JP3863487B2 - 移載装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば吸着パッドを備え、所定位置に配置された対象物に対する吸着パッドの押し当てて使用する移載装置に関し、特に全体をコンパクトにした移載装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品などの小物は、例えば、図10に示すような部品搬送装置200で所定位置まで搬送される。部品搬送装置200は、レール201に沿って移動するレール202に移載装置100を摺動可能に取り付け、トレイ203のポケット204a〜204eに収納された部品を移載装置100で取り出すようになっている。そのため、移載装置100は、X方向及びY方向に移動されてトレイ203に位置合わせされたときに、吸着パッドをZ方向に突出させて部品を吸着保持するよう構成されている。
【0003】
図11及び図12は、従来の移載装置100を示した図である。移載装置100は、シリンダによって軸方向のストロークを得るようにしたものであり、所定のストロークでバッファの荷重吸収によって衝撃を緩和させ、所定の力で吸着パッドを被搬送物に押し付けるようにしたものである。
【0004】
図示する移載装置100は、本体であるボディ101の左側面を取付面としたものであり、ピストンロッド102を下方に突設したシリンダが内蔵されている。即ち、ボディ101に形成された不図示のエアポートから供給されるエアによってシリンダ内のピストン
が加圧され、そのピストンと一体のピストンロッド102が、図11と図12とで示すストロークを出力する。また、ボディ101には、取付面とは逆の右側面にガイドが形成され、ピストンロッドに固定されたL字形のスライダ103が、そのガイドに沿ってピストンロッド102と平行に摺動するように構成されている。
【0005】
一方、そのスライダ103には、シリンダの出力方向とは垂直な横方向にホルダ104が突設され、そこには衝撃緩和のためのバッファ105が取り付けられている。ここに用いられているバッファ105としては、例えば金属コイルバネを利用した図13に示すような吸着パッドバッファが利用される。
この吸着パッドバッファ105Aは、円筒形状の固定軸151に、ヘッド152の形成された可動軸153が、そのヘッド152とストッパ154によって抜け落ちないように挿入されている。固定軸151に対して軸方向に移動可能な可動軸153は、固定軸151端面のフランジ部155とヘッド152との間のコイルバネ156によって一方に付勢されている。
【0006】
ヘッド152には吸着パッド160が装着され、被搬送物と当接する吸着部を吸引によって負圧にするための吸引流路157が形成されている。また、この吸着パッドバッファ105Aをホルダ104へ取り付けるため、固定軸151の外周面には雄ねじ158が切られ、2個のナット159,159が設けられている。
こうした移載装置100は、図11及び図12に示すように、シリンダの駆動によってピストンロッド102が伸び、スライダ103の移動によってバッファ105が対象物に押し当てられる。バッファ105は、その可動軸が対象物に押し当てられる際に反力を吸収して衝撃を緩和する。図13に示す吸着パッドバッファ105Aの場合には、吸着パッド160が被搬送物に押し当てられるとコイルバネ156が押し縮められ、その弾性力によって当接時の衝撃が吸収される
【0007】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
かしながら、こうした従来の移載装置には次のような問題点があった。
(1)従来の移載装置100では、直線運動する空気圧シリンダなどの出力機器自身の動作精度を確保する為にスライドガイドを必要とし、更にバッファ105自身が直線に動作するためのスライドガイドを重複して設ける必要があった。また、空気圧シリンダの動作部分であるスライダ103にバッファ105を取り付けるためのブラケットなど多くの部材が必要となり装置自体を小型化することが困難であるとともに費用もかかった。
【0009】
(2)例えば吸着パッドバッファ105Aは、可動軸153のストロークが小さく、またコイルバネ156の伸縮量によって受ける荷重の大きさが異なってしまう。そのため、吸着パッドバッファ105Aによって吸着パッド160を被搬送物に所定の力で押し当てようとした場合、ピストンロッド102のストローク調整や移載装置100の取り付け精度の正確性が要求され、取り扱いが不便であったり、取り付け位置が制限される問題があった。
【0010】
(3)また、移載装置100は、吸着パッドで吸着した部品等を1個づつ移載するため、多数の移載を行うのに時間がかかる問題があった。一般に、図10に示すように、Z方向は移動距離が短いが、X方向とY方向で移動距離が長い場合に、時間が多くかかる問題が顕著となる。この対策として、吸着パッドを2連で駆動することも考えられるが、図11に示すような移載装置の場合、各々の吸着パッド160について、Z方向の直進ガイド103、直進駆動装置等を備えなければならないため、装置全体が大型化し、重量が重くなる問題があった。
【0011】
(4)また、電源が切れたときに、ヘッド152の位置が一定の位置に定まらないと、人手又は手動による調整作業において、ボディ101に内蔵されるシリンダの停止位置によっては、ヘッド152等が干渉する恐れがあった。それを避けるために、電源を切ったときに、常に一定の位置にするためのバネ等を備えると、装置全体が大型化し、重量が重くなる問題があった。
(5)誤って手を挟んでしまったような場合に、従来のバッファ105による緩衝作用では危険を回避することができず、安全装置が別途必要になり、更に装置全体の大型化やそのための費用がかかった
【0012】
【0013】
こで、本発明は、かかる課題を解決すべく、装置全体をコンパクトにできる移載装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明の移載装置は、次のような構成を有している。
(1)第1出力ロッドを往復直線移動可能に挿通される第1貫通孔と、第2出力ロッドを往復直線移動可能に挿通される第2貫通孔とを形成された本体と、第1出力ロッドの外周に固定された円筒形状の第1出力ロッド側永久磁石と、第2出力ロッドの外周に固定された円筒形状の第2出力ロッド側永久磁石と、第1出力ロッドと同軸上に配置され、第1出力ロッド側永久磁石に対応して第1貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第1本体側永久磁石と、第2出力ロッドと同軸上に配置され、第2出力ロッド側永久磁石に対応して第2貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第2本体側永久磁石と、第1出力ロッドと第2出力ロッドに両端が固定された連結紐と、連結紐が巻かれると共に、駆動手段に連結されたプーリとを有し、第1出力ロッド側永久磁石の外周面と、第1本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁される一方、第2出力ロッド側永久磁石の外周面と、第2本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁されており、第1出力ロッド側永久磁石が、第1出力ロッドが本体から外部に突出する方向と反対方向に第1本体側永久磁石から突出するときには、第1出力ロッドが本体から外部に突出する方向の力を付与され、第2出力ロッド側永久磁石が、第2出力ロッドが本体から外部に突出する方向と反対方向に第2本体側永久磁石から突出するときには、第2出力ロッドが本体から外部に突出する方向の力を付与される。
【0015】
よって、駆動手段がプーリの回転方向を変えて、連結紐の送り出し方向を変えるだけで、連結紐を送り出された一方の出力ロッドが、出力ロッド側永久磁石と本体側永久磁石の磁力に従って出力され、他方の出力ロッドが、連結紐に引っ張られて出力ロッド側永久磁石と本体側永久磁石の磁力に抗して本体に引き込まれるので、1個の駆動手段の駆動力のみで一対の出力ロッドの移動を制御することができ、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0016】
(2)(1)に記載する移載装置は、第1出力ロッド側永久磁石と第1本体側永久磁石とが同じ長さを有し、第2出力ロッド側永久磁石と第2本体側永久磁石とが同じ長さを有しており、第1出力ロッドが本体から外部に突出する量と、第2出力ロッドが本体から外部に突出する量とが同じ量であるときに、第1出力ロッド側永久磁石と第1本体側永久磁石とが対面して重なる量と、第1出力ロッド側永久磁石と第1本体側永久磁石とが対面して重なる量とが同量であることが望ましい。
よって、一対の出力ロッドは、ストロークにかかわらず出力ロッド側永久磁石と本体側永久磁石から同じ強さの磁力をそれぞれ受けて連結紐を介してバランスするため、電源が落ちた場合などの非常時には、一対の出力ロッドをその時点の位置関係で保持し続け、出力ロッド同士の干渉などを防止することが可能である。これは、両出力ロッドの出力差分がモータ軸にトルクとしてかかっており、モータの停止トルク以内であれば、その位置を保持できる事に起因する。
【0017】
(3)また、(1)または(2)に記載する移載装置は、第1出力ロッド及び第2出力ロッドが中空形状であって、第1出力ロッドの先端に取り付けられた第1吸着パッドと、第1出力ロッドの後端に接続するように本体に固設され、第1出力ロッドの中空部を介して第1吸着パッドに連通する第1真空パイプと、第2出力ロッドの先端に取り付けられた第2吸着パッドと、第2出力ロッドの後端に接続するように本体に固設され、第2出力ロッドの中空部を介して第2吸着パッドに連通する第2真空パイプとを有する。
よって、本発明によれば、真空パイプ及び出力ロッドが吸着パッドに連通する真空流路を形成し、出力ロッドの動作位置にかかわらず、真空回路が維持される。よって、出力ロッドに別途真空配管、チューブなどを形成する必要がなく、装置全体をさらにコンパクトにすることができる。
【0018】
(4)出力ロッドを往復直線移動可能に装填される第1貫通孔と、カウンタロッドを往復直線移動可能に装填される第2貫通孔とを形成された本体と、出力ロッドの外周に固定された円筒形状の出力ロッド側永久磁石と、カウンタロッドの外周に固定された円筒形状のカウンタロッド側永久磁石と、出力ロッドと同軸上に配置され、出力ロッド側永久磁石に対応して第1貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第1本体側永久磁石と、カウンタロッドと同軸上に配置され、カウンタロッド側永久磁石に対応して第2貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第2本体側永久磁石と、出力ロッドに一端が固定され、カウンタロッドに他端が固定された連結紐と、連結紐が巻かれると共に、駆動手段に連結されたプーリとを有し、出力ロッド側永久磁石の外周面と、第1本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁される一方、カウンタロッド側永久磁石の外周面と、第2本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁されており、カウンタロッド側永久磁石が第2本体側永久磁石から突出しているときにカウンタロッドに付与する第1の力が、出力ロッド側永久磁石が第1本体側永久磁石から突出したときに出力ロッドに付与する第2の力より大きい。この場合、出力ロッドを引き込む力と出力ロッドを突出させようとする磁力の差は、駆動モータの静止トルク(無励磁状態)より多い事が必要である。
【0019】
よって、カウンタロッドは、ロッド側永久磁石と本体側永久磁石により出力ロッドのロッド側永久磁石と本体側磁石より大きい磁力を受けているため、例えば、電源が落ちた場合などの非常時には、カウンタロッドが、カウンタロッドのロッド側永久磁石と本体側永久磁石の磁力に従って本体から突出する方向に移動し、出力ロッドを出力ロッドのロッド側永久磁石と本体側永久磁石の磁力及びモータの静止トルクに抗して本体に自動的に引き込むので、出力ロッドが他の部材と干渉することを防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
次に、本発明に係る移載装置の一実施形態について図面を参照して説明する。、図1、図2、図3は、第1実施形態の移載装置を示す断面図であり、それぞれ異なる動作状態を示している。図4は、ワイヤ25の取付構造を示す概念図である。
本実施の形態の移載装置1も、従来の移載装置100と同様、図10の部品搬送装置200に取り付けられるものである。この移載装置1は、一対の出力ロッド31A,31Bと駆動手段4を一体にしたものであり、出力ロッド31A,31Bが交互に突出して部品
を吸着保持するように構成されている。
【0021】
この移載装置1のボディ2は、所定の肉厚をもったブロック体であり、長手方向に出力ロッド31Aを嵌装するための貫通孔11と、出力ロッド31Bを嵌装するための貫通孔12とが平行に形成されている。
【0022】
ボディ2の一端裏側には、駆動手段4のステッピングモータ22が固定され、そのモータ軸23にプーリ24が連結されている。プーリ24の外周面には、環状の溝が形成され、その溝にワイヤ25を取り付けることにより、プーリ24の回転に従ってワイヤ25を所定方向に送り出すようになっている。この場合に、ワイヤ25が空回りすることを防止するために、ワイヤ55は、図4に示すように、プーリ24の外周面に穿設された取付孔15に挿入されて輪を作り、取付孔15と連通するピン孔14に対してピン13をワイヤ25の輪に挿通するように嵌め込むことにより、ワイヤ25をプーリ24に固定している。このように固定されたワイヤ25は、図1〜図3に示すように、両端がプーリ24の溝の接線方向から貫通孔11,12に送り出されている。ワイヤ25は、その端部にワイヤエンド26A,26Bがカシメられており、それが出力ロッド31A,31Bの後端に固定されたワイヤ取付部材32A,32Bに外れないように固定されている。
【0023】
出力ロッド31A,31Bは、磁気バネを利用した同一構造を有しているので、ここでは、出力ロッド31Aの構成を中心に説明する。中空形状の出力ロッド31A(31B)が、ボディ2に形成された貫通孔11(12)内に摺動可能に挿通されている。出力ロッド側永久磁石33A(33B)は、出力ロッド31A(31B)の図面上方の縮径した部分に挿入され、出力ロッド31Aの段差とワイヤ取付部材32A(32B)との間に挟まれて保持されている。貫通孔11(12)の一端開口部には、出力ロッド31A(31B)を直線往復運動させるためのボールスプライン35A(35B)がはめ込まれ、そのボールスプライン35A(35B)に突き当てるように円筒形状の本体側永久磁石34A(34B)が固定されている。
【0024】
出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)は、出力ロッド31A(31B)の変位に反発させるために設けられたものであり、コイルスプリングのようにバネ機能を発揮するものである。出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)は、ともに軸方向の長さが同じ寸法で形成され、図3に示すように軸方向にずれた場合には、図1に示すように両者が重なる方向(図面下方)に磁力による吸引力が働くようになっている。
【0025】
出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)は、図5(a)及びその断面を示す図5(b)に示すように、円周方向に4分割されて軸方向に沿ってN極とS極とが各90度の幅で帯状に形成されたN極帯33AN,34AN(33BN,34BN)とS極帯33AS,34AS(33BS,34BS)とから構成されている。そのため出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)は、ともに異なる磁極同士が交互に対面するようになっている。こうして出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)の磁極は、円周方向に分割されているため、回り止めとしても機能する。この分割数は、4分割でなくとも2分割、或いはそれ以上であってもよい。そして、出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)を非接触とするため、出力ロッド31A(31B)は、図1に示すように、本体側永久磁石34A(34B)の片側においてボールスプライン35A(35B)に案内されるようになっている。これは、ボールスプライン35A(35B)に限らず、適切な他のガイドでもよい。
【0026】
出力ロッド31A(31B)は、先端に固定された吸着パッド取付部材38A(38B
)に吸着パッド41A(41B)を取り付けられ、その吸着パッド41A(41B)が部品を吸着保持するよう構成されている。ボディ2には、エアを吸引又は供給する真空供給ポート16A(16B)が穿設され、その真空供給ポート16A(16B)に連通するよう真空パイプ36A(36B)が貫通孔11(12)に内設されている。真空パイプ36A(36B)は、ワイヤ取付部材32A(32B)に気密性を確保した状態で内挿され、出力ロッド31A(31B)と一体となって真空供給ポート16A(16B)と吸着パッド41A(41B)とを連通させる真空流路を形成させている。
【0027】
ところで、出力ロッド31A,31Bとの関係は、図1に示すように、出力ロッド31Bがボディ2内に引っ込んだ場合に、出力ロッド31Aがボディ2から突出する出力が得られる一方、図3に示すように、出力ロッド31Aがボディ2内に引っ込んだ場合に、出力ロッド31Bがボディ2から突出する出力が得られるようになっている。そのため、出力ロッド31A,31Bは、出力ロッド側永久磁石33A,33Bが本体側永久磁石34A,34Bと重なるまでボディ2から突出する方向(図中下方)に移動するよう構成されている。
【0028】
続いて、本実施形態の移載装置1の作用について説明する。移載装置1は、出力ロッド31A,31Bが出力ロッド側永久磁石33A,33Bと本体側永久磁石34A,34Bの磁力による吸引力によって突き出される際の動きを出力として利用し、1個のステッピングモータ22の回転方向を変えることにより、出力ロッド31A,31Bを交互に出力する。
移載装置1は、出力ロッド31A,31Bが非出力状態のときには、図2に示すように、出力ロッド31Aの出力ロッド側永久磁石33Aと本体側永久磁石34A、及び、出力ロッド31Bの出力ロッド側永久磁石33Bと本体側永久磁石34Bが、それぞれ同じ量ずつ重なり合っており、出力ロッド31A,31Bが、同じ量ずつボディ2から突出している(以下、この出力ロッド31A,31Bの位置を「原点位置」という。)。
【0029】
そこで、ステッピングモータ22がプーリ24を所定方向(図中反時計方向)に所定量回転させると、ワイヤ25が出力ロッド31A側に送り出され、出力ロッド31Aは、出力ロッド側永久磁石33Aと本体側永久磁石34Aの吸引力に従って、ワイヤ25の送出量に応じてボディ2から突出する方向に移動する。そして、図2に示す状態から出力ロッド31Aが突き出されると、先端の吸着パッド41Aが対象物に当接し、真空供給ポート16Aがエアを吸引することにより、真空パイプ36A、出力ロッド31Aを介して吸着パッド41Aと図示しない対象物との当接部分が負圧になって対象物を吸着保持できる。
【0030】
このとき、出力ロッド31Bは、出力ロッド31Aの移動量と同じ量だけボディ2内に引き込まれる。出力ロッド31Bは、ワイヤ25が出力ロッド31A側に送り出されると、それに応じて出力ロッド側永久磁石33Bと本体側永久磁石34Bの吸引力に抗して引き上げられる。そして、出力ロッド31Aの移動が停止した時点で、ワイヤ25の張力と本体側永久磁石34Bが出力ロッド側永久磁石33Bを引き戻そうとする力とがバランスするため、出力ロッド31Bはボディ2内に引き込まれた状態で停止する。
【0031】
そして、ステッピングモータ22がプーリ24を所定方向と反対方向(図中時計方向)に所定量回転させ、ワイヤ25を出力ロッド31B側に送り出すと、出力ロッド31Aが出力ロッド側永久磁石33Aと本体側永久磁石34Aの磁力に抗してボディ2内に引き込まれる方向(図中上方向)に引っ張られて移動する。それと同時に、出力ロッド31Bは、出力ロッド側永久磁石33Bと本体側永久磁石34Bの磁力による吸引力に従ってボディ2から突出する方向(図中下方)に移動する。こうして、出力ロッド31A,31Bは、図2に示す原点位置に復帰する。
【0032】
それから、ステッピングモータ22がプーリ24を所定方向と反対方向(図中時計方向)に所定量回転させると、ワイヤ25が出力ロッド31B側に送り出され、出力ロッド31Bは、出力ロッド側永久磁石33Bが本体側永久磁石34Bの吸引力に従って、ワイヤ25の送出量に応じてボディ2から突出する方向に移動する。そして、図2に示す状態から出力ロッド31Bが突き出されると、先端の吸着パッド41Bが対象物に当接し、真空供給ポート16Bがエアを吸引することにより、真空パイプ36B、出力ロッド31Bを介して吸着パッド41Bと図示しない対象物との当接部分が負圧になって対象物を吸着保持できる。
【0033】
このとき、出力ロッド31Aは、出力ロッド31Bの移動量と同じ量だけボディ2内に引き込まれる。出力ロッド31Aは、ワイヤ25が出力ロッド31B側に送り出されると、それに応じて出力ロッド側永久磁石33Aと本体側永久磁石34Aの磁力に抗して引き上げられる。そして、出力ロッド31Bの移動が停止した時点で、ワイヤ25の張力と本体側永久磁石34Aが出力ロッド側永久磁石33Aを引き戻そうとする力とがバランスするため、出力ロッド31Aはボディ2内に引き込まれた状態で停止する。
【0034】
そして、ステッピングモータ22がプーリ24を所定方向(図中反時計方向)に所定量回転させ、ワイヤ25を出力ロッド31A側に送り出すと、出力ロッド31Bが、出力ロッド側永久磁石33Bと本体側永久磁石34Bの磁力に抗してボディ2内に引き込まれる方向(図中上方向)に引っ張られて移動する。それと同時に、出力ロッド31Aが、出力ロッド側永久磁石33Aと本体側永久磁石34Aの磁力による吸引力に従ってボディ2から突出する方向(図中下方)に移動する。こうして、出力ロッド31A,31Bは、図2に示す原点位置に復帰する。
【0035】
そこで、例えば、出力ロッド31A(31B)のストロークの途中に配置した不図示の対象物を吸着パッド41A(41B)吸着保持させる場合を考える。この移載装置1では、吸着パッド41A(41B)を対象物に押し当てる力が、出力ロッド31A(31B)を図1の状態に引き戻そうとする出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)の吸引力のみとなる。すなわち、出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)が図1に示すように重なり合う手前で吸着パッド41A(41B)を対象物に当てれば、磁気バネを構成する出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)は、コイルスプリング等と同様にいわゆるバネ力を発揮するので、吸着パッド41A(41B)を対象物に押し付ける力を得ることができる。また、それと同時に出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)は、吸着パッド41A(41B)が任意のストローク位置で対象物に当たっても一定の力を出力する(出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)の磁力は軸方向のズレ量にかかわらず一定の吸引力を得る)のでバッファ(緩衝器)としても機能する。
【0036】
ここで図6は、出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)のストローク−推力静特性について行った測定結果をグラフにしたものであり、図1(図3)に示すような出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)が揃った状態をストロークゼロとして見ている。その結果磁気バネは、軸方向にずれた出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)に作用する吸引力(推力)が、図6に示すように所定のストローク間でほぼ同じ値を示すようになった。つまり、出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)による推力は、図示するように移動初期の僅かなストローク範囲では急上昇するものの、その後は広いストローク範囲でほぼ一定となった。そして、それは出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)における軸方向のズレ量を大きくする引っ張り時も、逆に戻る時の対象物を押し付ける時もほぼ同じ値であった。そこで
、本実施形態の移載装置1では、こうした磁気バネの磁力による吸引力を出力として利用するとともに、広いストローク範囲でほぼ一定の力を発揮させる特性を活かしてバッファとしても機能させている。
【0037】
ところで、こうしたストローク−推力静特性を示すのは、推力(軸方向の力)を発生させる出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)が軸方向にずれた際、図7(a)の矢印で示すように端部33AT(33BT),34AT(34BT)において斜めに発生する磁力線の軸方向分力によって一定の推力を生じさせていると考えられるからである。つまりこれは、出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)がずれている場合には、その端部33AT(33BT),34AT(34BT)に図のような斜めの磁力線がほぼ一定方向(ほぼ一定の傾き)に生じ、その間の重なり部分には、軸方向の力に影響しない垂直方向のみの磁力線が生じていると考えられる。そのため、出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)には、重なり幅に関係なく端部に発生する斜めの磁力線の軸方向分力のみによって軸方向の力が作用すると考えられる。
【0038】
これにより、磁気バネのバッファ3A,3Bを利用した移載装置1では、対象物を吸着保持するとき常に吸着パッド41A(41B)を部品などの対象物に対して一定の力で押さえ付けるようにすることができる。すなわち、推力一定のストローク範囲が広いため、吸着パッド41A(41B)を部品などの対象物に押さえ付けるストローク位置にばらつきが生じても、押し付け不足や、逆に押し付け過ぎをなくし、常に適切な押圧力で吸着パッド41A(41B)を部品などの対象物に押さえ付けることができる。
【0039】
また、出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)は、N極帯33AN,34AN(33BN,34BN)及びS極帯33AS,34AS(33BS,34BS)でそれぞれ円周方向に4分割し(図5(b)参照)、これによって出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)を回り止めとして機能させている。移載装置1は、部品などの対象物への当接時などに出力ロッド31A(31B)が回転方向に力を受けることがある。このとき出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)は、例えば対面関係にあるN極帯33AN(33BN)とS極帯34AS(34BS)との間に、図7(b)の矢印で示すように磁力線が生じている。N極帯33AN(33BN)及びS極帯34AS(34BS)の間には放射状に磁力線が生じ、回転方向にずれた場合には円周方向の端部において傾いた磁力線が生じる。従って、その傾いた磁力線が回転方向とは逆に出力ロッド側永久磁石33A(33B)を引き戻す吸引力を作用させ、出力ロッド31の回転を防止させる回り止めとして機能することになる。
【0040】
そして、移載装置1は、図10の部品搬送装置200に取り付けられた場合、次のように動作する。部品搬送装置200が、図2に示すような非出力状態の移載装置1をトレイ203上に移動させ、出力ロッド31Aとトレイ203のポケット204aとを位置合わせすると、移載装置1は、図1に示すように、出力ロッド31Aを突出させて吸着パッド41Aを部品に当接させ、真空供給ポート16Aからエアを吸引して部品を吸着保持する。そして、出力ロッド31Aを図1の状態から図2の原点位置に復帰させ、部品をトレイ203のポケット204aから取り出す。
【0041】
それから、部品搬送装置200が、移載装置1をX方向に移動させ、出力ロッド31Bとトレイ203のポケット204bとを位置合わせすると、移載装置1が、図3に示すように、出力ロッド31Bを突出させて吸着パッド41Bを部品に当接させ、真空供給ポート16Bからエアを吸引して部品を吸着保持する。そして、出力ロッド31Bを図3の状態から図2に示す原点位置に復帰させ、部品をトレイ203のポケット204bから取り
出す。
【0042】
部品搬送装置1は、こうして2個の部品を取り出した移載装置1をX方向及びY方向に移動させ、出力ロッド31Aと部品を載置する治具とを位置合わせする。移載装置1は、図1に示すように、出力ロッド31を突出させ、真空供給ポート16Aにエアを供給して部品を治具上に載置し、図2に示す原点位置に復帰する。
【0043】
それから、部品搬送装置200が、移載装置1をX方向及びY方向に移動させ、出力ロッド31Bと治具を位置合わせすると、移載装置1は、図3に示すように、出力ロッド31を突出させ、真空供給ポート16Bにエアを供給して部品を治具上に載置し、図2に示す原点位置に復帰する。そして、部品搬送装置200は、移載装置1をX方向及びY方向に移動させて、次工程に移行する。
【0044】
以上、本実施形態の移載装置1では、ステッピングモータ22の回転方向を変えて、プーリ24がワイヤ25を送り出す方向を変えるだけで、ワイヤ25を送り出された側の出力ロッド31A(31B)が出力ロッド側永久磁石33A(33B)と本体側永久磁石34A(34B)の磁力に従って出力され、他方の出力ロッド31B(31A)が出力ロッド側永久磁石33B(33A)と本体側永久磁石34B(34A)の磁力に抗してボディ2内に引き込まれるので、ステッピングモータ22、プーリ24、ワイヤ25のみで2本の出力ロッド31A,31Bの移動を制御することができ、構造を簡単にして、装置全体を小型軽量化することができる。
【0045】
また、本実施形態の移載装置1は、出力ロッド31A,31Bをボディ2に対称配置してワイヤ25で連結したことにより、出力ロッド31A,31Bが、ストロークにかかわらず出力ロッド側永久磁石33A、33Bと本体側永久磁石34A,34Bから同じ強さの磁力をそれぞれ受けてワイヤ25を介してバランスするため、電源が落ちた場合などの非常時には、出力ロッド31A、31Bをその時点の位置関係で保持し続け、出力ロッド31A,31Bの干渉などを防止することが可能である。これは、出力ロッド31A,31Bの出力差分がモータ軸23にトルクとしてかかっており、モータ22の停止トルク以内であれば、その位置を保持できる事に起因する。
【0046】
さらに、本実施形態の移載装置1は、真空パイプ36A,36Bと出力ロッド31A,31Bとで真空流路を形成し、出力ロッド31A,31Bの動作位置にかかわらず真空回路を維持することにより、出力ロッド31A,31Bの先端部に装着される吸着パッド41A,41Bの吸引力を確保している。よって、出力ロッド31A,31Bにチューブ配管するなど、真空流路を別途形成する必要がなく、装置全体をさらにコンパクトにすることができる。
【0047】
そして、こうした移載装置1を取り付けられた部品搬送装置200では、移載装置1が小型軽量であるため、移載装置1の位置決めが容易になり、高速動作することができる。また、部品搬送装置200では、移載装置1で2個の部品を移載できるので、従来のように部品を1個ずつ移載する場合と比較して、移載装置1のX方向及びY方向の移動量を半分程度にすることができ、対応能力を向上させることができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る移載装置の第2実施形態について説明する。図8及び図9は、第2実施形態の移載装置を示した平面の断面図であり、それぞれ異なる状態を示す。この移載装置51は、図10の部品搬送装置200に取り付けられるものであり、前記第1実施形態と同様に磁気バネを使用するが、磁気バネに磁力差を設けている点で第1実施形態と相違している。
【0049】
移載装置51は、ボディ60に出力ロッド71、カウンタロッド66などを一体化したものである。ボディ60は、肉厚のブロック体をなし、貫通孔61,62,63が平行に形成されている。ボディ60の一端裏側にはステッピングモータ52が固定され、そのモータ軸53にプーリ54が取り付けられている。そして、プーリ54の外周面には環状の溝が形成され、その溝にワイヤ55を取り付けることにより、プーリ54の回転に従ってワイヤ55を所定方向に送り出すようになっている。この場合に、ワイヤ55が空回りすることを防止するために、ワイヤ55は、プーリ54の外周面に穿設された取付孔57に挿入されて輪を作り、取付孔57と連通する図示しないピン孔に対してピン56をワイヤ55の輪に挿通するように嵌め込むことにより、ワイヤ55をプーリ54に固定している。このように固定されたワイヤ55は、一端が貫通孔62を通り、吸着ブロック78に固定される一方、他端が貫通孔63内を移動するカウンタロッド66に固定されている。
【0050】
カウンタロッド66は、貫通孔63に摺動可能に装填され、図面上方の縮径した部分に円筒状のカウンタロッド側永久磁石67が嵌め合わされている。貫通孔63には、両端をブシュ69,69で挟まれた円筒形状の本体側永久磁石68が固定され、そこを貫通したカウンタロッド66が摺動可能に嵌挿されている。カウンタロッド側永久磁石67と本体側永久磁石68は、第1実施形態と同様にバッファを構成する磁気バネであり(図5参照)、ともに軸方向の長さが同じ寸法で形成され、図8に示するように軸方向にずれた場合には、両者が重なる方向(図面下方)に磁力による吸引力が働くようになっている。
【0051】
一方、出力ロッド71は、吸着ブロック78を介してワイヤ55と一体的に動作するようになっている。その出力ロッド71は、ボディ60に形成された貫通孔61内に摺動可能に装填されており、図面上方の縮径した部分に円筒状の出力ロッド側永久磁石72がはめ合わされている。貫通孔61には、開口部にボールスプライン75がはめ込まれるとともに、円筒形状の本体側永久磁石73が固定され、それらを貫通した出力ロッド71が摺動可能に嵌挿されている。出力ロッド側永久磁石72と本体側永久磁石73は、第1実施形態と同様にバッファを構成する磁気バネであり(図3参照)、ともに軸方向の長さが同じ寸法で形成され、図示すように軸方向にずれた場合には、両者が重なる方向(図面下方)に磁力による吸引力が働くようになっている。
【0052】
出力ロッド71は、先端に固設された吸着ブロック78に吸着パッド80が装着され、吸着パッド80が部品を吸着保持するよう構成されている。出力ロッド71の後端部(図中上端部)には、貫通孔61に内設された真空パイプ76が摺動ブロック77を介して気密性を確保した状態で内挿されている。真空パイプ76は、貫通孔61の開口部にはめ込まれた流路ブロック58を介してボディ60の真空供給ポート59と連通し、出力ロッド71の先端に固設された吸着ブロック78に吸着パッド80を装着したときに、その吸着パッド80が出力ロッド71、真空パイプ76、流路ブロック58を介して真空供給ポート59と連通するようになっている。そして、吸着ブロック78には、遮光部材81が突設されている。遮光部材81は、図9に示すように、出力ロッド71が吸着ブロック78とボディ60とを当接させるまでボディ60内に引き込まれたとき(以下、この出力ロッド71の位置を「原点位置」という。)に、ボディ60に設けられた原点センサ82に内蔵される発光部と受光部との間を通過するように配設されている。原点センサ82は、ステッピングモータ52の動作を制御する図示しない制御装置に接続されている。
【0053】
ここで、カウンタロッド66と出力ロッド71とは以下の関係を有する。カウンタロッド66は、電源が入っていないときに、ボディ60から突出する方向に移動して出力ロッド71を引き込むようになっている。つまり、カウンタロッド側永久磁石67と本体側永久磁石68には、出力ロッド側永久磁石72と本体側永久磁石73より磁力が大きいものが使用され、カウンタロッド66は、出力ロッド71より大きい推力に設定され、その差
は、モータ52の静止トルクを上回る値である。
【0054】
そこで、本実施形態の移載装置1によれば、図9に示す非出力状態のときに、ステッピングモータ52に所定量の回転が所定方向(図中反時計方向)に与えられると、プーリ54がワイヤ55をカウンタロッド66側に送り出し、出力ロッド71が、出力ロッド側永久磁石72と本体側永久磁石73の吸引力に従ってボディ60から突出する方向(図中下方)に移動して、その先端の吸着パッド80を部品に当接させる。このとき、貫通孔62から引き出されたワイヤ55はワイヤ保護筒64により保護されている。そして、真空供給ポート59からエアを吸引すると、流路ブロック58、真空パイプ76、出力ロッド71を介して吸着パッド80と不図示の部品との当接部分が負圧になって吸着保持できる。一方、カウンタロッド66は、ワイヤ55に引っ張られ、カウンタロッド側永久磁石67と本体側永久磁石68の吸引力に抗してボディ60に引き込む方向(図中上方)に引き上げられる。
【0055】
それから、ステッピングモータ52に所定量の回転が所定方向と反対方向(図中時計方向)に与えられると、プーリ54がワイヤ55をカウンタロッド66側に送り出し、カウンタロッド66が、カウンタロッド側永久磁石67と本体側永久磁石68の吸引力に従ってボディ60から突出する方向(図中下方)に移動する。それに伴って、吸着ブロック78がワイヤ55に引っ張られてボディ60内に引き込む方向(図中上方)に引き上げられ、その推力が出力ロッド71に伝達されるため、出力ロッド71は、出力ロッド側永久磁石72と本体側永久磁石73の吸引力に抗してボディ60に押し込まれる。原点センサ82は、運転開始時にのみ位置を検出するものであり、通常動作に関係ないモータ52は支持されたパルスによって動作する。
【0056】
ここで、例えば、停電などにより移載装置51の電源が落ちた場合には、プーリ54がモータ52の静止トルクのみの保持になる。カウンタロッド66側の磁気バネは、出力ロッド71側の磁気バネより磁力が大きいため、カウンタロッド66は、カウンタロッド側永久磁石67と本体側永久磁石68の吸引力に従ってボディ60から突出する方向(図中下方)に移動する。それと同時に、吸着ブロック78を介して出力ロッド71に伝達される。そのため、出力ロッド71は、出力ロッド側永久磁石72と本体側永久磁石73の吸引力に抗してボディ60内に引き込まれる。
【0057】
従って、本実施形態の移載装置51によれば、例えば、電源が落ちた場合などの非常時には、カウンタロッド66が、カウンタロッド側永久磁石67と本体側永久磁石68の磁力に従ってボディ60から突出する方向に移動し、出力ロッド71を出力ロッド側永久磁石72と本体側永久磁石73の磁力に抗してボディ60内に自動的に引き込むので、出力ロッドが他の部材と干渉することを防止できる。
【0058】
なお、本発明は、前記実施形態のものに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0059】
【発明の効果】
本発明は、第1出力ロッドを往復直線移動可能に挿通される第1貫通孔と、第2出力ロッドを往復直線移動可能に挿通される第2貫通孔とを形成された本体と、第1出力ロッドの外周に固定された円筒形状の第1出力ロッド側永久磁石と、第2出力ロッドの外周に固定された円筒形状の第2出力ロッド側永久磁石と、第1出力ロッドと同軸上に配置され、第1出力ロッド側永久磁石に対応して第1貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第1本体側永久磁石と、第2出力ロッドと同軸上に配置され、第2出力ロッド側永久磁石に対応して第2貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第2本体側永久磁石と、第1出力ロッドと第2出力ロッドに両端が固定された連結紐と、連結紐が巻かれると共に、駆動手段に連結さ
れたプーリとを有し、第1出力ロッド側永久磁石の外周面と、第1本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁される一方、第2出力ロッド側永久磁石の外周面と、第2本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁されており、第1出力ロッド側永久磁石が、第1出力ロッドが本体から外部に突出する方向と反対方向に第1本体側永久磁石から突出するときには、第1出力ロッドが本体から外部に突出する方向の力を付与され、第2出力ロッド側永久磁石が、第2出力ロッドが本体から外部に突出する方向と反対方向に第2本体側永久磁石から突出するときには、第2出力ロッドが本体から外部に突出する方向の力を付与されるので、1つの駆動手段で一対の出力ロッドの移動を制御することができ、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0060】
また、本発明の移載装置は、出力ロッドを往復直線移動可能に装填される第1貫通孔と、カウンタロッドを往復直線移動可能に装填される第2貫通孔とを形成された本体と、出力ロッドの外周に固定された円筒形状の出力ロッド側永久磁石と、カウンタロッドの外周に固定された円筒形状のカウンタロッド側永久磁石と、出力ロッドと同軸上に配置され、出力ロッド側永久磁石に対応して第1貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第1本体側永久磁石と、カウンタロッドと同軸上に配置され、カウンタロッド側永久磁石に対応して第2貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第2本体側永久磁石と、出力ロッドに一端が固定され、カウンタロッドに他端が固定された連結紐と、連結紐が巻かれると共に、駆動手段に連結されたプーリとを有し、出力ロッド側永久磁石の外周面と、第1本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁される一方、カウンタロッド側永久磁石の外周面と、第2本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁されており、カウンタロッド側永久磁石が第2本体側永久磁石から突出しているときにカウンタロッドに付与する第1の力が、出力ロッド側永久磁石が第1本体側永久磁石から突出したときに出力ロッドに付与する第2の力より大きく、第1の力と第2の力との差が、駆動手段の静止トルクを上回るので、電源が落ちた場合などの非常時に、出力ロッドが他の部材と干渉することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1実施形態の移載装置を示す出力ロッド出力時の断面図である。
【図2】 本発明に係る第1実施形態の移載装置を示す非出力時の断面図である。
【図3】 本発明に係る第1実施形態の移載装置を示す出力ロッド出力時の断面図である。
【図4】 ワイヤの固取付構造を示す概念図である。
【図5】 移載装置の永久磁石部分を示す図である。
【図6】 磁気バネを構成する永久磁石のストローク−推力静特性について行った測定結果をグラフにした図である。
【図7】 磁気バネを構成する永久磁石によって発生する推力の原理を概念的に図示したものである。
【図8】 本発明に係る第2実施形態の移載装置を示す出力時の断面図である。
【図9】 本発明に係る第2実施形態の移載装置を示す非出力時の断面図である。
【図10】 部品搬送装置の概略構成図である。
【図11】 従来の移載装置を示した非出力時の図である。
【図12】 従来の移載装置を示した出力時の図である。
【図13】 従来の移載装置を構成する吸着パッドバッファを示した図である。
【符号の説明】
1 移載装置
2,60 ボディ
22,52 ステッピングモータ
24,54 プーリ
25,55 ワイヤ
31A,31B,71 出力ロッド
33A,33B,72 出力ロッド側永久磁石
34A,34B,73 本体側永久磁石
36A,36B 真空パイプ
41A,41B,80 吸着パッド
66 カウンタロッド
67 カウンタロッド側永久磁石
68 本体側永久磁石

Claims (4)

  1. 第1出力ロッドを往復直線移動可能に挿通される第1貫通孔と、第2出力ロッドを往復直線移動可能に挿通される第2貫通孔とを形成された本体と、
    前記第1出力ロッドの外周に固定された円筒形状の第1出力ロッド側永久磁石と、
    前記第2出力ロッドの外周に固定された円筒形状の第2出力ロッド側永久磁石と、
    前記第1出力ロッドと同軸上に配置され、前記第1出力ロッド側永久磁石に対応して前記第1貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第1本体側永久磁石と、
    前記第2出力ロッドと同軸上に配置され、前記第2出力ロッド側永久磁石に対応して前記第2貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第2本体側永久磁石と、
    前記第1出力ロッドと前記第2出力ロッドに両端が固定された連結紐と、
    前記連結紐が巻かれると共に、駆動手段に連結されたプーリとを有し、
    前記第1出力ロッド側永久磁石の外周面と、前記第1本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁される一方、
    前記第2出力ロッド側永久磁石の外周面と、前記第2本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁されており、
    前記第1出力ロッド側永久磁石が、前記第1出力ロッドが前記本体から外部に突出する方向と反対方向に前記第1本体側永久磁石から突出するときには、前記第1出力ロッドが前記本体から外部に突出する方向の力を付与され、前記第2出力ロッド側永久磁石が、前記第2出力ロッドが前記本体から外部に突出する方向と反対方向に前記第2本体側永久磁石から突出するときには、前記第2出力ロッドが前記本体から外部に突出する方向の力を付与されることを特徴とする移載装置。
  2. 請求項1に記載する移載装置において、
    前記第1出力ロッド側永久磁石と前記第1本体側永久磁石とが同じ長さを有し、
    前記第2出力ロッド側永久磁石と前記第2本体側永久磁石とが同じ長さを有しており、
    前記第1出力ロッドが前記本体から外部に突出する量と、前記第2出力ロッドが前記本体から外部に突出する量とが同じ量であるときに、前記第1出力ロッド側永久磁石と前記第1本体側永久磁石とが対面して重なる量と、前記第1出力ロッド側永久磁石と前記第1本体側永久磁石とが対面して重なる量とが同量であることを特徴とする移載装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載する移載装置において、
    前記第1出力ロッド及び前記第2出力ロッドが中空形状であって、
    前記第1出力ロッドの先端に取り付けられた第1吸着パッドと、
    前記第1出力ロッドの後端に接続するように前記本体に固設され、前記第1出力ロッドの中空部を介して前記第1吸着パッドに連通する第1真空パイプと、
    前記第2出力ロッドの先端に取り付けられた第2吸着パッドと、
    前記第2出力ロッドの後端に接続するように前記本体に固設され、前記第2出力ロッドの中空部を介して前記第2吸着パッドに連通する第2真空パイプとを有することを特徴とする移載装置。
  4. 出力ロッドを往復直線移動可能に装填される第1貫通孔と、カウンタロッドを往復直線移動可能に装填される第2貫通孔とを形成された本体と、
    前記出力ロッドの外周に固定された円筒形状の出力ロッド側永久磁石と、
    前記カウンタロッドの外周に固定された円筒形状のカウンタロッド側永久磁石と、
    前記出力ロッドと同軸上に配置され、前記出力ロッド側永久磁石に対応して前記第1貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第1本体側永久磁石と、
    前記カウンタロッドと同軸上に配置され、前記カウンタロッド側永久磁石に対応して前記第2貫通孔の内壁に固定された円筒形状の第2本体側永久磁石と、
    前記出力ロッドに一端が固定され、前記カウンタロッドに他端が固定された連結紐と、
    前記連結紐が巻かれると共に、駆動手段に連結されたプーリとを有し、
    前記出力ロッド側永久磁石の外周面と、前記第1本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁される一方、
    前記カウンタロッド側永久磁石の外周面と、前記第2本体側永久磁石の内周面との互いに対面する部分が異なる磁極で着磁されており、
    前記カウンタロッド側永久磁石が前記第2本体側永久磁石から突出しているときに前記カウンタロッドに付与する第1の力が、前記出力ロッド側永久磁石が前記第1本体側永久磁石から突出したときに前記出力ロッドに付与する第2の力より大きく、前記第1の力と前記第2の力との差が、前記駆駆動手段の静止トルクを上回ることを特徴とする移載装置。
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