記内視鏡用モジュールは、
    前記係止部に係止する被係止部を有して内視鏡挿入部先端部に着脱自在に取り付けられるモジュール本体と、
    先端側に処置手段を有し、後端側にモジュール側連結部材を設けると共に、前記処置手段及び前記モジュール側連結部材を前記モジュール本体に対して進退自在となすため当該モジュール本体に対して進退自在に挿通配置される処置具操作用チューブを設けた処置具と、
    前記モジュール側連結部材に設けて前記内視鏡の連結部材に設けた係合部に係合する被係合部と、
    を備えたことを特徴とする内視鏡システム。
  2. 前記内視鏡は、前記ワイヤ用チャンネルに内装したチューブと、このチューブの先端側に設けた係合部とを備え、
    前記内視鏡用モジュールは、操作用チューブの内視鏡側に前記チャンネルに内装したチューブの係合部に係合する被係合部を備え、
    前記内視鏡用モジュールを前記内視鏡の挿入部の先端部に着脱自在に取り付けるとき、前記挿入部側の係止部とモジュール本体側の被係止部とによる係止、前記伝達ワイヤの連結部材に設けた係合部とモジュール側連結部材に設けた被係合部との係合、及び前記ワイヤチャンネルに内装したチューブの係合部と内視鏡モジュールの操作チューブに設けた被係合部との係合によって固定されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
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