JP3863247B2 - 沈砂槽における下水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭から排出される下水、農業集落から排出される下水等を処理するための合併汚水処理施設において、下水を生物化学的処理の前処理として実施される沈砂槽における下水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般家庭や農業集落から排出される下水は、合併下水処理施設において処理されるようになっている。合併下水処理施設では、流入する下水を、沈砂槽に溜めて、砂を取り除いた後に、生物化学的処理槽にて、生物化学的に処理されるようになっている。
【0003】
沈砂槽では、水中ミキサーを設けて、流入する下水に含まれる糞塊等の異物を撹拌する処理方法が実施されることがある。このような処理方法では、水中ミキサーは、24時間にわたって連続運転されたり、沈砂槽内に流入する下水が一定量以上になると運転され、一定量以下の場合には運転が停止されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
水中ミキサーは、このように、沈砂槽内に流入した下水を撹拌するために、連続的に運転されるようになっている。このように、水中ミキサーが連続的に運転されると、沈砂槽内の下水が撹拌されて、所定方向に沿った水流が発生し、糞塊等の異物は下水に溶解されることになる。しかし、下水中に含まれる糞塊等の異物の比重が大きいと、水中ミキサーによっては撹拌されず、底部に堆積するおそれがある。沈砂槽の底部に糞塊等の異物が堆積すると、悪臭が発生する原因になる。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、沈砂槽に糞塊等の異物が堆積することを防止して、悪臭が発生することを防止する沈砂槽における下水の処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の沈砂槽における下水の処理方法は、下水処理施設における沈砂槽の底面近傍に設置された水中ミキサーを、タイマー制御によって断続的に駆動する際、正転駆動および逆転駆動を組み合わせることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
図1は、本発明の下水処理方法が実施される合併下水処理施設の沈砂槽の実施の形態の一例を示す平面図、図2は、図1のA−A線における断面図である。
【0009】
合併処理施設では、一般家庭、農業集落等から排出される下水が、沈砂槽10に流入されて、この沈砂槽10にて下水に含まれる砂が沈殿された後に、下水が生物化学的処理槽等に供給されて、生物化学的処理槽等によって生物化学的に処理される。沈砂槽10は、断面四角形状をしており、その底面11は、下側になるにつれて中央部が深くなるように傾斜した状態になっている。
【0010】
沈砂槽10の一方の側面12の上端部には、沈砂槽10内に下水を流入させる流入路21の下流側端部が接続されている。流入路21の底面は、沈砂槽10側になるにつれて順次下側になるように傾斜しており、下水が自然流下によって沈砂槽10内に流入するようになっている。
【0011】
沈砂槽10における流入路21が設けられた側面12に対向した側面13の上端部には、流出路22の上流側端部が接続されており、沈砂槽10内にて砂が沈殿された下水が、流出路22を通って排出される。
【0012】
沈砂槽10の上下方向に沿った軸心部には、沈砂槽10の底部に滞留した砂を排出する沈砂排出機構14が設けられている。この沈砂排出機構14は、沈砂槽10の軸心部に沿って配置された吸引管14aと、吸引管14aの上端部に取り付けられた沈砂排出ポンプ14bと、沈砂排出ポンプ14bから水平に延出した排出管14c(図1参照)とを有している。排出管14cの先端部は、沈砂槽10に隣接して配置された排砂槽23(図1参照)上に位置している。吸引管14aの下端は、沈砂槽10の底面11とは適当な間隔があけられており、沈砂排出ポンプ14bが駆動されることによって、沈砂槽10の底部に溜まった砂が、吸引管14a内に吸引される。吸引管14a内に吸引された砂は、排出管14cを通って排砂槽23に排出される。
【0013】
沈砂槽10における流出路22が設けられた側面13の一方のコーナー部には、支持軸15が上下方向に沿って配置されており、この支持軸15に水中ミキサー16がスライド可能に設けられている。この水中ミキサー16は、モーター16aの回転軸に撹拌羽根16bが取り付けられて構成されており、撹拌羽根16bが、沈砂槽10の軸心に向かった状態で、沈砂槽10の底面11よりも少し上に水平状態に支持されている。
【0014】
このような水中ミキサー16は、流入路21から沈砂槽10内に流入した下水が、流入水量により、タイマー制御によって断続的に運転されるようになっている。すなわち、水中ミキサー16は、沈砂槽10において、所定の水量以上に下水が流入した状態になると、タイマーによって設定された数十分程度にわたる駆動と数分程度にわたる停止とが交互に繰り返される。水中ミキサー16は、例えば、60分間にわたって駆動されると、1分間にわたって停止されるようにされる。
【0015】
なお、この場合、水中ミキサー16の駆動が所定時間にわたって停止された後に、再度、駆動する場合に、水中ミキサー16を数分程度にわたって逆転駆動させ、その後に、所定時間にわたって正転駆動するようにしてもよい。
【0016】
沈砂槽10に流入した下水は、下水内に含まれる比重の大きい砂が、底部に沈殿して堆積されるが、砂よりも比重の軽い糞塊等の異物は、水中ミキサー16が所定時間にわたって駆動されることにより、撹拌されて下水中に溶解される。このとき、下水に含まれる比較的大きな糞塊等の異物は、水中ミキサー16によっては撹拌されずに、底部に堆積されるおそれがあるが、水中ミキサー16がタイマー制御によって断続的に運転されるために、水中ミキサーが停止された後に、再度、駆動されると、水中ミキサー16の起動時に発生する水流によって、沈砂槽10の底部に堆積した糞塊等の異物は、上昇する方向に大きな力を受け、異物の位置が変更されたり、水流とともに浮上される。
【0017】
その結果、比較的比重の大きな糞塊等の異物も下水内に浮遊することになり、水中ミキサー16の撹拌羽根16bによって撹拌され、下水中に溶解される。このとき、下水内を異物が上昇することによって、水流との接触性および沈砂槽10の側面との接触性が向上し、しかも、水中ミキサー16の撹拌羽根16bによる接触性も向上するために、異物は効率よく下水内に溶解される。
【0018】
また、水中ミキサー16が停止された後に、再度、水中ミキサー16を駆動する際に、適当な時間にわたって水中ミキサー16を逆転駆動させた後に正転駆動させれば、異物は一層効率よく下水内に溶解されることになる。
【0019】
このように、水中ミキサー16がタイマー制御によって断続運転することにより、沈砂槽10内の下水に異物が効率よく溶解される。そして、異物が溶解された下水は、沈砂槽11内の下水が流出路22を通って、生物化学的処理槽に供給され、生物化学的処理される。
【0020】
なお、沈砂槽11の底部に溜まった砂は、沈砂排出機構14の沈砂排出ポンプ14bが逐次駆動されることにより、排砂槽23に排出される。
【0021】
【発明の効果】
本発明の沈砂槽における下水の処理方法によれば、沈砂槽の底面近傍に設けられた水中ミキサーがタイマー制御によって断続的に駆動され、その際、正転駆動および逆転駆動を組み合わせて駆動されるために、比較的比重の大きな糞塊等の異物も効率よく下水中に溶解され、沈砂槽において悪臭の発生を抑制することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法が実施される沈砂槽の一例を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【符号の説明】
10 沈砂槽
11 底面
14 沈砂排出機構
16 水中ミキサー
16a モーター
16b 撹拌羽根
21 流入路
22 流出路

Claims (1)

  1. 下水処理施設における沈砂槽の底面近傍に設置された水中ミキサーを、タイマー制御によって断続的に駆動する際、正転駆動および逆転駆動を組み合わせることを特徴とする沈砂槽における下水の処理方法。
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